説明

たくし上げカーテンの生地取付装置

【課題】カーテン生地をフレームに取着するための取付辺の梱包時の変形を防止し、かつ取付辺をフレームに容易に取着可能としたたくし上げカーテンの生地取付装置を提供する。
【解決手段】フレーム21から複数枚のカーテン生地を吊下支持し、カーテン生地を昇降装置で昇降可能としたたくし上げカーテンにおいて、カーテン生地を、フレーム21の前面と、フレーム21に回動可能に支持した取付辺34から吊下支持し、取付辺34はフレーム21の係止部36に対し、該フレーム21の後方若しくは前方から掛止め可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たくし上げカーテンのカーテン生地をフレームに取着する取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たくし上げカーテンは、フレームからカーテン生地が吊下支持され、そのカーテン生地の下端部を昇降コードで引き上げることによりカーテン生地をたくし上げ、あるいは下降させて採光量を調節可能としたものである。
【0003】
このようなたくし上げカーテンの一種類として、フレームから異なる素材の2枚のカーテン生地を重ねて吊下支持した二重タイプのたくし上げカーテンがある。このたくし上げカーテンは、例えば室外側にレース生地等の透光性を備えた生地が吊下支持され、室内側に遮光性を備えた生地が吊下支持され、各カーテン生地をそれぞれ独立して昇降することにより、採光量を適宜に調節可能としている。
【0004】
図11は、2枚のカーテン生地を吊下支持するフレームの従来例を示す。フレーム1は2枚の生地をそれぞれ独立して昇降するための昇降装置5a,5bを収容可能とした2本の収容部2a,2bを備えた形材として形成されている。
【0005】
フレーム1の前面すなわち室内側の側面に面ファスナー3aが取着され、収容部2a,2bの中間壁を下方に延長した取付辺4の前面に面ファスナー3bが取着されている。そして、面ファスナー3a,3bに各カーテン生地の上縁部がそれぞれ接着される。
【0006】
図12は、フレームの別の従来例を示す。このフレーム6の収容部7a,7bは図11に示すフレーム1と同様である。収容部7a,7bの中間壁8の下方には取付辺9が前後方向に回動可能に吊下支持されている。
【0007】
すなわち、中間壁8の下端にはヒンジ部を構成する凹条10が形成され、取付辺9の上縁には凹条10に回動可能に保持される係合部11が形成されている。そして、フレーム6の前面及び取付辺9の前面に面ファスナー3a,3bが取着され、面ファスナー3a,3bに各カーテン生地の上縁部がそれぞれ接着される。
【特許文献1】特開2004−229837公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図11に示すフレーム1では、取付辺4が収容部2a,2bから下方へ突出しているので、梱包時に取付辺4に無用な外力が作用して変形することがある。
図12に示すフレーム6では、取付辺9が回動可能であるので、梱包時には取付辺9を収容部7a,7bの下縁に沿う方向に回動させた状態とすれば、取付辺9への無用な外力が作用し難いので、変形も生じ難い。
【0009】
しかし、図13に示すように、取付辺9の係合部11を中間壁8下端の凹条10に取り付けるには、フレーム6の側方から凹条10に係合部11を挿通する必要がある。従って、組み立て時にはフレーム6及び取付辺9の長さの2倍の距離を確保し得る取付スペースが必要となるため、フレーム6及び取付辺9の長さが数mに及ぶ長尺製品では、広い取付スペースが必要となる。また、長尺の取付辺9をフレーム6に取着する組立作業が煩雑となるという問題点がある。
【0010】
特許文献1には、室内側の生地の取り付け部分を回動可能として、生地の着脱作業を簡単に行い得るようにした多重生地使いのローマンシェードが開示されている。しかし、フレームに設ける取付辺の変形を防止し、かつ取付辺をフレームに容易に取着する構成は開示されていない。
【0011】
この発明の目的は、カーテン生地をフレームに取着するための取付辺の梱包時の変形を防止し、かつ取付辺をフレームに容易に取着可能としたたくし上げカーテンの生地取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1では、フレームから複数枚のカーテン生地を吊下支持し、前記カーテン生地を昇降装置で昇降可能としたたくし上げカーテンにおいて、前記カーテン生地を、前記フレームの前面と、前記フレームに回動可能に支持した取付辺から吊下支持し、前記取付辺を前記フレームの係止部に掛止め可能とするとともに、前記係止部からの前記取付辺の脱落を阻止する抜け止め部材を前記フレームに取着した。
【0013】
