説明

ごみ処理施設における救助装置

【課題】 ごみ投入口から誤ってごみピット内に転落した作業者を迅速に、かつ安全に救出できるごみ処理施設における救助装置を提供する。
【解決手段】 ごみピット1内とごみピット1外の救出領域Sとの間で移動可能に配設された救助ケージ4を支持する救助ケージ支持手段5と、前記救助ケージ4を前記ごみピット1内とごみピット1外の救出領域Sとの間で往復可能に横移動させる救助ケージ横移動手段6と、前記救助ケージ4を上下方向へ移動させる救助ケージ昇降駆動手段7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ごみ処理施設におけるごみピット内に転落した作業員を救出する救助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ごみ処理施設では、図14に示すように、ごみ収集車停止用のプラットホーム11の先端に位置して、ごみピット1の側壁1aに複数のごみ投入口12を並設して設けてあり、ごみ収集車が収集したごみを前記ごみ投入口12からごみピット1内に投入し、ごみピット1内に堆積したごみをクレーン14によりごみ焼却設備2におけるホッパー21に搬送し、ホッパー21からのごみを焼却炉(図示せず)で焼却処理するようになっている。
【0003】
一方、前記ごみピットの側壁1aには、前記クレーン14を操作する操作室15が設けられている。この操作室15の窓は、ごみピット1内で舞い上がる塵埃に晒されるため、ごみピット1の側壁1a内面に敷設された走行レールに沿って移動する自動窓清掃装置により日常的に清掃されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記ごみ投入口12には、投入扉13が装備されているものの、ごみ投入作業時、あるいはプラットホーム11の清掃時に、作業者が誤ってごみ投入口12からごみピット1内に転落する事故がないとは言えない。
【0005】
しかしながら、既存のごみ処理施設では、そのような転落者の救助のための手段が予め設けられてはおらず、改善の余地があった。
【0006】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ごみ投入口から誤ってごみピット内に転落した作業者を迅速かつ安全に救出できるごみ処理施設における救助装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
[1]ごみ収集車が停止するプラットホ−ムの先端に位置して、ごみピットの側壁に複数のごみ投入口が並設されているごみ処理施設における救助装置であって、
前記ごみピット内とごみピット外の救出領域との間で移動可能に配設された救助ケージを支持する救助ケージ支持手段と、
前記救助ケージを前記ごみピット内とごみピット外の救出領域との間で横移動させる救助ケージ横移動手段と、
前記救助ケージを昇降移動させる救助ケージ昇降駆動手段と、
を備えていることを特徴とするごみ処理施設における救助装置。
【0008】
[2]救助ケージ支持手段および救助ケージ横移動手段は、前記ごみピット内とごみピット外の救出領域との間にわたる壁面近傍に敷設された走行レールと、前記走行レールに懸架された状態で自走移動可能な走行装置と、前記走行装置から前記救助ケージを吊持する索条体と、を備えたことを特徴とする前項1に記載のごみ処理施設における救助装置。
【0009】
[3]前記救助ケージ昇降駆動手段は、前記救助ケージに装備され、前記索条体を巻き取りおよび巻き戻し可能な巻取装置を備えた前項2に記載のごみ処理施設における救助装置。
【0010】
[4]前記走行レールは、前記ごみピット内を臨む操作室の窓を清掃する清掃装置を横移動させる清掃装置用走行レールとして共用される前項2または3に記載のごみ処理施設における救助装置。
【0011】
[5]前記救助ケージには、前記ごみピット内のごみ堆積面に着地した際に前記救助ケージを水平状態に保持する水平保持手段が装備されている前項1〜4のいずれかに記載のごみ処理施設における救助装置。
【0012】
[6]前記水平保持手段は、個別に長さ調節可能な複数の脚部を備えた前項5に記載のごみ処理施設における救助装置。
【発明の効果】
【0013】
上記発明[1]によれば、万一ごみピット内に作業者が誤って転落した場合であっても、救助ケージを転落者の上方に横移動させ、そこから下降移動させてごみピット内のごみの堆積表面上に着地させることにより、救助ケージを転落者の至近位置まで迅速に到着させることができ、この救助ケージに転落者を収容してそのままごみピット内から所定の救出領域に帰還移動させることで、迅速かつ安全に転落者を救出することができる。
