説明

うつ病またはうつ状態の同定方法

【課題】物質測定に基づいた、うつ病またはうつ状態の客観的かつ高精度の同定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、うつ病またはうつ状態の患者に実質的に特異的に現れるタンパク質分解産物を検出することを特徴とする。このペプチドは、特にアルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病またはうつ状態を同定する方法に関し、特にうつ病またはうつ状態を物質的に同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うつ病をはじめとする精神疾患の診断や個人の持つ心理的ストレスの査定は、医師や心理士の主観、あるいは症状やストレスを申告する患者や個人の主観に依拠しており、客観的と言いがたい。実際、病気であることによって何らかの有利な点がある場合に症状を過剰に訴える疾病利得や、その反対に精神疾患であると他人に知られることによって蒙る偏見や不都合を避けたくて症状を秘匿することが頻繁に見られるため、正確な診断や査定が困難なケースが非常に多い。
【0003】
そこで、医師や心理士の診断を客観的に補足する方法が各種検討されている。例えば、WO2004/080312(うつ病の診断方法、特許文献1)のように、医師や心理士の診断結果をコンピュータ処理することによって患者の症状に表れるノイズをできるだけ除く方法である。
【0004】
特開2003−274949(うつ病薬の標的遺伝子及びその利用、特許文献2)では、うつ病の原因遺伝子を同定することと、うつ病の治療および/または予防のための医薬のスクリーニング方法が提案されている。
【0005】
うつ病患者に過剰に見られる物質を同定することによって、うつ病を客観的に把握する方法も研究されている。例えば特開2007−24822(男性の更年期又はうつ病の鑑別方法、特許文献3)の発明では、男性の血液または唾液中に存在するテストステロンおよびコルチゾールの量に基づいてうつ病を鑑別する。特表2002−529706(神経精神障害におけるポリグルタミン含有タンパク質、特許文献4)の発明では、ポリグルタミン含有タンパク質をマーカーとして神経精神病を診断する。
【特許文献1】WO2004/080312
【特許文献2】特開2003−274949
【特許文献3】特開2007−24822
【特許文献4】特表2002−529706
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3や4に記載のテストステロン、コルチゾールおよびポリグルタミン含有タンパク質は、健常者にも検出される。その量は、健常者間で変動するので、上記物質の検出に基づいてうつ病と判断することは難しい。そこで、本発明は、特許文献3や4と同様にうつ病を客観的に同定する方法であるが、従来よりも簡易かつ高精度に同定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を鋭意研究した結果、うつ病患者の体液にはうつ病患者特有のタンパク質分解産物が含まれることを発見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、ヒトから採取した体液に対して、うつ病またはうつ状態の患者に実質的に特異的に現れるタンパク質分解産物を検出することからなる、うつ病またはうつ状態の同定方法を提供するものである。
【0008】
本明細書において、「うつ状態」とは、抑うつ気分、落ち込み、意欲減退、思考力低下、集中力低下、食欲不振または過食、不眠、ものごとの興味関心がないなどの症状を呈する状態をいい、「うつ病」は、これらの症状が2週間以上続く場合をいう。うつ病の概念は、本来、他の疾患と並存・併記しうる概念であるが、主たる病気と副たる病気に分けて患者の病態を考察するような場合には、副たる病気がうつ病であっても、診断がおろそかになり、うつ状態と表現されることも多い。また、2週間の症状の持続に関して、十分な根拠をもって診断を下せない状況も存在する。このような場合でも、うつ状態と表現されることがある。こうした現状を踏まえ、本発明の同定方法は、うつ病およびうつ状態を検出対象とする。
【0009】
本明細書において、「うつ病またはうつ状態の患者に実質的に特異的に現れるタンパク質分解産物」という用語は、検出下限が1pmol/LのLC/MS法分析装置において健常者の血漿サンプルには検出されないが、うつ病またはうつ状態の患者の血漿サンプルには検出されるようなタンパク質分解産物を指す意味で使用される。また、前記「分解産物」は、本明細書において、ペプチドームの分解系(Peptidome Degradome)を含む意味で使用される。
【0010】
うつ病患者特異的に現れるタンパク質分解産物は、例えばアルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物である。
【0011】
前記ヒトから採取した体液から分子量3000Da以下の低分子量タンパク質を分離してから、該低分子量タンパク質中の前記タンパク質分解産物を測定することが好ましい。
【0012】
前記ヒトの体液は、例えば血漿である。
【0013】
前記タンパク質分解産物の検出は、例えば質量分析法に基づく。質量分析法において、血漿中のタンパク質分解産物の濃度が1pmol/L以上であると、うつ病またはうつ状態と判断される。
【0014】
本発明は、また、うつ病またはうつ状態の患者特有のタンパク質分解産物に特異的に結合するリガンド、および該タンパク質分解産物と該リガンドとの結合を認識する手段を備えたうつ病またはうつ状態の診断用キットを提供する。
【0015】
前記タンパク質分解産物は、アルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物である。
【0016】
前記リガンドは、抗体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法は、うつ病またはうつ状態の患者の体液に実質的に特異的に含まれるタンパク質分解産物を測定することによって、今まで問診に頼っていたうつ病またはうつ状態の診断を物質的かつ高精度に測定することを可能にする。具体的には、本発明の方法は、うつ病またはうつ状態を70%以上の精度で同定する。特定のペプチドを選択すれば、その精度は100%に達する。
【0018】
本発明の同定方法が対象とするうつ病およびうつ状態は、抑うつ神経症、不安神経症、パニック障害、自律神経失調症、強迫性障害、人格障害、統合失調症、摂食障害などの精神疾患からくる心因性のもの、および癌、心筋梗塞、糖尿病、エイズなどの身体疾患からくる身体性のものが広く対象になる。さらに、同方法は、患者の性別や年齢によらない。
【0019】
本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法は、うつ病患者の治療中または治療後の監視にも有用である。例えば、アルブミンは、ヒトの体内で1日に100〜200mg/kgが合成されるが、その同じ量が分解され、その半減期は14〜20日である。したがって、患者に抗うつ剤などを処方してから14〜20日以降に、特定のアルブミン分解産物の動向を見ることによって、抗うつ剤の効果やうつ病の改善傾向を把握することができる。また、特異的タンパク質分解産物の挙動をモニタリングすることによって、抗うつ剤の適正使用量を把握し、使用過多や副作用を回避するのにも極めて有効である。さらに、本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法は、健康診断時の採血時にも使用することにより、予防医学にも役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法は、ヒトから採取した体液に対して、うつ病またはうつ状態の患者に実質的に特異的に現れるタンパク質分解産物を検出することを特徴とする。うつ病またはうつ状態にかかった患者の体内にあるタンパク質は、その立体構造が変化し得る。それに伴い、タンパク質分解酵素による切断部位が変化し、うつ病またはうつ状態にかかった患者特有のタンパク質分解産物が現れる(以下、「特異的タンパク質分解産物」ということがある)。
【0021】
本発明の同定方法において候補となる特異的タンパク質分解産物は、うつ病またはうつ状態の患者と健常者の体液に含まれるペプチドを、例えばゲル電気泳動などで詳細に対比することにより取得することができる。
【0022】
前記特異的タンパク質分解産物がアルブミン(Albumin)、αフィブリノーゲン(Alpha−fibrinogen)、βフィブリノーゲン(Beta−fibrinogen)、アポリポプロテインA−I(Apolipoprotein A−I)、アポリポプロテインA−IV(Apolipoprotein A−IV)、アポリポプロテインC−III(Apolipoprotein C−III)、アポリポプロテインE(Apolipoprotein E)、α−2−HS−グリコプロテイン(Alpha−2−HS−glycoprotein)、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物(Gene with similarity to rat kidney−specific (KS) gene)、インターα(グロブリン)インヒビターH2(Inter−alpha (globulin) inhibitor H2)、脳特異的血管新生抑制因子3(Brain−specific angiogenesis inhibitor 3, isoform CRA_a)、有機アニオントランスポーター3(Organic anion transporter 3)、ジンクフィンガー様プロテインH101(Probable zinc finger protein H101)および補体C3(Complement C3)からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物であることは、これらのペプチドがうつ病またはうつ状態の患者に特異的なペプチドが高い頻度で現れる点で検出対象として好ましい。
【0023】
以下に、上記特異的タンパク質分解産物の具体例をアミノ酸配列で示す。なお、ペプチドのアミノ酸配列記号の意味は、以下のとおりである。
A アラニン、G グリシン、M メチオニン、S セリン、C システイン、H ヒスチジン、N アスパラギン、T スレオニン、D アスパラギン酸、I イソロイシン、P プロリン、V バリン、E グルタミン酸、K リシン、Q グルタミン、W トリプトファン、F フェニルアラニン、L ロイシン、R アルギニン、Y チロシン
【0024】
また、ペプチドのアミノ酸配列の後に付加される記号「+Oxidation(M)」、「+2 Oxidation(M)」および「+3 Oxidation(M)」は、それぞれ、配列に含まれるメチオニンの一酸化物、二酸化物および三酸化物を意味する。
【0025】
前記アルブミン分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号1のFKDLGEENFK、配列番号2のKDLGEENFK、配列番号3のDLGEENFK、配列番号4のALVLIAF、配列番号5のALVLIAFAおよび配列番号6のVLIAFAからなる群の少なくとも一種のペプチドが好ましい。
