説明

おにぎり用自動塩振り装置

【課題】 本発明は,おにぎりの両面に適正な量の塩を確実に振りかけることができるおにぎり用自動塩振り装置を提供する。
【解決手段】 塩振り機構31は,塩容器1の下部に配設された上型4,上型4に接した下型8,塩容器1内を回転駆動する回転軸2,上型4と下型8とで形成されたリング状の塩溜9,及び回転軸2に連結された塩送り歯車6から成る。塩送り歯車6は,収容部14内のガイド部18と歯部20間に所定量の塩34を収容する塩収容部21を形成する歯車部19とから成る。塩収容部21の塩34は,回転軸2の間欠的な回転に従って下型8の塩落下孔10から拡散シュート11及びガイド部材12を通っておにぎり搬送コンベア27,28上のおにぎり3に振りかけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,おにぎりを自動的に製造する際に,おにぎり製造ラインから送り込まれたおにぎりの両面に,予め決められた量の塩を振りかけるおにぎり用自動塩振り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食品の塩塗布装置として,おむすびを機械にて自動的に製造する際に,飯体の成形と同時に,おむすび下面に塩を適量塗布する自動化されたものが知られている。該塩塗布装置は,予め飯体下面に塩を塗布し,これを一定の形状,固さに成形し,塩を塗布したおむすびを効率良く成形できるものであり,スタートボタンをONすると,モータが始動し,塩散布機構における塩収容室内の攪拌翼が回転し,塩が攪拌によりほぐされて下方の第1ターンテーブルの1個の被塩散布台上面に均一に散布され,該被塩散布台上面に塩が散布されると,第1ターンテーブルが所定角度だけ間欠的に回転し,第2ターンテーブルの1個の成形型と一致して,その下部に停止し,一方,食品搬送機構上に載せられた飯体が同機構の回転によって所定方向に搬送され,食品搬送機構の上部に,同機構と略直角に配置されて停止バーに当接して停止し,次いで,食品供給機構が前進し.その押出バー先端の食品移動用板にて,飯体を食品搬送機構上から第2ターンテーブルの1個の成形型上に移動させ,飯体が成形型内に落動により供給され,次いで,プレスヘッドが下降し,飯体を成形型内にて所定の形状,固さに圧縮し,この時,被塩散布台上面に散布されている塩が飯体下面に均一に塗布され,次いで,両ターンテーブルが所定方向へ一定角度回転して停止し,上面に塩が散布された他の1個の被塩散布台と,他の1個の成形型とが一致し,食品供給機構によって搬送機構上の飯体を成形型間に移動供給し,これをプレスヘッドで圧縮し,先に圧縮成形された飯体が成形型内に保持されたまま次工程の具材供給機構下部に移送され,上面に具材が供給され,おむすびが製造される(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
また,塩塗布装置として,自動化して,食品に対し,塩を満遍なく均一に,効率良く塗布できるものが知られている。該塩塗布装置は,塩収容室内に上部から下部へ垂下配置した回転軸の下部に截頭円錐形状の回転体を設け,回転体を塩収容室の底部に上下方向へ貫通して設けたテーパ孔に回転自在に嵌合し,テーパ孔の内周面と,回転体の外周面とに複数の塩供給凹溝を各々縦設して構成したものである(例えば,特許文献2参照)。
【0004】
また,おにぎり用塩振り器として,機械的回転力によらず落下運動によって塩を効果的に均一分散させて適量の調整が容易で,優れた食感を有するおにぎりを製造でき,メンテナンスに優れたものが知られている。該おにぎり用塩振り器は,振動フィーダやベルトフィーダを介して供給される塩を,三角形状や円形状に成形されたおにぎりの表面に振りかける塩振り器であって,供給されるおにぎりの上方に所定距離をおいて配置され,おにぎり形状に開口した開口部を備える支持枠体と,扇状に形成された複数の多孔板の隣接する各辺が連結され,その中央が隆起した略錐状に形成されると共に,開口部に覆設される塩分散部とを具備したものである(例えば,特許文献3参照)。
【0005】