【0014】
さらに、救助ケージが横移動可能であるから、複数の並設されているごみ投入口のいずれから転落した場合にも迅速な対応が可能である。
【0015】
また、平常時には、前記救助ケージをごみピット外の所定の救出領域等に格納待機させておけるので、ごみピット内のクレーンの稼働に支障を来すおそれがない。
【0016】
上記発明[2]によれば、救助ケージを吊持する走行装置を壁面に敷設した走行レールに懸架してあるので、ごみピットの内壁が曲面であっても、救助ケージをごみピットの内壁に沿って横移動させることができる。
【0017】
上記発明[3]によれば、救助ケージを昇降移動させる巻き取り装置を救助ケージに装備したので、救助ケージに搭乗して救助現場近傍に居る救助者が現場の状況に応じて救助ケージの昇降動作を制御することができる。
【0018】
上記発明[4]によれば、操作室の窓の清掃作業を日常的に行うために手入れが施される清掃装置用の走行レールを、前記救助ケージを吊持している走行装置の走行レールとして共用するため、救助装置のためだけのメンテナンス作業を省略しながら、走行装置の移動に関して高い信頼性を確保することができる。
【0019】
上記発明[5]によれば、ごみ堆積面の凹凸や傾斜によらず救助ケージを水平に保って着地させることが可能であり、救助活動を円滑に行うことができる。
【0020】
上記発明[6]によれば、水平保持手段が長さ調節可能な複数の脚部で構成されているから、構造が比較的簡単で作り易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施形態にかかるごみ処理施設における救助装置が適用されたごみ処理施設を示す平面図、図2は、同じくごみ処理施設を示す側面断面図、図3は、図2のA−A矢視図である。
【0023】
図1〜図3において、このごみ処理施設は、ごみピット1と、ごみ焼却設備2とを備えており、前記ごみピット1には、前記ごみ投入口12から該ごみピット1内に転落した人を救出するための救助装置3が装備されている。
【0024】
前記ごみピット1は、例えば、平面形状が長方形でコンクリート製の前後方向の側壁1a,1bおよび左右方向の側壁1c,1dで囲まれた空間から構成されている。
【0025】
ごみピット1の前部の側壁1aには、ごみ収集車(図示せず)が停止するプラットホーム11の先端に位置して、該ごみ収集車からのごみMが投入される複数のごみ投入口12が左右方向へ並設して設けられており、各ごみ投入口12は、投入扉13により開閉可能に構成されている。
【0026】
前記ごみピット1の上部には、ごみピット1内に収容されたごみMを焼却設備2側に移送する移送手段の一例として、ごみMを掴むチャック部14aを有する天井(走行)クレーン14が設置されている。
【0027】
前記ごみピット1における前部の側壁1aには、前記ごみ投入口12よりも上方に位置して、クレーン14を操作するための操作室15が設けられており、この操作室15の前側には、左右方向へ移動可能で、前記操作室15の窓(図示せず)を清掃するための自動窓清掃装置16が配備されている。この自動窓清掃装置16は、操作室15の上方に位置して、前記側壁1aの内面に左右方向へ延びる走行レール17に沿って走行するようになっている。
【0028】
なお、この自動窓清掃装置16は、前記操作室15の窓に対して、例えば洗浄水などを噴射することで清掃するようになっている。
【0029】
前記焼却設備2は、前記クレーン14で搬送されたごみMが投入されるホッパー21を有し、このホッパー21から供給されたごみMを図示しない焼却炉で焼却処理するようになっている。
【0030】
図4は、このごみ処理施設における救助装置の正面図、図5は、同じく救助装置の側面図、図6は、同じく救助装置における走行装置が走行レールに支持された状態を示す正面図、図7は、同じく救助装置における走行装置の側面断面図である。
【0031】
前記救助装置3は、救助ケージ4と、救助ケージ支持部5と、救助ケージ横移動部6と、救助ケージ昇降駆動部7とを備えている。
【0032】
前記救助ケージ4は、前記ごみピット1における側壁1aの内側近傍で上下および左右へ移動可能に配設されており、救助員や転落者などが余裕をもって搭乗できる大きさに形成されている。
【0033】
前記救助ケージ支持部5は、ごみピット1内とゴミピット外の救出領域Sとの間に配設されて、前記救助ケージ4を移動可能に支持するものであり、この例では、前記自動窓清掃装置16が移動する走行レール17を共用した構成となっている。
