説明

β−ラクタム化合物の改良された製造法

【課題】 従来、ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応は低収率で進行していた。上記に鑑み、N−クロロスルホニル−β−ラクタム化合物を、従来の方法と比較して高い収率で得ることができる製造法の提供。
【解決手段】 ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応をシクロアルカン溶媒存在下で実施することにより、従来の方法と比較して高い収率でN−クロロスルホニル−β−ラクタム化合物を得ることができる。得られたN−クロロスルホニル−β−ラクタム化合物は還元することでβ−ラクタム化合物を高収率で得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ペネム系β−ラクタム抗生物質やカルバペネム系β−ラクタム抗生物質の合成に有用な3−(1−ヒドロキシエチル)−4−アセトキシアゼチジン−2−オンの合成中間体として知られている一般式(1):
【0002】
【化4】

(式中、R1は水酸基の保護基、Aは酸素原子またはイオウ原子であり、Aが酸素原子の場合、R2はトリアルキルシリル基を示し、Aがイオウ原子の場合、R2はトリフェニルメチル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基またはハロゲン置換フェニル基を示す。)で表されるβ−ラクタム化合物(以下、化合物(1)と記することもある)の改良された製造法に関する。
【背景技術】
【0003】
前記式(1)で表されるβ−ラクタム化合物の製造法については、一般式(2):
【0004】
【化5】

(式中、R1、AおよびR2は前記に同じ。)で表されるブテニル類(以下、化合物(2))をクロロスルホニルイソシアネートとトルエン、n−ヘキサン、エーテル、塩素系溶媒などの溶媒存在下に反応させ、次いで
(a)水素化金属化合物で還元する方法(特許文献1)
(b)アルカリ金属と電子受容体とから生成させた金属−陰イオンラジカルで還元する方法(特許文献2)
(c)有機金属化合物で還元する方法(特許文献3)
(d)チオール化合物と塩基で還元する方法(特許文献4および5)
などで還元する方法が知られている。
【特許文献1】特開平2−76888号公報
【特許文献2】特開平2−290888号公報
【特許文献3】特開平3−20287号公報
【特許文献4】特開平4−112867号公報
【特許文献5】特開昭61−207373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献のいずれの方法においても、前記化合物(1)で表されるβ−ラクタム化合物の収率は65%以下に留まり、満足できるものではなかった。また、製造の際に、上記の何れの還元を実施しても廃棄物の処理に手間や労力がかかることが問題であった。
【0006】
僅かな収率の向上でも、生産性が向上し原料費が削減できるという直接的なメリットに加えて、処理しなければならない廃棄物量が製品量に対して減ることから非常に有用であると言える。しかし従来の方法では、如何に反応条件を変更してもβ−ラクタム化合物の収率は65%以下に留まり、上記メリットを得ることは非常に困難であった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、化合物(1)を、従来の方法と比較して高い収率で得ることができる製造法を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、前記化合物(2)とクロロスルホニルイソシアネートの反応の溶媒としてシクロアルカン溶媒を存在させることで、驚くべきことに化合物(1)を従来の方法と比較して高い収率で得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、前記式(2)で表されるブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応をシクロアルカン溶媒存在下に実施することを特徴とする一般式(3):
【0010】
【化6】

(式中、R1、AおよびR2は前記に同じ。)で表されるN−クロロスルホニル−β−ラクタム化合物の製造法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる製造方法によれば、化合物(3)および化合物(1)を高収率で得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を詳しく述べる。
【0013】
本発明は、一般式(2):
【0014】
【化7】

で表されるブテニル類をクロロスルホニルイソシアネートと反応させ、一般式(3):
【0015】
【化8】

で表されるβ−ラクタム化合物を合成する方法に関する。得られた前記式(3)で表される化合物は、次いでN−クロロスルホニル基を還元することにより一般式(1):
【0016】
【化9】

