説明

αウイルスレプリコンパッケージング構築物

不完全なパッケージングシグナルである、改変されかつ機能的な5’増幅配列が提供される。これらの改変された5’増幅配列を含む組成物および方法もまた提供される。一局面において、本発明は、改変された5’増幅配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを含み、この改変された配列は、(相補的なマイナス鎖RNA中間体由来の)ポジティブ鎖αウイルスRNAの合成のための認識部位を提供するが、RNAパッケージングのための認識部位を提供しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に薬学的組成物に関する。詳細には、本発明は、パッケージングシグナルとして不完全な、改変されたシス作用性、機能性の増幅配列に関し、そしてこれらの配列を作製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
αウイルスは、トガウイルス科ファミリーの遺伝学的、構造的および血清学的に関連する節足動物媒介ウイルスの集合を含む。26種の公知のウイルスおよびウイルス亜型が、αウイルス属内に分類され、これらとしては、シンドビスウイルス(SIN)、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)、ロス川ウイルス(RRV)およびベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE)が挙げられる。
【0003】
αウイルス属のいくつかのメンバーは、ワクチンおよび治療薬としての使用のための「レプリコン」発現ベクターとして開発されている。レプリコンベクターは、いくつかの様式(DNA、RNAが挙げられる)で利用され得、そしてレプリコンベクター(レプリコン粒子)を含む組換えウイルス様粒子を作製するために利用され得る。このようなレプリコンベクターはαウイルスに由来しており、これらのαウイルスとしては、例えば、SIN(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)、セムリキ森林熱ウイルス(非特許文献5;非特許文献6)およびVEE(非特許文献7)が挙げられる。現在、広範な多数の文献は、ワクチン(例えば、非特許文献2;非特許文献6;非特許文献3;非特許文献7;非特許文献4;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10を参照のこと)のような適用のために、αウイルスレプリコンベクターを使用する効力を実証している。
【0004】
核酸ベースのワクチンとしての、αウイルスレプリコンベクターの使用は、他の核酸発現ベクターと比較して、特定の利点を提供し得る。数年を通して、いくつかの用語(αウイルスベクター、αウイルスベクター構築物、αウイルスレプリコン、αウイルスRNAレプリコン、αウイルスベクターレプリコン、真核生物用層状のベクター開始システム(Eukaryotic Layered Vector Initiation System(ELVIS)およびαウイルスプラスミドレプリコンなどが挙げられる)は、αウイルスレプリコンベクターを記載するように現れている。
【0005】
遺伝子送達ビヒクルとしてのそれらの使用に加えて、αウイルスレプリコンベクターはまた、それら自身で予防適用および治療適用において有用な、組換えウイルス粒子またはウイルス様粒子(レプリコン粒子)を生成するための使用について記載されている。例えば、非特許文献4を参照のこと。αウイルスレプリコン粒子は、代表的に粒子形成に必要とされる種々のエレメントを分割する、マルチコンポーネントシステム(multi−component system)を使用して生成される。種々のエレメントの分割は、所望されない複製能を有するウイルスを生成する危険を減らす。このシステムは、代表的に1)レプリコンベクター(それ自身の細胞内複製に必要なエレメント(例えば、非構造タンパク質をコードする配列)を含むが、子孫粒子の産生に必要な、1つ以上の構造タンパク質をコードするエレメントを欠く)、および2)パッケージングに必要とされるαウイルス構造タンパク質(例えば、キャプシド、糖タンパク質)をコードする、1つ以上の構造タンパク質発現カセット構築物(例えば、不完全なヘルパー(helper))を含む。レプリコン構築物および不完全なヘルパー構築物は、RNAとして細胞に直接導入されても、または一過的にトランスフェクトされた細胞または安定にトランスフェクトされた細胞(例えば、パッケージング細胞株またはPCL)のいずれかにおけるDNAから送り出してもよい。例えば、非特許文献4;特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;および特許文献6、非特許文献2、非特許文献11を参照のこと。
【0006】
理想的には、予防適用または治療適用において使用されるαウイルスレプリコン粒子の集団は、実質的に均一であり得、レプリコンRNAのみを含む。しかしながら、パッケージングエレメントが分割される場合でさえも、さらなるRNA種(例えば、不完全なヘルパーRNA)を含む粒子が生じ得る。非レプリコンRNA種の、この望ましくないパッケージングはまた、「同時パッケージング(co−packaging)」と称される。
【0007】
したがって、αウイルスベクター技術における進歩にもかかわらず、例えば、同時パッケージングを減らすための、αウイルスベクターおよびαウイルスレプリコン粒子を含む薬学的組成物、ならびにαウイルスベクターおよびαウイルスレプリコン粒子を作製および使用する方法に対する必要性が依然として存在する。
【特許文献1】米国特許第6,465,634号明細書
【特許文献2】米国特許第6,426,196号明細書
【特許文献3】米国特許第6,376,236号明細書
【特許文献4】米国特許第6,342,372号明細書
【特許文献5】米国特許第6,015,686号明細書
【特許文献6】米国特許第5,843,723号明細書
【非特許文献1】Xiongら、Science(1989)243:1188〜1191
【非特許文献2】Dubensky,TWら、J.Virology(1996)70(1):508〜519
【非特許文献3】Hariharanら、J.Virol.(1998)72:950〜958
【非特許文献4】Poloら、Proc Natl Acad Sci USA(1999)96(8):4598〜4603
【非特許文献5】Liljestrom、Bio/Technology(1991)9:1356〜1361
【非特許文献6】Berglundら、Nat.Biotech.(1998)16:562〜565
【非特許文献7】Pushkoら、Virology(1997)239:389〜401
【非特許文献8】Davisら、J Virol.(2000)74:371〜378
【非特許文献9】SchlesingerおよびDubensky、Curr Opin. Biotechnol.(1999)10:434〜439
【非特許文献10】Berglundら、Vaccine(1999)17:497〜507
【非特許文献11】Frolovら、Proc Natl Acad Sci U S A.(1996)93(21):11371〜11377
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本発明は、パッケージングシグナルとして不完全であるように改変される増幅配列を含む組成物および、これらの組成物を作製および使用する方法を含む。
【0009】
一局面において、本発明は、改変された5’増幅配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを含み、この改変された配列は、(相補的なマイナス鎖RNA中間体由来の)ポジティブ鎖αウイルスRNAの合成のための認識部位を提供するが、RNAパッケージングのための認識部位を提供しない。特定の実施形態において、この改変された5’増幅配列は、一次配列レベルにおいて、パッケージングシグナルに対し低い相同性(配列同一性)を示す配列を含むが、その二次構造は、元の増幅配列のものを維持する。特定の実施形態において、この改変された5’増幅配列はRNAである。さらに、特定の実施形態において、この改変された5’増幅配列は、配列番号4〜16のうちの任意の一つ、または配列番号4〜16のいずれかに対し少なくとも約50%〜約60%(または、これらの間の任意の値(例えば、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%))の配列同一性を示す配列、配列番号4〜16のいずれかに対し少なくとも約60%〜約70%(または、これらの間の任意の値(例えば、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%))の配列同一性を示す配列、配列番号4〜16のいずれかに対し少なくとも約70%〜約80%(または、これらの間の任意の値(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%))の配列同一性を示す配列、配列番号4〜16のいずれかに対し少なくとも約80%〜約90%(または、これらの間の任意の値(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%))の配列同一性を示す配列、もしくは配列番号4〜16のいずれかに対し少なくとも約90%〜99%(または、これらの間の任意の値(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%))の配列同一性を示す配列を含む。
【0010】
本明細書に記載の改変された5’増幅配列のいずれかにおいて、この改変された配列が、ポジティブ鎖αウイルスRNAの合成のための認識部位を提供するが、RNAパッケージングのための認識部位を提供しない限り、この配列は、合成物であってもよいし、ならびに/または、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列および細胞RNA由来の配列からなる群から選択される配列に由来してもよい。特定の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し90%未満の同一性を示す配列を含む。他の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し80%未満の配列同一性を示す配列を含む。他の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し70%未満の配列同一性を示す配列を含む。なお他の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し少なくとも60%未満の配列同一性を示す配列を含む。他の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し、少なくとも約40%と約50%との間(または、これらの間の任意の値(例えば、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%))の配列同一性を示す配列を含む。なお他の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し少なくとも約30%と約40%(または、これらの間の任意の値(例えば、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%))の配列同一性を示す配列を含む。なお他の実施形態において、改変された5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列または細胞RNA由来の配列に対し、約30%未満の配列同一性を示す配列を含む。
【0011】
別の局面において、本発明は、本明細書に記載の5’増幅配列のいずれかを含むRNAベクター構築物を含む。特定の実施形態において、ベクター構築物はさらに、αウイルスの接合領域(junction region)プロモーターをコードする核酸配列、1つ以上のαウイルスの構造タンパク質(例えば、糖タンパク質E1および/または糖タンパク質E2;キャプシドタンパク質など)をコードする核酸配列および/またはRNAポリメラーゼ認識配列を含み得る。さらに、ベクター構築物はまた、選択可能なマーカーをコードする核酸配列をさらに含み得る。本明細書に記載のRNAベクター構築物のいずれかは、必ずしも生物学的に活性なαウイルス非構造タンパク質をコードし得ない。さらに、本明細書に記載のベクター構築物のいずれかは、2種以上のαウイルスに由来する配列を含み得る。
【0012】
別の局面において、本発明は、核酸分子に作動可能に連結された5’プロモーターを含むαウイルスベクター構築物を含み、この核酸分子は、本明細書に記載のRNAベクターに対し、相補的なDNAである。特定の実施形態において、ベクター構築物はさらに、転写終結を制御する3’配列を含み得る。5’プロモーターは、原核生物のプロモーターまたは真核生物のプロモーターであり得る。
【0013】
なお別の局面において、本発明は、本明細書に記載のαウイルスベクター構築物のいずれかを含む細胞を含む。
【0014】
なお別の局面において、本発明は、宿主細胞と1つ以上の本明細書に記載のαウイルスベクターとを含む、αウイルスパッケージング細胞株を含む。
【0015】
なおさらなる局面において、本発明は、感染性かつ不完全な(複製に欠陥のある)αウイルス粒子を産生するためのヘルパー細胞を含み、この細胞は、αウイルスレプリコンベクターとレプリコンベクターに存在しないαウイルスの構造タンパク質をコードする1つ以上の個別の発現カセット(例えば、ヘルパー構築物)とを、αウイルス許容性細胞中に含む。上記の個別のヘルパー構築物のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載の改変された5’増幅配列を含む。そしてさらに、レプリコンベクターと個別の構造タンパク質発現カセット(例えば、ヘルパーベクター)との組み合わせた発現は、1つ以上の異種配列を含む構築されたαウイルス粒子を産生し、このαウイルス粒子は、細胞に感染し得、かつウイルス複製を完結し得ない。特定の実施形態において、ヘルパー細胞は、2つの個別の構造タンパク質発現カセット構築物(例えば、ヘルパー構築物)を含み、ここで第一の構造タンパク質発現カセットまたはヘルパー構築物はαウイルスキャプシドタンパク質をコードし、第二の構造タンパク質発現カセットまたはヘルパー構築物はαウイルス糖タンパク質をコードする。1つ以上の個別の構造タンパク質発現カセットまたはヘルパー構築物は、改変された5’増幅配列を含み得る。好ましくは、ヘルパー細胞は、αウイルスレプリコンベクターと1つ以上の個別の構造タンパク質発現カセットヘルパー構築物とによってトランスフェクトされる。
【0016】
別の局面において、本発明は、感染性かつ不完全な(複製に欠陥のある)αウイルス粒子を作製する方法を包含し、この方法は:(a)本明細書に記載されるヘルパー細胞を提供する工程;(b)このヘルパー細胞内でαウイルス粒子を産生させる工程;そして(c)このヘルパー細胞から産生されたαウイルス粒子を収集する工程を包含する。
【0017】
別の局面において、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかにしたがって産生された、感染性かつ複製に欠陥のあるαウイルス粒子を含む組成物を含み、この組成物は、検出可能な複製能のあるαウイルス粒子を含まない。
【0018】
なお別の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中に、本明細書に記載の方法のいずれかによって産生された、感染性かつ複製に欠陥のあるαウイルス粒子を含む薬学的処方物を含む。
【0019】
なおさらなる局面において、本発明は、本明細書に記載の改変された5’増幅配列のいずれかを作製する方法を含み、この方法は、(a)公知の5’増幅配列とウイルスパッケージングシグナルを含む配列との間の配列相同性の領域を決定する工程;および(b)ウイルスパッケージングシグナルを含む配列への相同性が減らされるが、増幅機能は維持されるように、公知の5’増幅配列の一次配列を改変し、それによって改変された5’増幅配列を作製する工程を包含する。特定の実施形態において、公知の5’増幅配列は、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルスの5’末端、αウイルス由来ではないウイルス配列および細胞RNA由来の配列からなる群から選択される。
【0020】
本発明のこれらの局面および実施形態ならびに他の局面および実施形態は、以下の詳細な説明および本明細書に示され、特定の手順または組成物(例えば、プラスミド、配列など)をより詳細に記載する種々の参考文献への参照により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(詳細な説明)
組成物およびαウイルス粒子(レプリコン粒子)を生成するための方法が、本明細書に記載される。特に、改変された5’増幅配列が記載される。この改変された5’増幅配列は、αウイルス構造タンパク質構築物(例えば、ヘルパー構築物)およびパッケージング細胞株などにおける使用を見出される。
【0022】
その他に示されない限り、本発明の実施は、当該分野の技術の範囲内の、化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬物学の従来方法を使用する。このような技術は、文献に十分に説明される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan,編、Academic Press,Inc.);およびHandbook of Experimental Immunology,Vols.I〜IV(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell,編、1986、Blackwell Scientific Publications);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.編、CRC Press,1997);Short Protocols in Molecular Biology,第4版(Ausubelら編、1999、John Wiley & Sons);Molecular Biology Techniques:An Intensive Laboratory Course(Reamら編、1998,Academic Press);PCR(Introduction to Biotechniques Series),第2版(NewtonおよびGraham編、1997、Springer Verlag);PetersおよびDalrymple,Fields Virology(第2版),Fieldsら(編),B.N.Raven Press,New York,NY.を参照のこと。
【0023】
本明細書に引用される、全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的についてそれら全体が参考として、本明細書に援用される。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がその他を明確に指示しない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「配列」への言及は、2つ以上のこのような配列を含む。
【0025】
(定義)
本発明を示すより前に、以後使用される特定の用語の定義が示される。
【0026】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」分子としては、原核生物のRNA配列またはDNA配列、真核生物のmRNAまたは他のRNA、真核生物のmRNAまたは他のRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)のDNA由来のゲノムDNA配列、合成DNA配列または合成RNA配列、上記のDNAのいずれかから転写されたRNAおよび上記の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。この用語はまた、任意の公知のDNAおよびRNAの塩基アナログを含む配列、ならびに天然の配列への改変(例えば、欠失、付加および(一般的に天然において保存的な)置換)を含む配列も捕捉する。これらの改変は、部位特異的突然変異誘発を介して意図され得るか、または偶発的であり得る。ポリヌクレオチドの改変は、多数の影響(例えば、宿主細胞におけるポリペプチド産物の発現を促進することが挙げられる)を有し得る。ポリヌクレオチドとしては、二本鎖配列および一本鎖配列の両方が挙げられ得る。ポリヌクレオチドは、ウイルス由来のcDNA、原核生物のmRNAまたは真核生物のmRNA、ウイルス(例えば、RNAウイルスおよびDNAウイルスならびにレトロウイルス)または原核生物のDNA由来のゲノムRNA配列およびゲノムDNA配列、ならびに合成DNA配列または合成RNA配列をいうが、これらに限定されない。この用語はまた、任意の公知のDNAおよびRNAの塩基アナログを含む配列も捕捉する。
【0027】
「単離された核酸分子」または「単離されたポリヌクレオチド」は、それが通常関連する完全な生物から独立かつ分離した、あらゆるポリヌクレオチド、および/または、その元の環境(例えば、それが天然に存在する場合、天然の環境)から離された、あらゆるポリヌクレオチドをいう。例えば、天然に存在するポリヌクレオチドは単離されないが、天然の系に同時に存在する物質のいくつかまたは全てから独立した同一のポリヌクレオチドが単離される。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得、および/または、このようなポリヌクレオチドは、組成物の一部であり得る。このようなポリヌクレオチドは、ベクターまたは組成物が、それらの天然の環境の一部ではない場合に、なお単離される。単離された核酸分子の例は、生物のゲノムDNAに一体化されていない核酸分子、またはウイルスの場合、完全なウイルスゲノムおよび化学合成された核酸分子から分離される核酸分子、または組換え技術(例えば、PCR)により生成される核酸分子である。