また,おにぎり製造装置における自動振り掛け装置として,振り掛け食品をバラツキ無く均一に散布することで品質の向上したおにぎりを製造するものが知られている。該おにぎり製造装置における自動振り掛け装置は,振り掛け食品の散布孔を互いに非連通状態にて上下に穿設して成る振り掛け食品のホッパーの底壁と下部固定板との間に配置し,底壁と下部固定板のいずれかの散布孔と連通する用散布孔を貫通した中間スライド板と,中間スライド板を摺動可能となるよう中間スライド板の一端を駆動源の偏心カムにリンクアームを介し連繋した駆動クランク部と,下部固定板に一端を固定し,中間部分を下部固定板を振動すべくホッパー振動軸に連結した板バネの他端部を偏心カムの突起部で付き当てて屈曲乃至復帰を繰り返すことによりホッパー振動軸を介してホッパー全体を振動可能としたホッパー振動手段とを有するものである(例えば,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3856580号公報
【特許文献2】特開2000−189081号公報
【特許文献3】特許第3889751号公報
【特許文献4】特許第4351035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来,おにぎり製造装置で製造されたおにぎりは,コンビニエンスストアー,スーパー等の店頭にて販売されているが,それらのおにぎりは,塩入りの米飯がおにぎりに成形されていた。しかしながら,塩入の米飯で成形したおにぎりでは,食感が良くないということで,満足できるものではなく,最近では,手作りおにぎりと同様に,おにぎりの表面に塩を振りかけたものが食感が良くおにぎりの旨味が良いということで,ほとんどのおにぎりが三角形や丸形のおにぎりに成形した後に,おにぎりの表面に塩が振りかけられたものが大半になっている。
【0008】
そこで,おにぎりを三角形や丸形に成形した後に,おにぎりの表面に塩が振りかけるおにぎり用自動塩振り装置が使用されるようになったが,おにぎり用自動塩振り装置でおにぎりの表面に塩を振りかけるものでは,おにぎりの表面に振りかける塩がおにぎり表面ではなく,他の領域に振り掛けられ,塩のこぼれが多く,問題があった。
【0009】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,例えば,おにぎり製造装置が設置されたおにぎり製造ラインの速度に合わせて,搬送されてくる三角形や丸形のおにぎりの両面に予め決められた適正な量の塩を自動的に的確に振りかけ,食感の良いおにぎりに製造することであり,塩がおにぎり以外の装置や近傍領域に振り掛けられず,塩が無駄になることが無いように構成されていることを特徴とするおにぎり用自動塩振り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は,おにぎり搬送コンベヤ上に順次搬送されてきた予め決められた形状に成形されたおにぎりに塩を順次振りかけるおにぎり用自動塩振り装置において,
前記塩を収容する第1収容部を備えた塩容器,前記塩容器の下部に配設された前記第1収容部と連通した第2収容部と下部に中央孔とを備えた上型,前記上型の下面に接して配置され且つ複数個の塩落下孔を備えた下型,前記塩容器の前記第1収容部を貫通して回転駆動される回転軸,前記上型の下面の第1凹部と前記下型の上面の第2凹部とで形成され且つ前記塩落下孔に連通する予め決められた定量を順次収容するリング状の塩溜,及び前記回転軸に連結されて前記上型内で回転可能に配設されたガイド部と前記塩溜内で回転可能に配設されて歯部間に塩収容部が形成された歯車部とから成る塩送り歯車から構成されていることを特徴とするおにぎり用自動塩振り装置に関する。
【0011】
また,このおにぎり用自動塩振り装置では,前記上型に形成された前記中央孔の縁部は,前記下型に形成された前記塩落下孔に対応する領域では前記塩落下孔を覆うため内方に突出した塩溜蓋部に形成され,他の領域では前記第2収容部の前記塩を前記塩送り歯車の前記歯部間に供給するため外方に切り込まれた塩充填部に形成されている。
【0012】
また,前記上型に形成された前記中央孔は,前記下型に形成された周方向に互いに均等に隔置した複数の前記塩落下孔に対応した前記塩充填部が円弧壁面に形成され,前記塩充填部間に形成された前記塩溜蓋部が平ら壁面に形成されている。
【0013】
このおにぎり用自動塩振り装置は,前記下型の下部に配設され且つ前記塩落下孔から落下した前記塩を拡散させる拡散シュート,及び前記拡散シュートの下部に配設され且つ前記おにぎりの形状に対応した領域に多数のガイド孔が形成されたガイド部材を備えており,前記拡散シュートからの拡散塩が前記ガイド部材の前記ガイド孔を通じて前記おにぎり搬送コンベヤ上の前記おにぎりの表面に振りかけられるものである。
