説明

なめくじ駆除具

【課題】“なめくじ誘殺剤”が雨に濡れることを防止し、併せて“なめくじ”の死骸処理を容易にする。
【解決手段】上方開口端部が略平面上にあり、内壁が内底に向けて斜め内向きに傾斜した容器の上方開口端部に“なめくじ”が通過できる大きさの切欠きを1〜複数個設ける。底部に“なめくじ誘殺剤”を接着、塗布等の方法で付着させ、底部側を上、開口端部を下にした状態で“なめくじ”出没個所に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、“なめくじ誘殺剤”を使用して“なめくじ”を退治する際に使用する“なめくじ駆除具”に関する。
【背景技術】
【0002】
“なめくじ”は夜行性で夜間に畑や家庭菜園の野菜、花、果物の葉を食い荒らして被害を与える。また、梅雨時期などの湿度の高い時期には家屋に侵入することもあり不衛生である。この“なめくじ”を駆除する手段の一つとして“なめくじ誘殺剤”と呼ばれる駆除剤が各種市販されている。“なめくじ誘殺剤”は、例えばメタアルデヒドを含む粉末状、錠剤状、塊状の薬剤で、“なめくじ”を誘引し、薬剤を食べた“なめくじ”を致死させるものである。
【0003】
しかし、こうした“なめくじ誘殺剤”には水分が加わると効力が著しく低下する弱点があり、地面に撒いたり、空き缶、容器等に入れて屋外に置いたりした場合には雨に濡れて効果がなくなってしまう。屋内でビニールの上に置いたり撒いたりした場合には雨に濡れる心配はないが、“なめくじ”の体は90%以上が水分であるため“なめくじ”の死骸からでる水分で“なめくじ誘殺剤”が湿り、効力が弱まってしまう。
【0004】
従来技術として、例えば特許文献1には中空筒の両端開口縁に斜め内側に向かう折り返しを設け、内面に誘引性の殺虫剤を付着させた駆除具を“なめくじ”の出没個所に横置きしておく駆除方法が開示されている。しかし、この駆除具の場合、雨が少し斜めに降りかかると折り返しの奥にまで雨粒が入り込み、横置きされた筒の底部に溜まってその部分に付着されている殺虫剤の効力を弱めてしまう。また、溜まった水は毛細管現象で側面や上部に付着された殺虫剤にも浸透してその部分の効力をも弱める。更に、死んだ“なめくじ”の死骸は筒内に残る。両端開口縁に斜め内側に向かう折り返しが設けられているため死骸を取り出すのは簡単ではなく、大変面倒で厭な作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−337143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その課題は“なめくじ誘殺剤”が雨に濡れることを防止するとともに、“なめくじ”の死骸処理を容易に行なうことのできる“なめくじ駆除具”を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、“なめくじ誘殺剤”にて“なめくじ”を誘引、致死させて駆除する際に使用する“なめくじ駆除具”であって、上方開口端部が略平面上にあり、内壁が内底に向けて斜め内向きに傾斜した容器の上方開口端部に“なめくじ”が通過できる大きさの切欠きを1〜複数個設けた形状の駆除具で、該駆除具は底部に“なめくじ誘殺剤”を接着、塗布等の方法で付着させ、底部側を上、開口端部を下にした状態で“なめくじ”出没個所に設置して使用するものであることを特徴とする“なめくじ駆除具”である。
【0008】
このような構成の駆除具は屋外に設置しても、伏せた容器の内底に取り付けた“なめくじ誘殺剤”には雨がかからないため効力が長持ちする効果を奏する。また、“なめくじ”の死骸は自重により地面に落下して堆積するので“なめくじ駆除具”を取り外して上に土をかけるだけで死骸を簡単に処理できる。屋内の場合は“なめくじ駆除具”の下にビニールを予め敷いておき、堆積した死骸をそのビニールに包んで処分すればよく簡単である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、“なめくじ誘殺剤”にて“なめくじ”を誘引、致死させて駆除する際に使用する“なめくじ駆除具”であって、所定長さの円筒を半割りした一方の半割り円筒の形状をした駆除具で、該駆除具は半割り円筒の内側凹部頂上付近に“なめくじ誘殺剤”を接着、塗布等の方法で付着させ、半割り端面側を下にした状態で“なめくじ”出没個所に設置して使用するものであることを特徴とする“なめくじ駆除具”である。