【0028】
「サブゲノムの(subgenomic)RNA」は、それが由来するゲノムRNAよりも短い長さまたは小さいサイズのRNA分子をいう。サブゲノムのRNAは、内部プロモーター(この配列はゲノムRNAまたはその相補体内に存在する)から転写される。好ましい実施形態において、サブゲノムのRNAは、αウイルスベクター構築物、RNAベクターレプリコンまたは不完全なヘルパー構築物から産生され、1つ以上のαウイルス構造タンパク質または他の目的の異種配列をコードする。一般的に、サブゲノムのRNAは、5’末端非翻訳領域および3’末端非翻訳領域ならびにタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む、代表的なmRNAに類似する。
【0029】
本明細書で使用される場合、句「ベクター構築物」は、一般的に、目的の核酸配列または遺伝子の発現を誘導し得る、あらゆるアセンブリをいう。ベクター構築物は、代表的に、転写プロモーター/エンハンサーもしくは遺伝子座を規定する(locus defining)エレメントまたは、他の手段(例えば、可変(alternate)スプライシング、核内RNAの搬出、メッセンジャーの翻訳後の改変またはタンパク質の転写後の改変)により遺伝子発現を制御する他のエレメントを含む。さらに、ベクター構築物は、代表的に、転写される場合に、目的の配列または遺伝子に作動可能に連結され、翻訳開始配列として作用する配列を含む。例えば、ベクターは、合成を開始する1つ以上の5’プロモーター配列(例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼプロモーター)を含み得、これらとしては、原核生物および真核生物の両方に由来するプロモーター(例えば、細菌のβ−ガラクトシダーゼプロモーターおよびtrpEプロモーター、ならびに真核生物のウイルスのシミアンウイルス40(SV40)(例えば、初期または後期)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、即時初期)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)プロモーターまたはラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーターおよび単純疱疹ウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーター)が挙げられる。ベクター構築物はまた、必要に応じて、ポリアデニル化を誘導するシグナル、選択可能なマーカー、ならびに1つ以上の制限部位および翻訳終止配列を含み得る。ベクター構築物の例としては、RNAベクター構築物のcDNA相補体を含むELVISベクター、RNAベクター構築物それ自身、αウイルスベクター構築物およびCMVベクター構築物などが挙げられる。
【0030】
「αウイルスベクター構築物」は、目的の配列または遺伝子の発現を誘導し得るアセンブリをいう。このようなベクター構築物は、αウイルスRNAの転写を開始し得る5’配列(αウイルスRNAの転写を開始し得る、保存された5’ヌクレオチド配列エレメント(CSE)または5’シス複製配列とも呼ばれる)、および発現される場合に、生物学的に活性なαウイルスの非構造タンパク質(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードする配列、αウイルスRNAポリメラーゼ認識配列(3’CSEまたは3’シス複製配列とも呼ばれる)、そして必要に応じて、ポリアデニル化トラクト(polyadenylate tract)から構成される。さらに、ベクター構築物は、ウイルスのサブゲノムの「接合領域」プロモーター、1つ以上の構造タンパク質遺伝子またはその一部由来の配列、ウイルス様粒子(例えば、レプリコン粒子)の産生を可能にするのに十分なサイズの外来の核酸分子、インビトロまたはインビボ(例えば、真核生物の細胞内)でcDNAからのウイルスRNAの合成を開始し得る5’プロモーター、発現されるべき異種配列、および異種配列の挿入のための1つ以上の制限部位を含み得る。
【0031】
「αウイルスRNAレプリコンベクター」、「RNAレプリコンベクター」、「レプリコンベクター」または「レプリコン」は、標的細胞内で、インビボでのそれ自身の増幅または自己複製を誘導し得るRNA分子をいう。それ自身の増幅を誘導するために、RNA分子は、RNA増幅を触媒するのに必要な酵素(例えば、αウイルス非構造タンパク質nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードすべきであり、このコードされる酵素により認識および利用される、複製のために必要なシスRNA配列も含むべきである。αウイルスRNAベクターレプリコンは、以下の調整されたエレメントを含むべきである:非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる5’ウイルス性配列または5’細胞配列(5’CSEまたは5’シス複製配列、または複製のためにシスで必要とされる5’ウイルス配列、またはαウイルスの転写を開始し得る5’配列とも呼ばれる)、発現される場合に、生物学的に活性なαウイルス非構造タンパク質(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードする配列、および非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる3’ウイルス配列または3’細胞配列(3’CSE、または複製のためにシスで必要とされる3’ウイルス配列、またはαウイルスRNAポリメラーゼ認識配列とも呼ばれる)。αウイルスRNAベクターレプリコンは、例えば、特定の実施形態において、サブゲノムのフラグメントのウイルスの転写を増大もしくは減少させるためにか、または不完全なヘルパーもしくは構造タンパク質発現カセットとの相同性を減らすために改変され得るIRESあるいはウイルス(例えば、αウイルス)サブゲノムのプロモーター(例えば、接合領域プロモーター)のような、1つ以上の異種配列を発現するための手段と、発現されるべき1つ以上の異種配列とを含み得る。レプリコンはまた、さらなる配列(例えば、1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の異種配列(例えば、タンパク質をコードする遺伝子または3’近位の遺伝子)および/またはポリアデニル化トラクト)も含み得る。レプリコンは、αウイルス構造タンパク質(キャプシド、E1、E2)の全てをコードする配列を含むべきではない。レプリコンベクターにより発現され得る異種配列の非限定的な例は、例えば、米国特許第6,015,686号(その全体が、本明細書において参考として援用される)に記載され、これらの例は、例えば、抗原、リンホカイン、サイトカインなどを含む。
【0032】
「パッケージングシグナル」または「パッケージング配列」は、ウイルス粒子(ビリオン)へヌクレオチド(例えば、ゲノムDNAまたはRNA)を取り込むことに関与するシス作用性配列をいう。多くのウイルス由来のパッケージングシグナルが記載されている。例えば、Youil R.ら(2003)Human gene therapy 14(10):1017〜1034;Beasley BEら(2002)J.of Virology 76(10):4950〜4960;Watanabe Tら(2003)J.of Virology 77(19):10575〜10583を参照のこと。
【0033】
「組換えαウイルス粒子」または「レプリコン粒子」は、αウイルスRNAベクターレプリコンを含むビリオン様構造単位をいう。一般的に、組換えαウイルス粒子は、1つ以上のαウイルス構造タンパク質、脂質膜およびRNAベクターレプリコンを含む。好ましくは、組換えαウイルス粒子は、宿主細胞由来の脂質二重層(例えば、原形質膜)内に含まれるヌクレオキャプシド構造を含み、この構造に、αウイルスにコードされるエンベロープ糖タンパク質が包埋される。この粒子はまた、このαウイルスが由来する粒子の親和性を誘導する、他の構成要素(例えば、標的化するエレメント、他のウイルス構造タンパク質または他のレセプター結合リガンド)を含み得る。
【0034】
「αウイルス構造タンパク質発現カセット」は、1つ以上のαウイルス構造タンパク質を発現しうるベクター構築物をいう。αウイルス構造タンパク質発現カセットは、RNA増幅または複製が可能な「不完全なヘルパー構築物」であり得、そしてトランスで供給される生物学的に活性なαウイルス非構造タンパク質に応答して、1つ以上のαウイルス構造タンパク質を発現し得る。不完全なヘルパー構築物は、代表的に、以下の調整されたエレメントを含む:5’増幅配列または5’シス複製配列、ウイルスのサブゲノムの接合領域プロモーター、発現される場合に、1つ以上の生物学的に活性なαウイルス構造タンパク質(例えば、C、E3、E2、6K、E1)をコードする配列、3’増幅配列または3’シス複製配列およびポリアデニル化トラクト。不完全なヘルパー構築物はまた、インビトロまたはインビボ(例えば、真核生物の細胞)でcDNAからのウイルスRNAの合成を開始し得る5’プロモーター、転写終結を制御する3’配列、スプライス認識(splice recognition)配列、触媒リボザイムプロセシング(catalytic ribozyme processing)配列、選択可能なマーカーをコードする配列および/または核外移行シグナル(nuclear export signal)を含み得る。不完全なヘルパー構築物は、4種全ての機能性αウイルス非構造タンパク質をコードすべきではない。
【0035】
用語「非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる5’ウイルス性配列または5’細胞配列」および「非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる5’配列」および「増幅配列」および「5’増幅配列」および「5’CSE」および「複製のためにシスで必要とされる5’ウイルス配列」および「αウイルスの転写を開始し得る5’配列」は、ウイルスまたはウイルス由来のベクターがポジティブ鎖RNAを合成する認識部位を提供する機能性エレメントをいうために交換可能に使用される。それゆえ、これは、このウイルスまたはベクター内に含まれる実際の配列の相補体であり得、マイナス鎖RNAコピーの3’末端に一致し得る。そして、これは、非構造タンパク質レプリカーゼ複合体と、おそらくさらなる宿主細胞因子とにより結合され、これから、ポジティブ鎖RNAの転写が開始される。広範な種類の配列が、増幅配列として利用されており、これらとしては、例えば、αウイルス5’末端非翻訳領域(NTR)および、例えば、αウイルスゲノムのヌクレオチド210、ヌクレオチド250、ヌクレオチド300、ヌクレオチド350、ヌクレオチド400またはヌクレオチド450までの配列のような他の隣接する配列が挙げられる。あるいは、例えば、シンドビス(SIN)ベクターの場合に、tRNAアスパラギン(tRNAasp)のためのαウイルスではないヌクレオチド10〜75が使用された(Schlesingerら、米国特許第5,091,309号)。
【0036】
本明細書で使用される、用語「5’改変された増幅配列」は、先に定義される増幅配列を含むヌクレオチド(RNAまたはDNA)分子をいい、この改変された配列が、パッケージングシグナルとしては不完全だが、それらの増幅(複製)機能性は維持するように、公知の増幅シグナルと比較して、それらの一次構造(配列)が改変(例えば、置換、付加、欠失)されている。例えば、改変された増幅配列は、一次配列レベルにおいて、パッケージングシグナルに対し低い相同性を含み得る一方で、その二次構造は元の増幅配列のものを維持する。改変された増幅配列は、さらに、二次構造および/またはシス作用性増幅能力が維持される限り、さらなる配列を含み得る。
【0037】
用語「3’近位の遺伝子」は、レプリコンベクター、真核生物用層状のベクター開始システム、不完全なヘルパーRNAまたは構造タンパク質発現カセット内に含まれ、かつ別のエレメントに関して特定の位置内に配置される、タンパク質をコードするヌクレオチド配列をいう。この3’近位の遺伝子の位置は、非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる3’配列(先に定義される)に関して決定されねばならず、この3’近位の遺伝子は、このエレメントの5’(上流)かつ直前の、タンパク質をコードする配列である。
【0038】
用語「ウイルス性サブゲノムのプロモーター」は、必要とされるウイルスポリメラーゼおよび細胞ポリメラーゼならびに他の因子とともにゲノム長未満のRNA分子の転写を可能にする、ウイルス起源の配列をいう。αウイルス(αウイルス性)サブゲノムのプロモーターまたはαウイルス(αウイルス性)サブゲノムの接合領域プロモーターについて、この配列は、一般的に、非構造タンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)と構造タンパク質のオープンリーディングフレームとの間の領域から得られ、通常、サブゲノムのmRNAの転写を制御する。代表的に、αウイルスサブゲノムのプロモーターは、大半のプロモーター関連活性を提供するコア配列、およびプロモーター関連活性をさらに増強する隣接領域(例えば、伸長されたプロモーターまたは天然のプロモーター)からなる。サブゲノムのプロモーターは、ウイルスまたはベクター内に含まれる実際の配列の相補体であり得、これは、マイナス鎖RNAコピー内の領域に一致し得、ポジティブ鎖サブゲノムのmRNAの転写開始を促進し得る。例えば、αウイルス基本型である、シンドビスウイルスの場合に、通常のサブゲノムの接合領域プロモーターは、代表的に、おおよそヌクレオチド番号7579から始まり、少なくともヌクレオチド番号7612まで続く(そしておそらく、それを越えて続く)。最小でも、ヌクレオチド7579〜ヌクレオチド7602は、サブゲノムのフラグメントの転写のために必要なコア配列として働くと考えられる。
【0039】
用語「非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる3’ウイルス性配列または3’細胞性配列」または「非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる3’配列」は、複製のためにシスで必要とされる、用語3’CSEもしくは3’シス複製配列もしくは3’ウイルス性配列、またはαウイルスRNAポリメラーゼ認識配列と交換可能に使用される。この配列は、ウイルスまたはウイルス由来のベクターが負のRNA鎖の合成による複製(増幅)を開始する認識部位を提供する、機能性エレメントである。広範な種類の配列が、この機能のために利用され得る。例えば、この配列は、完全なαウイルス3’末端非翻訳領域(NTR)を含み得、例えば、SINについては、ヌクレオチド11,647〜ヌクレオチド11,703を含み得る領域、または、依然として認識配列としての機能を維持する3’NTRの短縮された領域(例えば、ヌクレオチド11,684〜ヌクレオチド11,703)であり得る。例えば、米国特許第6,329,210号を参照のこと。この文脈で利用され得る配列の他の例としては、αウイルスではない配列または負鎖RNA合成の開始を可能にする類似の機能性を維持する他の配列(例えば、Georgeら(2000)J.Virol.74:9776−9785に記載の配列)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「安定な形質転換」は、生細胞への核酸分子の導入、かつ細胞分裂の連続的なサイクルを通しての子孫細胞におけるこの核酸分子の長期間の維持または恒久的な維持をいう。核酸分子は、あらゆる細胞構成要素(核、ミトコンドリアまたは細胞質が挙げられるが、これらに限定されない)内に維持され得る。好ましい実施形態において、核酸分子は、核内に維持される。維持は、エピソーム事象のように染色体内(一体化され得る)であり得るか、または染色体外であり得る。
【0041】
「αウイルスパッケージング細胞株」は、αウイルス構造タンパク質発現カセットを含み、αウイルスベクター構築物、RNAベクターレプリコン、真核生物用層状のベクター開始システム(例えば、米国特許第5,814,482号)または組換えαウイルス粒子の導入後に、組換えαウイルス粒子を産生する細胞をいう。この親細胞は、哺乳動物起源であり得るか、または哺乳動物起源ではなくあり得る。好ましい実施形態内において、パッケージング細胞株は、構造タンパク質発現カセットにより安定に形質転換される。
【0042】
「作動可能に連結された」は、記載される構成要素がそれらの通常の機能を実行するように構成される、エレメントの配置をいう。コード配列に作動可能に連結された所定のプロモーターは、適切な酵素が存在する場合にコード配列の発現をもたらし得る。プロモーターは、それがコード配列の発現を誘導するように機能する限り、必ずしもコード配列と隣接する必要はない。それゆえ、例えば、介在性の翻訳されないが転写される配列がプロモーター配列とコード配列との間に存在し得ても、プロモーター配列は、依然としてコード配列に「作動可能に連結された」とみなされ得る。
【0043】
2つ以上のポリヌクレオチド配列は、それらの「パーセント同一性」を決定することにより比較され得る。同様に、2つ以上のアミノ酸配列は、それらの「パーセント同一性」を決定することにより比較され得る。2つの配列のパーセント同一性は、核酸配列であろうとペプチド配列であろうと、一般的に、2つの整列された配列間の正確な一致の数(短い方の配列の長さによって割り、100を乗じた数)として記載される。核酸配列のためのおおよそのアラインメントは、SmithおよびWaterman、Advances in Applied Mathematics 2:482〜489(1981)の局所的な相同性アルゴリズムにより提供される。このアルゴリズムは、Dayhoff、Atlas of Protein Sequences and Structure、M.O. Dayhoff編、5 suppl.3:353〜358、National Biomedical Research Foundation、Washington,D.C.、USAにより開発され、Gribskov、Nucl.Acids Res.14(6):6745〜6763(1986)により正規化されたスコア付けマトリックスを使用するペプチド配列における使用に拡大され得る。核酸配列およびペプチド配列に対するこのアルゴリズムの実行は、そのBestFitユーティリティアプリケーションにおいて、Genetics Computer Group(Madison、WI)により提供される。この方法のための初期設定のパラメータは、Wisconsin Sequence Analysis Package Program Manual、Version 8(1995)(Genetics Computer Group、Madison、WIから利用可能)に記載される。配列間のパーセント同一性またはパーセント類似性を計算するための、他の同等に適切なプログラムは、一般的に当該分野において公知である。
【0044】
例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列のパーセント同一性は、初期設定のスコア付けテーブル(scoring table)および6ヌクレオチド位置のギャップペナルティを用いるSmithおよびWatermanの相同性アルゴリズムを使用して決定され得る。本発明の文脈においてパーセント同一性を確立する別の方法は、the University of Edinburghが著作権を有し、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokにより開発され、そしてIntelliGenetics,Inc.(Mountain View、CA)により頒布されるプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。このパッケージの一式から、初期設定のパラメータがスコア付けテーブル(例えば、12のギャップオープンペナルティ、1のギャップ伸長ペナルティおよび6のギャップ)について使用される場合に、Smith−Watermanアルゴリズムが利用され得る。生成されたデータから、「一致」の値は「配列同一性」を反映する。配列間のパーセント同一性またはパーセント類似性を計算するための、他の適切なプログラムは、一般的に当該分野において公知である(例えば、初期設定のパラメータを用いても使用され得る、アラインメントプログラムBLAST)。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下の初期設定のパラメータを用いて使用され得る:genetic code=standard;filter=none;strand=both;cutoff=60;expect=10;Matrix=BLOSUM62;Descriptions=50 sequences;sort by=HIGH SCORE;Databases=non−redundant,GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレスに見出され得る:http://www.ncbi.nlm.gov/cgi−bin/BLAST。
【0045】
当業者は、上記のプログラムにおいて、所定の配列のために使用する適切な探索パラメータを容易に決定し得る。例えば、探索パラメータは、当該の配列のサイズに基づいて変動し得る。したがって、例えば、本発明の代表的な実施形態は、X個隣接するヌクレオチドを有する、単離されたポリヌクレオチドを含み得、ここで、(i)X個隣接するヌクレオチドは、本明細書に記載の配列のいずれかに由来するY個隣接するヌクレオチドに対して少なくとも50%の同一性を有し、(ii)XはYと等しく、そして(iii)Xは、6ヌクレオチド以上かつ5000ヌクレオチドまでであり、好ましくは8ヌクレオチド以上かつ5000ヌクレオチドまでであり、より好ましくは10〜12ヌクレオチドかつ5000ヌクレオチドまでであり、そしてさらにより好ましくは15〜20ヌクレオチド、本明細書に記載の全長配列(例えば、配列表および特許請求の範囲を参照のこと)に存在するヌクレオチドの数までであり、上記の範囲内の全ての整数値を含む。
