説明

さし込みプラグ

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、コンセントに差し込んで使用するさし込みプラグに関するものである。
[従来の技術]
この種のさし込みプラグとして、第7図および第8図に示すように、一対の栓刃12を備えた栓刃ブロック10と、栓刃12に対して電線1を接続する端子金具21を備えるとともに栓刃12の並ぶ方向に沿った回動軸14′の回りで回動自在となるように栓刃ブロック10を保持する支持体20とを備え、端子金具21に対して栓刃12を回動自在に結合したものが知られている。支持体20は、端子金具21を納装するために一対の半割体20a′,20b′を組み合わせて形成されており、両半割体20a′,20b′に形成された孔41にピン42を挿通してピン42をかしめることにより、両半割体20a′,20b′が結合されている(特開昭61−128481号公報参照)。
支持体20の周囲には同時成形された外殻体30が装着されており、この外殻体30の一部は、両半割体20a′,20b′に跨がる形で支持体30に貫設された貫通孔32′に充填される。このように、支持体20に貫設された貫通孔32′に外殻体30の一部が入り込むことで支持体20と外殻体30との結合力が高まるとともに、半割体20a,20b同士も外殻体30により結合されることになるのである。
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、従来構成では、貫通孔32′が支持体20の先端部から比較的遠い部位に形成されていたものであるから、支持体20の先端部における半割体20a′,20b′同士の結合力が弱く、半割体20a′,20b′が口開きしやすいという問題があった。また、貫通孔32′の周囲において支持体20の周面が比較的滑らかに形成されていたものであるから、支持体20と外殻体30との結合力が弱く、支持体20から外殻体30が剥がれやすいという問題があった。
本発明は上述の問題点を解決することを目的とするものであって、支持体の先端部での半割体の口開きを防止するとともに、支持体と外殻体との結合力を高めるようにしたさし込みプラグを提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段]
上記目的を達成するために、本発明では、支持体を一対の半割体を組み合わせて形成し、支持体の先端部付近には両半割体に跨がって貫設されていて外殻体が充填される貫通孔を形成し、貫通孔の近傍において外殻体で覆われる支持体の外周面には凹凸状の剥離防止部を形成しているのである。
[作用]
上記構成によれば、支持体の先端部付近に形成された貫通孔に外殻体を充填するから、支持体の先端部が外殻体で押さえられ、支持体の先端部での半割体の口開きが防止されるのである。また、支持体の先端部付近に形成されている貫通孔の近傍において外殻体で覆われる支持体の外周面に凹凸状の剥離防止部を形成していることにより、外殻体と支持体との接触面積が大きくなるとともに、外殻体が支持体に食い込むから、支持体と外殻体との結合力が高まるのである。
[実施例]
第1図および第5図に示すように、可動体11の両側面に栓刃12の基部が保持された栓刃ブロック10と、栓刃ブロック10を回動自在に保持する支持体20と、支持体20の周囲を覆う外殻体30とを具備しており、各支持体20には栓刃12にそれぞれ電気的に接続される一対の端子金具21が納装される。
栓刃ブロック10の可動体11は、合成樹脂のような絶縁材料により、前面側が平面となり後面側が弧状となる形状に形成されており、両側面には栓刃12の基部が嵌合する凹所13が形成されている。この凹所13の周縁のうち可動体11の前面側の一所には切欠溝13aが形成される。栓刃12は、両側縁に切欠12aを有し、この切欠12aに可動体11の上記切欠溝13aの両側部が係合した形で、可動体11の前方に栓刃12が突出するのである。このように、切欠12aに対して切欠溝13aの両側部が嵌合していることにより、栓刃12が可動体11に対してぐらつきなく保持されるのである。栓刃12において可動体11の凹所13に嵌合している部位には、回動軸14が打ち出されている。回動軸14は、大径の主軸14aの中央部に止めピン14bが突設された形状に形成され、主軸14aは端子金具21に係合する。
