説明

がん細胞除去システムおよびがん細胞除去装置

【課題】患者から採取された体液に含まれるがん細胞に関する情報に基づいて、該体液からがん細胞を確実に除去することができるがん細胞除去システムおよび該システムに使用されるがん細胞除去装置を提供する。
【解決手段】がん細胞除去システムは、患者から採取された体液からがん細胞を除去するがん細胞除去装置と、がん細胞除去装置で処理される前および/またはがん細胞除去装置で処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出するがん細胞情報検出装置と、がん細胞情報検出装置から受け取ったがん細胞に関する情報に基づいてがん細胞の除去に関する情報を作成し、がん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置に送信する制御部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん細胞除去システムおよびがん細胞除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
世界各国において、がんはヒトの主要な死因の一つである。がんによる死亡理由のほとんどは、がんの転移による再発によるものである。原発巣からのがんの転移は、がん細胞が血管やリンパ管を経由して別の組織の血管壁に定着した後、浸潤して微小転移巣新を形成することによって成立する。
【0003】
現在、がんの転移を防ぐ方法として化学療法や放射線療法が広く行われているが(特開2008−310786号公報)、効果が不充分な場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−310786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、患者から採取された体液からがん細胞を効果的に除去することができるがん細胞除去システムおよびがん細胞除去装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るがん細胞除去システムは、
患者から採取された体液からがん細胞を除去するがん細胞除去装置と、
前記がん細胞除去装置で処理される前および/または前記がん細胞除去装置で処理された後の前記体液中のがん細胞に関する情報を検出するがん細胞情報検出装置と、
前記がん細胞情報検出装置から受け取った前記がん細胞に関する情報に基づいてがん細胞の除去に関する情報を作成し、該がん細胞の除去に関する情報を前記がん細胞除去装置に送信する制御部と、
を含む。
【0007】
この場合、上記がん細胞除去システムは、前記がん細胞除去装置および前記がん細胞情報検出装置をそれぞれ複数含み、
前記複数の前記がん細胞除去装置は、
第1のがん細胞除去装置と、
第2のがん細胞除去装置と、
を含み、
前記第1のがん細胞除去装置で処理される体液は、前記第2のがん細胞除去装置で処理される体液とは異なる部位から採取されたものである。
【0008】
本発明の他の一態様に係るがん細胞除去装置は、
上記がん細胞除去システムに使用されるがん細胞除去装置であって、
体液に含まれるがん細胞を濾過により除去する濾過部と、
がん細胞と特異的に結合する抗体が固定化され、体液に含まれるがん細胞と前記抗体とを結合させて該がん細胞を捕捉する捕捉部と、
がん細胞のアポトーシス誘発因子が固定化され、体液に含まれるがん細胞と前記アポトーシス誘発因子とを接触させて該がん細胞を壊死させる壊死誘発部と、
から選ばれる少なくとも1つを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記がん細胞除去システムによれば、前記制御部が、前記がん細胞情報検出装置から受け取った前記がん細胞に関する情報に基づいてがん細胞の除去に関する情報を作成し、該がん細胞の除去に関する情報を前記がん細胞除去装置に送信することにより、前記がん細胞情報検出装置が、前記がん細胞除去装置で処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出する場合、前記がん細胞除去装置によるがん細胞除去の要否を判断することができるため、前記がん細胞除去装置において、前記がん細胞除去装置で処理される前の体液に含まれるがん細胞の種類および/または数に応じたがん細胞の除去を行なうことができる。また、前記がん細胞情報検出装置が、前記がん細胞除去装置で処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出する場合、前記がん細胞除去装置によってがん細胞が除去されたか否かを確認することができるため、前記がん細胞除去装置のがん細胞の検出性能を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るがん細胞除去システムを模式的に示す図。
【図2】図1に示されるがん細胞除去装置の構成を模式的に示す図。
【図3】図1に示されるがん細胞除去装置によるがん細胞除去の原理を説明する図。
【図4】図1に示されるがん細胞除去装置の使用方法を説明する図。
【図5】本発明の他の一実施形態に係るがん細胞除去システムを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係るがん細胞除去システムおよび該システムで使用するがん細胞除去装置について具体的に説明する。
