説明

つかみ装置

【課題】伸縮袋体の寿命を長くできるとともに、伸縮袋体の外周面とワークの内周面との接触面積を十分に確保でき、把持性能に優れたつかみ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】両端開放の筒状のチューブ31と、棒状又は筒状のボディ2とを有し、給排空間15内に流体Fを供給してチューブ31を伸長させてチューブ31の周面とワーク23の周面とを接触させることでワーク23をつかむとともに、当該給排空間15内の流体Fを排出してチューブ31の周面とワーク23の周面との接触を解除させることでワーク23を離すつかみ装置1において、チューブ31が、チューブ本体とチューブ本体の外周面37に取付けられた接触面体とにより形成され、接触面体は、流体Fが給排空間15内に供給された場合に外面全体がワーク23の内周面13と面接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持性能に優れ、かつ、伸縮袋体を形成するチューブの寿命を長くできるつかみ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形部品や瓶のようなワークを搬送するつかみ装置が知られている(例えば、特許文献1など参照)。
図5;図6に示すように、従来のつかみ装置1Fは、ボディ2と伸縮袋体3とを備える。ボディ2は、断面円形状の棒体により形成される。ボディ2には、棒体の一端面4と外周面5とに跨って貫通する流体給排路6が形成される。即ち、図外の流体給排装置がボディ2の一端面4に開口する流体給排路6の一端開口部7に接続され、ボディ2の外周面5に開口する流体給排路6の他端開口部8;8が後述する給排空間15内に連通される。伸縮袋体3は、例えばゴムのような伸縮可能な弾性体により形成された両端開放の円筒形状のチューブ10と、チューブ10をボディ2の外周面5に連結する連結具としての加締めリング11;12とにより形成される。伸縮袋体3は、チューブ10の内側にボディ2が設置された状態において、チューブ10の一端開放端部18がボディ2の一端側の外周面5に加締めリング11によって取付けられ、チューブ10の他端開放端部19がボディ2の他端側の外周面5に加締めリング12によって取付けられたことによって形成される。換言すれば、一端開放端部18が加締めリング11によりボディ2の外周面5の一端側に気密状態に固定され、他端開放端部19が加締めリング12によりボディ2の外周面5の他端側に気密状態に固定されたチューブ10により伸縮袋体3が形成され、伸縮袋体3とボディ2の外周面5との間で給排空間15が形成される。伸縮袋体3は、給排空間15に対して流体給排路6を経由して給排される空気や水などの流体Fによって伸縮する構成である。
以上のような構成のつかみ装置1Fを、図外のワークの内側に移動させ、給排空間15内に流体Fを供給して伸縮袋体3を伸長させることにより、伸縮袋体3の外周面9とワークの内周面とが接触し、この接触摩擦力によりワークをつかんで移動させることができる。
即ち、両端開放の筒状のチューブ10と棒状のボディ2とを有し、チューブ10の一端開放端部18とボディ2の周面9aの一端側とが気密状態に連結され、チューブ10の他端開放端部19とボディ2の周面9aの他端側とが気密状態に連結されることで、ボディ2の周面9aとチューブ10との間に給排空間15が形成され、当該給排空間15内に流体Fを供給してチューブ10を伸長させてチューブ10の周面とワークの周面とを接触させることでワークをつかむとともに、当該給排空間15内の流体Fを排出してチューブ10の周面とワークの周面との接触を解除させることでワークを離すつかみ装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−128691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のつかみ装置1Fでは、給排空間15内に流体Fを供給すると、図6(a)〜図6(c)に示すように、伸縮袋体3の外周面9における任意の外周位置21とワーク23の内周面13とが線接触した後に、任意の外周位置21の上下の外周位置が徐々にワークの内周面13と接触する。