説明

つる性植物の這い上がり防止装置

【課題】地面上に立設された柱状体に対しつる性植物の這い上がり防止装置を取り付けるための取付作業が容易にできるようにする。
【解決手段】つる性植物の這い上がり防止装置は、地面上に立設された柱状体1の外周面を覆うようこの柱状体1に巻き付け可能とされるつる性植物の忌避シート3と、柱状体1の周方向における忌避シート3の一端部3bとこの忌避シート3の中途部3aとのうち、いずれか一方に長手方向の一端部が連結され、他方に長手方向の他端部が係止される索条体4とを備える。索条体4の係止により、忌避シート3の一端部3bから中途部3aに至る部分の内面が柱状体1の外周面に当接するようにする。忌避シート3の他端部3c側を忌避シート3の外面に重ね合わせ可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面上に立設された電柱など柱状体に対し、地面側からつる性植物が這い上がろうとすることを防止するつる性植物の這い上がり防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地面上に立設された柱状体の周りにおいて、地面上につる性植物が繁茂する場合には、この植物は、その特性として、生長と共に上記柱状体に巻き付くなどして這い上がろうとする。上記柱状体が電柱である場合、植物が上記したように這い上がることにより架設電線にまで達したとすると、この電線に無用な負荷を与えるなどの不都合が生じるおそれがある。
【0003】
そこで、従来、上記した植物の這い上がりを防止するつる性植物の這い上がり防止装置として、下記特許文献1のものが提案されている。この公報のものによれば、這い上がり防止装置は、地面上に立設された柱状体の外周面を覆うようこの柱状体に巻き付け可能とされるシートと、上記柱状体に巻き付けられた上記シートの外周面に更に巻き付けられて、このシートを上記柱状体に取り付け可能とするバンドとを備えている。そして、上記シートによれば、このシートを越えて植物が柱状体を這い上がろうとすることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−35686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術における這い上がり防止装置を柱状体に取り付ける取付作業をする場合には、次のようにすることが考えられる。即ち、作業者は、まず、両手を使うことにより、上記柱状体の外周面に上記シートを巻き付ける。次に、このシートの巻き付け状態を維持しつつ、両手を使うことにより、このシートの外周面にバンドを巻き付けて締結する。これにより、上記柱状体にシートが取り付けられて、上記這い上がり防止装置の取付作業が終了する。
【0006】
ここで、上記取付作業において、上記したように柱状体へのシートの巻き付け状態を維持しつつ、両手を使うことにより、このシートの外周面にバンドを巻き付けて締結する、という作業は容易でなく煩雑である。特に、上記取付作業は柱状体の上部に対しなされる場合があり、これは高所作業である。このため、このような高所における上記取付作業は極めて煩雑になると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、地面上に立設された柱状体に対しつる性植物の這い上がり防止装置を取り付ける場合に、その取付作業が容易にできるようにすることである。
【0008】
請求項1の発明は、地面上に立設された柱状体1の外周面を覆うようこの柱状体1に巻き付け可能とされるつる性植物の忌避シート3と、上記柱状体1の周方向における上記忌避シート3の一端部3bとこの忌避シート3の中途部3aとのうち、いずれか一方に長手方向の一端部が連結され、他方に長手方向の他端部が係止される索条体4とを備え、この索条体4の上記係止により上記忌避シート3の一端部3bから中途部3aに至る部分の内面が上記柱状体1の外周面に当接するようにし、かつ、上記忌避シート3の他端部3c側をこの忌避シート3の外面に重ね合わせ可能にしたことを特徴とするつる性植物の這い上がり防止装置である。
【0009】
請求項2の発明は、上記索条体4が、その長手方向に弾性的に伸縮可能な長尺体9を有したことを特徴とする請求項1に記載のつる性植物の這い上がり防止装置である。
【0010】
請求項3の発明は、上記忌避シート3の他端部3c側をこの忌避シート3の外面に連結可能とする連結具6を備えたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のつる性植物の這い上がり防止装置である。
【0011】
