説明

きのこ栽培用培地

【課題】きのこ廃培地を混合したきのこ栽培用培地を使用してきのこを栽培しても品質が維持でき、繰り返して使用できるきのこ栽培用培地を提供する。
【解決手段】きのこを栽培した後の廃培地を、乾燥処理して乾燥させた乾燥廃培地と、発酵処理して発酵させた発酵廃培地とを、きのこ栽培用の未使用培地と混合したきのこ栽培用培地であって、前記廃培地と前記未使用培地との合計量に対する廃培地の混合割合がそれぞれ、乾燥廃培地は10質量%以下、発酵廃培地が15質量%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、きのこ栽培用培地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
きのこ栽培で使用した廃培地を廃棄するには環境への配慮が必要であるため、廃培地を肥料やバイオマス原料等への活用がなされている。また、きのこ栽培における生産の効率化や規模の拡大により、きのこの価格が下落している。一方、培地に用いられる原料の価格が上昇する傾向にあり、培地にかかる費用を如何にして下げられるかが問題となっている。そこで、きのこ栽培で使用した廃培地をきのこ栽培用培地として利用して、資源の有効利用だけではなく、栽培にかかるコストの削減が図られている。
【0003】
きのこ栽培用培地およびその製造方法について、コーンコブ粉砕物を含むきのこ廃培地を細かく砕き、砕いた廃培地を乾燥させ、乾燥させた廃培地を未使用のきのこ培地と混合したきのこ培地の製造方法が特許文献1に開示されている。コーンコブを含む基材と栄養成分とを含む培地を使用して、きのこを栽培した後の廃培地の水分量を調整し、殺菌して得られるマッシュルーム栽培用培地が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−323122号公報
【特許文献2】特開2008−212092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のきのこ栽培用培地について、きのこ廃培地を乾燥した乾燥廃培地を、未使用のきのこ栽培用培地と混合して新たにきのこ栽培用培地とした場合、乾燥廃培地を大量に使用するときのこの品質が低下し、傘が開きやすくなるという課題があった。また、きのこ栽培後の廃培地には栄養分が残留するが、繰り返し使用すると栄養分が少なくなって収量が落ち、長期的に安定した生産が難しいという課題もある。このため、乾燥廃培地のみを未使用のきのこ栽培用培地と混合して新たにきのこ栽培用培地として利用することは困難である。
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、きのこ廃培地を混合したきのこ栽培用培地を使用してきのこを栽培しても品質が維持でき、繰り返して使用できるきのこ栽培用培地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のきのこ栽培用培地は次の構成を備える。すなわち本発明は、きのこを栽培した後の廃培地を、乾燥処理して乾燥させた乾燥廃培地と、発酵処理して発酵させた発酵廃培地とを、きのこ栽培用の未使用培地と混合したきのこ栽培用培地であって、前記廃培地と前記未使用培地との合計量に対する廃培地の混合割合がそれぞれ、乾燥廃培地は10質量%以下、発酵廃培地が15質量%以下であることを特徴とする。この構成によれば、品質が維持でき、繰り返して使用してもきのこが安定的に生産できるきのこ栽培用培地を提供できる。また、培地が黒色を呈することを抑え、生産されたきのこの石附部分に培地が付着しても異物や汚れとして見られることがないきのこ栽培用培地を提供できる。
【0008】
前記乾燥廃培地と前記発酵廃培地の合計量が10質量%以上となる範囲とすることで、よりきのこの収穫量が増えて、きのこ培地にかかるコストを削減することができる。
【0009】
前記乾燥廃培地の含水率が30質量%以下であることで、きのこ栽培に有害な菌の繁殖を抑えたきのこ栽培用培地を提供できる。
【0010】
前記発酵廃培地の含水率が30質量%以下であることで、腐敗せずに発酵させたきのこ栽培用培地を提供できる。
【0011】
