、光制御シート、該光制御シートを用いた映像表示装置、及び光制御シートの製造方法
【課題】容易に形成することが可能であるとともに、液晶パネルに好適な光を提供し、光源からの光を効率よく制御して出射することができる光制御シート、光制御シートの製造方法、及び当該光制御シートを用いた映像表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置の光源2と液晶パネル22との間に設けられる複数の層を有する光制御シート10であって、複数の層のうち少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部12と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部13と、を有する光学機能シート層11であり、光学機能シート層の一方の面には、光の照射により粘着力が低下する感光性粘着剤が積層されてなる感光性粘着剤層17が設けられ、感光性粘着剤層には光吸収部の位置に対応する位置に並列された光反射層18が積層されている。
【解決手段】液晶表示装置の光源2と液晶パネル22との間に設けられる複数の層を有する光制御シート10であって、複数の層のうち少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部12と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部13と、を有する光学機能シート層11であり、光学機能シート層の一方の面には、光の照射により粘着力が低下する感光性粘着剤が積層されてなる感光性粘着剤層17が設けられ、感光性粘着剤層には光吸収部の位置に対応する位置に並列された光反射層18が積層されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置等の映像表示装置における光源からの光を制御して出射することができる光制御シート、光制御シートの製造方法、及び当該光制御シートを用いた映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶ディスプレイ装置等では、光源からの光を、映像の情報が表わされる液晶パネル(以下、「LCD」と記載することがある。)を透過させて出射して観察者に映像を提供する。このときLCDに入射する光源からの光はできるだけLCDのパネル面法線に平行である光が好ましく、これにより観察者に提供する映像光の質を向上させることが可能となる。
【0003】
このためにいわゆるルーバーとよばれる光制御シートが用いられることがある。これはシート面に沿って所定の間隔を有して並列される矩形断面を有する光透過部と、該光透過部の間に光吸収可能に設けられる断面矩形の光吸収部とにより構成されている。これによれば、所定の角度を有して光制御シートに入射した光は光吸収部により吸収される。そして、シート面法線に平行、又はそれに近い光のみが光透過部を透過する。これにより、上記したような好ましい光をLCDに入射させることができる。
【0004】
ところが、このようなルーバータイプの光制御シートでは、光の方向を制御できるものの、吸収されてしまう光も多いので映像が暗くなってしまう場合があった。明るい映像を得るために光源への投入エネルギを大きくしたり、より明るい光源を適用したりする必要があった。
【0005】
これに対して、特許文献1に記載のような視野角制御シートが開示されている。これによれば、光透過部を台形状とし、その間を傾斜面を有する光吸収可能な楔形部としている。当該楔形部の傾斜面では屈折率差に基づく反射ができるように形成されており、入射した光を平行なものに近付けて出射することが可能である。従って出射光の輝度(明るさ)はルーバーの場合よりも大きくすることができる。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の光制御シートでは、楔形部の底辺側(光源に面する側)に光反射層が設けられ、ここで反射した光が光源側に戻り、再度反射して光制御シートに戻ってくることができるので、これによっても明るさを向上させることが可能となる。
【特許文献1】特開2006−171701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような光反射層を各楔形部に設けることは、微細な構造である楔形部にのみさらに微細な層を的確に配置することを要するので、製造の困難があった。そしてこれに基づいて製造コストも高くなる傾向にある。
【0008】
そこで本発明は、容易に形成することが可能であるとともに、液晶パネルに好適な光を提供し、光源からの光を効率よく制御して出射することができる光制御シート、光制御シートの製造方法、及び当該光制御シートを用いた映像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
請求項1に記載の発明は、液晶表示装置の光源(2)と液晶パネル(22)との間に設けられる複数の層を有する光制御シート(10)であって、複数の層のうち少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部(12)と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部(13)と、を有する光学機能シート層(11)であり、光学機能シート層の一方の面には、光の照射により粘着力が低下する感光性粘着剤が積層されてなる感光性粘着剤層(17)が設けられ、感光性粘着剤層には光吸収部の位置に対応する位置に並列された光反射層(18)が積層されている光制御シートにより前記課題を解決する。
【0011】
ここでプリズム部が「シート面に沿って並列され、」とは、当該プリズム部がシート面の一方向に沿って並列されることに限定されず、シートの面に沿って所定の法則性を有して並べられるように配置されていれば良い概念である。従って、例えばシート面に沿って斜めに並べられてもよいし、千鳥状に並べられてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光制御シート(10)において、光学機能シート層(11)のプリズム部(12)は光源(2)側に短い上底、液晶パネル(22)側に長い下底を有する台形断面であり、光学機能シート層の光吸収部(13)は光源側に底辺、液晶パネル側に頂点を有する三角形断面であり、光反射層(18)は三角形断面の底辺に対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光制御シート(10)において、光吸収部(13)には平均粒径が1μm以上である光吸収粒子(15)を分散させたバインダー(14)が充填されていることを特徴とする。
【0014】
ここで「平均粒径が1μm以上」であることにおける「平均粒径が1μm」とは、重量分布法による粒度測定で、粒径が0.5μm以上で、1.5μmより小さい粒子を対象とし、粒度分布において標準偏差が0.3以上であることを意味する。以下同様である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、光反射層(18)は、光反射材料を含む透明樹脂層からなることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光制御シート(10)において、光反射材料が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムのいずれか1種類又は2種類以上を含む白色顔料であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、光反射層(18)が、金属薄膜からなることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、感光性粘着剤層(17)の感光性粘着剤が、感光した部分の粘着力が未感光部分の粘着力に比べて50%以上低下したものであることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、感光性粘着剤層(17)の感光性粘着剤が、ラジカル反応によって感光した部分の粘着力が低下するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シート(10)と、該光制御シートの一方の側に配設される光源(2)と、光制御シートの他方の側に配設される液晶パネル(22)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の液晶表示装置において、液晶パネル(22)より観察者側に、複数の層を有する光学シート(30’)が積層され、複数の層のうち少なくとも1層が光を拡散可能に形成された光拡散機能シート層(33’)であり、光拡散機能シート層は、光を透過可能にシート面に沿って並列され、液晶パネル側に長い下底、観察者側に短い上底を有する台形断面であるプリズム部(33a’)と、プリズム部間に光を吸収可能に並列され、観察者側に底辺、液晶パネル側に頂点を有する三角形断面である光吸収部(33b’)と、を有していることを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シート(10)を製造する方法であって、光学機能シート層(11)の一方の面に感光性粘着剤を積層し、感光性粘着剤層(17)を形成させる工程と、光学機能シート層の感光性粘着剤層が積層された面とは反対側の面側から光を照射して露光された部分の感光性粘着剤の粘着力を低下させる工程と、
感光性粘着剤層に、光反射層(18)となる材料を有する転写シートを積層する工程と、光反射層転写シートを剥離し、感光性粘着剤層の非露光部に光反射層となる材料を転写して光反射層を形成する工程と、を含む光制御シートの製造方法を提供することにより前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光制御シート、映像表示装置によれば、容易に光反射層を形成することができる構成であるとともに、液晶パネルに好適な光を提供しつつ、光源からの光を効率よく制御して出射することが可能となる。そして実際に本発明の光制御シートの製造方法により容易に光反射層を製造することができる。
【0024】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は1つの実施形態に係る光制御シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。以下に示す図では、見易さのため、繰り返しとなる符号は一部省略することがある(以降に示す各図において同じ。)。
【0027】
光制御シート10は、光学機能シート層11、PETフィルム層16、感光性粘着剤層17、及び光反射層18、18、…を有している。各層は図1で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。以下に各層について説明する。
【0028】
光学機能シート層11は、光制御シート10のシートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部12、12、…と、該プリズム部12、12、…の間に配置された光吸収部13、13、…とを備えている。図2に2つの光吸収部13、13及びこれに隣接するプリズム部12、12、12に着目した拡大図を示した。図1、図2、及び適宜示した図を参照しつつ光学機能シート層11について説明する。
【0029】
プリズム部12、12、…は一方のシート面側が上底、他方のシート面側が下底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部12、12、…は、屈折率がNpである光透過性樹脂で構成されている。これは通常、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有する例えばエポキシアクリレート等により形成されている。Npの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。
【0030】
当該プリズム部12、12、…内を映像光が透過することにより液晶パネルに光を提供することができる。
【0031】
光吸収部13、13、…は、プリズム部12、12、…の間に配置される部位である。光吸収部13、13、…はプリズム部12、12、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部12、12、…の下底側となるような略三角形形状である。該光吸収部13、13、…は、屈折率がNbである物質が充填されたバインダー部14と、該バインダー部14に混入された光吸収粒子15、15、…とを備えている。
【0032】
バインダー部14に充填されるバインダー材の屈折率Nbの大きさは特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。
【0033】
バインダー材としては、例えば、上記所定の屈折率を有する透明な樹脂で、電離放射線硬化作用を有する紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が用いられる。直接に電離放射線で硬化反応するものや、触媒又は開始剤と呼ばれる反応を励起させる物質を介して硬化反応を起こさせるものもある。電離放射線硬化型樹脂としては、反応性オリゴマー(エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等)、反応性のモノマー(ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等)が適宜選択される。
【0034】
ここで、本発明の光制御シート10における屈折率Npと屈折率Nbとの差は、特に限定されるものではないが、Np−Nbが0より大きく、0.10以下であることが好ましい。これによりプリズム部12、12、…と光吸収部13、13、…との界面で適切に全反射がおこなわれるとともに、シート面法線に対して大きい角度を有している光を光吸収部13、13、…に入射させて吸収させることができる。
【0035】
光吸収粒子15、15、…は、カーボン等の顔料又は赤、青、黄等の染料にて所定の濃度に着色された粒子である。これには例えば市販の着色樹脂微粒子を使用することもできる。具体的には、黒色の粒子としてカーボンブラック等の黒色顔料や樹脂粒子例えばアクリル等の透明粒子を前記カーボンブラック等の黒色顔料にて染色したもの等が用いることができる。また、黒色顔料以外の青色、紫色、黄色、赤色の各種顔料及び/又は染料の混合、又は青色、紫色、黄色、赤色着色材に前記黒色着色材を混合分散し、実質的に黒色にした材料を使用しても良い。青色顔料としては、銅フタロシアニン等が、紫色顔料としては、ジオキサジンバイオレット等が、黄色顔料としては、ジスアゾイエロー等が、赤色顔料としては、クロモフタルレッドタイペル等が用いられるが、その限りではなく、顔料でなく、染料でも良い。また、青色、紫色、黄色、赤色、黒色顔料または染料を混合分散した着色顔料又は染料で、樹脂粒子例えばアクリル等の透明粒子を着色した着色粒子でも良い。上記の着色粒子の中で、本発明においては、黒色粒子がもっとも光吸収性が高いので好ましい材料である。