栓刃ブロック10の可動体11は、合成樹脂のような絶縁材料で形成された支持体20の収納凹部22内に収められる。収納凹部22は、支持体20の前部に形成され、前方および上下両方向に開放されている。支持体20は一対の半割体20a,20bを結合して形成されており、一方の半割体20aには、他方の半割体20bに向かって複数本(4本)の結合フック23が設けられており、他方の半割体20bには結合フック23に係合する結合孔24が形成される。結合フック23は、第2図に示すように、収納凹部22の両側部に1個ずつ設けられるとともに、支持体20の後部に一対が設けられ、両半割体20a,20bが3箇所で結合されることにより、両半割体20a,20bがどの部位でも浮き上がりなく結合されるようになっている。すなわち、半割体20a,20bを1箇所で固定している場合(たとえば、特開昭61−128481号公報のような従来例)では、固定部から遠い箇所では、外力によって両半割体20a,20b間の口が開くことがあるが、上述のように、両半割体20a,20bを3箇所で固定していることにより、口開きを防止することができるのである。ところで、支持体20には、両半割体20a,20b間に端子金具21が保持されており、端子金具21の前端部は収納凹部22の内周面に露出し、また、端子金具21の後端部は支持体20の後面から突出する。端子金具21において収納凹部22の内側で露出している部位には、栓刃ブロック10の回動軸14における主軸14aに嵌合する軸孔25が形成されており、軸孔25の周部は可動体11とは反対側に突出した環状の突条25aが形成されている。この突条25aにはばね座金26の周部が当接し、回動軸14に突設された止めピン14bがばね座金26にかしめ固定される。すなわち、ばね座金26と栓刃12の基部との間に端子金具21が挟持された形で、端子金具21に対して栓刃12が回動自在に保持されるのである。ばね座金26は、端子金具21を栓刃12に向かって押圧するばね力を有しているから、栓刃12と端子金具21との間には適度の摩擦力が作用するのであり、栓刃12を端子金具21に対して任意の位置で停止させることができるのである。一方、支持体20の後面から突出する端子金具21の後端部には圧着端子となった端子部21aが形成されている。したがって、端子部21aを電線1に対してかしめることにより、電線1が端子部21aに接続されるのである。各端子金具21における前後の中間部には、それぞれ一対の圧入片27が突設されている。圧入片27は、先細りとなる形状に形成され、一方の半割体20bに形成された固定孔28内に圧入される。第3図3図に示すように、半割体20bには一対の凸リブ29が突設されているのであって、各凸リブの29の両側にそれぞれ固定孔28が形成されるのである。以上のように、固定孔28に圧入片27を圧入することで端子金具21が半割体20bに対して固定されるのであり、各端子金具21には、栓刃12が回動自在に結合されているから、半割体20bに対して栓刃ブロック10が半割体20bに保持されるのである。このように栓刃ブロック10と端子金具21とを保持した半割体20bに、他方の半割体20aを結合すれば、支持体20に対して栓刃ブロック10が回動自在に保持されるのである。
すなわち、栓刃ブロック10と支持体20との組立過程をまとめると次のようになる。まず、第4図(a)に示すように、栓刃12と端子金具21とをばね座金26により回動自在に結合した後、第4図(b)のように、両栓刃12間に可動体11を挟持し、ついで第4図(c)のように、一方の半割体20bの固定孔28に端子金具21を圧入する。その後、第4図(d)のように、他方の半割体20aを結合し、電線1を端子部21aに接続すればよいのである。
栓刃ブロック10と支持体20とが結合されるとともに、電線1が端子金具21に接続された後には、第5図に示すように、支持体20に塩化ビニル等で形成された外殻体30が同時成形される。ここで、支持体20において結合フック23が形成されている部位には貫通孔31a,31bが形成されており、この貫通孔31a,31bは、結合孔24の一部を通って支持体20の表裏に貫通している。また、支持体20の前端部に形成された結合孔24の前方に隣接して支持体20の表裏に貫通した貫通孔32が形成される。さらに、貫通孔31a,32の近傍において外殻体30で覆われる支持体20の外周面には凹凸状の剥離防止部34が形成されている。したがって、外殻体30を支持体20に同時成形すると、外殻体30を形成する材料が貫通孔31a,32b,32にも充填され、係止フック23が外殻体30によって固定されるとともに、両半割体20a,20bと外殻体30とが確実に結合することになる。とくに、貫通孔32が支持体20の前端部付近に形成されているから、半割体20a,20b同士が支持体20の前端部付近で口開きすることが防止されるのである。また、支持体20の周面に凹凸状の剥離防止部34が形成されているから、外殻体30の一部が支持体20に食い込むことになり、支持体20に対する外殻体30の結合力が大きくなるのである。さらに、支持体20の収納凹部22の周囲には略全周に亘って段部33が形成されており、外殻体30を同時成形する際に、外殻体30を形成している材料が段部33でせき止められるようになっている。