【0012】
1.第1実施形態
1.1.がん細胞除去システムの構成
図1は、本発明の一実施形態に係るがん細胞除去システム100を模式的に示す図である。本実施形態に係るがん細胞除去システム100は、図1に示されるように、がん細胞除去装置10と、患者30から採取された体液からがん細胞を除去するがん細胞情報検出装置20,22と、制御部27とを含む。このがん細胞除去システム100にはさらに、患者30から採取された体液を移送するための管21と、管21内で体液を移送させるために駆動するポンプ23と、管21内における体液の圧力を監視する圧力監視装置25,26が設けられている。がん細胞除去装置10と、ポンプ23と、圧力監視装置25,26とは、管21を介して接続されている。なお、本実施形態に係るがん細胞除去システム100では、1のがん細胞除去装置10が設けられている例を示したが、後述する第2実施形態に係るがん細胞除去システム200のように、がん細胞除去装置10が複数設けられていてもよい。
【0013】
図1に示されるように、管21の両端部A,Cは患者30に取り付けられており、体液は、ポンプ23の駆動によって患者30から採取された後、端部(採液部)Aから管21を介してがん細胞除去装置10へと導入され、がん細胞除去装置10にて体液中のがん細胞の除去が行なわれる。がん細胞除去後の体液は、ポンプ23の駆動によって、管21を介して端部(返液部)Cから患者30の体内に戻される。例えば、本実施形態に係るがん細胞除去システム100において、血液透析と同様の手法を用いて患者30の体内から体液を採取し、かつ処理後の体液を患者30の体内に戻すことができる。また、体液が血液の場合、血液が管21内で凝固するのを防ぐために、抗凝固剤供給部24から管21内に抗凝固剤を導入してもよい。
【0014】
がん細胞情報検出装置20,22では、患者30から採取された体液中のがん細胞に関する情報(例えば、がん細胞の検出の有無、ならびに、がん細胞が検出された場合は、がん細胞の種類および/または数)を検出する。がん細胞情報検出装置20は患者30の採液部Aとがん細胞除去装置10との間に配置され、がん細胞除去装置10で処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出する。また、がん細胞情報検出装置22は患者30のがん細胞除去装置10と返液部Cとの間に配置され、がん細胞除去装置10で処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出する。
【0015】
本実施形態に係るがん細胞除去システム100において、制御部27は、図1に示されるように、がん細胞除去装置10、がん細胞情報検出装置20,22、圧力監視装置25,26、ポンプ23、抗凝固剤供給部24と電気的にまたは光学的に接続されている。制御部27は、電気的に接続された上記各部分からの情報を電気信号または光信号として受信し、かつ、上記各部分へと情報を電気信号または光信号として送信することができる。
【0016】
制御部27は、がん細胞情報検出装置20,22で得られたがん細胞に関する情報を受け取り、該がん細胞に関する情報に基づいてがん細胞の除去に関する情報を作成し、該がん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置10に送信する。より具体的には、制御部27は、がん細胞情報検出装置20,22から送信されたがん細胞に関する情報を受け取る受信部29aと、がん細胞に関する情報に基づいて、がん細胞の除去に関する情報を作成する除去関連情報作成部28と、がん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置10に送信する送信部29bとを含むことができる。制御部27は例えば、コンピュータにインストールされたソフトウエア上で実行することができる。
【0017】
例えば、がん細胞に関する情報ががん細胞の数を含む場合、除去関連情報作成部28はがん細胞の数に基づいて、がん細胞除去装置10においてがん細胞の除去を行なうか否かを判定する。また、例えば、がん細胞に関する情報ががん細胞の種類を含む場合、がん細胞除去情報作成部28はがん細胞の種類に基づいて、がん細胞除去装置10で使用するがん細胞除去装置本体11の種類を判定する。したがって、がん細胞の除去に関する情報には、がん細胞の除去を行なうか否かの命令、ならびに、使用するがん細胞除去装置本体11の種類に関する命令が含まれる。
【0018】
がん細胞情報検出装置20は、がん細胞除去装置10によって処理が行なわれる前の体液に含まれるがん細胞に関する情報を検出する。より具体的には、がん細胞情報検出装置20は図1に示されるように、患者30から採取された体液が管21を介してがん細胞除去装置10に導入される前に、管21から該体液の一部を採取し、がん細胞に関する情報を検出して制御部27に送信する。制御部27は、がん細胞に関する情報を受け取り、このがん細胞に関する情報に基づいて、がん細胞の除去に関する情報を作成し、このがん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置10に送信する。
【0019】
ここで、例えば、がん細胞情報検出装置20が検出したがん細胞が所定数以上であった場合、制御部27は、がん細胞の除去を行なう旨の命令および使用するがん細胞除去装置本体11の種類(がん細胞の除去に関する情報)をがん細胞除去装置10へ送信する。がん細胞除去装置10は、制御部27から送信されたがん細胞の除去に関する情報に基づいて、指定された細胞除去装置本体11を用いてがん細胞を適切に除去することができる。これにより、がん細胞除去の信頼性を高めることができる。
【0020】
一方、例えば、がん細胞情報検出装置20が検出したがん細胞が所定数未満であった場合、制御部27は、がん細胞の除去を行なわない旨の命令(がん細胞の除去に関する情報)をがん細胞除去装置10へ送信し、がん細胞除去装置10は当該命令に基づいて、がん細胞の除去を行なわない。
【0021】
また、がん細胞情報検出装置22は、がん細胞除去装置10によって処理が行なわれた後の体液に含まれるがん細胞に関する情報を検出する。より具体的には、がん細胞情報検出装置22は図1に示されるように、がん細胞除去装置10によってがん細胞の除去処理が施された体液の一部を管21から採取し、がん細胞に関する情報を検出して制御部27に送信する。制御部27は、がん細胞に関する情報を受け取り、このがん細胞に関する情報に基づいて、がん細胞の除去に関する情報を作成し、次いで、このがん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置10に送信する。
【0022】
ここで、例えば、がん細胞情報検出装置22が検出したがん細胞が所定数以上であった場合、制御部27は、がん細胞が除去されていない旨(がん細胞の除去に関する情報)をがん細胞除去装置10に送信する。これを受けて、がん細胞除去装置10はがん細胞の除去を中止することができる。これにより、がん細胞除去装置10によるがん細胞の除去が正常に機能しているか否かを確認することができるため、がん細胞除去の信頼性を高めることができる。
【0023】
がん細胞除去装置10およびがん細胞情報検出装置20,22は図1に示されるように、体外循環によって用いてもよいし、あるいは患者30の体内に埋め込んでもよい。
【0024】
体外循環式のがん細胞除去装置10としては、例えば、図2〜図4に示されるがん細胞除去装置(後述する)を用いることができる。また、体外循環式のがん細胞除去装置10として使用可能な公知の装置は、例えば、特表2008−545372号公報、特開2008−67622号公報、特開2007−222132号公報、特開2006−94783号公報、特開2008−136475号公報、特開2006−42674号公報に記載されている。さらに、埋め込み型のがん細胞除去装置10としては、例えば特表2006−506134号公報に記載された装置が挙げられる。
【0025】
がん細胞情報検出装置20,22としては、例えば、体液中のがん細胞の数を測定する公知の技術を用いる装置が挙げられる。例えば、抗体を用いてがん細胞を捕捉する方法(米国特許第6,103,479号明細書)、磁気ビーズでがん細胞を捕捉する方法(特許第3,834,326号明細書)によってがん細胞を捕捉して、がん細胞の数を測定することができる。また、がん細胞を光学的に検知する方法(例えば、米国特許第6,821,484号明細書、米国特許第6,143,535号明細書)によって、がん細胞の数を測定してもよい。あるいは、例えば、循環腫瘍細胞の検査機器(米国Veridex LLC社)を用いてがん細胞の数を測定してもよい。
【0026】
また、ポンプ23および圧力監視装置25,26としては、例えば血液透析で用いられているものを使用することができる。
【0027】
1.2.がん細胞除去装置の構成
図2は、図1に示されるがん細胞除去装置10の構成を模式的に示す図である。図3は、図1に示されるがん細胞除去装置10によるがん細胞除去の原理を説明する図である。図4は、図1に示されるがん細胞除去装置10の使用方法を説明する図である。
【0028】
がん細胞除去装置10は、図2に示されるように、がん細胞除去装置本体11と、がん細胞除去装置本体11を固定する固定部材13とを含むことができる。この場合、がん細胞除去装置本体11は固定部材13から取り外し可能であってもよい。すなわち、がん細胞除去装置10はカートリッジ式であってもよい。がん細胞除去装置10がカートリッジ式であることにより、がん細胞除去装置本体11を交換することによって、除去されたがん細胞の廃棄が容易である。また、除去されたがん細胞を検査目的としてがん細胞除去装置本体11から採取することが容易であるのに加えて、がん細胞除去装置本体11を新たなものと交換することにより、がん細胞の除去性能を維持することができる。
【0029】
また、がん細胞除去装置10は、図2に示されるように、濾過部12と、捕捉部14と、壊死誘発部16とから選ばれる少なくとも1つを含むことができる。濾過部12は、体液に含まれるがん細胞を濾過により除去する機能を有する。捕捉部14は、がん細胞と特異的に結合する抗体が固定化され、体液に含まれるがん細胞と前記抗体とを結合させて該がん細胞を捕捉する機能を有する。壊死誘発部16は、がん細胞のアポトーシス誘発因子(apoptosis-inducing factor)が固定化され、体液に含まれるがん細胞とアポトーシス誘発因子とを接触させてがん細胞を壊死させる機能を有する。
【0030】
より具体的には、濾過部12は、図3に示されるように、体液に含まれるがん細胞15を濾過により除去し、正常細胞等の他の成分17のみを排出する。濾過部12は例えば、穴を有するフィルターである。かかるフィルターは例えば、がん細胞以外の成分は通過できるが、がん細胞が通過できない大きさの穴を有することが好ましい。
【0031】
捕捉部14は例えば、濾過部12と連続する流路であり、該流路の表面に、がん細胞と特異的に結合する抗体を固定化させることができる。がん細胞と特異的に結合する抗体が該表面に固定化されていることにより、該表面において、がん細胞と特異的に結合する抗体とがん細胞との結合によってがん細胞を捕捉して、体液中からがん細胞を除去することができる。
【0032】
がん細胞と特異的に結合する抗体としては、例えば、がん細胞の表面抗原に対する抗体が挙げられる。がん細胞と特異的に結合する抗体として、がん細胞の表面抗原に対する抗体を用いる場合、がん細胞の表面抗原に対する抗体を、分離対象のがん細胞の種類に応じて選択することができる。例えば、上皮がんに共通の表面抗原に対する抗体としては、Ep−CAM抗体、N−カドヘリン抗体、ビメンチン抗体等が挙げられ、乳がん特有の表面抗原に対する抗体としては、HER2抗体等が挙げられ、大腸がん特有の表面抗原に対する抗体としては、NS19−9抗体等が挙げられ、前立腺がん特有の表面抗原に対する抗体としては、CD49、CD54,CD59抗体等が挙げられる。これらの抗体を捕捉部14で使用することができる。
【0033】
壊死部16は例えば捕捉部14と連続する流路であり、該流路の表面に、アポトーシス誘発因子を固定化させることができる。アポトーシス誘発因子が該表面に固定化されていることにより、該表面において、がん細胞とアポトーシス誘発因子との接触によって、がん細胞を壊死させることができる。
【0034】
アポトーシス誘発因子としては、がん細胞のアポトーシスを誘発させる性質を有するものであればよく、例えば、TNF−α、TNF−γ、TRAIL、Fas、リンホトキシン、非環式レチノイド、ビクニン、パラスポリン、マイトマイシン、タキソール、アディポネクチンが挙げられる。
【0035】
捕捉部14表面への抗体の固定化および壊死部16表面へのアポトーシス誘発因子の固定化は、物理吸着による方法または化学結合による方法を用いることができる。化学結合による方法は、確実な固定化を達成できる点で有用である。例えば、捕捉部14または壊死部16の表面が水酸基を含む材質からなる場合、抗体中のカルボキシル基を活性エステル化した後、水酸基と該活性エステル基とを反応させることにより、化学結合によって該表面に抗体を固定化させることができる。
【0036】
図3に示されるように、患者30から採取された体液が濾過部12、捕捉部14、および壊死部16を通過する際に、該体液に含まれるがん細胞15が各部位で捕捉された後、がん細胞が除去された体液が、がん細胞除去装置本体11(がん細胞除去装置10)から排出される。がん細胞除去装置10から排出された体液は、管21内を移送され、返液部Cから患者30の体内に戻される。なお、図2および図3に示されるがん細胞除去装置10では、濾過部12、捕捉部14、および壊死部16の順に配列しているが、濾過部12、捕捉部14、および壊死部16の配列順は特に限定されず、濾過部12、捕捉部14、および壊死部16を並列に配置してもよいし、あるいは、濾過部12、捕捉部14、または壊死部16を複数設けてもよい。
【0037】
なお、がん細胞除去装置10は、図4に示されるように、複数のがん細胞除去装置本体11a,11b,11cを含むことができる。これらのがん細胞除去装置本体11a,11b,11cは管21に対して直列に配置してもよいし、あるいは並列に配置してもよい。例えば、体液に含まれるがん細胞の数が多い場合、複数のがん細胞除去装置本体を並列に配置して、がん細胞の除去を行なうことができる。
【0038】
がん細胞除去装置10において、複数のがん細胞除去装置本体11a,11b,11cのうちどれを使用するかは、例えば、制御部27から送信されたがん細胞の除去に関する情報(例えばがん細胞の種類および/またに数)応じて決定される。すなわち、がん細胞除去装置本体の選択は、制御部27から送られたがん細胞の除去に関する情報に基づいて行なうことができる。
【0039】
例えば、図4に示されるように、がん細胞情報検出装置20で検出されたがん細胞の種類に関する情報に基づいて、がん細胞の種類に適したがん細胞除去装置本体を選択してもよい。例えば、がん細胞除去装置本体11aは乳がん細胞を除去するためのものであり、がん細胞除去装置本体11bは大腸がん細胞を除去するためのものであり、がん細胞除去装置本体11cは前立腺がん細胞を除去するためのものであることができる。この場合、例えば、がん細胞情報検出装置20によって乳がん細胞が検出された場合、乳がん細胞が検出された旨の情報(がん細胞の除去に関する情報)が、がん細胞情報検出装置20から制御部27を介してがん細胞除去装置10に送られる。このがん細胞の除去に関する情報情報に基づいて、がん細胞除去装置10において、がん細胞除去装置本体11aの使用が選択され、がん細胞除去装置本体11aを用いてがん細胞の除去が行なわれる。
【0040】
なお、本実施形態においては、がん細胞除去装置10が、制御部27から送信されたがん細胞の除去に関する情報に基づいて、がん細胞除去装置本体11a,11b,11cの選択を行なう例を示したが、かかる選択を手動で行ってもよい。すなわち、がん細胞情報検出装置20,22で検出されたがん細胞に関する情報に基づいて、適切ながん細胞除去装置本体11a,11b,11cの選択および交換を手動で行ってもよい。
【0041】
1.3.がん細胞除去システムの使用方法
本実施形態に係るがん細胞除去システム100は、体液中からがん細胞をその他の成分と選択的に分離する機能を有する。なお、本明細書において「がん細胞」とは、悪性の腫瘍細胞を意味する。体液としては、例えば血液、リンパ液、唾液、尿、涙液が挙げられ、がん細胞が除去された後に30の体内に戻すことにより、がん細胞の転移を防ぐことができる点で、体液は血液またはリンパ液であることが好ましく、患者30からの採取および患者30への返液が容易であり、がん細胞の転移を確実に防ぐことができる点で、体液は血液であることがより好ましい。なお、体液の採取部位は特に限定されず、例えば体液が血液の場合、腕、首、わき、腿の動脈または静脈等の血管から血液を採取することができ、体液がリンパ液の場合、リンパ節からリンパ液を採取することができる。また、特開平2−193676号公報や特表2004−525734号公報に記載されているように、患者30の採液部にカテーテルを直接挿入することにより、体液を採取してもよい。
【0042】
がんの転移の順序はおおよそ決まっており、通常、原発巣の周辺のリンパ節や原発巣に近い臓器から、血液やリンパ液等の体液を介して全身に転移する。したがって、がん細胞の数は原発巣やその周辺の組織で多く、原発巣から離れるにしたがって少なくなると考えられる。したがって、原発巣近傍から採取される体液からがん細胞の除去を行なうことが好ましい。
【0043】
分離対象となるがん細胞としては、例えば循環がん細胞(CTC)が挙げられる。本実施形態に係るがん細胞除去システム100を用いて、患者30から採取した体液からCTCを除去した後、該体液を再び患者30の体内に戻すことによって、患者30のがんの転移を効果的に抑えることができる。例えば、血液中からCTCを選択的に除去することにより、CTCとその他の成分(例えば、赤血球、白血球、血小板等の正常細胞、塩類、アルブミン等の血漿タンパク質、免疫グロブリン等の抗体、血液凝固因子等)とを分離して、その他の成分のみを患者30の体内に戻すことができるうえ、その他の成分に及ぼすダメージを最小限にすることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るがん細胞除去システム100を用いたがん細胞の除去を、放射線療法および/または化学療法と併用してもよいし、あるいは、放射線療法または化学療法の代替として用いることもできる。すなわち、本発明の一実施形態に係るがんの治療および/または予防方法は、本実施形態に係るがん細胞除去システム100を用いて、患者30から摂取した体液からがん細胞を除去した後、該体液を患者30の体内に戻す工程を含む。
【0045】
なお、本実施形態に係るがん細胞除去システム100は、がん細胞以外の細胞、ウイルス、細菌、タンパク質、低分子〜高分子化合物、粒子、コロイド、例えば花粉等のアレルギー物質、毒物、有害物質、環境汚染物質を液体中から除去するためのシステムとして使用することもできる。また、本実施形態に係るがん細胞除去システム100を例えば、血液透析、血液浄化、細胞分化誘導、遺伝子導入のためのシステムとして使用してもよい。
【0046】
1.4.作用効果
本実施形態に係るがん細胞除去システム100によれば、制御部27が、がん細胞情報検出装置20,22で得られたがん細胞に関する情報に基づいてがん細胞の除去に関する情報を作成し、このがん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置10に送信する。ここで、がん細胞情報検出装置20が、がん細胞除去装置10で処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出することにより、がん細胞除去装置10によるがん細胞除去の要否を判断することができるため、がん細胞除去装置10において、がん細胞除去装置10で処理される前の体液に含まれるがん細胞の種類および/または数に応じたがん細胞の除去を行なうことができる。また、がん細胞情報検出装置22が、がん細胞除去装置10で処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出することにより、がん細胞除去装置10によってがん細胞が除去されたか否かを確認することができるため、がん細胞除去装置10のがん細胞の検出性能を確認することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るがん細胞除去システム100によれば、患者30から体液が採取された体液はポンプ23の駆動によって、管21を介してがん細胞除去装置10に導入され処理が行われた後、患者30の体内に戻される。このため、例えば放射線療法や化学療法と比較して患者30への負担が小さい。
【0048】
2.第2実施形態
2.1.がん細胞分離システムの構成および使用方法
図5は、本発明の他の一実施形態に係るがん細胞除去システム200を模式的に示す図である。
【0049】
本実施形態では、患者30の異なる複数の採液部A1,A2,B1,B2から体液を採取して、採取された各体液からがん細胞を除去する。すなわち、本実施形態に係るがん細胞除去システム200は、複数のがん細胞除去装置10を含み、患者30の異なる複数の採液部A1,A2,B1,B2から体液を採取して、採取された各体液からがん細胞除去装置10a〜10dによってがん細胞を除去する点で、第1実施形態に係るがん細胞分離装置100と異なる構成を有する。上記の点以外は、本実施形態に係るがん細胞除去システム200は、第1実施形態に係るがん細胞除去システム100と同様の構成を有する。よって、本実施形態に係るがん細胞除去システム200は、第1実施形態に係るがん細胞除去システム100と同様の作用効果を有する。また、本実施形態に係るがん細胞除去システム200の基本的な使用方法も、第1実施形態に係るがん細胞除去システム100の使用方法と同様である。
【0050】
なお、図5においては、ポンプ、圧力監視装置、および抗凝固剤供給部の図示は省略したが、本実施形態に係るがん細胞除去システム200には、図1に示されるがん細胞除去システム100と同様に、ポンプ、圧力監視装置、および抗凝固剤供給部が設けられている。
【0051】
制御部37は、がん細胞除去装置10a〜10d、がん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22d、圧力監視装置、ポンプ、および抗凝固剤供給部と電気的にまたは光学的に接続されている。制御部37は、がん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dから送信されたがん細胞に関する情報を受け取る受信部39aと、がん細胞に関する情報に基づいて、がん細胞の除去に関する情報を作成する除去関連情報作成部38と、がん細胞の除去に関する情報をがん細胞除去装置10a〜10dに送信する送信部39bとを含むことができる。制御部37は例えば、コンピュータにインストールされたソフトウエア上で実行することができる。
【0052】
より具体的には、制御部37の受信部39aは、除去関連情報作成部38は、複数のがん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dから送信されたがん細胞に関する情報を受け取る。除去関連情報作成部38は、複数のがん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dから送信されたがん細胞に関する情報を比較して、がん細胞の除去を行なうがん細胞除去装置を決定し、かつ、使用するがん細胞除去装置本体11を決定する。すなわち、除去関連情報作成部38は、がん細胞除去の要否に関する命令および使用するがん細胞除去装置本体11の種類(がん細胞の除去に関する情報)を作成する。送信部39bは、このがん細胞の除去に関する情報を各がん細胞除去装置10a〜10dに送信する。
【0053】
本実施形態に係るがん細胞除去システム200は、複数のがん細胞除去装置10a〜10d(第1のがん細胞除去装置10a、第2のがん細胞除去装置10b、第3のがん細胞除去装置10c、第4のがん細胞除去装置10d)を含む。
【0054】
また、本実施形態に係るがん細胞除去システム200は、複数のがん細胞情報検出装置(第1のがん細胞情報検出装置20a,22a、第2のがん細胞情報検出装置20b,22b、第3のがん細胞情報検出装置20c,22c、第4のがん細胞情報検出装置20d,22d)を含む。
【0055】
第1のがん細胞情報検出装置20aは、第1のがん細胞除去装置10aで処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出し、第1のがん細胞情報検出装置22aは、第1のがん細胞除去装置10aで処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出する。同様に、第2のがん細胞情報検出装置20bは、第2のがん細胞除去装置10bで処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出し、第2のがん細胞情報検出装置22bは、第2のがん細胞除去装置10bで処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出する。同様に、第3のがん細胞情報検出装置20cは、第3のがん細胞除去装置10cで処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出し、第3のがん細胞情報検出装置22cは、第3のがん細胞除去装置10cで処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出する。同様に、第4のがん細胞情報検出装置20dは、第4のがん細胞除去装置10dで処理される前の体液中のがん細胞に関する情報を検出し、第4のがん細胞情報検出装置22dは、第4のがん細胞除去装置10dで処理された後の体液中のがん細胞に関する情報を検出する。
【0056】
また、図5に示されるように、第1のがん細胞除去装置10aで処理される体液、第2のがん細胞除去装置10bで処理される体液、第3のがん細胞除去装置10cで処理される体液、および第4のがん細胞除去装置10dで処理される体液はそれぞれ、患者30の異なる部位(採液部)A1,A2,B1,B2から採取されたものである。
【0057】
すなわち、本実施形態においては、患者30の異なる複数の部位から体液を採取し、各体液についてがん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dにおいて、がん細胞に関する情報を得る。がん細胞に関する情報は、各がん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dから制御部37に送られる。制御部37の受信部39aは、がん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dからがん細胞の数に関する情報を受け取り、除去関連情報作成部38において、がん細胞情報検出装置20a〜20d,22a〜22dから送信されたがん細胞に関する情報に基づいて、がん細胞の除去に関する情報を作成する。次いで、がん細胞の除去の要否に関する情報が、制御部37の送信部39bから各がん細胞除去装置10a〜10dに送られた後、がん細胞の除去が必要であるとの命令を受け取ったがん細胞除去装置においてがん細胞の除去が行なわれる。その後、がん細胞除去処理済みの体液が返液部Cから患者30に戻される。なお、体液の流量および圧力ならびに採液部の数は適宜設定することができる。
【0058】
上述したように、本実施形態に係るがん細胞除去システム200では、図5に示されるように、患者30の異なる複数の採液部A1,A2,B1,B2から体液を採取し、原発巣32からより近い採液部B1,B2から採取した体液と、原発巣32からより遠い採液部A1,A2から採取した体液とについてそれぞれがん細胞の除去を行なう。原発巣32からより遠い採液部A1,A2は例えば、特定種類のがんが転移する可能性がある臓器周辺である。がんの種類によって転移しやすい臓器があることは広く知られている。よって、がんの種類に応じて、転移する可能性がある臓器周辺から体液を採取することが好ましい。
【0059】
本実施形態に係るがん細胞除去システム200を用いたがん細胞の除去の例(i)〜(iii)を以下に示す。
【0060】
(i)原発巣32からより近い採液部B1,B2から採取した体液からがん細胞情報検出装置20c,20dが検出したがん細胞の数が所定個数未満であって、かつ、原発巣32からより遠い採液部A1,A2から採取した体液からがん細胞情報検出装置20a,20bが検出したがん細胞の数が所定個数未満である場合、本実施形態に係るがん細胞除去システム200では、患者30はがんでない可能性が高いと判定する。上記判定結果は診断の指標となる。すなわち、上記判定結果に基づいて、例えば、患者30はがんの予防医療を行なうと診断される。
【0061】
この場合、制御部37の受信部39aは、がん細胞情報検出装置20a〜20dからがん細胞の数に関する情報を受け取り、制御部37の除去関連情報作成部38において、係るがん細胞の数に基づいてがん細胞の除去が不要であると判定されて、がん細胞の除去を行なわない命令(がん細胞の除去に関する情報)が、制御部37の送信部39bからがん細胞除去装置10a〜10dに送信される。これにより、がん細胞除去装置10a〜10dではがん細胞の除去は行なわれない。
【0062】
(ii)原発巣32からより近い採液部B1、B2から採取した体液からがん細胞情報検出装置20c,20dが検出したがん細胞の数が所定個数以上であって、かつ、原発巣32からより遠い採液部A1、A2から採取した体液からがん細胞情報検出装置20a,20bが検出したがん細胞の数が所定個数未満である場合、本実施形態に係るがん細胞除去システム200では、患者30はがんであるが、がんの転移は起きていないと判定する。上記判定結果は診断の指標となる。すなわち、上記判定結果に基づいて、例えば、原発巣32からより近い採液部B1、B2から採取した体液からがん細胞除去装置10c,10dによって重点的ながん細胞の除去を行なうとの診断がなされる。
【0063】
この場合、制御部37の受信部39aは、がん細胞情報検出装置20a〜20dからがん細胞の数に関する情報を受け取り、制御部37の除去関連情報作成部38において、係るがん細胞の数に基づいてがん細胞除去装置10c,10dでがん細胞の除去が必要であり、かつ、がん細胞除去装置10a,10bでがん細胞の除去が不要であると判定される。これにより、がん細胞の除去を行う旨の命令(がん細胞の除去に関する情報)が、制御部37の送信部39bからがん細胞除去装置10c,10dに送信され、がん細胞除去装置10c,10dにおいてがん細胞の除去は行われる。一方、がん細胞の除去を行なわない旨の命令(がん細胞の除去に関する情報)が、制御部37の送信部39bからがん細胞除去装置10a,10bに送信される。これにより、がん細胞除去装置10a,10bではがん細胞の除去は行なわれない。
【0064】
(iii)原発巣32からより近い採液部B1、B2から採取した体液からがん細胞情報検出装置20c,20dが検出したがん細胞の数が所定個数以上であって、かつ、原発巣32からより遠い採液部A1、A2から採取した体液からがん細胞情報検出装置20a,20bが検出したがん細胞の数が所定個数以上である場合、本実施形態に係るがん細胞除去システム200では、患者30はがんであり、かつ、がんの転移が起きていると判定する。上記判定結果は診断の指標となる。すなわち、上記判定結果に基づいて、例えば、、原発巣32からより近い採液部採液部B1、B2から採取した体液だけでなく、転移の可能性がある原発巣32からより遠い採液部A1、A2から採取した体液からもがん細胞を除去するとともに、必要に応じて化学療法、放射線療法、がん除去手術、免疫療法等の他の治療を併用するという診断がなされる。
【0065】