請求項4の発明は、上記柱状体1の外周面と忌避シート3との間に介設され、この忌避シート3の面方向かつ厚さ方向にそれぞれ通水性を有する排水シート5を備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載のつる性植物の這い上がり防止装置である。
【0012】
請求項5の発明は、上記排水シート5が樹脂製線状材15を有し、この線状材15が上記忌避シート3の内面に沿って繰り返し屈曲するよう延びると共に、上記線状材15の長手方向における各部分同士が上記忌避シート3の厚さ方向で互いに重ねられて交差させられていることを特徴とする請求項4に記載のつる性植物の這い上がり防止装置である。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、地面上に立設された柱状体の外周面を覆うようこの柱状体に巻き付け可能とされるつる性植物の忌避シートと、上記柱状体の周方向における上記忌避シートの一端部とこの忌避シートの中途部とのうち、いずれか一方に長手方向の一端部が連結され、他方に長手方向の他端部が係止される索条体とを備え、この索条体の上記係止により上記忌避シートの一端部から中途部に至る部分の内面が上記柱状体の外周面に当接するようにし、かつ、上記忌避シートの他端部側をこの忌避シートの外面に重ね合わせ可能にしている。
【0016】
このため、上記這い上がり防止装置を柱状体に取り付ける取付作業をする場合の一例として、まず、作業者は、上記索条体の一端部が連結されていない忌避シートの一端部もしくは中途部を一方の手で把持し、他方の手で索条体の他端部側を把持することにより、上記柱状体の外周面に上記忌避シートの一端部から中途部に至る部分を巻き付ける。そして、次に、上記索条体の他端部を上記忌避シートの一端部もしくは中途部に弾性的に係止させる。すると、上記忌避シートの一端部から中途部に至る部分の内面が柱状体の外周面に当接して、この柱状体に対し上記忌避シートの仮止めができる。よって、その後の取付作業では、柱状体への忌避シートの巻き付け状態を維持する作業は不要にできる。
【0017】
そして、その後の取付作業として、上記忌避シートの他端部側をこの忌避シートの外面に重ね合わせれば、上記柱状体に対する上記忌避シートの巻き付け作業が終了するが、この作業は両手を使うことにより、容易にすることができる。
【0018】
つまり、上記発明によれば、柱状体への這い上がり防止装置の取付作業において、上記したように索条体の他端部を忌避シートに係止させれば、柱状体に対する忌避シートの仮止めができるため、その後の取付作業では、作業者の自由度が向上し、よって、この取付作業が容易にできることとなる。
【0019】
請求項2の発明は、上記索条体が、その長手方向に弾性的に伸縮可能な長尺体を有している。
【0020】
このため、上記取付作業において、索条体の他端部を、この索条体の一端部が連結されていない忌避シートの一端部もしくは中途部に係止させて柱状体に対し忌避シートを仮止めする場合、上記索条体の他端部を忌避シートの一端部もしくは中途部に弾性的に係止させることができる。よって、この係止によれば、上記忌避シートの内面を柱状体の外周面に圧接させるよう当接させることができることから、上記仮止めが、より確実に達成される。
【0021】
請求項3の発明は、上記忌避シートの他端部側をこの忌避シートの外面に連結可能とする連結具を備えている。
【0022】
このため、上記取付作業において、柱状体に対し上記忌避シートを巻き付けたとき、この巻き付け状態は上記連結具によって維持される。よって、その後の取付作業がより容易にできる。
【0023】
請求項4の発明は、上記柱状体の外周面と忌避シートとの間に介設され、この忌避シートの面方向かつ厚さ方向にそれぞれ通水性を有する排水シートを備えている。
【0024】
ここで、上記柱状体の外周面と、この柱状体に巻き付けられた忌避シートの内面との間の隙間に雨水が浸入した場合に、この雨水が排水されないまま長期にわたり滞留したとすると、この雨水により柱状体の外周面やこの外周面における何らかの金具が発錆するおそれを生じる。
【0025】
しかし、上記発明によれば、上記隙間に浸入雨水は、上記排水シートにより上記隙間の下方に排水されることから、上記隙間での雨水の滞留が防止され、よって、上記発錆が防止される。
【0026】
また、特に、上記したように排水シートは忌避シートの面方向かつ厚さ方向に通水性を有しているため、上記隙間はその厚さ方向で狭い空間であるが、上記排水シートを通して空気の流動も促進される。よって、上記隙間からの排水が円滑になされると共に、水の蒸発も円滑になされることから、上記隙間での雨水の滞留はより確実に防止される。
【0027】
