説明

ばねシート部材及びこれを具備するばね組立て体

【課題】コイルばねからの脱落を効果的に抑制すること。
【解決手段】溝Dを画成する面のうち座部21と反対側に位置する拡径部25の壁面は軸部22の径方向外方に向けて軸部22の延出方向に傾斜する傾斜面S1とされるようにした。これにより、コイルばね10から引き抜こうとする引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合、係合片32のうち係止部33は、拡径部25の傾斜面S1に沿って径方向外方に変位しようとすることで、座巻部12に強く押圧されるようになる。また、係止部33が拡径部25に沿って変位可能にすることで、係合片32のより多くの部位が座巻部12と係合状態となるように、シート本体20に対する板ばね30の取付姿勢が自律的に調整されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルばねに取り付けられるばねシート部材及びこれを具備するばね組立て体に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルばねに取り付けられるばねシート部材としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。このばねシート部材は、係合溝部を有するシート本体と弾性変形可能な弾性係止片を有するクリップ部材とにより構成されている。
【0003】
そして、クリップ部材は、該クリップ部材の弾性係止片の係止部がシート本体の係合溝部に係合することで取り付けられる。具体的には、クリップ部材をシート本体に取り付ける際、クリップ部材の弾性係止片の径方向外方への撓み変形を利用して弾性係止片の係合部をシート本体の係合溝部に係合させている。また、ばねシート部材は、シート本体に取り付けられたクリップ部材の弾性変形を利用した係合によりコイルばねに取り付けられる。具体的には、ばねシート部材をコイルばねに取り付ける際、クリップ部材の弾性係止片が径方向内方への撓み変形を利用して弾性係止片の外端部をコイルばねの座巻部に係合させている。
【0004】
このようにして特許文献1のばねシート部材では、シート本体に対するクリップ部材の取付性及びコイルばねに対するばねシート部材の取付性を併せて向上させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−292271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなばねシート部材にあっては、コイルばねから引き抜こうとする引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合、弾性係止片の外端部にコイルばねの座巻部が係合されるため、ばねシート部材がコイルばねから脱落することを抑制する効果は期待できる。しかしながら、このようなばねシート部材にあっては、引き抜き荷重が一部の弾性係止片に集中することによる同弾性係止片の局所的な破損が生じたり、引き抜き荷重により弾性係止片が径方向内方に変形したりすることがあるため、こうしたばねシート部材の脱落を抑制するうえでは、改善の余地を残すものとなっている。
【0007】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コイルばねからの脱落を効果的に抑制することのできるばねシート部材及びこれを具備するばね組立て体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コイルばねの座巻部と当接可能な座部及び該座部から延出されて前記コイルばねの内部に配置可能な軸部を含むシート本体と、該シート本体に取り付けられる取付部材とを備え、前記取付部材は前記軸部に対して近接離間する態様で弾性変形可能な係合部を含み、前記軸部の外周にはその周方向に延びる溝が形成され、前記係合部を前記軸部と離間する側に弾性変形させて前記溝に遊嵌させることで前記取付部材が前記シート本体に取り付けられる一方、前記係合部を前記軸部と近接する側に弾性変形させて前記座巻部に挿入するとともにその弾性変形を復元させて同係合部を前記座巻部に係合させることで前記取付部材が前記シート本体とともに前記コイルばねに取り付けられるばねシート部材において、前記溝を画成する面のうち前記座部と反対側に位置する壁面は前記軸部の径方向外方に向けて前記軸部の延出方向に傾斜する傾斜面とされることを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、コイルばねから引き抜こうとする引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合、係合部のうち溝の傾斜面に当接する部位は、その傾斜面に沿って軸部の径方向外方に変位しようとする。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として軸部から離間するように変形させようとする力が係合部に作用する。そしてこうした係合部の変形により、座巻部とすでに係合している係合部については同座巻部に更に強く押圧されるようになる一方、それ以外の非係合状態にある係合部も座巻部と係合して押圧される状態に移行する。さらに、上述したように係合部のうち当接部位が傾斜面に沿って変位することが可能であるため、係合部のより多くの部位が座巻部と係合状態となるように、シート本体に対する取付部材の取付姿勢が自律的に調整されるようにもなる。このように、ばねシート部材に引き抜き荷重が作用した場合には、係合部の変形と取付部材の取付姿勢にかかる自律調整との相乗効果によって、係合部のより多くの部位が座巻部と係合状態に移行するようになるため、係合部と座巻部との係合部位において限られた一部に引き抜き荷重が集中してしまうことがなく、その分散均一化が図られるようになる。