よって、伸縮袋体3の外周面9とワーク23の内周面13との接触面積を多くするために給排空間15内の内部圧力を高めると、内部圧力が伸縮袋体3の内面全体に加わるため、伸縮袋体3の内面全体に余分な圧力が加わって伸縮袋体3の寿命を早めてしまう場合がある。このため、給排空間15内の内部圧力を弱めると、伸縮袋体3の外周面9とワーク23の内周面13との接触面積が小さくなってしまい、把持性能が落ちてしまう。また、任意の外周位置21がワーク23の内周面13に最初に接触すること、及び、任意の外周位置21がワーク23の内周面13に接触した後に任意の外周位置21の上下の外周位置が徐々にワーク23の内周面13と接触する過程で任意の外周位置21に張力が加わることにより、任意の外周位置21部分の磨耗が激しくなり、伸縮袋体3の寿命を早めてしまう場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、把持性能に優れ、かつ、伸縮袋体を形成するチューブの寿命を長くできるつかみ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るつかみ装置は、両端開放の筒状のチューブと、棒状又は筒状のボディとを有し、チューブの一端開放端部とボディの周面の一端側とが気密状態に連結され、チューブの他端開放端部とボディの周面の他端側とが気密状態に連結されることで、ボディの周面とチューブとの間に給排空間が形成され、当該給排空間内に流体を供給してチューブを伸長させてチューブの周面とワークの周面とを接触させることでワークをつかむとともに、当該給排空間内の流体を排出してチューブの周面とワークの周面との接触を解除させることでワークを離すつかみ装置において、チューブが、チューブ本体とチューブ本体の外周面に取付けられた接触面体とにより形成され、接触面体は、流体が給排空間内に供給された場合に外面全体がワークの内周面と面接触するので、把持性能に優れ、かつ、伸縮袋体を形成するチューブの寿命を長くできる。
接触面体は、流体が給排空間内に供給された場合に外周面全体がワークの内周面と面接触する鼓形筒状体により形成されたので、外周面全体がワークの内周面と面接触するため、より把持性能に優れ、かつ、伸縮袋体を形成するチューブの寿命を長くできる。
接触面体とチューブ本体とが互いに色違いのゴムにより形成されたので、磨耗判定が容易となる。
接触面体は、チューブ本体を形成するゴムの硬度よりも硬度の高いゴムにより形成されたので、接触面体の磨耗を遅らせることができ、チューブの長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】つかみ装置の動作説明図(形態1)。
【図2】つかみ装置を示す斜視図(形態1)。
【図3】(a)はチューブを構成するチューブ本体と鼓形筒状体とを分解して示した分解断面図、(b)はチューブを示す断面図(形態1)。
【図4】(a)は従来のつかみ装置を示す斜視図、(b)は従来のつかみ装置を示す断面図。
【図5】(a)は従来のつかみ装置を示す斜視図、(b)は従来のつかみ装置を示す断面図。
【図6】従来のつかみ装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
形態1
以下、形態1のつかみ装置を図1乃至図3に基いて説明する。尚、図5;図6の従来例と同じ部分は同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図1;図2に示すように、つかみ装置1の伸縮袋体30は、チューブ31と、チューブ31をボディ2の外周面5に連結する連結具としての加締めリング11;12とにより構成される。
図3(b)に示すように、チューブ31は、例えばゴムのような伸縮可能な弾性体により形成された両端開放の円筒形状のチューブ本体32と、例えばゴムのような伸縮可能な弾性体により形成された両端開放の接触面体としての外形が鼓形状の鼓形筒状体33とにより構成される。つまり、鼓形筒状体33は、筒の長さ方向の中央側で筒の厚さが筒の長さ方向の両端側での厚さよりも薄い形状に形成されたものである。つまり、鼓形筒状体33の外周面35は、筒の長さ方向の両端側から筒の長さ方向の中央側に窪む湾曲形状に形成される。