【0046】
2つの核酸フラグメントは、本明細書に記載されるように「選択的にハイブリダイズする」とみなされる。2つの核酸分子の間の配列同一性の程度は、このような分子間のハイブリダイゼーション事象の効率および強度に影響を与える。部分的に一致する核酸配列は、完全に一致する配列が標的分子へハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する。完全に一致する配列のハイブリダイゼーションの阻害は、当該分野において周知のハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、サザンブロット、ノザンブロットまたは溶液ハイブリダイゼーションなど、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor、N.Y.を参照のこと)を使用して評価され得る。このようなアッセイは、選択性の変動する程度(例えば、低ストリンジェンシーから高ストリンジェンシーに変化する条件を使用すること)を使用して実施され得る。低ストリンジェンシーの条件が利用される場合、非特異的な結合が存在しないことは、配列同一性の部分的な程度さえも欠く二次プローブ(例えば、標的分子との約30%未満の配列同一性を有するプローブ)を使用して評価され得、その結果、非特異的な結合事象が存在しない場合において、この二次プローブは、標的にハイブリダイズしない。
【0047】
ハイブリダイゼーションベースの検出システムを利用する場合、標的核酸配列に相補的な核酸プローブが選ばれ、次に、適切な条件の選択により、プローブと標的とは互いに「選択的にハイブリダイズする」か、または結合し、ハイブリッド分子を形成する。「中程度のストリンジェント」下で標的配列に選択的にハイブリダイズし得る核酸分子は、代表的に、選択された核酸プローブの配列と少なくとも約70%の配列同一性を有する、少なくとも約10〜14ヌクレオチド長の標的核酸配列の検出を可能にする条件下で、ハイブリダイズする。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、代表的に、選択された核酸プローブの配列と約90%〜95%より高い配列同一性を有する、少なくとも約10〜14ヌクレオチド長の標的核酸配列の検出を可能にする。プローブと標的とが配列同一性の特定の程度を有するプローブ/標的ハイブリダイゼーションのために有用なハイブリダイゼーション条件は、当該分野において公知であるように決定され得る(例えば、Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach、編者B.D.HamesおよびS.J.Higgins(1985)Oxford;Washington,DC;IRL Pressを参照のこと)。
【0048】
ハイブリダイゼーションのためのストリンジェンシー条件に関して、多くの同等の条件が、例えば、以下の因子を変更することにより特定のストリンジェンシーを確立するために利用され得ることが当該分野において周知である:プローブと標的配列との長さおよび性質、種々の配列の塩基組成、塩および他のハイブリダイゼーション溶液成分の濃度、ハイブリダイゼーション溶液中のブロッキング剤の存在または不在(例えば、ホルムアミド、硫酸デキストランおよびポリエチレングリコール)、ハイブリダイゼーション反応温度パラメータおよびハイブリダイゼーション反応時間パラメータ、ならびに洗浄条件を変更すること。ハイブリダイゼーション条件の特定の設定の選択は、当該分野において標準的な方法に従って選択される(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor、N.Y.を参照のこと)。
【0049】
用語「二次構造」は、ポリヌクレオチドの立体配座(二次構造または三次構造)をいう。例えば、一本鎖RNA分子は、一般的に、二次構造(ヘアピン構造およびステム−アンド−ループ構造など)をとる。任意の所定のポリヌクレオチドの二次構造は、多くのアルゴリズム(例えば、Zuckerら「Algorithms and thermodynamics for RNA secondary structure prediction:a practical guide」(インターネット上で利用可能)に記載されるRNA二次構造予測およびDNA二次構造予測のためのmfoldパッケージ)を使用して、その一次配列から予測され得る。
【0050】
用語「に由来する」は、分子(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド)のαウイルス性供給源を同定するために使用される。第一のポリヌクレオチドが、第二のポリヌクレオチド、そのcDNA、その相補体の領域と同一の塩基対配列もしくは実質的に同一な塩基対配列を有する場合、第一のポリヌクレオチドが先に記載される配列同一性を示す場合、または第一のポリヌクレオチドが第二のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと同一のポリペプチドもしくは実質的に同一なポリペプチドをコードする場合、第一のポリヌクレオチドは第二のポリヌクレオチド「に由来する」。したがって、ポリヌクレオチドが、(i)特定のαウイルス配列の少なくとも一部と同一の配列もしくは実質的に同一な配列を有する場合、または(ii)先に記載されるαウイルスのポリペプチドのいずれかに対し、配列同一性(例えば、50%より高いパーセント同一性(先に記載される))示すポリペプチドをコードする場合に、ポリヌクレオチドは特定のαウイルス(例えば、種)「に由来する」。したがって、本明細書に記載の配列は、1種以上のαウイルス(SIN、VEE、SFVなど)に由来し得、それは、本明細書に提供される開示を考慮して、天然に存在する供給源または受託者(例えば、American Type Culture Collection、Rockville、Maryland)から容易に取得され得る。適切なαウイルスの代表的な例は、より詳細に米国特許第5,843,723号およびPCT公開番号WO 97/38087に記載される。
【0051】
代表的な「制御エレメント」としては、転写プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写終結シグナル、ポリアデニル化配列(翻訳終止コドンに対して3’に配置される)、翻訳開始の最適化のための配列(コード配列に対して5’に配置される)、翻訳終止配列、非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる5’配列、非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる3’配列および1つ以上の異種配列を発現させる手段(例えば、サブゲノムの接合領域プロモーター)(例えば、McCaughanら(1995)PNAS USA 92:5431〜5435;Kochetovら(1998)FEBS Letts.440:351〜355を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
「真核生物用層状のベクター開始システム」は、目的の配列または遺伝子の発現を誘導し得るアセンブリを含むポリヌクレオチドをいう。真核生物用層状のベクター開始システムは、cDNAからのRNAの合成をインビボ(すなわち、真核生物の細胞内)で開始し得る5’プロモーター、および、真核生物の細胞内でそれ自身の複製を誘導し得、かつまた異種配列を発現し得る核酸ベクター配列(例えば、ウイルス性ベクター)を含むべきである。好ましくは、核酸ベクター配列は、αウイルス由来の配列であり、これは、非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる5’ウイルス性配列または5’細胞配列(5’CSEまたは5’シス複製配列または複製のためにシスで必要とされる5’ウイルス性配列またはαウイルスの転写を開始し得る5’配列とも呼ばれる)、ならびに発現される場合に、生物学的に活性なαウイルス非構造タンパク質(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードする配列、および、非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる3’ウイルス性配列または3’細胞配列(3’CSEまたは複製のためにシスで必要とされる3’ウイルス性配列またはαウイルスRNAポリメラーゼ認識配列とも呼ばれる)からなる。さらに、ベクター配列は、例えば、特定の実施形態において、サブゲノムのフラグメントのウイルス性の転写を防止、増大もしくは減少させるためにか、あるいは不完全なヘルパーまたは構造タンパク質発現カセットとの相同性を減らすために改変され得るウイルス性(例えば、αウイルス性)サブゲノムのプロモーター(例えば、接合領域プロモーター)のような異種配列を発現するための手段、および発現されるべき1つ以上の異種配列を含み得る。好ましくは、異種配列はタンパク質をコードする遺伝子を含み、この遺伝子はベクター配列内の3’近位の遺伝子である。真核生物用層状のベクター開始システムはまた、ポリアデニル化配列、スプライス認識配列、触媒リボザイムプロセシング配列、核外移行シグナルおよび転写終結配列を含み得る。好ましくは、真核生物用層状のベクター開始システムは、全てのαウイルス構造タンパク質(キャプシド、E2およびE1)をコードする配列を含む。「ハイブリッド」ELVISは、2種以上のαウイルスに由来するポリヌクレオチド配列を含むアセンブリをいう。
【0053】
以下でより詳細に議論されるように、本発明は、αウイルス構築物における使用のために適切な配列;これらの配列を含む構築物;パッケージング細胞株;組換えαウイルス粒子をパッケージングする方法;ベクターのパッケージングの間、同時パッケージングを抑制する方法を含むが、これらに限定されない。
【0054】
(一般的な概要)
本発明は、αウイルスベースの粒子の生成における使用のための改変された5’増幅配列、構造タンパク質発現カセットにおける使用のために操作された特定の配列に関する。本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、αウイルスレプリコン粒子の生成の間の、同時パッケージング事象を減らし、それゆえ、パッケージング細胞株における使用およびαウイルスレプリコン粒子を生成する方法を見出される。
【0055】
現在、αウイルスレプリコン粒子は、代表的に、粒子形成のために必要とされる種々のエレメントを分割する複数の構築物系を使用して生成される。異なる構築物へのこれらのエレメントの分割は、野生型の感染性ウイルスを生成する危険を減らす。この系は、代表的にレプリコンベクターとパッケージングのために必要とされる構造タンパク質(例えば、キャプシド、糖タンパク質)をコードする1つ以上の構造タンパク質発現カセット(例えば、不完全なヘルパー構築物)とを含み、このレプリコンベクターは、その自己細胞内複製のために必要なエレメント(例えば、非構造タンパク質をコードする配列)を含むが、子孫粒子の産生のために必要なエレメント(例えば、構造タンパク質コード配列)を欠く。レプリコン構築物および不完全なヘルパー構築物は、DNAベースおよび/またはRNAベースであり得る。例えば、Poloら(1999)Proc.Nat’l Acad.Sci USA 96:4598〜4603;米国特許第6,465,634号;同第6,426,196号;同第6,376,236号;同第6,342,372号;同第6,015,686号;および同第5,843,723号を参照のこと。
【0056】
図1に示されるように、2つの不完全なヘルパー構築物が、レプリコンRNAのパッケージングのための構造遺伝子を提供するために使用され得る。複製能のあるウイルス(RCV)を生成する危険が低減されるので、2つの個別の不完全なヘルパーの使用が好ましくあり得る。例えば、米国特許第6,426,196号を参照のこと。ヘルパー構築物は、トランスで産生される非構造タンパク質によるそれ自身の増幅のため、および構造タンパク質遺伝子の発現のために必要なシスエレメントを含むが、αウイルス非構造タンパク質遺伝子を欠く。レプリコン粒子へのヘルパーの同時パッケージングを減らすために、シス作用性αウイルスパッケージングシグナルはまた、代表的にヘルパー構築物から欠失される。同時パッケージングは、1つ以上のヘルパーRNAを含むがレプリコンRNA構築物は含まない粒子(「不全型」粒子とも呼ばれる)の生成、およびレプリコン配列に加えて1つ以上のヘルパー配列を含む粒子の生成をいう。同時パッケージングの両方の形態が望ましくない。特に、不全型粒子の存在は、レプリコン粒子の感染性を妨害し得、粒子感染の効率を有効に減少し得る。同様に、レプリコンとヘルパー配列との同時パッケージングは、未処置の細胞の感染に際して新規粒子の産生をもたらし得、これらの粒子は、むしろ複製能のあるウイルス(RCV)に近くふるまい得、ウイルスの望ましくない影響を含み得る。
【0057】
複製に関与する種々のシスエレメント(すなわち、5’増幅配列)は、不完全なヘルパー構築物に取り込まれ得、これらとしては、例えば、同種のウイルス由来の天然(野生型)αウイルス5’配列、異種ウイルス由来の天然αウイルス5’配列、同種のウイルス由来の非天然の不完全干渉(DI)αウイルス5’配列、異種ウイルス由来の非天然DIαウイルス5’配列、αウイルス由来ではないウイルス配列(例えば、トガウイルス、植物ウイルス)および細胞RNA由来の配列(例えば、tRNAエレメント)が挙げられる(例えば、Monroeら、PNAS 80:3279〜3283、1983;Niestersら、J.Virol.64:4162〜4168、1990;Niestersら、J.Virol.64:1639〜1647、1990;Tsiangら、(1988)J Virol.62(1):47〜53)。
【0058】
これらの5’増幅配列は複製を媒介するように働き得るが、5’増幅配列(tRNAasp配列のような、αウイルス由来ではない配列が挙げられる)の各々もまた、望ましくない同時パッケージング効果を示し得る。例えば、Bredenbeekら、(1993)J.Virol 67:6439〜6446;Tsaingら(1985)J.Virol.54:38〜44を参照のこと。
【0059】
αウイルスレプリコン粒子への望ましくない配列のパッケージングを減らすか、またはなくす一方で、同時に、αウイルスベクターの有効な複製を可能にする組成物および方法が、本明細書に記載される。この点について、本発明者らは、αウイルスレプリコン粒子のパッケージングにおいて使用されるαウイルス構造タンパク質カセットに対する複製シグナルとして、代表的に使用される配列が、しばしば、パッケージングシグナルとして望ましくなく働き得る配列を含むことを発見した。具体的には、5’増幅配列の一次構造(配列)は、望ましくない同時パッケージング機能において役割を果たすが、望ましい複製(増幅)機能において役割を果たさず、このことは、主に同一の領域の二次構造に依存するようである(図4Aおよび図4B)。機能的な増幅配列の特徴である二次構造を維持するが、公知のパッケージングシグナルに対する一次配列の相同性をなくす分子を設計することにより、本発明は、有効かつ効率的に、αウイルスのパッケージングのために必要な構造タンパク質のヘルパー構築物の複製を達成し、かつヘルパー構築物の同時パッケージングを減らすか、またはなくす新規組成物および新規方法を可能にする。さらに、本明細書に記載の改変された5’増幅配列を含むヘルパー構築物は、レプリコン粒子を産生し、このレプリコン粒子は、tRNA含有配列を含むヘルパー構築物により産生されたものよりも強力な感染性を有する(図6)。
【0060】
(改変された5’増幅配列)
本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、機能的な増幅配列であるが、本質的にパッケージングシグナルとして働き得ない配列である。したがって、本明細書に記載の改変された5’増幅配列の特定の配列は、それらが本質的にパッケージングシグナルとして働き得ずかつ増幅(複製)シグナルとして機能的である限り、大幅に変更され得る。
【0061】
本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、代表的に10ヌクレオチド長〜150ヌクレオチド長(または、それらの間の任意の長さ)、より好ましくは約30ヌクレオチド長〜100ヌクレオチド長(または、それらの間の任意の長さ)、さらにより好ましくは約40ヌクレオチド長〜80ヌクレオチド長(または、それらの間の任意の長さ)である。
【0062】
一般的に、改変された5’配列の作製は、ポリヌクレオチドの配列分析と構造分析との両方を伴う。代表的に、このプロセスは、公知のパッケージングシグナルに対して、公知の5’増幅配列(例えば、tRNAasp)の一次配列を比較することにより始める。本明細書に記載のシス作用性5’増幅配列、多くの供給源(例えば、任意のウイルス由来の天然αウイルス5’配列、異種ウイルス由来の天然αウイルス5’末端、同種のウイルス由来の非天然DIαウイルス5’末端、異種ウイルス由来の非天然DIαウイルス5’末端、αウイルス由来ではないウイルス配列(例えば、トガウイルス、植物ウイルス)および細胞RNA由来の配列(例えば、tRNAエレメント))に由来し得る(例えば、Monroeら、PNAS 80:3279〜3283、1983;Niestersら、J.Virol.64:4162〜4168、1990;Niestersら、J.Virol.64:1639〜1647、1990)。これらの配列および他の機能的な5’増幅配列の配列およびパッケージングシグナルは、公知であり、多くのデータベースにおいて公に利用可能である。
【0063】
したがって、所定の二次構造を有する改変された5’増幅配列を得るプロセスは、公知の5’増幅配列の分析により開始され得る。パッケージングシグナルとして機能する5’増幅配列内の配列は、任意の適切な手段(例えば、相同性の高い領域を決定するための、公知のパッケージングシグナルとのアラインメント)により同定され得る。例えば、図2に示されるように、公知のtRNA−asp配列のヌクレオチド37〜ヌクレオチド58(Monroeら(1983)Proc.Nat’l Acad.Sci USA 80:3279〜3282)は、シンドビス(SIN)(GenBank登録番号NC 001547、Straussら(1984)Virol 133:92〜110)のヌクレオチド1029〜ヌクレオチド1050(これらのヌクレオチドは、パッケージングに関与することが公知である)に対し、有意な相同性(>80%)を示す。本発明の局面を例示する目的のためだけに野生型SINが使用され、あらゆるパッケージングシグナル配列が、比較のために選択され得ることが理解されるべきである。
【0064】
一度同定されると、パッケージングシグナルは、任意の適切な手段(例えば、公知のパッケージングシグナルに対する相同性を減らすように、5’増幅シグナルの一次配列を変更すること(実施例1))により不完全にされ得る。配列は、その一次配列がパッケージングシグナルとして機能しないように、1つ以上のヌクレオチドの突然変異誘発、置換、挿入および/または欠失によって変更され得る。
【0065】
改変されていない配列と改変された配列との間の一次配列レベルにおける相同性の程度は、そのパッケージングシグナルが不完全である限り、大幅に変動し得る。例えば、推定パッケージングシグナルとして同定された領域において、公知のパッケージングシグナルの同一の長さの領域に対して、好ましくは約90%と99%との間の相同性または約90%と95%との間の相同性、より好ましくは約90%未満の相同性、より好ましくは80%未満の相同性、そしてさらにより好ましくは70%未満の相同性であるが、改変された配列と改変されていない配列ととの間の一次配列レベルにおける相同性は、99%ほどでもあり得る。例えば、図3に示されるように、例示的な改変された5’増幅配列(配列番号4〜16)は、野生型SINパッケージングシグナルに対して相同性を示したtRNA−aspの領域を改変することによって生成された。その結果、この領域における相同性は、大幅に減少される(例えば、全ての場合において80%より大きいから70%未満へ、いくつかの場合において40%未満へ(例えば、配列番号4、11、14および15))。図3の配列はDNA配列として示されるが、RNAベースのベクターにおける使用のために、この配列は対応するRNA残基により置換される(すなわち、TはUにより置換される)ことが明らかである。
【0066】
一次配列への改変は、好ましくは、このポリヌクレオチドの二次構造が改変されていない5’増幅配列に実質的に類似したままにするようになされる。先に記載されるように、一本鎖核酸分子(例えば、RNA)は、一般的に、二次構造(ヘアピン構造およびステム−アンド−ループ構造など)をとる。任意の所定の核酸配列の二次構造を予測するための技術は、容易に利用可能であり、そして例えば、Zuckerら「Algorithms and Thermodynamics for RNA secondary structure prediction:a practical guide」およびMackeら(2001)Nucleic Acids Res 29(22):4724〜4735に記載される。
【0067】
したがって、突然変異は、推定パッケージングシグナル配列に導入され、異なる一次配列を有するが、公知の5’増幅配列の二次構造(例えば、図4Aに示されるtRNAaspの二次構造)を有する配列を生成する。
【0068】
あるいは、本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、公知の増幅配列に類似する二次構造を有するように生成された合成配列であり得る。
【0069】
それゆえ、本明細書に記載の改変された5’増幅配列はシス作用性5’増幅配列の特徴を有する二次構造を形成するが、おそらく、その一次構造レベルにおける公知のパッケージングシグナルに対する相同性の減少に起因して、これらは、パッケージングシグナルとして不完全である。
