説明

じん肺診断支援装置およびじん肺診断支援プログラム

【課題】肺機能検査およびエックス線写真検査を総合的に支援するじん肺診断支援装置およびじん肺診断支援プログラムの提供。
【解決手段】身長、年齢および性別を含む身体情報を入力する身体情報入力手段11と、入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値を算出する予測値算出手段15と、肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力する測定値入力手段12と、算出された正常予測値および入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値を算出する判定基準値算出手段16と、エックス線写真検査結果を入力するX線写真検査結果入力手段13と、胸部に関する臨床検査結果を入力する臨床検査結果入力手段14と、肺機能の判定基準値に基づいてじん肺判定を行う判定手段17と、測定値、判定基準値、エックス線写真検査結果、臨床検査結果、および判定手段によるじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果を出力する出力手段18とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、じん肺診断を支援するためのじん肺診断支援装置およびじん肺診断支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
じん肺法に基づくじん肺健康診断については、昭和53年4月28日付け基発第250号「改正じん肺法の施行について」において、「じん肺診査ハンドブック」(昭和54年改訂)に記載された内容を基本として行うこととなっており、肺機能検査の結果およびエックス線写真検査の結果に基づいて判定を行う。
【0003】
ここで、肺機能検査には、スパイロメータ等の呼吸機能検査装置が用いられる(例えば、特許文献1参照。)。また、エックス線写真検査は、胸部エックス線写真画像を医師が確認することにより行われるが、この医師による画像診断を支援する装置として、例えば特許文献2に記載の装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−81854号公報
【特許文献2】特開2009−195279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来、肺機能検査を行う呼吸機能検査装置や、エックス線写真検査を支援する装置などは開発されているが、これらを総合的に行うものは開発されていない。
【0006】
そこで、本発明においては、肺機能検査およびエックス線写真検査を総合的に支援するじん肺診断支援装置およびじん肺診断支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のじん肺診断支援装置は、身長、年齢および性別を含む身体情報を入力する身体情報入力手段と、身体情報入力手段により入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値を算出する予測値算出手段と、肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力する測定値入力手段と、予測値算出手段により算出された正常予測値および測定値入力手段により入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値を算出する手段と、エックス線写真検査結果を入力する手段と、胸部に関する臨床検査結果を入力する手段と、肺機能の判定基準値に基づいてじん肺判定を行う判定手段と、測定値、判定基準値、エックス線写真検査結果、臨床検査結果、および判定手段によるじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果を出力する手段とを含むものである。
【0008】
本発明によれば、身長、年齢および性別を含む身体情報を入力し、さらに肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力すると、入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値が算出され、この正常予測値と入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値が算出され、この判定基準値に基づいてじん肺判定が行われる。さらに、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果を入力すると、測定値、判定基準値、エックス線写真検査結果、臨床検査結果、およびじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果が出力される。
【0009】
ここで、判定手段は、肺機能の判定基準値に加えて、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果に基づいてじん肺判定を行うものであることが望ましい。これにより、肺機能に加えて、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果に基づく総合的なじん肺判定が可能となる。