請求項2では、前記フレームの下端部を上方へ屈曲して前記係止部を設け、前記取付辺の上端部を下方へ屈曲して前記係止部に掛止め可能とした掛止部を設けた。
請求項3では、前記抜け止め部材は、前記フレームの下縁部にあてがって回動可能とした主板と、前記主板の下面に設けたつまみ片と、前記主板の上面に設けられ、該主板の回動操作に基づいて前記フレームのリブに係合する固定片とを備えた。
【0014】
請求項4では、前記つまみ片は、前記固定片が前記リブに係合するとき、前記取付辺の掛止部に近接して該取付辺の前記係止部からの脱落を阻止する。
請求項5では、前記掛止部を半円弧状に形成するとともに、該円弧の中心を回動中心として前記係止部に回動可能に支持して、前記取付辺の回動時の掛止部と前記抜け止め部材との間隔を一定とした。
【0015】
請求項6では、前記取付辺を前記係止部に回動可能に取着するとともに、該取付辺を水平方向に回動させた状態でのみ前記係止部に着脱可能とし、前記フレームには前記係止部より下方まで延設される昇降装置を取着して前記抜け止め部材とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カーテン生地をフレームに取着するための取付辺の梱包時の変形を防止し、かつ取付辺をフレームに容易に取着可能としたたくし上げカーテンの生地取付装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。図1及び図2に示すたくし上げカーテンは、フレーム21からカーテン生地22a,22bが吊下支持され、各カーテン生地22a,22bの背面側には前記フレーム21から垂下される複数本の昇降コード23が複数の案内リング24に挿通されている。そして、前記昇降コード23の下端に取着されたフック25がカーテン生地22a,22bの下端部に取着されている。
【0018】
前記カーテン生地22a,22bは、例えば室内側のカーテン生地22aが遮光性を備えた生地で形成され、室外側のカーテン生地22bが透光性を備えたレース生地等で形成される。
【0019】
前記フレーム21は、図3に示すように、下方を開口した四角筒状の2本の収容部26a,26bが一体に形成される形材で構成され、各収容部26a,26bには、図1に示すように、昇降コード巻取り装置27、速度調整装置28、ストッパ29が収容され、それらに駆動軸30が挿通されている。
【0020】
前記フレーム21の一端には操作装置31が取着され、その操作装置31内に設けられるプーリー(図示しない)に操作チェーン32が掛装されている。そして、操作チェーン32の操作により操作装置31内の駆動力伝達装置を介して駆動軸30が回転され、その駆動軸30の回転に基づく昇降コード巻取り装置27の動作により、各カーテン生地22a,22bを独立して昇降可能となっている。また、操作チェーン32の操作により、各カーテン生地22a,22bはそれぞれ独立して自重降下するようになっている。
【0021】
前記速度調整装置28は、カーテン生地22a,22bの駆動軸30の回転速度すなわちカーテン生地の昇降速度、特にカーテン生地22a,22bを自重降下させる際に、カーテン生地の下降速度を所定速度以下に制限するように動作する。
【0022】
前記ストッパ29は、操作チェーン32を手放した状態でのカーテン生地22a,22bの自重降下を防止する。
次に、前記カーテン生地22a,22bをフレーム21に取り付ける構成を説明する。
【0023】
図3に示すように、前記フレーム21の中間壁33の下端には取付辺34が回動可能に吊下支持される。詳述すると、前記収容部26a,26bの下縁には水平方向に延びるリブ35a〜35dが形成されている。前記収容部26a,26bを区画する中間壁33の下端部に設けられるリブ35bの前端は下方へ延設され、さらに後方へ屈曲され、その先端部が上方へ半円弧状に屈曲されて、係止部36が形成されている。
【0024】
前記取付辺34は、前記フレーム21と長さの等しいほぼ板状の形材で構成され、その上端部には下方へ半円弧状に屈曲する掛止部37が形成されている。そして、図4に示すように、前記取付辺34を前記掛止部37に後方から掛止め可能となっている。
【0025】
そして、前記係止部36とリブ35cとの間隔と、掛止部37の径は、図7に示すように、取付辺34の下端を上端より室内側となるように傾け、かつその角度が鉛直線に対し27度以上としたとき、掛止部37を係止部36に掛止め可能となっている。そして、前記取付辺34を前記掛止部37に掛止めした状態では、前記取付辺34は前記掛止部37に前後方向に回動可能に支持される。
【0026】
前記取付辺34の後方に位置する収容部26bの開口部には、フレーム21の長手方向において少なくとも2箇所に抜け止め部材38が取着されている。この抜け止め部材38は合成樹脂で形成され、主板39の上面に一対の固定片40が形成され、主板39の下面につまみ片41が形成されている。
