説明

はさみ用切り屑収容具

【課題】
切り屑収容箱の開口より大きいサイズの切り屑を確実に収容でき、しかも、通常のはさみとして用いる際の操作性が良好で、使い勝手のよいはさみ用切り屑収容具を提供する。
【解決手段】
切り屑収容箱1が、はさみ4の使用時に下側になる方の刃部5aに、その開口6を沿わせた状態で、はさみ4の回転軸21近傍に係合される切り屑収容箱装着ガイド2によって装着され、切り屑押さえ3が、はさみ4の使用時に上側になる方の刃部5bに、その底面3aを切り屑収容箱1の開口6に対峙させた状態で装着されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はさみに装着され、はさみにより切断された切り屑を収容するはさみ用切り屑収容具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、はさみに装着され、はさみにより切断された切り屑を収容する切り屑収容具として各種のものが提案されている。例えば、特許文献1には、ケースと係合部とストッパーとで構成されている切り屑収容具が開示されている。しかし、この切り屑収容具をはさみに装着するには、はさみ自体に係合のための追加加工が必要となり、そうでなければ、はさみにしっかりと固定することができないという問題がある。
【0003】
上記の問題を解決するため、例えば、特許文献2に示すようなはさみ用切り屑収容具が示されている。このはさみ用切り屑収容具は、はさみに加工することなく、そのまま取り付けることができるもので、切断された切り屑を収容するための切り屑収容箱と、これをはさみに固定するための固定具と、はさみが閉じた状態から開かないようにするための開き防止装置とを備えている。そして、上記はさみ用切り屑収容具をはさみに装着した状態で紙を切ると、生じた切り屑が、上記切り屑収容箱の開口から切り屑収容箱内に収容されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−28786号公報
【特許文献2】特許第3375544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のはさみ用切り屑収容具は、切り屑収容箱の先端部分に開き防止装置が設けられており、安全性に優れるものの、切り屑収容箱の開口より大きい切り屑がうまく切り屑収容箱内に入りにくい傾向がみられる。また、このはさみで、刃渡りより長く切っていく場合、切り屑収容箱を固定するボックス型の固定具が邪魔になって切りにくいため、さらに改善が求められている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、切り屑収容箱の開口より大きいサイズの切り屑であっても取りこぼすことなく切り屑収容箱に収容でき、しかも、通常のはさみとして用いる際の操作性が良好で、使い勝手のよいはさみ用切り屑収容具の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のはさみ用切り屑収容具は、先端側に刃部が設けられ根元側に把持部が設けられた一対の刃物体を交差状に配置し回転軸で軸支してなるはさみに装着される切り屑収容具であって、上記はさみの片方の刃部に沿って延びる開口を有し、使用時に下側になる方の刃部に、その開口を沿わせた状態で配置される切り屑収容箱と、先端側が上記切り屑収容箱と連結されるか一体的に形成され根元側が上記はさみの回転軸近傍に係合される切り屑収容箱装着ガイドと、上記はさみの片方の刃部に沿って延びる略棒状体からなり、使用時に上側になる方の刃部に、その底面を上記切り屑収容箱の開口に対峙させた状態で装着される切り屑押さえとを備え、はさみの開閉動作に伴い、上下の刃部の間で生じる切り屑が、上記切り屑押さえによって切り屑収容箱内に押し込まれるようになっていることをその要旨とする。
【0008】