【0070】
特定の実施形態において、本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、パッケージングシグナルの外側の領域におけるさらなる改変を含む。本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、不完全なヘルパー構築物およびパッケージング細胞株などの生成において使用され得る。
【0071】
(構造タンパク質カセットのさらなる構成要素(例えば、ヘルパー構築物))
特定の局面において、本明細書に記載の改変された5’増幅配列は、構造タンパク質カセットまたは不完全なヘルパー構築物の一部を形成する。したがって、改変された5’増幅配列に加えて、本明細書に記載のヘルパー構築物は、代表的に種々の核酸配列(コード配列および非コード領域の両方)を含む。本明細書に記載の組成物が、一般的に、単一のポリヌクレオチドで不完全なαウイルスゲノム(例えば、αウイルスのゲノムに含まれる、全てではないコード配列および/または非コード配列)を含むことが明らかである。
【0072】
本明細書に記載の改変された5’増幅配列を含むヘルパー構築物はまた、代表的に、種々のαウイルスポリペプチド(例えば、1つ以上のαウイルス構造ポリペプチド(例えば、キャプシド、エンベロープ糖タンパク質)をコードする1つ以上の配列を含む。αウイルスレプリコンまたはベクターポリヌクレオチド構成要素を囲む(そしていくつかの場合において、これらと相互作用する)構造タンパク質は、キャプシドおよびエンベロープ糖タンパク質の両方を含む。例えば、Straussら(1994)Microbiol.Rev.58:491〜562を参照のこと。大半の場合において、ポリヌクレオチド構成要素は、ヌクレオキャプシドを形成するキャプシドタンパク質により囲まれる。今度は、そのヌクレオキャプシドタンパク質は、エンベロープタンパク質を含む脂質エンベロープにより囲まれる。キャプシドタンパク質は、αウイルス構造ポリタンパク質のN末端タンパク質であり、そしてポリタンパク質からのプロセシングに続いて、パッケージングシグナルおよび他のキャプシドタンパク質モノマーを含むαウイルスRNAと相互作用して、ヌクレオキャプシド構造を形成する。αウイルスエンベロープ糖タンパク質(例えば、E2、E1)は、覆われた粒子から表面「スパイク」のように突出し、これは、レセプター結合に機能的に関与し、標的細胞へ侵入する。
【0073】
さらなる配列は、コード配列または非コード配列であり得る。非コード配列の非限定的な例としては、以下が挙げられる:3’近位遺伝子を発現するための手段(プロモーターなどのような制御エレメント(例えば、同種のウイルス由来の天然αウイルスサブゲノムのプロモーター、異種ウイルス由来の天然αウイルスサブゲノムのプロモーター、コアαウイルスサブゲノムのプロモーター(同種または異種)、コアサブゲノムのプロモーターから上流または下流の最小配列、コアサブゲノムのプロモーターまたは天然サブゲノムのプロモーターの突然変異/欠失/付加、αウイルス由来ではない適合性のサブゲノムのプロモーター(例えば、植物ウイルス)、内部リボソーム結合部位(internal ribosome entry site)(IRES)および/またはリボソームリードスルー(ribosomal readthrough)エレメント(例えば、BiP));サブゲノムのmRNA5’末端非翻訳領域(サブゲノムの5’NTR)、非構造タンパク質媒介性の増幅のために必要とされる1つ以上のさらなる5’配列または3’配列(米国特許第5,843,723号;同第6,015,694号;同第5,814,482号;PCT公開WO97/38087;WO00/61772)、3’近位遺伝子(例えば、異種配列、ポリペプチドコード配列)。Kuhnら(1990)J.Virol.64:1465〜1476;ならびに/あるいはポリアデニル化配列(例えば、3’配列内の、例えば、Georgeら(2000)J.Virol.74:9776〜9785を参照のこと)もまた参照のこと。
【0074】
本明細書に記載のヘルパー構築物において使用されるコード配列および非コード配列は、1種以上のαウイルスおよび/またはαウイルスではない供給源(例えば、αウイルス、トガウイルス、植物ウイルス)に由来する配列を含み得る。ポリタンパク質の長さにおけるわずかな差異に主に起因して、一般的にヌクレオチド番号付けおよびアミノ酸番号付けは、αウイルスの間で幾分異なるが、異なるαウイルス由来の間でのアラインメントは、他のαウイルス中の類似の領域を同定するための手段を提供する(Kinneyら(1989)Virology 170:19〜30およびStraussら(1984)Virol 133:92〜110において、任意の他のαウイルスゲノムが整列され得る、11,703ヌクレオチド長の例示的な野生型SINゲノムについての代表的なアラインメントを参照のこと)。特定の実施形態において、ヘルパー構築物は、αウイルス属の2種またはメンバー由来の配列を含む。本明細書に記載の特定のαウイルス配列は、共有される国際公開WO 02/099035(この開示は、その全体について参考として本明細書において援用される)においてさらに詳細に記載される。
【0075】
さらに、1つ以上のヘルパー構築物配列は、野生型と比較して1つ以上の改変を含み得る。αウイルスコード配列への改変としては、例えば、1種以上のαウイルスおよび/または他のウイルス(例えば、αウイルス、他のトガウイルス、植物ウイルス)由来の配列を含むハイブリッド非構造タンパク質のように、全体または一部における、ヌクレオチド突然変異、欠失、付加または配列置換が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0076】
(αウイルスパッケージング細胞株)
本発明のさらなる実施形態内で、αウイルスパッケージング細胞株が提供される。特に、本発明の一局面内で、αウイルスパッケージング細胞株が提供され、ここで、1つ以上の本明細書に記載の改変された5’増幅配列を保持する1つ以上の発現ベクター(好ましくは、安定的に一定化される)からトランスで供給されるαウイルス構造タンパク質は、細胞質内で、トランスフェクト、形質導入または細胞内で産生されたベクターRNA転写物をキャプシド形成(encapsidate)し得、細胞膜を通して感染性のパッケージングされたレプリコンベクター粒子を放出し得、それによりαウイルスベクター産生(パッケージング)細胞株(PCL)を生成し得る。
【0077】
例えば、αウイルスパッケージング細胞株が提供され、ここで、ウイルス性構造タンパク質は、本明細書に記載の1つ以上の安定的に形質転換された発現ベクター(構造タンパク質発現カセット)(例えば、改変された5’増幅配列を含む)からトランスで供給され、細胞質内で、トランスフェクト、形質導入または細胞内で産生されたベクターRNA転写物をキャプシド形成し得、細胞膜を通して感染性のパッケージングされたレプリコンベクター粒子を放出し得る。特定の実施形態において、パッケージングのために必要な構造タンパク質は、RNAベクターレプリコンそれ自身による誘導またはいくつかの他に提供される刺激の後にのみ、高いレベルで合成され、そしてこれらの構造タンパク質をコードする転写物は、天然のウイルス性感染の細胞質増幅を模倣するのに十分な発現レベルを許容する様式で、細胞質増幅を可能にする。さらに、他の実施形態において、選択可能なマーカーの発現は、構造タンパク質発現カセットに作動可能に連結される。このように連結された選択可能なマーカーは、機能的かつ安定的に形質転換されたPCLの有効な生成を可能にする。
【0078】
例えば、パッケージングされるべき所望の表現型のαウイルスRNAベクターレプリコン分子(それら自身で、細胞の細胞質内での自触反応複製を可能にする)(例えば、このレプリコンは、許容性細胞内での複製のために必要とされる全てのエレメント(シスおよびトランス)を含む)は、インビトロで転写されたRNA、組換えαウイルス粒子またはαウイルスcDNAベクター構築物として、パッケージング細胞へ導入され得る。したがって、RNAベクターレプリコン分子は、高いレベルまで複製し、構造タンパク質遺伝子転写物の増幅およびそれに続く構造タンパク質の発現を刺激し、そして続いて、これらは、ウイルス性構造タンパク質によりパッケージングされ、感染性のベクター粒子をもたらす。上記の特定のレベルでのαウイルスタンパク質および/またはベクターRNAの細胞内発現は、パッケージング細胞株または産生側細胞株における細胞毒性効果をもたらし得る。したがって、本発明の特定の実施形態内で、これらのエレメントは、それらの発現される構造タンパク質の細胞毒性の軽減、宿主の高分子合成の阻害の軽減および/または持続性の感染を確立する能力について選択されるウイルス改変体に由来すべきことが望ましくあり得る。
【0079】
ベクターパッケージング細胞株の性能および最終的なベクター力価を最適化するために、米国特許第6,391,632号(その全体が、本明細書において、参考として援用される)に詳細に記載されるように、遺伝子移入およびベクターのパッケージングの連続的なサイクルが実行され得る。同様に、PCLは、米国特許第6,391,632号(その全体が、本明細書において、参考として援用される)に詳細に記載されるように、安定的に一体化されるか、またはエピソームに維持されるDNA発現ベクターを使用して産生され得る。
【0080】
パッケージング細胞の細胞質内で複製し得るαウイルスRNAベクター分子は、例えば、インビトロで、機能的な非構造タンパク質を含むαウイルスレプリコンベクター内の目的の遺伝子をコードするcDNAベクタークローンを転写するためのSP6 RNAポリメラーゼ系を利用して、最初は産生され得る。したがって、ベクターRNA転写物は、αウイルスパッケージング細胞株にトランスフェクトされ、その結果、ベクターRNAは、高いレベルまで複製し、そして続いて、これらは、ウイルス性構造タンパク質によりパッケージングされ、感染性のレプリコンベクター粒子をもたらす。
【0081】
他の実施形態内で、PCLは、米国特許第5,789,245号(その全体が、本明細書において、参考として援用される)に記載されるように、シュード型に分類される(pseudotyped)αウイルスベクター粒子を使用して産生され得る。米国特許第5,789,245号はまた、PCLになされ得るさらなる改変(例えば、改変により、パッケージングのために必要な構造タンパク質が、RNAベクターそれ自身による誘導またはいくつかの他の刺激の後にのみ合成される、改変)も記載する。
【0082】
当該分野において公知の種々の異なる細胞(例えば、哺乳動物細胞、鳥類細胞、バキュロウイルス、細菌および酵母細胞)は、本発明の実施において使用され得る。昆虫細胞発現系(例えば、バキュロウイルス)は当業者に公知であり、そして例えば、SummersおよびSmith、Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、特に、Invitrogen、San Diego CAからキットの形態で市販されている。鳥類細胞発現系もまた当業者に公知であり、そして例えば、米国特許第5,340,740号;同第5,656,479号;同第5,830,510号;同第6,114,168号;および同第6,500,668号;欧州特許第EP 0787180B号;欧州特許出願第EP03291813.8号;WO 03/043415;およびWO 03/076601に記載される。同様に、細菌および哺乳動物細胞発現系もまた当業者に公知であり、そして例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら編、1989)Butterworths、Londonに記載される。
【0083】
上記の系による使用のための多くの適切な宿主細胞もまた公知である。例えば、哺乳動物細胞株が当該分野において公知であり、それらとしては、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株(以下のものに限定されないが、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、仔ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(例えば、Hep G2)、Madin−Darbyウシ腎臓(「MDBK」)細胞)およびその他のものが挙げられる。細胞の哺乳動物の供給源としては、ヒトまたは非ヒト霊長類(例えば、例えばWO 01/38362とWO 02/40665(それらの全体が、本明細書において、参考として援用される)とに記載され、かつECACC受託番号96022940のもとで受託されたPERC.6細胞)、MRC−5(ATCC CCL−171)、WI−38(ATCC CCL−75)、アカゲザル胎児肺細胞(ATCC CL−160)、ヒト胎児由来腎臓細胞(代表的に、剪断された(sheared)アデノウイルス5型DNAにより形質転換された293細胞)、サル腎臓由来のVERO細胞)、ウマ、ウシ(例えば、MDBK細胞)ヒツジ、イヌ(例えば、WO 97/37001に記載される、イヌ腎臓由来のMDCK細胞、ATCC CCL34 MDCK(NBL2)またはMDCK 33016、受託番号DSM ACC 2219)、ネコおよびげっ歯類(例えば、BHK21−F、HKCC細胞のようなハムスター細胞またはチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞))が挙げられるが、これらに限定されない。そして、これらの供給源は、広範な種類の発生段階(例えば、成体、新生児、胎児および胚が挙げられる)から取得され得る。
【0084】
細胞の鳥類の供給源としては、ニワトリ細胞(例えば、ニワトリ胚性幹細胞(例えば、EBx(登録商標)細胞)、ニワトリ胚性線維芽細胞、ニワトリ胚性生殖細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、細菌宿主(例えば、E.coli、Bacillus subtilisおよびStreptococcus spp.)は、上記発現構築物による使用を見出される。本発明において有用な酵母宿主としては、特に、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenual polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolyticaが挙げられる。バキュロウイルス発現ベクターによる使用のための昆虫細胞としては、特に、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperdaおよびTrichoplusia niが挙げられる。
【0085】
(組換えαウイルス粒子をパッケージングする方法)
本発明により提供されるように、組換えαウイルスベクター粒子(レプリコン粒子)の生成(パッケージング)は、例えば、レプリコンベクターと、インビトロで転写されたRNAまたはプラスミドDNAに由来する構造タンパク質発現カセット、相補するベクターおよび不完全なヘルパー(DH)分子との同時トランスフェクションによってか、あるいはウイルスによる同時感染によって容易に達成され得る(Bredenbeekら、J.Virol.67:6439〜6446、1993、Dubenskyら、J.Virol 70:508〜519、1996ならびに米国特許第5,814,482号、同第5,739,026号、同第5,766,602号、同第5,789,245号および同第5,792,462号(それらの全体が、本明細書において、参考として援用される)を参照のこと)。αウイルスベクターのパッケージングのための組成物および方法はまた、米国特許第6,329,201号および同第6,242,259号(それらの全体が、本明細書において、参考として援用される)に記載される。
【0086】
あるいは、ベクター粒子は、先に記載される安定的なαウイルスパッケージング細胞株へのベクターRNAの導入によって生成され得る。簡潔に述べると、このようなPCLおよびその安定的に形質転換された構造タンパク質発現カセットは、米国特許第5,789,245号内に本質的に記載される方法を使用して(特に、本明細書に記載の改変された5’増幅配列を含む構築物を使用して)取得され得る。例えば、PCLによる組換えαウイルスベクター粒子の産生は、PCLへのαウイルスベースのベクター分子(インビトロで転写されたRNAまたはプラスミドDNAに由来するベクターまたは先に取得された組換えαウイルス粒子)の導入、ベクター粒子のパッケージングに必要な条件下、かつそれに必要な時間、PCLをインキュベートする工程、およびパッケージングされたベクター粒子を収集する工程に従って達成され得る。本明細書に提供される詳細な実施例に示されるように、このようなアプローチにおける、有効なベクターのパッケージングのための本発明の新規の5’増幅配列の利用は、容易に達成される。
【0087】
同時パッケージングは、未処理の培養細胞(例えば、パッケージング細胞ではない細胞)におけるレプリコン粒子の連続継代によってアッセイされ得る。同時パッケージングによらないレプリコン粒子は、未処理の細胞に感染した後、新規の子孫レプリコン粒子を産生しないが、同時パッケージングを伴うレプリコン粒子は、新規のレプリコン粒子を連続的に産生する。顕微鏡下においても、レプリコンを含む同時パッケージングは、隣接する細胞からの粒子の直接伝播に起因する細胞変性効果(CPE)の病巣様のパターンを生成し得る。同時パッケージングはまた、レプリコン粒子による未処理の細胞の感染、そして感染細胞において、1つ以上のαウイルス構造タンパク質の発現について試験すること(例えば、ウェスタンブロット)により決定され得る。
【0088】
(異種配列)
上記のように、本明細書に記載される改変された5’増幅配列(およびこれらの配列を含む構築物)は、広範囲の用途に使用され得る。例えば、改変された5’増幅配列は、αウイルスレプリコン粒子を産生するためのヘルパー構築物において使用され得る。このレプリコン粒子は、広範囲の異種配列(例えば、リンフォカインまたはサイトカイン、トキシン、および酵素を変換するプロドラッグのような緩和剤をコードする配列、免疫応答を刺激する抗原をコードする配列、リボザイムまたはアンチセンス配列、増殖因子または制御因子のような治療用途のためのタンパク質をコードする配列、および免疫応答を補助または阻害するタンパク質をコードする配列)を含み得る。
【0089】
好ましくは、ヌクレオチド配列は、生存可能なベクター粒子を効果的に産生させ得るのに十分なサイズであるべきである。本発明の文脈内で、適切な感受性の単層での任意の測定可能な力価(例えば、発現の転写アッセイ、力価測定(titering)細胞株アッセイ、レポーターアッセイ、またはプラークアッセイによる)の組換えαウイルス粒子の産生は、「生存可能なベクター粒子の産生」と考えられる。これは、最小の場合、任意のさらなる異種配列を含まないαウイルスベクター構築物であり得る。しかしながら、他の実施形態内で、ベクター構築物は、さらなる異種配列または外来配列を含み得る。好ましい実施形態内で、異種配列は、少なくとも約100塩基、2kb、3.5kb、5kb、7kbの異種配列、または少なくとも約8kbの異種配列でさえ含み得る。上記の異種配列は、種々の供給源(例えば、American Type Culture Collection(ATCC,Rockville,Md.)のような受託機関を含む)、またはBritish Bio−Technology Limited(Cowley,Oxford,England)のような市販の供給源から容易に得られ得る。あるいは、上記の異種配列をコードするcDNA配列は、当該分野において公知の標準的な手順を利用して、その配列を発現するか、または含む細胞から得られ得る。さらに、異種配列はまた、例えば、Applied Biosystems,Inc.DNAシンセサイザーで合成され得る。
【0090】
適切な異種配列の代表的な例は、より詳細に米国特許第5,843,723号に議論されている。
【0091】
免疫原性タンパク質をコードする異種配列の非限定的な例としては、以下に記載する1種以上由来のタンパク質が挙げられる:
