説明

しわ取り消臭剤組成物

【課題】維製品に対する消臭効果としわ取り効果の両方を向上させたしわ取り消臭剤組成物を提供する。
【解決手段】アミンオキサイド系化合物及び/又は下式で表される特定の両性界面活性剤、及びポリエーテル変性化合物を含有するしわ取り消臭剤組成物を水系組成物として噴霧により繊維製品に付着させて、対象物の臭い及びしわを低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しわ取り消臭剤組成物及びしわ取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯習慣の変化により、肌に直接触れない衣類は着てすぐに洗わない習慣が増えているが、その一方で洗わない衣類のしわや匂いを気にしており、衣類のしわ除去性能や匂いに対する消臭性能が求められている。また、スーツ等のドライクリーニング衣類は家庭での水洗いが困難であり、それらのしわ取り方法については、一般にアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行う方法があるが、手間がかかる作業である上、風合いを損ねる場合がある。これまでに、熱処理を行わずに衣類のしわを伸ばす技術が開示されているが、しわ除去効果は不十分である。
【0003】
例えば、特許文献1には、陽イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤とキレート剤を併用することにより,汗臭やタバコ臭を消臭する液体消臭剤が開示され、特許文献2には,香料等の消臭基剤と陽イオン界面活性剤と特定の溶剤を併用することにより,汗臭を消臭する液体消臭剤が開示されている。特許文献3には、植物からの抽出物を主成分とする消臭基材、香料、エタノール及び界面活性剤を併用することにより、腐敗臭を抑制する消臭剤組成物が開示され、特許文献4には、ベタイン型両性化合物、非イオン性界面活性剤、及び陰イオン界面活性剤からなる処理剤で処理することにより、アンモニア臭等を消臭しうる消臭性繊維が開示されている。特許文献5には、有機二塩基酸又はその塩により、酢酸、イソ吉草酸等の低級脂肪酸類やアンモニア、トリメチルアミン等のアミン類等を消臭できることが開示されている。しかしながら、これらの液体消臭剤は、しわ除去性能は不十分である。特許文献5の有機二塩基酸又はその塩は、アルデヒド類に対する消臭効果も充分でない。
【0004】
また、特許文献6にはヘキシレングリコールやイソプレングリコール等の特定の水溶性溶剤と水を組み合わせた組成物を衣類のしわ部にスプレーした後、放置するだけでしわ部を取り除く技術が記載されているが、この方法では衣類についた軽いしわは取り除けるが、深いしわを完全に除去するのは困難である。特許文献7には特定のアルコール、グリセリン、非イオン性界面活性剤と水から成る組成物を布帛にスプレー噴霧した後で吊り下げて自然乾燥するか、アイロンがけを行うことでしわを除去する技術が記載されているが、自然乾燥だけでは十分にしわを除去することができず、またアイロンがけはしわ取りには非常に効果的であるが、手間が掛かる作業である上、風合いを損ねる可能性がある。特許文献8にはポリエーテル変性シリコーン、4級アンモニウム型抗菌剤と植物から抽出した消臭基剤を併用することによる消臭(たばこ臭など)抗菌しわ除去剤に関する技術が記載されているが、消臭性能及びしわ除去性能は十分ではない。
【0005】
かかる状況から、繊維製品に対して高い消臭性能を有し、且つアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができるしわ取り消臭剤組成物の開発が望まれていた。すなわち、消臭性能としわ取り性能とを高い水準で両立させる技術が望まれている。
【特許文献1】特開2001−40581号公報
【特許文献2】特開2001−70423号公報
【特許文献3】特開2001−178806号公報
【特許文献4】特開2004−176225号公報
【特許文献5】特開2001−95907号公報
【特許文献6】特開平10−25660号公報
【特許文献7】特開平1−6174号公報
【特許文献8】特開2003−96667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、繊維製品に対する消臭効果としわ取り効果の両方を向上させたしわ取り消臭剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、繊維製品に対して高い消臭性能を有し、また、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができることを見出した。
【0008】
本発明は、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される両性界面活性剤(a)〔以下、(a)成分という〕、並びに下記一般式(3)で表される化合物(b)〔以下、(b)成分という〕を含有するしわ取り消臭剤組成物に関する。
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、R1は炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキレン基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−及び−O−から選ばれる基であり、aは0又は1である。)
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、R3、R4及びAは前記と同じであり、R5は炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R6は炭素数1〜6のアルキレン基であり、R7はヒドロキシ基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基であり、Bは−COO、−OSO3から選ばれる基であり、bは0又は1である。)
8−Y−[(PO)m/(EO)n]−H (3)
〔式中、R8は炭素数10〜22の炭化水素基であり、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは、−O−、−COO−、−CONH−又は−NHCO−のいずれかである。〕
【0013】
また、本発明は、上記本発明のしわ取り消臭剤組成物を、噴霧により繊維製品に付着させ、対象物の臭い及びしわを低減させるしわ取り消臭方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、繊維製品に対する消臭効果としわ取り効果の両方が向上したしわ取り消臭剤組成物が提供される。なかでもしわ取り効果は、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することができる。また、水系組成物の調製も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<(a)成分>
(a)成分は、上記一般式(1)で表される両性界面活性剤及び一般式(2)で表される両性界面活性剤から選ばれる両性界面活性剤である。(a)成分は、一種でも、二種以上を組み合わせても使用できる。
【0016】
一般式(1)において、R1は、好ましくは炭素数10〜16、更に好ましくは炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖、特に直鎖のアルキル基であり、R2は、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基であり、R3及びR4は、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、Aは、好ましくは−COO−又は−CONH−であり、消臭効果の持続性の点から、aは1が好ましい。
【0017】
また、一般式(2)において、R5は、好ましくは炭素数8〜18、特に好ましくは炭素数10〜14のアルキル基であり、R6は、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基であり、R3及びR4は、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であり、R7は、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基又は2−ヒドロキシプロピレン基で−あり、Aは、好ましくは−COO−又は−CONH−であり、Bは−COO、−SO3が好ましく、特に消臭効果の持続性の点から、Aは−SO3が好ましく、bは0が好ましい。
【0018】
(a)成分の好適例としては、ラウリルアミドプロピルアミン−N,N−ジメチル−N−オキサイド(ラウリン酸とN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンとのアミド化合物を過酸化水素と反応させて得たもの)、ラウリルジメチルアミンオキサイド(花王株式会社製、アンヒトール20N)、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−カルボシキメチルアンモニウムベタイン(花王株式会社製、アンヒトール24B)、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N−ラウロイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボシキメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。
【0019】
<(b)成分>
本発明では、(a)成分と(b)成分とを併用することにより、汗臭等に対する消臭効果と繊維製品に対するしわ低減効果の両方を同時に向上することができる。
【0020】
すなわち、通常、臭気成分はスーツ、セーター、カーテン、ソファー等の繊維製品等の固体表面に付着するが、(b)成分は、固体表面に付着した臭気成分の揮発を抑制するばかりでなく、消臭成分である(a)成分を安定に分散させ、繊維製品等に対する接触性を向上させて、消臭性能を更に高めることができる。
【0021】
また、(a)成分と(b)成分は、水と特定比率で配合することにより水和ゲルを形成する特徴があり、この水和ゲルが湿潤時の繊維潤滑性を向上させるため、乾燥過程において繊維製品のしわを低減することができる。
【0022】
(b)成分の一般式(3)において、R8は炭素数10〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭素数12〜20、より好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、mは3〜100、好ましくは3〜60、より好ましくは10〜60の数であり、nは1〜10、好ましくは1〜9、より好ましくは1〜8の数であり、m/nは好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10であり、Yは、より好ましくは−O−又は−COO−であり、更に好ましくは−O−であり、(PO)と(EO)はブロック付加が好ましく、中でも下記一般式(3−1)で表される化合物がより好ましい。なお、PO、EOの平均付加モル数はNMRにより求めることができる。
8O−(PO)m−(EO)n−H (3−1)
【0023】
<しわ取り消臭剤組成物>
本発明の消臭剤組成物中の(a)成分、(b)成分の含有量は、消臭する悪臭の濃度、使用形態、繊維製品の種類、しわの程度によって適宜調整することができる。
【0024】
(a)成分の組成物中の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.01〜2質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%である。
【0025】
(b)成分の組成物中の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.01〜2質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%である。
【0026】
(a)成分及び(b)成分の効果を更に高めるうえで(a)成分及び(b)成分の配合比率は、(a)/(b)の質量比で、好ましくは10/1〜1/10、より好ましくは8/1〜1/8、更に好ましくは5/1〜1/5、更に好ましくは4/1〜1/4、特に好ましくは3/1〜1/3である。
【0027】
本発明のしわ取り消臭剤組成物において、(a)成分、(b)成分以外の残部は水とすることができる。また必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、界面活性剤、多価アルコール、他の消臭剤、及び一般に添加される各種の溶剤、ゲル化剤、硫酸ナトリウムやN,N,N−トリメチルグリシン等の塩、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、香料、色素、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
【0028】
界面活性剤としては、特に制限はなく、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び(a)成分以外の両性界面活性剤の中から選ばれる1種種以上が挙げられる。これらの中では、非イオン性界面活性剤が好ましく、下記一般式(4)で表される化合物が、消臭性能及びしわ除去性能の点から、特に好ましい。
9−Z−[(EO)s/(PO)t]−R10 (4)
〔式(4)中、R9は、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R10は、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Zは−O−又は−COO−のいずれかであり、EOは、オキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、(EO)と(PO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(EO)と(PO)の付加順序は問わない。s及びtは平均付加モル数であり、s+tの合計は5〜15の数であり、tは2以下の数である。〕
【0029】
消臭性能向上の観点から、一般式(4)で表される化合物のR9は、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数10〜16、更に好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、R10は、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜2のアルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基、更に好ましくは水素原子である。
【0030】
また、一般式(4)のsは、好ましくは5〜14の数、より好ましくは5〜13、更に好ましくは5〜12であり、tは好ましくは0である。一般式(4)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(n=6〜12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(n=5〜12)モノアルキル(炭素数12〜14の2級の炭化水素基)エーテル、ラウリン酸ポリオキシチレン(n=6〜13)メチルエーテルから選ばれる1種以上が特に好ましい。ここで、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
【0031】
溶剤としては、水、エタノール、イソプロパノール等の低級(炭素数3〜4)アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類(炭素数2〜12)、エチレングリコールやプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールやジプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0032】
本発明のしわ取り消臭剤組成物の25℃におけるpHは6〜9.5に調整することが好ましい。充分な消臭効果、及び皮膚刺激低減の観点から、pHは6.5〜9.5が好ましく、6.8〜9が更に好ましい。
【0033】
本発明のしわ取り消臭剤組成物のpHは、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、クエン酸、コハク酸等の酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、リン酸2水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルカリを添加することにより調整することができる。
【0034】
本発明のしわ取り消臭剤組成物の使用形態は、液状、ゲル状、粉状、粒状等の固体状とすることができる。液状の場合には、特にスプレー、ローション等として繊維製品に用いることができる。本発明のしわ取り消臭剤組成物は、特に液状、更に水系組成物としてミストタイプのスプレー容器に充填し、一回の噴霧量を0.1〜1mlに調整したものが好ましい。使用するスプレー容器としては、トリガースプレー容器(直圧あるいは蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器等の公知のスプレー容器を用いることができる。すなわち、本発明では、本発明のしわ取り消臭剤組成物、特に液状のしわ取り消臭剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ取り消臭剤を得ることができる。本発明の組成物は、噴霧により繊維製品に付着させて、対象物の臭い及びしわを低減させることが好ましく、前記スプレー式しわ取り消臭剤はこの方法に好適に用いられる。繊維製品としては、スーツ、セーター等の衣類、カーテン、ソファー等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
実施例1〜5及び比較例1〜3
<しわ取り消臭剤組成物の調製>
表1に示す配合処方のしわ取り消臭剤組成物を調製した。なお、非イオン性界面活性剤としては、炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均8モル付加させたものを使用し、抗菌剤としてはプロキセルBDN(アビシア株式会社製、10%水溶液)を使用し、香料としては、ケイ皮酸エチル5質量部、酢酸リナリル10質量部、リラール15質量部、ヘキシルシンナミックアルデヒド10質量部、パーライド10質量部、フェニルエチルアルデヒド20質量部、セダーアルコール10質量部、及びリモネン20質量部からなる調合香料を使用し、得られた組成物は、pH調整剤である1規定の塩酸又は1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH8(25℃)に調整した。表1中の記号の成分は下記のとおりである。
【0036】
(a)成分
・a−1:ラウリルアミドプロピルアミン−N,N−ジメチル−N−オキサイド(ラウリン酸とN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンとのアミド化合物を過酸化水素と反応させて得たもの)(一般式(1)で表される両性界面活性剤)
・a−2:ラウリルジメチルアミンオキサイド(花王株式会社製、アンヒトール20N)(一般式(1)で表される両性界面活性剤)
・a−3:N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−カルボシキメチルアンモニウムベタイン(花王株式会社製、アンヒトール24B)(一般式(2)で表される両性界面活性剤)
・LAS:ドデシルベンゼンスルホン酸
【0037】
(b)成分
・b−1:一般式(3−1)中のR8が炭素数18の直鎖アルキル基、mが38、nが6の数である化合物
・b−2:一般式(3−1)中のR8が炭素数16の直鎖アルキル基、mが15、nが3の数である化合物
・b−3:一般式(3−1)中のR8が炭素数12の直鎖アルキル基、mが25、nが5の数である化合物
・b−4:一般式(3)中のR8が炭素数18の直鎖アルキル基、Yが−O−、mが38、nが6の数であり、R8−Y−に(EO)と(PO)がこの順でブロック付加した化合物〔R8−Y−(EO)n−(PO)m−Hの化合物〕
・b−5:一般式(3)中のR8が炭素数18の直鎖アルキル基、Yが−O−、mが30、nが5の数であり、(PO)と(EO)がランダム付加である化合物
【0038】
<消臭効果の評価>
実際に着用した衣類には、汗臭や皮脂が酸化して発生したアルデヒド臭の他に、皮脂臭またはその他の汚れのニオイが付着しており、複合臭である。そこで、つぎに示す消臭評価を行った。
【0039】
(1)消臭対象物の調製
30歳代の男性3人に、市販綿100%長ズボンを通勤時に着用(夏季、1日おきに5日間)してもらった後、回収した。太もも接触部位(前面)から、左4枚、右4枚ずつ切断(10cm×10cm)し、試験片とした。なお、同一披験者から得た試験片は、切断部位(左右、上下)による、付着臭気や汚れの違いはないことを確認した。
【0040】
(2)消臭方法
上記方法にて得た試験片に、表1に示す配合処方のしわ取り消臭剤組成物をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて6回スプレーした。
【0041】
(3)消臭性能評価
同一披験者から得た試験片計8枚を使用して実施例と比較例計8種の評価を行った。また、披験者3名より試験片を作成したので、実施例、比較例につき、各3回の評価を行った。30歳代の男性5人及び女性5人の計10人のパネラーに、しわ取り消臭剤組成物をスプレーした直後と25℃/50%RHの恒温室にて3時間静置した後の試験片の臭いを嗅いでもらい、不快臭に対する臭気強度を下記の6段階で評価し、その平均値を求め、表に示した。
0:不快なニオイを全く感じない
1:不快なニオイをわずかに感じる強さ
2:不快なニオイを容易に感じる弱い臭い
3:不快なニオイを明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
評価は平均値2未満が好ましい。平均値2以上は、消臭効果が不十分であり、製品としてふさわしくない。
【0042】
<しわ取り効果の評価>
(1)しわつけ方法
ウール生地(ウールサージ、(株)谷頭商店)からなる試験布20cm×10cmにイオン交換水をスプレー噴霧して湿潤させた後、試験布を2つ折りにして、40℃に設定した恒温室内で折り目部分に2kgの重りをのせ、24時間放置することによって、これをしわ取り評価のモデルじわとした。
【0043】
(2)しわ取り方法
上記方法にて作成したモデルじわのついた試験布に対し、表1に示すしわ取り消臭剤組成物をスプレー容器(キャニオン製、T−7500)を用いて試験布乾燥時質量に対して50質量%噴霧した後、25℃/50%RHの恒温室に12時間放置し、自然乾燥させた。乾燥終了後、試験布のしわの取れ具合を判定した。
【0044】
(3)しわ除去性能評価
判定は、しわ取り消臭剤組成物をスプレー処理した布と、処理前の布(対照)とを、熟練した5人のパネラーに下記の基準で採点してもらい、平均点を求め、表に示した。平均点3未満が好ましい。
1:全くしわがない
2:ほとんどしわがない
3:僅かにしわが残っている
4:相当しわが残っている
5:著しくしわが残っている
【0045】
【表1】

