説明

くじ実行システムおよび割引処理システム

【課題】 店舗等において、商品の購入前にくじ引きを行い、その結果を商品の販売価格に反映させることが可能なくじ実行システムおよび割引処理システムを提供する。
【解決手段】 携帯端末10にくじの実行権を記録しておくとともに、商品20に添付したICタグ30に商品IDを記録しておき、携帯端末10が、ICタグ30から商品IDを読み取り、その携帯端末10が実行権を有している場合にくじを実行して、その結果を携帯端末10の画面に表示するとともに、ICタグ30に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等において、携帯型端末を利用して、くじ引きを実行するとともに、その結果を販売価格に反映させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、販売促進のため、スクラッチカード等を利用したくじ引きが行われている。また、最近では、コンピュータ技術を利用して様々なくじ引きが行われるようになってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のくじ引きは、商品の購入後に行われており、商品の購入前に行われるものはなかった。
【0004】
そこで、本発明は、店舗等において、商品の購入前にくじ引きを行い、その結果を商品の販売価格に反映させることが可能なくじ実行システムおよび割引処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るくじ実行システムは、商品に添付されたICタグに記録された内容を利用して、携帯端末でくじを実行するシステムであって、前記携帯端末は、くじの実行権を示す実行権情報を記憶した記憶手段と、商品に添付されたICタグから、当該商品の商品IDを読み取る商品ID読み取り手段と、当該読み取った商品IDを用いて前記記憶手段を参照し、実行権の有無を判断する実行権判断手段と、実行権が存在する場合に、くじの実行を行うくじ実行手段と、前記くじの実行結果を表示する表示手段と、前記くじの実行結果を、前記商品に添付されたICタグに記録するくじ結果記録手段を有する構成としたことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る割引処理システムは、商品に添付されたICタグの記録内容を利用したくじの実行結果に基づいて割引を行うシステムであって、前記携帯端末の端末IDを読み取る端末ID読み取り手段と、商品添付のICタグからくじ履歴を読み取るくじ履歴読み取り手段と、商品IDを読み取る商品ID読み取り手段と、前記読み取ったくじ履歴の最後の記録に含まれる端末IDと、前記端末ID読み取り手段が読み取った端末IDとの比較を行う比較手段と、前記くじ履歴の最後の記録に含まれる割引値に基づいて、割引販売価格を算出する割引販売価格算出手段を有する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るくじ実行システムによれば、携帯端末にくじの実行権を記録しておくとともに、商品に添付したICタグに商品IDを記録しておき、携帯端末が、ICタグから商品IDを読み取り、実行権がある場合にくじを実行して、その結果を携帯端末の画面に表示するとともに、ICタグに記録するようにしたので、商品購入前に簡易に商品を利用したくじを実行することが可能となるという効果を奏する。
【0008】
本発明に係る割引処理システムによれば、携帯端末から端末ID、商品添付のICタグからくじ履歴、商品から商品IDをそれぞれ読み取り、くじ履歴の最後の記録に含まれる端末IDと、携帯端末から読み取った端末IDが一致する場合に、くじ履歴の最後の記録に含まれる割引値に基づいて、割引販売価格を算出するようにしたので、くじ結果を反映した迅速な割引処理が可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(くじ実行システムの構成)
図1は、本発明に係るくじ実行システムの構成を示す図である。図1において、10は携帯端末、20は商品、30はICタグである。
【0010】
携帯端末10は、ICタグからのデータの読み込み、およびICタグへのデータの書込みを非接触で行う機能を有する携帯型の端末装置であり、市販の携帯電話機にICタグR/W(リーダライタ)11を搭載するとともに、端末IDを記録したICタグ12を内蔵することにより実現される。なお、ICタグR/W11は、ICタグ30のプロトコルに対応し、ICタグ30の読み取りに利用されるものである。ICタグ12とはプロトコルが異なるため、ICタグ12の読み取りを行うことはない。また、携帯端末10は、専用のソフトウェアを搭載することにより、くじ引きの実施に必要な処理を実行する機能を有している。商品20は、店舗内で販売されている商品であり、図1の例では、箱体であるが、ICタグ30が取り付け可能な形状であればどのような形状であっても良い。ICタグ30は、非接触方式のICタグである。非接触方式のICタグとは、プラスチック等の基材にコイルパターンを形成し、このコイルと容量素子とにより共振回路を形成して一定周波数の電波を受信し送信することができるように構成されたものであり、非接触データキャリアやRF−IDとも呼ばれる。なお、ICタグ30の商品20への取り付け手法は、貼着等様々な手法により行うことができる。
【0011】
上述のように、携帯端末10は、専用のソフトウェアを搭載することにより、くじ引きに必要な機能を備えることになる。このようなソフトウェアを携帯端末10にインストールすると、携帯端末10内の記憶領域内に、くじ引きの実施に必要なデータが記録される。ここで、携帯端末10内に記録されたデータの一例を図2に示す。くじ引きの実施に必要なデータとしては、図2(a)に示すようなくじキャンペーンごとの実行権情報、図2(b)に示すようなキャンペーン詳細情報が記録される。
【0012】
キャンペーンごとの実行権情報は、キャンペーンIDと各キャンペーンの実行可能回数の組み合わせとして記録される。例えば、図2(a)の例では、キャンペーンID“C001”のキャンペーンは、3回実行可能であることを示している。この実行可能回数は、そのキャンペーンについてのくじが実行される度に1ずつ減らされ、“0”になると実行ができなくなる。すなわち、実行可能回数が1以上のキャンペーンについては実行権があり、実行可能回数が0のキャンペーンについては実行権がないことになる。キャンペーン詳細情報は、キャンペーンID別に記録されている。図2(b)は、キャンペーンID“C001”のキャンペーンについてのものを示している。図2(b)の例では、キャンペーンC001は、商品種別ID“M001”〜“M003”の3商品が対象であることを示している。また、各商品について、当選確率および割引額が記録されており、商品種別ID“M001”の商品は、当選確率が“30%”であり、当選した場合の割引額が“10円”であることを示している。
【0013】
一方、各商品20に取り付けられたICタグ30には、その商品20の商品種別IDが記録されているとともに、携帯端末10から書込み可能な記録領域が設けられている。
【0014】
(くじ実行システムの処理動作)
続いて、図1に示した係るくじ実行システムの処理動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。くじ引きに必要なソフトウェアが携帯端末10にインストールされた状態で、利用者が店舗内において、携帯端末10を商品20に添付されたICタグ30に近づけると、携帯端末10は、ICタグ30に記録された商品IDを読み取る(S1)。
【0015】
次に、携帯端末10は、読み取った商品IDを用いて、自身に実行権が存在するかどうかの判断を行う(S2)。具体的には、まず、読み取った商品IDで、自身の記憶領域内に記録された実行権情報を検索し、読み取った商品IDに対応するキャンペーンが存在するかどうかを確認する。対応するキャンペーンが存在しない場合は、実行権が存在しないことになる。読み取った商品IDに対応するキャンペーンが存在した場合は、実行権情報において、そのキャンペーンIDの実行可能回数が1以上であるかどうかを判断する。実行可能回数が0である場合は、実行権が存在しないことになる。一方、実行可能回数が1以上である場合は、実行権が存在することになる。
【0016】
例えば、携帯端末10が読み取った商品IDが“M001”であった場合、図2(a)に示すように、キャンペーン“C001”の対象商品であり、実行権情報において、キャンペーンC001の実行可能回数は3回であるので、携帯端末10は、実行権が存在すると判断する。
【0017】
S2において、実行権が存在しないと判断した場合は、携帯端末10は実行権が存在しない旨を画面に表示する。この場合、くじ引きを実行するには、他の商品に添付されたICタグ30から商品IDを読み取る必要がある(S1)。
【0018】
一方、S2において、実行権が存在すると判断した場合は、携帯端末10はくじ条件の設定を行う(S3)。具体的には、読み取った商品IDに対応する当選確率および割引額をキャンペーン詳細情報から抽出し、くじ条件として設定する。
【0019】
次に、携帯端末10は、設定されたくじ条件に従って、くじの実行を行う(S4)。具体的には、くじ条件として設定された当選確率に相当する数を当選ナンバーと設定し、乱数を発生させ、得られた数字が、当選ナンバーとして設定された数であった場合に“当たり”とし、その他を“外れ”とする。商品M001の場合、図2(b)に示すように、当選確率は“30%”であるので、これがくじ条件として設定される。したがって、0〜9の値を均等な確率で発生させる乱数を用いる場合、このうちの3つを当選ナンバーと設定しておけば、30%の確率で当たりが出ることになる。くじを実行した際には、対応するキャンペーンに対応する実行可能回数を“1”だけ減じる処理を行う。
