説明

ねじ部材の緩み警告構造

【課題】簡易の構成で、ねじ部材の緩みを警告するねじ部材の緩み警告構造、を提供する。
【解決手段】ねじ部材の緩み警告構造は、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16と、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16に隣り合って配置されるディファレンシャルキャリヤ11と、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16に締め付けられるボルト21と、ディファレンシャルキャリヤ11に設けられる発音プレート31とを備える。リングギヤ14およびディファレンシャルケース16が回転運動を行なうことにより、ボルト21および発音プレート31が相対的に移動する。ボルト21および発音プレート31は、ボルト21の締め付けに緩みが発生していない状態で、互いの軌道がずれるように位置決めされ、ボルト21の締め付けに緩みが発生した状態で、互いの軌道が交わるように位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、ねじ部材の緩み警告構造に関し、より特定的には、車両上の締結部品に用いられるねじ部材の緩み警告構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のねじ部材の緩み警告構造に関して、たとえば、特開平5−231824号公報には、移動中であっても締結ボルトの緩みの経時変化を容易に検出することを目的とした移動中の締結ボルトの緩み検出方法が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された締結ボルトの緩み検出方法においては、締結ボルトにねじ込まれたナットの移動路を挟んで、レーザ投光器および受光器が設けられる。レーザ投光器から締結ボルトの軸方向に沿ったスリット状のレーザ光を投光するとともに、受光器によりレーザ光を受光する。これにより、ナットから突出する締結ボルトの長さを計測し、ボルトの緩みの経時変化を検出する。
【0003】
また、特開平7−280762号公報には、人手をかけることなく、ボルトとナットとの緩み具合を検出することを目的とした緩み検知装置が開示されている(特許文献2)。特許文献2における緩み検知装置においては、ボルトに導電性のキャップ本体が外装される。キャップ本体には、ナットよりも少し径の大きい相似形を有する凹部が形成されている。キャップ本体の取り付け時に、キャップ本体の凹部とナットとを、隙間を設けた状態で対向させて配置する。ボルトとナットとが相対的に緩むと、ボルトに対するナットの相対的な回転により、キャップ本体の凹部とナットとが接触する。これにより、キャップ本体とナットとが導通し、この導通状態をセンサによって検知する。
【0004】
また、実開昭53−33782号公報には、リングギヤをデフケースに締結固定するボルトの緩みや脱落を防止することを目的としたディファレンシャル装置のリングギヤ締め付け装置が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示されるリングギヤ締め付け装置においては、隣接する2本のボルトの座金位置に、1枚のロックプレートが取り付けられる。そのロックプレートの端部を両ボルトの頭部の側面に沿って折り曲げることにより、ボルトの動きを相互に拘束し、緩みを防ぐ。
【特許文献1】特開平5−231824号公報
【特許文献2】特開平7−280762号公報
【特許文献3】実開昭53−33782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両上に搭載されるディファレンシャル(差動装置)において、リングギヤをディファレンシャルケースに固定するためボルトが使用されている。このボルトの締め付けに緩みが生じた場合、初期の段階においては車両の挙動に変化がない。このため、ユーザがボルトの緩みに気付くことができず、ボルトの脱落に至るおそれがある。一方、上述の特許文献1および2には、ボルトの緩みを警告あるいは検出するための装置が開示されている。しかしながら、特許文献1および2に開示された装置は、レーザ投光器やセンサといった機器を利用するものであるため、装置の構成が複雑になってしまう。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、簡易の構成で、ねじ部材の緩みを警告するねじ部材の緩み警告構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従ったねじ部材の緩み警告構造は、第1部材と、第1部材に隣り合って配置される第2部材と、第1部材に締め付けられるねじ部材と、第2部材に設けられる干渉部材とを備える。第1部材および第2部材の少なくともいずれか一方が運動することにより、ねじ部材および干渉部材が相対的に移動する。ねじ部材および干渉部材は、ねじ部材の締め付けに緩みが発生していない状態で、互いの軌道がずれるように位置決めされ、ねじ部材の締め付けに緩みが発生した状態で、互いの軌道が交わるように位置決めされる。