【0036】
また、光吸収粒子15、15…は入手性及び取扱いの観点から平均粒径が1μm以上の粒子が好ましく、加えて光吸収部13、13、…の三角形である底辺の長さの半分以下であることがさらに好ましい。光吸収粒子15の大きさが1μm未満と小さすぎると、斜辺に多くの光吸収粒子が存在し得ることになり、当該斜辺で全反射すべき光の一部も吸収してしまうことがあり、反射効率の低下を招く虞があるからである。一方、光吸収粒子15の大きさが光吸収部13の底辺の長さの半分を超えて大きすぎると、製造時に、光吸収部13の内部に充填しにくくなり充填率が悪くなる。さらには各光吸収部の充填率にばらつきが生じることになり、光学的なムラが生じて好ましくない。
【0037】
さらに光吸収粒子15、15、…の分散量は、光吸収部13、13、…の全体の体積に対して10〜50体積%であることが好ましい。かかる比率を維持することによって、十分な光吸収効果を保ちつつ、容易な製造条件を与えることができる。
【0038】
また、光を吸収する観点からは、光吸収部13、13、…の光吸収性能は目的によって適宜調整可能であるが、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるように構成されていることが好ましい。透過率を40〜70%とするための手段は特に限定されるものではないが、例えば光吸収粒子の含有量や光吸収性能を調整して適用することを挙げることができる。
【0039】
さらに、光吸収部13、13、…の斜辺(シート厚さ方向に延在する2つの辺)のシート面法線に対する角度θは目的に応じて変更可能であり、特に限定されるものではないが、通常の表示装置の場合、適切に外光及び映像光の反射、吸収をする観点から、0度より大きく10度以下であることが好ましく、0度より大きく6度以下であることがさらに好ましい。
【0040】
光学機能シート層11の形状は、図1、図2に示したように、プリズム部12、12、…が略台形断面を有し、これらに挟まれて形成される光吸収部13、13、…は三角形断面を有している。しかし、適切に光を制御することができれば、これら形状は特に限定されることなく適宜適切な形状が採用される。図3に変形例を示した。図3は図2に相当する図で、光学機能シート層11’における2つの光吸収部13’、13’と、その両側に配置されるプリズム部12’、12’、12’に注目して示した図である。図3からわかるように、光吸収部13’、13’の断面における斜辺(プリズム部12’、12’、12’の斜辺)は、1つの斜辺からではなく、2つの斜辺13a’、13a’、…、13b’、13b’…から構成されている。すなわち断面において折れ線状の斜辺を有している。詳しくは、プリズム部12’、12’、12’の上底(短い側の底)側(紙面左側)に配置される斜辺13a’、13a’、…は光制御シートのシート面の法線に対して角度θ1を有している。一方、プリズム部12’、12’、12’の下底(長い側の底)側(紙面右側)に配置される斜辺13b’、13b’、…は光制御シートのシート面の法線に対して角度θ2を有している。
【0041】
この角度θ1、θ2は、θ1>θ2の関係であるとともにいずれも0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。また、2つの斜辺13a’、13b’は、光学機能シート層11’の厚み方向(紙面左右方向)にZ1とZ2に分ける位置で交差する。Z1とZ2とは同じ大きさであることが好ましい。
【0042】
当該変形例は、2つの斜辺により構成されている例であるが、さらに多くの斜辺で構成されることにより、断面において折れ線状であっても良い。さらにはこれが曲線状であっても良い。
【0043】
本実施形態では、光吸収部が略三角形である場合を示して説明したが光吸収部の形状はこれに限定されるものではない。例えば台形であってもよい。図4に、光吸収部が台形である例における光制御シートの光学機能シート層11’’の光吸収部13’’、13’’及びこれに隣接するプリズム部12’’、12’’、12’’を示した。ここでは、図4のように光吸収部13’’、13’’が台形であり、このときには該台形における長い底辺(下底)をプリズム部12’’の上底側、短い底辺(上底)をプリズム部12’’の下底側に配置することができる。ここで図4にAで示した上底の長さは2〜25μmの範囲であることが好ましい。また、台形の斜辺は、シート面法線に対してθ3の角度を有して形成されている。この角度θ3の大きさは特に限定されるものではないが、0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。
【0044】
また、本実施形態では、上記したように光吸収部の斜辺における全反射の効率の観点から光吸収部に光吸収粒子を混入させることにより光吸収性能を得ることとした。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、光吸収部にカーボン等の顔料や所定の染料を混入して光吸収部全体を所定の濃度に着色してもよい。
【0045】
図1に戻り、引き続き光制御シート10に備えられる構成について説明する。PETフィルム層16は、該PETフィルム層16の一方の面上に光学機能シート層11を形成するためのベースとなる基材層としてのフィルム層で、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として形成されている。当該PETフィルム層16はPETを主成分として含有していればよく、他の樹脂が含まれてもよい。ここで主成分とはPETフィルム層全体に対して50質量%以上を意味する。また、各種添加剤を添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。
【0046】
ここでは基材層としてPETフィルム層を説明したが、必ずしもPETを材料とすることはなく、その他にもポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂等の「ポリエステル系樹脂」を用いることができる。本実施形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする樹脂が好ましい材料であるとして説明した。
【0047】
感光性粘着剤層17は、感光性粘着剤が積層された層である。当該層により後述するように光反射層を容易に、かつ適切な位置に配置することが可能となる。
【0048】
感光性粘着剤層17は、光学機能シート層11の面のうち、光吸収部13、13、…の底辺が配置される側の面に積層される。従ってPETフィルム層16とは光学機能シート層11を挟んで反対側に積層されている。
【0049】
感光性粘着剤層17に用いられる感光性粘着剤としては、ラジカル反応によって感光部分の粘着力が低下するものが好ましく、この感光部分の粘着力が未感光部分の粘着力に比べて50%以上低下するものが特に好ましい。
【0050】
具体的には例えば、粘着性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤から構成されるものがある。
粘着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等があり、耐久性及び接着性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0051】
アクリル系粘着性樹脂は、アクリル酸アルキルエステルと他の単量体と官能性単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合樹脂を主成分とするものである。
アクリル酸アルキルエステルは、そのアルキル基の炭素数が4〜15のものであり、例えばアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル等が挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用されてもよい。
他の単量体としては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用してもよい。
【0052】
また、官能性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチルなどが挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用されてもよい。また、側鎖に光反応性基、例えば不飽和二重結合を有するアクリル系共重合樹脂を使用することもできる。
【0053】
アクリル系共重合樹脂におけるアクリル酸アルキルエステルと他の単量体と官能性単量体の構成比(質量%)は、70〜99:0〜20:0.01〜20、好ましくは80〜95:0〜10:0.1〜15であり、アクリル系共重合樹脂の質量平均分子量は20万〜120万、好ましくは40万〜100万のものである。
【0054】
アクリル系粘着剤は、上記のアクリル系共重合樹脂の他に、凝集力を向上させるために室温架橋型または加熱架橋型架橋剤、粘着力やTAC、粘弾性を改質するために粘着付与剤等を含有させてもよい。
【0055】
室温架橋型架橋剤としては、アクリル系粘着剤を室温条件下でのエージング処理による架橋処理を可能とするものであり、具体的には、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物及びこれらポリイソシアネート化合物の3量体、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー、これらのポリイソシアネート化合物、これらポリイソシアネート化合物の3量体が挙げられる。多価イソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。また、架橋剤としてアルミニウムやチタン等の金属キレート化合物や多官能エポキシ化合物を用いてもよい。
【0056】
室温架橋型架橋剤は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して0.005〜20質量部、特に0.01〜10質量部の割合で添加されるとよい。
【0057】
加熱架橋型架橋剤は、アクリル系粘着剤を100℃以上、好ましくは130℃以上、加熱時間1分〜30分で加熱することにより、架橋作用を示すものであり、具体的には、ホルムアルデヒドと、メラミン、ベンゾグアミン、尿素等を反応させて得られるメチロール基含有化合物、及びそれらのメチロール基の一部または全部を脂肪族アルコールでエーテル化したもの等が挙げられる。加熱架橋型架橋剤としては、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して、0.01〜25質量部、特に0.1〜20質量部の割合で添加されるとよい。
【0058】
粘着付与剤は、アクリル系粘着剤に粘着性の向上を目的として所望により添加され、例えばロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられ、アクリル系粘着剤中、0質量%〜50質量%、好ましくは0質量%〜40質量%である。
【0059】
光重合性化合物は、重合形式により、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物、光二量化を経由して重合を開始する化合物等が例示されるが、材料の選択範囲、重合反応性等から光ラジカル重合性化合物を使用することが好ましい。
【0060】
光ラジカル重合性化合物としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。具体例として脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーを挙げる。アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレン等を挙げることができる。
【0061】
また、硫黄含有アクリル化合物を使用することもでき、例えば、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
メタクリル酸エステルとしては、上記アクリル酸エステル化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、「アクリロイル」が「メタクリロイル」になる化合物等がある。
【0063】
これらの光重合性化合物は1種もしくは2種以上の混合物として使用することもできる。光重合性化合物は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して0.1〜200質量部、特に10〜150質量部の割合で添加されるとよい。
【0064】
光重合開始剤としては、上記光重合性化合物の重合方式により適宜選択される。光ラジカル重合性化合物に対して使用できる光重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が例示される。また、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物等も使用することができ、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
これらの光重合開始剤は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部の割合で配合される。
【0066】
感光性粘着剤層を感光させるために使用する露光光源波長への感度を向上させることを目的として、増感色素を加えることもできる。具体的には、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、シアニン系色素、キノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、キサントン系色素、チオキサントン系色素、ローダミン系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素等を挙げることができる。
【0067】
これらの増感色素は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で配合される。その他、粘着力の制御や後述するコーティング適性改良を目的として、各種可塑剤、界面活性剤等を使用することもできる。
【0068】