で表されるβ−ラクタム化合物を得ることができる。
【0017】
前記化合物(1)〜(3)において、R1は水酸基の保護基を表す。具体的には、プロテクティヴ・グループス・イン・オーガニックシンセシス第2版(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 2nd. Ed.)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILEY&SONS)出版(1991年)に記載されている保護基を使用することができる。R1として好ましいものは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはアラルキル基で置換されたシリル基であり、具体的には、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチル−1,1,2−トリメチルプロピルシリル基等を例示できる。好ましくはtert−ブチルジメチルシリル基である。
【0018】
前記化合物(1)〜(3)において、Aが酸素原子の場合、R2はトリアルキルシリル基であり、具体的には、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチル−1,1,2−トリメチルプロピルシリル基、トリメチルシリル基等を例示できる。好ましくはトリメチルシリル基である。
【0019】
Aがイオウ原子の場合、R2はトリフェニルメチル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基またはハロゲン置換フェニル基であり、具体的には、トリフェニルメチル基、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−フルオロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、t−ブチル基等を例示できる。
【0020】
前記化合物(2)は、Aが酸素原子の場合は3−ヒドロキシ酪酸エステルから特開昭63−233989号公報記載の方法などにより合成でき、Aがイオウ原子の場合は1,3−ブタンジオールから特開平7−258205号に記載の方法などにより合成できる。
【0021】
前記化合物(1)の立体構造については、3種の不斉炭素が存在し、8種の立体異性体の生成が可能であるが、医薬中間体として好適には3位、4位およびO−保護ヒドロキシエチル基における不斉炭素の立体配置が(R)である下記一般式(4):
【0022】
【化10】