【0010】
このような構成の駆除具は屋外に設置しても、伏せた半割り円筒の内側凹部頂上付近に取り付けた“なめくじ誘殺剤”には雨がかからないため効力が長持ちする効果を奏する。また、“なめくじ”の死骸は自重により地面に落下して堆積するので“なめくじ駆除具”を取り外して上に土をかけるだけで死骸を簡単に処理できる。屋内の場合は“なめくじ駆除具”の下にビニールを予め敷いておき、堆積した死骸をそのビニールに包んで処分すればよく簡単である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の“なめくじ駆除具”において、半割り端面部に“なめくじ”が通過できる大きさの切欠きを1〜複数個設けたことを特徴とする“なめくじ駆除具”である。
【0012】
このような切欠きを設けておけば、“なめくじ”が“なめくじ誘殺剤”に近づき易くなる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る“なめくじ駆除具”1の開口を上にした外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る“なめくじ駆除具”1の使用状態の斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る“なめくじ駆除具”1の縦断面図である。
【図4】“なめくじ駆除具”1の使用法を説明する図である。
【図5】第2の実施形態に係る“なめくじ駆除具”1aの外観斜視図である。
【図6】“なめくじ駆除具”1aの使用法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る“なめくじ駆除具”の構成例を実施形態に分けて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の“なめくじ駆除具”1は、全体が茶碗、コーヒーカップ等の容器に類似した形状に形成してある。図1は開口端部を上にして置いた状態の外観斜視図、図2は開口端部を下に、底側を上にして伏せて置いた状態の斜視図である。
【0015】
“なめくじ駆除具”1の上方開口端部2は略平面上に位置するように形成してある。内底3の大きさを上方開口部より小さく形成することにより内壁4は内底3に向けて斜め内向きに傾斜した状態となるようにしてある。そして、内壁4には上方開口端部2から始まる切欠き6が設けてある。切欠き6の数は本実施形態では4個にしてあるが1〜複数個としてよい。
【0016】
図3は、“なめくじ駆除具”1を伏せて置いた状態の切欠き6を含む縦断面図である。切欠き6の大きさは“なめくじ”が余裕をもって通過できる大きさにしてある。このような“なめくじ駆除具”1は、プラスチック、陶器、木材、金属等を材料として製作する。
【0017】
図4は、“なめくじ駆除具”1の使用法を説明する図である。“なめくじ駆除具”1を用いて“なめくじ”を捕獲、退治する場合は、その内底3に“なめくじ誘殺剤”9を取り付ける。“なめくじ誘殺剤”9は“なめくじ”を誘引し、薬剤を食べた“なめくじ”を致死させるものである。“なめくじ誘殺剤”9は、例えばメタアルデヒドを含む薬剤で錠剤状、板状、粉末状、塊状等の形で市販されている。それらを例えば、接着剤で内底3に取り付ける。また、ゲル状のものを塗布してもよい。
【0018】
“なめくじ誘殺剤”9を内底3に取り付けた“なめくじ駆除具”1は“なめくじ”が出没しそうな個所、例えば菜園の土の上に図4に示すように伏せて設置しておく。すると、“なめくじ誘殺剤”9に誘引されて“なめくじ”が現れ、現れた“なめくじ”は切欠き6を通って内側に入り込み、内壁4を這い上がって内底3に取り付けた“なめくじ誘殺剤”9に到達する。そして“なめくじ誘殺剤”9を食することにより死に至る。死んだ“なめくじ”は自重により地面に落下する。このようにして“なめくじ”の死骸が“なめくじ駆除具”1内の地面の上に次々と堆積していくことになる。
【0019】