細菌性抗原(例えば、N.meningitides):N.meningitides血清群A、C、W135、Yおよび/またはB由来のタンパク質抗原(1〜7);N.meningitides血清群B由来の外膜小胞(OMV)調製物(8、9、10、11);糖類抗原(N.meningitides血清群A、B、C、W135および/またはY由来のLPS(例えば、血清群C由来のオリゴ糖)が挙げられる)(PCT/US99/09346;PCT IB98/01665;およびPCT IB99/00103を参照のこと);Streptococcus pneumoniae:糖類またはタンパク質抗原、特に、Streptooccus pneumoniae由来の糖類;Streptococcus agalactiae:特に、B群連鎖球菌抗原;Streptococcus pyogenes:特に、A群連鎖球菌抗原;Enterococcus faecalisまたはEnterococcus faecium(特に、三糖類繰返しまたは米国特許第6,756,361号に提供される抗原由来の他のEnterococcus);Helicobacter pylori:Cag、Vac、Nap、HopX、HopYおよび/またはウレアーゼ抗原が挙げられる;Bordetella pertussis:例えば、B.pertussis由来の百日咳ホロトキシン(PT)および線維状赤血球凝集素(FHA)、必要に応じてまた、ペルタクチンならびに/または凝集原2および3抗原との組み合わせ;Staphylococcus aureus:必要に応じて、無毒性の組み換えPseudomonas aeruginosa菌体外毒素Aに結合されるS.aureus5型および8型莢膜多糖類(例えば、StaphVAXTM)、または表面タンパク質、インベーシン(ロイコチジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、食細胞の飲み込みを阻害する表面因子(莢膜、プロテインA)、カロチノイド、カタラーゼ産物、プロテインA、コアグラーゼ、凝固因子、および/もしくは真核細胞膜を溶解する膜を損傷する毒素(溶血素、ロイコトキシン、ロイコチジン)(必要に応じて無毒化される)由来の抗原が挙げられる;Staphylococcus epidermis:特に、S.epidermidis粘液関連抗原(SAA);Staphylococcus saprophyticus:特に、S.saprophyticus抗原の160kDa血球凝集素(尿路感染症を引き起こす);Pseudomonas aeruginosa:特に、内毒素A、Wzzタンパク質、P.aeruginosa LPS、より特には、PAO1から単離されたLPS(O5血清型)、および/または外膜タンパク質(外膜タンパク質F(OprF)が挙げられる)(Priceら(2001)Infec.Immun.69(5):3510〜3515);Bacillus anthracis(炭疽):例えば、A−成分(致死因子(LF)および水腫因子(EF))(その両方は、防御抗原(PA)として公知の共通のB−成分を共有し得る)由来のB.anthracis抗原(必要に応じて、無毒化される);Moraxella catarrhalis:(呼吸性)外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C−抗原、および/またはLPSが挙げられる;Yersinia pestis(ペスト):例えば、F1莢膜抗原(Grosveldら(2003)Infec.Immun.71(1):374〜383)、LPS(Fieldsら(1999)Infec.Immun.67(10):5395)、ペスト菌V抗原(Hillら(1997)Infec.Immun.65(11):4476〜4482);Yersinia enterocolitica(胃腸の病原体):特に、LPS(Xuら(2002)Infec.Immun.70(8):4414〜4420);Yersinia pseudotuberculosis:胃腸の病原体抗原;Mycobacterium tuberculosis:例えば、リポタンパク質、LPS、BCG抗原、抗原85B(Ag85B)の融合タンパク質および/または必要に応じて、陽イオン性脂質小胞中に処方されるESAT−6(Olsenら(2004)Infec.Immun.72(10):6148〜6150)、Mycobacterium tuberculosis(Mtb)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ関連抗原(Banerjeeら(2004)Proc.Nat’l Acad.Sci USA 101(34):12652〜12657)および/またはMPT51抗原(Suzukiら(2004)Infec.Immun.72(7):3829〜3837);Legionella pneumophila(レジオネラ症):必要に応じて、分裂したasd遺伝子を有する細胞株由来のL.pneumophila抗原(Harbら(1998)Infec.Immun.66(5):1898〜1903;Rickettsia:外膜タンパク質(外膜タンパク質Aおよび/またはB(OmpB)(Biochim Biophys Acta.2004年11月1日;1702(2):145)を含む)、LPS、および表面タンパク質抗原(SPA)が挙げられる(J Autoimmun.1989年6月2日、補遺:81);E.coli:腸毒素産生性E.coli(ETEC)、腸凝集性E.coli(EAggEC)、散在性に付着するE.coli(DAEC)、腸病原性E.coli(EPEC)、および/または腸出血性E.coli(EHEC)由来の抗原が挙げられる;Vibrio cholerae:プロテイナーゼ抗原、LPS、特に、コレラ菌IIのリポ多糖、O1 Inaba O−特異的多糖類、コレラ菌O139、IEM108ワクチンの抗原(Infect Immun.2003年10月;71(10):5498〜504)、および/または閉鎖帯毒素(Zot)が挙げられる;Salmonella typhi(腸チフス):好ましくは、莢膜多糖類結合体(Vi、すなわち、vax−TyVi)が挙げられる;Salmonella typhimurium(胃腸炎):それ由来の抗原は、微生物治療および癌治療(脈管形成阻害およびflkの調節が挙げられる)のために企図される;Listeria monocytogenes(免疫無防備状態または高齢者における全身(sytemic)感染、胎児の感染):好ましくは、L.monocytogenes由来の抗原は、本発明の結合体/関連組成物の細胞質内送達のためのキャリア/ベクターとして使用される;Porphyromonas gingivalis:特に、P.gingivalis外膜タンパク質(OMP);Tetanus:例えば、好ましくは、破傷風毒素(TT)抗原は、本発明の組成物との結合/結合体化におけるキャリアタンパク質として使用される;Diphtheria:例えば、ジフテリア毒素、好ましくは、CRM197、さらにADPリボシル化を調節、阻害または関連し得る抗原が、本発明の組成物との組み合わせ/同時投与/結合体のために企図され、好ましくは、ジフテリア毒素は、キャリアタンパク質として使用される;Borrelia burgdorferi(ライム病):例えば、P39およびp13に関連する抗原(完全な膜タンパク質、(Noppaら(2001)Infec.Immun.69(5):3323)、VlsE抗原性変化タンパク質(Lawrenzら、(1999)J Clin Microbiol.37(12):3997);Haemophilus influenzae B:例えば、それ由来の糖抗原;Klebsiella:例えば、OMP(OMP Aが挙げられる)、または必要に応じて、破傷風毒素に結合された多糖類;Neiserria gonorrhoeae:Por(またはポーリン(porin))タンパク質(例えば、PorB)(Zhuら、Vaccine(2004)22:660〜669を参照のこと)、転移結合タンパク質(例えば、TbpAおよびTbpB)(Priceら、Infection and Immunity(2004)71(1):277〜283を参照のこと)、不透明タンパク質(例えば、Opa)、還元修正タンパク質(reduction−modifiable protein)(Rmp)、および外膜小胞(OMV)調製物が挙げられる(Planteら、J Infectious Disease(2000)182:848〜855を参照のこと)、例えば、WO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、WO02/079243もまた参照のこと);Chlamydia pneumoniae:特に、C.pneumoniaeタンパク質抗原;Chlamydia trachomatis:血清型A、B、BaおよびC(失明の原因である、トラコーマ因子)、血清型L、LおよびL(性病性リンパ肉芽腫に関連する)、ならびに血清型D〜K由来の抗原が挙げられる;Treponema pallidum(Syphilis):特に、TmpA抗原;およびHaemophilus ducreyi(軟性下疳を引き起こす):外膜タンパク質(DsrA)が挙げられる。
【0092】
具体的に参照されない場合、本発明の細菌性抗原をコードするさらなる配列は、上記の任意の莢膜抗原、多糖類抗原またはタンパク質抗原であり得る。さらなる細菌性抗原としてはまた、外膜小胞(OMV)調製物が挙げられ得る。さらに、抗原としては、生存している型、弱毒化された型、分裂した型、および/または精製された型の任意の上述の細菌が挙げられる。本発明の抗原由来の細菌または微生物は、グラム陰性またはグラム陽性および好気性または嫌気性であり得る。
【0093】
さらに、任意の上述の細菌由来の糖類(多糖類、LPS、LOSまたはオリゴ糖)は、別の因子または抗原(例えば、キャリアタンパク質(例えば、CRM197))に結合され得る。このような結合は、米国特許第5,360,897号およびCan J Biochem Cell Biol.1984年5月;62(5):270〜5に提供されるように、糖類上のカルボニル部分の還元的アミノ化によってもたらされる、タンパク質上のアミノ基への直接的な結合であり得る。あるいは、糖類は、リンカー(例えば、コハク酸アミドを有する)またはBioconjugate Techniques、1996およびCRC、Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking、1993に提供される他の結合を介して結合され得る。
【0094】
異種配列はまた、例えば、以下の1種以上のウイルス抗原をコードし得る:Influenzae:完全なウイルス粒子(減弱化された)、分裂、または血球凝集素(HA)および/もしくはノイラミニダーゼ(NA)表面タンパク質を含むサブユニットが挙げられ、インフルエンザ抗原は、ニワトリ胚由来であり得るか、または細胞培養で増殖され得、そして/またはインフルエンザ抗原は、特にインフルエンザA型、B型、および/もしくはC型由来である;Respiratory syncytial virus(RSV):RSVのA2株のFタンパク質(J Gen Virol.2004年11月;85(Pt11):3229)および/またはG糖タンパク質が挙げられる;Parainfluenzae virus(PIV):好ましくは、血球凝集素、ノイラミニダーゼおよび/または融合糖タンパク質を含むPIV1型、2型および3型が挙げられる;Poliovirus:ピコルナウイルス科のファミリー由来の抗原、好ましくは、ポリオウイルス抗原(例えば、OPVまたは好ましくはIPV)が挙げられる;Measles:必要に応じて、プロトリン(Protollin)およびまたはMMRワクチン中に存在する抗原と組み合わされる分裂麻疹ウイルス(MV)抗原が挙げられる;Mumps:MMRワクチンに存在する抗原が挙げられる;Rubella:MMRワクチンに存在する抗原、およびトガウイルス科(デング熱ウイルスが挙げられる)由来の他の抗原が挙げられる;Rabies:例えば、凍結乾燥した不活性化ウイルス(RabAvertTM);Flaviviridae viruses:例えば、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、デング熱ウイルス(1型、2型、3型または4型)、ダニ媒介脳炎ウイルス、および西ナイルウイルス(およびそれら由来の抗原);Caliciviridae;それ由来の抗原;HIV:HIV−1株またはHIV−2株の抗原(例えば、gag(p24gagおよびp55gag)、env(gp160およびgp41)、pol、tat、nef、rev vpu、ミニタンパク質(好ましくは、p55gagおよびgp140vを取り除く))および単離されたHIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235、HIV−1US4、HIV−2由来の抗原が挙げられる;数ある中でもサル免疫不全ウイルス(SIV);Rotavirus:VP4タンパク質、VP5タンパク質、VP6タンパク質、VP7タンパク質、VP8タンパク質(Protein Expr Purif.2004年12月;38(2):205)および/またはNSP4が挙げられる;Pestivirus:例えば、古典的ブタ熱ウイルス、牛ウイルス性下痢症ウイルス、および/またはボーダー病ウイルス由来の抗原;Parvovirus:例えば、パルボウイルスB19;Coronavirus:SARSウイルス抗原、特にスパイクタンパク質またはそれら由来のプロテアーゼ、およびWO04/92360に含まれる抗原が挙げられる;Hepatitis A virus:例えば、不活性化ウイルス;Hepatitis B virus:例えば、表面および/またはコア抗原(sAg)、ならびにプレ表面(presurface)配列、pre−S1およびpre−S2(以前はpre−Sと呼ばれた)、ならびに上記の組み合わせ(例えば、sAg/pre−S1、sAg/pre−S2、sAg/pre−S1/pre−S2、およびpre−S1/pre−S2)(例えば、「HBV Vaccines−Human Vaccines and Vaccination」、pp.159〜176;および米国特許第4,722,840号、同第5,098,704号、同第5,324,513号;Beamesら、J.Virol.(1995)69:6833〜6838、Birnbaumら、J.Virol.(1990)64:3319〜3330;およびZhouら、J.Virol.(1991)65:5457−5464を参照のこと);Hepatitis C virus:例えば、E1、E2、E1/E2(Houghtonら、Hepatology(1991)14:381を参照のこと)、NS345ポリタンパク質、NS345−コアポリタンパク質、コア、および/または非構造領域由来のペプチド(国際公開番号WO89/04669;WO90/11089;およびWO90/14436);Delta hepatitis virus(HDV):それら由来の抗原、特にHDV由来のδ−抗原(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと);Hepatitis E virus(HEV);それら由来の抗原;Hepatitis G virus(HGV);それら由来の抗原;Varcicella zoster virus:水疱瘡ウイルス(VZV)由来の抗原(J.Gen.Virol.(1986)67:1759);Epstein−Barr virus:EBV由来の抗原(Baerら、Nature(1984)310:207);Cytomegalovirus:CMV抗原(gbおよびgH)が挙げられる(Cytomegaloviruses(J.K.McDougall編、Springer−Verlag 1990)pp.125〜169);Herpes simplex virus:HSV−1株またはHSV−2株由来の抗原ならびに糖タンパク質gB、gDおよびgHが挙げられる(McGeochら、J.Gen.Virol.(1988)69:1531および米国特許第5,171,568号);Human Herpes Virus:他のヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV6およびHHV7)由来の抗原;ならびにHPV:ヒト乳頭腫ウイルス属(HPV)(例えば、1つ以上のE1〜E7、L1、L2およびそれらの融合物)に関連するか、それら由来の抗原が挙げられ、特に、本発明の組成物は、L1主要キャプシドタンパク質を含むウイルス様粒子(VLP)を含み得、より特にはさらに、HPV抗原は、1種以上のHPV血清型6、11、16および/または18に対して防御性がある。
【0095】
さらに、Vaccines、第4版(PlotkinおよびOrenstein編、2004);Medical Microbiology、第4版(Murrayら編、2002);Virology、第3版(W.K.Joklik編、1988);Fundamental Virology、第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編、1991)に含まれる抗原、組成物、方法および微生物が提供され、それらは、本発明の組成物と併せて企図される。
【0096】
さらに、異種配列は、以下の1種以上の真菌抗原をコードし得る:Trichophyton mentagrophytesによって引き起こされるトリコピトシス(trichopytosis)の予防および処置について米国特許第4,229,434号および同第4,368,191号;動物(例えば、モルモット、ネコ、ウサギ、ウマおよび子ヒツジ)における皮膚糸状菌感染の予防のための広範囲の皮膚糸状菌ワクチン(これらの抗原は、必要に応じてアジュバントと組み合わされた有効量の死滅させられたT.equinum、T.mentagrophytes(var.granulare)、M.canisおよび/またはM.gypseumの懸濁液を含む)について米国特許第5,277,904号および同第5,284,652号;有効量のホモジナイズされて、ホルムアルデヒドで死滅させられた真菌類(すなわち、キャリア中のMicrosporum canis培養物)を含む白癬ワクチンについて米国特許第5,453,273号および同第6,132,733号;ピシウム感染症(pythiosis)のための細胞外タンパク質および細胞内タンパク質に関連する米国特許第5,948,413号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。抗真菌ワクチンに同定されたさらなる抗原としては、Ringvac bovis LTF−130およびBiovetaが挙げられる。
【0097】
さらに、本明細書中で使用するための真菌抗原は、皮膚糸状菌(Dermatophytres)(Epidermophyton floccusum、Microsporum audouini、Microsporum canis、Microsporum distorum、Microsporum equinum、Microsporum gypsum、Microsporum nanum、Trichophyton concentricum、Trichophyton equinum、Trichophyton gallinae、Trichophyton gypseum、Trichophyton megnini、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton quinckeanum、Trichophyton rubrum、Trichophyton schoenleini、Trichophyton tonsurans、Trichophyton verrucosum、T.verrucosum var.album、var.discoides、var.ochraceum、Trichophyton violaceum、および/またはTrichophyton faviformeが挙げられる)由来であり得る。
【0098】
本発明の組成物と併せる抗原または抗原の誘導として使用するための真菌病原体は、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、Aspergillus terreus、Aspergillus sydowi、Aspergillus flavatus、Aspergillus glaucus、Blastoschizomyces capitatus、Candida albicans、Candida enolase、Candida tropicalis、Candida glabrata、Candida krusei、Candida parapsilosis、Candida stellatoidea、Candida kusei、Candida parakwsei、Candida lusitaniae、Candida pseudotropicalis、Candida guilliermondi、Cladosporium carrionii、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatidis、Cryptococcus neoformans、Geotrichum clavatum、Histoplasma capsulatum、Klebsiella pneumoniae、Paracoccidioides brasiliensis、Pneumocystis carinii、Pythiumn insidiosum、Pityrosporum ovale、Sacharomyces cerevisae、Saccharomyces boulardii、Saccharomyces pombe、Scedosporium apiosperum、Sporothrix schenckii、Trichosporon beigelii、Toxoplasma gondii、Penicillium marneffei、Malassezia spp.、Fonsecaea spp.、Wangiella spp.、Sporothrix spp.、Basidiobolus spp.、Conidiobolus spp.、Rhizopus spp、Mucor spp、Absidia spp、Mortierella spp、Cunninghamella spp、およびSaksenaea sppを含む。
【0099】
抗原が由来する他の菌類としては、Alternaria spp、Curvularia spp、Helminthosporium spp、Fusarium spp、Aspergillus spp、Penicillium spp、Monolinia spp、Rhizoctonia spp、Paecilomyces spp、Pithomyces spp、およびCladosporium sppが挙げられる。
【0100】
