説明

つる植物誘引装置

【課題】つる植物を高所まで這い上がらせることができ、しかも、それを施工容易に実現することができ、加えて、つる植物の手入れや実の収穫の作業も容易にすることができる植物誘引装置を提供する。
【解決手段】間隔をおいて立てられた支柱2,2間に水平な上下の桟4,5がわたされ、下桟4は固定で、上桟5は支柱に沿って昇降可能であり、上下の桟間に複数本の中桟12…が配列され、これら桟4,5,12…がバネ13…で連結され、上桟5を上昇させることで、各バネが弾性的に伸長し桟間の間隔寸法を大きくし誘引ネット14が各桟間で上下方向に張った状態となり、上桟5を下降させることで、各バネが弾性的に復元し桟間の間隔寸法を小さくし誘引ネット14が各桟間で上下方向に弛んだ状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つる植物誘引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
つる植物誘引装置して、垂直に立てた金網や格子につる植物を絡みつかさせるようにしたものは、従来より、提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−144129号公報
【特許文献2】特開平10−313692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、つる植物をヒトの背を越えるような高所にまで這い上がらせるような場合、金網や格子の施工に足場が必要となって、施工が容易ではないという問題がある。
【0005】
また、高所まで這い上がったつる植物の手入れをしたり、実を収穫したりするのにも、足場が必要で、手入れや収穫が容易でないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、つる植物を高所まで這い上がらせることができ、しかも、それを施工容易に実現することができ、加えて、つる植物の手入れや実の収穫の作業も容易にすることができる植物誘引装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、間隔をおいて立てられた支柱間に水平な上下の桟がわたされ、下桟は固定で、上桟は支柱に沿って昇降可能に備えられ、
該上下の桟間に複数本の水平な中桟が上下方向に間隔をおいて配列されると共に、上桟と最上の中桟とがバネで連結され、隣り合う中桟同士がバネで連結され、最下の中桟と下桟とがバネで連結され、かつ、前記上下の桟と各中桟とにつる植物誘引ネットが連結され、
上桟を上昇させていくことにより、各バネが弾性的に伸長していって桟間の間隔寸法を大きくしていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に張った状態となっていくようになされており、
上桟を下降させていくことにより、各バネが弾性的に復元していって桟間の間隔寸法を小さくしていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に弛んだ状態となっていくようになされていることを特徴とするつる植物誘引装置によって解決される。
【0008】
この装置では、上桟を下降状態にすることで、バネや中桟、誘引ネットの取付けを低所で行うことができ、バネを復元力に抗して大きく伸長させる必要もなく、施工を容易にすることができる。
【0009】
しかも、バネや中桟、誘引ネットの取付けを行った後、上桟を上昇させれば、各バネが弾性的に伸長して桟間の間隔寸法が大きくなっていき、誘引ネットは、各桟間で上下方向に張った状態となって、高所にまで張り上げられ、それによって、つる植物を高所まで這い上がらせることができる。
【0010】
加えて、つる植物の手入れや実の収穫を行うときは、上桟を下降させれば、各バネが弾性的に復元していって桟間の間隔寸法が小さくなっていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に弛んだ状態となっていくので、高所にあったつる植物の手入れや実の収穫を低所にて行うことができ、つる植物の手入れや実の収穫の作業を容易にすることができる。
【0011】
そして、上下の桟間に複数本の水平な中桟が上下方向に間隔をおいて配列され、上桟と最上の中桟とがバネで連結され、隣り合う中桟同士がバネで連結され、最下の中桟と下桟とがバネで連結され、前記上下の桟と各中桟とにつる植物誘引ネットが連結された構成において、上桟を上昇させていくことにより、各バネが弾性的に伸長していって桟間の間隔寸法を大きくしていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に張った状態となっていくようになされており、上桟を下降させていくことにより、各バネが弾性的に復元していって桟間の間隔寸法を小さくしていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に弛んだ状態となっていくようになされているので、
つる植物は、誘引ネットのみならず、誘引ネットを連結している上下の桟や中桟にも絡みつくことができて、つる植物をしっかり支えることができると共に、つる植物の手入れや実の収穫のための上桟の昇降操作によってつる植物が傷付いてしまうのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のとおりのものであるから、つる植物を高所まで這い上がらせることができ、しかも、それを施工容易に実現することができ、加えて、つる植物の手入れや実の収穫の作業も容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のつる植物誘引装置を示すもので、図(イ)は正面図、図(ロ)は図(イ)のI−I線断面矢視図である。
【図2】成長したつる植物に対する手入れや実の収穫の方法を示すもので、図(イ)は正面図、図(ロ)は図(イ)のII−II線断面矢視図である。
【図3】図(イ)及び図(ロ)は、図3(イ)(ロ)と共に、誘引装置の形成方法を順次に示す正面図である。