【0014】
このおにぎり用自動塩振り装置は,前記上型の内面には前記第2収容部内の前記塩を前記塩溜へ導く雌型テーパガイドが形成され,前記塩送り歯車の外面には前記雌型テーパガイドに対向して前記第2収容部内の前記塩を前記塩溜へ導く雄型テーパガイドが形成されている。
【0015】
このおにぎり用自動塩振り装置において,前記おにぎり搬送コンベヤは,機枠に配設されており,前記おにぎりの一面に前記塩を振りかける上流領域を形成するための第1コンベヤ,前記第1コンベヤの下流に配設され且つ前記塩が振りかけられた前記おにぎりを反転させるおにぎり反転装置が設けられた反転領域を形成するための第2コンベヤ,及び前記第2コンベヤの下流に配設され且つ前記おにぎりの他面に前記塩を振りかける下流領域を形成するための第3コンベヤから構成されている。
【0016】
また,このおにぎり用自動塩振り装置は,前記塩送り歯車は,前記回転軸の上端に連結された塩振りドライブ装置によって前記おにぎりの搬送に対応して間欠的に回転駆動されるものである。
【0017】
また,このおにぎり用自動塩振り装置は,前記回転軸及び/又は前記塩送り歯車の前記ガイド部には,前記塩を攪拌する攪拌部材が設けられている。
【0018】
このおにぎり用自動塩振り装置において,前記回転軸の上端は前記塩容器に配置された第1軸受に回転自在に支持され,前記回転軸の下端は前記塩送り歯車の上端に連結され,前記塩送り歯車の下端は前記下型の中央部に支持された第2軸受に回転自在に支持されている。
【発明の効果】
【0019】
このおにぎり用自動塩振り装置は,上記のように構成されているので,上型の第2収容部の塩が塩充填部から塩送り歯車の歯部間の塩収容部に落下して供給され,次いで塩収容部に収容された塩が回転軸の回転と一緒に塩送り歯車が回転することによって,歯部間の塩収容部の塩が塩溜蓋部の下面へと潜り込み,前記上型の下面の第1凹部と前記下型の上面の第2凹部とで形成されるリング状の塩溜に入って予め決められた定量の塩になって,下型の塩落下孔から下方に落下される。即ち,塩送り歯車における歯車部に形成された歯部間には,常に予め決められた一定量の塩が計量される塩収容部が形成されているので,歯車部がリング状の塩溜に潜り込めば,歯部間の塩収容部には常に予め決められた所定量の塩が供給され,その塩が下型の塩落下孔を通じて拡散シュートへと落下することになる。次いで,下型の塩落下孔から下方に落下した塩は,拡散シュートによって均一に拡散されて,拡散シュートの下部の配設されたガイド部材へと落下する。ガイド部材にはおにぎりの形状に対応した領域に多数のガイド孔が形成されているので,ガイド孔を通じておにぎり搬送コンベヤ上のおにぎりの表面に適量の塩が均一に振りかけられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明によるおにぎり用自動塩振り装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1に示すおにぎり用自動塩振り装置における塩振り機構を示す断面図である。
【図3】図2の塩振り機構における要部の拡大断面図である。
【図4】図3の塩振り機構における要部の拡大断面図である。
【図5】図3の塩振り機構における要部の拡大平面図である。
【図6】図2の塩振り機構における塩送り歯車を示し,(A)が平面図であり,(B)が断面図である。
【図7】図3の塩振り機構における上型を示し,(A)が平面図であり,(B)が断面図である。
【図8】図2の塩振り機構における下型を示し,(A)が平面図であり,(B)が断面図である。
【図9】図2の塩振り機構における拡散シュートを示し,(A)が平面図であり,(B)が断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,図面を参照して,この発明によるおにぎり用自動塩振り装置の実施例を説明する。このおにぎり用自動塩振り装置は,図1に示すように,ベース46に設置された機枠30に一対の塩振り機構31が配置されており,塩振り機構31の下方には,おにぎり搬送コンベヤ27,28,29が機枠30に順次配設されている。このおにぎり用自動塩振り装置は,おにぎり搬送コンベヤ27,28,29で順次搬送されてくるおにぎり形状に成形されたおにぎり3の両面44,45に塩34を塩振り機構31を用いて順次振りかけるものである。おにぎり搬送コンベヤ27,28,29は,機枠30に取り付けられた歯車伝達装置47によって互いに独立的にそれぞれ回転駆動され,おにぎり3を搬送するように構成されている。