図3(a)に示すように、チューブ31は、鼓形筒状体33の筒の内側にチューブ本体32が挿入され、鼓形筒状体33の筒の内周面36とチューブ本体32の筒の外周面37とが接着され、鼓形筒状体33がチューブ本体32の外周面37を取り囲むように取付けられたことで構成される。
鼓形筒状体33の筒の内周面36とチューブ本体32の筒の外周面37との接着は、接着剤による接着でもよいし、加硫接着でもよい。
【0008】
伸縮袋体30は、チューブ本体32の筒の内側にボディ2が設置された状態において、チューブ本体32の一端開放端部18がボディ2の一端側の外周面5に加締めリング11によって取付けられ、チューブ本体32の他端開放端部19がボディ2の他端側の外周面5に加締めリング12によって取付けられたことによって形成される。伸縮袋体30とボディ2の外周面5との間で給排空間15が形成される。伸縮袋体3は、給排空間15に対して流体給排路6を経由して給排される空気や水などの流体Fによって伸縮する構成である。
【0009】
次に作用を説明する。図1(a)の状態から、流体Fが給排空間15内に供給されると、伸縮袋体30のチューブ31が伸長し、図1(b)に示すように、チューブ本体32の外周面37に取付けられた鼓形筒状体33の外周面35全体とワーク23の内周面13とが面接触し、ワーク23を把持することができる。この場合、鼓形筒状体33の筒の長さ方向の中央側で筒の厚さの薄い部分がチューブ本体32の外周面37に押されて外側に張り出すので、鼓形筒状体33の外周面35の全体とワーク23の内周面13とが面接触しやすくなる。
【0010】
形態1によれば、チューブ本体32の外周面37に取付けられてその外周面35全体がワーク23の内周面13と面接触する接触面体としての鼓形筒状体33を備えたので、把持性能に優れ、かつ、チューブ31の寿命を長くできる。
【0011】
形態1によれば、鼓形筒状体33が磨耗してチューブ本体32の外周面37が露出した場合には、チューブ31の磨耗限界であることを示すインジケータとなるので、チューブ31がパンクする前にチューブ31を容易に交換できるようになり、チューブ31がパンクしてワーク23を破損してしまうようなことも防止できる。
【0012】
尚、チューブ本体32の筒の外周面37に対する鼓形筒状体33の取付位置は、つかみ装置1の大きさや種類などによって異なるが、流体Fが給排空間15内に供給された場合に鼓形筒状体33の外周面35全体がワーク23の内周面13と面接触する位置を実験などにより求めればよい。
【0013】
形態2
形態1では、接触面体としての鼓形筒状体33を用いたが、接触面体は、チューブ本体32の外周面37に取付けられてその全体がワーク23の内周面13と接触するように設けられた図外の複数の環状体により形成してもよい。つまり、この場合、伸長していない伸縮袋体30の筒軸に沿った縦断面を視た場合に、複数の環状体の外面を繋ぐ外形線が鼓の湾曲外形線と同じになるようにすればよい。
【0014】
形態3
接触面体は、チューブ本体32の外周面37に取付けられてその全体がワーク23の内周面13と接触するように設けられた図外の複数の突起により形成してもよい。つまり、この場合、伸長していない伸縮袋体30の筒軸に沿った縦断面を視た場合に、複数の突起の外面を繋ぐ外形線が鼓の湾曲外形線と同じになるようにすればよい。
【0015】
形態4
接触面体とチューブ本体32とを互いに色違いのゴムにより形成することで、磨耗判定が容易となる。
【0016】
形態5
チューブ本体32を形成するゴムの硬度よりも接触面体を形成するゴムの硬度を高くすることで、接触面体の磨耗を遅らせることができ、チューブ31の長寿命化が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