感光性粘着剤層としては、JIS−Z0237に規定される180°剥離強度測定より得られる感光部の粘着力が、未感光部の粘着力に対して50%以上低下するものを使用することが好ましい。このような感光性粘着剤層を使用することで、後述する光反射層の形成がより容易となる。
【0069】
図1に戻り、引き続き光制御シート10に備えられる構成について説明する。光反射層18、18、…は、感光性粘着剤層17に積層される。感光性粘着剤層17は上記したように光学機能シート層11に積層されているので、光反射層18、18、…は感光性粘着剤層17の面のうち、光学機能シート層11とは反対側の面に積層されている。
【0070】
また、光反射層18、18、…は、光吸収部13、13、…の底辺に対応する部分にのみ備えられ、プリズム部12、12、…に対応する部分には配置されていない。これにより後述するように光源からの光を再利用する等して明るい映像を提供することが可能となる。詳しくは後で説明する。
【0071】
本実施形態において、光反射層18、18、…は、光反射材料を含む透明樹脂層からなるものである。光反射材料は特に限定されるものではないが、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムのいずれか、あるいは2種類以上を含む白色顔料、又は白色に着色した樹脂ビーズ、又はガラスビーズ等を挙げることができる。樹脂ビーズの材質としては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等がある。樹脂ビーズ又はガラスビーズは、反射率の制御のために粒径が特定されているものが好ましく、その平均粒径は1μm以上が好ましい。さらには、光吸収部13、13、…の底辺の長さの1/2以下がさらに好ましい。樹脂ビーズ、ガラスビーズの粒径が1μm未満であると、光の反射効果が不十分となってしまい、逆に、粒径が上記範囲を越えると、光反射層18、18、…を形成する樹脂組成物の塗工が困難となってしまうからである。
【0072】
本実施形態では光反射層として光反射材料を含む透明樹脂であることとしたが、これに限定されるものではなく光を適切に反射することができればよい。従って、光反射層として金属の薄膜が用いられていてもよい。これにはたとえばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を挙げることができる。
【0073】
光制御シートの上記構成により、光反射層を直接に光吸収部の底面に配置する例に比べて光反射層の形状をより適切なものにすることができる。光反射層を光吸収部の底面に配置する場合には、光反射層の平坦度や凹凸が該底面の形状によってばらつきを生じることがあるからである。光反射層の凹凸や平坦度は光の反射に直接影響があるので、当該凹凸や平坦度を適切にすることにより反射光の有効利用にも大きな効果を奏する。
【0074】
また、光反射層の厚さのばらつきも防止することができ、光の反射性能の安定を図ることが可能となる。
【0075】
以上説明した光制御シート10は、例えば次のように形成することができる。以下に製造方法の一例を説明する。
【0076】
はじめに光学機能シート層11については次の通りである。
まず、PETフィルムの一面側に、最終的にプリズム部12、12、…となる液状の材料を塗布する。次にプリズム部形状を形成するロール金型とPETフィルムとの間に、上記プリズム部となる材料を挟んだ状態で紫外線を照射する。これにより材料が硬化し、プリズム部12、12、…が形成される。
【0077】
そして、上記形成されたプリズム部12、12、…の間に、バインダー部14、14、…となる透明樹脂中に黒色の光吸収粒子15、15、…が分散された材料をスキージする等して充填する。その後該光吸収粒子15、15、…が分散された透明樹脂を硬化させて光吸収部13、13、…とする。これにより光学機能シート層11が形成される。
【0078】
感光性粘着剤層17及び光反射層18、18、…については次の通りである。図5〜図7に工程を説明するための図を示した。
はじめに、図5(a)、図5(b)に示したように、形成された光学機能シート11の面のうち、光吸収部13、13、…の三角形断面である底辺が配置される側の面(すなわちPETフィルム層16が積層される面とは反対側の面)に感光性粘着剤を塗工する。これにより感光性粘着剤層17が形成される。
【0079】
感光性粘着剤の塗工は、例えば次のようにして行う。すなわち、上記した感光性粘着剤が固体の場合にはこれを、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール等の溶剤に溶解して塗工する。塗工の方法は特に限定されるものではないが、光学機能シート層に直接塗工してもよいし、剥離可能なフィルムに塗工した感光性粘着剤の層を光学機能シート層に転写してもよい。光学機能シート層への塗工、又は剥離可能なフィルムへの塗工は、各種のコータ−を利用することができる。これには例えばダイコーター、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を挙げることができる。また、必要に応じてエージング処理や加熱を行う。
【0080】
感光性粘着剤の組成物が液状で供給できる場合には、特に溶剤を必要とすることなく、そのまま塗工すればよい。
【0081】
次に上記形成されたPETフィルム層16、光学機能シート層11、及び感光性粘着剤層17の積層体に対し、PETフィルム層16側(感光性粘着剤層17)とは反対側)から光Lsを照射する。これにより光Lsが照射された部分の感光性粘着剤層17b、17b、…の粘着力がラジカル反応によって低下する。詳しくは次の通りである。
【0082】
図6(a)に例を示したように、照射される光Lsのうちの光Ls1はPETフィルム層16、プリズム部12を透過して感光性粘着剤層17に達し、これにより感光性粘着剤層17の符号17bで示した部分の粘着力を低下させる。また、光Ls2は、PETフィルム層16を透過して、プリズム部12に入り、プリズム部12と光吸収部13との界面で全反射して感光性粘着剤層17に達する。これによっても感光性粘着剤層17の符号17bで示した部分の粘着力を低下させる。ここで、当該全反射はプリズム部12と光吸収部13との屈折率差に基づいておこなわれる。
【0083】
一方、光Ls3は、PETフィルム層16を透過して、プリズム部12に入り、さらに光吸収部13内に侵入する。このような光Ls3は、光吸収粒子15に吸収される。
【0084】
以上より、感光性粘着剤層17のうち光Lsが照射されて粘着力が低下するのは、プリズム部12、12、…の上底に対応する部位に配置された部分(符号17b、17b、…で示した部分)のみである。そして、光吸収部13、13、…の底辺に対応する部位に配置された部分(符号17a、17a、…で示した部分)は露光しないので、感光性粘着剤層17の粘着力は維持される。
【0085】
これによれば、照射する光Lsは平行光である必要はなく、例え広がりを有する光であっても、自動に必要な部分のみの粘着力低下をさせることができる。従って、照射させる光の条件を緩和することができ、生産上の観点から優れたものとすることができる。照射する光の波長、時間、強度は使用する感光性粘着剤により適宜調整する。
【0086】
次に図6(b)に示したように、転写シート50の一方の面に光反射材51を積層した積層体を準備しておき、これを矢印Bで示したように感光性粘着剤層17に積層させる。
【0087】
ここで、転写シート50は、通常使用される剥離紙等を用いることができる。また、その他にも、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面をフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤により離型処理(剥離調整層の形成)された離型性フィルムを使用することも可能である。また、光反射材51は、上記した光反射層18、18、…となるものである。
【0088】
このようにして形成されたPETフィルム層16、光学機能シート層11、感光性粘着剤層17、光反射材51、及び転写シート50の積層体から図7(a)に矢印Cで示すように、転写シート50を剥がす。
すると、光反射材51のうち、符号17a、17a、…で示した感光性粘着剤層17の部分に配置された光反射材51は、該感光性粘着剤層17の粘着力によりここに残り、光反射層18、18、…となる。一方、符号17b、17b、…で示した感光性粘着剤層17の部分に配置された光反射層51は、上記のように感光性粘着剤層17の粘着力の低下により、剥離可能フィルム50に追随して剥がされる(符号51’、51’、…)。これにより図7(b)に示したように、光反射層18、18、…が形成される。
【0089】
このように光反射層18、18、…を形成することにより、光吸収部の内側に光反射層を充填して形成する場合に比べて、該光反射層の厚さのバラつきを小さく抑えることが可能となる。また、光反射層の厚さの調整も容易であり、必要に応じた層厚の設定ができる。
また、光反射層の形成に際して、光吸収部13、13、…の構成に何ら影響を与えないので、光制御シート10の性能の安定性を向上させることも可能である。
【0090】
図8は、光制御シート10を備える映像表示装置のうち、該光制御シート10を具備する映像源ユニット1の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図8では紙面右が観察者側となる。
【0091】
映像源ユニット1は、バックライト2、プリズムシート3、光制御シート10、映像源20、及び光拡散シート30を備えている。
【0092】
バックライト2は、映像表示装置の光源である。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるバックライトを用いることができる。これには例えば、発光源を面内に略均等に配置して面状の光源とする形式や、縁(エッジ)に発光源を配置して反射面等を利用して最終的に面状に光を出射するエッジ入力型とする形式等を挙げることができる。
【0093】
プリズムシート3は、バックライト2からの光を面光源としてできるだけ均一とするためのシートである。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるプリズムシート3を用いることができる。
【0094】
光制御シート10は、上記で説明した通りである。ここで光制御シート10は、光反射層18、18、…が配置された側をバックライト2側とする向きで配置される。
【0095】
映像源20は、映像表示装置の映像が表される部位であり、偏光板21、23、及びこれに挟まれる液晶パネル22を備えている。
【0096】
偏光板21、23は、液晶パネル22を挟むように配置される一対の光学要素であり、吸収軸方向に平行な振動面を有する偏光光を吸収する一方、吸収軸方向に直交する振動面を有する偏光光を透過する機能を有する。当該偏光板21、23と液晶パネル22を透過したバックライト2の光が映像光となり観察者側に出射される。
【0097】
液晶パネル22には、ここに出射されるべき映像情報が表されている。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられる液晶パネルを用いることができる。
【0098】
光拡散シート30は、上記映像源20からの映像を制御して、観察者に質の高い映像を提供する各機能のシートが積層されたシートである。光拡散シート30は、粘着剤層31、PETフィルム層32、光拡散機能シート層33、粘着剤層34、TACフィルム層35、及びアンチグレアフィルム層(AG層)36を備えている。
【0099】
粘着剤層31、34は、粘着剤が配置された層である。粘着剤層31、34に用いられる粘着剤は光を透過させるとともに、他に接着させることができればその材質は特に限定されるものではない。これには、例えばPSA(感圧接着剤、pressure sensitive adhesive)を挙げることができる。その粘着力は例えば数N/25mm〜20N/25mm程度である。
【0100】
PETフィルム層32は、該PETフィルム層32の一方の面上に光拡散機能シート層33を形成するためのベースとなる基材層としてのフィルム層で、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として形成されている。当該PETフィルム層32は、上記したPETフィルム層16の説明と共通するのでここではその説明を省略する。
【0101】
光拡散機能シート層33は、シートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部33a、33a、…と、該プリズム部33a、33a、…の間に形成される空洞部33b、33b、…とを備えている。
プリズム部33a、33a…は、映像源20側が下底、観察者側が上底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部33a、33a、…は、屈折率がNkである光透過性樹脂で構成されている。これには上記した光学機能シート層11で説明した材料により形成することができる。Nkの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。また、プリズム部33a、33a、…の台形である斜辺は、シート面法線に対して所定の角度を有するように設定される。
【0102】
空洞部33b、33b、…は、プリズム部33a、33a、…の間に形成される部位である。従って空洞部33b、33b、…はプリズム部33a、33a、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部33a、33a、…の下底側となるような略三角形形状である。空洞部24、24、…は、空洞で空気が存する状態にあり、屈折率は1.0である。
【0103】
プリズム部33a、33a、…及び空洞部33b、33b、…の屈折率差は、Nk−1.0となる。また、プリズム部33a、33aの斜辺は傾斜を有している。これにより、当該斜辺に達した映像光はここで上記屈折率差に基づいて全反射するともに、該映像光の視野角を拡げる方向に出射することが可能となる。
【0104】
TACフィルム層35は、トリアセチルセルロースにより形成されるフィルムであり、保護膜として用いられる。また、TACフィルム層35は、光拡散シート30に備えられる機能層を構成する層の1つである。ここに用いられるTACフィルムは通常の液晶映像源ユニットに用いられるものを適用することができる。
【0105】
AG層36は、観察者が画面を見た時のぎらつきを防止(防眩)することができるフィルムである。AG層36も光拡散シート30に備えられる機能層を構成する層の1つである。ここに用いられる防眩フィルムは通常に入手できるものを適用することが可能である。
【0106】