【0027】
図5及び図6に示すように、前記主板39はその長径が収容部26bのリブ35c,35dの間隔より大きくなるように形成され、その長径方向の両側に前記固定片40が形成されている。
【0028】
前記固定片40は、前記リブ35c,35d間に挿入可能とする幅で形成されるとともに、互いに外側に向かって鉤形に突出するように形成され、両固定片40の基端部の外寸は、図6に示すように、前記リブ35c,35dの間隔にほぼ等しい。また、固定片40の先端部下面には、リブ35c,35dの先端部に設けられた上方への返し部42に係合する凸部43が形成されている。前記つまみ部41は、下方に向かって台形に突出するように形成される。
【0029】
このように構成された抜け止め部材38をフレーム21に取り付けるには、前記つまみ部41を持って固定片40を収容部26b内へ挿入しながら主板39の上面をリブ35c,35dにあてがう。そして、主板39を水平方向に回動させると、図6に示すように、固定片40の凸部43がリブ35c,35dの返し部42を乗り越えて係合し、固定片40がリブ35c,35dに保持される。
【0030】
この状態では、つまみ部41の一方の斜辺41aが取付辺34の掛止部37に近接し、掛止部37の係止部36からの脱落を阻止するようになっている。
前記フレーム21の前面には、同フレーム21の全長に亘って面ファスナー44が取着され、前記取付辺34の前面には同取付辺34の全長に亘って面ファスナー45が取着される。
【0031】
そして、面ファスナー44に前記カーテン生地22aの上縁部が接着され、面ファスナー45に前記カーテン生地22bの上縁部が接着される。
上記のように構成されたたくし上げカーテンでは、組み立て時にはフレーム21の収容部26a,26b内に前記昇降コード巻取り装置27、速度調整装置28、ストッパ29を組み込み、取付辺34をフレーム21に取着する。そして、収容部26bに少なくとも2つの抜け止め部材38を取着し、図6に示すように、取付辺34を収容部26aの開口部に沿う方向に回動した状態で梱包する。
【0032】
たくし上げカーテンの設置現場では、フレーム21を取付ブラケットを介して取付面に取付け、面ファスナー44,45にカーテン生地22a,22bの上縁部を接着する。そして、各昇降コード巻取り装置27から垂下される昇降コード23を案内リング24に挿通し、フック25をカーテン生地22a,22bの下端部に取着すると、操作チェーン32の操作によりカーテン生地22a,22bをそれぞれ独立して昇降可能となる。
【0033】
上記のように構成されたたくし上げカーテンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)フレーム21と取付辺34からカーテン生地22a,22bを吊下支持して、二重タイプのたくし上げカーテンを構成することができる。
(2)フレーム21の梱包時には、取付辺34を収容部26aの開口部に沿う方向に回動させることができる。従って、梱包して運搬するとき、取付辺34の変形を未然に防止することができる。
(3)取付辺34の下端を係止部36より室内側として、取付辺34を鉛直線に対し27度以上傾けると、係止部36に対し取付辺34の掛止部37を後方から取着することができる。従って、取付辺34とフレーム21との組み立て作業時に必要とするスペースを前記従来例に比して縮小することができる。
(4)フレーム21に取付辺34を取着した後に、収容部26bの開口部に抜け止め部材38を取着することにより、取付辺34のフレーム21からの脱落を防止することができる。
(5)抜け止め部材38は、固定片40を収容部26b内に位置させて主板39を下方からリブ35c,35dにあてがい、この状態で主板39を回動することにより、固定片40をリブ35c,35dに係合させて、抜け止め部材38を収容部26bの開口部に容易に固定することができる。
(6)収容部26bに抜け止め部材38を取着した状態でも、取付辺34を前方へ回動することができるので、抜け止め部材38を取着した状態で梱包することができる。
(7)取付辺34を回動させても、掛止部37と抜け止め部材38の斜辺41aとの間隔を一定に維持することができるので、取付辺34の回動角に関わらず、取付辺34のフレーム21からの脱落を防止することができる。
【0034】
上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・フレーム21の係止部36と取付辺34の掛止部37は、取付辺を後方から掛止め可能とし、かつ取付辺を回動可能に支持する構成であれば、上記の形状に限定されるものではない。
・抜け止め部材38と同様な機能を、フレーム21の端部に取着される操作装置31あるいはキャップに備えてもよい。