【0026】
さらに、前記アルブミン分解産物として、アミノ酸配列がDLGEENFKおよびALVLIAFのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0027】
前記αフィブリノーゲン分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号7のADSGEGDFLAEGGGVRGP、配列番号8のADSGEGDFLAEGGGVRGPR、配列番号9のDSGEGDFLAEGGGVRGPR、配列番号10のHSLTTNIMEILR、配列番号11のSLTTNIMEILR、配列番号12のLTTNIMEILR、配列番号13のLTTNIMEILR + Oxidation(M)、配列番号14のTTNIMEILR + Oxidation(M)、配列番号15のTNIMEILR + Oxidation(M)、配列番号16のQLLQKNVRAQLVDMKR、配列番号17のSCRGSCSRALAREVDLKDYEDQQKQLEQVIAKD、配列番号18のLGTLSGIGTLDGFR、配列番号19のLIKMKPVPD + Oxidation(M)、配列番号20のMKPVPDLVPGN、配列番号21のMKPVPDLVPGNF + Oxidation(M)、配列番号22のMKPVPDLVPGNF、配列番号23のMKPVPDLVPGNFK、配列番号24のMKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、配列番号25のPVPDLVPGNFK、配列番号26のPDLVPGNFK、配列番号27のDLVPGNFK、配列番号28のSQLQKVPPEWK、配列番号29のVPPEWK、配列番号30のPEWKALTDMPQMR+ Oxidation(M)、配列番号31のALTDMPQM + 2 Oxidation(M)、配列番号32のALTDMPQM + Oxidation(M)、配列番号33のALTDMPQM、配列番号34のALTDMPQMR、配列番号35のALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、配列番号36のALTDMPQMR + Oxidation(M)、配列番号37のDMPQMRMELERPGGNEITR + Oxidation(M)、配列番号38のMELERPGGNEIT、配列番号39のMELERPGGNEIT + Oxidation(M)、配列番号40のMELERPGGNEITR、配列番号41のMELERPGGNEITR + Oxidation(M)、配列番号42のLERPGGNEITR、配列番号43のERPGGNEITR、配列番号44のGGNEITRGGSTSYGTGSETESPRNPSSAGSWNSGSSGPG、配列番号45のGTGSETESPRN、配列番号46のSGPGSTGNRNPGSS、配列番号47のGSSGTGGTATWKPGSSGP、配列番号48のKPGSSGPGSAGSWNSGSSGTGSTGNQN、配列番号49のPGSSGPGSTGSWNSGSSGTGS、配列番号50のGSTGNQNPGSPRPGSTGTWNPGS、配列番号51のSTGTWNPGSSERGSAGHWTSE、配列番号52のSGNARPNNPDWGTFEEVSGNVSPGTRREYHTEK、配列番号53のDWGTFEEVSGNVSPGTR、配列番号54のEVSGNVSPGTR、配列番号55のREYHTEKLVTS、配列番号56のREYHTEKLVTSKGDKELR、配列番号57のTEKLVTSK、配列番号58のTEKLVTSKGDKEL、配列番号59のTEKLVTSKGDKELR、配列番号60のLVTSKGDKELR、配列番号61のEKVTSGSTTTTR、配列番号62のKEVVTSEDGSDCPE、配列番号63のGTLSGIGTLDGFR、配列番号64のSGIGTLDGFR、配列番号65のHRHPDEAAF、配列番号66のHRHPDEAAFFDTA、配列番号67のHRHPDEAAFFDTASTGK、配列番号68のTFPGFFSPM、配列番号69のHPDEAAFFDTASTGK、配列番号70のTFPGFF、配列番号71のTFPGFFSPM + Oxidation(M)、配列番号72のTFPGFFSPML、配列番号73のTFPGFFSPML + Oxidation(M)、配列番号74のPGFF、配列番号75のPGFFSPM + Oxidation(M)、配列番号76のGFFSPMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、配列番号77のFSPMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、配列番号78のMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、配列番号79のMLGEFVSETESR、配列番号80のLGEFVSETESR、配列番号81のESRGSESGIF、配列番号82のGSESGIFTN、配列番号83のGSESGIFTNTK、配列番号84のGSESGIFTNTKES、配列番号85のTNTKESSSHHPGIAEFPSR、配列番号86のESSSHHPGIAEFPSR、配列番号87のSSHHPGIAEFPSR、配列番号88のSSHHPGIAEFPSRGK、配列番号89のHHPGIAEFPSR、配列番号90のSYSKQFTSSTSY、配列番号91のQFTSSTSYN、配列番号92のQFTSSTSYNR、配列番号93のKQFTSSTSYNR、配列番号94のYNRGDSTFESK、配列番号95のDHEGTHSTKRG、配列番号96のFGSLNDEGEGEF、配列番号97のYHFRVGSEAEGYALQVSおよび配列番号98のGVVWVSFRGADYSLRAVRMKI + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0028】
さらに、前記αフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がMKPVPDLVPGN、MKPVPDLVPGNF、MKPVPDLVPGNFK、MKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、ALTDMPQMR、ALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQMR + Oxidation(M)、MELERPGGNEITR、MELERPGGNEITR + Oxidation(M)およびTFPGFFSPML + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
好ましい。
【0029】
前記βフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列が配列番号99のVNDNEEGFFSAR、配列番号100のDNEEGFFSAR、配列番号101のNEEGFF、配列番号102のGHRPLDK、配列番号103のGHRPLDKK、配列番号104のKREEAPSLR、配列番号105のREEAPSLR、配列番号106のEEAPSLRPA、配列番号107のSLRPAPPPISGGGYR、配列番号108のPAPPPISGGGY、配列番号109のPAPPPISGGGYR、配列番号110のPPPISGGGYR、配列番号111のPPISGGGYR、配列番号112のARPAKAAATQK、配列番号113のMDGASQLMGENRTMTIHNGMFFSTYDRDN + 3 Oxidation(M)および配列番号114のWYSMRKMSMKIRPF + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0030】
前記βフィブリノーゲン分解産物としては、アミノ酸配列がREEAPSLRのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0031】
さらに、前記アポリポプロテインA−I分解産物としてアミノ酸配列が配列番号115のAVLTLAVLFLTGSQARHFWQQDEPPQSPWDR、配列番号116のVLTLAVLFLTGSQARH、配列番号117のLLDNWDSVTSTFSK、配列番号118のNLEKETEGLRQEMSK + Oxidation(M)、配列番号119のAKVQPYLDDFQK、配列番号120のAKVQPYLDDFQKK、配列番号121のPYLDDFQKKWQEEMELYR + Oxidation(M)、配列番号122のWQEEMELYR、配列番号123のQKVEPLRAELQEGAR、配列番号124のAELQEGAR、配列番号125のAELQEGARQK、配列番号126のLHELQEK、配列番号127のLHELQEKLSPLGEEMRDR + Oxidation(M)、配列番号128のELQEKLSPL、配列番号129のLSPLGEEMR + Oxidation(M)、配列番号130のLSPLGEEMR、配列番号131のSPLGEEMRDRARAH、配列番号132のARAHVDALR、配列番号133のAHVDAL、配列番号134のAHVDALR、配列番号135のVDALR、配列番号136のTHLAP、配列番号137のTHLAPY、配列番号138のTHLAPYSDEL、配列番号139のLAPYSDELR、配列番号140のAPYSDELR、配列番号141のAPYSDELRQR、配列番号142のPYSDELR、配列番号143のPYSDELRQR、配列番号144のARLEALKENGGAR、配列番号145のEYHAKATEHLSTLSEK、配列番号146のATEHLSTL、配列番号147のATEHLSTLSEK、配列番号148のATEHLSTLSEKAKPALEDLR、配列番号149のAKPALEDLR、配列番号150のALEDLR、配列番号151のRQGLLPVLESF、配列番号152のLLPVLESF、配列番号153のLLPVLESFKV、配列番号154のLPVLESFK、配列番号155のPVLESF、配列番号156のVSFLSALEEYTK、配列番号157のVSFLSALEEYTKK、配列番号158のVSFLSALEEYTKKLNTQ、配列番号159のSFLSALEEYTK、配列番号160のFLSALEEYTKK、配列番号161のLSALEEYTKおよび配列番号162のLEEYTKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0032】
前記アポリポプロテインA−I分解産物としては、アミノ酸配列がAKVQPYLDDFQK、AKVQPYLDDFQKK、AHVDALR、THLAPYおよびLLPVLESFからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0033】