その結果、係合部が局所的に破損したり、軸部に近接するように変形して座巻部との係合が解除されたりすることが抑えられ、これらに起因するばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のばねシート部材において、前記取付部材は、円形状の基部の周縁部から前記係合部としての複数の係合片が延設される中空円錐台形に形成されるものであり、前記複数の係合片は、前記基部の周縁部から延設される各先端部が軸部側に折り曲げられて前記溝と遊嵌される一方、その折曲部分が前記座巻部と係合可能とされることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、引き抜き荷重が作用したときに、前記傾斜面に接触する係合片の各先端部がその傾斜面に沿って径方向外方に変位しようとする。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として軸部から離間するように変形させようとする力が係合片に作用することとなる。その結果、請求項1に記載の発明に準じた効果を得ることができる。これに加えて、係合部が複数の係合片によって構成されているため、それら係合片が各別に独立した態様で弾性変形することが可能になる。したがって、取付部材をシート本体に取り付ける際の取付荷重を低減でき、その取付作業を容易なものとすることができるようになる。また、取付部材をシート本体に取り付けた状態でこれらを座巻部に挿入する際にあっても、その挿入時の荷重を低減でき、コイルばねに対するばねシート部材の取付作業についてもこれを容易なものとすることができるようになる。さらに、係合片が各別に独立した態様で弾性変形することが可能であることから、座巻部の形状等に寸法誤差が存在する場合でもそれに合わせるかたちで各係合片が弾性変形するようになるため、係合片と座巻部との係合をより確実なものとすることができる。しかも、係合片のうち比較的剛性が高い折曲部分を座巻部と係合させる構成を採用しているため、座巻部との係合部位にて係合片が損傷することについても効果的に抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のばねシート部材において、前記取付部材は、Cリング状に形成された前記係合部としてのリング部材であり、同リング部材は前記溝に遊嵌されてその内周側部分が前記傾斜面に当接可能とされるとともに、その外周側部分が前記コイルばねの座巻部と係合可能とされることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、引き抜き荷重が作用したときに、前記傾斜面に当接するリング部材の内周側部分がその傾斜面に沿って軸部の径方向外方に変位しようとする。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として拡径変形させようとする力がリング部材に作用することとなる。その結果、請求項1に記載の発明に準じた効果を得ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、コイルばねの座巻部と当接可能な座部及び該座部から延出されて前記コイルばねの内部に配置可能な軸部を含むシート本体と、該シート本体に取り付けられる取付部材とを備え、前記取付部材は前記軸部に対して近接離間する態様で弾性変形可能な係合部を含み、前記軸部の外周にはその周方向に延びる溝が形成され、前記係合部を前記軸部と離間する側に弾性変形させて前記溝に遊嵌させることで前記取付部材が前記シート本体に取り付けられる一方、前記係合部を前記軸部と近接する側に弾性変形させて前記座巻部に挿入するとともにその弾性変形を復元させて同係合部を前記座巻部に係合させることで前記取付部材が前記シート本体とともに前記コイルばねに取り付けられるばねシート部材において、前記溝を画成する内壁のうち前記座部と反対側に位置する部位を当接部としたとき、前記係合部の前記遊嵌される部位の前記当接部と当接する面が前記軸部の径方向内方に向けて前記座部側に傾斜する傾斜面とされることを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、コイルばねから引き抜こうとする引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合、係合部の傾斜面が溝の当接部と当接することで同係合部には軸部から離間させようとする力が引き抜き荷重の分力として作用することとなる。その結果、請求項1に記載の発明に準じた効果を得ることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のばねシート部材を前記コイルばねの少なくとも一方の端部の座巻部に取り付けられてなるばね組立て体であることを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、コイルばねにばねシート部材が取り付けられたばね組立て体において、係合部が局所的に破損したり、軸部に近接するように変形して座巻部との係合が解除されたりすることが抑えられ、これらに起因するばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コイルばねからの脱落を効果的に抑制することのできるばねシート部材及びこれを具備するばね組立て体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態のばね組立て体の一部破断断面図。
【図2】第1の実施形態のばね組立て体の分解斜視図。
【図3】(a)〜(e)は、第1の実施形態においてばね組立て体の組み付け工程を説明するばね組立て体の断面図。
【図4】第1の実施形態においてばねシート部材に引き抜き荷重が作用した場合におけるばね組立て体の(一端部を示す)断面図。
【図5】第2の実施形態のばね組立て体の一部破断断面図。
【図6】第2の実施形態のばね組立て体の分解斜視図。
【図7】第2の実施形態においてばね組立て体の組み付け工程を説明するばね組立て体の断面図。
【図8】第2の実施形態においてばねシート部材に引き抜き荷重が作用した場合におけるばね組立て体の(一端部を示す)断面図。
【図9】別例のばね組立て体の正面図。
【図10】別例のばね組立て体の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、この発明の第1の実施形態を図1〜図4に基づき説明する。
なお、以下の説明では、図1に示される形態を基準として「上」、「下」、「左」、「右」の各方向を定義する。
【0021】
図1に示すように、ばね組立て体は、コイルばね10と、シート本体20に取付部材としての板ばね30を取り付けた一対のばねシート部材とを備えている。このばね組立て体は、車両用自動変速機のトルクコンバータのロックアップクラッチのダンパーとして用いられるものである。また、コイルばね10は、所定の有効巻数のコイル部11と、そのコイル部11の両端部に形成された座巻部12とを有している。
【0022】
次に、ばねシート部材について説明する。
図1及び図2に示すように、ばねシート部材は、いずれも金属材料からなるシート本体20と板ばね30との二部品により構成されている。シート本体20は、円板状の座部21と、その座部21上に同心状に突出されたほぼ円柱状の軸部22とを有している。図1に示すように、座部21の上面には、座巻部12の研削された座面13が当接可能となっている。
【0023】
また、軸部22には、座部21側から先端側に向かって順に大径部23と小径部24と拡径部25と縮径部26とが形成されている。軸部22において、大径部23の外径はコイルばね10の座巻部12の内径より小さく且つ最大径に設定されている。また、軸部22において、小径部24の径は最小径に形成されている一方、拡径部25及び縮径部26の最大径は大径部23よりも小さく設定されている。
【0024】
そして、軸部22の外周には、大径部23の上面と小径部24の壁面と拡径部25の壁面の各面で画成される溝Dが、軸部22の周方向全体に延びるように形成される。なお、軸部22において座部21の反対側に位置する拡径部25の壁面は、軸部22の径方向外方に向けて同軸部22の延出方向に傾斜する傾斜面S1となっている。一方、縮径部26の壁面は、軸部22の径方向内方に向けて同軸部22の延出方向に傾斜する傾斜面S2となっている。
【0025】
また、シート本体20は、例えば、座部21及び軸部22を有する素材を鍛造加工により成形する工程と、その素材を転造加工することにより大径部23、小径部24、拡径部25、及び縮径部26を成形する工程とにより製造されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、金属材料により中空円錐台形状に形成された板ばね30は、コイルばね10の座巻部12の内径よりも小さく設定されたほぼ円板状の基部31を有している。なお、基部31にはリング状の補強リブ31aが形成されている。
【0027】
また、基部31には、その周縁の複数箇所に周縁折曲部31bが周方向において等角度間隔を隔てて設けられるとともに、各周縁折曲部31bからは係合部としての係合片32が径方向外方に向けて座部21側に延設されている。また、隣り合う係合片32の間には、基部31の周縁まで切り開かれるスリット34が形成されている。このため、各係合片32は、各周縁折曲部31bから径方向への各別に独立した態様で弾性変形を可能にしている。
【0028】
そして、各係合片32は、周縁折曲部31bから延設される各先端部が係合折曲部32aから軸部22側に折り曲げられた係止部33により溝Dと遊嵌される。なお、このようにして折り曲げられる係合折曲部32aは、係合片32のうち比較的剛性の高い部位となる。また、各係合折曲部32aを結んでできる円の径は、係合片32が弾性変形していない状態においてコイルばね10の座巻部12の内径よりも大きく設定されている。さらに、この各係合折曲部32aを結んでできる円の径は、座巻部12の内周に係合可能な大きさに設定されている。また、各係止部33の先端を結んでできる円の径は、軸部22の拡径部25及び縮径部26の最大径よりも小さく且つ軸部22の小径部24よりも大きく設定されている。また、これら各係止部33は、軸部22の延出方向と直交するように折り曲げられている。なお、これら各係止部33の長さは、コイル部11及び座巻部12の内周と軸部22の拡径部25及び縮径部26の最大径となる部分との隙間よりも長く設定されている。さらに、これら各係止部33の長さは、周縁折曲部31bから係合折曲部32aよりも短く設定されている。
【0029】
また、各係合折曲部32aを結んでできる円の径は、軸部22の拡径部25及び縮径部26の最大径よりも大きく設定されている。また、周縁折曲部31bから係止部33への垂線長は、軸部22の延出長よりも長く設定されている。これにより、板ばね30は、基部31と各係合片32で形成される中空内部に軸部22が収容可能となっている。
【0030】