【0022】
このおにぎり用自動塩振り装置は,図1に示すように,一対の塩振り機構31から構成され,上流側に配設された塩振り機構31でおにぎり3の一面44に塩34を振りかけ,下流側に配設された塩振り機構31によっておにぎり3の他面45に塩34を振りかけるものである。おにぎり製造装置(図示せず)によって三角形や丸形に成形されたおにぎり3は,まず,上流領域に配設されたおにぎり搬送コンベヤのコンベヤ27(第1コンベヤ)に送り込まれ,その一面44に塩振り機構31を用いて塩34が振りかけられる。次いで,塩34が振りかけられたおにぎり3は,コンベヤ27の下流に配設されたおにぎり搬送コンベヤのコンベヤ28(第2コンベヤ)に送られる。コンベヤ28には,おにぎり3を反転させるおにぎり反転装置33が配設されている。そこで,おにぎり3は反転させられる。次いで,反転したおにぎり3は,コンベヤ28の下流に配設されたおにぎり搬送コンベヤのコンベヤ29(第3コンベヤ)に送られる。コンベヤ29の上方には,塩振り機構31が配設されている。コンベヤ29に送られたおにぎり3は,塩振り機構31によって,おにぎり3の他面45に塩が振りかけられる。
【0023】
この発明によるおにぎり用自動塩振り装置は,図 2〜図9に示すように,特に,塩振り機構31に特徴を有している。塩振り機構31は,塩34を収容する収容部13(第1収容部)を形成し且つ上部に蓋7が取り付けられる塩容器1,塩容器1の下部に配設された収容部13と連通した収容部14(第2収容部)と下部に中央孔15とを備えた上型4,上型4の下面48に接して配置され且つ複数個の塩落下孔10を備えた下型8,塩容器1の収容部13を貫通して回転駆動される回転軸2,上型4の下面48の凹部16(第1凹部)と下型8の上面49の凹部17(第2凹部)とで形成され且つ塩落下孔10に連通する予め決められた定量を順次収容するリング状の塩溜9,及び回転軸2に連結されて上型4内で回転可能に配設されたガイド部18と塩溜9内で回転可能に配設されて歯部20間に塩収容部21が形成された歯車部19とから成る塩送り歯車6から構成されている。この実施例では,塩送り歯車6の歯車部19に形成されている歯部20は,周方向に均等な間隔に形成されており,歯部20間は均等な容積の塩収容部21に形成されている。
【0024】
塩容器1の上端には,収容部13内を密封するための蓋7が取り付けられ,蓋7の中央部には軸受36(第1軸受)を設置可能に形成されている。軸受36は,例えば,塩容器1にねじ等で固定されている。回転軸2の上端には,モータ等の塩振りドライブ装置の出力軸が連結される形状に構成されている。塩容器1の下端には,上型4がねじ等で固定されている。回転軸2の下端に形成された雄ねじ38は,塩送り歯車6の中央貫通孔40の上端に形成された雌ねじ39に螺合され,回転軸2と塩送り歯車6とが一体構造に固定されている。回転軸2の上端には,回転軸2を通じて塩送り歯車6を回転駆動する塩振りドライブ装置32が設けられている。上型4の下面48と下型8の上面49とは,密接して固定されており,上型4の凹部16と下型8の凹部17とによって,塩が充填できるリング状の塩溜9が形成されている。
【0025】
このおにぎり用自動塩振り装置において,回転軸2の上端は,塩容器1の上端に配置された軸受36(第1軸受)に回転自在に支持されている。回転軸2の下端は,塩送り歯車6の上端に連結されている。更に,塩送り歯車6の下端は,下型8の中央貫通孔41に支持された軸受37(第2軸受)に回転自在に支持されている。従って,塩振りドライブ装置32の駆動によって回転軸2が回転すると,回転軸2と一体構造に構成された塩送り歯車6が回転することになる。塩送り歯車6は,おにぎり搬送コンベヤのコンベヤ27,29上のおにぎり3が間欠的に送り込まれるので,それに合わせて間欠的に回転するようにコモンローラによって制御されている。
【0026】