本発明者らは、近年の個人情報保護の風潮において、個人情報の記載物を裁断する機会が増加することに鑑み、はさみ用切り屑収容具に関して、爪のような小さいものを収容するだけでなく、比較的大きなサイズに裁断された切り屑(例えば、クレジットカードの利用明細書等の裁断物)についても、取りこぼさずに簡単に収容することができないか、研究を重ねた。そして、その過程で、切り屑の落ちる方向を、強制的に切り屑収容箱の開口に向けることができれば、切り屑収容箱やその開口を大きくすることによらず、大きな切り屑であっても、これを切り屑収容箱内に押し込むような形で収容することができるのではないかと想起した。そこで、切り屑の落ちる方向を、切り屑収容箱の開口に向けるための研究をさらに重ねた。その結果、使用時に上側になる方の刃部に、その底面を切り屑収容箱の開口に対峙させた状態で切り屑押さえを取り付け、使用時に下側になる方の刃部に、上記切り屑押さえにより下方向に向けられる切り屑を収容する切り屑収容箱を取り付けるようにすると、上記切り屑押さえにより、切り屑収容箱の開口よりも大きいサイズの切り屑であっても、切り屑収容箱内に押し込むことができるため、取りこぼさずに収容することができ、しかも、通常のはさみとして刃渡りより長い距離を続けて裁断する際であっても、操作性が良好であることを突き止め、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明のはさみ用切り屑収容具は、先端側に刃部が設けられ根元側に把持部が設けられた一対の刃物体を交差状に配置し回転軸で軸支してなるはさみに装着されるものであって、上記はさみの片方の刃部に沿って延びる開口を有し、使用時に下側になる方の刃部に、その開口を沿わせた状態で配置される切り屑収容箱が取り付けられ、上記はさみの片方の刃部に沿って延びる略棒状体からなり、使用時に上側になる方の刃部に、その底面を上記切り屑収容箱の開口に対峙させた状態で切り屑押さえが取り付けられるようになっている。このため、はさみの開閉動作によって、上下の刃部の間で生じる切り屑が、上記切り屑押さえによって下向きに押され、その落ちる方向が、強制的に切り屑収容箱の開口に向けられるため、上記切り屑を切り屑収容箱内に確実に収容することができる。また、切り屑収容箱装着ガイドが、その先端側が切り屑収容箱と連結されるか一体的に形成され、根元側が上記はさみの回転軸近傍に係合されるようになっているため、刃渡りより長い距離を続けて裁断する際に邪魔にならず、優れた操作性を有する。
【0010】
また、本発明のなかでも、上記切り屑収容箱装着ガイドが、使用時に上側になる方の把持部の根元側を上側から折り返す形状の折り返し片を有し、その折り返し片の内側に、はさみの回転軸の突出部分に係脱自在な係合部を有している場合には、特別な道具を使用せずに、はさみに脱着自在な状態に取り付けることができる。
【0011】
そして、本発明のなかでも、上記切り屑収容箱が、その一部がはさみの刃部に重ねられる第1側壁部と、上記第1側壁部と組み合わせられることにより切り屑収容箱になる第2側壁部と、上記第1側壁部と第2側壁部とを組み合わせて固定するストッパーとを有するものである場合には、上記ストッパーを外すだけで、切り屑収容箱内に収容された切り屑を、容易に取り出し、排出することができる。
【0012】
さらに、上記切り屑押さえが、弾性を有する材料で形成されているものである場合には、生じた切り屑との間の摩擦力により、その表面に切り屑をしっかりと保持でき、無理なく切り屑収容箱に押し込むことができる。
【0013】
また、上記切り屑押さえが、上記切り屑収容箱の開口を塞ぐ形状に形成されている場合には、生じた切り屑を取りこぼすことなく、より確実に切り屑収容箱に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態であるはさみ用切り屑収容具をはさみに装着した状態を示す外観図である。
【図2】上記はさみ用切り屑収容具をはさみに装着し、はさみを開いた状態を示す外観図である。
【図3】上記はさみ用切り屑収容具の一部を手前側から示す外観図である。
【図4】上記はさみ用切り屑収容具の一部を裏側から示す外観図である。
【図5】(a)は上記はさみ用切り屑収容具における切り屑収容箱および切り屑収容箱装着ガイドを外側から見た拡大説明図、(b)はこれを上側から見た拡大説明図、(c)はこれを内側から見た拡大説明図である。
【図6】(a)は上記切り屑収容箱の第2側壁部を内側から見た拡大説明図、(b)はこれを外側から見た拡大説明図である。
【図7】上記切り屑収容箱におけるストッパーの拡大説明図である。
【図8】上記はさみ用切り屑収容具における切り屑押さえの拡大説明図である。
【図9】上記はさみ用切り屑収容具をはさみに装着する方法の説明図である。