前記アポリポプロテインA−IV分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号163のQKSELTQQLNALFQDKLGE、配列番号164のSELTQQLNALFQDK、配列番号165のKELEELRARLLPHANEVSQKIGDNLRELQ、配列番号166のLLPHANEVSQK、配列番号167のLEPYADQLR、配列番号168のTQVNTQAEQLR、配列番号169のVNTQAEQLR、配列番号170のRQLTPYAQR、配列番号171のVLRENADSLQASLRPHADELK、配列番号172のAKIDQNVEELK、配列番号173のIDQNVEELK、配列番号174のGRLTPYADEFK、配列番号175のLTPYADEFK、配列番号176のPYADEFK、配列番号177のVKIDQTVEELR、配列番号178のVKIDQTVEELRR、配列番号179のIDQTVEELRR、配列番号180のQMKKNAEELKA、配列番号181のARISASAEELR、配列番号182のLAPLAEDV、配列番号183のLAPLAEDVR、配列番号184のLAPLAEDVRGNLR、配列番号185のSLAELGGHLDQQVEEF、配列番号186のELGGHLDQQVEEFR、配列番号187のALVQQMEQL、配列番号188のALVQQMEQLR、配列番号189のALVQQMEQLR + Oxidation(M)、配列番号190のALVQQMEQLRQK + Oxidation(M)、配列番号191のDKVNSFFSTFK、配列番号192のVNSFFSTFK、配列番号193のTLSLPELEQ、配列番号194のTLSLPELEQQおよび配列番号195のMLAPLESからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0034】
さらに、前記アポリポプロテインA−IV分解産物として、アミノ酸配列がAKIDQNVEELKおよび/またはALVQQMEQLR + Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0035】
前記アポリポプロテインC−III分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号196のLALLASARASEA、配列番号197のSEAEDASLL、配列番号198のSEAEDASLLSFMQGYMK + Oxidation(M)、配列番号199のSEAEDASLLSFMQGYMK + 2Oxidation(M)、配列番号200のSEAEDASLLSFMQGYMKH + Oxidation(M)、配列番号201のSEAEDASLLSFMQGYMKHATK + Oxidation(M)、配列番号202のASLLSFMQGYMKHATKTA、配列番号203のSLLSFMQGYMK + 2 Oxidation(M)、配列番号204のTAKDALSSVQESQVAQQAR、配列番号205のDALSSVQESQVAQQAR、配列番号206のLSSVQESQVAQQAR、配列番号207のSVQESQVAQQARおよび配列番号208のGWVTDGFSSLKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0036】
さらに、前記アポリポプロテインC−III分解産物として、アミノ酸配列がSEAEDASLLSFMQGYMK + 2Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0037】
前記アポリポプロテインE分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号209のALMDETMKELK + 2 Oxidation(M)、配列番号210のSELEEQLTPVAEETR、配列番号211のGEVQAMLGQSTEELR + Oxidation(M)、配列番号212のGLSAIRER、配列番号213のTVGSLAGQPLQERA、配列番号214のAKLEEQAQQIR、配列番号215のSWFEPL、配列番号216のSWFEPLV、配列番号217のSWFEPLVEDMQR + Oxidation(M)および配列番号218のVQAAVGTSAAPVPSDNHからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0038】
さらに、前記アポリポプロテインE分解産物として、アミノ酸配列がSELEEQLTPVAEETRのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0039】
前記α−2−HS−グリコプロテイン分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号219のVLLLCLAQLWGCHSAPHG、配列番号220のLAQLWGCHSAPHGPG、配列番号221のHYDLRHTFMGV、配列番号222のHYDLRHTFMGVVSLGSPSGEVSHPR、配列番号223のRHTFMGVVSLGSPSGE + Oxidation(M)、配列番号224のHTFMGVVSLGSPSG + Oxidation(M)、配列番号225のHTFMGVVSLGSPSGEVSHPR、配列番号226のHTFMGVVSLGSPSGEVSHPR + Oxidation(M)、配列番号227のFMGVV、配列番号228のFMGVV + Oxidation(M)、配列番号229のFMGVVSL、配列番号230のFMGVVSL + Oxidation(M)、配列番号231のFMGVVSLGSPSG、配列番号232のFMGVVSLGSPSGEVSHPR + Oxidation(M)、配列番号233のSLGSPSGEVSHPRおよび配列番号234のGSPSGEVSHPRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0040】
さらに、前記α−2−HS−グリコプロテイン分解産物として、アミノ酸配列がFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVV + Oxidation(M)との組み合わせ、および/またはFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVVSLGSPSGとの組み合わせのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0041】
前記ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物の分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号235のPGFMGKATPPY + Oxidation(M)および/または配列番号236のENCIIVSMNTADPGのペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0042】
前記インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号237のSLPGESEEMMEEVDQVTLYSYKVQSTITSRMAT、配列番号238のVFDVQIPKGAFISNFS、配列番号239のSSIKEKTVGR、配列番号240のGQQKAHVSFKPTV、配列番号241のQQKAHVSFKPTVAQQRICPSCRET、配列番号242のTILDDLR、配列番号243のNDLISATK、配列番号244のNDLISATKTQVADAK、配列番号245のIQPSGGTNINEALLR、配列番号246のRLSNENHGIAQR、配列番号247のLSNENHGIAQR、配列番号248のNENHGIAQR、配列番号249のIYGNQDTSSQLK、配列番号250のIYGNQDTSSQLKK、配列番号251のKFYNQVSTPLL、配列番号252のFYNQVSTPLLR、配列番号253のQLLAERSLAPTAA、配列番号254のSLAPTAAAKR、配列番号255のLQMSLDHHIVTPLTSLVIENEAG + Oxidation(M)、配列番号256のYYGSKVVPDSTP、配列番号257のSTPSWANPSPTPVISMLAQGSQ、配列番号258のSTPSWANPSATPVISMLAQGSQVLESTPPPHVMRVE、配列番号259のCFNIDSEPGKIL、配列番号260のSVKKEKVVTITLDKEMS + Oxidation(M)および配列番号261のVTITLDKEMSFSVLLHRVWKKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0043】
さらに、前記インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物として、アミノ酸配列がIYGNQDTSSQLK、IYGNQDTSSQLKKおよびFYNQVSTPLLRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0044】
前記脳特異的血管新生抑制因子3の分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号262のADMDIVHPQERM + Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0045】
前記有機アニオントランスポーター3の分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号263のPNASLPNDTQRAMEPのペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0046】
前記ジンクフィンガー様プロテインH101の分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号264のLATDHPLLNTのペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0047】
前記補体C3の分解産物としては、アミノ酸配列が配列番号265のHLPLALGSPMYSIIT + Oxidation(M)、配列番号266のSVQLTEKR、配列番号267のHLGLA、配列番号268のHLGLARおよび配列番号269のTLDPERLGRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0048】
さらに、前記補体C3の分解産物として、アミノ酸配列がHLGLAのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0049】
本発明の同定方法において、ヒトから採取される体液は、前記特異的タンパク質分解産物が検出されるものなら特に制限されない。具体例として、血液(全血、血漿、血清)、リンパ液、組織間液、体腔液、乳汁、尿、唾液、涙、汗、精液、羊水などが挙げられる。アルブミンのようなタンパク質の濃度は、血漿中および組織間液中が最も高い。さらに、血漿・血清中のタンパク質濃度は、日内変動が少ない。したがって、採取するヒトの体液は、血液(全血、血漿、血清)または組織間液が好ましく、特に好ましくは血漿・血清である。
【0050】
血漿、組織間液などのヒト体液には、アルブミン、リポプロテイン、免疫グロブリン、トランスフェリンなどのタンパク質がmg/mLのオーダーで存在する。このようなヒト体液から、極微量の特異的タンパク質分解産物を容易に検出するためには、まず、通常、5000Da以下、好ましくは3000Da以下の低分子量タンパク質を回収および精製することが好ましい。回収方法は、具体的には、遠心ろ過、限外ろ過、濃縮脱塩処理(ZipTip処理)、中空糸モジュール、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、ゲルろ過、ゲル電気泳動などが挙げられる。なお、ヒト血液から血漿を分離する方法は常法による。