請求項5の発明は、上記排水シートが樹脂製線状材を有し、この線状材が上記忌避シートの内面に沿って繰り返し屈曲するよう延びると共に、上記線状材の長手方向における各部分同士が上記忌避シートの厚さ方向で互いに重ねられて交差させられている。
【0028】
このため、第1に、上記排水シートの線状材は、上記柱状体の外周面と忌避シートの内面とに対しそれぞれ線接触、もしくは点接触しがちとなる。よって、上記隙間からの排水がより円滑になされて、上記隙間での雨水の滞留がより確実に防止される。
【0029】
しかも、上記柱状体の外周面と忌避シートとの間に介設された上記排水シートは、上記したように忌避シートの内面に沿って延びる線状材により形成されたものであって、この排水シートの厚さ方向の寸法は小さく抑制される。また、上記柱状体の外周面と忌避シートの内面との間の隙間と上記線状材同士の間の空間とで形成される排水通路は狭く抑制され、かつ、ラビリンス形状となっている。よって、上記したように隙間の排水をしようとして排水シートを設けた場合でも、上記隙間を通ることによってつる性植物が這い上がる、という不都合の発生は防止される。
【0030】
また、第2に、上記忌避シートの厚さ方向でこの忌避シートを介し上記排水シートに対し風力など何らかの外力が与えられたとしても、上記線状材同士の交差部を含む長手方向各部での線状材の断面形状は変化し難い。よって、上記線接触、もしくは、点接触が強固に維持されることから、上記隙間からの排水が更に円滑になされて、上記隙間での雨水の滞留は更に確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】這い上がり防止装置の展開正面図である。
【図2】這い上がり防止装置の展開平面図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】柱状体への這い上がり防止装置の取付作業の説明図である。
【図5】柱状体に這い上がり防止装置を取り付けた図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のつる性植物の這い上がり防止装置に関し、地面上に立設された柱状体に対しつる性植物の這い上がり防止装置を取り付ける場合に、その取付作業が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0033】
即ち、つる性植物の這い上がり防止装置は、地面上に立設された柱状体の外周面を覆うようこの柱状体に巻き付け可能とされるつる性植物の忌避シートと、上記柱状体の周方向における上記忌避シートの一端部とこの忌避シートの中途部とのうち、いずれか一方に長手方向の一端部が連結され、他方に長手方向の他端部が係止される索条体とを備える。この索条体の上記係止により上記忌避シートの一端部から中途部に至る部分の内面が上記柱状体の外周面に当接するようにする。また、上記忌避シートの他端部側をこの忌避シートの外面に重ね合わせ可能にする。
【実施例】
【0034】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0035】
図1〜3において、符号1は、地面上に立設される柱状体であり、この柱状体1は、電柱として例示される。また、符号2は、上記柱状体1に対し、地面側からつる性植物のが這い上がろうとすることを防止するつる性植物の這い上がり防止装置であり、この這い上がり防止装置2は上記柱状体1に取り付け可能とされている。なお、上記柱状体1は、断面が円形状の他、矩形状など多角形であってもよい。また、柱状体1は構造物の柱、マスト、ポール、煙突などであってもよい。
【0036】
上記這い上がり防止装置2は、上記柱状体1の外周面に巻き付け可能とされるつる性植物の忌避シート3と、上記柱状体1の周方向における上記忌避シート3の中途部3aの内面に一端部が連結され、他端部が上記忌避シート3の一端部3bに係脱可能に係止される索条体4と、上記柱状体1の外周面と忌避シート3との間に介設され、この忌避シート3の面方向かつ厚さ方向にそれぞれ通水性を有する排水シート5とを備えている。
【0037】
上記柱状体1の周方向における上記忌避シート3の他端部3c側は、上記柱状体1に巻き付けられた忌避シート3の外面に重ね合わせ可能とされている。上記忌避シート3の他端部3c側を上記忌避シート3の外面に離脱可能に連結可能とする面テープである連結具6が設けられている。
【0038】
また、上記這い上がり防止装置2は、上記柱状体1に巻き付けられた上記忌避シート3の外周面に巻き付けられて、この忌避シート3を柱状体1に対し締結可能とするバンド7を備えている。
【0039】