【図10】(a),(b)はいずれも、上記はさみ用切り屑収容具の使用方法の説明図である。
【図11】上記はさみ用切り屑収容具の一部の変形例の部分的な拡大図である。
【図12】上記変形例の部分的な拡大図におけるX−X断面図である。
【図13】上記はさみ用切り屑収容具の一部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態であるはさみ用切り屑収容具が、はさみ4に装着された状態を示しており、図2は、そのはさみ4が開いた状態を示している。上記はさみ用切り屑収容具は、はさみ4の刃部によって切断された切り屑を収容するためのもので、主に合成樹脂からなる切り屑収容箱1と、合成樹脂製の切り屑収容箱装着ガイド2と、合成ゴム製の切り屑押さえ3とで構成されている。なお、図1,2において、各部分は模式的であり、実際のサイズとは異なっている(以下の図においても同じ)。
【0017】
より詳しく説明すると、上記切り屑収容箱1は、はさみ4の使用時に下側になる方の刃部5aに、その開口6を沿わせた状態で、切り屑収容箱装着ガイド2によって装着されている。この切り屑収容箱装着ガイド2は、先端側が上記切り屑収容箱1と一体的に形成され根元側がはさみ4の回転軸21近傍に係合されるようになっている。また、上記切り屑押さえ3は、その底面3aを切り屑収容箱1の開口6に対峙させた状態で、その側面3c(図8参照)をはさみ4の使用時に上側になる方の刃部5bに接着剤で接着され、取り付けられている。なお、このはさみ4は、全長が17cm、刃部の先端から回転軸21までの長さが7.5cmであり、汎用品であって右手用である。
【0018】
上記切り屑収容箱1は、図3,図4に示すように、上部に開口6が形成された箱体であり、その高さdが3cm、長さeが6cm、厚みfが1.5cmに形成されている。この開口6は、はさみ4の一対の刃部5a,5bのうち、使用時に下側になる方の刃部5aに沿って延びる形状であって、使用時に上側になる方の刃部5b(刃部を閉じ合わせる際、降下する刃部)が刃部の閉時に位置する部分およびその外側に形成されるものであり、幅が0.7cm、長さが5.5cmに形成されている(図2参照)。そして、上記切り屑収容箱1は、第1側壁部7と、この第1側壁部7と組み合わせられることにより切り屑収容箱1になる第2側壁部8と、上記第1側壁部7と第2側壁部8とを組み合わせて固定するストッパー9とで構成されている。
【0019】
上記第1側壁部7は、合成樹脂製であり、図5(a)はこれを外側から見た拡大説明図、図5(b)はこれを上側から見た拡大説明図、図5(c)はこれを内側から見た拡大説明図である。なお、図5(a)〜(c)の各図において、矢印は、これがはさみ4に装着された際の先端方向を示している。また、第1側壁部7の内側には、はさみ4の刃部5aを載置するための、刃部5aに対応する形状の凹部10が形成されている。そして、上記第1側壁部7の左右2個所には、ストッパー9を取り付けるための切欠11が設けられている。さらに、上記第1側壁部7の後端には、切り屑収容箱1をはさみ4の回転軸21近傍で係合させるための切り屑収容箱装着ガイド2が一体的に設けられている。
【0020】
上記第2側壁部8は、無色透明の合成樹脂によって作製され、内側から見た拡大説明図を図6(a)に、外側から見た拡大説明図を図6(b)に示すように、切り屑収容箱1の開口6を形成するための、切欠12が上端に設けられている。なお、図6(a)および図6(b)において、矢印はこれがはさみ4に装着された際の先端方向を示している。そして、上記第2側壁部8の左右2個所には、ストッパー9を取り付けるための切欠13が設けられている。
【0021】
上記ストッパー9は、合成ゴム製で弾性を有しており、その拡大説明図を図7に示すように、帯状の本体部15と、上記切欠11および切欠13に係合させる連結部16a,16bと、これらに係合させた後の抜け止め部分である抜け止め部14a,14bとが設けられている。したがって、上記第1側壁部7と上記第2側壁部8とを合わせ、互いに重なった切欠11,13に、上記ストッパー9の連結部16a,16bを嵌め込むことによって、切り屑収容箱1が形成・固定されるようになっている。なお、図7において、矢印はこれがはさみ4に装着された際の先端方向を示している。
【0022】