【0051】
上記回収物からのアルブミン分解産物の検出は、微量タンパク質の同定方法として公知の方法を特に制限なく使用することができる。具体的には、質量分析法(MS)、酵素免疫定量法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、表面プラズモン共鳴法(SPR)などが挙げられる。質量分析法は、アミノ酸配列の一次構造を簡易かつ迅速に決めることが可能な点で好ましい。ELISA法は、後述のうつ病またはうつ状態の診断用キットを構築するのに有利である。
【0052】
MSは、磁場型、四重極(QMS)型、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、フーリエ変換型、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)型、フーリエ変換で検出するFT−ICR型のいずれでもよい。
【0053】
MSにかける前の試料のタンパク質の分離手段もまた、公知のものが特に制限なく使用可能である。具体的には、例えば、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、二次元ゲル電気泳動などが挙げられる。
【0054】
本発明の特異的タンパク質分解産物を検出する好ましい方法として、LCとMSとの組み合わせであり、より好ましくはLCとMS・MS、Q−TOFMS、MALDI−TOFMS、FT−MSとの組み合わせである。
【0055】
LCで分離された対象物質にMCに導入するために電荷を持たせるイオン化法には、電界噴霧−エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、気相(EI,CI)法、電界脱離(FD)法、粒子衝撃(FAB)法などが採用される。
【0056】
本発明は、また、うつ病またはうつ状態の患者特有のタンパク質分解産物に特異的に結合するリガンド、および該タンパク質分解産物と該リガンドとの結合を認識する手段を備えたうつ病またはうつ状態の診断用キットを提供する。このキットは、診断装置(例えば自動分析装置)での使用に合わせて構築されるものでもよいし、単独に使用されるものでもよい。
【0057】
上記特異的タンパク質分解産物は、例えばアルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物である。
【0058】
前記アルブミン分解産物として、アミノ酸配列がFKDLGEENFK、KDLGEENFK、DLGEENFK、ALVLIAF、ALVLIAFAおよびVLIAFAからなる群の少なくとも一種のペプチドが好ましい。
【0059】
前記アルブミン分解産物として、アミノ酸配列がDLGEENFKおよびALVLIAFのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0060】
前記αフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がADSGEGDFLAEGGGVRGP、ADSGEGDFLAEGGGVRGPR、DSGEGDFLAEGGGVRGPR、HSLTTNIMEILR、SLTTNIMEILR、LTTNIMEILR、LTTNIMEILR + Oxidation(M)、TTNIMEILR + Oxidation(M)、TNIMEILR + Oxidation(M)、QLLQKNVRAQLVDMKR、SCRGSCSRALAREVDLKDYEDQQKQLEQVIAKD、LGTLSGIGTLDGFR、LIKMKPVPD + Oxidation(M)、MKPVPDLVPGN、MKPVPDLVPGNF + Oxidation(M)、MKPVPDLVPGNF、MKPVPDLVPGNFK、MKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、PVPDLVPGNFK、PDLVPGNFK、DLVPGNFK、SQLQKVPPEWK、VPPEWK、PEWKALTDMPQMR+ Oxidation(M)、ALTDMPQM + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQM + Oxidation(M)、ALTDMPQM、ALTDMPQMR、ALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQMR + Oxidation(M)、DMPQMRMELERPGGNEITR + Oxidation(M)、MELERPGGNEIT、MELERPGGNEIT + Oxidation(M)、MELERPGGNEITR、MELERPGGNEITR + Oxidation(M)、LERPGGNEITR、ERPGGNEITR、GGNEITRGGSTSYGTGSETESPRNPSSAGSWNSGSSGPG、GTGSETESPRN、SGPGSTGNRNPGSS、GSSGTGGTATWKPGSSGP、KPGSSGPGSAGSWNSGSSGTGSTGNQN、PGSSGPGSTGSWNSGSSGTGS、GSTGNQNPGSPRPGSTGTWNPGS、STGTWNPGSSERGSAGHWTSE、SGNARPNNPDWGTFEEVSGNVSPGTRREYHTEK、DWGTFEEVSGNVSPGTR、EVSGNVSPGTR、REYHTEKLVTS、REYHTEKLVTSKGDKELR、TEKLVTSK、TEKLVTSKGDKEL、TEKLVTSKGDKELR、LVTSKGDKELR、EKVTSGSTTTTR、KEVVTSEDGSDCPE、GTLSGIGTLDGFR、SGIGTLDGFR、HRHPDEAAF、HRHPDEAAFFDTA、HRHPDEAAFFDTASTGK、TFPGFFSPM、HPDEAAFFDTASTGK、TFPGFF、TFPGFFSPM + Oxidation(M)、TFPGFFSPML、TFPGFFSPML + Oxidation(M)、PGFF、PGFFSPM + Oxidation(M)、GFFSPMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、FSPMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、MLGEFVSETESR + Oxidation(M)、MLGEFVSETESR、LGEFVSETESR、ESRGSESGIF、GSESGIFTN、GSESGIFTNTK、GSESGIFTNTKES、TNTKESSSHHPGIAEFPSR、ESSSHHPGIAEFPSR、SSHHPGIAEFPSR、SSHHPGIAEFPSRGK、HHPGIAEFPSR、SYSKQFTSSTSY、QFTSSTSYN、QFTSSTSYNR、KQFTSSTSYNR、YNRGDSTFESK、DHEGTHSTKRG、FGSLNDEGEGEF、YHFRVGSEAEGYALQVSおよびGVVWVSFRGADYSLRAVRMKI + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0061】
前記αフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がMKPVPDLVPGN、MKPVPDLVPGNF、MKPVPDLVPGNFK、MKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、ALTDMPQMR、ALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQMR + Oxidation(M)、MELERPGGNEITR、MELERPGGNEITR + Oxidation(M)およびTFPGFFSPML + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
好ましい。
【0062】
前記βフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がVNDNEEGFFSAR、DNEEGFFSAR、NEEGFF、GHRPLDK、GHRPLDKK、KREEAPSLR、REEAPSLR、EEAPSLRPA、SLRPAPPPISGGGYR、PAPPPISGGGY、PAPPPISGGGYR、PPPISGGGYR、PPISGGGYR、ARPAKAAATQK、MDGASQLMGENRTMTIHNGMFFSTYDRDN + 3 Oxidation(M)およびWYSMRKMSMKIRPF + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0063】
前記βフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がREEAPSLRのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0064】
前記アポリポプロテインA−I分解産物としてアミノ酸配列がAVLTLAVLFLTGSQARHFWQQDEPPQSPWDR、VLTLAVLFLTGSQARH、LLDNWDSVTSTFSK、NLEKETEGLRQEMSK + Oxidation(M)、AKVQPYLDDFQK、AKVQPYLDDFQKK、PYLDDFQKKWQEEMELYR + Oxidation(M)、WQEEMELYR、QKVEPLRAELQEGAR、AELQEGAR、AELQEGARQK、LHELQEK、LHELQEKLSPLGEEMRDR + Oxidation(M)、ELQEKLSPL、LSPLGEEMR + Oxidation(M)、LSPLGEEMR、SPLGEEMRDRARAH、ARAHVDALR、AHVDAL、AHVDALR、VDALR、THLAP、THLAPY、THLAPYSDEL、LAPYSDELR、APYSDELR、APYSDELRQR、PYSDELR、PYSDELRQR、ARLEALKENGGAR、EYHAKATEHLSTLSEK、ATEHLSTL、ATEHLSTLSEK、ATEHLSTLSEKAKPALEDLR、AKPALEDLR、ALEDLR、RQGLLPVLESF、LLPVLESF、LLPVLESFKV、LPVLESFK、PVLESF、VSFLSALEEYTK、VSFLSALEEYTKK、VSFLSALEEYTKKLNTQ、SFLSALEEYTK、FLSALEEYTKK、LSALEEYTKおよびLEEYTKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0065】
前記アポリポプロテインA−I分解産物として、アミノ酸配列がAKVQPYLDDFQK、AKVQPYLDDFQKK、AHVDALR、THLAPYおよびLLPVLESFからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0066】
前記アポリポプロテインA−IV分解産物として、アミノ酸配列がQKSELTQQLNALFQDKLGE、SELTQQLNALFQDK、KELEELRARLLPHANEVSQKIGDNLRELQ、LLPHANEVSQK、LEPYADQLR、TQVNTQAEQLR、VNTQAEQLR、RQLTPYAQR、VLRENADSLQASLRPHADELK、AKIDQNVEELK、IDQNVEELK、GRLTPYADEFK、LTPYADEFK、PYADEFK、VKIDQTVEELR、VKIDQTVEELRR、IDQTVEELRR、QMKKNAEELKA、ARISASAEELR、LAPLAEDV、LAPLAEDVR、LAPLAEDVRGNLR、SLAELGGHLDQQVEEF、ELGGHLDQQVEEFR、ALVQQMEQL、ALVQQMEQLR、ALVQQMEQLR + Oxidation(M)、ALVQQMEQLRQK + Oxidation(M)、DKVNSFFSTFK、VNSFFSTFK、TLSLPELEQ、TLSLPELEQQおよびMLAPLESからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0067】
前記アポリポプロテインA−IV分解産物として、アミノ酸配列がAKIDQNVEELKおよび/またはALVQQMEQLR + Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0068】
前記アポリポプロテインC−III分解産物として、アミノ酸配列がLALLASARASEA、SEAEDASLL、SEAEDASLLSFMQGYMK + Oxidation(M)、SEAEDASLLSFMQGYMK + 2Oxidation(M)、SEAEDASLLSFMQGYMKH + Oxidation(M)、SEAEDASLLSFMQGYMKHATK + Oxidation(M)、ASLLSFMQGYMKHATKTA、SLLSFMQGYMK + 2 Oxidation(M)、TAKDALSSVQESQVAQQAR、DALSSVQESQVAQQAR、LSSVQESQVAQQAR、SVQESQVAQQARおよびGWVTDGFSSLKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0069】
前記アポリポプロテインC−III分解産物として、アミノ酸配列がSEAEDASLLSFMQGYMK + 2Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0070】
前記アポリポプロテインE分解産物として、アミノ酸配列がALMDETMKELK + 2 Oxidation(M)、SELEEQLTPVAEETR、GEVQAMLGQSTEELR + Oxidation(M)、GLSAIRER、TVGSLAGQPLQERA、AKLEEQAQQIR、SWFEPL、SWFEPLV、SWFEPLVEDMQR + Oxidation(M)およびVQAAVGTSAAPVPSDNHからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0071】
前記アポリポプロテインE分解産物として、アミノ酸配列がSELEEQLTPVAEETRのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0072】
前記α−2−HS−グリコプロテイン分解産物として、アミノ酸配列がVLLLCLAQLWGCHSAPHG 、LAQLWGCHSAPHGPG、HYDLRHTFMGV、HYDLRHTFMGVVSLGSPSGEVSHPR、RHTFMGVVSLGSPSGE + Oxidation(M)、HTFMGVVSLGSPSG + Oxidation(M)、HTFMGVVSLGSPSGEVSHPR、HTFMGVVSLGSPSGEVSHPR + Oxidation(M)
FMGVV、FMGVV + Oxidation(M)、FMGVVSL、FMGVVSL + Oxidation(M)、FMGVVSLGSPSG、FMGVVSLGSPSGEVSHPR + Oxidation(M)、SLGSPSGEVSHPRおよびGSPSGEVSHPRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0073】
前記α−2−HS−グリコプロテイン分解産物として、アミノ酸配列がFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVV + Oxidation(M)との組み合わせ、および/またはFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVVSLGSPSGとの組み合わせのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0074】
前記ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物の分解産物として、アミノ酸配列がPGFMGKATPPY + Oxidation(M)および/またはENCIIVSMNTADPGのペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0075】
前記インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物として、アミノ酸配列がSLPGESEEMMEEVDQVTLYSYKVQSTITSRMAT、VFDVQIPKGAFISNFS、SSIKEKTVGR、GQQKAHVSFKPTV、QQKAHVSFKPTVAQQRICPSCRET、TILDDLR、NDLISATK、NDLISATKTQVADAK、IQPSGGTNINEALLR、RLSNENHGIAQR、LSNENHGIAQR、NENHGIAQR、IYGNQDTSSQLK、IYGNQDTSSQLKK、KFYNQVSTPLL、FYNQVSTPLLR、QLLAERSLAPTAA、SLAPTAAAKR、LQMSLDHHIVTPLTSLVIENEAG + Oxidation(M)、YYGSKVVPDSTP、STPSWANPSPTPVISMLAQGSQ、STPSWANPSATPVISMLAQGSQVLESTPPPHVMRVE、CFNIDSEPGKIL、SVKKEKVVTITLDKEMS + Oxidation(M)およびVTITLDKEMSFSVLLHRVWKKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0076】
前記インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物として、アミノ酸配列がIYGNQDTSSQLK、IYGNQDTSSQLKKおよびFYNQVSTPLLRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0077】
前記脳特異的血管新生抑制因子3の分解産物として、アミノ酸配列がADMDIVHPQERM + Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0078】
前記有機アニオントランスポーター3の分解産物として、アミノ酸配列がPNASLPNDTQRAMEPのペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0079】
前記ジンクフィンガー様プロテインH101の分解産物として、アミノ酸配列がLATDHPLLNTのペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0080】
前記補体C3の分解産物として、アミノ酸配列がHLPLALGSPMYSIIT + Oxidation(M)、SVQLTEKR、HLGLA、HLGLARおよびTLDPERLGRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることが好ましい。
【0081】
前記補体C3の分解産物として、アミノ酸配列がHLGLAのペプチドを検出対象に含めることが、同定の精度を向上させる点で特に好ましい。
【0082】
前記リガンドの例には、抗体やアプタマーが挙げられる。アプタマーは、アルブミン分解産物のペプチドに特異的に結合するオリゴヌクレオチドである。検出感度と簡便性の点で抗体が好ましい。
【0083】
上記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナ抗体のいずれでもよい。抗体は、従来公知の免疫方法を用いることにより容易に作成することができる。
【0084】
ポリクローナル抗体は、常法に従って上記ペプチドをウサギ、ヤギなどの動物に免疫し、生体内に産生される抗体を採取および精製すればよい。
【0085】
モノクローナル抗体は、例えばKohler and Milstein, Nature 256, 495−497, 1975に記載の方法に従ってペプチドに対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立すればよい。
【0086】
上記リガンドは、アンプル、ボトル、試験管、マイクロプレートのような容器に収容された状態で提供されてもよいし、マイクロアレイ、チューブ、ビーズなどの形状をした固相担体に担持させた状態で提供されてもよい。
【0087】
前記固相担体の材質には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0088】
前記固相担体の表面を化学修飾することによって、抗体またはアプタマーの接着性を強化してもよい。
【0089】
本発明のうつ病またはうつ状態の診断用キットは、特異的該タンパク質分解産物と該リガンドとの結合を認識する手段もまた含む。これは、アルブミン分解産物などのタンパク質分解産物から作成された一次抗体またはその二次抗体あるいはアプタマーに結合させた標識、および、抗原抗体反応後に標識に作用させる基質の組み合わせからなる。
【0090】
前記標識には、アルアリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ビオチンなどが使用可能である。
【0091】
また、前記基質には、発色試薬、発光試薬、ラジオアイソトープなどが使用可能である。標識に基質が結合した際の発色や発光量を適宜の手段でカウントすることにより、特異的タンパク質分解産物を定性、定量することができる。
【0092】
本発明のうつ病またはうつ状態の診断用キットの使用方法は、ELISAで知られる直接吸着法、サンドイッチ法、競合法のいずれでもよい。具体的には、パニングのように抗体の固定された担体を用いて対象ペプチドを集めた後、それはがして、MSで検出するなどの方法が採用される。
【実施例】
【0093】
以下に、実施例を用いて、本発明の同定方法をより詳細に説明する。しかし、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0094】
(うつ病患者の選別)
DSM−IVおよびICD−10の両基準の大うつ病に合致する患者を選別した。表1にDSM−IVによる大うつ病のエピソードを、そして、表2に選別された患者の性別、年齢、問診結果を示す。また、正常対照として、年齢および性別が患者群と有意差の出ない健常者群を18名選別した。各被験者の性別、年齢、問診結果を表2に示す。
【0095】
【表1】


