説明

うちわ及びうちわ用柄

【課題】柄なしうちわと柄付うちわの双方の長所を有するうちわ、及びそのようなうちわに用いられるうちわ用柄を提供する。
【解決手段】柄なしうちわの指孔を指孔当接部15及び第1指孔突出部17で係合するとともに、指孔に最も近いうちわ外縁を外縁当接部18及び外縁突出部19で係合して、柄なしうちわを保持する。このとき、柄10に対して柄なしうちわ(扇部)が動かないため扇ぎやすく、柄を浴衣の帯等に抜き差ししても柄から扇部が外れにくい。柄なしうちわの指孔と外縁の間の部分を湾曲させて係合を外せば、柄なしうちわと柄10を分離することができ、鞄等に入れて持ち運びやすい。また、分離した扇部に柄10を取り付け、再度柄付うちわとして使用することもできる。配布されずに余ったうちわを廃棄するときには、柄は別の柄なしうちわに取り付けて再利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はうちわ及びうちわ用柄に関する。
【背景技術】
【0002】
うちわは扇部に柄が取り付けられたものが一般的であるが、柄の代わりに扇部に親指等を挿入可能な指孔を設けたものもある(特許文献1参照)。そのような柄なしうちわは、うちわとしての機能を満たしつつ、低コストで製造可能なシンプルな構造を有するため、街頭等で配布される広告媒体として広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52-91860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に広告媒体としてのうちわは所定の期限までに配布しなければ広告としての意義が失われてしまう。そのため、期限までに配布することができずに余ったうちわは廃棄される。このとき、柄付うちわでは扇部と柄が一体に形成されているため、柄の部分には広告が記載されていないとしても、扇部とともに全て廃棄される。つまり、廃棄する必要のない部分も捨てられてしまい、無駄が多い。それに対し、柄なしうちわでは、うちわ全体が期限切れの広告が記載された廃棄せざるを得ない部分であるといえるため、柄付うちわとは異なり無駄がない。
【0005】
また、柄付うちわは柄の部分が邪魔になって鞄等に収まらないことがあり、そのような場合には持ち運びに不便である。それに対し、柄なしうちわは柄がない分だけコンパクトであり、鞄等に入れて持ち運びやすい。
【0006】
しかし、柄なしうちわは、扇ぎやすさの点では柄付うちわに及ばない。また、柄付うちわであれば柄を浴衣の帯等に差し込むことができるが、柄なしうちわではそのような使い方ができない。
【0007】
本発明は以上のような課題を解決するために成されたものであり、その目的は、上記のような、うちわを廃棄するときや鞄等に入れて持ち運ぶときの柄なしうちわの長所を有するとともに、扇ぎやすさや帯に差せる等の柄付うちわの長所も有するうちわ、及びそのようなうちわに用いられるうちわ用柄を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係るうちわ用柄は、
扇部に孔を有する柄なしうちわに取り付けられる柄であって、
a)把持部と、
b)把持部から延伸し、柄なしうちわの一方の面に接する接触面を有するうちわ支持部と、
c)前記うちわ支持部の先端側に設けられた、柄なしうちわの前記孔の縁に係合する孔係合部と、
d)前記うちわ支持部の前記把持部側に設けられた、柄なしうちわの前記孔に最も近い外縁に係合する外縁係合部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために成された本発明に係るうちわは、扇部に孔を有する柄なしうちわと、該柄なしうちわに取り付けられた上記うちわ用柄とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るうちわ用柄及びうちわでは、柄なしうちわに設けられた孔を孔係合部で係合するとともに、その孔に最も近いうちわ外縁を外縁係合部で係合することによって柄なしうちわを保持するため、柄なしうちわ(扇部)が柄に対して動かない。これにより、柄に扇部がしっかりと固定されるため扇ぎやすく、柄を浴衣の帯等に抜き差ししても柄から扇部が外れにくい。