本明細書中に記載されるような異種配列は、1種以上の腫瘍抗原または癌抗原(糖類含有腫瘍抗原(例えば、糖脂質腫瘍抗原またはガングリオシド腫瘍抗原)が挙げられるが、これらに限定されない)をコードし得る。多数の腫瘍抗原は、当該分野で公知であり、以下が挙げられる:(a)癌−精巣抗原(例えば、NY−ESO−1、SSX2、SCP1ならびにRAGE、BAGE、GAGEおよびMAGEファミリーポリペプチド(例えば、GAGE−1、GAGE−2、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6およびMAGE−12)(例えば、これらは、黒色腫、肺、頭部および頚部、NSCLC、乳房、胃腸、および膀胱の腫瘍を処置するために使用され得る))、(b)変異抗原(例えば、p53(種々の固形腫瘍(例えば、結腸直腸癌、肺癌、頭部および頚部の癌)に関連する)、p21/Ras(例えば、黒色腫、膵臓癌および結腸直腸癌に関連する)、CDK4(例えば、黒色腫に関連する)、MUM1(例えば、黒色腫に関連する)、カスパーゼ−8(例えば、頭部および頚部の癌に関連する)、CIA 0205(例えば、膀胱癌に関連する)、HLA−A2−R1701、βカテニン(例えば、黒色腫に関連する)、TCR(例えば、T細胞非ホジキンリンパ腫に関連する)、BCR−abl(例えば、慢性骨髄性白血病に関連する)、トリオースホスフェートイソメラーゼ、KIA 0205、CDC−27、およびLDLR−FUT)、(c)過剰発現抗原(例えば、Galectin4(例えば、結腸直腸癌に関連する)、Galectin9(例えば、ホジキン病に関連する)、プロテイナーゼ3(例えば、慢性骨髄性白血病に関連する)、WT1(例えば、種々の白血病に関連する)、カルボニックアンヒドラーゼ(例えば、腎臓癌に関連する)、アルドラーゼA(例えば、肺癌に関連する)、PRAME(例えば、黒色腫に関連する)、HER−2/neu(例えば、乳癌、結腸癌、肺癌および卵巣癌に関連する)、α−フェトプロテイン(例えば、肝臓癌に関連する)、KSA(例えば、結腸直腸癌に関連する)、ガストリン(例えば、膵臓癌および胃癌に関連する)、テロメラーゼ触媒タンパク質、MUC−1(例えば、乳癌および卵巣癌に関連する)、G−250(例えば、腎細胞癌に関連する)、p53(例えば、乳癌および結腸癌に関連する)、および癌胎児性抗原(例えば、乳癌、肺癌および結腸直腸癌のような胃腸管の癌に関連する))、(d)共有抗原(例えば、黒色腫−メラノサイト分化抗原(例えば、MART−1/Melan A)、gp100、MC1R、メラノサイト刺激ホルモンレセプター、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質−1/TRP1およびチロシナーゼ関連タンパク質−2/TRP2(例えば、黒色種に関連する))、(e)前立腺関連抗原(例えば、PAP、PSA、PSMA、PSH−P1、PSM−P1、PSM−P2(例えば、前立腺癌に関連する))、(f)免疫グロブリンイディオタイプ(例えば、骨髄腫およびB細胞リンパ腫に関連する)、および(g)他の腫瘍抗原(例えば、ポリペプチド含有抗原および糖類含有抗原((i)糖タンパク質(例えば、シアリルTnおよびシアリルLe(例えば、乳癌および結腸直腸癌に関連する)および種々のムチン);糖タンパク質は、キャリアタンパク質に結合され得る(例えば、MUC−1は、KLHに結合され得る);(ii)リポポリペプチド(例えば、MUC−1は、脂質部分に結合する);(iii)多糖類(例えば、Globo H合成ヘキササッカリド)(これは、キャリアタンパク質(例えば、KLH)に結合され得る);(iv)ガングリオシド(例えば、GM2、GM12、GD2、GD3(例えば、脳腫瘍、肺癌、黒色種に関連する))(これもまた、キャリアタンパク質(例えば、KLH)に結合され得る)が挙げられる)。
【0101】
当該分野で公知であるさらなる腫瘍抗原としては、p15、Hom/Mel−40、H−Ras、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタインバーウイルス抗原、EBNA、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原(E6およびE7が挙げられる)、B型肝炎ウイルス抗原およびC型肝炎ウイルス抗原、ヒトT細胞白血病ウイルス抗原、TSP−180、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、mn−23H1、TAG−72−4、CA19−9、CA72−4、CAM17.1、NuMa、K−ras、p16、TAGE、PSCA、CT7、43−9F、5T4、791Tgp72、β−HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15−3(CA27.29\BCAA)、CA195、CA242、CA−50、CAM43、CD68\KP1、CO−029、FGF−5、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90(Mac−2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPSなどが挙げられる。これらおよび他の細胞成分は、例えば、米国特許出願第20020007173号およびその中に引用される参考文献に記載されている。
【0102】
癌抗原または腫瘍抗原についてのさらなる情報は、例えば、Moingeon P、「Cancer vaccines」、Vaccine、2001、19:1305〜1326;Rosenberg SA、「Progress in human tumor immunology and immunotherapy」、Nature、2001、411:380〜384;Dermine,Sら、「Cancer Vaccines and Immunotherapy」、British Medical Bulletin、2002、62、149〜162;Espinoza−Delgado I.、「Cancer Vaccines」、The Oncologist、2002、7(補遺3):20〜33;Davis,I.D.ら、「Rational approaches to human cancer immunotherapy」、Journal of Leukocyte Biology、2003、23:3〜29;Van den Eynde Bら、「New tumor antigens recognized by Tcells」、Curr.Opin.Immunol.、1995、7:674〜81;Rosenberg SA、「Cancer vaccines based on the identification of genes encoding cancer regression antigens」、Immunol.Today、1997、18:175〜82;Offringa Rら、「Design and evaluation of antigen−specific vaccination strategies against cancer」、Current Opin.Immunol.、2000、2:576〜582;Rosenberg SA、「A new era for cancer immunotherapy based on the genes that encode cancer antigens」、Immunity、1999、10:281〜7;Sahin Uら、「Serological identification of human tumor antigens」、Curr.Opin.Immunol.、1997、9:709〜16;Old LJら、「New paths in human cancer serology」、J.Exp.Med.、1998、187:1163〜7;Chaux Pら、「Identification of MAGE−3 epitopes presented by HLA−DR molecules to CD4(+)T lymphocytes」、J.Exp.Med.、1999、189:767〜78;Gold Pら、「Specific carcinoembryonic antigens of the human digestive system」、J.Exp.Med.、1965、122:467〜8;Livingston POら、「Carbohydrate vaccines that induce antibodies against cancer」:Rationale、Cancer Immunol.Immunother.、1997、45:1〜6;Livingston POら、「Carbohydrate vaccines that induce antibodies against cancer:Previous experience and future plants」、Cancer Immunol.Immunother.、1997、45:10〜9;Taylor−Papadimitriou J、「Biology,biochemistry and immunology of carcinoma−associated mucins」、Immunol.Today、1997、18:105〜7;Zhao X−Jら、「GD2 oligosaccharide:target for cytotoxic T lymphocytes」、J.Exp.Med.、1995、182:67〜74;Theobald Mら、「Targeting p53 as a general tumor antigen」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1995、92:11993〜7;Gaudernack G、「T cell responses against mutant ras:a basis for novel cancer vaccines」、Immunotechnology、1996、2:3〜9;WO91/02062;米国特許第6,015,567号;WO01/08636;WO96/30514;米国特許第5,846,538号;および米国特許第5,869,445号に見出され得る。
【0103】
(処方物)
本明細書中に記載されるこれらの分子を使用して、生成される配列、ベクターおよび粒子を含む薬学的組成物(例えば、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、またはレシピエントと組み合わせた改変された5’増幅配列を含むヘルパー構築物を使用して生成されるαウイルスレプリコン粒子の集団)もまた提供される。
【0104】
本明細書中に記載される組成物は、種々の賦形剤、アジュバント、キャリア、補助物質、調節因子などを含み得る。上記のように、本発明の組成物はまた、個々または組み合わせて液体または賦形剤(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、デキストロース、エタノールなど)、および物質(例えば、湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤)を含み得る。薬学的に受容可能な賦形剤の完全な議論は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.第20版 ISBN:0683306472において得られる。
【0105】
薬学的に受容可能な塩(例えば、無機塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩または硫酸塩)および有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩または安息香酸塩))もまた、本発明の組成物に使用され得る。特に有用なタンパク質基質は、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、および当業者に周知の他のタンパク質である。
【0106】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される組成物(例えば、粒子)は、未精製または精製された形態のいずれかで保存され得、その組成物はまた、例えば、米国特許第6,015,686号に詳細に記載されるように、凍結乾燥、噴霧乾燥またはエバポレートされ得る。
【0107】
上記のように、本明細書中に記載される処方物はさらに、他の免疫調節性因子を含み得るか、または他の免疫調節性因子と併せて投与され得る。特に、組成物は、通常、アジュバントを含む。本発明で使用するためのアジュバントとしては、以下に示す1種以上が挙げられるが、これらに限定されない:
(無機質含有組成物)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な無機質含有組成物としては、無機塩(例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。本発明は、無機塩(例えば、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシホスフェート、オルトホスフェート)、硫酸塩など)(例えば、Vaccine Design...の第8章および第9章(1995)版、PowellおよびNewman.ISBN:030644867X.Plenum.を参照のこと)、または異なる無機化合物の混合物(例えば、リン酸塩および水酸化物アジュバントの混合物、必要に応じて、過剰のリン酸塩との混合物)を含み、上記組成物は、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、そして、塩への吸着が好ましい。上記無機質含有組成物はまた、無機塩の粒子として処方され得る(WO00/23105)。
【0108】
アルミニウム塩は、Al3+が、用量あたり0.2mgと1.0mgとの間の用量であるように、本発明のワクチンに含まれ得る。
【0109】
1つの実施形態において、アルミニウムベースのアジュバントは、ミョウバンを含むリン酸緩衝液中の抗原を混合し、その後、塩基(例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウム)での滴定および沈殿によってインサイチュで形成されるように、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO))、またはミョウバン誘導体である。
【0110】
本明細書中に記載される免疫原性組成物とともに使用するための別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH))または結晶性オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)(これは、優れた吸着質であり、約500m/gの表面積を有する)である。あるいは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO)またはアルミニウムヒドロキシホスフェート(水酸化アルミニウムアジュバントのいくつかまたは全ての水酸基の代わりにリン酸基を含む)が、提供される。本明細書中に提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは、酸性培地、塩基性培地および中性培地において非晶質および可溶性である。
【0111】
別の実施形態において、アジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのより特定の実施形態において、アジュバントは、水酸化アルミニウムより多い量のリン酸アルミニウム(例えば、リン酸アルミニウム対水酸化アルミニウムの重量で、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または9:1より大きい比)を有する。さらにより特定には、ワクチン中のアルミニウム塩は、ワクチン用量当たり0.4mg〜1.0mg、ワクチン用量当たり0.4mg〜0.8mg、またはワクチン用量当たり0.5mg〜0.7mg、またはワクチン用量当たり約0.6mgで存在する。
【0112】
一般に、好ましいアルミニウムベースのアジュバント、または多数のアルミニウムベースのアジュバントの比(例えば、リン酸アルミニウム対水酸化アルミニウム)は、抗原が、所望のpHにおけるアジュバントと反対の電荷を保有するように、分子間の静電引力の最適化によって選択される。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(iep=4)は、pH7.4でリゾチームに吸着するが、アルブミンに吸着しない。アルブミンが標的であるならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(iep 11.4)。あるいは、より低い等電点のリン酸塩を用いる水酸化アルミニウムの前処理は、水酸化アルミニウムを、より塩基性の抗原についての好ましいアジュバントにさせる。
【0113】
(A.油エマルジョン)
アジュバントとしての使用のために適切な油エマルジョン組成物としては、スクアレン−水エマルジョン(例えば、MF59(5%スクアレン、0.5%Tween 80および0.5%Span 85、マイクロフルイダイザー(microfluidizer)を用いて、サブミクロン粒子に処方される))が挙げられる。WO90/14837を参照のこと。Podda、「The adjuvanted influenza vaccines with novel adjuvants:experience with the MF59−adjuvanted vaccine」、Vaccine(2001)19:2673〜2680;Freyら、「Comparison of the safety,tolerability,and immunogenicity of a MF59−adjuvanted influenza vaccine and a non−adjuvanted influenza vaccine in non−elderly adults」、Vaccine(2003)21:4234〜4237もまた、参照のこと。MF59は、FLUADTMインフルエンザウイルス三価サブユニットワクチンにおけるアジュバントとして使用される。
【0114】
本明細書中に記載される免疫原性組成物とともに使用するための特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油エマルジョンである。本明細書中に使用するための好ましいサブミクロン水中油エマルジョンは、スクアレン/水エマルジョンであり、必要に応じて、種々の量のMTP−PE(例えば、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/v Tween 80TM(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および/または0.25〜1.0%Span 85TM(ソルビタントリオレート)、および必要に応じて、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)(例えば、「MF59」として公知のサブミクロン水中油エマルジョン)を含むサブミクロン水中油エマルジョン)を含む(国際公開番号WO90/14837;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号およびOttら、「MF59−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)Plenum Press、New York、1995、pp.277〜296)。MF59は、4〜5%w/vスクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5%w/v Tween 80TM、および0.5%w/v Span 85TMならびに必要に応じて、種々の量のMTP−PEを含み、マイクロフルイダイザー(例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA))を使用してサブミクロン粒子に処方される。例えば、MTP−PEは、約0〜500μg/用量、より好ましくは0〜250μg/用量および最も好ましくは、0〜100μg/用量の量で存在し得る。本明細書中に使用される場合、用語「MF59−0」とは、MTP−PEを欠く上記のサブミクロン水中油エマルジョンをいうが、用語「MF59−MTP」とは、MTP−PEを含む処方物を意味する。例えば、「MF59−100」は、用量あたり100μgのMTP−PEなどを含む。MF69(本明細書中に使用するための別のサブミクロン水中油エマルジョン)は、4.3%w/vスクアレン、0.25%w/v Tween 80TM、および0.75%w/v Span 85TMならびに必要に応じて、MTP−PEを含む。さらに別のサブミクロン水中油エマルジョンは、SAFとしてもまた公知のMF75であり、10%スクアレン、0.4%Tween 80TM、5%プルロニックブロック(pluronic−blocked)ポリマーL121、およびthr−MDPを含み、これもまたサブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズされる。MF75−MTPは、MTP(例えば、用量あたり100μg〜400μgのMTP−PE)を含むMF75処方物を意味する。
【0115】
組成物中に使用するためのサブミクロン水中油エマルジョン、それを作製する方法および免疫刺激因子(例えば、ムラミルペプチド)は、国際公開番号WO90/14837および米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に詳細に記載されている。
【0116】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、本発明のアジュバントとして使用され得る。
【0117】
(B.サポニン処方物)
サポニン処方物もまた、アジュバントとして使用される。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、茎、根および花においてさえ見られる、ステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種の群である。Quillaia saponaria(モリナの木(Molina tree))の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広範に研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライドベール(brides veil))およびSaponaria officianalis(サボンソウ根(soap root))から商業的に得られ得る。サポニンアジュバント処方物としては、精製された処方物(例えば、QS21)および液体処方物(例えば、ISCOM)が挙げられる。
【0118】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いて精製されている。これらの技術を用いて、特定の精製画分が同定され、これらの画分としては、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cが挙げられる。好ましくは、上記サポニンは、QS21である。QS21の生成方法は、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール(例えば、コレステロール)を含み得る(WO96/33739を参照のこと)。
【0119】