【0034】
この走行レール17には、救助ケージ4を吊持し、一部が走行レール17と共に前記ケージ支持部5を構成している自走式の走行装置8が図6および図7に示すように取り付けられている。
【0035】
この走行装置8の下端には、吊り下げ竿51が固定されており、この吊り下げ竿51の両端には、フック53,53を介して2本の索条体、例えばワイヤ52,52が着脱可能に取り付けられ、このワイヤ52,52の各下端に前記救助ケージ4が連結されている。
【0036】
前記走行レール17は、前記ごみピット1における前記側壁1aの内面に対して、図5および図7に示すように、長手方向で一定間隔毎に配設された複数のレール支柱18を介して固定されている。
【0037】
このレール支柱18は、例えば図7に示すように、前記側壁1aの内面に当て板180を介して固定ボルト181により固定されて突出する固定金物18aと、この固定金物18aに対して、例えば長孔182と締め付けボルト183などにより突出量が調節できるように重合された可動金物18bとからなり、前記走行レール17の側壁1aからの間隔を調整できるようになっている。これにより、前記側壁1aに内面が湾曲している場合にも、これに対応して走行レール17が敷設可能となる。
【0038】
前記救助ケージ横移動部6は、前記救助ケージ4を前記側壁1aの内面に沿って左右方向へ往復可能に移動させるものであり、前記走行装置8の一部ならびに前記走行レール17に沿って配設されたチェーン61などから構成されている。
【0039】
なお、前記側壁1aの内面近傍には、図4に示すように、前記走行レール17に沿ってハンガーレール62が配設されており、このハンガーレール62には、前記走行装置8に対する電力供給線や制御線などを含むケーブル線63などが支持されている。
【0040】
前記走行装置8は、図7に示すように、前記走行レール17上を走行するフランジ付き車輪81ならびに前記チェーン61に噛合する駆動スプロケット82などが収容されたフレーム83と、回転駆動装置としてフレーム83に取り付けられたモータ84とを備えている。
【0041】
前記車輪81は、車輪支承部材85を介して前記フレーム83の内側に固定されている。前記車輪支承部材85には、前記走行レール17の上部位置で両側面に転接する一対の水平ローラ86,86が回転自在に支持されており、また、フレーム83の下面に上向きに固定されたローラ軸支部材87には、前記走行レール17の下部位置で両側面に転接する一対の水平ローラ88,88が回転自在に支持されており、これら上下の水平ローラ86,88により、走行装置8が横ぶれなく安定走行できるようになっている。
【0042】
前記フレーム83内には、上下一対の軸支部材89,89が固定されており、これら軸支部材89,89に回転自在に支承された回転軸90に前記チェーン61に噛合する駆動スプロケット82が固定されている。
【0043】
前記モータ84には、減速機84Aが接続されており、その出力軸91には、原動スプロケット92が固定されている。この原動スプロケット92と前記回転軸90に固定された従動スプロケット93との間には、チェーン伝導機構を構成する無端体94が掛設されており、前記モータ84により前記チェーン61に噛合する駆動スプロケット82が回転して走行装置8が横方向へ移動する。勿論、前記モータ84は、正転/逆転可能であり、これにより、走行装置8が横方向へ往復移動可能に設定されている。
【0044】
このように、救助ケージ4や走行装置8の重量を支持する車輪81と、これらを横移動させるための駆動手段をなす前記チェーン61と駆動スプロケット82を使用する構成部分とが分けられているため、塵埃に晒されやすいごみピット1内の劣悪な環境下においても走行装置8のレール17上の横移動動作について高い信頼性を確保することができるようになっている。
【0045】
なお、走行装置8を横方向へ移動させる駆動手段は前記チェーン61と駆動スプロケット82を使用する構成に限らず、例えば帯状のラックとこのラックに噛合するピニオンを使用する構成、あるいはリニアモータを使用する構成などとしてもよい。
【0046】
ところで、前記自動窓清掃装置16用の走行レール17は、塵埃が舞い上がる劣悪な環境下にあることから、日常的にメンテナンスが施されており、これを前記走行装置8の走行に利用したことにより、走行装置8の移動の信頼性が常時確保される。つまり、走行装置8の移動のための駆動系である駆動スプロケット82と前記チェーン61との噛合状態などのメンテナンスも必要であるが、それよりも重量物である救助ケージ4を支持している走行レール17などのメンテナンスは一層重要視される。その自動窓清掃装置用として走行レール17が日常的にメンテナンスされていることは、前記救助ケージ4の急な出動時に対して安全性が保証されることになる。