孔係合部及び外縁係合部での係合は柄なしうちわの孔と外縁の間の部分を湾曲させて孔と外縁を近づけることにより容易に外すことができる。これにより、扇部と柄を損傷させることなく簡単に分離することができる。扇部と柄を分離すればコンパクトになり、鞄等に入れて持ち運びやすい。また、分離した扇部に柄を取り付け、再度柄付うちわとして使用することもできる。配布されずに余ったうちわを廃棄するときには、広告等が記載された扇部のみを廃棄し、柄は別の柄なしうちわに取り付けて再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るうちわに用いられる柄なしうちわの平面図。
【図2】柄なしうちわにうちわ用柄が取り付けられた実施例1に係るうちわの平面図。
【図3】実施例1に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は(a)のB−B矢視断面図である。
【図4】実施例1に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は図3(b)の柄先端部の拡大断面図、(b)は図3(b)の外縁係合部付近の拡大断面図である。
【図5】実施例1に係るうちわ用柄の部分斜視図。
【図6】実施例1に係るうちわ用柄の変形例の部分斜視図。
【図7】実施例1に係るうちわの変形例を説明する図であり、(a)は柄なしうちわの平面図、(b)は(a)の柄なしうちわにうちわ用柄が取り付けられたうちわの平面図である。
【図8】実施例2に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。
【図9】実施例3に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D矢視断面図である。
【図10】実施例4に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E矢視断面図である。
【図11】実施例4に係るうちわを説明する図であり、(a)は柄なしうちわの平面図、(b)は(a)の柄なしうちわにうちわ用柄が取り付けられたうちわの平面図である。
【図12】実施例5に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F矢視断面図である。
【図13】実施例6に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のG−G矢視断面図である。
【図14】実施例7に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のH−H矢視断面図である。
【図15】実施例7に係るうちわ用柄を有するうちわの平面図。
【図16】実施例7に係るうちわの第1の変形例の平面図。
【図17】実施例7に係るうちわの第2の変形例におけるうちわの分解図。
【図18】実施例7に係るうちわの第2の変形例におけるうちわの平面図。
【図19】実施例8に係るうちわの平面図。
【図20】実施例8に係るうちわの分解図。
【図21】実施例8に係るうちわ用柄を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のJ−J矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るうちわ及びうちわ用柄の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0013】
本実施例のうちわ1は図1、2に示すように、扇部に指孔2aを有する柄なしうちわ2と、柄なしうちわ2に取り付けられたうちわ用柄10から成る。
【0014】
柄なしうちわ2は、しなやかさを有する厚紙やプラスチック等を打ち抜いて形成され、扇部に空けられた指孔2aにより、うちわ用柄10がなくても単独でうちわとして使用することができるものである。すなわち、指孔2aに親指を入れ、指孔2と指孔2aに最も近い外縁の間の部分を把持して扇ぐことにより、柄なしうちわ2自体のみでも十分うちわとしての機能を有する。しかし、以下に述べるように、これに柄を付けることにより、より扇ぎやすくなり、また、使用法によっては扱いが便利となる。
なお以下の説明では、柄なしうちわ2の外縁のうち、図1に示すように指孔2aに最も近い部分であって、うちわ用柄10の幅と同程度の長さの部分を係合領域2bと呼ぶ。
【0015】
うちわ用柄10はポリプロピレン等のプラスチックを成形加工して製造されたものであり、図3に示すように、使用者が把持するための把持部11と、把持部11から延伸するうちわ支持部12とを有する。うちわ支持部12の一方の面(図3における上面)は柄なしうちわ2に接するうちわ接触面12aであり、うちわ接触面12aには指が入る程度の大きさの貫通孔14が空けられている。