【0008】
このように構成されたねじ部材の緩み警告構造によれば、ねじ部材の締め付けに緩みが発生した場合に、干渉部材とねじ部材とを干渉させ、発音を生じさせる。これにより、簡易な構成で、ねじ部材の緩みを警告することができる。
【0009】
また好ましくは、ねじ部材の締め付けに緩みが発生した状態で干渉部材とねじ部材とが干渉した時、干渉部材は、ねじ部材の締め付け方向に沿った力をねじ部材に与えつつ、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容する。このように構成されたねじ部材の緩み警告構造によれば、ねじ部材の緩みの進行を抑えるとともに、ねじ部材および干渉部材の干渉によって第1部材および第2部材の少なくともいずれか一方の運動が妨げられることを防止できる。
【0010】
また好ましくは、干渉部材は、弾性体から形成されている。干渉部材は、ねじ部材から反力を受けて弾性変形することによって、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容する。このように構成されたねじ部材の緩み警告構造によれば、ねじ部材に締め付け方向に沿った力を与えつつ、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容する構造を、簡易な構成で実現できる。
【0011】
また好ましくは、ねじ部材および干渉部材は、正方向および逆方向に相対的に移動する。ねじ部材の締め付けに緩みが発生した状態で干渉部材とねじ部材とが干渉した時、干渉部材は、第1部材および第2部材が正方向に相対的に移動する場合に、ねじ部材の締め付け方向に沿った力をねじ部材に与えつつ、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容し、第1部材および第2部材が逆方向に相対的に移動する場合に、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容する。
【0012】
このように構成されたねじ部材の緩み警告構造によれば、第1部材および第2部材が正方向に相対的に移動する場合に、ねじ部材の緩みの進行を抑えるとともに、ねじ部材および干渉部材の干渉によって第1部材および第2部材の少なくともいずれか一方の運動が妨げられることを防止できる。また、第1部材および第2部材が逆方向に相対的に移動する場合に、締め付け方向とは反対方向の力がねじ部材に加わることを防ぎつつ、ねじ部材および干渉部材の干渉によって第1部材および第2部材の少なくともいずれか一方の運動が妨げられることを防止できる。
【0013】
また好ましくは、干渉部材は、弾性体から形成されるとともに、一方向に回動自在に設けられる。干渉部材は、第1部材および第2部材が相対的に正方向に移動する場合に、ねじ部材から反力を受けて弾性変形することによって、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容し、第1部材および第2部材が相対的に逆方向に移動する場合に、回動運動することによって、ねじ部材および干渉部材の相対的な移動を許容する。このように構成されたねじ部材の緩み警告構造によれば、第1部材および第2部材が相対的に移動する方向に応じて、ねじ部材に締め付け方向の力を与え、締め付け方向とは反対方向の力を与えない構造を、簡易な構成で実現できる。
【0014】
また好ましくは、第1部材は、車両に設けられ、回転運動するディファレンシャルケースと、ねじ部材によりディファレンシャルケースに締結されるリングギヤとを含む。このように構成されたねじ部材の緩み警告構造によれば、ディファレンシャルケースおよびリングギヤの締結に用いられるねじ部材の緩みを、簡易な構成で警告することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明に従えば、簡易の構成で、ねじ部材の緩みを警告するねじ部材の緩み警告構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0017】
図1は、車両に搭載されるディファレンシャルの内部構造を示す平面図である。図1を参照して、ディファレンシャル10は、左右のドライブシャフト41,42の間に設けられている。ディファレンシャル10は、ドライブピニオン12、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16と、これらを収容するディファレンシャルキャリヤ11とを有する。
【0018】
ドライブピニオン12は、車両前後方向に延びて形成され、その前端が図示しないプロペラシャフトに連結されている。リングギヤ14は、ボルト21を用いてディファレンシャルケース16に締結されている。ディファレンシャルケース16は、ボルト21によってリングギヤ14が締結される被締結部材である。リングギヤ14は、ドライブピニオン12と噛み合うように配置されている。ドライブピニオン12の回転がリングギヤ14に伝わることにより、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16が一体となって、仮想軸である中心軸101を中心に回転運動する。
【0019】
ディファレンシャルケース16およびドライブシャフト41,42には、それぞれピニオンギヤ18およびサイドギヤ19が設けられている。ディファレンシャルケース16は、ピニオンギヤ18とサイドギヤ19との噛み合いによって、車両旋回時の左右のドライブシャフト41,42の回転速度を変えながら両輪に均等な回転トルクを伝達する。
【0020】
ディファレンシャルキャリヤ11は、車両本体に対して固定されている。ディファレンシャルキャリヤ11には、発音プレート31が設けられている。発音プレート31は、ディファレンシャルケース16に隣り合って配置されたディファレンシャルキャリヤ11の壁部11pに設けられている。
【0021】
図2は、この発明の実施の形態におけるねじ部材の緩み警告構造を示す平面図である。図中には、図1中の2点鎖線IIで囲まれた範囲が拡大して示されている。図3は、図2中の矢印IIIに示す方向から見たねじ部材の緩み警告構造を示す正面図である。
【0022】
図1から図3を参照して、リングギヤ14は、ディファレンシャルケース16の回転方向に間隔を隔てて配置された複数のボルト21によって、ディファレンシャルケース16に締結されている。複数のボルト21は、中心軸101を中心とする同一ピッチ円上に配置されている。
【0023】
ボルト21は、ディファレンシャルケース16に形成された貫通孔17に挿入された状態で、リングギヤ14に対して螺合されている。ボルト21は、ディファレンシャルケース16の座面16a上に位置決めされる頭部22を有する。本実施の形態においては、ボルト21は、頭部22の外形が六角形となる六角ボルトである。頭部22は、いかなる形状を有してもよく、ボルト21は、たとえばキャップボルト、四角ボルトまたは蝶ボルトなどであってもよい。
【0024】
ボルト21は、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16の回転運動に伴って、中心軸101を中心に回転移動する。より詳細には、ボルト21は、ディファレンシャル10を搭載する車両の前進時、図3中の矢印111に示す方向に回転移動し、後進時、矢印111に示す方向とは逆方向の矢印113に示す方向に回転移動する。リングギヤ14およびディファレンシャルケース16の回転運動に伴って、回転移動するボルト21と、静止する発音プレート31とが、相対的に移動する。
【0025】
発音プレート31は、弾性体から形成されている。発音プレート31は、たとえばバネ鋼から形成されている。発音プレート31は、回動支持部としてのヒンジ部32を有する。発音プレート31は、ヒンジ部32により、ディファレンシャルキャリヤ11に対して回動自在に設けられている。発音プレート31は、自重によりディファレンシャルキャリヤ11の壁部11p上に載置された状態で設けられている。このような構成により、発音プレート31は、壁部11pとは反対側の一方向にのみ回動可能なように設けられている。
【0026】
発音プレート31は、ボルト21の軸方向(中心軸102の軸方向)から見て、ヒンジ部32からボルト21の頭部22に向かって延びる形状を有する。発音プレート31は、ヒンジ部32とは反対側の端部に傾斜部33を有する。傾斜部33は、ヒンジ部32から頭部22に向かう方向から、車両前進時におけるリングギヤ14およびディファレンシャルケース16の回転方向に向かって傾斜する形状を有する。
【0027】
ボルト21の頭部22と座面16aとが密着し、ボルト21の締め付けに緩みが生じていない状態で、発音プレート31は、中心軸102の軸方向から見て、回転移動する頭部22の軌跡と重なるが、中心軸102の軸方向において発音プレート31と頭部22との間に隙間が生じるように配置されている。すなわち、ボルト21の締め付けに緩みが生じていない状態で、発音プレート31は、回転移動するボルト21の軌道からずれた位置に位置決めされている。このため、ディファレンシャル10の動作時、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16の回転運動に伴って発音プレート31とボルト21とが干渉するということがない。
【0028】
図4は、図2中のねじ部材の緩み警告構造において、ボルトの締め付けに緩みが生じた状態を示す平面図である。図5は、車両前進時のボルトと発音プレートとの干渉を示す正面図である。
【0029】
図4および図5を参照して、ボルト21の頭部22と座面16aとの間に隙間が発生し、ボルト21の締め付けに緩みが生じた場合、中心軸102の軸方向に沿って頭部22が発音プレート31に近接し、やがて中心軸102の軸方向における発音プレート31と頭部22との間の隙間がゼロとなる。すなわち、ボルト21の締め付けに緩みが生じた状態で、発音プレート31は、回転移動するボルト21の軌道に交わるように位置決めされる。
【0030】
このとき、発音プレート31とボルト21の頭部22とが干渉することによって、打音が生じる。車両前進時には、頭部22が、ディファレンシャルキャリヤ11の壁部11pとは反対側から発音プレート31に近接するため、発音プレート31の回動運動は、壁部11pによって規制される。頭部22と干渉した発音プレート31は、頭部22から反力を受けて弾性変形することによって、ボルト21の回転移動を許容する。この際、頭部22は、発音プレート31からボルト21の締め付け方向(図5中の矢印115に示す右ねじ方向)に沿った力を受ける。
【0031】
本実施の形態では、発音プレート31と頭部22との干渉により打音を生じさせ、ユーザに対してボルト21の締め付けに緩みが生じていることを警告できる。ボルト21の緩みが進行すると、発音プレート31と頭部22との干渉が大きくなるため、発生する打音も徐々に大きくなる。また、ボルト21の頭部22が発音プレート31から締め付け方向に沿った力を受けることによって、ボルト21が脱落に至るまでの時間を長くすることができる。このため、ユーザに対して十分な警告を行なうことができ、ボルト21の脱落よりも前にボルト21の緩みの進行をユーザに確実に知らせることができる。
【0032】
中心軸102の軸方向から見て、発音プレート31は、中心軸102が描く軌跡よりも外周側でボルト21と干渉するように配置されている。このような構成により、発音プレート31から回転移動するボルト21に過大な力が作用することを防止し、ボルト21の締め付けに緩みが生じた時のリングギヤ14およびディファレンシャルケース16の回転運動の妨げになることを回避できる。
【0033】
図6は、車両後進時のボルトと発音プレートとの干渉を示す正面図である。図5を参照して、車両後進時には、ボルト21の頭部22が、ディファレンシャルキャリヤ11の壁部11pと同じ側から発音プレート31に近接する。このため、頭部22と干渉した発音プレート31は、矢印117に示す方向に回動し、ボルト21の回転運動を許容する。発音プレート31の回動運動により、ボルト21から発音プレート31に加わる力は受け流されるため、ボルト21に対して締め付け方向と反対方向の力が加わることを防止できる。
【0034】
この発明の実施の形態におけるねじ部材の緩み警告構造は、第1部材としてのリングギヤ14およびディファレンシャルケース16と、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16に隣り合って配置される第2部材としてのディファレンシャルキャリヤ11と、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16に締め付けられるねじ部材としてのボルト21と、ディファレンシャルキャリヤ11に設けられる干渉部材としての発音プレート31とを備える。リングギヤ14およびディファレンシャルケース16とディファレンシャルキャリヤ11との少なくともいずれか一方としてのリングギヤ14およびディファレンシャルケース16が運動としての回転運動を行なうことにより、ボルト21および発音プレート31が相対的に移動する。ボルト21および発音プレート31は、ボルト21の締め付けに緩みが発生していない状態で、互いの軌道がずれるように位置決めされ、ボルト21の締め付けに緩みが発生した状態で、互いの軌道が交わるように位置決めされる。
【0035】
このように構成された、この発明の実施の形態におけるねじ部材の緩み警告構造によれば、ボルト21の締め付けに緩みが生じた場合にボルト21の頭部22と干渉する発音プレート31を設けることにより、ボルト21の緩みを警告することができる。本実施の形態では、電気的な部品を必要とせず、発音プレート31を設けることによってボルト21の緩みを警告することができる。また、一箇所に発音プレート31を設けるだけで、リングギヤ14およびディファレンシャルケース16の締結に用いられる複数のボルト21の緩みを警告することができる。このため、ねじ部材の緩み警告構造が適用されるディファレンシャル10の構造を簡易な構成とできる。
【0036】
なお、本実施の形態では、ねじ部材がボルト21である場合を説明したが、ねじ部材はナットであってもよい。また、本発明は、干渉部材が設けられる部材が運動する構成であってもよいし、ねじ部材および干渉部材の間に相対移動が生じれば、ねじ部材および干渉部材が設けられる部材がそれぞれ運動する構成であってもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、回転運動するリングギヤ14およびディファレンシャルケース16を、運動する部材として説明したが、ねじ部材または干渉部材が設けられる部材は、回転運動に限られず、たとえば往復直線運動を行なってもよいし、揺動運動を行なってもよい。一例を挙げれば、車両に搭載される手動変速機において、運転手のシフト操作に伴って往復直線運動するシフトフォークシャフトにねじ部材を締め付け、シフトフォークシャフトを収容するギヤケースに干渉部材を設ける構成がある。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】車両に搭載されるディファレンシャルの内部構造を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態におけるねじ部材の緩み警告構造を示す平面図である。
【図3】図2中の矢印IIIに示す方向から見たねじ部材の緩み警告構造を示す正面図である。
【図4】図2中のねじ部材の緩み警告構造において、ボルトの締め付けに緩みが生じた状態を示す平面図である。
【図5】車両前進時のボルトと発音プレートとの干渉を示す正面図である。
【図6】車両後進時のボルトと発音プレートとの干渉を示す正面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ディファレンシャル、11 ディファレンシャルキャリヤ、14 リングギヤ、16 ディファレンシャルケース、21 ボルト、31 発音プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に隣り合って配置される第2部材と、
前記第1部材に締め付けられるねじ部材と、
前記第2部材に設けられる干渉部材とを備え、
前記第1部材および前記第2部材の少なくともいずれか一方が運動することにより、前記ねじ部材および前記干渉部材が相対的に移動し、
前記ねじ部材および前記干渉部材は、前記ねじ部材の締め付けに緩みが発生していない状態で、互いの軌道がずれるように位置決めされ、前記ねじ部材の締め付けに緩みが発生した状態で、互いの軌道が交わるように位置決めされる、ねじ部材の緩み警告構造。
【請求項2】
前記ねじ部材の締め付けに緩みが発生した状態で前記干渉部材と前記ねじ部材とが干渉した時、前記干渉部材は、前記ねじ部材の締め付け方向に沿った力を前記ねじ部材に与えつつ、前記ねじ部材および前記干渉部材の相対的な移動を許容する、請求項1に記載のねじ部材の緩み警告構造。
【請求項3】
前記干渉部材は、弾性体から形成され、前記ねじ部材から反力を受けて弾性変形することによって、前記ねじ部材および前記干渉部材の相対的な移動を許容する、請求項2に記載のねじ部材の緩み警告構造。
【請求項4】
前記ねじ部材および前記干渉部材は、正方向および逆方向に相対的に移動し、
前記ねじ部材の締め付けに緩みが発生した状態で前記干渉部材と前記ねじ部材とが干渉した時、前記干渉部材は、前記第1部材および前記第2部材が正方向に相対的に移動する場合に、前記ねじ部材の締め付け方向に沿った力を前記ねじ部材に与えつつ、前記ねじ部材および前記干渉部材の相対的な移動を許容し、前記第1部材および前記第2部材が逆方向に相対的に移動する場合に、前記ねじ部材および前記干渉部材の相対的な移動を許容する、請求項1から3のいずれか1項に記載のねじ部材の緩み警告構造。
【請求項5】
前記干渉部材は、弾性体から形成されるとともに、一方向に回動自在に設けられ、
前記干渉部材は、前記第1部材および前記第2部材が相対的に正方向に移動する場合に、前記ねじ部材から反力を受けて弾性変形することによって、前記ねじ部材および前記干渉部材の相対的な移動を許容し、前記第1部材および前記第2部材が相対的に逆方向に移動する場合に、回動運動することによって、前記ねじ部材および前記干渉部材の相対的な移動を許容する、請求項4に記載のねじ部材の緩み警告構造。
【請求項6】
前記第1部材は、車両に設けられ、回転運動するディファレンシャルケースと、前記ねじ部材により前記ディファレンシャルケースに締結されるリングギヤとを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のねじ部材の緩み警告構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−236229(P2009−236229A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83717(P2008−83717)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)