【0010】
ここで、測定値入力手段は、呼吸機能検査装置により測定した肺活量、努力肺活量および1秒量を当該呼吸機能検査装置から自動的に取り込んで入力するものであることが望ましい。これにより、呼吸機能検査装置により肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定を行うと、自動的にこれらの測定値が入力されるので、これらの測定値を手入力する必要がなくなる。
【0011】
また、身体情報入力手段は、身長測定器により測定した身長を当該身長測定器から自動的に取り込んで入力するものであることが望ましい。これにより、身長測定器により身長測定を行うと、自動的にこの測定値が入力されるので、この測定値を手入力する必要がなくなる。
【0012】
本発明のじん肺診断支援プログラムは、コンピュータを、上記じん肺診断支援装置として機能させるためのものである。このプログラムを実行したコンピュータによれば、上記本発明のじん肺診断支援装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0013】
(1)身長、年齢および性別を含む身体情報を入力する身体情報入力手段と、身体情報入力手段により入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値を算出する予測値算出手段と、肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力する測定値入力手段と、予測値算出手段により算出された正常予測値および測定値入力手段により入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値を算出する手段と、エックス線写真検査結果を入力する手段と、胸部に関する臨床検査結果を入力する手段と、肺機能の判定基準値に基づいてじん肺判定を行う判定手段と、測定値、判定基準値、エックス線写真検査結果、臨床検査結果、および判定手段によるじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果を出力する手段とを含む構成により、身長、年齢および性別を含む身体情報を入力し、さらに肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力し、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果を入力すると、測定値、判定基準値、エックス線写真検査結果、臨床検査結果、およびじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果が出力されるので、肺機能検査およびエックス線写真検査が総合的に支援され、じん肺診断を容易に行うことが可能となり、じん肺診断結果を即座に得ることが可能となる。
【0014】
(2)判定手段が、肺機能の判定基準値に加えて、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果に基づいてじん肺判定を行うものであることにより、肺機能に加えて、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果に基づく総合的なじん肺判定が可能となる。
【0015】
(3)測定値入力手段が、呼吸機能検査装置により測定した肺活量、努力肺活量および1秒量を当該呼吸機能検査装置から自動的に取り込んで入力するものであることにより、呼吸機能検査装置により肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定を行うと、自動的にこれらの測定値が入力されるので、これらの測定値を手入力する手間を省くことが可能となり、じん肺診断結果をより早く得ることが可能となる。
【0016】
(4)身体情報入力手段が、身長測定器により測定した身長を当該身長測定器から自動的に取り込んで入力するものであることにより、身長測定器により身長測定を行うと、自動的にこの測定値が入力されるので、この測定値を手入力する手間を省くことが可能となり、じん肺診断結果をより早く得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態におけるじん肺診断支援装置の概略構成図である。
【図2】図1のじん肺診断支援装置のブロック図である。
【図3】図1のじん肺診断支援装置によるじん肺診断支援のフロー図である。
【図4】図1のじん肺診断支援装置により出力されるじん肺診断結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の実施の形態におけるじん肺診断支援装置の概略構成図、図2は図1のじん肺診断支援装置のブロック図である。
【0019】
図1において、本発明の実施の形態におけるじん肺診断支援装置1は、じん肺診断支援装置本体2と、じん肺診断支援装置本体2に接続される身長測定器3と、じん肺診断支援装置本体2に接続される呼吸機能検査装置としてのスパイロメータ4と、じん肺診断支援装置本体2に接続される出力装置としてのプリンタ5と、胸部エックス(X)線写真を撮影するX線撮影装置6とから構成される。なお、本実施形態においては、じん肺診断支援装置本体2と、身長測定器3、スパイロメータ4、プリンタ5およびX線撮影装置6とは、通信ネットワークとしてのLAN7により接続されているが、バス接続される構成とすることも可能である。