上記忌避シート3は可撓性を有し、樹脂製繊維による織編物や不織布製の基材と、この基材に被覆される樹脂、及び樹脂に含有され植物の生長を阻害する忌避剤とを備えている。上記忌避シート3は、上記柱状体1の周方向に長い長方形状をなし、その寸法は幅×長さが1m×1.3m程度である。なお、忌避剤は、上記のように被覆される樹脂の表面に付着させたり塗布してもよい。また、忌避剤と共に耐候性を付与させるための耐候剤を含有させてもよい。
【0040】
なお、この忌避シート3は、外面の摩擦係数を極めて小さくすることにより植物の這い上がりを不能にするものであってもよい。
【0041】
前記索条体4は、柱状体1の長手方向(忌避シート3の幅方向)で複数本(3本)がほぼ等間隔に設けられている。上記各索条体4は、その一端部が上記忌避シート3の中途部3aの内面に連結され、他端部が自由端とされて長手方向に弾性的に伸縮可能なゴムベルト製長尺体9と、この長尺体9の他端部に取り付けられ、上記忌避シート3の一端部3bに形成された係止孔である係止部10に係止される係止フックである被係止部11と、上記長尺体9の自然長の長さを調整可能とする調整具12とを有している。
【0042】
具体的には、上記忌避シート3の中途部3aの内面と一端部3bの外面とには、それぞれ柱状体1の長手方向に延びる帯状連結片13,14のそれぞれ幅方向の一端部が取り付けられている。そして、これら両連結片13,14のうち、一方の連結片13の幅方向の他端部側に上記各索条体4の一端部が連結され、他方の連結片14の幅方向の他端部側に上記各係止部10が形成されている。つまり、上記各索条体4の一端部は上記忌避シート3の中途部3aの内面に間接的に連結され、上記各係止部10は上記忌避シート3の一端部3bに間接的に形成されている。
【0043】
上記構成によれば、上記各索条体4側から忌避シート3側に与えられる負荷は上記各連結片13,14によって分散される。よって、柱状体1への這い上がり防止装置2の取り付け時に、上記外力によって忌避シート3に皺が生じることは防止される。
【0044】
なお、上記連結片13,14を設けないで、上記忌避シート3に各索条体4の一端部を直接連結してもよく、上記忌避シート3に直接係止部10を形成してもよい。
【0045】
また、上記長尺体9は伸縮性の無いベルト、ロープ、チェーンなどであってもよい。また、上記調整具12は無くてもよい。また、上記係止部10と被係止部11とは上記忌避シート3と索条体4に対し逆に設けてもよい。また、上記係止部10と被係止部11とはスナップの凸形部と凹形部であってもよい。
【0046】
特に、図2,3で示すように、前記排水シート5は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)など樹脂製線状材15を有している。この線状材15は、上記忌避シート3の内面に沿って繰り返し屈曲するよう延びると共に、上記線状材15の長手方向における各部分同士が上記忌避シート3の厚さ方向で互いに重ねられて交差(図3中a点)させられている。また、上記排水シート5は、不図示の接着材によって上記忌避シート3の内面に部分的に取り付けられている。
【0047】
図3で示した上記排水シート5の部分拡大図は、実寸のもののほぼ2倍のものである。具体的には、上記排水シート5に良好な通水性が得られるようにするため、その線状材15の断面は円形とされ、その直径が0.5〜1.5mmφとされ、排水シート5を平面視した場合、単位面積当りの線状材15の上記交差の数は3〜10個/cmとされている。
【0048】
前記バンド7は、柱状体1の長手方向(忌避シート3の幅方向)で複数本(3本)がほぼ等間隔に設けられている。上記各バンド7は、上記忌避シート3の外周面に巻き付けられる長尺体18と、この長尺体18の一端部に取り付けられ、他端部側の長手方向の任意位置を着脱可能に固着して上記忌避シート3を柱状体1に対し締結可能とするバックル19とを備えている。なお、上記バンド7は、その長手方向に弾性的に伸縮可能なゴムベルトであってもよく、伸縮性の無いベルトであってもよい。また、上記バンド7は、バックル19を有しないベルト、ロープ、チェーン、針金などであってもよく、これらの各端部に前記係止部10と被係止部11と同構成のものを形成してもよい。
【0049】
特に、図2,4において、上記構成の這い上がり防止装置2を柱状体1に取り付ける取付作業をする一例として、作業者22は、まず、上記這い上がり防止装置2を所持し、柱状体1に突設されたステップ23を足場にして柱状体1の所望高さにまで登る。次に、作業者22は、上記ステップ23に両足を掛けることと上記柱状体1に対し保持ベルト24により胴部を保持することとにより、柱状体1に対し所定姿勢を確保する。
【0050】