(式中、R1、AおよびR2は前記に同じ。)で表されるβ−ラクタム化合物が望ましい。一般式(4)で表されるような立体構造を有するβ−ラクタム化合物を得るためには、(R)−3−ヒドロキシ酪酸エステルや(R)−1,3−ブタンジオールを用いて取得される、−OR1基が結合している炭素がR配置である光学活性な化合物(2)を反応に使用すればよい。−OR1基が結合している炭素がR配置である光学活性な化合物(2)を用いた場合、3位、4位およびO−保護ヒドロキシエチル基における不斉炭素の立体配置が(R)である化合物(4)を得ることができる。
【0023】
ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応は、シクロアルカン溶媒存在下に実施すると、シクロアルカン溶媒を全く用いない場合に比較して、収率の向上が顕著に認められる。
【0024】
シクロアルカン溶媒としては、特に限定されず、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどを例示でき、特にシクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンが好ましい。いうまでもなく、シクロアルカン溶媒として2種以上を用いてもよいし、2種以上用いる場合、その混合比は特に制限されない。
【0025】
反応はシクロアルカン溶媒が存在すれば、シクロアルカン溶媒単独でもよいし、シクロアルカン溶媒とシクロアルカン溶媒以外の溶媒との混合溶媒でもよい。混合溶媒を用いる場合、目的とする効果が得られる限りにおいてはその混合比は特に制限されないが、反応に使用する溶媒全容量のうち容積比でシクロアルカン溶媒の比率が下限は好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上であり、上限は、100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下である。
【0026】
シクロアルカンと混合する溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エーテル溶媒があげられる。芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、o−キシレン、m−キシレンなどを例示でき、特にトルエン、クメンが好ましい。脂肪族炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタンを例示できる。エーテル溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジグリム、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルを例示できる。
【0027】
ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応は、−100℃〜0℃の温度範囲で実施することができるが、好ましくは−90℃〜−30℃の温度範囲であり、更に好ましくは−80℃〜−50℃の温度範囲である。
【0028】
ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートのモル比は、1:1の等モル付近で行うのが好ましい。試剤の添加順は、ブテニル類の溶液にクロロスルホニルイソシアネートを添加してもよく、クロロスルホニルイソシアネートの溶液にブテニル類を添加してもよく、溶媒中にブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートを同時添加してもよいが、クロロスルホニルイソシアネートの溶液にブテニル類を添加するか、溶媒中にブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートを同時添加するのが特に好ましい。言うまでもなく、これらの試剤を添加する際には、各試剤を反応に使用する溶媒で希釈して用いてもよい。試剤の添加速度は、内温の上昇幅が20℃以内、好ましくは15℃以内、更に好ましくは10℃以内を維持できる速度で行うことが収率の観点から望ましい。
【0029】
ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応時間は、通常10分〜12時間である。得られたブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応液には化合物(3)で表される化合物が含有されている。反応液は濃縮してもよいし、そのまま次の還元工程に用いてもよい。
【0030】
ブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応により生成した前記一般式(3)のβ−ラクタム化合物のN−クロロスルホニル基の還元は、前記特許文献1〜4に記載の方法により行うことができる。例えば、化合物(3)を塩基存在下、硫化水素またはメルカプトベンゾチアゾールを使用し、有機溶媒及び/または水溶媒中で実施する方法について説明する。
【0031】
塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの第三級アミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンなどの第二級アミン、アニリン、シクロヘキシルアミンなどの第一級アミン、アンモニアまたは水酸化ナトリウムなどを使用することができる。
【0032】
反応溶媒は、化合物(3)を製造する際に用いた前述のシクロアルカン溶媒、芳香族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、ジグリム、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル溶媒、ヘキサン、ヘプタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、水などをあげることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合してもよい。好ましくは、化合物(2)から化合物(3)を製造する工程で用いた溶媒と水との混合溶媒である。
【0033】
反応温度は−100℃から溶媒の沸点付近の任意の温度で実施できるが、好ましくは−100℃から30℃である。
【0034】
硫化水素またはメルカプトベンゾチアゾールの量としては、化合物(3)に対して1当量以上であれば特に制限されない。
【0035】
塩基の量としては、化合物(3)に対して1当量以上であれば特に制限されない。
【0036】
添加順序は特に制限されないが、化合物(3)を硫化水素またはメルカプトベンゾチアゾールに添加してもよいし、逆に硫化水素またはメルカプトベンゾチアゾールを添加してもよいが、硫化水素またはメルカプトベンゾチアゾール、塩基を含有する溶液に化合物(3)の溶液を添加する方法が好ましい。
【0037】
得られた化合物(1)は、必要により、カラムクロマトグラフィーや晶析操作によって単離精製できる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例及び比較例を用いて、本発明をより一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
本実施例において、(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−1−クロロスルホニル−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンの生成は特開平4−112867記載の方法に従い、(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−1−クロロスルホニル−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンを還元して(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンの生成を確認することで実施した。