この場合、制御部37の受信部39aは、がん細胞情報検出装置20a〜20dからがん細胞の数に関する情報を受け取り、制御部37の除去関連情報作成部38において、係るがん細胞の数に基づいてがん細胞除去装置10a〜10dでがん細胞の除去が必要であると判定される。これにより、がん細胞の除去を行なう旨の命令(がん細胞の除去に関する情報)が、制御部37の送信部39bからがん細胞除去装置10a〜10dに送信され、がん細胞除去装置10a〜10dにおいてがん細胞の除去が行われる。
【0066】
本実施形態に係るがん細胞除去システム200によれば、患者30の異なる複数の採液部A1,A2,B1,B2からがん細胞の除去を行い、制御部において、各採液部から採取された体液中のがん細胞に関する情報を比較することにより、がん細胞の転移を推定することができる。また、推定されたがん細胞の転移の度合いに基づいて、他の治療方法の必要性を判断することができる。
【0067】
なお、本実施形態に係るがん細胞除去システム200では、患者30の異なる複数の採液部A1,A2,B1,B2から同時に平行してがん細胞の除去を行なう場合を示したが、異なる複数の採液部について別々にがん細胞の除去を行ってもよい。例えば、まず、原発巣32からより近い採液部B1,B2から体液を採取してがん細胞の除去を行った後、後日(例えば数日〜数週間後)原発巣32からより遠い採液部A1、A2から体液を採取してがん細胞の除去を行ってもよい。このように、異なる複数の採液部について別々にがん細胞の除去を行なうことにより、患者30の負担を少なくすることができる。
【0068】
また、本実施形態に係るがん細胞除去システム200では、いずれのがん細胞除去装置にも少なくとも1のがん細胞情報検出装置が設けられている例を示したが、がん細胞除去の必要性が高い採液部から採取される体液を処理するがん細胞除去装置のみにがん細胞情報検出装置を設けてもよい。例えば、原発巣32に近い部位A1,A2のみにがん細胞情報検出装置を設けてもよい。
【0069】
2.2.作用効果
本実施形態に係るがん細胞除去システム200によれば、複数のがん細胞除去装置10を含み、患者30の異なる複数の採液部A1,A2,B1,B2から体液を採取して、採取された各体液からがん細胞除去装置10a〜10dによってがん細胞を除去する。これにより、がん細胞が多く検出された部位について重点的にがん細胞の除去を行なうことができるため、がんの転移をより効果的に防止することができる。
【0070】
本発明に係る実施の形態の説明は以上である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0071】
10…がん細胞除去装置、11,11a,11b,11c…がん細胞除去装置本体、12…濾過部、13…固定部材、14…捕捉部、15…がん細胞(CTC)、16…壊死誘発部、17…がん細胞以外の成分、20,20a,20b,20c,20d,22,22a,22b,22c,22d,…がん細胞情報検出装置、21…管、23…ポンプ、24…抗凝固剤供給部、25,26…圧力監視装置、27,37…制御部、28,38…除去関連情報作成部、29a,39a…受信部、29b,39b…送信部、30…患者、32…原発巣、100,200…がん細胞除去システム、A、A1、A2、B1、B2…採液部、C…返液部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から採取された体液からがん細胞を除去するがん細胞除去装置と、
前記がん細胞除去装置で処理される前および/または前記がん細胞除去装置で処理された後の前記体液中のがん細胞に関する情報を検出するがん細胞情報検出装置と、
前記がん細胞情報検出装置から受け取った前記がん細胞に関する情報に基づいてがん細胞の除去に関する情報を作成し、該がん細胞の除去に関する情報を前記がん細胞除去装置に送信する制御部と、
を含む、
がん細胞除去システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記がん細胞除去装置および前記がん細胞情報検出装置をそれぞれ複数含み、
前記複数の前記がん細胞除去装置は、
第1のがん細胞除去装置と、
第2のがん細胞除去装置と、
を含み、
前記第1のがん細胞除去装置で処理される体液は、前記第2のがん細胞除去装置で処理される体液とは異なる部位から採取されたものである、がん細胞除去システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のがん細胞除去システムに使用されるがん細胞除去装置であって、
体液に含まれるがん細胞を濾過により除去する濾過部と、
がん細胞と特異的に結合する抗体が固定化され、体液に含まれるがん細胞と前記抗体とを結合させて該がん細胞を捕捉する捕捉部と、
がん細胞のアポトーシス誘発因子が固定化され、体液に含まれるがん細胞と前記アポトーシス誘発因子とを接触させて該がん細胞を壊死させる壊死誘発部と、
から選ばれる少なくとも1つを含む、がん細胞除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−227313(P2010−227313A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78460(P2009−78460)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】