サポニンとコレステロールとの組み合わせが、使用され得、免疫刺激複合体(immunostimulating complex)(ISCOM)と呼ばれる独特な粒子を形成し得る。ISCOMとしてはまた、代表的に、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)が挙げられる。任意の公知のサポニンが、ISCOMにおいて使用され得る。好ましくは、上記ISCOMは、Quil A、QHAおよびQHCのうちの1つ以上を含む。ISCOMは、EP0109942、WO96/11711およびWO96/33739にさらに記載されている。必要に応じて、上記ISCOMは、さらなる洗剤を含まなくてもよい。WO00/07621を参照のこと。
【0120】
サポニンベースのアジュバントの開発の概説は、Barrら、「ISCOMs and other saponin based adjuvants」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247〜271に見られ得る。Sjolanderら、「Uptake and adjuvant activity of orally delivered saponin and ISCOM vaccines」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321〜338もまた、参照のこと。
【0121】
(C.ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP))
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)はまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。これらの構造は、一般に、必要に応じてリン脂質と組み合わされるかまたはリン脂質とともに処方されたウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。それらは、一般に、非病原性、非複製性であり、そして、一般に、あらゆる天然ウイルスゲノムを含まない。上記ウイルスタンパク質は、ウイルス全体から、組換え的に生成さ得るかまたは単離され得る。ビロソームまたはVLPにおける使用のために適切なこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス由来のタンパク質(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス由来のタンパク質(例えば、コアタンパク質またはキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス由来のタンパク質、麻疹ウイルス由来のタンパク質、シンドビスウイルス由来のタンパク質、ロタウイルス由来のタンパク質、口蹄疫ウイルス由来のタンパク質、レトロウイルス由来のタンパク質、ノーウォークウイルス由来のタンパク質、ヒトパピローマウイルス由来のタンパク質、HIV由来のタンパク質、RNAファージ由来のタンパク質、Qβファージ由来のタンパク質(例えば、コートタンパク質)、GAファージ由来のタンパク質、frファージ由来のタンパク質、AP205ファージ由来のタンパク質およびTy由来のタンパク質(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)が挙げられる。VLPは、WO03/024480、WO03/024481およびNiikuraら、「Chimeric Recombinant Hepatitis E Virus−Like Particles as an Oral Vaccine Vehicle Presenting Foreign Epitopes」、Virology(2002)293:273〜280;Lenzら、「Papillomarivurs−Like Particles Induce Acute Activation of Dendritic Cells」、Journal of Immunology(2001)5246〜5355;Pintoら、「Cellular Immune Responses to Human Papillomavirus(HPV)−16 L1 Healthy Volunteers Immunized with Recombinant HPV−16 L1 Virus−Like Particles」、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327〜338;およびGerberら、「Human Papillomavrisu Virus−Like Particles Are Efficient Oral Immunogens when Coadministered with Escherichia coli Heat−Labile Entertoxin Mutant R192G or CpG」、Journal of Virology(2001)75(10):4752〜4760においてさらに議論されている。ビロソームは、例えば、Gluckら、「New Technology Platforms in the Development of Vaccines for the Future」、Vaccine(2002)20:B10〜B16においてさらに議論されている。免疫増強再構成インフルエンザビロソーム(IRIV)は、鼻腔内三価INFLEXALTM製品{MischlerおよびMetcalfe(2002)Vaccine20補遺5:B17〜23}およびINFLUVAC PLUSTM製品においてサブユニット抗原送達システムとして使用される。
【0122】
(D.細菌誘導体または微生物誘導体)
本発明における使用のために適切なアジュバントとしては、以下のような細菌誘導体または微生物誘導体が挙げられる:
(1)腸内細菌リポ多糖類(LPS)の無毒性誘導体
このような誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3脱O−アシル化モノホスホリルリピドAと、4、5または6アシル化鎖との混合物である。3脱O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小さい粒子」形態は、EP0 689 454に開示されている。3dMPLのこのような「小さい粒子」は、0.22ミクロンのメンブレンを通って滅菌濾過されるのに充分小さい(EP0 689 454を参照のこと)。他の無毒性LPS誘導体としては、モノホスホリルリピドA模倣物(例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC−529))が挙げられる。Johnsonら(1999)Bioorg Med Chem Lett9:2273〜2278を参照のこと。
【0123】
(2)リピドA誘導体
リピドA誘導体としては、Escherichia coli由来のリピドA誘導体(例えば、OM−174)が挙げられる。OM−174は、例えば、Meraldiら、「OM−174,a New Adjuvant with a Potential for Human Use,Induces a Protective Response with Administered with the Synthetic C−Terminal Fragment 242〜310 from the circumsporozoite protein of Plasmodium berghei」、Vaccine(2003)21:2485〜2491;およびPajakら、「The Adjuvant OM−174 induces both the migration and maturation of murine dendritic cells in vivo」、Vaccine(2003)21:836〜842に記載されている。
【0124】
(3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフ(グアノシンへのホスフェート結合により連結された非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む、細菌の二本鎖RNAまたはオリゴヌクレオチドもまた、免疫刺激性であることが示されている。
【0125】
CpGは、ヌクレオチド改変体/アナログ(例えば、ホスホロチオエート改変体)を含み得、そして、二本鎖または一本鎖であり得る。必要に応じて、グアノシンは、アナログ(例えば、2’−デオキシ−7−デアザグアノシン)と置換され得る。Kandimallaら、「Divergent synthetic nucleotide motif recognition pattern:design and development of potent immunomodulatory oligodeoxyribonucleotide agents with distinct cytokine induction profiles」、Nucleic Acids Research(2003)31(9):2393〜2400;WO02/26757およびWO99/62923(例えば、可能なアナログ置換)を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg、「CpG motifs:the active ingredient in bacterial extracts?」、Nature Medicine(2003)9(7):831〜835;McCluskieら、「Parenteral and mucosal prime−boost immunization strategies in mice with hepatitis B surface antigen and CpG DNA」、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179〜185;WO98/40100;米国特許第6,207,646号;同第6,239,116号および同第6,429,199号において、さらに考察されている。
【0126】
このCpG配列(例えば、GTCGTTモチーフまたはTTCGTTモチーフ)は、TLR9に導かれ得る。Kandimallaら、「Toll−like receptor9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(part3):654〜658を参照のこと。このCpG配列(例えば、CpG−A ODN)は、Th1免疫応答誘導に特異的であってもよく、または、このCpG配列(例えば、CpG−B ODN)は、B細胞応答誘導に、より特異的であってもよい。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、Blackwellら、「CpG−A−Induced Monocyte IFN−gamma−Inducible Protein−10 Production is Regulated by Plasmacytoid Dendritic Cell Derived IFN−alpha」、J.Immunol.(2003)170(8):4061〜4068;Krieg、「From A to Z on CpG」、TRENDS in Immunology(2002)23(2):64〜65およびWO01/95935において考察されている。好ましくは、このCpGは、CpG−A ODNである。
【0127】
好ましくは、このCpGオリゴヌクレオチドは、5'末端がレセプター認識のために接近可能であるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列がそれらの3'末端で結合されて、「イムノマー(immunomer)」を形成し得る。例えば、Kandimallaら、「Secondary structures in CpG oligonucleotides affect immunostimulatory activity」、BBRC(2003)306:948〜953;Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):664〜658;Bhagatら、「CpG penta− and hexa deoxyribonucleotides as potent immunomodulatory agents」BBRC(2003)300:853〜861およびWO03/035836を参照のこと。
【0128】
(4)ADP−リボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体
細菌ADP−リボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用され得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coli由来(すなわち、E.coli熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ由来(「CT」)または百日咳由来(「PT」)である。粘膜アジュバントとしての無毒化ADP−リボシル化トキシンの使用は、WO95/17211に記載されており、そして、非経口的アジュバントとしての無毒化ADP−リボシル化トキシンの使用は、WO98/42375に記載されている。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT変異体(例えば、LT−K63、LT−R72およびLTR192G)である。ADP−リボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体(特に、LT−K63およびLT−R72)のアジュバントとしての使用は、以下の参考文献において見出され得る:Beignonら、「The LTR72 Mutant of Heat−Labile Enterotoxin of Escherichia coli Enahnces the Ability of Peptide Antigens to Elicit CD4+ T Cells and Secrete Gamma Interferon after Coapplication onto Bare Skin」、Infection and Immunity(2002)70(6):3012〜3019;Pizzaら、「Mucosal vaccines:non toxic derivatives of LT and CT as mucosal adjuvants」、Vaccine(2001)19:2534〜2541;Pizzaら、「LTK63 and LTR72,two mucosal adjuvants ready for clinical trials」Int.J.Med.Microbiol(2000)290(4〜5):455〜461;Scharton−Kerstenら、「Transcutaneous Immunization with Bacterial ADP−Ribosylating Exotoxins,Subunits and Unrelated Adjuvants」,Infection and Immunity(2000)68(9):5306〜5313;Ryanら、「Mutants of Escherichia coli Heat−Labile Toxin Act as Effective Mucosal Adjuvants for Nasal Delivery of an Acellular Pertussis Vaccine:Differential Effects of the Nontoxic AB Complex and Enzyme Activity on Th1 and Th2 Cells」Infection and Immunity(1999)67(12):6270〜6280;Partidosら、「Heat−labile enterotoxin of Escherichia coli and its site−directed mutant LTK63 enhance the proliferetive and cytotoxic T−cell responses to intranasally co−immunized synthetic peptides」,Immunol.Lett.(1999)67(3):209〜216;Peppoloniら、「Mutants of the Escherichia coli heat−labile enterotoxin as safe and strong adjuvants for intranasal delivery of vaccines」,Vaccines(2003)2(2):285〜293;およびPineら、(2002)「Intranasal immunization with influenza vaccine and a detoxified mutant of heat labile enterotoxin from Escherichia coli(LTK63)」J.Control Release(2002)85(1〜3):263〜270。アミノ酸置換についての多くの参考文献は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165〜1167に記載のADP−リボシル化トキシンのAサブユニットおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0129】
(F.生体接着因子および粘膜接着因子)
生体接着因子および粘膜接着因子もまた、アジュバントとして使用され得る。適切な生体接着因子としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267〜276)または粘膜接着因子(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体)が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、アジュバントとして使用され得る。例えば、WO99/27960を参照のこと。
【0130】
(G.微粒子)
微粒子もまた、アジュバントとして使用され得る。生分解性かつ無毒性の材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)と、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)とから形成される微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径約200nm〜約30μm、そして、最も好ましくは、直径約500nm〜約10μmの粒子)が好ましく、必要に応じて処理されて、(例えば、SDSによって)負に荷電した表面または(例えば、カチオン性洗剤(例えば、CTAB)によって)正に荷電した表面を有する。
【0131】
(H.リポソーム)
アジュバントとしての使用のために適切なリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、同第5,916,588号、EP0 626 169に記載されている。
【0132】
(I.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本明細書中に記載される免疫原性組成物とともに使用するために適切なアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。WO99/52549。このような処方物は、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO01/21207)、ならびに少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノール)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤またはポリオキシエチレンアルキルエステル界面活性剤(WO01/21152)をさらに含む。
【0133】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群より選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0134】
(J.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、Andrianovら、「Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions」、Biomaterials(1998)19(1〜3):109〜115およびPayneら、「Protein Release from Polyphosphazene Matrices」、Adv.Drug.Delivery Review(1998)31(3):185〜196において記載されている。
【0135】
(K.ムラミルペプチド)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切なムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)およびN−アセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1',2'−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)が挙げられる。
【0136】
(L.イミダゾキノロン化合物)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切なイミダゾキノロン化合物の例としては、Stanley、「Imiquimod and the imidazoquinolines:mechanism of action and therapeutic potential」Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571〜577;Jones、「Resiquimod 3M」、Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214〜218;ならびに米国特許第4,689,338号、同第5,389,640号、同第5,268,376号、同第4,929,624号、同第5,266,575号、同第5,352,784号、同第5,494,916号、同第5,482,936号、同第5,346,905号、同第5,395,937号、同第5,238,944号および同第5,525,612号にさらに記載される、Imiquimodおよびそのアナログが挙げられる。