・図8に示すように、フレーム21aの下面に形成された係止部36aに取付辺34を後方から取着し、その係止部36aの後方においてフレーム21aの下面に形成されたリブ46に抜け止め部材38を取着するようにしてもよい。
・図9に示すように、フレーム21b下面に形成された係止部36bに取付辺34を前方から取着し、その係止部36bの後方においてフレーム21bの下面に形成されたリブ47に抜け止め部材38を取着するようにしてもよい。
するようにしてもよい。
・図10(a)に示すように、収容部48a,48bを上下方向に積み重ねたフレーム49の後端部下縁に係止部36を形成し、その係止部36から取付辺34を吊下支持するようにしてもよい。係止部36と掛止部37はともに半円弧状であるが、図10(b)に示すように、取付辺34を水平方向に回動させた状態でのみ、係止部36に着脱可能とする。
【0035】
そして、取付辺34を係止部36に取着した後に、図10(c)に示すように、収容部48bに昇降コード巻取り装置の軸受け部材50を挿入する。また、軸受け部材50の下端部を係止部36より下方まで延設する。
【0036】
このような構成により、取付辺34は軸受け部材50に当接して水平方向に回動不能であるので、軸受け部材50に抜け止め部材としての機能を持たせることができる。従って、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】二重タイプのたくし上げカーテンを示す斜視図である。
【図2】二重タイプのたくし上げカーテンを示す側面図である。
【図3】フレームを示す側面図である。
【図4】フレームを示す斜視図である。
【図5】抜け止め部材を示す斜視図である。
【図6】取付辺を回動させた状態を示す側面図である。
【図7】取付辺の取付動作を示す側面図である。
【図8】係止部の別例を示す側面図である。
【図9】係止部の別例を示す側面図である。
【図10】(a)〜(c)は抜け止め部材の別例を示す側面図である。
【図11】従来例を示す側面図である。
【図12】従来例を示す側面図である。
【図13】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
21,21a,21b,49…フレーム、22a,22b…カーテン生地、26a,26b,48a,48b…収容部、33…中間壁、34…取付辺、36,36a,36b…係止部、37…掛止部、38,50…抜け止め部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームから複数枚のカーテン生地を吊下支持し、前記カーテン生地を昇降装置で昇降可能としたたくし上げカーテンにおいて、
前記カーテン生地を、前記フレームの前面と、前記フレームに回動可能に支持した取付辺から吊下支持し、前記取付辺を前記フレームの係止部に掛止め可能とするとともに、前記係止部からの前記取付辺の脱落を阻止する抜け止め部材を前記フレームに取着したことを特徴とするたくし上げカーテンの生地取付装置。
【請求項2】
前記フレームの下端部を上方へ屈曲して前記係止部を設け、前記取付辺の上端部を下方へ屈曲して前記係止部に掛止め可能とした掛止部を設けたことを特徴とする請求項1記載のたくし上げカーテンの生地取付装置。
【請求項3】
前記抜け止め部材は、
前記フレームの下縁部にあてがって回動可能とした主板と、
前記主板の下面に設けたつまみ片と、
前記主板の上面に設けられ、該主板の回動操作に基づいて前記フレームのリブに係合する固定片と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のたくし上げカーテンの生地取付装置。
【請求項4】
前記つまみ片は、前記固定片が前記リブに係合するとき、前記取付辺の掛止部に近接して該取付辺の前記係止部からの脱落を阻止することを特徴とする請求項3記載のたくし上げカーテンの生地取付装置。
【請求項5】
前記掛止部を半円弧状に形成するとともに、該円弧の中心を回動中心として前記係止部に回動可能に支持して、前記取付辺の回動時の掛止部と前記抜け止め部材との間隔を一定としたことを特徴とする請求項3又は4記載のたくし上げカーテンの生地取付装置。
【請求項6】
前記取付辺を前記係止部に回動可能に取着するとともに、該取付辺を水平方向に回動させた状態でのみ前記係止部に着脱可能とし、前記フレームには前記係止部より下方まで延設される昇降装置を取着して前記抜け止め部材としたことを特徴とする請求項1記載のたくし上げカーテンの生地取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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