次に、作業者22は、一方の手で上記忌避シート3の一端部3bを把持し、他方の手で1本の索条体4の他端部側を把持することにより、上記柱状体1の外周面に上記忌避シート3の一端部3bから中途部3aに至る部分を上記排水シート5と共に巻き付ける。そして、次に、図2中二点鎖線と図4とで示すように、上記索条体4の他端部を上記忌避シート3の一端部3bに弾性的に係止させる。また、上記と同様の作業を他の索条体4についても行う。すると、上記忌避シート3の一端部3bから中途部3aに至る部分の内面が柱状体1の外周面に圧接するよう当接して、この柱状体1に対し上記忌避シート3の仮止めができる。よって、その後の取付作業では、柱状体1の外周面への忌避シート3の巻き付け状態を維持する作業は不要にできる。
【0051】
そして、その後の取付作業として、上記忌避シート3の他端部3c側をこの忌避シート3の外面に重ね合わせてこの忌避シート3の外面に連結具6により連結すれば、上記柱状体1に対する上記忌避シート3の巻き付け作業が終了するが、この作業は両手を使うことにより、容易にすることができる。また、このように巻き付けられた上記忌避シート3の外周面にバンド7を巻き付けて締結させれば、上記柱状体1への這い上がり防止装置2の取付作業が終了するが、上記バンド7の巻き付けや締結作業も両手を使うことにより、容易にすることができる。
【0052】
つまり、上記構成によれば、柱状体1への這い上がり防止装置2の取付作業において、上記したように索条体4の他端部を忌避シート3の一端部3bに係止させれば、柱状体1に対する忌避シート3の仮止めができるため、その後の取付作業では、作業者22の自由度が向上し、よって、この取付作業が容易にできることとなる。
【0053】
なお、上記各索条体4は、その一端部を上記忌避シート3の一端部3bに連結し、他端部を上記忌避シート3の中途部3aの内面に係脱可能に係止させるようにしてもよい。このようにした場合には、前記取付作業において、柱状体1に対し忌避シート3を仮止めするに際しては、一方の手で忌避シート3の中途部3aを把持し、他方の手で索条体4の他端部側を把持することとし、その他は前記と同様にして、この索条体4の他端部を上記忌避シート3の中途部3aに係止させればよい。
【0054】
また、前記したように、索条体4が、その長手方向に弾性的に伸縮可能な長尺体9を有している。
【0055】
このため、上記取付作業において、索条体4の他端部を、この索条体4の一端部が連結されていない忌避シート3の一端部3bもしくは中途部3aに係止させて柱状体1に対し忌避シート3を仮止めする場合、上記索条体4の他端部を忌避シート3の一端部3bもしくは中途部3aに弾性的に係止させることができる。よって、この係止によれば、上記忌避シート3の内面を柱状体1の外周面に圧接させるよう当接させることができることから、上記仮止めが、より確実に達成される。
【0056】
また、前記したように、忌避シート3の他端部3c側をこの忌避シート3の外面に連結可能とする連結具6を備えている。
【0057】
このため、上記取付作業において、柱状体1に対し上記忌避シート3を巻き付けたとき、この巻き付け状態は上記連結具6によって維持される。よって、その後の取付作業がより容易にできる。
【0058】
また、前記したように、柱状体1の外周面と忌避シート3との間に介設され、この忌避シート3の面方向かつ厚さ方向にそれぞれ通水性を有する排水シート5を備えている。
【0059】
ここで、上記柱状体1の外周面と、この柱状体1に巻き付けられた忌避シート3の内面との間の隙間に雨水が浸入した場合に、この雨水が排水されないまま長期にわたり滞留したとすると、特に柱状体が金属性のものである場合は、この雨水により柱状体1の外周面やこの外周面における何らかの金具が発錆するおそれを生じる。
【0060】
しかし、上記構成によれば、上記隙間に浸入雨水は、上記排水シート5により上記隙間の下方に排水されることから、上記隙間での雨水の滞留が防止され、よって、上記発錆が防止される。
【0061】
また、特に、上記したように排水シート5は忌避シート3の面方向かつ厚さ方向に通水性を有しているため、上記隙間はその厚さ方向で狭い空間であるが、上記排水シート5を通して空気の流動も促進される。よって、上記隙間からの排水が円滑になされると共に、水の蒸発も円滑になされることから、上記隙間での雨水の滞留はより確実に防止される。
【0062】
また、前記したように、排水シート5が樹脂製線状材15を有し、この線状材15が忌避シート3の内面に沿って繰り返し屈曲するよう延びると共に、上記線状材15の長手方向における各部分同士が上記忌避シート3の厚さ方向で互いに重ねられて交差させられている。
【0063】
このため、第1に、上記排水シート5の線状材15は、上記柱状体1の外周面と忌避シート3の内面とに対しそれぞれ線接触、もしくは点接触しがちとなる。よって、上記隙間からの排水がより円滑になされて、上記隙間での雨水の滞留がより確実に防止される。
【0064】