支持体20に対する外殻体30の結合力をさらに高め、とくに、支持体20の側方に向かって作用する外力に対して外殻体30の結合力を高めるために、第6図に示すように、貫通孔32の周囲を囲む支持体20の外周面の一所に凹溝33を形成するようにしてもよい。
[発明の効果]
本発明は上述のように、支持体を一対の半割体を組み合わせて形成し、支持体の先端部付近には両半割体に跨がって貫設されていて外殻体が充填される貫通孔を形成し、貫通孔の近傍において外殻体で覆われる支持体の外周面には凹凸状の剥離防止部を形成しているものであり、支持体の先端部付近に形成された貫通孔に外殻体を充填するから、支持体の先端部が外殻体で押さえられ、支持体の先端部での半割体の口開きが防止されるという利点を有するのである。また、支持体の先端部付近に形成されている貫通孔の近傍において外殻体で覆われる支持体の外周面に凹凸状の剥離防止を形成していることによって、外殻体と支持体との接触面積が大きくなるとともに、外殻体が支持体に食い込むから、支持体と外殻体との結合力が高まるという利点を有する。その結果、支持体から外殻体が剥がれるのを防止することができるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す分解斜視図、第2図(a)(b)はそれぞれ同上に用いる一方の半割体を示す背面図と側面図、第3図(a)(b)はそれぞれ同上に用いる他方の半割体の一部切欠背面図と平面図、第4図R>図は同上における栓刃ブロックと支持体との組立順序を示す工程図、第5図は同上の外観斜視図、第6図(a)(b)はそれぞれ同上における他の構成例を示す要部斜視図と要部平面図、第7図は従来例を示す斜視図、第8図R>図は同上の要部分解斜視図である。
10……栓刃ブロック、12……栓刃、14……回動軸、20……支持体、20a,20b……半割体、21……端子金具、31a,31b,32……貫通孔、34……剥離防止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】一対の栓刃が突設された栓刃ブロックと、栓刃に電気的に接続される一対の端子金具が納装され栓刃の並ぶ方向に沿った回動軸の回りで回動自在となるように栓刃ブロックを保持する支持体と、支持体を覆う形で同時成形された外殻体とを具備し、支持体は一対の半割体を組み合わせて形成され、支持体の先端部付近には両半割合に跨がって貫設されていて外殻体が充填される貫通孔が形成され、貫通孔の近傍において外殻体で覆われる支持体の外周面には凹凸状の剥離防止部が形成されて成ることを特徴とするさし込みプラグ。

【第6図】
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【第7図】
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【第1図】
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【第2図】
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【第5図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第8図】
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【特許番号】第2654085号
【登録日】平成9年(1997)5月23日
【発行日】平成9年(1997)9月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−121628
【出願日】昭和63年(1988)5月18日
【公開番号】特開平1−292769
【公開日】平成1年(1989)11月27日
【出願人】(999999999)松下電工株式会社