【0020】
じん肺診断支援装置本体2は、図示しないじん肺診断支援プログラムの実行により、図2に示す記憶手段10、身体情報入力手段11、測定値入力手段12、X線写真検査結果入力手段13、臨床検査結果入力手段14、予測値算出手段15、判定基準値算出手段16、判定手段17および出力手段18として機能するコンピュータである。このコンピュータは、表示装置兼入力装置としてのタッチパネル2aを備えている。
【0021】
身体情報入力手段11は、身長、年齢および性別を含む身体情報を入力するものであり、身長については後述する身体測定器3により測定した検査対象者の身長の測定データを、身体測定器3から自動的に取り込んで入力するようになっている。また、年齢および性別については、タッチパネル2aから手入力された内容が身体情報入力手段11に入力されるようになっている。身体情報入力手段により入力された身体情報は、記憶手段10に記憶される。
【0022】
測定値入力手段12は、肺活量(VC)、努力肺活量(FVC)および1秒量(FEV1.0)を含む測定値を入力するものであり、後述するスパイロメータ4により測定した検査対象者の肺活量、努力肺活量や1秒量等を自動的に取り込んで入力するようになっている。測定値入力手段12により入力された測定値は、記憶手段10に記憶される。
【0023】
X線写真検査結果入力手段13は、検査対象者の胸部X線写真画像に基づくX線写真検査結果を入力するものである。胸部X線写真画像は、X線撮影装置6により撮影され、LAN7を通じてじん肺診断支援装置本体2に自動的に取り込まれ、X線写真検査結果入力手段13により入力されるようになっている。また、じん肺診断支援装置本体2に入力された胸部X線写真画像はタッチパネル2aに表示される。
【0024】
胸部X線写真画像に基づくX線写真検査結果は、タッチパネル2aから手入力された内容がX線写真検査結果入力手段13に入力されるようになっている。X線写真検査項目は、小陰影の区分、粒状影の区分およびタイプ、不整形陰影の区分、大陰影の区分、付加記載事項である。X線写真検査結果入力手段13により入力された胸部X線写真画像およびX線写真検査結果は、記憶手段10に記憶される。
【0025】
臨床検査結果入力手段14は、胸部に関する臨床検査結果を入力するものである。臨床検査結果は、タッチパネル2aから手入力された内容が臨床検査結果入力手段14に入力されるようになっている。胸部に関する臨床検査項目は、自覚症状(呼吸困難(Hugh−Jones分類)、せき、たん、心悸亢進(きこう)、その他)、他覚所見(チアノーゼ、ばち状指、副雑音、その他)および禁煙歴である。臨床検査結果入力手段14により入力された臨床検査結果は、記憶手段10に記憶される。
【0026】
予測値算出手段15は、身体情報入力手段11により入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値を算出するものである。本実施形態においては、身体情報入力手段11により入力され、記憶手段10に記憶された身体情報としての性別、身長および年齢に基づいて、肺機能の正常予測値として、肺活量および1秒量の正常予測値を算出する。肺活量の正常予測値は、2001年に日本呼吸学会が提案した以下の予測式を用いる。
男性:0.045×身長(cm)−0.023×年齢−2.258 〔L〕
女性:0.032×身長(cm)−0.018×年齢−1.178 〔L〕
【0027】
また、本実施形態において、1秒量の正常予測値は、2001年に日本呼吸学会が提案した以下の予測式を用いる。予測値算出手段15により算出されたこれらの肺機能の正常予測値は、記憶手段10に記憶される。
男性:0.036×身長(cm)−0.028×年齢−1.178 〔L〕
女性:0.022×身長(cm)−0.022×年齢−0.005 〔L〕
【0028】
判定基準値算出手段16は、予測値算出手段15により算出された正常予測値および測定値入力手段12により入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値を算出するものである。本実施形態においては、予測値算出手段15および測定値入力手段12により入力され、記憶手段10に記憶された肺活量および1秒量それぞれの正常予測値と、肺活量、努力肺活量および1秒量の測定値とから、肺機能の判定基準値として1秒率(FEV1.0%)、%1秒量(%FEV1.0)および%肺活量(%VC)を算出する。
【0029】
具体的には、1秒率(FEV1.0%)〔%〕は、(1秒量(FEV1.0)/努力肺活量(FVC))×100により求められる。%1秒量(%FEV1.0)〔%〕は、(1秒量実測値/1秒量予測値)×100により求められる。%肺活量(%VC)〔%〕は、(実測肺活量(実測VC)/予測肺活量(予測VC))×100により求められる。判定基準値算出手段16により算出されたこれらの肺機能の判定基準値は、記憶手段10に記憶される。
【0030】