【0137】
(M.チオセミカルバゾン化合物)
チオセミカルバゾン化合物の例、ならびに処方、製造、および本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な全ての化合物をスクリーニングする方法は、WO04/60308に記載されるものが挙げられる。チオセミカルバゾンは、特に、サイトカイン(例えば、TNF)の産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に効果的である。
【0138】
(N.トリプタンスリン(tryptanthrin)化合物)
トリプタンスリン化合物の例、ならびに処方、製造、および本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な全ての化合物をスクリーニングする方法は、WO04/64759に記載されるものが挙げられる。トリプタンスリン化合物は、特に、サイトカイン(例えば、TNF)の産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に効果的である。
【0139】
本発明はまた、上記に同定した1種以上のアジュバントの局面の組み合わせを含み得る。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明において使用され得る:
(1)サポニンおよび水中油エマルジョン(WO99/11241);
(2)サポニン(例えば、QS21)+無毒素LPS誘導体(例えば、3dMPL)(WO94/00153を参照のこと)
(3)サポニン(例えば、QS21)+無毒素LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)(WO98/57659);
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油エマルジョンとの組み合わせ(欧州特許出願第0835318号、同第0735898号および同第0761231号を参照のこと);
(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズされるか、大きい粒子サイズのエマルジョンを生成するためにボルテックスされるかのいずれかである、10%スクアレン、0.4% Tween 80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含む、SAF;
(7)2%スクアレン、0.2% Tween 80、およびモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)からなる群由来の1種以上の細菌細胞壁成分を含む、RibiTMアジュバントシステム(RAS)、(Ribi免疫化学);および
(8)1種以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの無毒性誘導体(例えば、3dPML);
(9)1種以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0140】
(O.ヒト免疫調節因子)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切なヒト免疫調節因子としては、サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子)が挙げられる。
【0141】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用のインフルエンザワクチンとの使用のために好ましいアジュバントである。細菌毒素および生体接着因子は、粘膜送達ワクチン(例えば、鼻のワクチン)との使用のために好ましいアジュバントである。
【0142】
上記で引用した特許、特許出願および論文の記事の全ての内容は、本明細書中に完全に記載される場合、参考として援用される。
【0143】
(キット)
本明細書中に記載される組成物はまた、キット(例えば、本明細書中に記載されるヘルパー構築物またはパッケージング細胞株を含むキット)として提供され得る。この組成物の1種以上は、キットへのパッケージングのために凍結乾燥および/または噴霧乾燥され得る。この成分は、単一の組成物として提供され得るか、または別々に提供され得る。さらに、この組成物は、それらが、粘膜投与に適切であるように、使用前に再構成され得る。
本明細書中に記載されるキットはさらに、さらなる成分(例えば、シリンジ、再構成溶液、取扱い説明書など)を含み得る。
【0144】
以下の実施例は、本発明をより完全に例示するために含まれる。さらに、これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を提供し、それらの範囲に限定することを意図しない。さらに、本明細書中の値の範囲の列挙は、単に、その範囲内の各々の別の値に関して個々に参照する簡潔な方法を与えることを意図し、本明細書中で他に指示しない限り、各々の個々の値は、本明細書中に個々に列挙されるように、明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に指示しない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書中に提供される任意および全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「例えば」)の使用は、単に、本発明をより良く例示することを意図し、本発明、そうでなければ特許請求の範囲の範囲の限定を示していない。明細書中にない言語は、本発明の実施に関して本質的に特許請求されない要素を示すものと解釈されるべきである。
【0145】
本明細書中に開示される本発明の代替のエレメントまたは実施形態の群は、限定として解釈されるべきではない。各群の部分は、個々または本明細書中に見出される群の他の部分あるいは他のエレメントとの任意の組み合わせで参照され得、そして特許請求され得る。群の1つ以上の部分が、便宜および/または特許性の理由のために、群に包含され得るか、または群から削除され得ることが予想される。任意のこのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、改変された群を本明細書中に含むと判断され、それによって、添付の特許請求の範囲に使用される全てのマーカッシュ群の記載された説明を満たす。
【0146】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書中に記載され、本発明を実施するために発明者らが知るところの最良の様式を包含する。もちろん、これらの好ましい実施形態についての変更は、上記の説明を読むと、当業者に明白である。本発明者らは、適切な変更を当業者が使用することを予想し、本発明者らは、本発明が、本明細書中に具体的に記載されるより別の方法で実施されることを意図する。従って、本発明は、適用可能な法によって容認されるように、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の内容の全ての改変および等価物を包含する。さらに、それらの全ての可能な変更における上記のエレメントの任意の組み合わせが、本明細書中で他に指示しない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【実施例】
【0147】
(実施例1:改変された5'増幅配列の調製)
tRNAaspの5'領域を、推定SINパッケージングシグナルを用いて整列させて、高ホモロジーの領域を同定した(図2)。特に、推定SINパッケージングシグナルのヌクレオチド1029〜1050によって規定された領域(ヌクレオチド945〜1076として特定の参考文献で記載した)は、tRNAasp増幅配列の残基37〜59に対して80%より高いホモロジー(22ヌクレオチドのうちの18)を示した。
【0148】
mfoldプログラム(Zuckerら)を使用して、野生型tRNAaspの二次構造を、予測した(図4Aおよび図4B)。変異を、ヘルパーtDH−HRcap(tDH骨格に挿入されたSIN HR株由来のキャプシド遺伝子、WO02/099035を参照のこと)およびtDH−VutrSGly(WO02/099035;Perriら、(2003)J Virol.77(19):1039〜403)に含まれるtRNA構造に導入した。具体的には、この変異を、特定部位の突然変異誘発によってSINパッケージングシグナルに対するホモロジーの領域内に導入して、一次ヌクレオチド配列を変化させたが、野生型tRNAASPの二次構造と類似の完全な二次構造を維持した。改変された5'配列は図3に示され、これらの改変された配列を含むヘルパー構築物を、tMOD−HRcapおよびtMOD−VutrSGlyと呼んだ。改変された5'増幅配列を図3に示す。
【0149】
(実施例2:改変された5'増幅配列を有する構造カセットを使用するαウイルスレプリコン粒子のパッケージング)
mod#1に指定された改変された5'増幅配列を、実施例1に記載されるように生成し、GFP発現レプリコンベクター(本質的にGardnerら(2000)J.Virol74(24):11849〜11857に記載されるように)をパッケージするために使用した。
【0150】
改変されたヘルパー、レプリコンをコードするプラスミドSINCR−GFP、野生型tRNAまたは単一の制限酵素PmeIおよびRNAを用いて直線化された改変された配列の両方を有するヘルパーの機能性を試験するために、インビトロで転写した。レプリコンRNAを、SINキャプシドおよび表1に記載されるような構築物由来の糖タンパク質をコードする不完全なヘルパーRNAとともに同時トランスフェクトした。
【0151】
トランスフェクトされた細胞を、培養上清を回収し、遠心分離によって清澄にし、連続希釈した時間に34℃で24時間インキュベートし、約14時間ナイーブBHK−21細胞を感染させるために使用した。フローサイトメトリー分析(FACS)粒子力価を使用して、測定した。結果を表1に示す。
【0152】
【表1】

この粒子をまた、それらの感染性およびナイーブ細胞の感染に対する新しい粒子を生成する能力について試験し、不完全なヘルパー同時パッケージングを測定する。高MOI感染にて、改変された増幅配列を含む構築物を使用して生成された粒子は、改変されていない増幅配列を含む構築物を使用して生成された粒子より非常に効果的にナイーブ細胞に感染した。従って、改変された5'増幅配列を含む構造カセットを使用して生成された粒子は、少数の不全型の粒子を含んだ。
【0153】
さらに、図4Aおよび図4Bに示すように、改変された5'増幅配列を含む構造カセットを使用して生成された粒子は、改変されていない増幅配列を使用して生成された粒子と比較して少なくとも10倍少ない同時パッケージされた粒子を有する。
【0154】
最後に、tRNA構造を含む少なくとも1つのヘルパーを用いて生成された粒子の感染性を、改変された5'配列を含むヘルパーで調製した粒子の感染性と比較した。ナイーブ細胞を、45分間37℃で種々のMOI(0.5、1、5および10)にて感染させた。次いで、この細胞を洗浄して、一晩、培地中でインキュベートした。感染された細胞の数を、感染の16時間後に、FACSによって評価した。図6に示すように、改変されたヘルパーを用いて調製された粒子で感染された細胞の数は、MOIを増加するにつれて、増加するが、1つのtRNAを有するヘルパー由来の粒子で感染された細胞の数は、比較的低いMOI=1にて一定状態に達する。この結果は、tRNAを有するヘルパー由来の粒子調製物が、感染細胞と競合する多くの不全型の粒子を有することを示唆し、それによって、測定可能な感染性(例えば、GFPポジティブ細胞の割合)は、初期に一定状態に達する。対照的に、改変されたヘルパー由来の粒子は、減少した数の不全型の粒子を有し、感染された細胞の数は、M.O.Iの範囲にわたって増加する。
【0155】
従って、不完全なパッケージングシグナルである、改変された増幅配列を含む構造的ヘルパー構築物を使用することは、同時パッケージングを顕著に減少するが、レプリコン粒子を効果的にパッケージングする。
【0156】
本発明の好ましい実施形態は、ある程度詳細に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに明らかな変更がなされ得ることが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、αウイルスレプリコン粒子を産生するための、複合的な構築物システムの模式図である。レプリコンベクターは、5’末端および3’末端シス複製配列、αウイルス非構造遺伝子、サブゲノムの接合領域(JR)プロモーターおよび目的の異種遺伝子(GOI)を含む。示される構造タンパク質発現カセット(不完全なヘルパー)は、シス作用性tRNA−アスパラギン(tRNAaspまたはtRNAAsp)5’増幅配列、サブゲノムの接合領域(JR)プロモーター、3’末端シス複製配列およびキャプシドタンパク質をコードする配列または糖タンパク質をコードする配列を含む。
【図2】図2は、推定シンドビス(SIN)パッケージングシグナル(配列番号1)の一部とtRNAAsp5’配列(配列番号2)とのアラインメントを示す。最下行は、コンセンサス配列(配列番号3)を示し、SINゲノム(GenBank登録番号NC001547)の、おおよそヌクレオチド1029からヌクレオチド1050に及ぶ、相同性の高い領域を示す。
【図3】図3は、改変されていないtRNA5’配列(配列番号2)と種々の例示的な改変されたtRNA配列(配列番号4〜15)とのアラインメントを示す。野生型tRNAasp配列について、改変されるヌクレオチドに下線を引いた。
【図4】図4Aおよび図4Bは、改変されていない5’増幅配列および改変された5’増幅配列により形成される二次構造の模式図である。図4Aは、改変されていない(野生型)のtRNAasp(配列番号2)の二次構造を示し、図4Bは、例示的な改変された5’増幅配列(mod#1と称される)(配列番号4)の二次構造を示す。
【図5】図5Aおよび図5Bは、粒子へのヘルパー構築物の同時パッケージングを示すグラフであり、改変された5’増幅配列が、改変された配列を含むヘルパー構築物の同時パッケージングを効果的に減少させながら、粒子の収量に最小限の影響しか与えないことを示す。図5Aは、感染の多重度2(MOI 2)における結果を示す。図5Bは、MOI 4における結果を示す。
【図6】図6は、改変された増幅配列(明灰色)または改変されていないtRNA配列(暗灰色)のいずれかを含む構造カセット(structural cassette)を使用して作製された粒子の感染性を示すグラフである。MOIは、横軸に沿って示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変された5’増幅配列を含む、単離されたポリヌクレオチドであって、該改変された配列は、ポジティブ鎖αウイルスRNAの合成のための認識部位を提供するが、RNAパッケージングのための認識部位を提供しない、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、RNAである、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記改変された5’増幅配列が、配列番号4〜16のいずれかに対し少なくとも約80%の同一性を示す配列を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記改変された5’増幅配列が、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルス5’配列、αウイルスではないウイルス配列および細胞RNA配列からなる群から選択される配列由来である、請求項1、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記改変された増幅配列が、合成物である、請求項1、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の5’増幅配列を含む、RNAベクター構築物。
【請求項7】
αウイルス接合領域プロモーターをコードする核酸配列;1つ以上のαウイルスの構造タンパク質をコードする核酸配列;およびRNAポリメラーゼ認識配列をさらに含む、請求項5に記載のベクター構築物。
【請求項8】
選択可能なマーカーをコードする核酸配列をさらに含む、請求項7に記載のベクター構築物。
【請求項9】
前記ベクターが、必ずしも生物学的に活性なαウイルス非構造タンパク質をコードしない、請求項7または請求項8に記載のベクター構築物。
【請求項10】
前記αウイルスの構造タンパク質が、糖タンパク質E2および糖タンパク質E1である、請求項7または請求項8に記載のベクター構築物。
【請求項11】
前記αウイルスの構造タンパク質が、キャプシドタンパク質である、請求項7または請求項8に記載のベクター構築物。
【請求項12】
前記配列が、2種以上のαウイルスに由来する、請求項6〜11のいずれか1項に記載のベクター構築物。
【請求項13】
核酸分子に作動可能に連結された5’プロモーターを含む、αウイルスベクター構築物であって、該核酸分子は、請求項6〜12に記載のRNAベクターに相補的なDNAである、αウイルスベクター構築物。
【請求項14】
転写終結を制御する3’配列をさらに含む、請求項13に記載のαウイルスベクター構築物。
【請求項15】
前記5’プロモーターが、真核生物のプロモーターである、請求項14に記載のαウイルスベクター構築物。
【請求項16】
前記5’プロモーターが、原核生物のプロモーターである、請求項14に記載のαウイルスベクター構築物。
【請求項17】
請求項6〜16のいずれか1項に記載のαウイルスベクター構築物を含む、細胞。
【請求項18】
宿主細胞と、1つ以上の請求項6〜13のいずれか1項に記載のαウイルスベクターとを含む、αウイルスパッケージング細胞株。
【請求項19】
感染性かつ不完全なαウイルス粒子を産生するためのヘルパー細胞であって、該細胞は、
αウイルスレプリコンベクター;および
該レプリコンベクターに存在しない該αウイルスの構造タンパク質をコードする、1つ以上の個別のヘルパー構築物、をαウイルス許容性細胞中に含み、
少なくとも1つの該個別のヘルパー構築物は、請求項1〜5に記載の改変された5’増幅配列を含み、
さらに、該レプリコンベクターと該個別のヘルパーベクターとの組み合わせた発現は、1つ以上の異種配列を含む構築されたαウイルス粒子を産生し、該αウイルス粒子は、細胞に感染し得、かつウイルス複製を完結し得ない、ヘルパー細胞。
【請求項20】
2つの個別のヘルパー構築物を含む請求項19に記載のヘルパー細胞であって、ここで、第一のヘルパー構築物はαウイルスキャプシドタンパク質をコードし、第二のヘルパー構築物はαウイルス糖タンパク質をコードする、ヘルパー細胞。
【請求項21】
前記1つ以上の個別のヘルパー構築物の全てが、改変された5’増幅配列を含む、請求項19または請求項20に記載のヘルパー細胞。
【請求項22】
請求項19〜21に記載のヘルパー細胞であって、該ヘルパー細胞が、前記αウイルスレプリコンベクターと前記1つ以上の個別のヘルパー構築物とによってトランスフェクトされる、ヘルパー細胞。
【請求項23】
感染性かつ複製に欠陥のあるαウイルス粒子を作製する方法であって、該方法は、
(a)請求項19〜22に記載のヘルパー細胞を提供する工程;
(b)該ヘルパー細胞中で該αウイルス粒子を産生させる工程;および
(c)該ヘルパー細胞から産生された該αウイルス粒子を収集する工程、
を包含する、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法にしたがって産生された、感染性かつ複製に欠陥のあるαウイルス粒子を含む組成物であって、該組成物は、検出可能な複製能のあるαウイルス粒子を含まない、組成物。
【請求項25】
薬学的に受容可能なキャリア中に、請求項23に記載の方法によって産生された、感染性かつ複製に欠陥のあるαウイルス粒子を含む、薬学的処方物。
【請求項26】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の改変された5’増幅配列を作製する方法であって、該方法は、
(a)公知の5’増幅配列とウイルスパッケージングシグナルを含む配列との間の配列相同性の領域を決定する工程;および
(b)該ウイルスパッケージングシグナルを含む配列への相同性が減らされるが、増幅機能は維持されるように、該公知の5’増幅配列の一次配列を改変し、それによって改変された5’増幅配列を作製する工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
前記公知の5’増幅配列が、天然αウイルス5’配列、非天然DIαウイルスの5’末端、αウイルスではないウイルス配列および細胞RNA配列からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−500044(P2008−500044A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515212(P2007−515212)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/017890
【国際公開番号】WO2006/076032
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(506361100)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】