【0040】
(実施例1)
(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンの合成
クロロスルホニルイソシアナート1.00gをトルエン4.5ml/メチルシクロヘキサン4.5mlに加えた溶液を、窒素ガス雰囲気下−73℃に冷却し、3−((R)−tert−ブチルジメチルシリロキシ)ブテ−1−ニルトリメチルシリルエーテル1.80gを反応液の内温−73℃を維持しながら約1時間で滴下後、6時間攪拌を行なって(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−1−クロロスルホニル−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンのトルエン/メチルシクロヘキサン溶液を得た。
【0041】
これとは別の反応容器に、硫化水素0.72g、トリエチルアミン1.55g、水0.98gの混合物を調製し、窒素ガス雰囲気下5℃に冷却しておいた。先に調製した(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−1−クロロスルホニル−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンのトルエン/メチルシクロヘキサン溶液を、この還元反応剤中へ5〜10℃を保ちながら注意深く移送した。
【0042】
移送終了後、5℃で1時間攪拌し、トルエン5mlで洗い込みながら分液ロートに移した。分液後、有機層をガスクロマトグラフィーにより定量分析すると目的物である(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンが1.48g生成していることが分かった(収率71%)。
【0043】
このトルエン層をロータリーエバポレーターで濃縮したのち、ヘキサン6mlを加え、−20℃で1晩放置することにより析出した結晶をグラスフィルターで手早くろ過、乾燥することにより純粋な(3R,4R)−3−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)エチル)−4−(トリメチルシリロキシ)アゼチジン−2−オンの結晶0.7gを得た。
1H−NMR(90MHz、CDCl3)δ(ppm):
0.09(6H,s)、0.20(6H,s)、0.90(9H,s)、1.26(3H,d)、2.96(1H,dd)、5.33(1H,d)、7.23(1H)
m.p.:95〜96℃
【0044】
(実施例2)
実施例1のメチルシクロヘキサンに代えてエチルシクロヘキサン4.5mlを用い、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.46gを含む溶液を得た(収率70%)。
【0045】
(実施例3)
実施例1のメチルシクロヘキサンに代えてシクロペンタン4.5mlを用い、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.48gを含む溶液を得た(収率71%)。
【0046】
(実施例4)
実施例1のメチルシクロヘキサンに代えてメチルシクロペンタン4.5mlを用い、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.48gを含む溶液を得た(収率71%)。
【0047】
(実施例5)
実施例1のトルエンに代えてクメン4.5mlを用い、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.48gを含む溶液を得た(収率71%)。
【0048】
(実施例6)
実施例1のトルエンを6.3ml、メチルシクロヘキサンを2.7mlに変更して用い、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.48gを含む溶液を得た(収率71%)。
【0049】
(実施例7)
実施例1のトルエンをクメン4.5ml、メチルシクロヘキサンをシクロペンタン4.5mlに変更して用い、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.48gを含む溶液を得た(収率71%)。
【0050】
(実施例8)
実施例1のメチルシクロヘキサンを9mlとしトルエンを使用せずに、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.46gを含む溶液を得た(収率70%)。
【0051】
(比較例1)
実施例1のトルエンを9mlとしメチルシクロヘキサンを使用せずに、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.35gを含む溶液を得た(収率65%)。
【0052】
(比較例2)
実施例1のメチルシクロヘキサンに代えてn−ヘプタン4.5mlとし、実施例1と同様の操作をすることにより目的物1.25gを含む溶液を得た(収率60%)。
【0053】
以下に本実施例及び比較例に用いたガスクロマトグラフィーでの定量分析条件を記す。
カラム : 化学品検査協会 G−100カラム 1.2mmX40m
カラム温度 : 160℃
注入口温度 : 230℃
検出器温度 : 230℃
キャリアガス: 窒素 42cc/min
水素圧 : 0.6kg/cm2
空気圧 : 0.6kg/cm2
検出器 : FID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2):
【化1】

(式中、R1は水酸基の保護基、Aは酸素原子またはイオウ原子であり、Aが酸素原子の場合、R2はトリアルキルシリル基を示し、Aがイオウ原子の場合、R2はトリフェニルメチル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基またはハロゲン置換フェニル基を示す。)で表されるブテニル類とクロロスルホニルイソシアネートの反応を、シクロアルカン溶媒存在下に実施することを特徴とする一般式(3):
【化2】

(式中、R1、AおよびR2は前記に同じ)で表されるN−クロロスルホニル−β−ラクタム化合物の製造法。
【請求項2】
シクロアルカン溶媒の容量比が、反応溶媒の全容量中、30%以上であることを特徴とする請求項1記載の製造法。
【請求項3】
芳香族炭化水素溶媒とシクロアルカン溶媒の混合溶媒中、反応を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の製造法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法で得られた前記式(3)で表される化合物を還元することを特徴とする一般式(1):
【化3】

(式中、R1、AおよびR2は前記に同じ)で表されるβ−ラクタム化合物の製造法。
【請求項5】
1がtert−ブチルジメチルシリル基である請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
【請求項6】
2がトリメチルシリルオキシ基である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−214284(P2008−214284A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55372(P2007−55372)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】