ころ軸受
【課題】外方部材の内径の保持器の案内面に潤滑油が十分に流れるようにして、金属摩耗粉等の塵埃のかみ込みや滞留によるころの損傷を防止することにより、ころ軸受の長寿命化を図る。
【解決手段】内周面に円筒形の外輪軌道２を有する外方部材３と、外周面に円筒形の内輪軌道４を有する内方部材５と、これら外輪軌道２と内輪軌道４との間に転動自在に設けた複数のころ６と、このころ６を周方向に所定間隔で保持する保持器７とからなり、保持器７が、ころ６を収容するポケット８を周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット８間に柱部９を備えるころ軸受１において、前記ポケット８の周方向の外径側寸法Ａを、内径側寸法Ｂよりも広くした。
【解決手段】内周面に円筒形の外輪軌道２を有する外方部材３と、外周面に円筒形の内輪軌道４を有する内方部材５と、これら外輪軌道２と内輪軌道４との間に転動自在に設けた複数のころ６と、このころ６を周方向に所定間隔で保持する保持器７とからなり、保持器７が、ころ６を収容するポケット８を周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット８間に柱部９を備えるころ軸受１において、前記ポケット８の周方向の外径側寸法Ａを、内径側寸法Ｂよりも広くした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、遊星歯車減速装置に用いて好適なころ軸受に関する。
【背景技術】
【０００２】
ころ軸受２１は、図４〜図６に示すように、内周面に円筒形の外輪軌道２２を有する外方部材２３と、外周面に円筒形の内輪軌道２４を有する内方部材２５と、これら外輪軌道２２と内輪軌道２４との間に転動自在に設けた複数のころ２６とからなる。
【０００３】
ころ２６は、全体が円筒状に形成された保持器２７に転動自在に保持されている。保持器２７は、周方向に所定間隔でころ２６を収容するポケット２８を有し、周方向に隣り合う各ポケット２８間に柱部２９と、柱部２９の軸方向の両側に円環部３０とを備えている。
【０００４】
保持器２７の柱部２９には、内径側と外径側とに、ころ２６の抜け落ちを防止する内側突起部３１と外側突起部３２を設けている。
【０００５】
例えば、柱部２９の軸方向中間部と軸方向両端の３か所には、径方向内外に延びる油道３３Ａ、３３Ｂが、内側突起部３１と外側突起部３２が形成された部分を除いて設けられる。そして、保持器２７の径方向内側から外側に遠心力によって潤滑油を前記各油道３３Ａ、３３Ｂを介して流通させることにより、潤滑油の流れやころ軸受２１内における潤滑油の油量を確保している。
【０００６】
このように構成されるころ軸受２１は、例えば、遊星歯車減速装置の各減速歯車機構における遊星歯車（外方部材２３）を支持ピン（内方部材２５）によって軸支する場合に使用される。
【０００７】
このような場合、外方部材２３と保持器２７との間に形成される隙間が外側油路３４を形成し、内方部材２５と保持器２７との間に形成される隙間が内側油路３５を形成し、遊星歯車減速装置の外形を構成するハウジング内の潤滑油が、外側油路３４と内側油路３５を通ってころ軸受２１内に流入する。そして、流入した潤滑油は、遊星歯車が回転するときに生じる遠心力によって、各油道３３Ａ、３３Ｂを介して保持器２７の径方向内側から外側に向けて流れてハウジング内に放出される。これにより、ころ軸受２１の潤滑性が高められている。
【０００８】
ところで、上記のような遊星歯車減速装置に、ころ軸受２１を使用した場合、運転中に歯車の噛合い面等から摩耗粉やシール部材のシール片等の塵埃が発生し、この塵埃が、潤滑油の流れに乗ってころ軸受２１の各ポケット２８内に浸入する。
【０００９】
そして、外方部材２３の内径の保持器２７の案内面に、金属摩耗粉を含む塵埃が滞留して、潤滑油の流通が悪くなり、滞留した塵埃、とりわけ、鉄粉等の金属摩耗粉によってころ２６が早期に摩耗するという問題があった。
【００１０】
特に近年、歯車減速装置メーカではコスト削減の流れから、歯車の仕上げ加工の省略等で表面粗さが大きくなっており、歯車のかみ合いにより粗さの突起が脱落するなどして、多量の摩耗粉が発生しているケースも多々見受けられる。したがって、金属摩耗粉によるころの摩耗を防止することが重要な課題になっている。
【００１１】
このような摩耗粉対策として、特許文献１には、保持器２７の柱部２９の中央部を内径側に屈曲させ、この屈曲部分に外径側に向かって潤滑油の流れを形成する羽根を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１２】
【特許文献１】特開平８−１７７８６９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
しかしながら、保持器２７の柱部２９の外径側に羽根を設けても、外方部材２３の内径の保持器２７の案内面に、潤滑油が十分に流通せず、滞留した塵埃、とりわけ、鉄粉等の金属摩耗粉によるころ２６の摩耗を十分に防止することが困難であった。
【００１４】
そこで、この発明は、外方部材の内径の保持器案内面に潤滑油が十分に流れるようにして、金属摩耗粉等の塵埃のかみ込みや滞留によるころの損傷を防止することにより、ころ軸受の長寿命化を図ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
前記の課題を解決するために、この発明は、内周面に円筒形の外輪軌道を有する外方部材と、外周面に円筒形の内輪軌道を有する内方部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数のころと、このころを周方向に所定間隔で保持する保持器とからなり、保持器が、ころを収容するポケットを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット間に柱部と、この柱部の軸方向の両側に円環部を備えるころ軸受において、前記ポケットの周方向の外径側寸法を、内径側寸法よりも広くしたものである。
【００１６】
即ち、この発明では、ポケットの周方向の外径側寸法をＡ、内径側寸法をＢとした時、Ａ＞Ｂの関係が常に成立するようにした。
【００１７】
上記保持器の内径側に位置する内方部材に潤滑油を供給する油穴を形成することにより、保持器の内径側から外径側に向かう潤滑油の流れを良好にすることができる。
【００１８】
前記保持器の材料は、樹脂材料又は鉄製材料によって形成される。
【００１９】
前記樹脂材料としては、ポリアミド６６、ポリアミド４６、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等を使用することができ、グラスファイバーにより繊維強化してもよい。
【００２０】
この発明に係るころ軸受は、遊星歯車減速装置に使用することができ、その場合、外方部材を遊星歯車、内方部材を支持ピンとして使用される。
【発明の効果】
【００２１】
この発明のころ軸受は、保持器のポケットの周方向の外径側寸法を、内径側寸法よりも広くしているので、保持器の内径側から保持器の案内面である内方部材の内径に向かう潤滑油の流れがスムーズになり、潤滑油中に含まれる金属粉等の塵埃が保持器の案内面に滞留しない。
【００２２】
したがって、この発明の転がり軸受は、ころに圧痕や油膜切れが生じ難く、金属摩耗粉が発生しやすい遊星歯車減速装置に使用しても、長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】この発明に係るころ軸受の一実施形態を部分的に示す平面図である。
【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線の断面図である。
【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線の断面図である。
【図４】従来のころ軸受を部分的に示す平面図である。
【図５】図４のＶ−Ｖ線の断面図である。
【図６】図５のＶＩ−ＶＩ線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
この発明の実施の形態について図１〜図３に基づいて説明する。
ころ軸受１は、内周面に円筒形の外輪軌道２を有する外方部材３と、外周面に円筒形の内輪軌道４を有する内方部材５と、これら外輪軌道２と内輪軌道４との間に転動自在に設けた複数のころ６とからなる。
【００２５】
ころ６は、金属材料等から円筒状体として形成され、針状ころ、棒状ころ等として構成され、全体が円筒状に形成された保持器７に規則正しく配列して保持されている。
【００２６】
保持器７は、周方向に所定間隔でころ６を規則正しく収容する矩形状のポケット８を有し、樹脂材料を射出成形等の手段を用いることにより形成される。保持器７は、ポケット８が内径側から外径側に貫通するように形成され、周方向に隣り合う各ポケット８間に柱部９と、柱部９の軸方向の両側に円環部１０を備える。
【００２７】
前記ポケット８の周方向の外径側寸法Ａと、内径側寸法Ｂとを対比すると、図１及び図３に示すように、Ａ＞Ｂの関係が常に成立するように、即ち、外径側寸法Ａの方が内径側寸法Ｂよりも広くしている。
【００２８】
上記保持器７は、内方部材５に嵌められたワッシャ１３によって軸方向の位置が規制されている。
【００２９】
保持器７を形成する樹脂材料としては、ポリアミド６６、ポリアミド４６、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等を使用することができ、グラスファイバーにより繊維強化してもよい。
【００３０】
保持器７の柱部９には、軸方向両側の外径側に、ころ６の抜け落ちを防止する外径側突起部１１を設けている。
【００３１】
上記保持器７の内径側に位置する内方部材５である支持軸には、潤滑油を供給する油穴１２を形成している。油穴１２から図２に白抜き矢印Ｘで示すように、保持器７の軸方向の中央に潤滑油が供給され、保持器７のポケット８の周方向の外径側寸法Ａが内径側寸法Ｂよりも広くしているので、供給された潤滑油は、保持器７の径方向内側から外側に遠心力によって、さらに撹拌される。つまりは、外側油路１４にも十分な油量を供給し、ころ軸受１の潤滑性を高めている。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
この発明のころ軸受１は、例えば、遊星歯車減速装置の各減速歯車機構における遊星歯車（外方部材３）を支持ピン（内方部材５）によって軸支する場合に使用される。
【００３３】
このような場合、外方部材３と保持器７との間に形成される隙間が外側油路１４を形成し、内方部材５と保持器７との間に形成される隙間が内側油路１５を形成し、遊星歯車減速装置の外形を構成するハウジング内の潤滑油が、外側油路１４と内側油路１５を通ってころ軸受１内に流入する。そして、流入した潤滑油は、遊星歯車が回転するときに生じる遠心力によって、各油道１３Ａ、１３Ｂを介して保持器７の径方向内側から外側に向けて流れてハウジング内に放出される。これにより、ころ軸受１の潤滑性が高められている。
【符号の説明】
【００３４】
１ ころ軸受
２ 外輪軌道
３ 外方部材
４ 内輪軌道
５ 内方部材
６ ころ
７ 保持器
８ ポケット
９ 柱部
１０ 円環部
１１ 外側突起部
１２ 油穴
１３ ワッシャ
１４ 外側油路
１５ 内側油路
【技術分野】
【０００１】
この発明は、遊星歯車減速装置に用いて好適なころ軸受に関する。
【背景技術】
【０００２】
ころ軸受２１は、図４〜図６に示すように、内周面に円筒形の外輪軌道２２を有する外方部材２３と、外周面に円筒形の内輪軌道２４を有する内方部材２５と、これら外輪軌道２２と内輪軌道２４との間に転動自在に設けた複数のころ２６とからなる。
【０００３】
ころ２６は、全体が円筒状に形成された保持器２７に転動自在に保持されている。保持器２７は、周方向に所定間隔でころ２６を収容するポケット２８を有し、周方向に隣り合う各ポケット２８間に柱部２９と、柱部２９の軸方向の両側に円環部３０とを備えている。
【０００４】
保持器２７の柱部２９には、内径側と外径側とに、ころ２６の抜け落ちを防止する内側突起部３１と外側突起部３２を設けている。
【０００５】
例えば、柱部２９の軸方向中間部と軸方向両端の３か所には、径方向内外に延びる油道３３Ａ、３３Ｂが、内側突起部３１と外側突起部３２が形成された部分を除いて設けられる。そして、保持器２７の径方向内側から外側に遠心力によって潤滑油を前記各油道３３Ａ、３３Ｂを介して流通させることにより、潤滑油の流れやころ軸受２１内における潤滑油の油量を確保している。
【０００６】
このように構成されるころ軸受２１は、例えば、遊星歯車減速装置の各減速歯車機構における遊星歯車（外方部材２３）を支持ピン（内方部材２５）によって軸支する場合に使用される。
【０００７】
このような場合、外方部材２３と保持器２７との間に形成される隙間が外側油路３４を形成し、内方部材２５と保持器２７との間に形成される隙間が内側油路３５を形成し、遊星歯車減速装置の外形を構成するハウジング内の潤滑油が、外側油路３４と内側油路３５を通ってころ軸受２１内に流入する。そして、流入した潤滑油は、遊星歯車が回転するときに生じる遠心力によって、各油道３３Ａ、３３Ｂを介して保持器２７の径方向内側から外側に向けて流れてハウジング内に放出される。これにより、ころ軸受２１の潤滑性が高められている。
【０００８】
ところで、上記のような遊星歯車減速装置に、ころ軸受２１を使用した場合、運転中に歯車の噛合い面等から摩耗粉やシール部材のシール片等の塵埃が発生し、この塵埃が、潤滑油の流れに乗ってころ軸受２１の各ポケット２８内に浸入する。
【０００９】
そして、外方部材２３の内径の保持器２７の案内面に、金属摩耗粉を含む塵埃が滞留して、潤滑油の流通が悪くなり、滞留した塵埃、とりわけ、鉄粉等の金属摩耗粉によってころ２６が早期に摩耗するという問題があった。
【００１０】
特に近年、歯車減速装置メーカではコスト削減の流れから、歯車の仕上げ加工の省略等で表面粗さが大きくなっており、歯車のかみ合いにより粗さの突起が脱落するなどして、多量の摩耗粉が発生しているケースも多々見受けられる。したがって、金属摩耗粉によるころの摩耗を防止することが重要な課題になっている。
【００１１】
このような摩耗粉対策として、特許文献１には、保持器２７の柱部２９の中央部を内径側に屈曲させ、この屈曲部分に外径側に向かって潤滑油の流れを形成する羽根を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１２】
【特許文献１】特開平８−１７７８６９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
しかしながら、保持器２７の柱部２９の外径側に羽根を設けても、外方部材２３の内径の保持器２７の案内面に、潤滑油が十分に流通せず、滞留した塵埃、とりわけ、鉄粉等の金属摩耗粉によるころ２６の摩耗を十分に防止することが困難であった。
【００１４】
そこで、この発明は、外方部材の内径の保持器案内面に潤滑油が十分に流れるようにして、金属摩耗粉等の塵埃のかみ込みや滞留によるころの損傷を防止することにより、ころ軸受の長寿命化を図ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
前記の課題を解決するために、この発明は、内周面に円筒形の外輪軌道を有する外方部材と、外周面に円筒形の内輪軌道を有する内方部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数のころと、このころを周方向に所定間隔で保持する保持器とからなり、保持器が、ころを収容するポケットを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット間に柱部と、この柱部の軸方向の両側に円環部を備えるころ軸受において、前記ポケットの周方向の外径側寸法を、内径側寸法よりも広くしたものである。
【００１６】
即ち、この発明では、ポケットの周方向の外径側寸法をＡ、内径側寸法をＢとした時、Ａ＞Ｂの関係が常に成立するようにした。
【００１７】
上記保持器の内径側に位置する内方部材に潤滑油を供給する油穴を形成することにより、保持器の内径側から外径側に向かう潤滑油の流れを良好にすることができる。
【００１８】
前記保持器の材料は、樹脂材料又は鉄製材料によって形成される。
【００１９】
前記樹脂材料としては、ポリアミド６６、ポリアミド４６、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等を使用することができ、グラスファイバーにより繊維強化してもよい。
【００２０】
この発明に係るころ軸受は、遊星歯車減速装置に使用することができ、その場合、外方部材を遊星歯車、内方部材を支持ピンとして使用される。
【発明の効果】
【００２１】
この発明のころ軸受は、保持器のポケットの周方向の外径側寸法を、内径側寸法よりも広くしているので、保持器の内径側から保持器の案内面である内方部材の内径に向かう潤滑油の流れがスムーズになり、潤滑油中に含まれる金属粉等の塵埃が保持器の案内面に滞留しない。
【００２２】
したがって、この発明の転がり軸受は、ころに圧痕や油膜切れが生じ難く、金属摩耗粉が発生しやすい遊星歯車減速装置に使用しても、長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】この発明に係るころ軸受の一実施形態を部分的に示す平面図である。
【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線の断面図である。
【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線の断面図である。
【図４】従来のころ軸受を部分的に示す平面図である。
【図５】図４のＶ−Ｖ線の断面図である。
【図６】図５のＶＩ−ＶＩ線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
この発明の実施の形態について図１〜図３に基づいて説明する。
ころ軸受１は、内周面に円筒形の外輪軌道２を有する外方部材３と、外周面に円筒形の内輪軌道４を有する内方部材５と、これら外輪軌道２と内輪軌道４との間に転動自在に設けた複数のころ６とからなる。
【００２５】
ころ６は、金属材料等から円筒状体として形成され、針状ころ、棒状ころ等として構成され、全体が円筒状に形成された保持器７に規則正しく配列して保持されている。
【００２６】
保持器７は、周方向に所定間隔でころ６を規則正しく収容する矩形状のポケット８を有し、樹脂材料を射出成形等の手段を用いることにより形成される。保持器７は、ポケット８が内径側から外径側に貫通するように形成され、周方向に隣り合う各ポケット８間に柱部９と、柱部９の軸方向の両側に円環部１０を備える。
【００２７】
前記ポケット８の周方向の外径側寸法Ａと、内径側寸法Ｂとを対比すると、図１及び図３に示すように、Ａ＞Ｂの関係が常に成立するように、即ち、外径側寸法Ａの方が内径側寸法Ｂよりも広くしている。
【００２８】
上記保持器７は、内方部材５に嵌められたワッシャ１３によって軸方向の位置が規制されている。
【００２９】
保持器７を形成する樹脂材料としては、ポリアミド６６、ポリアミド４６、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等を使用することができ、グラスファイバーにより繊維強化してもよい。
【００３０】
保持器７の柱部９には、軸方向両側の外径側に、ころ６の抜け落ちを防止する外径側突起部１１を設けている。
【００３１】
上記保持器７の内径側に位置する内方部材５である支持軸には、潤滑油を供給する油穴１２を形成している。油穴１２から図２に白抜き矢印Ｘで示すように、保持器７の軸方向の中央に潤滑油が供給され、保持器７のポケット８の周方向の外径側寸法Ａが内径側寸法Ｂよりも広くしているので、供給された潤滑油は、保持器７の径方向内側から外側に遠心力によって、さらに撹拌される。つまりは、外側油路１４にも十分な油量を供給し、ころ軸受１の潤滑性を高めている。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
この発明のころ軸受１は、例えば、遊星歯車減速装置の各減速歯車機構における遊星歯車（外方部材３）を支持ピン（内方部材５）によって軸支する場合に使用される。
【００３３】
このような場合、外方部材３と保持器７との間に形成される隙間が外側油路１４を形成し、内方部材５と保持器７との間に形成される隙間が内側油路１５を形成し、遊星歯車減速装置の外形を構成するハウジング内の潤滑油が、外側油路１４と内側油路１５を通ってころ軸受１内に流入する。そして、流入した潤滑油は、遊星歯車が回転するときに生じる遠心力によって、各油道１３Ａ、１３Ｂを介して保持器７の径方向内側から外側に向けて流れてハウジング内に放出される。これにより、ころ軸受１の潤滑性が高められている。
【符号の説明】
【００３４】
１ ころ軸受
２ 外輪軌道
３ 外方部材
４ 内輪軌道
５ 内方部材
６ ころ
７ 保持器
８ ポケット
９ 柱部
１０ 円環部
１１ 外側突起部
１２ 油穴
１３ ワッシャ
１４ 外側油路
１５ 内側油路
【特許請求の範囲】
【請求項１】
内周面に円筒形の外輪軌道を有する外方部材と、外周面に円筒形の内輪軌道を有する内方部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数のころと、このころを周方向に所定間隔で保持する保持器とからなり、保持器が、ころを収容するポケットを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット間に柱部と、この柱部の軸方向の両側に円環部を備えるころ軸受において、前記ポケットの周方向の外径側寸法を、内径側寸法よりも広くしたことを特徴とするころ軸受。
【請求項２】
前記ポケットの周方向の外径側寸法をＡ、内径側寸法をＢとした時、Ａ＞Ｂの関係が常に成立する請求項１記載のころ軸受。
【請求項３】
前記保持器の内径側に位置する内方部材に、保持器の軸方向の中央に、潤滑油を供給する油穴を形成した請求項１又は２記載のころ軸受。
【請求項４】
前記保持器の材料が樹脂材料である請求項１〜３のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項５】
前記保持器の材料が鉄製材料である請求項１〜３のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項６】
前記樹脂材料がポリアミド６６又はポリアミド４６である請求項４に記載のころ軸受。
【請求項７】
前記樹脂材料がポリエーテルエーテルケトン又はポリフェニレンサルファイドである請求項４に記載のころ軸受。
【請求項８】
前記樹脂材料を、グラスファイバーにより繊維強化している請求項６又は７に記載のころ軸受。
【請求項９】
前記請求項１〜８のいずれかに記載のころ軸受を使用した遊星歯車減速装置。
【請求項１０】
前記外方部材を遊星歯車、内方部材を支持ピンとした請求項９記載の遊星歯車減速装置。
【請求項１】
内周面に円筒形の外輪軌道を有する外方部材と、外周面に円筒形の内輪軌道を有する内方部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数のころと、このころを周方向に所定間隔で保持する保持器とからなり、保持器が、ころを収容するポケットを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット間に柱部と、この柱部の軸方向の両側に円環部を備えるころ軸受において、前記ポケットの周方向の外径側寸法を、内径側寸法よりも広くしたことを特徴とするころ軸受。
【請求項２】
前記ポケットの周方向の外径側寸法をＡ、内径側寸法をＢとした時、Ａ＞Ｂの関係が常に成立する請求項１記載のころ軸受。
【請求項３】
前記保持器の内径側に位置する内方部材に、保持器の軸方向の中央に、潤滑油を供給する油穴を形成した請求項１又は２記載のころ軸受。
【請求項４】
前記保持器の材料が樹脂材料である請求項１〜３のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項５】
前記保持器の材料が鉄製材料である請求項１〜３のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項６】
前記樹脂材料がポリアミド６６又はポリアミド４６である請求項４に記載のころ軸受。
【請求項７】
前記樹脂材料がポリエーテルエーテルケトン又はポリフェニレンサルファイドである請求項４に記載のころ軸受。
【請求項８】
前記樹脂材料を、グラスファイバーにより繊維強化している請求項６又は７に記載のころ軸受。
【請求項９】
前記請求項１〜８のいずれかに記載のころ軸受を使用した遊星歯車減速装置。
【請求項１０】
前記外方部材を遊星歯車、内方部材を支持ピンとした請求項９記載の遊星歯車減速装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１３−６８２８３（Ｐ２０１３−６８２８３Ａ）
【公開日】平成２５年４月１８日（２０１３．４．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２０７７４１（Ｐ２０１１−２０７７４１）
【出願日】平成２３年９月２２日（２０１１．９．２２）
【出願人】（０００１０２６９２）ＮＴＮ株式会社 (9,006)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年４月１８日（２０１３．４．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月２２日（２０１１．９．２２）
【出願人】（０００１０２６９２）ＮＴＮ株式会社 (9,006)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]