【0047】
また、走行レール17が自動窓清掃装置16救助装置3との共用であるため、万一、自動窓清掃装置16が何らかのトラブルにより走行レール17上を自走できなくなって立ち往生してしまった場合であっても、救助装置3の走行装置8を向かわせ、所定の係合手段等を介して結合させることで、ごみピット1内に作業員が入ることなく、自動窓清掃装置16を帰還させることも可能である。この際、フック53とワイヤ52の係合を解くことで救助ケージ4を走行装置8から取り外すことで、走行装置8を身軽に走行させることができる。
【0048】
なお、この走行装置8の走行制御は、この例では、前記操作室15において行うが、別の位置あるいは救助ケージ4に搭乗した救助者が遠隔操作することも可能である。
【0049】
前記救助ケージ4には、例えば図4に示すように、左右両側に前記ワイヤ52,52に対する巻き取りおよび繰り出しが可能な巻き取り装置としての巻き取りドラム71,71や巻き取りガイド72,72などが装備されている。
【0050】
前記救助ケージ昇降駆動部7は、前記救助ケージ4を昇降駆動するものであり、前記巻き取りドラム71,71などにより構成されている。
【0051】
この救助ケージ4では、搭乗した救助員が操作して巻き取りドラム71,71からワイヤ52,52を繰り出すと、救助ケージ4が下降し、巻き取りドラム71,71にワイヤ52,52を巻き取ると、救助ケージ4が上昇するようになっている。勿論、巻き取りドラム71,71を救助ケージ4内に設けるものに限らず、走行装置8側でワイヤ52,52を巻き取り可能に構成することも可能である。
【0052】
前記救助ケージ4の下面には、複数の車輪41…が設けられている他に、ごみピット1内の堆積ごみMの堆積面の凹凸に関係なく水平状態を維持して着地できるようにする水平保持手段として、下部の4隅に長さが調整可能な脚部42が下向きにそれぞれ装備されている。
【0053】
図8は、この救助装置の救助ケージがごみの堆積面に着地した状態を示す正面図、図9は、同じく救助装置の救助ケージがごみの堆積面に着地した状態を示す側面図である。
【0054】
水平保持手段としての脚部42は、例えば固定筒421と、この固定筒421にスライド可能に嵌合する可動スティック422と、回転操作で可動スティック422のスライド位置をロックする締め付けリング423とを備えている。
【0055】
勿論、前記水平保持手段としては、上記のような脚部42に限定されるものではなく、例えばパンタグラフ形などのように折り込み可能なものや、ジャッキ形のものなどが採用可能である。
【0056】
さらに、救助ケージ4には、ごみMの表面の高い位置に着地した場合でも、低い位置の転落者を容易に救助ケージ4に収容することができるように、剛性の梯子43が出し入れ可能に格納されている。なお、救助ケージ4には、図8に示すように、救助者の安全確保のための柵44や、救助時に開放される扉45などが設けられている。
【0057】
つぎに、上記構成の救助装置3の動作について説明する。
【0058】
救助ケージ4は、平常時には、前記転落者救出領域Sに内に待機させてある。
【0059】
前記プラットホーム11に停止したごみ収集車のごみMを作業者が前記ごみ投入口12からごみピット1内に投入している時、あるいは前記プラットホーム11上の清掃作業を行っている時に、作業者が前記ごみ投入口12から誤ってごみピット1内に転落したとする。
【0060】
まず、前記クレーン14の稼働を直ちに停止した後、救助者は、前記救出領域Sに待機中の救助ケージ4に搭乗し、救助ケージ昇降駆動部7における巻き取りドラム71にワイヤ52を巻き込ませて、救助ケージ4を上昇させる。
【0061】
救助ケージ4が図3に示す救出領域Sの天井床の開口Saを通過すれば、前記走行装置8を駆動して、走行レール17に沿ってごみピット1内に向けて(図3の右方向)走行させる。
【0062】
具体的には、前記走行装置8におけるモータ84を駆動すれば、駆動スプロケット82がチェーン61に噛合して回転することにより、走行装置8が移動し、これに伴って救助ケージ4がごみピット1内に移動する。
【0063】
救助ケージ4がごみピット1内に移動し、転落者のほぼ上方位置まで至れば、救助者は、今度は、救助ケージ昇降駆動部7における巻き取りドラム71からワイヤ52を繰り出して、前記救助ケージ4を下降させる。
【0064】