(出典:DSM−IV−TR 精神疾患の分類と診断の手引、医学書院、2002、高橋三郎、大野裕、染矢俊幸(訳))
【0096】
【表2】

【0097】
(血漿の分離)
提供試料の使用について上記被験者からコンセンサスを得た後、静脈血7mLを、EDTA−2Na入りの真空採血管(容量7ml)に採取した。採血を、採取後120分以内に、800Gにて遠心処理することにより血漿を分離した。得られた血漿は、−80℃で保管した。保管できない場合は、できるだけ迅速に下記の測定に供した。
【0098】
(低分子量タンパク質の回収)
分画分子量3000Daの低吸着再生セルロース製メンブレンからなる遠心式フィルターユニット(商品名Microcon(登録商標)、ミリポア製)に、前記血漿40μlを入れ、微小遠心管遠心分離機にて、4℃、12000rpm、30〜60分間、遠心処理した。血漿からの分離液がフィルターユニットの下側に10μl蓄積されたところで、遠心処理を終了した。フィルターユニットの下側に採取された血漿分離液には、3000Da以下の物質のみが濃縮された。なお、上部に残った液は廃棄した。
【0099】
(特異的タンパク質分解産物の精製)
下記の手順で、濃縮分離液を脱塩処理した。ZipTipピペットチップ(ミリポア社製)をP−20ピペットマンに装着し、50%アセトニトリル−0.1%TFAを吸い上げ,樹脂の上端ぎりぎりまで吐き出した(pre−wetting)。その際、樹脂に空気が入らないように慎重にピペッティングした。この操作を2回行った。次いで、0.1%TFAで同様に吸い吐きして樹脂を洗浄する操作を3回行った。その後、濃縮分離液をZipTipで吸って、別に用意した200μlチューブに移した。全部移し終えたら、再度、元のチューブに戻した。この作業を2往復くり返して、ペプチド断片をできるだけ多く吸着させた。0.1%TFAを吸い吐きして洗浄する操作を3回行った。4μlの20%アセトニトリル−0.1%TFAを200μlチューブに入れ、ZipTipで10回ほど吸い吐きして溶出し、最後に、完全に吐き出した。4μlの35%アセトニトリル−0.1%TFAと、4μlの50%アセトニトリル−0.1%TFAについても、同様に行い、ひとつの濃縮分離液からそれぞれの3種類のサンプル(4μl)を得た。
【0100】
(LC/MS測定)
これらのサンプルを、LC/MS装置(製品名LCQ、サーモクエスト社製)にかけた。具体的には、HPLCのC18逆相カラムにて、サンプル中の共存物質を分離した後、対象物質を含む液相をESI法によってイオントラップ型MSに直接導入した。LCおよびMSの測定条件を以下に示す。
【0101】
(LCの条件)
カラム:Capillary Ex−Nano
移動相:A液 2%アセトニトリル/98%超純水/0.1%ギ酸、B液 90%アセトニトリル/10%超純水/0.1%ギ酸
流量:80μl/min
注入量:4μl
【0102】
(MSの条件)
イオンスプレー電圧:130V
イオン源温度:200℃
【0103】
上記条件でのMSとMS・MS分析により、サンプル中に含まれる特異的タンパク質分解産物(アルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3の分解産物を検出および同定した。
【0104】
各被験者から採取された特異的タンパク質分解産物のアミノ酸配列を、表3〜17に示す。
【0105】
【表3】