本実施形態では、機能層に備えられる層としてTACフィルム層35及びAG層36を挙げたが、当該機能層に具備される層はこれに限定されるものではない。入射した映像光の質を高めて出射することができる機能を有する層であればこれに含めることができる。これには例えば反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、偏光フィルタ層、防汚層等を挙げることができる。
反射防止層はいわゆるアンチリフレクション層であり、AR層ともいわれる。これは反射を防止することができる機能を有するフィルムが配置される。
ハードコート層は、HC層ともいわれる。これは、画像表示面に傷がつくことを抑えるために耐擦傷性を付与することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
帯電防止層は、アンチスタティック(AS)層ともいわれる。これは、帯電、すなわち静電気が帯電することを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。これには通常に入手できるASフィルムを適用することが可能である。
防汚層は画面表面の汚れを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
偏光フィルタ層は、上記した偏光フィルタと同様のものである。必要に応じてここに配置してもよい。
【0107】
図9は、上記した映像源ユニット1の変形例の映像源ユニット1’である。図9は図8と同様で、映像表示装置のうち映像源ユニット1’の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1’は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図9では紙面右が観察者側となる。
【0108】
映像源ユニット1’は、映像源ユニット1の光拡散シート30のうち光拡散機能シート層33を光拡散機能シート層33’にしたものである。従って他の層については映像源ユニット1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
光拡散機能シート層33’では、光拡散機能シート層33の空洞部33b、33b…に光吸収粒子33d’、33d’、…を分散させたバインダー33c’を充填している。ここで、バインダー33c’に用いられるバインダー材、及び光吸収粒子33d’、33d’は特に限定されるものではないが、上記した光学機能シート層11の光吸収部13に用いたバインダー14、及び光吸収粒子15、15、…と同じものを用いることができる。
【0110】
これによれば、プリズム部33a’、33a’、…及び光吸収部33b’、33b’、…の屈折率差は、Nk−Nbとなる。また、プリズム部33a’、33a’の斜辺は傾斜を有している。これにより、当該斜辺に達した映像光はここで上記屈折率差に基づいて全反射するともに、該映像光の視野角を拡げる方向に出射することが可能となる。
【0111】
また、光吸収部33b’、33b’に所定の角度以上を有して入射した映像光は、当該屈折率差により全反射することなく、光吸収部33b’、33b’に入射し光吸収粒子33d’、33d’、…に吸収される。従って、観察者側に出射されることが好ましくないいわゆる迷光等を吸収することも可能である。さらに、観察者側からは光吸収部33b’、33b’、…に入射した外光を吸収することもできるので、コントラストを向上させることも可能である。
【0112】
図10は、上記した映像源ユニット1’のさらなる変形例の映像源ユニット1’’である。図10は図9と同様で、映像表示装置のうち映像源ユニット1’’の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1’’は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図10では紙面右が観察者側となる。
【0113】
映像源ユニット1’’では、映像源ユニット1’で説明した光拡散機能シート層33’の観察者側に、感光性粘着剤層37が積層されている。さらにその観察者側で光吸収部33b’、33b’の底辺部に相当する部位には、光吸収層38、38、…が備えられている。ここで感光性粘着剤層37は、上記説明した感光性粘着剤層17と同じである。また、光吸収層38は、上記した光反射層18に代えて、光吸収性の染料や顔料を混入して光吸収性能を備えさせた層である。
【0114】
これによれば、外光や迷光を当該光吸収層38で吸収することができ、さらに映像光のコントラストを向上させることができる。また、光吸収層38と光反射層18との違いはあるものの、光拡散機能シート33’、感光性粘着剤層37、及び光吸収層38、38、…の形成についても上記光制御シート10と同様の製造工程を用いることが可能となる。
【0115】
このような映像表示装置が作動し、光制御シート10に入光した光の光路について、説明する。図11に光路例を示した。バックライト2からプリズム部12の中央部付近に入射した光L1は、プリズム部12内を直進して通過し、液晶パネル側に出射される。
【0116】
バックライト2からから所定の角度を有してプリズム部12の端部付近に入射した入射光L2、L3は、屈折率Npのプリズム部12と屈折率Nbの光吸収部13との屈折率差により斜面にて全反射され、シート面法線に平行な角度に近づいて液晶パネル側に出射される。
【0117】
また、光反射層18に入射した光L4は、光反射層18により反射されるが、この反射光は、バックライト2側に反射板等の光反射材料を設けることで再利用することができ、輝度の向上に寄与する光となる。
【0118】
さらに、プリズム部12に大きな角度を有して入射した光L5は、プリズム部12と光吸収部13との屈折率差によっても全反射されることなく光吸収部13の内部に入光し、光吸収粒子15に吸収される。
【0119】
このようにしてバックライト2からの光をできるだけシート面法線に平行である角度に近い光を映像源に提供することが可能で、かつ、輝度の低下を抑制することができる光制御シートを提供することが可能となる。
【0120】
一方、図9に示した映像源ユニット1’において、光制御シート10及び映像源20を透過した映像光は、光拡散シート30’において次のように観察者側に出射される。図12は図9に示した映像源ユニット1’のうち光拡散シート30’の一部を拡大して示し、合わせて光路例を表した図である。
これによれば、映像光L11は、光拡散シート30’内に備えられる各層を透過して、通常に観察者に出射される。また、映像光L12、L13は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との界面で全反射されて観察者側に出射される。このとき光吸収部33b’、33b’、…の斜辺は上記したように傾斜しているので、当該斜辺による反射の前後で光の角度が変わり、視野角を広げる方向への映像光の出射が可能となる。これにより広い視野角を得ることができる。
【0121】
また、映像光L14は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との屈折率差に基づいて、その界面で全反射することなく、光吸収部33b’、33b’、…に侵入した映像光である。このような映像光L14は、光吸収粒子33d’により吸収される。また、迷光もこのような態様により吸収させることができる。
【0122】
一方、外光として映像表示装置に入射した外光L15は、光吸収部33b’に入射して光吸収粒子33d’により吸収される。このように外光の一部が光吸収部33b’、33b’、…に吸収されてコントラストを向上させることができる。
【0123】
また、図10に示した映像源ユニット1’’において、光制御シート10及び映像源20を透過した映像光は、光拡散シート30’’において次のように観察者側に出射される。図13は図10に示した映像源ユニット1’’のうち光拡散シート30’’の一部を拡大して示し、合わせて光路例を表した図である。
これによれば、映像光L21は、光拡散シート30’’内に備えられる光吸収層38以外の各層を透過して、通常に観察者に出射される。また、映像光L22、L23は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との界面で全反射されて観察者側に出射される。このとき光吸収部33b’、33b’、…の斜辺は上記したように傾斜しているので、当該斜辺による反射の前後で光の角度が変わり、視野角を広げる方向への映像光の出射が可能となる。これにより広い視野角を得ることができる。
【0124】
また、映像光L24は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との屈折率差に基づいて、その界面で全反射することなく、光吸収部33b’、33b’、…に侵入した映像光である。このような映像光L24は、光吸収粒子33d’により吸収される。また、迷光もこのような態様により吸収させることができる。
【0125】
一方、外光として映像表示装置に入射した外光L25は、光吸収層38により吸収される。このように外光の一部が光吸収層38に吸収されてコントラストを向上させることができる。このとき本例では、外光L25が光吸収層38により吸収されるので、例えば上記光拡散シート30’のように光吸収粒子による光吸収と異なり、光が粒子間を透過してしまうことがない。従って外光の吸収をさらに確実におこなうことが可能となる。
【0126】
以上、現時点において最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光制御シート、液晶表示装置、及び光制御シートの製造方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】1つの実施形態に係る光制御シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】図1に示した光制御シートの一部を拡大した図である。
【図3】プリズム部、光吸収部の形状の他の例を示した図である。
【図4】光吸収部が台形である例を示した図である。
【図5】光制御シートの製造方法の一部を説明する図で、感光性粘着剤層を形成する工程を説明する図である。
【図6】光制御シートの製造方法の一部を説明する図で、感光性粘着剤層を感光し、光反射層となる材料を積層する工程を説明する図である。
【図7】光制御シートの製造方法の一部を説明する図で、光反射層を転写する工程を説明する図である。
【図8】映像表示装置のうち映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に示した図である。
【図9】映像表示装置のうち他の例の映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に示した図である。
【図10】映像表示装置のうち、さらなる他の例の映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に示した図である。
【図11】光制御シートにおける光路を説明するための図である。
【図12】光拡散シートにおける光路を説明するための図である。
【図13】他の例の光拡散シートにおける光路を説明するための図である。
【符号の説明】
【0128】
1 映像源ユニット
2 バックライト(光源)
10 光制御シート
11 光学機能シート層
12 プリズム部
13 光吸収部
14 バインダー
15 光吸収粒子
16 PETフィルム層
17 感光性粘着剤層
18 光反射層
20 映像源
22 液晶パネル
30 光拡散シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置等の映像表示装置における光源からの光を制御して出射することができる光制御シート、光制御シートの製造方法、及び当該光制御シートを用いた映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶ディスプレイ装置等では、光源からの光を、映像の情報が表わされる液晶パネル(以下、「LCD」と記載することがある。)を透過させて出射して観察者に映像を提供する。このときLCDに入射する光源からの光はできるだけLCDのパネル面法線に平行である光が好ましく、これにより観察者に提供する映像光の質を向上させることが可能となる。
【0003】
このためにいわゆるルーバーとよばれる光制御シートが用いられることがある。これはシート面に沿って所定の間隔を有して並列される矩形断面を有する光透過部と、該光透過部の間に光吸収可能に設けられる断面矩形の光吸収部とにより構成されている。これによれば、所定の角度を有して光制御シートに入射した光は光吸収部により吸収される。そして、シート面法線に平行、又はそれに近い光のみが光透過部を透過する。これにより、上記したような好ましい光をLCDに入射させることができる。
【0004】
ところが、このようなルーバータイプの光制御シートでは、光の方向を制御できるものの、吸収されてしまう光も多いので映像が暗くなってしまう場合があった。明るい映像を得るために光源への投入エネルギを大きくしたり、より明るい光源を適用したりする必要があった。
【0005】
これに対して、特許文献1に記載のような視野角制御シートが開示されている。これによれば、光透過部を台形状とし、その間を傾斜面を有する光吸収可能な楔形部としている。当該楔形部の傾斜面では屈折率差に基づく反射ができるように形成されており、入射した光を平行なものに近付けて出射することが可能である。従って出射光の輝度(明るさ)はルーバーの場合よりも大きくすることができる。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の光制御シートでは、楔形部の底辺側(光源に面する側)に光反射層が設けられ、ここで反射した光が光源側に戻り、再度反射して光制御シートに戻ってくることができるので、これによっても明るさを向上させることが可能となる。
【特許文献1】特開2006−171701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような光反射層を各楔形部に設けることは、微細な構造である楔形部にのみさらに微細な層を的確に配置することを要するので、製造の困難があった。そしてこれに基づいて製造コストも高くなる傾向にある。
【0008】
そこで本発明は、容易に形成することが可能であるとともに、液晶パネルに好適な光を提供し、光源からの光を効率よく制御して出射することができる光制御シート、光制御シートの製造方法、及び当該光制御シートを用いた映像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
請求項1に記載の発明は、液晶表示装置の光源(2)と液晶パネル(22)との間に設けられる複数の層を有する光制御シート(10)であって、複数の層のうち少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部(12)と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部(13)と、を有する光学機能シート層(11)であり、光学機能シート層の一方の面には、光の照射により粘着力が低下する感光性粘着剤が積層されてなる感光性粘着剤層(17)が設けられ、感光性粘着剤層には光吸収部の位置に対応する位置に並列された光反射層(18)が積層されている光制御シートにより前記課題を解決する。
【0011】
ここでプリズム部が「シート面に沿って並列され、」とは、当該プリズム部がシート面の一方向に沿って並列されることに限定されず、シートの面に沿って所定の法則性を有して並べられるように配置されていれば良い概念である。従って、例えばシート面に沿って斜めに並べられてもよいし、千鳥状に並べられてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光制御シート(10)において、光学機能シート層(11)のプリズム部(12)は光源(2)側に短い上底、液晶パネル(22)側に長い下底を有する台形断面であり、光学機能シート層の光吸収部(13)は光源側に底辺、液晶パネル側に頂点を有する三角形断面であり、光反射層(18)は三角形断面の底辺に対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光制御シート(10)において、光吸収部(13)には平均粒径が1μm以上である光吸収粒子(15)を分散させたバインダー(14)が充填されていることを特徴とする。
【0014】
ここで「平均粒径が1μm以上」であることにおける「平均粒径が1μm」とは、重量分布法による粒度測定で、粒径が0.5μm以上で、1.5μmより小さい粒子を対象とし、粒度分布において標準偏差が0.3以上であることを意味する。以下同様である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、光反射層(18)は、光反射材料を含む透明樹脂層からなることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光制御シート(10)において、光反射材料が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムのいずれか1種類又は2種類以上を含む白色顔料であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、光反射層(18)が、金属薄膜からなることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、感光性粘着剤層(17)の感光性粘着剤が、感光した部分の粘着力が未感光部分の粘着力に比べて50%以上低下したものであることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光制御シート(10)において、感光性粘着剤層(17)の感光性粘着剤が、ラジカル反応によって感光した部分の粘着力が低下するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シート(10)と、該光制御シートの一方の側に配設される光源(2)と、光制御シートの他方の側に配設される液晶パネル(22)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供することにより前記課題を解決する。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の液晶表示装置において、液晶パネル(22)より観察者側に、複数の層を有する光学シート(30’)が積層され、複数の層のうち少なくとも1層が光を拡散可能に形成された光拡散機能シート層(33’)であり、光拡散機能シート層は、光を透過可能にシート面に沿って並列され、液晶パネル側に長い下底、観察者側に短い上底を有する台形断面であるプリズム部(33a’)と、プリズム部間に光を吸収可能に並列され、観察者側に底辺、液晶パネル側に頂点を有する三角形断面である光吸収部(33b’)と、を有していることを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シート(10)を製造する方法であって、光学機能シート層(11)の一方の面に感光性粘着剤を積層し、感光性粘着剤層(17)を形成させる工程と、光学機能シート層の感光性粘着剤層が積層された面とは反対側の面側から光を照射して露光された部分の感光性粘着剤の粘着力を低下させる工程と、
感光性粘着剤層に、光反射層(18)となる材料を有する転写シートを積層する工程と、光反射層転写シートを剥離し、感光性粘着剤層の非露光部に光反射層となる材料を転写して光反射層を形成する工程と、を含む光制御シートの製造方法を提供することにより前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光制御シート、映像表示装置によれば、容易に光反射層を形成することができる構成であるとともに、液晶パネルに好適な光を提供しつつ、光源からの光を効率よく制御して出射することが可能となる。そして実際に本発明の光制御シートの製造方法により容易に光反射層を製造することができる。
【0024】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は1つの実施形態に係る光制御シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。以下に示す図では、見易さのため、繰り返しとなる符号は一部省略することがある(以降に示す各図において同じ。)。
【0027】
光制御シート10は、光学機能シート層11、PETフィルム層16、感光性粘着剤層17、及び光反射層18、18、…を有している。各層は図1で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。以下に各層について説明する。
【0028】
光学機能シート層11は、光制御シート10のシートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部12、12、…と、該プリズム部12、12、…の間に配置された光吸収部13、13、…とを備えている。図2に2つの光吸収部13、13及びこれに隣接するプリズム部12、12、12に着目した拡大図を示した。図1、図2、及び適宜示した図を参照しつつ光学機能シート層11について説明する。
【0029】
プリズム部12、12、…は一方のシート面側が上底、他方のシート面側が下底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部12、12、…は、屈折率がNpである光透過性樹脂で構成されている。これは通常、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有する例えばエポキシアクリレート等により形成されている。Npの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。
【0030】
当該プリズム部12、12、…内を映像光が透過することにより液晶パネルに光を提供することができる。
【0031】
光吸収部13、13、…は、プリズム部12、12、…の間に配置される部位である。光吸収部13、13、…はプリズム部12、12、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部12、12、…の下底側となるような略三角形形状である。該光吸収部13、13、…は、屈折率がNbである物質が充填されたバインダー部14と、該バインダー部14に混入された光吸収粒子15、15、…とを備えている。
【0032】
バインダー部14に充填されるバインダー材の屈折率Nbの大きさは特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。
【0033】
バインダー材としては、例えば、上記所定の屈折率を有する透明な樹脂で、電離放射線硬化作用を有する紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が用いられる。直接に電離放射線で硬化反応するものや、触媒又は開始剤と呼ばれる反応を励起させる物質を介して硬化反応を起こさせるものもある。電離放射線硬化型樹脂としては、反応性オリゴマー(エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等)、反応性のモノマー(ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等)が適宜選択される。
【0034】
ここで、本発明の光制御シート10における屈折率Npと屈折率Nbとの差は、特に限定されるものではないが、Np−Nbが0より大きく、0.10以下であることが好ましい。これによりプリズム部12、12、…と光吸収部13、13、…との界面で適切に全反射がおこなわれるとともに、シート面法線に対して大きい角度を有している光を光吸収部13、13、…に入射させて吸収させることができる。
【0035】
光吸収粒子15、15、…は、カーボン等の顔料又は赤、青、黄等の染料にて所定の濃度に着色された粒子である。これには例えば市販の着色樹脂微粒子を使用することもできる。具体的には、黒色の粒子としてカーボンブラック等の黒色顔料や樹脂粒子例えばアクリル等の透明粒子を前記カーボンブラック等の黒色顔料にて染色したもの等が用いることができる。また、黒色顔料以外の青色、紫色、黄色、赤色の各種顔料及び/又は染料の混合、又は青色、紫色、黄色、赤色着色材に前記黒色着色材を混合分散し、実質的に黒色にした材料を使用しても良い。青色顔料としては、銅フタロシアニン等が、紫色顔料としては、ジオキサジンバイオレット等が、黄色顔料としては、ジスアゾイエロー等が、赤色顔料としては、クロモフタルレッドタイペル等が用いられるが、その限りではなく、顔料でなく、染料でも良い。また、青色、紫色、黄色、赤色、黒色顔料または染料を混合分散した着色顔料又は染料で、樹脂粒子例えばアクリル等の透明粒子を着色した着色粒子でも良い。上記の着色粒子の中で、本発明においては、黒色粒子がもっとも光吸収性が高いので好ましい材料である。
【0036】
また、光吸収粒子15、15…は入手性及び取扱いの観点から平均粒径が1μm以上の粒子が好ましく、加えて光吸収部13、13、…の三角形である底辺の長さの半分以下であることがさらに好ましい。光吸収粒子15の大きさが1μm未満と小さすぎると、斜辺に多くの光吸収粒子が存在し得ることになり、当該斜辺で全反射すべき光の一部も吸収してしまうことがあり、反射効率の低下を招く虞があるからである。一方、光吸収粒子15の大きさが光吸収部13の底辺の長さの半分を超えて大きすぎると、製造時に、光吸収部13の内部に充填しにくくなり充填率が悪くなる。さらには各光吸収部の充填率にばらつきが生じることになり、光学的なムラが生じて好ましくない。
【0037】
さらに光吸収粒子15、15、…の分散量は、光吸収部13、13、…の全体の体積に対して10〜50体積%であることが好ましい。かかる比率を維持することによって、十分な光吸収効果を保ちつつ、容易な製造条件を与えることができる。
【0038】
また、光を吸収する観点からは、光吸収部13、13、…の光吸収性能は目的によって適宜調整可能であるが、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるように構成されていることが好ましい。透過率を40〜70%とするための手段は特に限定されるものではないが、例えば光吸収粒子の含有量や光吸収性能を調整して適用することを挙げることができる。
【0039】
さらに、光吸収部13、13、…の斜辺(シート厚さ方向に延在する2つの辺)のシート面法線に対する角度θは目的に応じて変更可能であり、特に限定されるものではないが、通常の表示装置の場合、適切に外光及び映像光の反射、吸収をする観点から、0度より大きく10度以下であることが好ましく、0度より大きく6度以下であることがさらに好ましい。
【0040】
光学機能シート層11の形状は、図1、図2に示したように、プリズム部12、12、…が略台形断面を有し、これらに挟まれて形成される光吸収部13、13、…は三角形断面を有している。しかし、適切に光を制御することができれば、これら形状は特に限定されることなく適宜適切な形状が採用される。図3に変形例を示した。図3は図2に相当する図で、光学機能シート層11’における2つの光吸収部13’、13’と、その両側に配置されるプリズム部12’、12’、12’に注目して示した図である。図3からわかるように、光吸収部13’、13’の断面における斜辺(プリズム部12’、12’、12’の斜辺)は、1つの斜辺からではなく、2つの斜辺13a’、13a’、…、13b’、13b’…から構成されている。すなわち断面において折れ線状の斜辺を有している。詳しくは、プリズム部12’、12’、12’の上底(短い側の底)側(紙面左側)に配置される斜辺13a’、13a’、…は光制御シートのシート面の法線に対して角度θ1を有している。一方、プリズム部12’、12’、12’の下底(長い側の底)側(紙面右側)に配置される斜辺13b’、13b’、…は光制御シートのシート面の法線に対して角度θ2を有している。
【0041】
この角度θ1、θ2は、θ1>θ2の関係であるとともにいずれも0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。また、2つの斜辺13a’、13b’は、光学機能シート層11’の厚み方向(紙面左右方向)にZ1とZ2に分ける位置で交差する。Z1とZ2とは同じ大きさであることが好ましい。
【0042】
当該変形例は、2つの斜辺により構成されている例であるが、さらに多くの斜辺で構成されることにより、断面において折れ線状であっても良い。さらにはこれが曲線状であっても良い。
【0043】
本実施形態では、光吸収部が略三角形である場合を示して説明したが光吸収部の形状はこれに限定されるものではない。例えば台形であってもよい。図4に、光吸収部が台形である例における光制御シートの光学機能シート層11’’の光吸収部13’’、13’’及びこれに隣接するプリズム部12’’、12’’、12’’を示した。ここでは、図4のように光吸収部13’’、13’’が台形であり、このときには該台形における長い底辺(下底)をプリズム部12’’の上底側、短い底辺(上底)をプリズム部12’’の下底側に配置することができる。ここで図4にAで示した上底の長さは2〜25μmの範囲であることが好ましい。また、台形の斜辺は、シート面法線に対してθ3の角度を有して形成されている。この角度θ3の大きさは特に限定されるものではないが、0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。