前記救助ケージ4が下降してごみピット1内に堆積したごみMの堆積面上において、転落者の近くに着地すれば、救助者は、扉45を開放してごみM上に降りて転落者を救助ケージ4内に収容できる。救助ケージ4内に転落者を収容できることから、ここで応急処置を施すことも可能である。
【0065】
前記ごみピット1内に堆積したごみMの堆積面の凹凸が激しかったり、急な斜面が存在している状況であれば、前記救助ケージ4における複数の脚部42の長さを可変調節することにより、前記救助ケージ4を水平状態に保ったまま着地させることができる。これにより、着地した際の救助ケージ4が水平状態で安定的に保持させることができるので、前記凹凸に係わらず、救助作業を安全、かつ迅速に行うことができる。
【0066】
また、転落者が救助ケージ4内に自力で乗ったり、救助者が収容したりする時に、必要に応じて梯子43を下ろして救助作業を行うとよい。
【0067】
転落者を救助ケージ4に収容した後、前記巻き取りドラム71にワイヤ52を巻き取らせて、救助ケージ4を上昇させ、さらに、前記走行装置8を救出領域S側に向けて(図3の左方向)へ移動させる。これに伴って移動した救助ケージ4が救出領域S内まで至ると、今度は、前記巻き取りドラム71からワイヤ52を繰り出して救助ケージ4を下降させて、救出領域S内の床に着地させて、転落者を救助ケージ4から下ろして本格的な処置を施すことができる。
【0068】
このように、前記救助ケージ4を横移動および昇降移動させる比較的簡単な操作でごみピット1内の転落者至近位置まで迅速に到着できるとともに、転落者を救助ケージ4に収容して安全に救助できる。
【0069】
この救助ケージ4が横移動可能であるから、複数の並設されているごみ投入口12のいずれから転落した場合にも、一台の救助ケージ4により救出活動の迅速な対応が可能となる。
【0070】
また、平常時には、前記救助ケージ4を前記救出領域Sに格納待機させておけるので、ごみピット1内のごみMを搬送するクレーンの稼働に支障を来すおそれは全くない。
【0071】
なお、救助ケージ4を前記ごみ投入口12の前に引き上げて、転落者をごみ投入口12を通して安全に確保できるようにすることも可能である。
【0072】
図10は、この発明の他の実施形態を示すごみ処理施設の平面図、図11は、同じごみ処理施設の側面断面図であり、図1〜図3と同一もしくは相当部所には、同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0073】
図10およ図11において、この例のごみ処理施設は、クレーン14の操作室15がごみ投入口12の上方側ではなく、左右方向の壁1dからごみピット1内を臨む位置に設けられており、前記した自動窓清掃装置16の走行レール17も前記壁1bに沿って設けられている。
【0074】
ここでは、前記走行装置8の走行レールとして、前記走行レール17を利用できないから、ごみピット1の前記側壁1aに沿って走行レール170を新設してある。
【0075】
これにより、前記実施形態と同様に救助ケージ4を上下および左右方向の移動させながらごみピット1内のごみMの表面に着陸することにより、ごみピット1内に転落した者を安全、かつ速やかに救助することができる。
【0076】
ところで、上記各実施形態では、1台の走行装置8に設けた吊り下げ竿51にワイヤ52,52を介して救助ケージ4を吊持したもので説明したが、図12に示すように、2台の走行装置8をユニバーサルジョイント64を有する連結棹65により連結し、前記各走行装置8から垂設したワイヤ52,52により、救助ケージ4を吊持した構成であってもよい。
【0077】
この場合、2つの走行装置8に対して救助ケージ4による荷重を分担させることができ、走行状態が無理なく行えるともに、救助ケージ4の横移動速度を上げることが可能となる。
【0078】
また、この2台の走行装置8は、いずれか一方にのみ救助ケージ横移動部を構成する駆動スプロケットやモータ等を装備し、他方は一方の横移動に連結棹65を介して従動するようにしてもよい。
【0079】
また、図13に示すように、救助ケージ4等の重量を支持する一対の吊り下げ装置95,95と、これらの間にあって救助ケージ横移動部として機能する横駆動装置96とを連結棹97によって連結して走行装置8’を構成してもよい。各吊り下げ装置95は、走行レール17上を走行する車輪81等を備え、ワイヤ52,52により救助ケージ4を吊持する。一方、横駆動装置96は、チェーン61に噛合する駆動スプロケット(図示せず)や回転駆動装置としてのモータ84を備え、連結棹97,97を介して一対の吊り下げ装置95,95とともに走行レール17上を自走するようになっている。
