説明

ねじ部品及び締め付け工具

【課題】トルク伝達時に締め付け手段の凸部側面と頭部の凹部側面が面接触させることにより、大きな締め付けトルクの伝達が可能で、しかも頭部高さをより低くして軽量化を図り得るねじ部品および締め付け工具を提供する。
【解決手段】ソケット部5内周に突設された凸部6を頭部側面21の凹部7に差込み、ソケット部5を頭部2に対して相対回転させることにより凸部側面61,62を凹部側面71,72に当接させてトルクを伝達する構成で、凹部側面71,72と凸部側面61,62間には回転方向に遊びgが設けられているねじ部品において、凹部側面71,72の凹部中心線Nに対する片角αを、凸部側面61,62の凸部中心線N1に対する片角βよりも所定角度大きくすることにより、凹部側面71,72と凸部側面61,62間の遊び分だけ相対回転した際に凹部側面71,72と凸部側面61,62が面接触する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多角形状の頭部を備えたねじ部品に関し、特に、頭部側面にトルク伝達用の凹部を備えたねじ部品及び締め付け工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のねじ部品として、本出願人は、既に、特許文献1に記載のようなねじ部品を提案している。
このねじ部品は、図4に示すように、多角形状の頭部102と、ねじが形成された軸部103とを備えたもので、頭部側面121にはトルク伝達用の凹部107が設けられ、頭部側面121を利用したトルク伝達の他に頭部側面121の凹部107を利用したトルク伝達を可能とした構成となっている。
凹部107を利用したトルク伝達は、頭部102に被着可能なソケット部106を有する締め付け手段が用いられる。ソケット部105内周には頭部側面121の凹部105に差込み可能な凸部106が設けられ、ソケット部105を頭部に対して相対回転することにより凸部側面161を凹部側面171に当接させてトルクを伝達するようになっている。
【0003】
しかし、凸部側面161と凹部側面7間には、回転方向に遊びが設けられているために、遊び分だけ回転して当接した時点では、図4(C)に示すように、凹部側面171の頭部側面側の端部が凸部側面161に当接し、当接部108は線接触となってしまう。当接部108が回転中心となる頭部中心軸から最も離れた頭部側面121側の端部に位置することはトルク伝達の点では有利であるが、接触面積が小さくなるために当接部108の接触圧が狭い接触面に集中し、接触部が変形するおそれがある。
【0004】
接触部の変形を防止するためには、接触長さを長くする必要があるが、接触長さを長くすると、勢い頭部高さが高くなり、大型化すると共に重量増大につながる。近年、より一層の軽量化が要請されており、従来の構造では強度上の要請と軽量化の要請が相反する結果となってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2004−76900(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、トルク伝達時に締め付け手段の凸部側面と頭部の凹部側面を面接触させることにより、大きな締め付けトルクの伝達が可能で、しかも頭部高さをより低くして軽量化を図り得るねじ部品および締め付け工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、多角形状の頭部と、ねじが形成された軸部とを備え、頭部の頭部側面にはトルク伝達用の凹部が設けられ、頭部側面を利用したトルク伝達の他に前記頭部側面の凹部を利用したトルク伝達を可能とした構成で、凹部を利用したトルク伝達は、前記頭部に被着可能なソケット部を有する締め付け手段が用いられ、ソケット部内周に突設された凸部を頭部側面の凹部に差込み、ソケット部を頭部に対して相対回転させることにより凸部側面を凹部側面に当接させてトルクを伝達する構成で、凹部側面と凸部側面間には回転方向に遊びが設けられているねじ部品において、
凹部の凸部を挟んで回転方向に互いに逆側に位置する一対の凹部側面がなす角度を、一対の凹部側面と対向する一対の凸部側面がなす角度よりも所定角度大きく設定することにより、凹部側面と凸部側面間の回転方向の遊び分だけ相対回転した際に凹部側面と凸部側面が面接触する構成としたことを特徴とする。
【0007】
頭部は隣り合う凹部と凹部の間の部分が各角部に向かって放射状に突出する突出片部となっており、凹部側面が、頭部の中心軸と角部頂点間を結ぶ角部中心線に対して、頭部中心側よりも頭部側面側に向かって徐々に近づく方向に傾斜し、突出片部の形状が中心軸側の付け根部が太く角部側の先端部が細いテーパ形状となっていることが好適である。
また、頭部側面の凹部の両凹部側面は、頭部の中心軸を通り各頭部側面を二等分するように放射状に引いた凹部中心線に対して左右対称的に設けられ、一方、ソケット部の凸部の両凸部側面は、ソケット部の中心軸を通り前記凹部中心線と同一角度で放射状に延びる凸部中心線に対して左右対称的に設けられ、前記凹部側面の凹部中心線に対する片角αを凸部側面の凸部中心線に対する片角βよりも大きく設定することが好ましい。
角度差(α−β)は、2〜3度程度に設定されていることが好適である。
また、頭部の角部と中心軸を結ぶ線と凹部中心線とのなす角を角部の中心角の片角γとすると、前記凹部側面の片角αは、角部の片角γよりも所定角度大きく設定されていることが好ましい。
頭部形状は正六角形状の場合、頭部に設けた凹部側面の片角αを35度、締め付け手段のソケット部の凹部側面の片角βを33度に設定することが好適であった。
【0008】
また、本発明の締め付け工具は、ねじ部品の多角形状の頭部に被着可能なソケット部を有し、ソケット部内周には頭部側面の凹部に差込可能な凸部が設けられ、ソケット部を頭部に対して相対回転させることにより凸部側面を凹部側面に当接させてトルクを伝達する構成で、前記凹部側面と凸部側面間には回転方向に遊びが設けられる締め付け工具において、凹部の凸部を挟んで回転方向に互いに逆側に位置する一対の凹部側面がなす角度を、該一対の凹部側面と対向する一対の凸部側面がなす角度よりも所定角度大きく設定することにより、凹部側面と凸部側面間の回転方向の遊び分だけ相対回転した際に凹部側面と凸部側面が面接触する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、頭部側面の凹部を利用してトルク伝達する際に、ソケット部の凸部側面が頭部の凹部側面が面接触するので、力が接触面全体に分散され、単位面積当たりに作用する力が小さくなり、接触部の変形を防止することができる。したがって、従来と同等の頭部高さであれば、許容締め付けトルクを大きくすることができる。
【0010】
一方、従来と同等の許容締め付けトルクであれば、頭部高さを従来よりも低く設定することができ、締め付け時の強度を確保しつつ一層の小型,軽量化を図ることができる。
また、凹部と凹部の間の放射状の突出片部について、付け根部が角部側の先端部よりも太くすることにより、締め付け時に応力が集中しやすい付け根部の強度を維持しつつより一層の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1乃至図3は、本発明の実施例に係るねじ部品及び締め付け工具を示している。
図2において、1はねじ部品を示している。このねじ部品1はフランジ付きのねじで、多角形状の頭部2と、外周にねじ31が形成される軸部3とを備え、頭部2と軸部3の境界部にフランジ部4が一体的に設けられている。
頭部2は正六角形状で、6面の頭部側面21にトルク伝達用の凹部7が設けられ、頭部側面21を利用したトルク伝達の他に凹部7を利用したトルク伝達を可能とした構成となっている。
頭部2の頂面24は平坦面で、中央に円形状の段凹部25が設けられている。一方、頭部2の下端のフランジ部上面41は、周辺部よりも中心側が高くなるように傾斜する円錐台形状となっている。
【0012】
頭部側面21を利用したトルク伝達は、スパナ,メガネレンチ等の一般的な工具を利用し、互いに平行の二面幅を構成する一対の頭部側面21,21を挟んで締め付けるものである。
各頭部側面21は中央部の凹部7によって一対の平面部21a,21aに分断されているが、各平面部21a,21aは同一平面上にあって頭部側面21を構成する。凹部7は頭部頂面24から各頭部側面21にかけて切り欠くように形成されている。各凹部7は頂面24からフランジ部面41まで頭部側面21の全高さに亘って窪ませた構成で、隣合う頭部側面21,21に形成された凹部7と凹部7の間の部分が各角部22に向かって放射状に突出する突出片部23となっている。また、各角部22の上端はアール形状に成形され、各突出片部23の上面形状は全体として丸い花弁状を呈している。
【0013】
一方、凹部7を利用したトルク伝達は、頭部2に被着可能なソケット部5を有する締め付け工具が用いられる。
ソケット部5は略円筒形状で、図3に示すように、一端に頭部2が嵌合される嵌合穴51が設けられ、他端には不図示の駆動用工具が連結される連結手段としての連結穴52が設けられている。図示例では、連結穴52は四角形状で、手動あるいは自動の駆動工具の駆動軸が差し込まれる。もっとも、ソケット部5と駆動工具が一体的な構成としてもよい。
嵌合穴6は頭部2の全高さ分が差し込み可能な深さになっている。この嵌合穴6内周に前記凸部6が突設されている。図示例では嵌合穴6にはフランジ部4まで嵌合可能で、開口端部にフランジ部4の上面41に対応する円錐状穴53が設けられている。
【0014】
ソケット部5の凸部6と頭部2の凹部7との関係は、図1に詳細に示すように、ソケット部5内周に突設された凸部6を頭部側面21の凹部7に差込み、ソケット部5を頭部2に対して相対回転させることにより凸部側面61,62を凹部側面71,72に当接させてトルクを伝達する構成で、凹部側面71,72と凸部側面61,62間には回転方向に遊びgが設定されている。
凹部7の凸部6を挟んで回転方向に互いに逆側に位置する一対の凹部側面71,72がなす角度は、一対の凹部側面71,72と対向する一対の凸部側面61,62がなす角度よりも所定角度大きく設定されている。これにより、凹部側面71,72と凸部側面61,62間の回転方向の遊び分gだけ相対回転した際に凹部側面71,72と凸部側面61,62が面接触させる構成となっている。
【0015】
この実施例では、凹部側面71,72は直線状に延びる平面形状で、頭部側面21側に開く開口部の幅よりも中心側に向かって徐々に幅が狭くなるように傾斜しており、中心側の端部がアール形状の連結面73によって連結されている。
両凹部側面71,72は、頭部2の中心軸Oを通り各頭部側面21を二等分するように放射状に引いた凹部中心線Nに対して左右対称的に設けられている。、また、凸部側面61,62については、ソケット部5の中心軸O1を通り凹部中心線Nと同一角度で放射状に引いた凸部中心線N1に対して左右対称的に設けられている。凹部中心線Nに対する凹部側面71,72の片角をα、凸部中心線N1に対する凸部側面61,62の片角をβとすると、凹部側面71,72の片角αが凸部側面61,62の片角βよりも大きく設定されている。
この角度差(α−β)を大きくすると、遊びgが大きくなり、角度差が小さいと遊びgが小さくなるので、角度差(α−β)は2〜3度程度に設定することが好ましい。特に、2度程度が最適である。
【0016】
一方、凹部側面71,72は、頭部2の中心軸Oと各角部22とを結ぶ角部中心線N2とのなす角を角部22間の中心角の片角γとすると、凹部側面21の片角αは、角部22の片角γよりも所定角度大きく設定されている。
このようにすれば、頭部中心側よりも頭部側面側に向かって徐々に近づく方向に傾斜し、突出片部23の形状が中心軸O側の付け根部が太く角部22側の先端部が細いテーパ形状となる。
【0017】
この実施例では、頭部2は正六角形で、上記角部22間の中心角の片角γは30度であり、これに対して凹部側面71,72の片角αが35度、締め付け工具のソケット部5の凸部側面61,62の片角βが33度に設定されている。
もっとも、凹部側面71,72の片角αが凸部側面61,62の片角βよりも大きければよく、凹部側面71,72の片角αが角部22の片角γと同一でもよいし、小さくてもよい。
【0018】
次に、上記実施例のねじ部品と締め付け工具を用いた締め付け作業について説明する。
すなわち、ソケット部5の連結穴52に駆動用工具の駆動軸を差し込み、ソケット部5の嵌合穴51をねじ部品1の頭部2に被着し、ソケット部5の凸部6を頭部2の頂面側から凹部7に差し込む。凸部6と凹部7間には適度な遊びがあるので、スムーズに差し込むことができる。
また、頭部2に被着する際には、嵌合穴51の開口端部にフランジ用の円錐穴部53が形成されているので、頭部2の中心とソケット部5の中心がずれている場合でも、頭部が円錐穴部53の円錐面に案内されて芯ずれが調整される。
【0019】
そして、締め付けあるいは緩める方向にトルクを伝達する際には、ソケット部5を頭部2に対して遊びgの分だけ回転させた時点で凸部側面61(62)が頭部2の凹部側面71(72)に面接触するので、力が接触面全体に分散され、単位面積当たりに作用する力が小さくなり、接触部の変形を防止することができる。したがって、頭部高さHが従来と同等であれば、許容締め付けトルクを大きくすることができる。
【0020】
一方、従来と同等の許容締め付けトルクとすれば、頭部高さHを従来よりも低く設定することができ、締め付け時の強度を確保しつつ一層の小型化,軽量化を図ることができる。
本発明のように頭部側面21に凹部7を設けている場合には、頭部成形時に凹部7から角部22方向への材料の流動量が大きくなって角部22上端部のだれ部を減らすことができ、頭部高さを低くしても所定の有効頭高さを確保することができる。したがって、頭部の凹部側面71,72と凸部側面61,62を面当たりとしたことと相俟って頭部高さをより低くして軽量化を図ることができる。特に、本実施例の場合には、角部22間の中心角の片角γ(30度)に対して凹部側面71,72の片角αを35度と大きく設定しているので、角部22方向への材料の流動をより大きくしてだれ部をより減らすことができ、より一層、頭部高さHを低くして軽量化を図ることができる。
因みに、本実施例によれば、M10、二面幅が14mmのねじ部品の場合、頭部高さHについて、従来は8.9mmであったところ、許容締め付けトルクは同一のままで、4.7mmまで低くすることができ、重量にして42%程度軽量化することができた。
凹部7と凹部7の間の放射状の突出片部23については、付け根部が角部22側の先端部よりも太くなっているので、締め付け時に応力が集中しやすい付け根部の強度を維持しつつより一層の軽量化を図ることができる。
【0021】
さらに、図3(D)に示すように、ソケット部5の凸部6の凸部中心線N1方向の長さを、二点鎖線で示すように長くして、大きいサイズのねじ部品の頭部の大きさに対応させておけば、異なる寸法のねじ部品について、一つの工具で締め付け作業が可能である。
【0022】
なお、上記実施例では頭部形状として正六角形状を例にとって説明したが、六角形に限定されるものではなく、4角形,5角形,8角形等、多角形状の頭部を備えたねじ部品に広く適用可能であり、フランジ部が無いねじ部品について適用可能である。
また、互いに当接する頭部2の凹部側面とソケット部の凸部側面について直線状の場合について説明したが、直線に限定されず曲面構成でもよい。
さらに、上記実施例では、凹部7の両凹部側面71,72が凹部中心線Nに対して左右対称的に設けられているが、場合によっては左右非対称となっていてもよい。その場合には、対応する凸部凸部6の両凸部側面61,62についても凸部中心線N1に対して左右非対称となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の実施例に係るねじ部品と締め付け工具の係合状態を示すもので、同図(A)はトルク伝達前の状態の横断面図、同図(B)はトルク伝達時の状態を示す横断面図、同図(C)は同図(B)の凹部側面と凸部側面の当接状態を示す部分拡大図、同図(D)はねじ部品の凹部と締め付け工具の凸部の嵌合状態を外して示す要部拡大断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に係るねじ部品を示すもので、同図(A)は概略斜視図、同図(B)は上面図、同図(C)は締め付け工具のソケット部と共に示す正面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係る締め付け工具のソケットを示すもので、同図(A)は概略斜視図、同図(B)は縦断面図、同図(C)は底面図、同図(D)は異なるサイズのねじ頭部に適用する状態を模式的に示す説明図である。
【図4】図4(A)は従来のねじ部品をを示す斜視図、同図(B)は同図(A)のねじ部品の頭部に工具のソケット部が嵌合した状態を示す断面図、同図(C)は同図(B)のトルク伝達状態の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ねじ部品
2 頭部
21 頭部側面、21a 平面部
22 角部
23 突出片部
24 頂面
25 段凹部
3 軸部
31 ねじ
4 フランジ部、41 上面
5 ソケット部
51 嵌合穴、52 連結穴、53 円錐状穴
6 凸部
61,62 凸部側面
7 凹部
71,72 凹部側面
g 遊び
O 頭部の中心軸
N 凹部中心線
N1 凸部中心線
N2 角部中心線
α 凹部側面71,72の片角
β 凸部側面61,62の片角
γ 角部22の片角
H 頭部高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状の頭部と、ねじが形成された軸部とを備え、
前記頭部の頭部側面にはトルク伝達用の凹部が設けられ、前記頭部側面を利用したトルク伝達の他に前記頭部側面の凹部を利用したトルク伝達を可能とした構成で、
前記凹部を利用したトルク伝達は、前記頭部に被着可能なソケット部を有する締め付け手段が用いられ、ソケット部内周に突設された凸部を頭部側面の凹部に差込み、ソケット部を頭部に対して相対回転させることにより凸部側面を凹部側面に当接させてトルクを伝達する構成で、前記凹部側面と凸部側面間には回転方向に遊びが設けられているねじ部品において、
前記凹部の凸部を挟んで回転方向に互いに逆側に位置する一対の凹部側面がなす角度を、該一対の凹部側面と対向する一対の凸部側面がなす角度よりも所定角度大きく設定することにより、凹部側面と凸部側面間の回転方向の遊び分だけ相対回転した際に凹部側面と凸部側面が面接触する構成としたことを特徴とするねじ部品。
【請求項2】
頭部は隣り合う凹部と凹部の間の部分が各角部に向かって放射状に突出する突出片部となっており、
前記凹部側面が、頭部の中心軸と角部頂点間を結ぶ角部中心線に対して、頭部中心側よりも頭部側面側に向かって徐々に近づく方向に所定角度傾斜し、突出片部の形状が中心軸側の付け根部が太く角部側の先端部が細いテーパ形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のねじ部品。
【請求項3】
凹部の両凹部側面は、頭部の中心軸を通り各頭部側面を二等分するように放射状に引いた凹部中心線に対して左右対称的に設けられ、
一方、ソケット部の凸部の両凸部側面は、ソケット部の中心軸を通り前記凹部中心線と同一角度で放射状に延びる凸部中心線に対して左右対称的に設けられ、
前記凹部側面の凹部中心線に対する片角αが、前記凸部側面の凸部中心線に対する片角βよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ部品。
【請求項4】
凹部側面の片角αと凸部側面の片角βの角度差(α−β)が、2〜3度程度に設定されていることを特徴とする請求項3に記載のねじ部品。
【請求項5】
前記頭部の角部と中心軸を結ぶ線と凹部中心線とのなす角を角部の中心角の片角γとすると、前記凹部側面の片角αは、角部の片角γよりも所定角度大きく設定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のねじ部品。
【請求項6】
頭部形状は正六角形状で、頭部に設けた凹部側面の片角αを35度、締め付け手段のソケット部の凹部側面の片角βを33度に設定したことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかの項に記載のねじ部品。
【請求項7】
ねじ部品の多角形状の頭部に被着可能なソケット部を有し、ソケット部内周には頭部側面の凹部に差込可能な凸部が設けられ、ソケット部を頭部に対して相対回転させることにより凸部側面を凹部側面に当接させてトルクを伝達する構成で、前記凹部側面と凸部側面間には回転方向に遊びが設けられる締め付け工具において、
前記凹部の凸部を挟んで回転方向に互いに逆側に位置する一対の凹部側面がなす角度を、該一対の凹部側面と対向する一対の凸部側面がなす角度よりも所定角度大きく設定することにより、凹部側面と凸部側面間の回転方向の遊び分だけ相対回転した際に凹部側面と凸部側面が面接触する構成としたことを特徴とする締め付け工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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