また、上記切り屑収容箱1の第1側壁部7の後端から一体的に設けられる切り屑収容箱装着ガイド2(図1,図2に戻る)は、切り屑収容箱1をはさみ4に装着するためのガイド機能を備えたものであり、図5(b),(c)に示すように、はさみ4の把持部19aの根元側に対応する形状に形成された凹部20と、はさみ4の使用時に上側になる方の把持部19aの根元側を上側から折り返す形状に形成された折り返し片17とを有し、その折り返し片17の内側に、はさみ4の回転軸21の凹凸に係脱自在な係合部18を有している。
【0023】
一方、はさみ4の他方の刃部5bに取り付けられる切り屑押さえ3(図1,図2に戻る)は、図8に示すように、先端側に下り傾斜面3bを有する縦が0.5cm、横が0.5cm、長さが6cmの略棒状体であって、そのY−Y断面が略L字状であり、側面3cがはさみ4の刃部5bに接することができるように平らに形成され、また、その底面3aは切り屑収容箱1の開口6を塞ぐ形状に形成されている。そして、上記切り屑押さえ3は、接着剤によってはさみ4の刃部5bに沿って取り付けられるようになっている。
【0024】
上記はさみ用切り屑収容具をはさみ4に装着するには、図9に示すように、まず、切り屑押さえ3をはさみ4に取り付ける。すなわち、その底面3aを切り屑収容箱1の開口6に対峙するように、かつ、その先端の傾斜面3b(図8参照)を刃部5bの先端側に向けた状態で、側面3c(図8参照)に接着剤を塗布し、はさみ4の刃部5bに沿って接着させる。
【0025】
つぎに、切り屑収容箱1をはさみ4に取り付ける。すなわち、はさみ4の刃部5a,5bの先端を、切り屑収容箱装着ガイド2の根元側から先端側に抜けるように挿入し、使用時に下側になる方の刃部5aを、切り屑収容箱1の上部に設けられた凹部10〔図5(b),(c)参照〕に載置する。これにより、はさみ4の把持部19aの根元が切り屑収容箱装着ガイド2の凹部20〔図5(b),(c)参照〕に嵌め込まれるとともに、はさみ4の回転軸21の凹凸が、上記切り屑収容箱装着ガイド2の係合部18〔図5(b),(c)参照〕に係合する。これにより、はさみ4が切り屑収容箱装着ガイド2の折り返し片17に狭持され、はさみ4に対し切り屑収容箱1がしっかりと固定される。このようにして、はさみ用切り屑収容具を、はさみ4に装着することができる。
【0026】
そして、上記はさみ用切り屑収容具をはさみ4に装着した状態で、例えば、紙を裁断するには、まず、図10(a)に示すように、はさみ4の刃部5a,5bを上下に開き、切り屑がはさみ4の進行方向の右側(紙面では下側)に生じるように紙を配置する。ついで、図10(b)に示すように、上記両刃部5a,5bを閉じ合わせる。すると、生じた切り屑は、切り屑押さえ3によってその落ちる方向が切り屑収容箱1の開口6に強制的に向けられ、周囲に散乱することなく、切り屑収容箱1内に収容される。
【0027】
この構成によれば、切り屑押さえ3が、上記切り屑収容箱1の開口6を塞ぐ形状に形成されているため、生じた切り屑が、上記開口6より大きなサイズであっても、取りこぼすことなく、確実に切り屑収容箱1に収容することができる。また、切り屑収容箱装着ガイド2が、はさみ4に沿う形状であり、はさみ4の回転軸21近傍で係合されているため、刃渡りより長い距離を続けて裁断する際に邪魔にならず、優れた操作性を有する。
【0028】
そして、上記切り屑収容箱装着ガイド2が、使用時に上側になる方のはさみの把持部19aの根元側を上側から折り返す形状の折り返し片17を有し、その折り返し片17の内側に、はさみ4の回転軸21の凹凸に係脱自在な係合部18を有しているため、特別な道具を使用せずに、はさみ4に脱着自在な状態で装着することができる。
【0029】
さらに、上記切り屑収容箱1が、はさみ4の刃部5aに重ねられる第1側壁部7と、この第1側壁部7と組み合わせられることにより切り屑収容箱1になる第2側壁部8と、これらの第1側壁部7および第2側壁部8とを組み合わせて固定するストッパー9とを有しているため、ストッパー9を外すだけで第1側壁部7と第2側壁部8との組み合わせを解くことができ、その他の部分をはさみ4に装着したままで、切り屑収容箱1内に収容された切り屑を取り出し、排出することができる。また、上記第2側壁部8が透明部材で形成されているため、切り屑収容箱1内に収容された切り屑の収容状態を外部から目視で確認できる。
【0030】
そして、上記切り屑押さえ3が、合成ゴムで形成されているため、生じた切り屑を摩擦力によりその表面に保持した状態で無理なく切り屑収容箱1に押し込むことができ、より確実に収容できる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、はさみ用切り屑収容具を汎用品のはさみ4に用いたが、他の用途、例えば乳幼児の爪きり用はさみ等に用いてもよい。また、右手用のはさみ4に装着した場合について説明したが、左手用のはさみに装着する場合は、左右の構成を逆にすればよい。
【0032】
また、上記実施の形態では、はさみ用切り屑収容具の、切り屑収容箱1(第1側壁部7,第2側壁部8)および切り屑収容箱装着ガイド2を合成樹脂製としたが、それぞれ、ステンレス等の金属等、他の材料によって形成するようにしてもよい。そして、切り屑押さえ3を合成ゴム製としたが、合成樹脂,金属等、他の材料によって形成するようにしてもよい。しかし、合成ゴムのような弾性体で形成すると、切り屑との間に大きな摩擦力が発生し、切り屑をその表面に保持する能力が高くなるため、より確実に切り屑を切り屑収容箱1内に収容できる。特に、被切断物が糸のように軽量である場合に、切り屑押さえ3を合成ゴムにより形成すると、生じる切り屑(糸屑)をより確実に切り屑収容箱1に収容できるため、好ましい。このような合成ゴムとしては、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合体)等があげられる。
【0033】
そして、上記実施の形態では、切り屑収容箱装着ガイド2を、切り屑収容箱1と一体的に形成しているが、別部材を切り屑収容箱1の後端に連結し形成するようにしてもよい。すなわち、図11およびそのX−X断面図である図12に示すように、切り屑収容箱1の後端部分に、別に用意した部材22を連結させ、これらの間にはさみ4の把持部19a,19bを挟み、ねじ23でねじ止めすることにより、切り屑収容箱1をはさみ4に装着するようにしてもよい。一体的に形成すると脱着が容易になるという利点が得られ、また、別部材を連結させるようにすると脱着が不便になるものの、より強い力で固定することが可能になるという利点を有する。
【0034】
さらに、上記実施の形態では、切り屑収容箱1が、第1側壁部7と第2側壁部8とストッパー9とで形成されているが、第1側壁部7および第2側壁部8にそれぞれ係合部を設けたり、両者をねじ止めする等して、ストッパー9を用いずに第1側壁部7に第2側壁部8を組み合わせて形成するようにしてもよい。また、切り屑収容箱1を一体的に形成するようにしてもよい。部品点数が少なければ、部品管理が容易になり、製造コストの低減化を図ることができる。
【0035】
また、上記実施の形態では、切り屑収容箱1は、高さdが3cm、長さeが6cm、厚みfが1.5cmのサイズに形成されているが、はさみ4のサイズやその使用用途によって、適宜のサイズに形成することができる。はさみ4の全長が17cmである場合には、その高さdを2.5cm〜6.0cm、長さeを6.5cm〜7.0cm、厚みfを1.3cm〜2.0cmに形成することが好ましい。切り屑収容箱1のサイズが大きすぎると、その存在と重量によって、はさみ4を使用する際の操作性を損ねる傾向がみられ、逆に、小さすぎると、切り屑を収容しにくい傾向がみられるためである。
【0036】
さらに、上記実施の形態では、切り屑収容箱1の開口6は、0.7cm×5.5cmのサイズに形成されているが、はさみ4の刃部の長さ、被切断物の種類、生じる切り屑のサイズ等により、切り屑収容箱1のサイズに準じた適宜のサイズに形成することができる。
【0037】
また、上記実施の形態では、切り屑押さえ3の横寸法を0.5cmに設定しているが、これも、はさみ4のサイズ等によって適宜の寸法とすることができる。すなわち、はさみ4の刃部の長さが同じであっても刃部の厚みが異なる場合があるためであり、切り屑収容箱1のサイズおよびその開口6の寸法にもよるが、操作性を考慮すると、切り屑押さえ3の横寸法は、0.3cm〜0.6cmの範囲内に設定することが好適である。
【0038】
そして、上記実施の形態では、切り屑押さえ3の形状を図8に示すように形成しているが、はさみ4の使用時に上側になる方の刃部5bに沿って延び、生じた切り屑を切り屑収容箱1に押し込むことができる形状であればよく、例えば、図13に示すような形状の切り屑押さえ3’であってもよい。この場合、その底面3’aを切り屑収容箱1の開口6に対峙させ、かつ、側面3’cをはさみ4の刃部5bに接着させることにより、はさみ4に取り付けることができる。また、この切り屑押さえ3’は、単純な形状でありながら、図8に示す切り屑押さえ3と同等の効果を奏することができる。
【0039】
また、上記実施の形態では、切り屑押さえ3が切り屑収容箱1の開口6を完全に塞ぐ形状に形成されているが、生じた切り屑の落下の方向を開口6に向けることができる形状であれば、開口6を塞ぐ形に形成しなくてもよい。しかし、開口6を塞ぐ形状に形成されていると、より確実に切り屑を切り屑収容箱1内に収容することができるとともに、これが開口6の蓋になるため、収容した切り屑が容易に抜け落ちず好適である。
【0040】
さらに、上記実施の形態では、切り屑押さえ3が接着剤によってはさみ4の刃部5bに装着されているが、このほかにも、両面テープ等を用いて切り屑押さえ3を刃部5bに装着するようにしてもよい。また、はさみ4の刃部が金属である場合には、切り屑押さえ3を磁石で形成し、これをその刃部5bに磁力によって取り付けるようにしてもよい。この場合、特別な道具を使用せずにワンタッチで脱着できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、切り屑収容箱の開口より大きいサイズの切り屑を切り屑収容箱に収容し、通常のはさみとして用いる際の操作性が良好なはさみ用切り屑収容具として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 切り屑収容箱
2 切り屑収容箱装着ガイド
3 切り屑押さえ
4 はさみ
5a,5b 刃部
6 開口
21 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に刃部が設けられ根元側に把持部が設けられた一対の刃物体を交差状に配置し回転軸で軸支してなるはさみに装着される切り屑収容具であって、上記はさみの片方の刃部に沿って延びる開口を有し、使用時に下側になる方の刃部に、その開口を沿わせた状態で配置される切り屑収容箱と、先端側が上記切り屑収容箱と連結されるか一体的に形成され根元側が上記はさみの回転軸近傍に係合される切り屑収容箱装着ガイドと、上記はさみの片方の刃部に沿って延びる略棒状体からなり、使用時に上側になる方の刃部に、その底面を上記切り屑収容箱の開口に対峙させた状態で装着される切り屑押さえとを備え、はさみの開閉動作に伴い、上下の刃部の間で生じる切り屑が、上記切り屑押さえによって切り屑収容箱内に押し込まれるようになっていることを特徴とするはさみ用切り屑収容具。
【請求項2】
上記切り屑収容箱装着ガイドが、使用時に上側になる方の把持部の根元側を上側から折り返す形状の折り返し片を有し、その折り返し片の内側に、はさみの回転軸の突出部分に係脱自在な係合部を有している請求項1記載のはさみ用切り屑収容具。
【請求項3】
上記切り屑収容箱が、その一部がはさみの刃部に重ねられる第1側壁部と、上記第1側壁部と組み合わせられることにより切り屑収容箱になる第2側壁部と、上記第1側壁部と第2側壁部とを組み合わせて固定するストッパーとを有するものである請求項1または2記載のはさみ用切り屑収容具。
【請求項4】
上記切り屑押さえが、弾性を有する材料で形成されているものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のはさみ用切り屑収容具。
【請求項5】
上記切り屑押さえが、上記切り屑収容箱の開口を塞ぐ形状に形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のはさみ用切り屑収容具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−179227(P2012−179227A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43923(P2011−43923)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【出願人】(000112299)ピップ株式会社 (46)
【Fターム(参考)】