【0080】
この構成によると、横駆動装置96のみがチェーン61と噛合しているので、走行レール17が屈曲している部分で吊り下げ装置95,95の間隔が若干変化した場合であってもチェーン61に過剰な負荷を与えることなく、円滑に走行させることができる。
【0081】
また、前記各実施形態では、救助ケージ4を吊持した走行装置8が自走式のもので説明したが、この走行装置8が自走機能を持たない構成、つまり、外部と走行装置8とを索条体で繋ぎ、この索条体を外部もしくは走行装置8内で巻き取って該走行装置8を横移動させたり、あるいは、ごみピット1内とごみピット1外との間に配備した旋回する無端体に前記ワイヤ52を介して前記救助ケージ4を吊持する構成など、種々の変形手段の採用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施形態にかかるごみ処理施設における救助装置が適用されたごみ処理施設を示す平面図である。
【図2】同じくごみ処理施設を示す側面断面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】同じくごみ処理施設における救助装置の正面図である。
【図5】同じく救助装置の側面図である。
【図6】同じく救助装置における走行装置が走行レールに支持された状態を示す正面図である。
【図7】同じく救助装置における走行装置の側面断面図である。
【図8】同じく救助装置の救助ケージがごみの堆積面に着地した状態を示す正面図である。
【図9】同じく救助装置の救助ケージがごみの堆積面に着地した状態を示す側面図である。
【図10】この発明の他の実施形態におけるごみ処理施設を示す平面図である。
【図11】同じくごみ処理施設を示す側面断面図である。
【図12】走行装置が走行レールに支持された状態を示す正面図である。
【図13】この発明のさらに他の実施形態において走行装置が走行レールに支持された状態を示す正面図である。
【図14】一般のごみ処理施設の概要を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 ごみピット
1a ごみピットの側壁
3 救助装置
4 救助ケージ
5 救助ケージ支持手段
6 救助ケージ横移動手段
7 救助ケージ昇降駆動手段
8 走行装置
11 プラットホーム
12 ごみ投入口
15 操作室
16 自動窓清掃装置
17,170 走行レール
42 水平保持手段(脚部)
52 索条体
71 巻き取り装置
S 救助領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ収集車が停止するプラットホ−ムの先端に位置して、ごみピットの側壁に複数のごみ投入口が並設されているごみ処理施設における救助装置であって、
前記ごみピット内とごみピット外の救出領域との間で移動可能に配設された救助ケージを支持する救助ケージ支持手段と、
前記救助ケージを前記ごみピット内とごみピット外の救出領域との間で横移動させる救助ケージ横移動手段と、
前記救助ケージを昇降移動させる救助ケージ昇降駆動手段と、
を備えていることを特徴とするごみ処理施設における救助装置。
【請求項2】
救助ケージ支持手段および救助ケージ横移動手段は、前記ごみピット内とごみピット外の救出領域との間にわたる壁面近傍に敷設された走行レールと、前記走行レールに懸架された状態で自走移動可能な走行装置と、前記走行装置から前記救助ケージを吊持する索条体と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のごみ処理施設における救助装置。
【請求項3】
前記救助ケージ昇降駆動手段は、前記救助ケージに装備され、前記索条体を巻き取りおよび巻き戻し可能な巻取装置を備えた請求項2に記載のごみ処理施設における救助装置。
【請求項4】
前記走行レールは、前記ごみピット内を臨む操作室の窓を清掃する清掃装置を横移動させる清掃装置用走行レールとして共用される請求項2または3に記載のごみ処理施設における救助装置。
【請求項5】
前記救助ケージには、前記ごみピット内のごみ堆積面に着地した際に前記救助ケージを水平状態に保持する水平保持手段が装備されている請求項1〜4のいずれかに記載のごみ処理施設における救助装置。
【請求項6】
前記水平保持手段は、個別に長さ調節可能な複数の脚部を備えた請求項5に記載のごみ処理施設における救助装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate