説明

しわ除去剤組成物

【課題】 アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても繊維製品のしわを除去することができるしわ除去剤組成物の提供。
【解決手段】 下記(a)成分及び(b)成分を含有するしわ除去剤組成物。
(a)重量平均分子量5000〜1000万のカチオン性ポリマー
(b)分子内に、アニオン性基(セグメント(イ))又はその塩とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))を含むポリマー

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しわ除去剤組成物、スプレー式しわ除去剤、及び繊維製品のしわ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーツ等のドライクリーニング衣類は、家庭での水洗いが困難であり、それらのしわ取り方法については、一般にアイロンがけやスチームプレス等の熱処理によってなされている。しかし、このような熱処理は、手間がかかる作業である上、風合いを損ねる場合がある。
【0003】
熱処理を行わずに衣類のしわを伸ばす技術として、特許文献1には、シリコーンと皮膜形成ポリマーからなるしわを減少させる組成物、特許文献2には、接着性ポリマーと未複合シクロデキストリンからなるシワ及び悪臭減少組成物が開示されているが、それらのしわ除去効果は不十分である。
【0004】
また、特許文献3には、どちらかがシリコーンポリマーである陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーからなる布地処理組成物に関する技術が開示されており、陰イオン性ポリマーとしてカルボキシメチルセルロースやアルギン酸系ポリマーが挙げられている。特許文献4には、水溶性担体、水溶性ポリマー及び布地ケア化合物などからなる固体状布地ケア組成物に関する技術が開示されており、布地ケア化合物としてカチオン性ポリマー、水溶性ポリマーとしてポリアルキレングリコールが挙げられている。これらの布地処理組成物もまた、しわを減少させる効果を奏するものであるが、そのしわ除去効果は熱処理を省くことができるまでには至っていない。
【0005】
そのほか、特許文献5には、シリコーン、カチオン性水溶性ポリマー及びアニオン性界面活性剤からなる繊維製品用液体仕上げ剤組成物に関する技術が開示されている。また、特許文献6には、分子構造中にポリエチレングリコール部分やポリカルボン酸部分を含むポリマーからなる繊維用処理剤に関する技術が開示されており、ポリエステル繊維への付着性向上のためカチオン性モノマーとの共重合体を利用することができると記載されている。しかしながら、それら組成物のしわ除去性能については言及されていない。
【0006】
かかる状況から、繊維製品に対して、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを除去することのできるしわ除去剤組成物の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−508911号公報
【特許文献2】特開2003−525356号公報
【特許文献3】特開2006−504001号公報
【特許文献4】特開2009−532593号公報
【特許文献5】特開2009−161865号公報
【特許文献6】特開2001−303447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても繊維製品のしわを除去することができるしわ除去剤組成物を提供することにある。
【0009】
上記の通り、従来技術のしわ除去効果は不充分である。例えば特許文献3に記載される布地処理組成物は、陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーの基剤同士によって形成されるコアセルベート自体が有する潤滑性等の性質により、しわを低減する効果を有しているが、そのしわ除去効果は不充分である。
【0010】
本願は、(a)重量平均分子量5000〜1000万のカチオン性ポリマーと、(b)分子内に、アニオン性基(セグメント(イ))とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))を有するポリマーとを含有するしわ除去剤組成物を提案する。水存在下で、かかるしわ除去剤組成物を、着用等によって生じた繊維製品のしわ部分に処理することで、(a)カチオン性ポリマーと、(b)分子内にアニオン性基(セグメント(イ))とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))を有するポリマーとが静電的に複合体を形成するだけでなく、該複合体が水を積極的に取り込み水和した複合体(水和ゲル)を形成すると考えられ、湿潤時の潤滑性を極めて高くする技術を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記(a)成分及び(b)成分を含有するしわ除去剤組成物に関する。
(a)重量平均分子量5000〜1000万のカチオン性ポリマー
(b)分子内に、アニオン性基(セグメント(イ))とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))とを含むポリマー
【0012】
本発明はまた、上記しわ除去剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ除去剤、及び該スプレー式しわ除去剤を用いる繊維製品のしわ除去方法に関する。
【0013】
本願発明が解決する課題は、本来、目視的に平滑な状態で製造された繊維製品を構成する繊維が、着用等によって山状や谷状に曲がった状態で、繊維同士の摩擦等で固定される為に生じたしわを解決する。以下に、本願発明が達成する極めて高いシワ除去効果に関する技術思想を説明する。
【0014】
(b)成分は、分子内に、アニオン性基(セグメント(イ))とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))とを含むポリマーである。この(b)成分を含む水によって繊維製品を湿潤させた後、乾燥させると、繊維製品から水が除去される過程で、(b)成分中のポリアルキレンオキシ基が水和しゲル(以後、水和ゲルと称する)を形成する。この水和ゲルは極めて高い潤滑性を示し、山状や谷状に曲がった状態で固定された繊維同士の滑りを良くすることで、しわが除去される。
【0015】
水で湿潤した繊維製品が乾燥により水が除去される過程において、僅かに湿った状態であったとしても、繊維製品を構成する繊維同士の間には水が存在する。このとき、(b)成分が繊維同士の間に存在する水中に均一に分散した状態では、充分な潤滑性はもたらされない。水で湿潤した繊維表面に、水和ゲルを形成した(b)成分が吸着した状態にあることが、繊維同士の潤滑性を極めて高くし、高いしわ除去効果を発揮するにあたり重要である。
【0016】
この点、本願発明のもう一つの構成成分であるカチオン性ポリマー、即ち(a)成分は、分子内にアニオン性基を有する(b)成分と静電気的に相互作用し、乾燥過程での僅かに湿潤した繊維製品の表面に(b)成分を存在させる役割を果たす。ここで、(a)成分は単なる(b)成分のキャリアーとしての機能を果たすだけではない。(a)成分と(b)成分が相互作用することで形成される疎水的な複合体と、その複合体中の、水和ゲルを形成する(b)成分由来のセグメント(ロ)の存在割合が重要であり、これを適切な範囲に設計することで、より潤滑性に優れた水和ゲルを形成することができ、その結果極めて高いしわ除去効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のしわ除去剤組成物は、繊維製品の繊維潤滑性を向上できることから、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、繊維製品のしわを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例、比較例の繊維潤滑性評価に用いた試験片の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願記載のしわ除去効果に優れたしわ除去剤組成物を得るために各成分の分子設計、及び組成物の設計について詳述する。
【0020】
<(a)成分>
本発明の(a)成分に用いられるカチオン性ポリマーは、重量平均分子量5000〜1000万のものであり、好ましくは重量平均分子量1万〜500万、好ましくは重量平均分子量1万〜300万、より好ましくは重量平均分子量1.1万〜100万、最も好ましくは重量平均分子量1.2万〜50万のものである。ここで、(a)成分の重量平均分子量は、ゲル濾過型液体クロマトグラフィーを用いて測定した値である。(a)成分が比較的親水性であると考えられる場合は、ポリエチレングリコール換算の分子量により算出する。また、(a)成分が比較的疎水性であると考えられる場合は、ポリスチレン換算の分子量により算出する。
【0021】
(a)成分は、下記一般式(1)若しくは(2)で表されるビニルモノマーの4級化物由来の構成単位の少なくとも1種を有するカチオン性ポリマーであることが、(b)成分と効率良く相互作用し、より高い潤滑性を示す点で好ましい。
【0022】
【化1】

【0023】
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Yは−O−、−NH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。〕
【0024】
【化2】

【0025】
〔式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示す。〕
【0026】
一般式(1)において、(b)成分と強い相互作用を形成し、(b)成分を効率良く繊維表面に存在させる点で、R、Rはそれぞれ炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましい。Yは−O−又は−NH−であることが好ましく、Zは炭素数2〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基が好ましい。
【0027】
一般式(2)において、R、Rはそれぞれ水素原子が好ましい。Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
【0028】
(b)成分と相互作用し湿潤時の潤滑性をより高め、シワを除去する効果が高い点で、一般式(1)で表されるビニルモノマーの4級化物としては、ジ[アルキル(炭素数1〜4)]アミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物、ジ[アルキル(炭素数1〜4)]アミノプロピル(メタ)アクリルアミドの4級化物が好適であり、一般式(2)で表されるビニルモノマーの4級化物としては、ジ[アルキル(炭素数1〜4)]ジアリルアンモニウムハライドが好適である。
【0029】
本発明の(a)成分を構成するのに好適な、一般式(1)若しくは(2)で表されるビニルモノマーの4級化物の具体例としては、以下で示される化合物が好ましい。
・ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物;
・ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの4級化物;又は、
・ジメチルジアリルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0030】
中でも、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの4級化物、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの4級化物、又はジメチルジアリルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0031】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
【0032】
上記の4級化物を得るための4級化剤としては、総炭素数1〜3のハロゲン化アルキル、好ましくは塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、又は総炭素数2〜6のジアルキル硫酸、好ましくは硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
【0033】
本発明の(a)成分は、好ましくは、上記一般式(1)若しくは(2)で表されるビニルモノマーの4級化物の少なくとも1種を構成成分とするポリマーであるが、これらと共重合可能な他のビニルモノマーも構成成分とすることができる。
【0034】
そのような他のビニルモノマーとしては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリレート、置換基を有していても良いアリール(メタ)アクリレート、直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリルアミド、置換基を有していても良いアリール(メタ)アクリルアミド、、N−(メタ)アクリロイルモルホリン又は(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0035】
直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリレートの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、又はベヘニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
置換基を有していても良いアリール(メタ)アクリレートの好適な例としては、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、又はベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数1〜22)(メタ)アクリルアミドの好適な例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、又はN−イソブチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0038】
置換基を有していても良いアリール(メタ)アクリルアミドの好適な例としては、フェニル(メタ)アクリルアミド、トルイル(メタ)アクリルアミド、キシリル(メタ)アクリルアミド、又はベンジル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0039】
N−(メタ)アクリロイルモルホリン又は(メタ)アクリルアミドも好ましいビニルモノマーの一例である。
【0040】
(a)成分の全構成モノマー中、一般式(1)若しくは(2)で表されるカチオン性基含有ビニルモノマーの4級化物の含有量は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%である。
【0041】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、アニオン性基(セグメント(イ))とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))とを含むポリマーである。
【0042】
[セグメント(イ)]
セグメント(イ)は、(a)成分のカチオン性ポリマーと静電的に相互作用するアニオン性基(セグメント(イ))である。本願でいうアニオン性基とは、水中においてpHによっては陰イオンとなりうる基を表す。好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及び/若しくはホスホン酸基である。これらは酸型でも良く、又はそれらの塩であっても良い。また、(a)成分と静電的に相互作用するだけでなく、(a)成分との複合体が比較的疎水的な性質を有し、疎水的な相互作用でも繊維表面に吸着し易くする観点から、スルホン酸基やホスホン酸基よりも、親水性が低いカルボン酸基又はその塩が好ましい。
【0043】
セグメント(イ)を含むポリマー鎖としては、分子内にカルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体が好ましく、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はこれらの塩を有する部位が含まれてもよい。ここで、本明細書において、(共)重合体は、単一重合体又は共重合体のことをいう。
【0044】
カルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸[ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物のことをいう]及びその塩、スチレンカルボン酸及びその塩、マレイン酸系モノマー[ここで、マレイン酸系モノマーは、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、並びにマレイン酸モノアミド又はそれらの2種類以上からなる混合物をいう] 及びその塩、並びにイタコン酸及びその塩等が挙げられ、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0045】
スルホン酸基又はその塩を有する部位は、スルホン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体からなることが好ましい。スルホン酸基又はその塩を有するモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸モノマー等が挙げられ、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0046】
リン酸基、ホスホン酸基又はその塩を有する部位は、リン酸基、ホスホン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体からなることが好ましい。リン酸基、ホスホン酸基又はその塩を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜4)リン酸、ビニルホスホン酸等が挙げられ、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0047】
上記の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、総炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニルアンモニウム塩、炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニル置換ピリジニウム塩、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム塩、又は塩基性アミノ酸塩等が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0048】
[セグメント(ロ)]
セグメント(ロ)はポリアルキレンオキシ基である。セグメント(ロ)において、ポリアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基が好ましく、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を構成単位とするポリマーは、それぞれホモポリマーでも、ブロック、ランダムのコポリマーでもよい。
【0049】
(a)成分と(b)成分が形成した複合体が潤滑性において好ましい水和ゲルを形成することで、極めて高いしわ除去効果を達成する点において、セグメント(ロ)の大きさは重要である。すなわち水和が不充分になるほど小さすぎず、また水和しすぎて複合体を水に溶解させすぎない程度のセグメント(ロ)の重量平均重合度を設計することが重要である。その点においてセグメント(ロ)の重量平均重合度は10〜200が好ましく、15〜150がより好ましく、20〜150が更に好ましい。また、ポリアルキレンオキシ基の末端は限定されず、水酸基を有していてもよく、炭素数1〜12の炭化水素基とのエーテルであっても良い。炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、潤滑性の高い水和ゲルを形成する点で、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基等とのエーテルが好ましく、メチル基又はエチル基とのエーテルがより好ましい。
【0050】
しわ除去性能の観点から(b)成分の全構成モノマー中、セグメント(ロ)の占める割合は重要である。(b)成分の全構成モノマー中、セグメント(ロ)の占める割合は50〜95質量%が好ましく、55〜95質量%がより好ましく、60〜95質量%が更に好ましい。
【0051】
しわ除去性能の観点から、(a)成分と(b)成分により形成される複合体中のセグメント(ロ)の量をコントロールすることは、潤滑性に優れた水和ゲルを形成する点で重要である。よって、(b)成分の分子内に存在する、(a)成分と相互作用するセグメント(イ)と、水和ゲルを形成するセグメント(ロ)との存在割合を適切な割合に設計する必要がある。その点においてセグメント(イ)とセグメント(ロ)の質量比は、(イ)/(ロ)=40/60〜1/99が好ましく、35/65〜2/98がより好ましく、30/70〜3/97が更に好ましく、25/75〜3/97が特に好ましく、20/80〜3/97が最も好ましい。(b)成分を構成するセグメント(イ)の割合が多い場合は、(a)成分と静電的に相互作用して複合体を形成するにあたり、(a)成分に対する(b)成分の量が少なくなる。この場合、(a)成分と(b)成分が形成する複合体中のセグメント(ロ)の量をバランスさせるために、ポリアルキレンオキシ基の重量平均重合度を高めることが好ましい。セグメント(ロ)の割合が高い場合は、前記複合体中のセグメント(ロ)の量をバランスさせるために、ポリアルキレンオキシ基の重量平均重合度を低くすることが好ましい。
【0052】
(b)成分中のセグメント(イ)とセグメント(ロ)の質量比の算出は、(b)成分の製造時においては、セグメント(イ)を含有する構成単位の仕込み質量とセグメント(イ)を含有する構成単位中のセグメント(イ)の質量含有率との積を求め、セグメント(ロ)を含有する構成単位の仕込み質量とセグメント(ロ)を含有する構成単位中のセグメント(ロ)の質量含有率との積、との比を算出することで求めることができる。また、既に存在する(b)成分においては、セグメント(イ)とセグメント(ロ)をNMR及び赤外線吸収スペクトル(IR)等で同定し、NMRを用いて各セグメント由来のピークからモル比を算出し、質量比に換算することで求めることができる。本願記載の計算においては、セグメント(イ)のアニオン性基は酸型として計算する。
【0053】
本発明の(b)成分は、分子内に、アニオン性基(セグメント(イ))と、ポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))とを有するポリマーであるが、他の置換基を有するビニルモノマー由来の構成単位を構成成分とすることができる。
【0054】
他のビニルモノマーとしては、(a)成分に関し説明した「他のビニルモノマー」と同じものを用いることができる。
【0055】
本発明の(b)成分中のセグメント(イ)及びセグメント(ロ)の合計質量は好ましくは60〜95質量%、より好ましくは85〜95質量%、更に好ましくは90〜90質量%である。
【0056】
セグメント(イ)及びセグメント(ロ)を有する本発明の(b)成分は、ランダム型、ブロック型又はグラフト型の何れのポリマーであっても良いが、(a)成分と相互作用するセグメント(イ)と、水和ゲルを形成するセグメント(ロ)が分子内でブロック型又はグラフト型で存在するブロック型ポリマー又はグラフト型ポリマーが、各々の機能をより明確に発揮できるために好ましい。水和ゲルをより形成し易い点において、グラフト型ポリマーが更に好ましい。
【0057】
ブロック型又はグラフト型ポリマーの合成法は特に限定されず、例えば、しわ除去剤組成物を構成する液体の一種類以上を溶媒として、ポリマー鎖中にアゾ基を有するマクロアゾ開始剤を用いてビニル系モノマー等を重合する方法(マクロアゾ開始剤法)、ポリマー鎖の一端に重合性基を有する化合物を使用する方法(マクロモノマー法)、ポリマーの存在下にモノマーを改めてラジカル重合し、新たに生成するポリマー鎖が、連鎖移動反応によって予め共存させたポリマー鎖に連結するようにする方法(連鎖移動法)及びポリマー鎖中の官能基にもう1種のポリマー末端を反応させてグラフト化させる方法等が挙げられる。
【0058】
(b)成分のポリマーの好ましい例としては下記のものが挙げられ、そのうち1が良好な水和ゲルを形成する点で特に好ましい。
【0059】
1.ポリアルキレングリコールとカルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーとのエステル(好ましくはモノエステル)と、カルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーとの共重合体及びその誘導体。
【0060】
この中でもポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーとの共重合体が更に好ましく、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸又はその塩との共重合体が特に好ましい。例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸又はその塩との共重合体、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸又はその塩との共重合体等が好ましい。
【0061】
2.反応性不飽和基(ラジカル重合可能な不飽和基)を有するポリアルキレングリコールエーテルとカルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーとの共重合体及びその誘導体。
【0062】
反応性不飽和基を有するポリアルキレングリコールエーテルと(メタ)アクリル酸又はその塩及び/又はマレイン酸系モノマーとの共重合体が好ましい。例えば、ポリエチレングリコールアリルエーテルとマレイン酸(又はその塩)との共重合体が挙げられる。
【0063】
3.ポリアルキレングリコールにカルボン酸基を有するモノマー又はその塩をグラフトした共重合体及びその誘導体。
【0064】
例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)中でアクリル酸とマレイン酸又はそれらの塩とをラジカル重合して得られるグラフトポリマーが好ましく挙げられる。
【0065】
上記1.〜3.における誘導体としては、例えば、ポリアルキレンオキシ基の末端にメチル基、エチル基、フェニル基等の炭化水素基を有してエーテル結合を形成しているものが挙げられる。炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基である。
【0066】
4.ポリアルキレングリコールマクロアゾ開始剤を使用して調製した、カルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体。
【0067】
好ましくは(メタ)アクリル酸又はその塩をラジカル重合して得られるブロックポリマーが挙げられる。
【0068】
5.カルボン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの重合体と、末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールを脱水反応によって連結して得られるグラフトポリマー。
【0069】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩と、末端に水酸基を有するポリエチレングリコールを脱水反応によって連結して得られるグラフトポリマーが挙げられる。
【0070】
しわ除去性能の観点から、(b)成分の重量平均分子量は、3000〜800万が好ましく、4000〜500万がより好ましく、5000〜300万が更に好ましく、6000〜60万が特に好ましく、6000〜50万がとりわけ好ましく、6000〜30万が最も好ましい。ここで、(b)成分の重量平均分子量は、ゲル浸透型液体クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリエチレングリコール換算の分子量により算出する。
【0071】
<しわ除去剤組成物>
本発明のしわ除去剤組成物中の(a)成分及び(b)成分の含有量は、使用形態、繊維製品の種類、しわの程度によって適宜調整することができる。
【0072】
(a)成分の組成物中の含有量は、0.01〜1質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.3質量%、更に好ましくは0.01〜0.2質量%、特に好ましくは0.01〜0.1質量%である。
【0073】
(b)成分の組成物中の含有量は、0.01〜1質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.3質量%、更に好ましくは0.01〜0.2質量%、特に好ましくは0.01〜0.1質量%である。
【0074】
(a)成分と(b)成分の配合比率(質量比)は、しわ除去性能の観点から、(a)/(b)=1/10〜10/1が好ましく、1/8〜8/1がより好ましく、1/6〜6/1が更に好ましく、1/5〜5/1が特に好ましい。
【0075】
更に、(a)成分中のカチオン性基と(b)成分中のアニオン性基の含有モル比率は、しわ除去性能の観点から、〔(a)成分中のカチオン性基〕/〔(b)成分中のアニオン性基〕=0.1〜50が好ましく、0.2〜30がより好ましく、0.5〜20が更に好ましく、1〜10が特に好ましい。
【0076】
前述の通り、組成物中の(a)成分と(b)成分の総含有量に対する(b)成分のセグメント(ロ)の含有量を設計することは、前記複合体が水和し形成した水和ゲルがしわ除去性能を発揮する観点から重要であり、(ロ)/〔(a)+(b)〕=20〜65質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜55質量%が更に好ましく、35〜50質量%が特に好ましい。
【0077】
本発明のしわ除去剤組成物において、(a)成分及び(b)成分は、水〔以下(c1)成分という〕と共存することにより、湿潤時の繊維潤滑性を向上し、繊維製品のしわを除去することができる。
【0078】
(c1)成分としては、水道水等の水からイオン成分を除去した蒸留水やイオン交換水が好ましい。(c1)成分の組成物中の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは70〜99.9質量%、更に好ましくは80〜99.9質量%である。
【0079】
前記しわ除去剤組成物の防腐性、匂い、またはしわ除去効果を更に高めることを目的に、(c1)成分に加え、有機溶剤〔以下(c2)成分という〕を併用することが有効である。(c2)成分としては、炭素数2〜4の1価のアルコール、好ましくはエタノール、イソプロパノール等。炭素数2〜12の多価アルコール、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等。エチレングリコールやプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールやジプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル。ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が好ましく、中でも、エタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールがより好ましい。
【0080】
(c2)成分の組成物中の含有量は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.005〜30質量%、より好ましくは0.01〜10質量%である。組成物中の(c1)成分と(c2)成分の割合(質量比)は、しわ除去性能の観点から、(c1)/(c2)=1〜1000が好ましく、1〜500がより好ましく、1〜200が更に好ましい。
【0081】
また必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、界面活性剤、硫酸ナトリウムやN,N,N−トリメチルグリシン等の塩、消臭剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、香料、染料・顔料、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
【0082】
界面活性剤〔以下(d)成分という〕としては、特に制限はなく、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の中から選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、非イオン性界面活性剤が(a)成分と(b)成分が複合体を形成した水和ゲルの性質を最適化し、よりしわ除去性を高める点で好ましく、下記一般式(3)で表される非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0083】
−Z−[(EO)/(PO)]−H (3)
【0084】
〔式(3)中、Rは、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、Zは−O−又は−COO−であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、(EO)と(PO)はランダム付加、ブロック付加のいずれでもよく、(EO)と(PO)の付加順序は問わない。s及びtは平均付加モル数であり、s+tの合計は5〜15の数であり、tは2以下の数である。〕
【0085】
(a)成分と(b)成分の複合体が形成する水和ゲルを、より湿潤時の潤滑性に優れた水和ゲルに調整し、しわ除去性能を向上させる観点から、一般式(3)中のRは、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数10〜16、更に好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基である。
【0086】
また、一般式(3)中の平均付加モル数sは、好ましくは5〜14の数、より好ましくは5〜13、更に好ましくは5〜12であり、tは好ましくは0である。
【0087】
(a)成分と(b)成分が形成する複合体の水和ゲルを湿潤時の潤滑性に優れた状態に調節する為には、非イオン性界面活性剤の中でも比較的疎水的な性質を有するものが好ましく、一般式(3)で表される非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(n=6〜12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(n=5〜12)モノアルキル(炭素数12〜14の2級アルコールから水酸基を除いた残基であるアルキル基)エーテルから選ばれる1種以上が好ましい。ここで、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
【0088】
(d)成分の組成物中の含有量は、(a)成分と(b)成分の複合体の種類、及び含有量によって適宜含有させることが出来るが、しわ除去性能の点から好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.01〜2質量%、最も好ましくは0.01〜1質量%である。
【0089】
本発明のしわ除去剤組成物の25℃におけるpHは、(b)成分中のセグメント(イ)がカルボン酸基を選択しても、(a)成分と相互作用しやすい点からカルボン酸基のpKaとして一般的に知られている4程度又は4以上のpHにすることがしわ除去性能の観点から好ましく、好ましくは4〜8、より好ましくは4〜7.5、更に好ましくは4〜7である。しわ除去剤組成物のpHは、塩酸や硫酸等の酸、及び/又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基化合物を添加することにより調整することができる。なお、しわ除去剤組成物のpHは、JIS Z8802に記載の測定方法で、しわ除去剤組成物そのものを25℃で測定した値である。
【0090】
本発明のしわ除去剤組成物の25℃における粘度は、スプレー容器での噴霧適性の観点から、好ましくは15mPa・s以下、より好ましくは1〜10mPa・s、更に好ましくは1〜8mPa・sである。本発明のしわ除去剤組成物において、25℃における粘度が15mPa・s以下であると噴霧パターンが適正となる。粘度の調整は、(c2)成分を適当量含有させることによって行うことができる。粘度は、東京計器株式会社製、B型粘度計(モデル形式BM)に、ローター番号No.1のローターを備え付けたものを準備し、試料をトールビーカーに充填し、25℃の恒温槽内にて25℃に調製し、恒温に調製された試料を粘度計にセットし、ローターの回転数を60r/minに設定し、回転を始めてから60秒後に測定した粘度である。
【0091】
<スプレー式しわ除去剤>
本発明のしわ除去剤組成物をスプレー容器に充填してスプレー式しわ除去剤を得ることができる。本発明のしわ除去剤組成物は水を含有するミストタイプであり、これをスプレー容器に充填し、一回の噴霧量を0.1〜1mlに調整したものが好ましい。使用するスプレー容器としては、トリガースプレー容器(直圧あるいは蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器等の公知のスプレー容器を用いることができる。中でも、トリガー式スプレーヤーを具備するスプレー容器が好ましい。
【0092】
スプレー容器としては、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点における噴霧液滴の体積平均粒子径が10〜200μmとなり、噴射口から噴射方向に15cm離れた地点における体積平均粒子径200μmを超える液滴の数が噴霧液滴の総数の1%以下となり、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点における体積平均粒子径10μm未満の液滴の数が噴霧液滴の総数の1%以下となる噴霧手段を備えたものが好ましい。噴霧液滴の粒子径分布は、例えば、レーザー回折式粒度分布計(日本電子株式会社製)により測定することができる。
【0093】
このように、本発明では、本発明のしわ除去剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ除去剤を得ることができる。本発明のしわ除去剤組成物及びスプレー式しわ除去剤は、繊維製品用として好適であり、かかるしわ除去剤組成物は、噴霧により繊維製品に付着させて、対象物のしわを低減させることが好ましく、前記スプレー式しわ除去剤はこの方法に好適に用いられる。本発明の対象となる繊維製品とは、天然繊維、例えば木綿等のセルロース繊維、獣毛繊維。合成繊維、好ましくは再生セルロース繊維、半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維。上記の天然繊維又は合成繊維を織布、編布、不織布等にした繊維集合体であり。一般的な繊維製品としては、シャツ、トレーナー、スーツ、セーター等の衣類、カーテン、ソファー、タオル、ハンカチ等が挙げられる。
【0094】
<繊維製品のしわ除去方法>
本発明のしわ除去剤組成物による繊維製品のしわ除去方法としては以下のものが挙げられる。本発明のしわ除去剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ除去剤から、本発明のしわ除去剤組成物を噴霧により繊維製品に付着させて加熱乾燥することなく当該繊維製品を自然乾燥する、繊維製品のしわ除去方法である。その際、繊維製品は、実質的に乾燥状態にあるものであってもよい。
【0095】
本発明のしわ除去剤組成物の使用場面は、洗濯により生じた洗濯じわを除去する場面での使用よりも、着用により生じた着用じわや、タンス等に畳んで保管することで生じたしわを除去する場面のように、より着用に近い場面で使用する方がしわが除去されることによる満足感を得やすい点で好適である。本発明のしわ除去剤組成物は、有効成分が繊維製品全体に均一に広がり、且つ適量の水分量が噴霧できるので、このような着用じわや保管で生じたしわを除去するのに好適である。
【0096】
本発明のしわ除去剤組成物の使用量は、繊維製品の乾燥質量当たり、5〜120質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましく、10〜100質量%が更に好ましい。
【0097】
本発明の繊維製品のしわ除去方法において、しわ除去性能の観点から、繊維製品に対する(a)成分と(b)成分の総付着量が、繊維製品の乾燥質量当たり、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.8質量%、更に好ましくは0.02〜0.5質量%、特に好ましくは0.02〜0.3質量%となるようにしわ除去剤組成物を繊維製品に噴霧処理することが好適である。
【実施例】
【0098】
実施例及び比較例で用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
<(a)成分>
・a−1:ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド(マーコート100、ナルコジャパン株式会社製、重量平均分子量:15万、分子量はメーカーカタログ記載値)
・a−2:下記合成例1で製造したポリジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(重量平均分子量:9.4万)
<(b)成分>
・b−1:下記合成例2で製造したメトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド平均付加モル数23)モノメタクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体[75/25(質量比)共重合体](重量平均分子量:2.5万)
・b−2:下記合成例3で製造したメトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド平均付加モル数40)モノメタクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体[90/10(質量比)共重合体](重量平均分子量:5.6万)
・b−3:下記合成例4で製造したメトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド平均付加モル数40)モノメタクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体[80/20(質量比)共重合体](重量平均分子量:4.9万)
・b−4:下記合成例5で製造したメトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド平均付加モル数90)モノメタクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体[65/35(質量比)共重合体](重量平均分子量:4万)
<(b’)成分>((b)成分の比較化合物)
・b’−1:アルギン酸ナトリウム500-600cp(和光純薬工業製)
・b’−2:カルボキシメチルセルロースC1120(ダイセル化学工業製)
・b’−3:ポリアクリル酸(和光純薬工業製、重量平均分子量:2.5万)
・b’−4:ポリエチレングリコール4000(和光純薬工業製、重量平均分子量:4000)
【0099】
合成例1:a−2の合成
撹拌機と窒素導入管の付いたガラス製反応容器にイオン交換水300gを入れ、系内の空気を十分に窒素置換し、撹拌しながら70℃に保った。ここに、事前に窒素でバブルしておいた塩化2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムの33.3質量%水溶液300gと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩の5.00質量%水溶液105gとを別々に同時に2時間かけて滴下した。滴下中も、反応容器内の溶液を70℃に保ち、撹拌し続けた。この溶液を、撹拌を続けながらさらに5時間70℃に保持してから、室温まで冷却した。得られた反応混合物をイオン交換水700gで希釈し、撹拌しているイソプロピルアルコール4kgとイソブチルアルコール4kgとの混合物に開放下で滴下した。得られた沈殿を採取し、50℃で減圧乾燥してポリ塩化2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムを168g得た。プルラン換算の重量平均分子量は94000であった。なお、ポリマーの重量平均分子量はゲル濾過型液体クロマトグラフィーにより下記の条件で求めた。
【0100】
カラム:昭和電工(株)製KD−806Mを2本使用
溶離液:50mmol/L臭化リチウムのN,N−ジメチルホルムアミド溶液
検出器:示差屈折率計
流速:1.0ml/分
温度:40℃
標準:ポリエチレングリコール
測定濃度:0.20%
注入量:100μl
【0101】
合成例2:b−1の合成
イオン交換水122g、プロピレングリコール122gを窒素雰囲気下で80℃に昇温したところに、メトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数23)モノメタクリル酸エステル(NK−エステルM−900G、新中村化学(株)製)225g、メタクリル酸75g、2−メルカプトエタノール4.2gをイオン交換水50gとプロピレングリコール100gの混合液に溶解したものと、過硫酸ナトリウム4.2gと35%過酸化水素水1.7gをイオン交換水50gに溶解したものとを、80〜85℃に保ちながら、別々に2時間かけて滴下し、その後80℃に保ちながらさらに4時間攪拌を続けた。これを冷却してポリマー溶液を得た。
【0102】
得られたポリマーの重量平均分子量は2.5万(ポリエチレングリコール換算)であった。ここで、分子量の測定はゲル浸透型液体クロマトグラフィー(GPC)によって行い、次の条件を用いた。溶離液及び添加塩類はいずれも液体クロマトグラフィー用のグレードの試薬から調製した。
【0103】
カラム:東ソー(株)製 G4000PWXL+G2500PWXLの2本
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液(pH6.9)/アセトニトリル=9/1(容量比)
検出器:示差屈折率計
温度:40℃
標準:ポリエチレングリコール
測定濃度:5mg/ml
注入量:100μl
【0104】
また、下記の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定により、残存モノマー定量を行った結果、対モノマー残存量はメタクリル酸(220ppm)、メトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数23)モノメタクリル酸エステル(未検出)であり、重合が完了したことを確認した。
【0105】
<HPLC測定条件>
カラム :財団法人 化学物質評価研究機構製 L−カラム ODS 150mm×4.6mm
移動相A:0.1%リン酸/蒸留水
移動相B:0.1%リン酸/アセトニトリル
グラジエント条件
Min. A% B%
0.0 60 40
15.0 20 20
検出器:UV205nm
温度:40℃
注入量:10μl
流速:1.0mL/min.
(検量線下限:0.25%)
【0106】
なお、生成物は高速液体クロマトグラフィーにより分離し、セグメント(イ)及びセグメント(ロ)の存在を、NMRにより各セグメント由来のピークにより確認した。更に赤外吸収スペクトル測定により目的の化合物が生成していることを確認した。
【0107】
合成例3:b−2の合成
メトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数23)モノメタクリル酸エステル225gに代えてメトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数40)モノメタクリル酸エステル270gを、メタクリル酸75gに代えてメタクリル酸30gを使用した以外は、合成例2と同様に合成し、ポリマー溶液を得た。
【0108】
得られたポリマーの重量平均分子量は5.6万(ポリエチレングリコール換算)であり、合成例2と同様の方法で目的の化合物が生成していることを確認した。
【0109】
合成例4:b−3の合成
メトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数23)モノメタクリル酸エステル225gに代えてメトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数40)モノメタクリル酸エステル240gを、メタクリル酸75gに代えてメタクリル酸60gを使用した以外は、合成例2と同様に合成し、ポリマー溶液を得た。
【0110】
得られたポリマーの重量平均分子量は4.9万(ポリエチレングリコール換算)であり、合成例2と同様の方法で目的の化合物が生成していることを確認した。
【0111】
合成例5:b−4の合成
メトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数23)モノメタクリル酸エステル225gに代えてメトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数90)モノメタクリル酸エステル195gを、メタクリル酸75gに代えてメタクリル酸105gを使用した以外は、合成例2と同様に合成し、ポリマー溶液を得た。
【0112】
得られたポリマーの重量平均分子量は4万(ポリエチレングリコール換算)であり、合成例2と同様の方法で目的の化合物が生成していることを確認した。
【0113】
実施例1〜8及び比較例1〜6
表1に示す配合処方のしわ除去剤組成物を調製した(ここで、(b)成分のしわ除去剤組成物への配合にあたっては、重合反応が完全に進行したものとしてポリマー溶液中のポリマーの含有率を求め、ポリマーの重量に換算して配合した。)。組成物は、pH調整剤である1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液又は1Nの塩酸でpH5(25℃)に調整した。どの処方の組成物に関しても、粘度は3〜7mPa・s(25℃)の範囲であった。
【0114】
なお、(b)成分のセグメント(イ)とセグメント(ロ)の質量比、即ち、(イ)/(ロ)は下記方法にて算出した。
(イ)/(ロ)={〔(b)成分の全構成モノマー中のセグメント(イ)を含有するモノマーの仕込み質量〕×〔セグメント(イ)を含有するモノマー中のセグメント(イ)の含有率(質量比率)〕}/{〔(b)成分の全構成モノマー中のセグメント(ロ)を含有するモノマーの仕込み質量〕×〔セグメント(ロ)を含有するモノマー中のセグメント(ロ)の含有率(質量比率)〕}
【0115】
(a)成分及び(b)成分の総含有量に対する(b)成分のセグメント(ロ)の含有量、即ち、(ロ)/〔(a)+(b)〕は下記方法にて算出した。
(ロ)/〔(a)+(b)〕={〔(b)成分の含有量(質量)〕×〔(b)成分製造時の全構成モノマー中のセグメント(ロ)を含有するモノマーの含有率(質量比率)〕×〔セグメント(ロ)を含有するモノマー中のセグメント(ロ)の含有率(質量比率)〕}/{〔(a)成分の含有量〕+〔(b)成分の含有量〕}
【0116】
また、(a)成分中のカチオン性基と(b)成分中のアニオン性基の配合モル比率、即ち、〔(a)成分中のカチオン性基〕/〔(b)成分中のアニオン性基〕は下記方法にて算出した。
〔(a)成分中のカチオン性基〕/〔(b)成分中のアニオン性基〕={〔(a)成分の含有量(質量)〕×〔(a)成分中のカチオン性基を含有するモノマーの仕込み質量比〕/〔(a)成分中のカチオン性基を含有するモノマーの分子量〕}/{〔(b)成分の含有量(質量)〕×〔(b)成分中のアニオン性基を含有するモノマーの仕込み質量比〕/〔(b)成分中のアニオン性基を含有するモノマーの分子量〕}
【0117】
得られたしわ除去剤組成物について、以下に示す評価方法に沿って、繊維潤滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0118】
<繊維潤滑性の評価法>
(1)試験片
木綿ブロード#60(蛍染晒、(株)谷頭商店製)1.8kgを市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)アタックマイクロ粒子)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−すすぎ8分(流水すすぎ、水量15L/分))。洗濯した木綿ブロード布を25℃/50%RHの環境下で12時間乾燥させた後、JIS L1096に記載の糸引抜き法(A法の図44)に準じて試験片に中央の糸を1本残して裁断する以外は同様のものを作製し、本試験における試験片として用いた。試験片の概略を図1に示す。
【0119】
(2)繊維潤滑性の評価
上記方法にて作成した試験片に対し、表1に示すしわ除去剤組成物をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて試験布乾燥時質量に対して50質量%噴霧し2分後にテンシロン万能試験機(RTC−1210A、(株)オリエンテック社製)を用いて、試験速度5mm/min、荷重レンジ5N、チャック間距離50mmにて引っ張った際の最大静止摩擦力を測定した。測定は、各サンプルについて10回行い、平均点を求めた。繊維潤滑性は、下記式に従い、イオン交換水を噴霧したサンプル(対照)と各サンプルの最大静止摩擦力の差として表した。なお、対照の最大静止摩擦力は2.5[N]であった。この評価での繊維潤滑性としては、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。繊維潤滑性の評価は25℃/50%RHの環境下で行った。
【0120】
繊維潤滑性=[対照の最大静止摩擦力(N)]−[サンプルの最大静止摩擦力(N)]
【0121】
【表1】

【0122】
表1から、比較例1〜6の組成物は、繊維潤滑性が乏しいのに対し、実施例1〜8のしわ除去剤組成物は、優れた繊維潤滑性を呈した。
【0123】
また、以下に示す評価方法に沿って、しわ除去組成物のしわ除去効果を評価した。
【0124】
<しわ除去効果の評価>
(1)しわ付け方法
木綿ブロード#60(蛍染晒、(株)谷頭商店製)1.8kgを市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)アタックマイクロ粒子)を用いて二槽式洗濯機(東芝銀河VH−360S1)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水(20℃)36L使用、洗濯10分−脱水3分−すすぎ8分(流水すすぎ、水量15L/分))。洗濯した木綿ブロード布を乾燥させた後、25cm×15cmに裁断した試験布2枚を、チャック付きポリ袋(ユニパックA−4、70×50mm、(株)生産日本社製)に入れ、25℃/50%RHにて3時間静置することによって、これをしわ除去評価のモデルじわとした。
【0125】
(2)しわ除去組成物による噴霧処理
上記方法にて作成したモデルじわのついた試験布に対し、表1に示すしわ除去剤組成物をスプレー容器(キャニオン製、T−7500)を用いて試験布乾燥時質量に対して100質量%噴霧した後、軽く2回引っ張り、吊るし干しした後、25℃/50%RHの恒温室に12時間放置し、自然乾燥させた。
【0126】
(3)しわ除去性能評価
乾燥終了後、試験布のしわの取れ具合を判定した。判定は、しわ除去剤組成物をスプレー処理した布と、処理前の布(対照)とを、熟練した5人のパネラーが下記基準で採点し、平均点を求めた。この評価でのしわ除去性能としては、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。
【0127】
評価基準:
1:全くしわがない
2:ほとんどしわがない
3:僅かにしわが残っている
4:相当しわが残っている
5:著しくしわが残っている
【0128】
(4)しわ除去性能評価結果
実施例4、6、8、及び比較例2、3のしわ除去性能は、実施例4(1.5)、実施例6(2.2)、実施例8(3.0)、比較例2(4.0)及び比較例3(3.6)であり、本発明のしわ除去剤組成物は優れたしわ除去効果を示すことが確認された。
【0129】
また、特許文献2又は特許文献(WO1999/055814号公報)に記載されているように、繊維の潤滑性が向上することにより、しわ除去性能が向上することは知られており、本実施例においても、繊維潤滑性としわ除去性能との相関があることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分及び(b)成分を含有するしわ除去剤組成物。
(a)重量平均分子量5000〜1000万のカチオン性ポリマー
(b)分子内に、アニオン性基(セグメント(イ))とポリアルキレンオキシ基(セグメント(ロ))とを含むポリマー
【請求項2】
(a)成分が、下記一般式(1)若しくは(2)で表されるビニルモノマーの4級化物由来の構成単位を少なくとも1種を含有するカチオン性ポリマーである、請求項1記載のしわ除去剤組成物。
【化1】

〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Yは−O−、−NH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。〕
【化2】

〔式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示す。〕
【請求項3】
(a)成分と(b)成分の質量比が(a)/(b)=1/10〜10/1である、請求項1又は2記載のしわ除去剤組成物。
【請求項4】
(b)成分のセグメント(イ)とセグメント(ロ)の質量比が(イ)/(ロ)=40/60〜1/99である、請求項1〜3の何れかに記載のしわ除去剤組成物。
【請求項5】
(a)成分と(b)成分の総量に対する(b)成分のセグメント(ロ)の含有量が(ロ)/〔(a)+(b)〕=20〜65質量%である、請求項1〜4の何れかに記載のしわ除去剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のしわ除去剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ除去剤。
【請求項7】
スプレー容器がトリガー式スプレーヤーを具備する請求項6記載のスプレー式しわ除去剤。
【請求項8】
請求項6又は7記載のスプレー式しわ除去剤を用いる繊維製品のしわ除去方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−195965(P2011−195965A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60386(P2010−60386)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】