【0020】
携帯端末10は、くじ実行の結果を画面に表示する(S5)。続いて、携帯端末10は、くじ実行の結果をICタグ30に記録する処理を行う(S6)。具体的には、携帯端末10に搭載された専用プログラムが自身の端末IDを読み出し、この端末IDとくじ結果を対応づけたデータを作成してICタグ30に送信し、ICタグ30は、このデータを自身の記憶領域に記録することになる。ここで、ICタグ30内に記録された情報の一例を図4に示す。図4に示すように、ICタグ30には、商品IDが記録されている。この商品IDは当初より記録されている。そして、くじの結果が端末IDと対応付けて記録される。図4の例では、7回くじが実行されたことを示している。くじ結果は、外れの場合は、そのまま“外れ”と記録され、当たりの場合は、割引額が記録される。例えば、端末ID“T007”で特定される携帯端末10が、商品M001についてくじを実行し、当たった場合、くじ条件として設定された割引額は、図2(b)に示したように10円であるため、携帯端末10は、ICタグ30のくじ結果に“10円”と記録する。図4の例では、端末ID“T003” “T006”も当たっているが、これらの携帯端末10の所有者は、くじには当たったが、この商品を買わなかったことを意味している。
【0021】
(割引処理システムの構成)
次に、代金支払時における割引処理について説明する。図5は、代金支払時におけるレジスタと携帯端末の関係を示す図である。図5において、レジスタ40は、店舗内で商品代金の精算を行うためのレジスタであり、汎用のレジスタ機能に加え、くじ結果に基づいて、割り引いた商品代金を算出する機能を有している。ICタグリーダ50は、携帯端末10に内蔵されたICタグ12に記録された内容を読み取る機能を有している。ICタグリーダ60は、商品20に添付されたICタグ30に記録された内容を読み取る機能を有している。ICタグリーダ50とICタグ12間の通信に用いられるプロトコルと、ICタグリーダ60とICタグ30間の通信に用いられるプロトコルは、別のものを採用しており、互いに混信することがないように設計されている。バーコードリーダ70は、商品20の表面に印刷されたバーコードに記録された内容を読み取る機能を有している。
【0022】
(割引処理システムの処理動作)
続いて、図5に示したシステムの処理動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。利用者が、くじの実施後、商品の代金を支払う場合には、まず、携帯端末10をICタグリーダ50にかざす。すると、ICタグリーダ50は、携帯端末10内のICタグ12に記録された端末IDを読み取る(S11)。次に、商品20をICタグリーダ60にかざす。すると、ICタグリーダ60は、商品20に添付されたICタグ30に記録されたくじ履歴を読み取る(S12)。さらに、商品20の表面に印刷されたバーコードに、バーコードリーダ70の読み取り部を当てる。これは、従来のレジにおける店員の作業と同一である。これにより、バーコードリーダ70は、商品20表面のバーコードに記録された商品IDを読み取る(S13)。なお、S11〜S13の処理は、順不同であり、どのような順序で行っても良い。
【0023】
端末ID、くじ履歴、商品IDの読み取りが行われたら、次に、レジスタ40が、くじ履歴の最後の記録を抽出し、最後に記録されている端末IDと、携帯端末10から読み取った端末IDとを比較する(S14)。比較の結果、一致しない場合は、割引処理を行わず、正規の販売価格で精算を行うことになる。一方、S14における比較の結果、一致した場合は、割引処理を実行する(S15)。具体的には、読み取った商品IDの正規販売価格をレジスタ内部から取得し、くじ履歴の最後の記録の割引額を、取得した正規販売価格から減算することにより、割引販売価格を算出する。そして、その商品は、割引販売価格で販売されることになる。
【0024】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、くじ結果として、くじを実行した端末IDと、割引額の組み合わせをICタグ30に記録するようにしたが、割引額に代えて、割引率を記録しても良い。割引率を記録した場合は、割引処理の際、レジスタ40は割引率を利用して割引販売価格を算出する。
【0025】
また、上記実施形態では、割引処理の際、端末IDをICタグリーダ50で、くじ履歴をICタグリーダ60で、商品IDをバーコードリーダ70で読み取るようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、端末IDについては、無線LAN、ZigBee、赤外線通信等の無線通信でレジスタ40に送信するようにしても良いし、端末IDを記録したバーコードを携帯端末10の画面に表示し、バーコードリーダで読み取るようにしても良い。商品IDについては、ICタグ30に記録された商品IDをICタグリーダ60で読み取るようにしても良い。
【0026】
また、上記実施形態におけるくじ実行システムでは、携帯端末10が有する機能のみにより、くじの実行を行うようにしたが、実行権情報やキャンペーン詳細情報の記憶領域、くじ実行機能を処理サーバに備えておき、携帯端末10と連携してくじの実行を行うようにしても良い。この場合、携帯端末10と処理サーバが無線を介してデータ通信が可能なように構成しておき、携帯端末10が読み取った商品IDを、処理サーバに送信する。そして、図2に示したS2〜S4に相当する実行権の判断、くじ条件の設定、くじの実行を処理サーバで行い、くじ結果を、携帯端末10に返信する。そして、携帯端末10は、くじ結果の表示(S5)およびくじ結果の記録を行う(S6)。
【0027】
また、くじ結果を利用して割引処理を行うだけでなく、くじ履歴全てをレジスタ40を介して取り込み、蓄積するようにしても良い。蓄積したくじ履歴を分析することにより、キャンペーンの利用状況の調査データとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るくじ実行システムの構成を示す図である。
【図2】携帯端末10内の記録データの一例を示す図である。
【図3】図1に示したシステムの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】ICタグ30の記録情報を示す図である。
【図5】本発明に係る割引処理システムの構成を示す図である。
【図6】図5に示したシステムの処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
10・・・携帯端末
11・・・ICタグR/W
12・・・ICタグ
20・・・商品
21・・・バーコード
30・・・ICタグ
40・・・レジスタ
50、60・・・ICタグリーダ
70・・・バーコードリーダ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に添付されたICタグの記録内容、および携帯端末を利用してくじを実行するシステムであって、
くじの実行権を示す実行権情報を記憶した記憶手段と、
商品に添付されたICタグから、当該商品の商品IDを読み取る商品ID読み取り手段と、
当該読み取った商品IDを用いて前記記憶手段を参照し、実行権の有無を判断する実行権判断手段と、
実行権が存在する場合に、くじの実行を行うくじ実行手段と、
前記くじの実行結果を表示する表示手段と、
前記くじの実行結果を、前記商品に添付されたICタグに記録するくじ結果記録手段と、
を有することを特徴とするくじ実行システム。
【請求項2】
前記記憶手段、商品ID読み取り手段、実行権判断手段、くじ実行手段、表示手段は、携帯端末が備えていることを特徴とする請求項1に記載のくじ実行システム。
【請求項3】
前記商品ID読み取り手段、表示手段は、携帯端末が備えるとともに、前記記憶手段、実行権判断手段、くじ実行手段は、前記携帯端末と通信が可能な処理サーバが備えていることを特徴とする請求項1に記載のくじ実行システム。
【請求項4】
商品に添付のICタグに記録されたくじの実行結果に基づいて、商品の割引を行うシステムであって、
前記携帯端末の端末IDを読み取る端末ID読み取り手段と、
商品添付のICタグからくじ履歴を読み取るくじ履歴読み取り手段と、
商品IDを読み取る商品ID読み取り手段と、
前記読み取ったくじ履歴の最後の記録に含まれる端末IDと、前記端末ID読み取り手段が読み取った端末IDとの比較を行う比較手段と、
前記くじ履歴の最後の記録に含まれる割引値に基づいて、割引販売価格を算出する割引販売価格算出手段と、
を有することを特徴とする割引処理システム。
【請求項5】
商品に添付されたICタグに記録された内容を利用して、携帯端末にくじを実行させるプログラムであって、
前記携帯端末を、くじの実行権を示す実行権情報を記憶させる手段、商品に添付されたICタグから、当該商品の商品IDを読み取る商品ID読み取り手段、当該読み取った商品IDを用いて前記記憶手段を参照し、実行権の有無を判断する実行権判断手段、実行権が存在する場合に、くじの実行を行うくじ実行手段、前記くじの実行結果を表示する表示手段、前記くじの実行結果を、前記商品に添付されたICタグに記録するくじ結果記録手段、として機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−140871(P2007−140871A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333247(P2005−333247)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】