【図4】図(イ)及び図(ロ)は、図2(イ)(ロ)と共に、誘引装置の形成方法を順次に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示す実施形態のつる植物誘引装置1は、例えば壁面緑化に用いられるもので、2,2は左右の支柱であり、これらの支柱2,2は、例えば、建物の壁面に沿うように互いに間隔をおいて、地面3に立てられる。そして、支柱2,2間には、水平な上下の桟4,5がわたされ、下桟4はその両端が左右の支柱2,2に固定されており、上桟5は昇降機構6により支柱2,2に沿って昇降することができるようになされている。
【0016】
昇降機構6は、左右の支柱2,2のそれぞれに取り付けられた上下の滑車7,8にロープ9が掛けられ、上下の滑車7,8間において各支柱2,2に取り付けられた巻上げ部10を左右方向に延びる水平な連動用の巻上げバー11で連結したもので、上下方向に延びるロープ部分にブラケット15で上桟5の端部が取り付けられ、巻上げバー11を回転操作することにより、上桟5を水平状態に保ちながら昇降させることができるようになされている。
【0017】
そして、上下の桟4,5間に複数本の水平な中桟12…が上下方向に間隔をおいて配列されると共に、上桟5と最上の中桟12とが左右方向に間隔をおいた複数のバネ13…で連結され、隣り合う中桟12…同士も左右方向に間隔をおいた複数のバネ13…で連結され、最下の中桟12と下桟4も左右方向に間隔をおいた複数のバネ13…で連結され、上下の桟4,5と各中桟12…とにつる植物誘引ネット14が連結されて、つる植物誘引装置1が構成されている。
【0018】
中桟12…やバネ13…、誘引ネット14の施工は、次のようにして行う。即ち、図3(イ)に示すように、上桟5を低所に下降させた後、図3(ロ)に示すように、上桟5にバネ13…を吊り下げ状態に取り付け、これらバネ13…の下端部に中桟12を連結し、該中桟12にバネ13…を吊り下げ状態に取り付け、これらバネ13…の下端部に次の中桟12を連結するという作業を繰り返していき、そして、図4(イ)に示すように、最下の中桟12にバネ13…を吊り下げ状態に取り付けた後、これらバネ13…を下桟4に連結する。しかる後、図4(ロ)に示すように、誘引ネットを上下の桟4,5及び中桟12…間で上下方向に弛んだ状態となるように、各桟4,5,12…に連結する。
【0019】
そして、図1に示すように、巻上げバー11を回転させることにより、上桟5を高所へと上昇させていく。すると、各バネ13…が弾性的に伸長していって桟4,5,12…間の間隔寸法が大きくなっていき、誘引ネット14が各桟4,5,12…間で上下方向に張った状態となる。以上のようにして、つる植物誘引装置1が形成される。
【0020】
つる植物は、例えば、左右の支柱2,2間の地面3に植えられ、誘引ネット14に誘引すれば、上桟5に向けて高所へと這い上がって成長していくことかできる。
【0021】
このように、上記のつる植物誘引装置1によれば、上桟5を下降状態にすることで、バネ13…や中桟12…、誘引ネット14の取付けを低所で行うことができ、これらの施工を容易にすることができる。
【0022】
しかも、バネ13…や中桟12…、誘引ネット14の取付けを行った後、上桟5を上昇させていけば、各バネ13…が弾性的に伸長して桟4,5,12…間の間隔寸法が大きくなっていき、誘引ネット14は、各桟4,5,12…間で上下方向に張った状態となって、高所にまで張り上げられ、それによって、つる植物を高所まで這い上がらせることができる。
【0023】
特に、つる植物は、這い上がっていく過程で、誘引ネット14に支えられるのみならず、上下の桟4,5や中桟12…にも支えられて、安定良く這い上がっていくことができる。
【0024】
そして、高所まで成長したつる植物に対し、手入れを行ったり、実を収穫する場合は、図2に示すように、巻上げバー11を逆方向に回転させて上桟5を低所へと下降させていけばよい。すると、各バネ13…は弾性的に復元していって、桟4,5,12…間の間隔寸法は小さくなっていき、誘引ネット14は各桟4,5,12…間で上下方向に弛んだ状態となり、つる植物は上下方向において均等的に短縮される。これにより、高所まで這い上がったつる植物を低所に位置させて、低所において、つる植物の手入れを行ったり、実の収穫を行ったりすることができて、作業を容易に行うことができる。しかも、バネ13…と中桟12…とによってつる植物が上記のように上下方向において均等的に短縮されることにより、つる植物が傷付いてしまうのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0025】
1…植物誘引装置
2…支柱
4…下桟
5…上桟
12…中桟
13…バネ
14…植物誘引ネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて立てられた支柱間に水平な上下の桟がわたされ、下桟は固定で、上桟は支柱に沿って昇降可能に備えられ、
該上下の桟間に複数本の水平な中桟が上下方向に間隔をおいて配列されると共に、上桟と最上の中桟とがバネで連結され、隣り合う中桟同士がバネで連結され、最下の中桟と下桟とがバネで連結され、かつ、前記上下の桟と各中桟とにつる植物誘引ネットが連結され、
上桟を上昇させていくことにより、各バネが弾性的に伸長していって桟間の間隔寸法を大きくしていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に張った状態となっていくようになされており、
上桟を下降させていくことにより、各バネが弾性的に復元していって桟間の間隔寸法を小さくしていき、誘引ネットが各桟間で上下方向に弛んだ状態となっていくようになされていることを特徴とするつる植物誘引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−252725(P2010−252725A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108272(P2009−108272)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】