【0016】
うちわ支持部12の先端側には柄なしうちわ2の指孔2aに係合する指孔係合部131が設けられている。指孔係合部131は円環状の指孔当接部15と、指孔当接部15の柄先端側(図3における左側)の側面に設けられた第1指孔突出部16及び第2指孔突出部17を有する。
指孔当接部15はうちわ接触面12aよりも上面側に突出したものであり、その外径は指孔2aの径と同じである。
図3(b)に示すように、指孔当接部15の柄先端側の側面にて、第1指孔突出部16は上面側に、第2指孔突出部17は下面側にそれぞれ設けられている。第1指孔突出部16は指孔当接部15の外径と同じ幅で突出する舌状片であり、第2指孔突出部17は指孔当接部15の中央から突出する突起である。図4(a)に示すように、第1指孔突出部16と第2指孔突出部17は厚さ方向に柄なしうちわ2の厚さ程度離間し、その離間部(第1離間部132)に指孔2aのうちわ中心側の縁が係合する。
【0017】
うちわ支持部12の把持部11側にはうちわ外縁の係合領域2bに係合する外縁係合部133が設けられている。外縁係合部133は、係合領域2bの端面が当接する外縁当接部18と、外縁当接部18からうちわ側に突出する外縁突出部19とを有する。
図3(a)に示すように外縁当接部18の中央は指孔当接部15から距離d2だけ離間し、その距離d2は柄なしうちわ2の指孔2aから指孔2aに最も近いうちわ外縁までの距離d1(図1参照)と同じである。
外縁突出部19は外縁当接部18中央の上面側に、うちわ接触面12aから厚さ方向に柄なしうちわ2の厚さ程度離間するように設けられている。その離間部(図4(b)に示す第2離間部134)にはうちわ外縁の係合領域2bが係合する。
【0018】
柄なしうちわ2にうちわ用柄10を取り付ける際には、柄なしうちわ2の下面側から指孔2aに第1指孔突出部16を挿入し、第1離間部132に指孔2aのうちわ中心側の縁を嵌める。次に、柄なしうちわ2の指孔2aと係合領域2bの間の部分を湾曲させ、係合領域2bを第2離間部134に差し込む。これにより、柄なしうちわ2はうちわ用柄10に保持される。
柄なしうちわ2における、うちわ用柄10の指孔当接部15と外縁当接部18の間に嵌めることができる部分は、指孔2aから外縁までの距離が最も近い部分のみであり、上記のようにその部分を指孔当接部15と外縁当接部18の間に嵌めると、柄なしうちわ2はうちわ用柄10に対して指孔2aを中心に回転することができず、横方向に動くことがない。
うちわ用柄10を有するうちわ1は柄があることにより扇ぎやすく、うちわ用柄10を浴衣の帯等に差し込むことも可能である。
【0019】
うちわ用柄10と柄なしうちわ2を分離する際には、うちわ支持部12の下面側から貫通孔14に指を挿入し、柄なしうちわ2の指孔2aと係合領域2bの間の部分を湾曲させ、外縁突出部19での係合領域2bの係合を外す。これにより、うちわ用柄10から柄なしうちわ2を容易に取り外すことができる。
柄なしうちわ2とうちわ用柄10を分離すればコンパクトになり、鞄等に入れて持ち運びやすい。また、分離した柄なしうちわ2にうちわ用柄10を取り付け、再度柄付うちわ1として使用することもできる。配布されずに余ったうちわ1を廃棄するときには、広告等が記載された柄なしうちわ2のみを廃棄し、うちわ用柄10は別の柄なしうちわに取り付けて再利用することができる。分離した柄なしうちわ2は単独でも、上述したとおり指孔2aに指を入れて、うちわとして使用することができる。
【0020】
なお、図6に示すようにうちわ用柄101において、うちわ接触面12aに凸部121を形成するとともに、図7に示すように柄なしうちわ21において、凸部121に対応する位置に止め孔21aを空け、その止め孔21aに凸部121を嵌合させてもよい。これにより、柄なしうちわ21の横ずれをより効果的に防止することができ、柄なしうちわ21をより確実に保持することができる。
【実施例2】
【0021】
本発明に係るうちわ用柄の第2の実施例を図8に示す。本実施例のうちわ用柄20は実施例1のうちわ用柄10と比べると、外縁当接部28及び外縁突出部29が大きい。これにより、柄なしうちわの外縁をよりしっかりと保持することができる。
【実施例3】
【0022】