【0044】
また、本実施形態では、上記したように光吸収部の斜辺における全反射の効率の観点から光吸収部に光吸収粒子を混入させることにより光吸収性能を得ることとした。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、光吸収部にカーボン等の顔料や所定の染料を混入して光吸収部全体を所定の濃度に着色してもよい。
【0045】
図1に戻り、引き続き光制御シート10に備えられる構成について説明する。PETフィルム層16は、該PETフィルム層16の一方の面上に光学機能シート層11を形成するためのベースとなる基材層としてのフィルム層で、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として形成されている。当該PETフィルム層16はPETを主成分として含有していればよく、他の樹脂が含まれてもよい。ここで主成分とはPETフィルム層全体に対して50質量%以上を意味する。また、各種添加剤を添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。
【0046】
ここでは基材層としてPETフィルム層を説明したが、必ずしもPETを材料とすることはなく、その他にもポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂等の「ポリエステル系樹脂」を用いることができる。本実施形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする樹脂が好ましい材料であるとして説明した。
【0047】
感光性粘着剤層17は、感光性粘着剤が積層された層である。当該層により後述するように光反射層を容易に、かつ適切な位置に配置することが可能となる。
【0048】
感光性粘着剤層17は、光学機能シート層11の面のうち、光吸収部13、13、…の底辺が配置される側の面に積層される。従ってPETフィルム層16とは光学機能シート層11を挟んで反対側に積層されている。
【0049】
感光性粘着剤層17に用いられる感光性粘着剤としては、ラジカル反応によって感光部分の粘着力が低下するものが好ましく、この感光部分の粘着力が未感光部分の粘着力に比べて50%以上低下するものが特に好ましい。
【0050】
具体的には例えば、粘着性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤から構成されるものがある。
粘着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等があり、耐久性及び接着性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0051】
アクリル系粘着性樹脂は、アクリル酸アルキルエステルと他の単量体と官能性単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合樹脂を主成分とするものである。
アクリル酸アルキルエステルは、そのアルキル基の炭素数が4〜15のものであり、例えばアクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル等が挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用されてもよい。
他の単量体としては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用してもよい。
【0052】
また、官能性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチルなどが挙げられ、単独で用いてもよく、また、混合して使用されてもよい。また、側鎖に光反応性基、例えば不飽和二重結合を有するアクリル系共重合樹脂を使用することもできる。
【0053】
アクリル系共重合樹脂におけるアクリル酸アルキルエステルと他の単量体と官能性単量体の構成比(質量%)は、70〜99:0〜20:0.01〜20、好ましくは80〜95:0〜10:0.1〜15であり、アクリル系共重合樹脂の質量平均分子量は20万〜120万、好ましくは40万〜100万のものである。
【0054】
アクリル系粘着剤は、上記のアクリル系共重合樹脂の他に、凝集力を向上させるために室温架橋型または加熱架橋型架橋剤、粘着力やTAC、粘弾性を改質するために粘着付与剤等を含有させてもよい。
【0055】
室温架橋型架橋剤としては、アクリル系粘着剤を室温条件下でのエージング処理による架橋処理を可能とするものであり、具体的には、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物及びこれらポリイソシアネート化合物の3量体、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー、これらのポリイソシアネート化合物、これらポリイソシアネート化合物の3量体が挙げられる。多価イソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。また、架橋剤としてアルミニウムやチタン等の金属キレート化合物や多官能エポキシ化合物を用いてもよい。
【0056】
室温架橋型架橋剤は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して0.005〜20質量部、特に0.01〜10質量部の割合で添加されるとよい。
【0057】
加熱架橋型架橋剤は、アクリル系粘着剤を100℃以上、好ましくは130℃以上、加熱時間1分〜30分で加熱することにより、架橋作用を示すものであり、具体的には、ホルムアルデヒドと、メラミン、ベンゾグアミン、尿素等を反応させて得られるメチロール基含有化合物、及びそれらのメチロール基の一部または全部を脂肪族アルコールでエーテル化したもの等が挙げられる。加熱架橋型架橋剤としては、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して、0.01〜25質量部、特に0.1〜20質量部の割合で添加されるとよい。
【0058】
粘着付与剤は、アクリル系粘着剤に粘着性の向上を目的として所望により添加され、例えばロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられ、アクリル系粘着剤中、0質量%〜50質量%、好ましくは0質量%〜40質量%である。
【0059】
光重合性化合物は、重合形式により、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物、光二量化を経由して重合を開始する化合物等が例示されるが、材料の選択範囲、重合反応性等から光ラジカル重合性化合物を使用することが好ましい。
【0060】
光ラジカル重合性化合物としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。具体例として脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーを挙げる。アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレン等を挙げることができる。
【0061】
また、硫黄含有アクリル化合物を使用することもでき、例えば、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
メタクリル酸エステルとしては、上記アクリル酸エステル化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、「アクリロイル」が「メタクリロイル」になる化合物等がある。
【0063】
これらの光重合性化合物は1種もしくは2種以上の混合物として使用することもできる。光重合性化合物は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して0.1〜200質量部、特に10〜150質量部の割合で添加されるとよい。
【0064】
光重合開始剤としては、上記光重合性化合物の重合方式により適宜選択される。光ラジカル重合性化合物に対して使用できる光重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が例示される。また、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物等も使用することができ、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
これらの光重合開始剤は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部の割合で配合される。
【0066】
感光性粘着剤層を感光させるために使用する露光光源波長への感度を向上させることを目的として、増感色素を加えることもできる。具体的には、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、シアニン系色素、キノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、キサントン系色素、チオキサントン系色素、ローダミン系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素等を挙げることができる。
【0067】
これらの増感色素は、アクリル系共重合樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で配合される。その他、粘着力の制御や後述するコーティング適性改良を目的として、各種可塑剤、界面活性剤等を使用することもできる。
【0068】
感光性粘着剤層としては、JIS−Z0237に規定される180°剥離強度測定より得られる感光部の粘着力が、未感光部の粘着力に対して50%以上低下するものを使用することが好ましい。このような感光性粘着剤層を使用することで、後述する光反射層の形成がより容易となる。
【0069】
図1に戻り、引き続き光制御シート10に備えられる構成について説明する。光反射層18、18、…は、感光性粘着剤層17に積層される。感光性粘着剤層17は上記したように光学機能シート層11に積層されているので、光反射層18、18、…は感光性粘着剤層17の面のうち、光学機能シート層11とは反対側の面に積層されている。
【0070】
また、光反射層18、18、…は、光吸収部13、13、…の底辺に対応する部分にのみ備えられ、プリズム部12、12、…に対応する部分には配置されていない。これにより後述するように光源からの光を再利用する等して明るい映像を提供することが可能となる。詳しくは後で説明する。
【0071】
本実施形態において、光反射層18、18、…は、光反射材料を含む透明樹脂層からなるものである。光反射材料は特に限定されるものではないが、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムのいずれか、あるいは2種類以上を含む白色顔料、又は白色に着色した樹脂ビーズ、又はガラスビーズ等を挙げることができる。樹脂ビーズの材質としては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等がある。樹脂ビーズ又はガラスビーズは、反射率の制御のために粒径が特定されているものが好ましく、その平均粒径は1μm以上が好ましい。さらには、光吸収部13、13、…の底辺の長さの1/2以下がさらに好ましい。樹脂ビーズ、ガラスビーズの粒径が1μm未満であると、光の反射効果が不十分となってしまい、逆に、粒径が上記範囲を越えると、光反射層18、18、…を形成する樹脂組成物の塗工が困難となってしまうからである。
【0072】
本実施形態では光反射層として光反射材料を含む透明樹脂であることとしたが、これに限定されるものではなく光を適切に反射することができればよい。従って、光反射層として金属の薄膜が用いられていてもよい。これにはたとえばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を挙げることができる。
【0073】
光制御シートの上記構成により、光反射層を直接に光吸収部の底面に配置する例に比べて光反射層の形状をより適切なものにすることができる。光反射層を光吸収部の底面に配置する場合には、光反射層の平坦度や凹凸が該底面の形状によってばらつきを生じることがあるからである。光反射層の凹凸や平坦度は光の反射に直接影響があるので、当該凹凸や平坦度を適切にすることにより反射光の有効利用にも大きな効果を奏する。
【0074】
また、光反射層の厚さのばらつきも防止することができ、光の反射性能の安定を図ることが可能となる。
【0075】
以上説明した光制御シート10は、例えば次のように形成することができる。以下に製造方法の一例を説明する。
【0076】
はじめに光学機能シート層11については次の通りである。
まず、PETフィルムの一面側に、最終的にプリズム部12、12、…となる液状の材料を塗布する。次にプリズム部形状を形成するロール金型とPETフィルムとの間に、上記プリズム部となる材料を挟んだ状態で紫外線を照射する。これにより材料が硬化し、プリズム部12、12、…が形成される。
【0077】
そして、上記形成されたプリズム部12、12、…の間に、バインダー部14、14、…となる透明樹脂中に黒色の光吸収粒子15、15、…が分散された材料をスキージする等して充填する。その後該光吸収粒子15、15、…が分散された透明樹脂を硬化させて光吸収部13、13、…とする。これにより光学機能シート層11が形成される。
【0078】
感光性粘着剤層17及び光反射層18、18、…については次の通りである。図5〜図7に工程を説明するための図を示した。
はじめに、図5(a)、図5(b)に示したように、形成された光学機能シート11の面のうち、光吸収部13、13、…の三角形断面である底辺が配置される側の面(すなわちPETフィルム層16が積層される面とは反対側の面)に感光性粘着剤を塗工する。これにより感光性粘着剤層17が形成される。
【0079】
感光性粘着剤の塗工は、例えば次のようにして行う。すなわち、上記した感光性粘着剤が固体の場合にはこれを、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール等の溶剤に溶解して塗工する。塗工の方法は特に限定されるものではないが、光学機能シート層に直接塗工してもよいし、剥離可能なフィルムに塗工した感光性粘着剤の層を光学機能シート層に転写してもよい。光学機能シート層への塗工、又は剥離可能なフィルムへの塗工は、各種のコータ−を利用することができる。これには例えばダイコーター、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター等を挙げることができる。また、必要に応じてエージング処理や加熱を行う。