【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
【表7】

【0110】
【表8】

【0111】
【表9】

【0112】
【表10】

【0113】
【表11】

【0114】
【表12】

【0115】
【表13】

【0116】
【表14】

【0117】
【表15】

【0118】
【表16】

【0119】
【表17】

【0120】
表3〜17に示すように、うつ病患者の全員に、うつ病患者特有のペプチドがLC/MSの検出限界(1pmol/L)を超えて検出された。これらのペプチドは、健常者には検出されず、存在しても検出限界の1pmol/L未満と推定された。
【0121】
ところで、うつ病およびうつ状態の検出は、一時点の生体試料の測定によってなされることを前提としている。実施例に示すように、現行の診断法によってうつ病であることが確認されている症例で表のペプチドが検出された事実からは、本発明の方法によってうつ病を検出することが可能であることが示された。これは、うつ状態ではないことを保障するものではなく、本発明の方法は、うつ状態も検出できる性質を持っている。
【0122】
うつ病患者18例すべてに出現するペプチドが、診断的価値を持つかどうかについて、χ二乗検定によれば、いずれのペプチドであっても、うつ病患者・うつ状態にこれらのペプチドが出現する事象は、Pearsonのχ二乗値36、尤度比49.907、漸近有意確率p<0.001であるため、きわめて、有意性が高いと判断できる。うつ病患者にのみアルブミン分解産物の少なくとも一種が出現する事象は、Pearsonのχ二乗値36、尤度比49.907、漸近有意確率p<0.001であったため、本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法は有意性が極めて高いことが証明された。うつ病患者の性別ついては、χ二乗検定により、Pearsonのχ二乗値0.114、尤度比0.114、漸近有意確率p=0.735と有意差はなかった。うつ病患者の年齢(平均41.89歳(SD値12.8))については、T検定により有意差はなかった(p=0.191)。よって、本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法は、性別や年齢に関係なく広く利用可能であることが証明された。
【0123】
さらに、表3〜17中の以下のペプチドを検出対象に用いれば、患者のうつ病またはうつ状態を高い精度(実施例では100%)で同定可能なことがわかる。
(1)アルブミン分解産物として、アミノ酸配列がDLGEENFKおよびALVLIAFのペプチド
(2)αフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がMKPVPDLVPGN、MKPVPDLVPGNF、MKPVPDLVPGNFK、MKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、ALTDMPQMR、ALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQMR + Oxidation(M)、MELERPGGNEITR、MELERPGGNEITR + Oxidation(M)およびTFPGFFSPML + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチド
(3)βフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がREEAPSLRのペプチド
アポリポプロテインA−I分解産物として、アミノ酸配列がAKVQPYLDDFQK、AKVQPYLDDFQKK、AHVDALR、THLAPYおよびLLPVLESFからなる群の少なくとも一種のペプチド
(4)アポリポプロテインA−IV分解産物として、アミノ酸配列がAKIDQNVEELKおよび/またはALVQQMEQLR + Oxidation(M)のペプチド
(5)アポリポプロテインC−III分解産物として、アミノ酸配列がSEAEDASLLSFMQGYMK + 2 Oxidation(M)のペプチド
(6)アポリポプロテインE分解産物として、アミノ酸配列がSELEEQLTPVAEETRのペプチド
(7)α−2−HS−グリコプロテイン分解産物として、アミノ酸配列がFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVV + Oxidation(M)との組み合わせ、および/またはFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVVSLGSPSGとの組み合わせのペプチド
(8)インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物として、アミノ酸配列がIYGNQDTSSQLK、IYGNQDTSSQLKKおよびFYNQVSTPLLRからなる群の少なくとも一種のペプチド
(9)補体C3の分解産物として、アミノ酸配列がHLGLAのペプチド
【0124】
(1)に関して、アルブミンの特異的ペプチドで、100%の頻度のものは見受けられないが、DLGEENFKおよびALVLIAFの二種類のペプチドを組み合わせると、患者18例がすべて+で埋まる。
【0125】
(7)に関して、α−2−HS−グリコプロテインの特異的ペプチドで、アミノ酸配列がFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVV + Oxidation(M)との組み合わせ、またはFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVVSLGSPSGとの組み合わせによれば、患者18例がすべて+で埋まる。
【0126】
アルブミンやα−2−HS−グリコプロテイン以外の特異的ペプチドについても同様に、頻度が100%未満のものを、すべての患者を網羅するように二種類以上適宜組み合わせることは、本発明のうつ病またはうつ状態の同定方法の好ましい実施態様である。そのような組み合わせは、表3〜17から容易に抽出することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトから採取した体液に対して、うつ病またはうつ状態の患者に実質的に特異的に現れるタンパク質分解産物を検出することからなる、うつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項2】
前記タンパク質分解産物は、アルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物であることを特徴とする、請求項1に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項3】
前記アルブミン分解産物として、アミノ酸配列がFKDLGEENFK、KDLGEENFK、DLGEENFK、ALVLIAF、ALVLIAFAおよびVLIAFAからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項4】
前記アルブミン分解産物として、アミノ酸配列がDLGEENFKおよびALVLIAFのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項3に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項5】
前記αフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がADSGEGDFLAEGGGVRGP、ADSGEGDFLAEGGGVRGPR、DSGEGDFLAEGGGVRGPR、HSLTTNIMEILR、SLTTNIMEILR、LTTNIMEILR、LTTNIMEILR + Oxidation(M)、TTNIMEILR + Oxidation(M)、TNIMEILR + Oxidation(M)、QLLQKNVRAQLVDMKR、SCRGSCSRALAREVDLKDYEDQQKQLEQVIAKD、LGTLSGIGTLDGFR、LIKMKPVPD + Oxidation(M)、MKPVPDLVPGN、MKPVPDLVPGNF + Oxidation(M)、MKPVPDLVPGNF、MKPVPDLVPGNFK、MKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、PVPDLVPGNFK、PDLVPGNFK、DLVPGNFK、SQLQKVPPEWK、VPPEWK、PEWKALTDMPQMR+ Oxidation(M)、ALTDMPQM + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQM + Oxidation(M)、ALTDMPQM、ALTDMPQMR、ALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQMR + Oxidation(M)、DMPQMRMELERPGGNEITR + Oxidation(M)、MELERPGGNEIT、MELERPGGNEIT + Oxidation(M)、MELERPGGNEITR、MELERPGGNEITR + Oxidation(M)、LERPGGNEITR、ERPGGNEITR、GGNEITRGGSTSYGTGSETESPRNPSSAGSWNSGSSGPG、GTGSETESPRN、SGPGSTGNRNPGSS、GSSGTGGTATWKPGSSGP、KPGSSGPGSAGSWNSGSSGTGSTGNQN、PGSSGPGSTGSWNSGSSGTGS、GSTGNQNPGSPRPGSTGTWNPGS、STGTWNPGSSERGSAGHWTSE、SGNARPNNPDWGTFEEVSGNVSPGTRREYHTEK、DWGTFEEVSGNVSPGTR、EVSGNVSPGTR、REYHTEKLVTS、REYHTEKLVTSKGDKELR、TEKLVTSK、TEKLVTSKGDKEL、TEKLVTSKGDKELR、LVTSKGDKELR、EKVTSGSTTTTR、KEVVTSEDGSDCPE、GTLSGIGTLDGFR、SGIGTLDGFR、HRHPDEAAF、HRHPDEAAFFDTA、HRHPDEAAFFDTASTGK、TFPGFFSPM、HPDEAAFFDTASTGK、TFPGFF、TFPGFFSPM + Oxidation(M)、TFPGFFSPML、TFPGFFSPML + Oxidation(M)、PGFF、PGFFSPM + Oxidation(M)、GFFSPMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、FSPMLGEFVSETESR + Oxidation(M)、MLGEFVSETESR + Oxidation(M)、MLGEFVSETESR、LGEFVSETESR、ESRGSESGIF、GSESGIFTN、GSESGIFTNTK、GSESGIFTNTKES、TNTKESSSHHPGIAEFPSR、ESSSHHPGIAEFPSR、SSHHPGIAEFPSR、SSHHPGIAEFPSRGK、HHPGIAEFPSR、SYSKQFTSSTSY、QFTSSTSYN、QFTSSTSYNR、KQFTSSTSYNR、YNRGDSTFESK、DHEGTHSTKRG、FGSLNDEGEGEF、YHFRVGSEAEGYALQVSおよびGVVWVSFRGADYSLRAVRMKI + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項6】
前記αフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がMKPVPDLVPGN、MKPVPDLVPGNF、MKPVPDLVPGNFK、MKPVPDLVPGNFK + Oxidation(M)、ALTDMPQMR、ALTDMPQMR + 2 Oxidation(M)、ALTDMPQMR + Oxidation(M)、MELERPGGNEITR、MELERPGGNEITR + Oxidation(M)およびTFPGFFSPML + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項5に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項7】
前記βフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がVNDNEEGFFSAR、DNEEGFFSAR、NEEGFF、GHRPLDK、GHRPLDKK、KREEAPSLR、REEAPSLR、EEAPSLRPA、SLRPAPPPISGGGYR、PAPPPISGGGY、PAPPPISGGGYR、PPPISGGGYR、PPISGGGYR、ARPAKAAATQK、MDGASQLMGENRTMTIHNGMFFSTYDRDN + 3 Oxidation(M)およびWYSMRKMSMKIRPF + Oxidation(M)からなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項8】
前記βフィブリノーゲン分解産物として、アミノ酸配列がREEAPSLRのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項7に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項9】