前記廃培地および前記未使用培地がコーンコブを含む培地であることで、きのこの生育に必要な成分を含んだきのこ栽培用培地を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るきのこ栽培用培地によれば品質が維持でき、繰り返して使用してもきのこが安定的に生産できるきのこ栽培用培地を提供できる。また、きのこ廃培地を有効利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本実施形態で使用する廃培地は、どのようなきのこを栽培した後の廃培地でも良く、より好適にはエノキタケ、ブナシメジ、エリンギ等を栽培した後の廃培地が挙げられる。
【0015】
本実施形態のきのこ栽培用培地は、きのこを栽培した後の廃培地を、乾燥処理して乾燥させた乾燥廃培地と、発酵処理して発酵させた発酵廃培地とを、きのこ栽培用の未使用培地と混合して、きのこ栽培用培地として再生したものである。また本実施形態のきのこ栽培用培地を用いて栽培できるきのこはどのような種類のきのこでもよく、より好適にはエノキタケ、ブナシメジ、エリンギ等である。このことから、廃培地の再生前後で、異なる種類のきのこだけではなく、同一種類のきのこを栽培することもできるきのこ栽培用培地である。
【0016】
本実施形態のきのこ栽培用培地で1回以上きのこを栽培した廃培地であれば、きのこ栽培に使用した回数に関係なく再生させることができ、再びきのこ栽培用培地として利用することができるきのこ栽培用培地である。
【0017】
培地基材にはコーンコブ、針葉樹または広葉樹のオガコ、綿実殻を単独または組み合わせて使用し、培地栄養材には、米糠、フスマ、ビートパルプ、オカラ、豆皮等を単独または組み合わせて使用できる。培地基材のpHを調整するためのpH調整剤として、貝殻や炭酸カルシウム、消石灰、水酸化カルシウム等を加えることができる。好ましい培地のpHの範囲はpH=6.0〜6.2である。
【0018】
コーンコブの混合割合は栽培するきのこの種類に合わせて適宜変更させることができ、乾燥時の培地に対して10〜60質量%とすることが、コストを削減できて廃培地を再生する上で好ましい。その他の材料についてもきのこの種類に合わせて適宜変更させることができる。
【0019】
きのこを栽培した後の廃培地は50%〜60%の水分を含んでいる。更に、バクテリアや有害な菌が残存しているため、栽培ビンから取り出してそのまま放置すると変質して腐敗しやすい。このことから、廃培地の変質や腐敗を防ぐために廃培地を乾燥処理して殺菌された乾燥廃培地を製造する。乾燥して得られた乾燥廃培地の色は未使用培地の色と変わらない。
【0020】
きのこを栽培した後の廃培地には栄養分が残存しているものの、きのこ廃培地を乾燥した乾燥廃培地を未使用のきのこ栽培用培地と混合して新たにきのこを栽培するには栄養分が不足している。このため、きのこの品質が低下し、傘が開きやすくなる。この不足分は廃培地を発酵処理して発酵させることで廃培地中の基材、栄養材の一部が分解されて新たな栄養源として補うことができる。このことから、廃培地を発酵処理して発酵させた発酵廃培地を製造する。発酵して得られた発酵廃培地の色は茶色から黒色を呈している。
ここで、きのこの品質とは、きのこの傘の大きさや揃い、形状、色、乾き等であり、他にも茎の形状、硬さ等のことである。
【0021】
発酵処理させた廃培地には新たに培地栄養材を加える必要がなく、更に未使用培地にも製造時に加えたときの割合以上の栄養材を加える必要がない。このことは、乾燥廃培地と発酵廃培地と未使用培地を混合した本実施形態のきのこ栽培用培地では新たに栄養材を混合して培地を調整する必要がないということである。
【0022】
製造した乾燥廃培地と発酵廃培地とをきのこ栽培用の未使用培地と混合することで、品質が維持でき、繰り返して使用してもきのこの安定的生産が可能なきのこ栽培用培地を製造できる。使用する廃培地と未使用培地の質量はそれぞれ含水率0%の時の質量に換算し、混合割合はこの時の質量を基準として計算したものである。
【0023】
乾燥・発酵廃培地と未使用培地との総量に対する混合割合は、乾燥廃培地が10質量%以下であることが好ましい。これは、乾燥廃培地を10質量%より多く混合すると、きのこの品質が落ちやすくなるためである。
【0024】