判定手段17は、判定基準値算出手段16により算出された肺機能の判定基準値に基づいてじん肺判定を行うものである。本実施形態においては、判定手段17は、記憶手段10に記憶された肺機能の判定基準値に基づいて、%肺活量(%VC)が80%以上であれば正常、80%未満であれば拘束性換気障害であると判定する。また、判定手段17は、1秒率(FEV1.0%)が70%以上であれば正常、70%未満であれば閉鎖性換気障害であると判定する。
【0031】
この判定手段17によるじん肺判定の結果は、記憶手段10に記憶される。なお、判定手段17は、この判定の際、粉じん作業の職歴、胸部X線写真画像、既往歴および過去の健康診断の結果、自覚症状および臨床所見、その他の検査等を含めた判定基準により総合的に判定する。
【0032】
出力手段18は、測定値、判定基準値、X線写真検査結果、臨床検査結果、および判定手段17によるじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果を出力するものである。出力手段18によるじん肺診断結果の出力先は、タッチパネル2aやプリンタ5などである。
【0033】
図1に戻って、身長測定器3は、検査対象者の身長を自動的に測定する装置である。身長測定器3による測定データはLAN7を通じてじん肺診断支援装置本体2に自動的に取り込まれるようになっている。
【0034】
スパイロメータ4は、肺活量、努力肺活量や1秒量等を測定する装置であり、流量計、マイクロコンピュータ、プリンタや液晶ディスプレイなどを搭載した本体4aと、マウスピース4bおよびチューブ4cから構成される。スパイロメータ4による測定データは、LAN7を通じてじん肺診断支援装置本体2に自動的に取り込まれるようになっている。なお、スパイロメータに代えて肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を測定可能な別の呼吸機能検査装置を使用することも可能である。
【0035】
次に、上記構成のじん肺診断支援装置1の処理手順について、図3のフロー図に基づいて説明する。
【0036】
(S100)検査対象者が身長測定器3により身長測定を行うと、この身長の測定データは身体情報入力手段11に自動的に取り込まれて入力される。また、検査対象者の年齢および性別は、タッチパネル2aにより手入力され、身体情報入力手段11に入力される。
【0037】
(S101)予測値算出手段15は、身体情報入力手段11により入力された身体情報としての性別、身長および年齢に基づいて、肺機能の正常予測値として、肺活量および1秒量の正常予測値を算出する。
【0038】
(S102)検査対象者がスパイロメータ4により肺活量、努力肺活量や1秒量等の肺機能測定を行うと、この測定データは測定値入力手段12に自動的に取り込まれて入力される。
【0039】
(S103)判定基準値算出手段16は、予測値算出手段15により算出された正常予測値および測定値入力手段12により入力された測定値に基づいて、肺機能の判定基準値として1秒率、%1秒量および%肺活量を算出する。
【0040】
(S104)X線撮影装置6により検査対象者の胸部X線写真が撮影されると、この胸部X線写真画像はX線写真検査結果入力手段13に自動的に取り込まれて入力される。また、この胸部X線写真画像はタッチパネル2aに表示され、この胸部X線写真画像に基づくX線写真検査が行われ、その結果がタッチパネル2aにより入力され、X線写真検査結果入力手段13に入力される。
【0041】
(S105)問診等による胸部に関する臨床検査が行われ、その結果がタッチパネル2aにより入力され、臨床検査結果入力手段14に入力される。
【0042】
(S106)判定手段17によりじん肺判定が行われる。判定手段17は、判定基準値算出手段16により算出された肺機能の判定基準値に基づいて、%肺活量が80%以上であれば正常(著しい肺機能障害なし)、80%未満であれば拘束性換気障害(著しい肺機能障害あり)であると判定する。また、判定手段17は、1秒率(FEV1.0%)が70%以上であれば正常(著しい肺機能障害なし)、70%未満であれば閉鎖性換気障害(著しい肺機能障害あり)であると判定する。
【0043】
(S107)S106において異常ありと判定された場合、治療および指導、経時的変化、作業環境の改善等の内容が自動的に出力される。これらの出力内容は予めデータベース化されて記憶手段10に記憶しておき、前述の肺機能の判定基準値、粉じん作業の職歴、胸部X線写真画像、既往歴および過去の健康診断の結果、自覚症状および臨床所見、その他の検査等の結果から導き出される。
【0044】
(S108)測定値、判定基準値、X線写真検査結果、臨床検査結果、および判定手段17によるじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果が出力手段18により出力される。図4は、出力手段18により出力されるじん肺診断結果の例を示している。なお、出力手段18は、じん肺法施行規則(昭和35年3月31日労働省令第6号)の様式第3号(第13条、第20条、第22条関係)よるじん肺健康診断の結果を証明する書面形式により出力することも可能である。
【0045】