【0080】
感光性粘着剤の組成物が液状で供給できる場合には、特に溶剤を必要とすることなく、そのまま塗工すればよい。
【0081】
次に上記形成されたPETフィルム層16、光学機能シート層11、及び感光性粘着剤層17の積層体に対し、PETフィルム層16側(感光性粘着剤層17)とは反対側)から光Lsを照射する。これにより光Lsが照射された部分の感光性粘着剤層17b、17b、…の粘着力がラジカル反応によって低下する。詳しくは次の通りである。
【0082】
図6(a)に例を示したように、照射される光Lsのうちの光Ls1はPETフィルム層16、プリズム部12を透過して感光性粘着剤層17に達し、これにより感光性粘着剤層17の符号17bで示した部分の粘着力を低下させる。また、光Ls2は、PETフィルム層16を透過して、プリズム部12に入り、プリズム部12と光吸収部13との界面で全反射して感光性粘着剤層17に達する。これによっても感光性粘着剤層17の符号17bで示した部分の粘着力を低下させる。ここで、当該全反射はプリズム部12と光吸収部13との屈折率差に基づいておこなわれる。
【0083】
一方、光Ls3は、PETフィルム層16を透過して、プリズム部12に入り、さらに光吸収部13内に侵入する。このような光Ls3は、光吸収粒子15に吸収される。
【0084】
以上より、感光性粘着剤層17のうち光Lsが照射されて粘着力が低下するのは、プリズム部12、12、…の上底に対応する部位に配置された部分(符号17b、17b、…で示した部分)のみである。そして、光吸収部13、13、…の底辺に対応する部位に配置された部分(符号17a、17a、…で示した部分)は露光しないので、感光性粘着剤層17の粘着力は維持される。
【0085】
これによれば、照射する光Lsは平行光である必要はなく、例え広がりを有する光であっても、自動に必要な部分のみの粘着力低下をさせることができる。従って、照射させる光の条件を緩和することができ、生産上の観点から優れたものとすることができる。照射する光の波長、時間、強度は使用する感光性粘着剤により適宜調整する。
【0086】
次に図6(b)に示したように、転写シート50の一方の面に光反射材51を積層した積層体を準備しておき、これを矢印Bで示したように感光性粘着剤層17に積層させる。
【0087】
ここで、転写シート50は、通常使用される剥離紙等を用いることができる。また、その他にも、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面をフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤により離型処理(剥離調整層の形成)された離型性フィルムを使用することも可能である。また、光反射材51は、上記した光反射層18、18、…となるものである。
【0088】
このようにして形成されたPETフィルム層16、光学機能シート層11、感光性粘着剤層17、光反射材51、及び転写シート50の積層体から図7(a)に矢印Cで示すように、転写シート50を剥がす。
すると、光反射材51のうち、符号17a、17a、…で示した感光性粘着剤層17の部分に配置された光反射材51は、該感光性粘着剤層17の粘着力によりここに残り、光反射層18、18、…となる。一方、符号17b、17b、…で示した感光性粘着剤層17の部分に配置された光反射層51は、上記のように感光性粘着剤層17の粘着力の低下により、剥離可能フィルム50に追随して剥がされる(符号51’、51’、…)。これにより図7(b)に示したように、光反射層18、18、…が形成される。
【0089】
このように光反射層18、18、…を形成することにより、光吸収部の内側に光反射層を充填して形成する場合に比べて、該光反射層の厚さのバラつきを小さく抑えることが可能となる。また、光反射層の厚さの調整も容易であり、必要に応じた層厚の設定ができる。
また、光反射層の形成に際して、光吸収部13、13、…の構成に何ら影響を与えないので、光制御シート10の性能の安定性を向上させることも可能である。
【0090】
図8は、光制御シート10を備える映像表示装置のうち、該光制御シート10を具備する映像源ユニット1の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図8では紙面右が観察者側となる。
【0091】
映像源ユニット1は、バックライト2、プリズムシート3、光制御シート10、映像源20、及び光拡散シート30を備えている。
【0092】
バックライト2は、映像表示装置の光源である。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるバックライトを用いることができる。これには例えば、発光源を面内に略均等に配置して面状の光源とする形式や、縁(エッジ)に発光源を配置して反射面等を利用して最終的に面状に光を出射するエッジ入力型とする形式等を挙げることができる。
【0093】
プリズムシート3は、バックライト2からの光を面光源としてできるだけ均一とするためのシートである。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるプリズムシート3を用いることができる。
【0094】
光制御シート10は、上記で説明した通りである。ここで光制御シート10は、光反射層18、18、…が配置された側をバックライト2側とする向きで配置される。
【0095】
映像源20は、映像表示装置の映像が表される部位であり、偏光板21、23、及びこれに挟まれる液晶パネル22を備えている。
【0096】
偏光板21、23は、液晶パネル22を挟むように配置される一対の光学要素であり、吸収軸方向に平行な振動面を有する偏光光を吸収する一方、吸収軸方向に直交する振動面を有する偏光光を透過する機能を有する。当該偏光板21、23と液晶パネル22を透過したバックライト2の光が映像光となり観察者側に出射される。
【0097】
液晶パネル22には、ここに出射されるべき映像情報が表されている。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられる液晶パネルを用いることができる。
【0098】
光拡散シート30は、上記映像源20からの映像を制御して、観察者に質の高い映像を提供する各機能のシートが積層されたシートである。光拡散シート30は、粘着剤層31、PETフィルム層32、光拡散機能シート層33、粘着剤層34、TACフィルム層35、及びアンチグレアフィルム層(AG層)36を備えている。
【0099】
粘着剤層31、34は、粘着剤が配置された層である。粘着剤層31、34に用いられる粘着剤は光を透過させるとともに、他に接着させることができればその材質は特に限定されるものではない。これには、例えばPSA(感圧接着剤、pressure sensitive adhesive)を挙げることができる。その粘着力は例えば数N/25mm〜20N/25mm程度である。
【0100】
PETフィルム層32は、該PETフィルム層32の一方の面上に光拡散機能シート層33を形成するためのベースとなる基材層としてのフィルム層で、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として形成されている。当該PETフィルム層32は、上記したPETフィルム層16の説明と共通するのでここではその説明を省略する。
【0101】
光拡散機能シート層33は、シートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部33a、33a、…と、該プリズム部33a、33a、…の間に形成される空洞部33b、33b、…とを備えている。
プリズム部33a、33a…は、映像源20側が下底、観察者側が上底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部33a、33a、…は、屈折率がNkである光透過性樹脂で構成されている。これには上記した光学機能シート層11で説明した材料により形成することができる。Nkの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。また、プリズム部33a、33a、…の台形である斜辺は、シート面法線に対して所定の角度を有するように設定される。
【0102】
空洞部33b、33b、…は、プリズム部33a、33a、…の間に形成される部位である。従って空洞部33b、33b、…はプリズム部33a、33a、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部33a、33a、…の下底側となるような略三角形形状である。空洞部24、24、…は、空洞で空気が存する状態にあり、屈折率は1.0である。
【0103】
プリズム部33a、33a、…及び空洞部33b、33b、…の屈折率差は、Nk−1.0となる。また、プリズム部33a、33aの斜辺は傾斜を有している。これにより、当該斜辺に達した映像光はここで上記屈折率差に基づいて全反射するともに、該映像光の視野角を拡げる方向に出射することが可能となる。
【0104】
TACフィルム層35は、トリアセチルセルロースにより形成されるフィルムであり、保護膜として用いられる。また、TACフィルム層35は、光拡散シート30に備えられる機能層を構成する層の1つである。ここに用いられるTACフィルムは通常の液晶映像源ユニットに用いられるものを適用することができる。
【0105】
AG層36は、観察者が画面を見た時のぎらつきを防止(防眩)することができるフィルムである。AG層36も光拡散シート30に備えられる機能層を構成する層の1つである。ここに用いられる防眩フィルムは通常に入手できるものを適用することが可能である。
【0106】
本実施形態では、機能層に備えられる層としてTACフィルム層35及びAG層36を挙げたが、当該機能層に具備される層はこれに限定されるものではない。入射した映像光の質を高めて出射することができる機能を有する層であればこれに含めることができる。これには例えば反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、偏光フィルタ層、防汚層等を挙げることができる。
反射防止層はいわゆるアンチリフレクション層であり、AR層ともいわれる。これは反射を防止することができる機能を有するフィルムが配置される。
ハードコート層は、HC層ともいわれる。これは、画像表示面に傷がつくことを抑えるために耐擦傷性を付与することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
帯電防止層は、アンチスタティック(AS)層ともいわれる。これは、帯電、すなわち静電気が帯電することを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。これには通常に入手できるASフィルムを適用することが可能である。
防汚層は画面表面の汚れを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
偏光フィルタ層は、上記した偏光フィルタと同様のものである。必要に応じてここに配置してもよい。
【0107】
図9は、上記した映像源ユニット1の変形例の映像源ユニット1’である。図9は図8と同様で、映像表示装置のうち映像源ユニット1’の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1’は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図9では紙面右が観察者側となる。
【0108】
映像源ユニット1’は、映像源ユニット1の光拡散シート30のうち光拡散機能シート層33を光拡散機能シート層33’にしたものである。従って他の層については映像源ユニット1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
光拡散機能シート層33’では、光拡散機能シート層33の空洞部33b、33b…に光吸収粒子33d’、33d’、…を分散させたバインダー33c’を充填している。ここで、バインダー33c’に用いられるバインダー材、及び光吸収粒子33d’、33d’は特に限定されるものではないが、上記した光学機能シート層11の光吸収部13に用いたバインダー14、及び光吸収粒子15、15、…と同じものを用いることができる。
【0110】
これによれば、プリズム部33a’、33a’、…及び光吸収部33b’、33b’、…の屈折率差は、Nk−Nbとなる。また、プリズム部33a’、33a’の斜辺は傾斜を有している。これにより、当該斜辺に達した映像光はここで上記屈折率差に基づいて全反射するともに、該映像光の視野角を拡げる方向に出射することが可能となる。
【0111】
また、光吸収部33b’、33b’に所定の角度以上を有して入射した映像光は、当該屈折率差により全反射することなく、光吸収部33b’、33b’に入射し光吸収粒子33d’、33d’、…に吸収される。従って、観察者側に出射されることが好ましくないいわゆる迷光等を吸収することも可能である。さらに、観察者側からは光吸収部33b’、33b’、…に入射した外光を吸収することもできるので、コントラストを向上させることも可能である。
【0112】
図10は、上記した映像源ユニット1’のさらなる変形例の映像源ユニット1’’である。図10は図9と同様で、映像表示装置のうち映像源ユニット1’’の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1’’は、液晶ディスプレイパネルユニットである。図10では紙面右が観察者側となる。
【0113】
映像源ユニット1’’では、映像源ユニット1’で説明した光拡散機能シート層33’の観察者側に、感光性粘着剤層37が積層されている。さらにその観察者側で光吸収部33b’、33b’の底辺部に相当する部位には、光吸収層38、38、…が備えられている。ここで感光性粘着剤層37は、上記説明した感光性粘着剤層17と同じである。また、光吸収層38は、上記した光反射層18に代えて、光吸収性の染料や顔料を混入して光吸収性能を備えさせた層である。
【0114】
これによれば、外光や迷光を当該光吸収層38で吸収することができ、さらに映像光のコントラストを向上させることができる。また、光吸収層38と光反射層18との違いはあるものの、光拡散機能シート33’、感光性粘着剤層37、及び光吸収層38、38、…の形成についても上記光制御シート10と同様の製造工程を用いることが可能となる。
【0115】
このような映像表示装置が作動し、光制御シート10に入光した光の光路について、説明する。図11に光路例を示した。バックライト2からプリズム部12の中央部付近に入射した光L1は、プリズム部12内を直進して通過し、液晶パネル側に出射される。
【0116】
バックライト2からから所定の角度を有してプリズム部12の端部付近に入射した入射光L2、L3は、屈折率Npのプリズム部12と屈折率Nbの光吸収部13との屈折率差により斜面にて全反射され、シート面法線に平行な角度に近づいて液晶パネル側に出射される。
【0117】
また、光反射層18に入射した光L4は、光反射層18により反射されるが、この反射光は、バックライト2側に反射板等の光反射材料を設けることで再利用することができ、輝度の向上に寄与する光となる。
【0118】
さらに、プリズム部12に大きな角度を有して入射した光L5は、プリズム部12と光吸収部13との屈折率差によっても全反射されることなく光吸収部13の内部に入光し、光吸収粒子15に吸収される。
【0119】
このようにしてバックライト2からの光をできるだけシート面法線に平行である角度に近い光を映像源に提供することが可能で、かつ、輝度の低下を抑制することができる光制御シートを提供することが可能となる。
【0120】
一方、図9に示した映像源ユニット1’において、光制御シート10及び映像源20を透過した映像光は、光拡散シート30’において次のように観察者側に出射される。図12は図9に示した映像源ユニット1’のうち光拡散シート30’の一部を拡大して示し、合わせて光路例を表した図である。
これによれば、映像光L11は、光拡散シート30’内に備えられる各層を透過して、通常に観察者に出射される。また、映像光L12、L13は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との界面で全反射されて観察者側に出射される。このとき光吸収部33b’、33b’、…の斜辺は上記したように傾斜しているので、当該斜辺による反射の前後で光の角度が変わり、視野角を広げる方向への映像光の出射が可能となる。これにより広い視野角を得ることができる。
【0121】
また、映像光L14は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との屈折率差に基づいて、その界面で全反射することなく、光吸収部33b’、33b’、…に侵入した映像光である。このような映像光L14は、光吸収粒子33d’により吸収される。また、迷光もこのような態様により吸収させることができる。
【0122】
一方、外光として映像表示装置に入射した外光L15は、光吸収部33b’に入射して光吸収粒子33d’により吸収される。このように外光の一部が光吸収部33b’、33b’、…に吸収されてコントラストを向上させることができる。
【0123】
また、図10に示した映像源ユニット1’’において、光制御シート10及び映像源20を透過した映像光は、光拡散シート30’’において次のように観察者側に出射される。図13は図10に示した映像源ユニット1’’のうち光拡散シート30’’の一部を拡大して示し、合わせて光路例を表した図である。
これによれば、映像光L21は、光拡散シート30’’内に備えられる光吸収層38以外の各層を透過して、通常に観察者に出射される。また、映像光L22、L23は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との界面で全反射されて観察者側に出射される。このとき光吸収部33b’、33b’、…の斜辺は上記したように傾斜しているので、当該斜辺による反射の前後で光の角度が変わり、視野角を広げる方向への映像光の出射が可能となる。これにより広い視野角を得ることができる。
【0124】
また、映像光L24は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との屈折率差に基づいて、その界面で全反射することなく、光吸収部33b’、33b’、…に侵入した映像光である。このような映像光L24は、光吸収粒子33d’により吸収される。また、迷光もこのような態様により吸収させることができる。
【0125】
一方、外光として映像表示装置に入射した外光L25は、光吸収層38により吸収される。このように外光の一部が光吸収層38に吸収されてコントラストを向上させることができる。このとき本例では、外光L25が光吸収層38により吸収されるので、例えば上記光拡散シート30’のように光吸収粒子による光吸収と異なり、光が粒子間を透過してしまうことがない。従って外光の吸収をさらに確実におこなうことが可能となる。
【0126】
以上、現時点において最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光制御シート、液晶表示装置、及び光制御シートの製造方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】1つの実施形態に係る光制御シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】図1に示した光制御シートの一部を拡大した図である。
【図3】プリズム部、光吸収部の形状の他の例を示した図である。
【図4】光吸収部が台形である例を示した図である。
【図5】光制御シートの製造方法の一部を説明する図で、感光性粘着剤層を形成する工程を説明する図である。
【図6】光制御シートの製造方法の一部を説明する図で、感光性粘着剤層を感光し、光反射層となる材料を積層する工程を説明する図である。
【図7】光制御シートの製造方法の一部を説明する図で、光反射層を転写する工程を説明する図である。
【図8】映像表示装置のうち映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に示した図である。
【図9】映像表示装置のうち他の例の映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に示した図である。
【図10】映像表示装置のうち、さらなる他の例の映像源ユニットの断面を示し、その層構成を模式的に示した図である。
【図11】光制御シートにおける光路を説明するための図である。
【図12】光拡散シートにおける光路を説明するための図である。
【図13】他の例の光拡散シートにおける光路を説明するための図である。
【符号の説明】
【0128】
1 映像源ユニット
2 バックライト(光源)
10 光制御シート
11 光学機能シート層
12 プリズム部
13 光吸収部
14 バインダー
15 光吸収粒子
16 PETフィルム層
17 感光性粘着剤層
18 光反射層
20 映像源
22 液晶パネル
30 光拡散シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置の光源と液晶パネルとの間に設けられる複数の層を有する光制御シートであって、
前記複数の層のうち少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部と、前記プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部と、を有する光学機能シート層であり、
前記光学機能シート層の一方の面には、光の照射により粘着力が低下する感光性粘着剤が積層されてなる感光性粘着剤層が設けられ、
前記感光性粘着剤層には前記光吸収部の位置に対応する位置に並列された光反射層が積層されている光制御シート。
【請求項2】
前記光学機能シート層のプリズム部は前記光源側に短い上底、前記液晶パネル側に長い下底を有する台形断面であり、
前記光学機能シート層の光吸収部は前記光源側に底辺、前記液晶パネル側に頂点を有する三角形断面であり、
前記光反射層は前記三角形断面の底辺に対応する位置に設けられている請求項1に記載の光制御シート。
【請求項3】
前記光吸収部には平均粒径が1μm以上である光吸収粒子を分散させたバインダーが充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光制御シート。
【請求項4】
前記光反射層は、光反射材料を含む透明樹脂層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項5】
前記光反射材料が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムのいずれか1種類又は2種類以上を含む白色顔料であることを特徴とする請求項4に記載の光制御シート。
【請求項6】
前記光反射層が、金属薄膜からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項7】
前記感光性粘着剤層の感光性粘着剤が、感光した部分の粘着力が未感光部分の粘着力に比べて50%以上低下したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項8】
前記感光性粘着剤層の感光性粘着剤が、ラジカル反応によって感光した部分の粘着力が低下するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シートと、該光制御シートの一方の側に配設される光源と、前記光制御シートの他方の側に配設される液晶パネルと、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶パネルより観察者側に、複数の層を有する光学シートが積層され、前記複数の層のうち少なくとも1層が光を拡散可能に形成された光拡散機能シート層であり、
前記光拡散機能シート層は、光を透過可能にシート面に沿って並列され、前記液晶パネル側に長い下底、前記観察者側に短い上底を有する台形断面であるプリズム部と、前記プリズム部間に光を吸収可能に並列され、前記観察者側に底辺、前記液晶パネル側に頂点を有する三角形断面である光吸収部と、を有していることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シートを製造する方法であって、
前記光学機能シート層の一方の面に感光性粘着剤を積層し、感光性粘着剤層を形成させる工程と、
前記光学機能シート層の前記感光性粘着剤層が積層された面とは反対側の面側から光を照射して露光された部分の前記感光性粘着剤の粘着力を低下させる工程と、
前記感光性粘着剤層に、前記反射層となる材料を有する転写シートを積層する工程と、
前記反射層転写シートを剥離し、前記感光性粘着剤層の非露光部に前記反射層となる材料を転写して前記反射層を形成する工程と、を含む光制御シートの製造方法。
【請求項1】
液晶表示装置の光源と液晶パネルとの間に設けられる複数の層を有する光制御シートであって、
前記複数の層のうち少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部と、前記プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部と、を有する光学機能シート層であり、
前記光学機能シート層の一方の面には、光の照射により粘着力が低下する感光性粘着剤が積層されてなる感光性粘着剤層が設けられ、
前記感光性粘着剤層には前記光吸収部の位置に対応する位置に並列された光反射層が積層されている光制御シート。
【請求項2】
前記光学機能シート層のプリズム部は前記光源側に短い上底、前記液晶パネル側に長い下底を有する台形断面であり、
前記光学機能シート層の光吸収部は前記光源側に底辺、前記液晶パネル側に頂点を有する三角形断面であり、
前記光反射層は前記三角形断面の底辺に対応する位置に設けられている請求項1に記載の光制御シート。
【請求項3】
前記光吸収部には平均粒径が1μm以上である光吸収粒子を分散させたバインダーが充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光制御シート。
【請求項4】
前記光反射層は、光反射材料を含む透明樹脂層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項5】
前記光反射材料が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化マグネシウムのいずれか1種類又は2種類以上を含む白色顔料であることを特徴とする請求項4に記載の光制御シート。
【請求項6】
前記光反射層が、金属薄膜からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項7】
前記感光性粘着剤層の感光性粘着剤が、感光した部分の粘着力が未感光部分の粘着力に比べて50%以上低下したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項8】
前記感光性粘着剤層の感光性粘着剤が、ラジカル反応によって感光した部分の粘着力が低下するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光制御シート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シートと、該光制御シートの一方の側に配設される光源と、前記光制御シートの他方の側に配設される液晶パネルと、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶パネルより観察者側に、複数の層を有する光学シートが積層され、前記複数の層のうち少なくとも1層が光を拡散可能に形成された光拡散機能シート層であり、
前記光拡散機能シート層は、光を透過可能にシート面に沿って並列され、前記液晶パネル側に長い下底、前記観察者側に短い上底を有する台形断面であるプリズム部と、前記プリズム部間に光を吸収可能に並列され、前記観察者側に底辺、前記液晶パネル側に頂点を有する三角形断面である光吸収部と、を有していることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光制御シートを製造する方法であって、
前記光学機能シート層の一方の面に感光性粘着剤を積層し、感光性粘着剤層を形成させる工程と、
前記光学機能シート層の前記感光性粘着剤層が積層された面とは反対側の面側から光を照射して露光された部分の前記感光性粘着剤の粘着力を低下させる工程と、
前記感光性粘着剤層に、前記反射層となる材料を有する転写シートを積層する工程と、
前記反射層転写シートを剥離し、前記感光性粘着剤層の非露光部に前記反射層となる材料を転写して前記反射層を形成する工程と、を含む光制御シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−117574(P2010−117574A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291088(P2008−291088)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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