前記アポリポプロテインA−I分解産物としてアミノ酸配列がAVLTLAVLFLTGSQARHFWQQDEPPQSPWDR、VLTLAVLFLTGSQARH、LLDNWDSVTSTFSK、NLEKETEGLRQEMSK + Oxidation(M)、AKVQPYLDDFQK、AKVQPYLDDFQKK、PYLDDFQKKWQEEMELYR + Oxidation(M)、WQEEMELYR、QKVEPLRAELQEGAR、AELQEGAR、AELQEGARQK、LHELQEK、LHELQEKLSPLGEEMRDR + Oxidation(M)、ELQEKLSPL、LSPLGEEMR + Oxidation(M)、LSPLGEEMR、SPLGEEMRDRARAH、ARAHVDALR、AHVDAL、AHVDALR、VDALR、THLAP、THLAPY、THLAPYSDEL、LAPYSDELR、APYSDELR、APYSDELRQR、PYSDELR、PYSDELRQR、ARLEALKENGGAR、EYHAKATEHLSTLSEK、ATEHLSTL、ATEHLSTLSEK、ATEHLSTLSEKAKPALEDLR、AKPALEDLR、ALEDLR、RQGLLPVLESF、LLPVLESF、LLPVLESFKV、LPVLESFK、PVLESF、VSFLSALEEYTK、VSFLSALEEYTKK、VSFLSALEEYTKKLNTQ、SFLSALEEYTK、FLSALEEYTKK、LSALEEYTKおよびLEEYTKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項10】
前記アポリポプロテインA−I分解産物として、アミノ酸配列がAKVQPYLDDFQK、AKVQPYLDDFQKK、AHVDALR、THLAPYおよびLLPVLESFからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項9に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項11】
前記アポリポプロテインA−IV分解産物として、アミノ酸配列がQKSELTQQLNALFQDKLGE、SELTQQLNALFQDK、KELEELRARLLPHANEVSQKIGDNLRELQ、LLPHANEVSQK、LEPYADQLR、TQVNTQAEQLR、VNTQAEQLR、RQLTPYAQR、VLRENADSLQASLRPHADELK、AKIDQNVEELK、IDQNVEELK、GRLTPYADEFK、LTPYADEFK、PYADEFK、VKIDQTVEELR、VKIDQTVEELRR、IDQTVEELRR、QMKKNAEELKA、ARISASAEELR、LAPLAEDV、LAPLAEDVR、LAPLAEDVRGNLR、SLAELGGHLDQQVEEF、ELGGHLDQQVEEFR、ALVQQMEQL、ALVQQMEQLR、ALVQQMEQLR + Oxidation(M)、ALVQQMEQLRQK + Oxidation(M)、DKVNSFFSTFK、VNSFFSTFK、TLSLPELEQ、TLSLPELEQQおよびMLAPLESからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項12】
前記アポリポプロテインA−IV分解産物として、アミノ酸配列がAKIDQNVEELKおよび/またはALVQQMEQLR + Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項11に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項13】
前記アポリポプロテインC−III分解産物として、アミノ酸配列がLALLASARASEA、SEAEDASLL、SEAEDASLLSFMQGYMK + Oxidation(M)、SEAEDASLLSFMQGYMK + 2 Oxidation(M)、SEAEDASLLSFMQGYMKH + Oxidation(M)、SEAEDASLLSFMQGYMKHATK + Oxidation(M)、ASLLSFMQGYMKHATKTA、SLLSFMQGYMK + 2 Oxidation(M)、TAKDALSSVQESQVAQQAR、DALSSVQESQVAQQAR、LSSVQESQVAQQAR、SVQESQVAQQARおよびGWVTDGFSSLKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項14】
前記アポリポプロテインC−III分解産物として、アミノ酸配列がSEAEDASLLSFMQGYMK + 2 Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項13に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項15】
前記アポリポプロテインE分解産物として、アミノ酸配列がALMDETMKELK + 2 Oxidation(M)、SELEEQLTPVAEETR、GEVQAMLGQSTEELR + Oxidation(M)、GLSAIRER、TVGSLAGQPLQERA、AKLEEQAQQIR、SWFEPL、SWFEPLV、SWFEPLVEDMQR + Oxidation(M)およびVQAAVGTSAAPVPSDNHからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項16】
前記アポリポプロテインE分解産物として、アミノ酸配列がSELEEQLTPVAEETRのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項15に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項17】
前記α−2−HS−グリコプロテイン分解産物として、アミノ酸配列がVLLLCLAQLWGCHSAPHG、LAQLWGCHSAPHGPG、HYDLRHTFMGV、HYDLRHTFMGVVSLGSPSGEVSHPR、RHTFMGVVSLGSPSGE + Oxidation(M)、HTFMGVVSLGSPSG + Oxidation(M)、HTFMGVVSLGSPSGEVSHPR、HTFMGVVSLGSPSGEVSHPR + Oxidation(M)
FMGVV、FMGVV + Oxidation(M)、FMGVVSL、FMGVVSL + Oxidation(M)、FMGVVSLGSPSG、FMGVVSLGSPSGEVSHPR + Oxidation(M)、SLGSPSGEVSHPRおよびGSPSGEVSHPRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項18】
前記α−2−HS−グリコプロテイン分解産物として、アミノ酸配列がFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVV + Oxidation(M)との組み合わせ、および/またはFMGVVSL + Oxidation(M)とFMGVVSLGSPSGとの組み合わせのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項17に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項19】
前記ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物の分解産物として、アミノ酸配列がPGFMGKATPPY + Oxidation(M)および/またはENCIIVSMNTADPGのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項20】
前記インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物として、アミノ酸配列がSLPGESEEMMEEVDQVTLYSYKVQSTITSRMAT、VFDVQIPKGAFISNFS、SSIKEKTVGR、GQQKAHVSFKPTV、QQKAHVSFKPTVAQQRICPSCRET、TILDDLR、NDLISATK、NDLISATKTQVADAK、IQPSGGTNINEALLR、RLSNENHGIAQR、LSNENHGIAQR、NENHGIAQR、IYGNQDTSSQLK、IYGNQDTSSQLKK、KFYNQVSTPLL、FYNQVSTPLLR、QLLAERSLAPTAA、SLAPTAAAKR、LQMSLDHHIVTPLTSLVIENEAG + Oxidation(M)、YYGSKVVPDSTP、STPSWANPSPTPVISMLAQGSQ、STPSWANPSATPVISMLAQGSQVLESTPPPHVMRVE、CFNIDSEPGKIL、SVKKEKVVTITLDKEMS + Oxidation(M)およびVTITLDKEMSFSVLLHRVWKKからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項21】
前記インターα(グロブリン)インヒビターH2分解産物として、アミノ酸配列がIYGNQDTSSQLK、IYGNQDTSSQLKKおよびFYNQVSTPLLRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項20に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項22】
前記脳特異的血管新生抑制因子3の分解産物として、アミノ酸配列がADMDIVHPQERM + Oxidation(M)のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項23】
前記有機アニオントランスポーター3の分解産物として、アミノ酸配列がPNASLPNDTQRAMEPのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項24】
前記ジンクフィンガー様プロテインH101の分解産物として、アミノ酸配列がLATDHPLLNTのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項25】
前記補体C3の分解産物として、アミノ酸配列がHLPLALGSPMYSIIT + Oxidation(M)、SVQLTEKR、HLGLA、HLGLARおよびTLDPERLGRからなる群の少なくとも一種のペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項2に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項26】
前記補体C3の分解産物として、アミノ酸配列がHLGLAのペプチドを検出対象に含めることを特徴とする、請求項25に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項27】
前記ヒトから採取した体液から分子量3000Da以下の低分子量タンパク質を分離した後、該低分子量タンパク質中の前記タンパク質分解産物を測定することを特徴とする、請求項1に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項28】
前記体液が血漿であることを特徴とする、請求項27に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項29】
前記タンパク質分解産物の検出は、質量分析法に基づくことを特徴とする、請求項27に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項30】
前記血漿中のタンパク質分解産物が1pmol/L以上であれば、うつ病またはうつ状態と同定することを特徴とする、請求項29に記載のうつ病またはうつ状態の同定方法。
【請求項31】
うつ病またはうつ状態の患者特有のタンパク質分解産物に特異的に結合するリガンド、および該タンパク質分解産物と該リガンドとの結合を認識する手段を備えたうつ病またはうつ状態の診断用キット。
【請求項32】
前記タンパク質分解産物は、アルブミン、αフィブリノーゲン、βフィブリノーゲン、アポリポプロテインA−I、アポリポプロテインA−IV、アポリポプロテインC−III、アポリポプロテインE、α−2−HS−グリコプロテイン、ラット腎臓特異的(KS)遺伝子様遺伝子の発現産物、インターα(グロブリン)インヒビターH2、脳特異的血管新生抑制因子3、有機アニオントランスポーター3、ジンクフィンガー様プロテインH101および補体C3からなる群から選ばれる少なくとも一種のタンパク質の分解産物であることを特徴とする、請求項31に記載のうつ病またはうつ状態の診断用キット。
【請求項33】
前記リガンドは抗体であることを特徴とする、請求項31に記載のうつ病またはうつ状態の診断用キット。

【公開番号】特開2009−92550(P2009−92550A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264333(P2007−264333)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】