以上のように、本実施形態におけるじん肺診断支援装置1によれば、身長、年齢および性別を含む身体情報を入力し、さらに肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力すると、入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値が算出され、この正常予測値と入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値が算出され、この判定基準値に基づいてじん肺判定が行われる。さらに、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果を入力すると、測定値、判定基準値、エックス線写真検査結果、臨床検査結果、およびじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果が出力される。したがって、このじん肺診断支援装置本体1によれば、肺機能検査およびエックス線写真検査が総合的に支援され、じん肺診断を容易に行うことが可能となり、じん肺診断結果を即座に得ることが可能となる。
【0046】
また、このじん肺診断支援装置1では、判定手段17が、肺機能の判定基準値に加えて、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果に基づいてじん肺判定を行うものであるため、肺機能に加えて、エックス線写真検査結果および胸部に関する臨床検査結果に基づく総合的なじん肺判定が可能となっている。
【0047】
また、本実施形態におけるじん肺診断支援装置1では、測定値入力手段12が、スパイロメータ4から測定結果を自動的に取り込んで入力するものであることにより、スパイロメータ4により肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定を行うと、自動的にこれらの測定値が入力されるので、これらの測定値を手入力する手間を省くことが可能であり、じん肺診断結果をより早く得ることが可能となっている。
【0048】
また、本実施形態におけるじん肺診断支援装置1では、身体情報入力手段11が、身長測定器3から測定結果を自動的に取り込んで入力するものであることにより、身長測定器により身長測定を行うと、自動的にこの測定値が入力されるので、この測定値を手入力する手間を省くことが可能であり、じん肺診断結果をより早く得ることが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のじん肺診断支援装置およびじん肺診断支援プログラムは、じん肺診断を支援するための装置およびプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 じん肺診断支援装置
2 じん肺診断支援装置本体
2a タッチパネル
3 身長測定器
4 スパイロメータ
5 プリンタ
6 X線撮影装置
10 記憶手段
11 身体情報入力手段
12 測定値入力手段
13 X線写真検査結果入力手段
14 臨床検査結果入力手段
15 予測値算出手段
16 判定基準値算出手段
17 判定手段
18 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身長、年齢および性別を含む身体情報を入力する身体情報入力手段と、
前記身体情報入力手段により入力された身体情報に基づいて肺機能の正常予測値を算出する予測値算出手段と、
肺活量、努力肺活量および1秒量を含む測定値を入力する測定値入力手段と、
前記予測値算出手段により算出された正常予測値および前記測定値入力手段により入力された測定値に基づいて肺機能の判定基準値を算出する手段と、
エックス線写真検査結果を入力する手段と、
胸部に関する臨床検査結果を入力する手段と、
前記肺機能の判定基準値に基づいてじん肺判定を行う判定手段と、
前記測定値、前記判定基準値、前記エックス線写真検査結果、前記臨床検査結果、および前記判定手段によるじん肺判定の結果を含むじん肺診断結果を出力する手段と
を含むじん肺診断支援装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記肺機能の判定基準値に加えて、前記エックス線写真検査結果および前記胸部に関する臨床検査結果に基づいて前記じん肺判定を行うものである請求項1記載のじん肺診断支援装置。
【請求項3】
前記測定値入力手段は、呼吸機能検査装置により測定した肺活量、努力肺活量および1秒量を当該呼吸機能検査装置から自動的に取り込んで入力するものである請求項1または2に記載のじん肺診断支援装置。
【請求項4】
前記身体情報入力手段は、身長測定器により測定した身長を当該身長測定器から自動的に取り込んで入力するものである請求項1から3のいずれかに記載のじん肺診断支援装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のじん肺診断支援装置としてコンピュータを機能させるためのじん肺診断支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−85920(P2012−85920A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236782(P2010−236782)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(596076126)株式会社マリネックス (7)
【Fターム(参考)】