【0046】
表1から、比較例1〜3の組成物は、着用ズボンに対する消臭性能又はしわ除去性能のいずれかが不十分であるのに対し、実施例1〜5のしわ取り消臭剤組成物は、着用ズボンに対する消臭性能が高く、且つしわ除去性能も高いことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)及び/又は(2)で表される両性界面活性剤(a)、並びに下記一般式(3)で表される化合物(b)を含有するしわ取り消臭剤組成物。
【化1】


(式中、R1は炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数1〜5のアルキレン基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−及び−O−から選ばれる基であり、aは0又は1である。)
【化2】


(式中、R3、R4及びAは前記と同じであり、R5は炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R6は炭素数1〜6のアルキレン基であり、R7はヒドロキシ基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基であり、Bは−COO、−OSO3から選ばれる基であり、bは0又は1である。)

8−Y−[(PO)m/(EO)n]−H (3)
〔式中、R8は炭素数10〜22の炭化水素基であり、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは、−O−、−COO−、−CONH−又は−NHCO−のいずれかである。〕
【請求項2】
前記一般式(1)及び/又は(2)で表される両性界面活性剤(a)の含有量が0.01〜10質量%であり、一般式(3)で表される化合物(b)の含有量が0.01〜10質量%である、請求項1に記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項3】
消臭剤組成物が水系組成物である、請求項1又は2に記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のしわ取り消臭剤組成物を、噴霧により繊維製品に付着させ、対象物の臭い及びしわを低減させるしわ取り消臭方法。

【公開番号】特開2007−239118(P2007−239118A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60707(P2006−60707)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】