発酵廃培地が15質量%以下であることが好ましい。これは、発酵廃培地を15質量%より多く混合すると、乾燥・発酵廃培地と未使用培地との混合培地の黒色度が増すためである。発酵して黒味が増した混合培地を使用すると、色がきのこに移ったり、発酵廃培地の一部がきのこに付着して見た目が悪くなったりすることがある。また、発酵廃培地の混合量を15質量%より多く混合すると外観が悪くなる以外にも、品質が落ちやすくなり、収量がほぼ一定となって増加しなくなることも挙げられる。更に20質量%より多く混合すると収量が減り始め、25質量%では新品の培地と同程度に減収となる。このため乾燥廃培地は10質量%以下、発酵廃培地が15質量%以下で各廃培地を混合するのが好ましく、培地のコストを考慮すると乾燥廃培地と発酵廃培地の合計量が10質量%以上となる範囲でそれぞれの廃培地を混合するのがより好ましい。また、発酵廃培地の混合量を乾燥廃培地の混合量以上に多くすると収量が未使用培地と比較して増えるのでより好ましい。
【0025】
廃培地を乾燥させるには種々の方法がある。その中の1つに乾燥機を用いて熱風乾燥させる方法がある。乾燥廃培地を製造する工程は、乾燥後の乾燥廃培地に含まれる水分の割合を調整し、含水率が30質量%以下になるまで乾燥させる工程である。廃培地を撹拌させながら、300〜600℃の熱風を送り、焦げないように廃培地の温度を上げて100℃以下保って廃培地中の水分を蒸発させて乾燥させる。乾燥させる量にもよるが、15〜30分で乾燥できる。また、熱風を送ることで殺菌もできるので、乾燥廃培地中の含水率を30質量%以下になるようにすれば、変質を防ぐことができる。乾燥方法は乾燥廃培地中の含水率を30質量%以下にさせることができれば、特に限定されるものではないが、熱風乾燥の場合は乾燥時間が短く、コストが削減できて効率的であるので好ましい。乾燥廃培地の含水率が10%より少ない場合は品質や収量には影響がないが、培地材料が微粉末で粉塵となってしまうので乾燥させにくく、更に乾燥にかかるコストが増えることもあるので、好ましくは含水率が10〜30質量%になるようにすればよい。
【0026】
廃培地を発酵させるには種々の方法がある。その中の1つに好気性発酵により発酵させる方法がある。収穫後の廃培地には水分が55〜60質量%含まれていて、60質量%付近が最も発酵に適した水分である。このため、含水率が少ない場合は水を加えて60質量%程度に調整してから発酵させ、発酵工程中の水分不足を防ぐ。好気性発酵により1〜2ヶ月程度の発酵と熟成期間をかけて製造された発酵廃培地は、含水率が30質量%以下に低下する。発酵期間が1ヶ月より短いときのこの収量が減る。また、発酵廃培地の含水率が10%より少ない場合は品質や収量には影響がないが、コストおよび粉塵問題のため自然乾燥で10質量%より少なくするには難しく、30質量%より多いと他の資材と混合した場合、変質しやすくなる。
【0027】
発酵廃培地を製造する工程では、廃培地を堆積後にエアレーションによって好気性醗酵を促進させている。廃培地を混合槽に入れ、混合槽内で廃培地の含水率を60質量%程度となるように加水して調整し、1次発酵槽へ移槽させる。発酵槽は複数個の発酵槽を用いることで、廃培地を切り返しながら移槽させることができ、それぞれの発酵槽で発酵を行うことができる。発酵回数は特に限定されないが、発酵を複数回行うが好ましく、例えば1次発酵槽から7次発酵槽まで移槽させて発酵を7回行い、それぞれ8〜11日間発酵させ、切り返しながら順次移槽させる。空気量が十分確保され、温度が上がる環境であるか、日数を長くとれる環境であれば4〜5回でも可能である。この期間中に廃培地を好気性発酵させて、熟成させる。発酵期間中は一時的に廃培地の温度が最大で70℃まで上昇し、発酵が終わると30℃近くまで温度が下がる。熟成後は目開きが10mm間隔の篩を用いて培地を選別する。複数の発酵槽を用い、発酵槽から別の発酵槽に移して切り返しを行うことで、空気が入り発酵を促進すると共に水分が蒸発されて乾燥する。このため、複数回の発酵を行うことが好ましい。各槽底部をエア配管してエアレーションによる熟成発酵を促進させる。発酵させるために菌類や微生物は必要ないが、臭気を軽減させるためなど環境等の問題で使用することもできる。発酵方法は特に限定されるものではなく、エアレーションによる好気性醗酵以外の方法でもよい。