このおにぎり用自動塩振り装置において,上型4に形成された中央孔15の縁部は,下型8に形成された塩落下孔10に対応する領域では,塩落下孔10を覆うため内方に突出した塩溜蓋部22に形成され,他の領域では収容部14の塩34を塩送り歯車6の歯部20間に供給するため外方に切り込まれた塩充填部23に形成されている。上型4において,上型4に形成された中央孔15は,下型8に形成された周方向に互いに均等に隔置した複数の塩落下孔10に対応した塩充填部23が円弧壁面43に形成され,また,塩充填部23間に形成された塩溜蓋部22が平ら壁面42に形成されているものである。言い換えれば,この実施例では,下型8には,塩落下孔10が周方向に等間隔に隔置した3箇所に形成されており,それらの塩落下孔10に対応して,上型4の中央孔15の周縁には,内方に延び出した3箇所の塩溜蓋部22が形成され且つ外方に切り込まれた3箇所の塩充填部23に形成されている。また,図7の(A)に示すように,上型4に形成された中央孔15は,上から見て,円弧壁面43の円弧と平ら壁面42の直線とが順次連続した略6角形に形成された状態になっているということができる。
【0027】
更に,このおにぎり用自動塩振り装置は,下型8の下部に配設され且つ塩落下孔10から落下した塩34を拡散させる拡散シュート11,及び拡散シュート11の下部に配設され且つおにぎり3の形状に対応した領域に多数のガイド孔24が形成されたガイド部材12を備えている。拡散シュート11は,下型8の下部に嵌着された連結円筒体53と,連結円筒体53内に嵌着され中央孔52が形成された壁面テーパ状に形成されたテーパガイド51とから構成されており,下型8の塩落下孔10から落下してきた塩34は,テーパガイド51に案内されて塩拡散軌跡50(図2)で示すように拡散されて中央孔52からガイド部材12へと落下する。ガイド部材12にはガイド孔24が形成されているので,ガイド部材12に落下してきた塩34は,ガイド孔24を通じておにぎり搬送コンベヤ27,29上のおにぎり3の両面即ち表面44,45に振りかけられる。
【0028】
このおにぎり用自動塩振り装置は,上型4の内面には収容部14内の塩34を塩溜9へ導く雌型テーパガイド25が形成され,また,塩送り歯車6の外面には雌型テーパガイド25に対向して収容部14内の塩34を塩溜9へ導く雄型テーパガイド26が形成されている。上型4の内面と塩送り歯車6の外面との上記の形状によって,上型4の雌型テーパガイド25と塩送り歯車6の雄型テーパガイド26とは,共働して収容部13,14内の塩34を,リング状の塩溜9へとスムーズに落下させることができる。
【0029】
また,このおにぎり用自動塩振り装置は,回転軸2及び塩送り歯車6のガイド部18には,収容部13,14内の塩34を攪拌するための攪拌部材5が3方に延び出して設けられている。このおにぎり用自動塩振り装置では,攪拌部材6の作動によって塩34が収容部13,14内で固まることなく,塩34が常にサラサラの状態にほぐされて,おにぎり用自動塩振り装置において塩34が詰まることなく,収容部13,14からリング状の塩溜9から塩落下孔10を通じて送り出すことを可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は,おにぎりを自動的に製造する際に,予め決められた量の塩をおにぎり製造ラインのスピードに合せておにぎりの両面に塩を振りかけるおにぎり用自動塩振り装置である。
【符号の説明】
【0031】
1 塩容器
2 回転軸
3 おにぎり
4 上型
5 攪拌部材
6 塩送り歯車
8 下型
9 塩溜
10 塩落下孔
11 拡散シュート
12 ガイド部材
13,14 収容部
15 中央孔
16,17 凹部
18 ガイド部
19 歯車部
20 歯部
21 塩収容部
22 塩溜蓋部
23 塩充填部
24 ガイド孔
25 雌型テーパガイド
26 雄型テーパガイド
27,28,29 コンベヤ
30 機枠
31 塩振り機構
32 塩振りドライブ装置
33 おにぎり反転装置
34 塩
36,37 軸受
42 平ら壁面
43 円弧壁面
44,45 おにぎりの表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おにぎり搬送コンベヤ上に順次搬送されてきた予め決められた形状に成形されたおにぎりに塩を順次振りかけるおにぎり用自動塩振り装置において,