本発明に係るうちわ用柄の第3の実施例を図9に示す。本実施例のうちわ用柄30は図9(b)に示すように、指孔当接部35の柄先端側の側面の下面側に第2指孔突出部がない。このような構成であっても、柄なしうちわの下面をうちわ接触面32aに接触させた状態で上面を第1指孔突出部36及び外縁突出部39により押さえることにより、柄なしうちわを保持することができる。
【実施例4】
【0023】
本発明に係るうちわ用柄の第4の実施例を図10に示す。本実施例のうちわ用柄40はうちわ支持部42が大きく、指孔当接部45の側方や第1指孔突出部46よりも先端側にまで広がっている。これにより、柄なしうちわをより広い面で支持することができる。
また、うちわ接触面42aには2つの凸部421が形成されている。これらの凸部421に対応するように柄なしうちわ22に止め孔22aを空け(図11参照)、その止め孔22aに凸部421を嵌合させることにより、柄なしうちわ21の横ずれをより効果的に防止することができ、柄なしうちわ22をより確実に保持することができる。
【実施例5】
【0024】
本発明に係るうちわ用柄の第5の実施例を図12に示す。上記実施例1〜4のうちわ用柄はいずれも樹脂成形品であったが、本実施例のうちわ用柄50は厚紙を3層に積層して構成したものである。厚紙を用いる場合、扇いだときに第1指孔突出部56や外縁突出部59等が折れ曲がって破損し易いため、図12に示すようにそれらを十分に大きく形成することが望ましい。特に外縁突出部59については、うちわ支持部52の幅方向の一端から他端に掛けて設けることが望ましい。これにより、外縁突出部59とうちわ支持部52の間に形成される長い溝に柄なしうちわの外縁を嵌め込み、うちわ外縁を広い範囲で保持することができる。このとき、外縁突出部59に加わる力が広い範囲に分散するため、外縁突出部59が破損しにくい。
うちわ用柄50を紙製の柄なしうちわに取り付けることにより、柄を含めてうちわ全体を紙のみで構成することができる。これにより、廃棄時にはうちわ全体を古紙として再生利用することができ、環境への負荷が軽減する。
【実施例6】
【0025】
本発明に係るうちわ用柄の第6の実施例を図13に示す。本実施例のうちわ用柄60も厚紙を積層して構成したものである。うちわ支持部62は指孔当接部65の周囲に広がり、第1指孔突出部66との間に隙間が形成されている。この隙間に柄なしうちわの指孔の縁を嵌め込むことにより、指孔の縁を両面から保持することができる。
【実施例7】
【0026】
本発明に係るうちわ用柄の第7の実施例を図14、15に示す。本実施例のうちわ用柄70も厚紙を積層して構成したものであるが、上記実施例のうちわ用柄と比べると、特に指孔係合部731が異なる。
図14に示すように、指孔係合部731は指孔当接部75と、指孔当接部75の柄先端側に設けられた第1指孔突出部76及び第2指孔突出部77に加えて、指孔当接部75の把持部71側に設けられた第3指孔突出部761を有する。第3指孔突出部761は半楕円状の突出片であり、柄なしうちわ2の厚さ程度だけうちわ接触面72aから厚さ方向に離間する。
また、図15に示すように、指孔当接部75の径は指孔2aの径よりも小さく、指孔当接部75のうちわ中心側から第3指孔突出部761の先端までの距離d3が指孔2aの径と同じである。
【0027】
柄なしうちわ2にうちわ用柄70を取り付ける際には、柄なしうちわ2の下面側から指孔2aにうちわ用柄70の先端を挿入する。このとき、第1指孔突出部76と第2指孔突出部77の間に指孔2aの縁を差し込み、指孔2aの縁の側面に指孔当接部75を当接させる。これにより、第3指孔突出部761の先端を指孔2aに入れ込むことができる。次に、うちわ用柄70を把持部71側に引き、第3指孔突出部761とうちわ接触面72aの間に指孔2aの係合領域2b側の縁を差し込む。そして、柄なしうちわ2の指孔2aと係合領域2bの間の部分を湾曲させ、係合領域2bを外縁突出部79とうちわ接触面72aの間に差し込む。これにより、柄なしうちわ2はうちわ用柄70に保持される。
【0028】
なお、本実施例では、外縁突出部79とうちわ接触面72aの間に柄なしうちわ2の係合領域2bを差し込んだ状態では、第1指孔突出部76と第2指孔突出部77は、図15に示すように指孔2aの縁に重ならない長さとしたが、図16に示すように指孔2aの縁に重なる長さとしてもよい。
【0029】
また、円形の指孔の代わりに、図17、18に示すような形状の孔23aを柄なしうちわ23に設けてもよい。この孔23aは、うちわ用柄70が柄なしうちわ23への取付時の方向からずれた所定方向(例えば図17に示すように、取付時の方向から90°ずれた方向)を向くときのみ、うちわ用柄70の第1指孔突出部76と第3指孔突出部761を通過させることができる形状を有する。また、孔23aのうちわ外縁側にて、うちわ用柄70の指孔当接部75が嵌る凹部がうちわ外縁側に広がっている。