しかも、上記柱状体1の外周面と忌避シート3との間に介設された上記排水シート5は、上記したように忌避シート3の内面に沿って延びる線状材15により形成されたものであって、この排水シート5の厚さ方向の寸法は小さく抑制される。また、上記柱状体1の外周面と忌避シート3の内面との間の隙間と上記線状材15同士の間の空間とで形成される排水通路は狭く抑制され、かつ、ラビリンス形状となっている。よって、上記したように隙間の排水をしようとして排水シート5を設けた場合でも、上記隙間を通ることによってつる性植物が這い上がる、という不都合の発生は防止される。
【0065】
また、第2に、上記忌避シート3の厚さ方向でこの忌避シート3を介し上記排水シート5に対し風力など何らかの外力が与えられたとしても、上記線状材15同士の交差部を含む長手方向各部での線状材15の断面形状は変化し難い。よって、上記線接触、もしくは、点接触が強固に維持されることから、上記隙間からの排水が更に円滑になされて、上記隙間での雨水の滞留は更に確実に防止される。
【0066】
また、前記したように、忌避シート3の内面に排水シート5を取り付けている。
【0067】
このため、前記柱状体1への這い上がり防止装置2の取付作業において、柱状体1の外周面に忌避シート3を巻き付けるとき、この忌避シート3と一体的に上記排水シート5も同時に巻き付けられる。よって、上記這い上がり防止装置2が排水シート5を備える場合であっても、上記取付作業は容易にできる。
【0068】
なお、上記這い上がり防止装置2の取付作業は、作業者22が柱状体1に登らないで行なってもよく、また、車両に搭載された昇降式バケット上の作業者が行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記忌避シート3の他端部3cに、この他端部3cに沿って延びる剛性の棒状体を取り付けてもよい。このようにすれば、上記忌避シート3の他端部3c側をこの忌避シート3の外面に重ね合わせるとき、この忌避シート3の他端部3c側に皺が生じることを防止できる。上記忌避シート3の他端部3cへの棒状体の取り付けは、上記忌避シート3の他端部3cを袋状に形成し、その内部に棒状体を挿入すること等によって可能とされる。
【符号の説明】
【0070】
1 柱状体
2 這い上がり防止装置
3 忌避シート
3a 中途部
3b 一端部
3c 他端部
4 索条体
5 排水シート
6 連結具
7 バンド
9 長尺体
10 係止部
11 被係止部
13 連結片
14 連結片
15 線状材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上に立設された柱状体の外周面を覆うようこの柱状体に巻き付け可能とされるつる性植物の忌避シートと、上記柱状体の周方向における上記忌避シートの一端部とこの忌避シートの中途部とのうち、いずれか一方に長手方向の一端部が連結され、他方に長手方向の他端部が係止される索条体とを備え、この索条体の上記係止により上記忌避シートの一端部から中途部に至る部分の内面が上記柱状体の外周面に当接するようにし、かつ、上記忌避シートの他端部側をこの忌避シートの外面に重ね合わせ可能にしたことを特徴とするつる性植物の這い上がり防止装置。
【請求項2】
上記索条体が、その長手方向に弾性的に伸縮可能な長尺体を有したことを特徴とする請求項1に記載のつる性植物の這い上がり防止装置。
【請求項3】
上記忌避シートの他端部側をこの忌避シートの外面に連結可能とする連結具を備えたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載のつる性植物の這い上がり防止装置。
【請求項4】
上記柱状体の外周面と忌避シートとの間に介設され、この忌避シートの面方向かつ厚さ方向にそれぞれ通水性を有する排水シートを備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載のつる性植物の這い上がり防止装置。
【請求項5】
上記排水シートが樹脂製線状材を有し、この線状材が上記忌避シートの内面に沿って繰り返し屈曲するよう延びると共に、上記線状材の長手方向における各部分同士が上記忌避シートの厚さ方向で互いに重ねられて交差させられていることを特徴とする請求項4に記載のつる性植物の這い上がり防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70513(P2012−70513A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212191(P2010−212191)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】