前記塩を収容する第1収容部を備えた塩容器,前記塩容器の下部に配設された前記第1収容部と連通した第2収容部と下部に中央孔とを備えた上型,前記上型の下面に接して配置され且つ複数個の塩落下孔を備えた下型,前記塩容器の前記第1収容部を貫通して回転駆動される回転軸,前記上型の下面の第1凹部と前記下型の上面の第2凹部とで形成され且つ前記塩落下孔に連通する予め決められた定量を順次収容するリング状の塩溜,及び前記回転軸に連結されて前記上型内で回転可能に配設されたガイド部と前記塩溜内で回転可能に配設されて歯部間に塩収容部が形成された歯車部とから成る塩送り歯車から構成されていることを特徴とするおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項2】
前記上型に形成された前記中央孔の縁部は,前記下型に形成された前記塩落下孔に対応する領域では前記塩落下孔を覆うため内方に突出した塩溜蓋部に形成され,他の領域では前記第2収容部の前記塩を前記塩送り歯車の前記歯部間に供給するため外方に切り込まれた塩充填部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項3】
前記上型に形成された前記中央孔は,前記下型に形成された周方向に互いに均等に隔置した複数の前記塩落下孔に対応した前記塩充填部が円弧壁面に形成され,前記塩充填部間に形成された前記塩溜蓋部が平ら壁面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項4】
前記下型の下部に配設され且つ前記塩落下孔から落下した前記塩を拡散させる拡散シュート,及び前記拡散シュートの下部に配設され且つ前記おにぎりの形状に対応した領域に多数のガイド孔が形成されたガイド部材を備えており,前記拡散シュートからの拡散塩が前記ガイド部材の前記ガイド孔を通じて前記おにぎり搬送コンベヤ上の前記おにぎりの表面に振りかけられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項5】
前記上型の内面には前記第2収容部内の前記塩を前記塩溜へ導く雌型テーパガイドが形成され,前記塩送り歯車の外面には前記雌型テーパガイドに対向して前記第2収容部内の前記塩を前記塩溜へ導く雄型テーパガイドが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項6】
前記おにぎり搬送コンベヤは,機枠に配設されており,前記おにぎりの一面に前記塩を振りかける上流領域を形成するための第1コンベヤ,前記第1コンベヤの下流に配設され且つ前記塩が振りかけられた前記おにぎりを反転させるおにぎり反転装置が設けられた反転領域を形成するための第2コンベヤ,及び前記第2コンベヤの下流に配設され且つ前記おにぎりの他面に前記塩を振りかける下流領域を形成するための第3コンベヤから構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項7】
前記塩送り歯車は,前記回転軸の上端に連結された塩振りドライブ装置によって前記おにぎりの搬送に対応して間欠的に回転駆動されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項8】
前記回転軸及び/又は前記塩送り歯車の前記ガイド部には,前記塩を攪拌する攪拌部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のおにぎり用自動塩振り装置。
【請求項9】
前記回転軸の上端は前記塩容器に配置された第1軸受に回転自在に支持され,前記回転軸の下端は前記塩送り歯車の上端に連結され,前記塩送り歯車の下端は前記下型の中央部に支持された第2軸受に回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のおにぎり用自動塩振り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−110264(P2012−110264A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261438(P2010−261438)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(591165942)市川工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】