柄なしうちわ23にうちわ用柄70を取り付ける際には、まずうちわ用柄70を上記所定方向に向けた状態で、柄なしうちわ23の下面側から孔23aに第1指孔突出部76と第3指孔突出部761を挿入する。次に、うちわ用柄70を孔23aを中心に回転させ、第1指孔突出部76と第2指孔突出部77の間、及び、第3指孔突出部761とうちわ接触面72aの間に孔23aの縁を差し込む。うちわ用柄70が取付時の方向(図18参照)を向いたら、うちわ用柄70を把持部側に引き、孔23aの凹部に指孔当接部75を嵌め込む。そして、柄なしうちわ23における孔23aよりもうちわ外縁側の部分を湾曲させ、その部分の端部を外縁突出部79とうちわ接触面72aの間に差し込む。これにより、柄なしうちわ23はうちわ用柄70に保持される。
【実施例8】
【0030】
図19〜図21に本発明の第8の実施例に係るうちわを示す。本実施例に係るうちわ3は、柄なしうちわ24とこの柄なしうちわに取り付けられたうちわ用柄80から成る。上記した第1〜第7の実施例では、柄なしうちわが使用者の親指が通る程度の大きさの孔(指孔)を有しており、この孔にうちわ用柄を取り付けるようにしているが、本実施例では、使用者の指が通らない小さな孔24aを柄なしうちわ24に設け(図20参照)、この孔24aにうちわ用柄80を取り付けるようにしている。
具体的には、孔24aは、柄なしうちわ24の扇面に設けられた矩形の孔であり、ここにうちわ用柄80端部の孔係合部831が係合する。また、本実施例の柄なしうちわ24では、外縁におけるうちわ用柄80と交わる部分に矩形の切り取り部24bが設けられている(図20参照)。切り取り部24bの幅はうちわ用柄80のうちわ側の端部の幅と同程度である。
【0031】
うちわ用柄80は、プラスチック製の棒であり、図21(b)に示すように、その端部(うちわ支持部82及び孔係合部831)の断面形状は実施例7のうちわ用柄70と類似する。うちわ支持部82は柄なしうちわ24の一方の面に接するうちわ接触面82aを有する。うちわ接触面82a上方の把持部81側には、柄なしうちわ24の他方の面に接する外縁突出部89が設けられている。外縁突出部89は、後述する柄なしうちわ24の嵌め込みを容易にするために、端部上面を傾斜させたり湾曲させたりしておくことが望ましい。外縁突出部89とうちわ接触面82aは柄なしうちわ24の厚さ程度離間しており、その離間部の奥に外縁当接部の当接面88aが設けられている。
【0032】
うちわ支持部82の柄先端側に設けられた孔係合部831は、うちわ中心側に突出する第1孔突出部86及び第2孔突出部87、並びに、把持部81側に突出する第3孔突出部861を有する。第1孔突出部86と第2孔突出部87の間、及び、第3孔突出部861とうちわ接触面82aの間には、それぞれ柄なしうちわ24の厚さ程度の隙間があり、各隙間の奥に孔当接部の当接面85aが設けられている。また、孔係合部831の幅は柄なしうちわ24の孔24aの幅と同程度である。
【0033】
図20に示すように第1孔突出部86の先端から第3孔突出部861の先端までの距離d4は孔24aの長さd5よりも長い。また、図21(b)に示した孔当接部85から外縁当接部88までの距離d7は、図20に示した孔24aから切り取り部24bまでの距離d6と同程度である。
【0034】
柄なしうちわ24にうちわ用柄80を取り付ける際には、柄なしうちわ24の下面側から孔24aにうちわ用柄80の先端を挿入する。このとき、第1孔突出部86と第2孔突出部87の間に孔24aのうちわ中心側の縁を差し込み、その縁の側面に孔当接部85を当接させる。次に、うちわ用柄80を把持部81側に引き、第3孔突出部861とうちわ接触面82aの間に孔24aの把持部81側の縁を差し込み、その縁の側面に外縁当接部88を当接させる。そして、柄なしうちわ24における切り取り部24b付近をうちわ接触面82a側へ押し込み、外縁突出部89で係止する。これにより、柄なしうちわ24がうちわ用柄80に保持される。このとき、柄なしうちわ24の切り取り部24bによってうちわ用柄80の横移動が規制されており、これによりうちわ用柄80の横ずれを防止することができる。
【0035】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。例えば、実施例1〜6では指孔当接部が指孔の全周に接するとしたが、指孔当接部は少なくとも指孔のうちわ外縁側の縁の側面に接するものであればよい。このような指孔当接部であっても、うちわが柄先端側へずれることを防止することができる。また、実施例7、8では、孔当接部(指孔当接部)は孔(指孔)のうちわ外縁側の縁の側面に接するとしたが、孔のうちわ中心側の縁の側面にも接するものや孔の全周に接するもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1、3…うちわ
10、101、20、30、40、50、60、70、80…うちわ用柄
11、71、81…把持部
12、42、52、62、82…うちわ支持部
12a、32a、42a、72a、82a…うちわ接触面
121、421…凸部
131、731…指孔係合部
132…第1離間部
133…外縁係合部
134…第2離間部
14…貫通孔
15、35、45、65、75…指孔当接部
16、36、46、56、66、76…第1指孔突出部
17、77…第2指孔突出部
18、28…外縁当接部
19、29、39、59、79、89…外縁突出部
2、21、22、23、24…柄なしうちわ
2a…指孔
2b…係合領域
21a、22a…止め孔
23a、24a…孔
24b…切り取り部
761…第3指孔突出部
831…孔係合部
85a、88a…当接面
86…第1孔突出部
861…第3孔突出部
87…第2孔突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇部に孔を有する柄なしうちわに取り付けられる柄であって、
a)把持部と、
b)前記把持部から延伸し、柄なしうちわの一方の面に接する接触面を有するうちわ支持部と、
c)前記うちわ支持部の先端側に設けられた、柄なしうちわの前記孔の縁に係合する孔係合部と、
d)前記うちわ支持部の前記把持部側に設けられた、柄なしうちわの前記孔に最も近い外縁に係合する外縁係合部と
を備えることを特徴とするうちわ用柄。
【請求項2】
前記孔係合部が、
c1)少なくとも前記孔のうちわ外縁側の縁の側面に接する当接面を有する孔当接部と、
c2)前記孔当接部から前記うちわ中心側に突出し、柄なしうちわの他方の面に接する孔突出部と
を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のうちわ用柄。
【請求項3】
前記孔係合部が、
c3)少なくとも前記孔のうちわ外縁側の縁の側面に接する当接面を有する孔当接部と、
c4)前記孔当接部から前記うちわ外縁側に突出し、柄なしうちわの他方の面に接する孔突出部と
を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のうちわ用柄。
【請求項4】
前記外縁係合部が、
d1)柄なしうちわの前記外縁の側面に接する当接面を有する外縁当接部と、
d2)前記外縁当接部から前記孔係合部側に突出し、柄なしうちわの他方の面に接する外縁突出部と
を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のうちわ用柄。
【請求項5】
前記うちわ支持部が、前記孔係合部と前記外縁係合部の間に貫通孔を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のうちわ用柄。
【請求項6】
前記うちわ支持部が、前記接触面に、柄なしうちわに設けられた止め孔に嵌合する凸部を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のうちわ用柄。
【請求項7】
前記孔が、使用者の指を挿入可能な指孔であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のうちわ用柄。
【請求項8】
扇部に孔を有する柄なしうちわと、該柄なしうちわに取り付けられた請求項1〜7のいずれかに記載のうちわ用柄とを備えることを特徴とするうちわ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−115552(P2011−115552A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164811(P2010−164811)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000133157)株式会社TANAーX (28)
【Fターム(参考)】