図4(a),図4(b)に示すように、棒状のワークの外周側に位置されてワークの外周面をつかむタイプのつかみ装置1Eにも同様に適用可能である。当該つかみ装置1Eは、円筒形状のボディ2Aと伸縮袋体3Aとにより構成される。伸縮袋体3Aは、例えばゴムのような伸縮可能な弾性体により形成された両端開放の円筒形状のチューブ10Aと、チューブ10Aをボディ2Aの外周面5Aに連結する連結具としての加締めリング11A;12Aとにより形成される。伸縮袋体3Aは、チューブ10Aがボディ2Aの筒の内側に同心状に配置され、チューブ10Aの一端側が筒の一端縁を境にしてボディ2Aの筒の外周面側に折り返されて、チューブ10Aの一端開放端部18Aがボディ2Aの筒の一端側の外周面5Aに加締めリング11Aによって気密状態に固定され、チューブ10Aの他端側が筒の他端縁を境にしてボディ2Aの筒の外周面5A側に折り返されて、チューブ10Aの他端開放端部19Aがボディ2Aの筒の他端側の外周面5Aに加締めリング12Aによって気密状態に固定されたことによって形成される。ボディ2Aには、筒の内周面5Bと外周面5Aとに跨って貫通する流体給排路6Aが形成される。即ち、図外の流体給排装置が流体給排路6Aの一端開口部7Aに接続され、ボディ2の内周面5Bに開口する流体給排路6Aの他端開口部8A;8Aが後述する給排空間15Aに連通される。伸縮袋体3Aとボディ2Aの内周面5Bとの間で給排空間15Aが形成される。伸縮袋体3Aは、給排空間15Aに対して流体給排路6Aを経由して給排される空気や水などの流体によって伸縮する構成である。
以上のような構成のつかみ装置1Eのボディ2Aの内側にワークが位置されるようにつかみ装置1Eを移動させ、給排空間15A内に流体を供給して伸縮袋体3Aを伸長させることにより、ボディ2Aの内側に位置する伸縮袋体3Aの接触面9Aとワークの外周面とが接触し、この接触摩擦力によりワークをつかんで移動させることができる。
即ち、両端開放の筒状のチューブ10Aと筒状のボディ2Aとを有し、チューブ10Aの一端開放端部18Aとボディ2Aの周面9bの一端側とが気密状態に連結され、チューブの他端開放端部19Aとボディ2Aの周面9bの他端側とが気密状態に連結されることで、ボディ2Aの周面9bとチューブ10Aとの間に給排空間15Aが形成され、当該給排空間15A内に流体を供給してチューブ10Aを伸長させてチューブ10Aの周面とワークの周面とを接触させることでワークをつかむとともに、当該給排空間15A内の流体を排出してチューブ10Aの周面とワークの周面との接触を解除させることでワークを離すつかみ装置1Eである。
【符号の説明】
【0018】
1 つかみ装置、2 ボディ、6 給排路、10 チューブ、23 ワーク、
30 伸縮袋体、31 チューブ、32 チューブ本体、33 鼓形筒状体(接触面体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端開放の筒状のチューブと、棒状又は筒状のボディとを有し、チューブの一端開放端部とボディの周面の一端側とが気密状態に連結され、チューブの他端開放端部とボディの周面の他端側とが気密状態に連結されることで、ボディの周面とチューブとの間に給排空間が形成され、当該給排空間内に流体を供給してチューブを伸長させてチューブの周面とワークの周面とを接触させることでワークをつかむとともに、当該給排空間内の流体を排出してチューブの周面とワークの周面との接触を解除させることでワークを離すつかみ装置において、
チューブが、チューブ本体とチューブ本体の外周面に取付けられた接触面体とにより形成され、接触面体は、流体が給排空間内に供給された場合に外面全体がワークの内周面と面接触することを特徴とするつかみ装置。
【請求項2】
接触面体は、鼓形筒状体により形成されたことを特徴とする請求項1に記載のつかみ装置。
【請求項3】
接触面体とチューブ本体とが互いに色違いのゴムにより形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のつかみ装置。
【請求項4】
接触面体は、チューブ本体を形成するゴムの硬度よりも硬度の高いゴムにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のつかみ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−207940(P2010−207940A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55003(P2009−55003)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】