【0028】
乾燥廃培地と発酵廃培地との混合方法は特に限定されるものではない。
【0029】
未使用培地は、コーンコブを主原料とするものであり、かつpHが6.0〜6.2の範囲となればどのような種類でもよく、オガコを主原料とするものでも可能である。更にきのこの種類に合わせて培地栄養材を過不足とならないように加えることができる。
【0030】
乾燥廃培地と発酵廃培地とを未使用廃培地と混合したきのこ栽培用培地できのこを栽培するには、今までのきのこと同じ栽培方法で栽培することができる。
【0031】
(実施例1)エノキタケ栽培後の廃培地を用いたエノキタケの栽培例と比較例
培地には、培地基材として5mm以下になるように粉砕したコーンコブの粉砕物を10〜40質量%の範囲で加えた。その他の原材料は、米糠、ふすま、ビートパルプ、おから、豆皮、カキ殻等であり、水分を加えて混合し、培地の初期pHの範囲がpH=6.0〜6.2となるように調製した。
【0032】
850ccの栽培ビンに含水率を68質量%に調製した培地を620g詰め込み、培地に植菌孔を開けて施栓して殺菌、放冷後種菌を接種した。次に、菌糸をビン内の培地全体に蔓延させて培養を完了させた。その後、菌掻き、芽出し工程を経て、抑制室に移動させて抑制し、生育後期に紙巻きを行い、エノキタケを収穫した。
【0033】
エノキタケ収穫後の栽培ビンから使用済みの廃培地を掻き出し、この廃培地を使用して乾燥廃培地と発酵廃培地を作製した。乾燥廃培地は、エノキタケ栽培後の廃培地を300〜600℃の熱風を送り、含水率が10〜30質量%になるまで乾燥させて乾燥廃培地を作製した。発酵廃培地は、エアレーションによって好気性醗酵を促進して発酵廃培地を作製した。混合槽内で廃培地の含水率を60質量%前後となるように調整し、1次発酵槽へ移槽させた。廃培地を切り返して空気を送り、各発酵槽で8〜11日間、7次発酵槽まで移槽させて発酵を7回行った。各発酵槽ではエアレーションにより廃培地を熟成させて完全に発酵したものを使用した。熟成後は目開きが10mm間隔の篩を用いて培地を篩分けした。
【0034】
乾燥廃培地と発酵廃培地の混合比、混合量を変えて未使用培地と混合し、この培地を用いてエノキタケを栽培して、菌回りと生育にかかった日数、エノキタケの収量と品質を調査した。また比較として、発酵廃培地のみ、乾燥廃培地のみを混合した培地を用いてエノキタケを栽培し、同様に調査した。調査結果を表1に示す。品質はAAを最優、Aを優、Bを良とし、A以上であれば品質が優れて維持されているものとした。
【0035】
【表1】

【0036】
乾燥廃培地と発酵廃培地を1:1の質量比で未使用培地に加えて混合した培地を用いてエノキタケを栽培したところ、乾燥廃培地10質量%、発酵廃培地10質量%以下では菌回りと生育日数は短くなり、収量は増加し、品質は維持された。しかし、乾燥廃培地15質量%、発酵廃培地15質量%として栽培したところ、収量および品質がいずれも低下した。また、乾燥廃培地と発酵廃培地の混合比を変え、発酵廃培地の混合割合を大きくして、乾燥廃培地は0質量%より大きく10質量%以下、発酵廃培地が0質量%より大きく15質量%以下となる範囲で栽培したところ収量は増加し、品質は同程度であった。一方、乾燥廃培地の混合割合を大きくしたところ、培地色はほぼ新品と同じ色であったが、収量は未使用培地のみと比べてあまり変わらず、品質の大きな低下はなかった。しかし、乾燥廃培地が10質量%を超えると、収量および品質は低下した。
【0037】
乾燥・発酵廃培地と未使用培地との総量に対して発酵廃培地が15質量%となるよう発酵廃培地を添加し、更に乾燥廃培地を0質量%より大きく10質量%以下の範囲で変えて混合した培地を用いてエノキタケを栽培したところ、未使用培地だけと比べてきのこの傘の巻きこみが良く、乾いていて固く、肉質がしまったきのことなり、収量も5〜10%増えた。原因として、発酵、熟成によって廃培地の栄養がきのこに吸収されやすく変化したためと考えられる。しかし、発酵廃培地を20質量%と乾燥廃培地を添加した培地では培地の色が黒くなりやすく、石附に付着した培地が汚れとして見えた。そこで、発酵廃培地の使用量を10%に落として栽培してみたところ、色の心配はまったく感じられなく、更に品質、収量共に通常培地に比べ大きく上回った。また、乾燥・発酵廃培地の合計混合量が10質量%より少ない量では、栽培コストを低く抑えることができなかった。
【0038】
未使用培地に乾燥廃培地のみを添加して混合した培地を用いてエノキタケを栽培したところ培地色は新品と同様な色を呈していて問題ないが、収量、品質が共に低下した。
【0039】
(実施例2)ブナシメジ栽培後の廃培地を用いたブナシメジの栽培例およびエリンギ栽培後の廃培地を用いたエリンギの栽培例
ブナシメジの培地には、培地基材として5mm以下になるように粉砕したコーンコブの粉砕物を10〜50質量%の範囲で加え、エリンギの培地には、10〜60質量%の範囲で加えた。その他の原料は割合が異なるものの、エノキタケの培地で使用したものと同じである。850ccの栽培ビンに含水率をブナシメジは65.5質量%に、エリンギは67質量%に調製した培地を詰め込み、栽培は一般的な方法で行い、ブナシメジまたはエリンギを収穫した。廃培地から乾燥廃培地および発酵廃培地を作製する方法はエノキタケの栽培と同じである。
【0040】
ブナシメジの廃培地を用いて作製した乾燥廃培地と発酵廃培地の混合比、混合量を変えて未使用培地と混合し、ブナシメジを栽培して培養、菌回りおよび生育の日数、ブナシメジの収量と品質を調査した。同様にエリンギの廃培地を用いて栽培したエリンギの収量と品質を調査した。調査結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
乾燥廃培地と発酵廃培地を1:1の質量比で未使用培地に加えて混合した培地を用いてブナシメジ、エリンギをそれぞれ栽培したところ、乾燥廃培地10質量%、発酵廃培地10質量%では菌回りと生育日数は短くなり、収量は大きく増加して品質は維持された。
【0043】
(実施例3)繰り返し栽培試験
きのこを栽培した廃培地から乾燥廃培地と発酵廃培地を作製し、未使用廃培地と混合して再びきのこを栽培し、これを栽培回数2回目とした。次にきのこを2回栽培した廃培地から再び乾燥廃培地と発酵廃培地を作製し、きのこ栽培を繰り返して繰り返し栽培による、きのこの収量と品質を調査した。その結果、3回栽培した廃培地を使用しても品質は変わらず、収量の減少は見られなかった。また、きのこを3回栽培した後の廃培地を乾燥または発酵させて作製した乾燥廃培地と発酵廃培地を用いて、合計量が培地全体の20質量%以内となるように廃培地を未使用培地と混合して混合培地を作製した。この培地を用いてきのこを栽培したところ、収量および品質が維持され、更に繰り返し使用しても良質なきのこが得られ、長期的に安定した生産が可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこを栽培した後の廃培地を、乾燥処理して乾燥させた乾燥廃培地と、発酵処理して発酵させた発酵廃培地とを、きのこ栽培用の未使用培地と混合したきのこ栽培用培地であって、
前記廃培地と前記未使用培地との合計量に対する廃培地の混合割合がそれぞれ、乾燥廃培地は10質量%以下、発酵廃培地が15質量%以下であることを特徴とするきのこ栽培用培地。
【請求項2】
前記乾燥廃培地と前記発酵廃培地の合計量が10質量%以上となる範囲とすることを特徴とする請求項1に記載のきのこ栽培用培地。
【請求項3】
前記乾燥廃培地の含水率が30質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のきのこ栽培用培地。
【請求項4】
前記発酵廃培地の含水率が30質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のきのこ栽培用培地。
【請求項5】
前記廃培地および前記未使用培地がコーンコブを含む培地であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれかに記載のきのこ栽培用培地。

【公開番号】特開2013−70635(P2013−70635A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210235(P2011−210235)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(502131316)株式会社三幸商事 (2)
【Fターム(参考)】