本実施形態の“なめくじ駆除具”1では、“なめくじ誘殺剤”9を容器状駆除具の内底3に取り付け、容器を伏せた状態にして設置する。従って、屋外に設置して雨が降りかかったとしても“なめくじ誘殺剤”9は水に濡れないため効力が長持ちする効果を奏する。また、死んだ“なめくじ”は自重により地面に落下して堆積する。従って、死骸の処分は“なめくじ駆除具”1を取り外して死骸の上に土をかけることで済む。屋内に設置する場合は“なめくじ駆除具”1の下にビニールを予め敷いておき、堆積した死骸をそのビニールに包んで処分すればよい。このように死骸の処分が容易である利点も有する。
【0020】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る“なめくじ駆除具”1aの外観斜視図である。“なめくじ駆除具”1aは、所定長さの円筒を半割りした一方の半割り円筒状の外観を呈している。なめくじ駆除に使用する際は、半割り円筒15の内側凹部頂上付近に“なめくじ誘殺剤”9aを接着、塗布等の方法で付着させ、半割り端面側16を下にした状態で“なめくじ”出没個所に設置しておく。半割り端面部には、“なめくじ”が侵入可能な大きさの切欠き6aを1〜複数設けておくとよい。
【0021】
“なめくじ”は“なめくじ誘殺剤”9aに誘引されて現れ、現れた“なめくじ”は半割り円筒15の両端開口部や切欠き6aを通って内側に入り込み、内壁を這い上がって内側凹部頂上付近に取り付けた“なめくじ誘殺剤”9aに到達する。そして“なめくじ誘殺剤”9aを食することにより死に至る。死んだ“なめくじ”は自重により地面に落下する。こうして、“なめくじ”の死骸は“なめくじ駆除具”1a内の地面の上に次々と堆積していくことになる。
【0022】
本実施形態の“なめくじ駆除具”1aでは、“なめくじ誘殺剤”9aを半割り円筒15の内側凹部頂上付近に取り付け、半割り端面側16を下にして伏せた状態にして設置する。従って、屋外に設置して雨が降ったとしても“なめくじ誘殺剤”9aは水に濡れないため効力が長持ちする効果を奏する。また、“なめくじ”の死骸は自重により地面に落下して堆積する。従って、死骸の処分は“なめくじ駆除具”1aを取り外して死骸の上に土をかけることで済む。屋内に設置する場合は“なめくじ駆除具”1aの下にビニールを予め敷いておき、堆積した死骸をそのビニールに包んで処分すればよい。このように死骸の処分が容易である利点も有する。
【符号の説明】
【0023】
図面中、1、1aは“なめくじ駆除具”、2は上方開口端部、3は内底、4は内壁、9、9aは“なめくじ誘殺剤”、6、6aは切欠き、10は“なめくじ”、15は半割り円筒、16は半割り端面側である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
“なめくじ誘殺剤”にて“なめくじ”を誘引、致死させて駆除する際に使用する“なめくじ駆除具”であって、
上方開口端部が略平面上にあり、内壁が内底に向けて斜め内向きに傾斜した容器の前記上方開口端部に“なめくじ”が通過できる大きさの切欠きを1〜複数個設けた形状の駆除具で、該駆除具は前記底部に“なめくじ誘殺剤”を接着、塗布等の方法で付着させ、前記底部側を上、前記開口端部を下にした状態で“なめくじ”出没個所に設置して使用するものであることを特徴とする“なめくじ駆除具”。
【請求項2】
“なめくじ誘殺剤”にて“なめくじ”を誘引、致死させて駆除する際に使用する“なめくじ駆除具”であって、
所定長さの円筒を半割りした一方の半割り円筒の形状をした駆除具で、該駆除具は前記半割り円筒の内側凹部頂上付近に“なめくじ誘殺剤”を接着、塗布等の方法で付着させ、半割り端面側を下にした状態で“なめくじ”出没個所に設置して使用するものであることを特徴とする“なめくじ駆除具”。
【請求項3】
請求項2に記載の“なめくじ駆除具”において、前記半割り端面部に“なめくじ”が通過できる大きさの切欠きを1〜複数個設けたことを特徴とする“なめくじ駆除具”。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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