そして、板ばね30は、シート本体20に以下のようにして取り付けられる。すなわち、板ばね30は、図3(a)に示すように、シート本体20の軸部22に被せた状態で押し付ける。これにともない、板ばね30の各係合片32の係止部33の先端がシート本体20の縮径部26に当接した状態で摺動することにより、図3(b)に示すように、各係合片32が軸部22と離間するように弾性変形する。そして、係止部33が縮径部26を乗り越えると、図3(c)に示すように、各係合片32の弾性変形が復元することにより、係止部33が軸部22の溝Dに遊嵌する。この状態では、各係合片32における各係止部33の下面が、シート本体20の座部21の大径部23に当接される。このようにして、板ばね30がシート本体20に抜止状態に取り付けられることにより、ばねシート部材が得られる。
【0031】
次に、ばねシート部材をコイルばね10の座巻部12に取り付ける工程について説明する。すなわち、板ばね30をコイルばね10の座巻部12内に挿入させるようにして、シート本体20を座巻部12に押し付ける。これにともない、図3(d)に示すように、板ばね30の各係合片32の外側面がコイルばね10の座巻部12の内周面に当接した状態で摺動することにより、各係合片32が軸部22と近接するように弾性変形する。そして、各係合片32が座巻部12を乗り越えると、図3(e)に示すように、各係合片32の弾性変形が復元することにより、係合折曲部32aが座巻部12に係合する。これにともない、座巻部12がシート本体20の大径部23に嵌合するとともに、座巻部12の座面13がシート本体20の座部21の上面に当接する。このようにして、ばねシート部材がコイルばね10の両座巻部12にそれぞれ取り付けられることにより、ばね組立て体が得られる。
【0032】
以下、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、板ばね30をシート本体20に取り付ける際、各係合片32が各周縁折曲部31bから軸部22と離間するように弾性変形する状態へと移行する。ここで、各係合片32は、各別に独立した態様で弾性変形可能であるため、板ばね30をシート本体20に取り付ける際の取付荷重は相対的に小さいものとなる。
【0033】
また、本実施形態では、板ばね30をシート本体20に取り付けた状態でこれらを座巻部12に挿入する際、各係合片32が座巻部12から押圧される状態に移行するとともに、各係合片32が各周縁折曲部31bから軸部22と近接するように弾性変形する状態へと移行する。ここで、各係合片32は、各別に独立した態様で弾性変形可能であるため、板ばね30をシート本体20に取り付けた状態でこれらを座巻部12に挿入する際の取付荷重は相対的に小さいものとなる。
【0034】
また、本実施形態では、板ばね30をシート本体20に取り付けた状態でこれらを座巻部12に挿入する際、各係合片32が軸部22に近接するように弾性変形した後、このような弾性変形から復元する状態へと移行する。このため、板ばね30をシート本体20に取り付けた状態でこれらを座巻部12に挿入する際、座巻部12の形状等に寸法誤差がある場合でもそれに合わせて各係合片32が座巻部12と係合されるようになる。
【0035】
また、本実施形態では、以下に説明するように、引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合にもばねシート部材のコイルばね10からの脱落を抑制することができる。
具体的に、図4の矢印に示すように、引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合には、コイルばね10とシート本体20とが離間する。
【0036】
そして、板ばね30は、各係合片32が座巻部12との係合を保持した状態でコイルばね10と一体にシート本体20から離間するとともに、各係止部33の先端を当接部位として、拡径部25の傾斜面S1と当接する状態に移行する。この当接する状態への移行に伴っては、引き抜き荷重が作用する状況や係合片32と座巻部12との係合の状態に応じて、各係止部33の先端が順に拡径部25の傾斜面S1と当接する状態に移行する。
【0037】
そして、各係止部33の先端は、拡径部25の傾斜面S1と当接する状態に移行すると、拡径部25の傾斜面S1に沿って径方向外方へ変位しようとする。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として軸部22と離間するように弾性変形させようとする力が係合片32に作用する。
【0038】
このため、図4の拡大図の実線に示すように、座巻部12とすでに係合状態にある係合片32については、同座巻部12に更に強く押圧されるようになる。
一方、座巻部12と非係合状態である係合片32については、例えば、同拡大図の2点鎖線のように、座巻部12との係合状態が維持されつつ板ばね30が傾いたりして揺動する。このような揺動に合わせて、座巻部12と非係合状態である係合片32については、係止部33の先端が拡径部25の傾斜面S1に沿って変位するようになる。その結果、座巻部12と非係合状態にある係合片32も座巻部12と係合する状態に移行されるように調整される。このようにして調整された係合片32の係止部33は、上述したのと同様に、引き抜き荷重の分力として軸部22と離間するように弾性変形させようとする力が作用するとともに、同座巻部12に更に強く押圧されるようになる。
【0039】
また、座巻部12と非係合状態にある係合片32には、係止部33の先端が拡径部25の傾斜面S1と接触する状態に移行してさらに拡径部25の傾斜面S1に沿って径方向外方へ変位する場合もある。この場合、係合片32は、周縁折曲部31bから軸部22と離間するように弾性変形した後に、座巻部12と係合する状態へと移行する。さらに係合片32は、引き抜き荷重の分力として軸部22と離間するように弾性変形させようとする力が作用するとともに、同座巻部12に更に強く押圧されるようになる。
【0040】
このようにして係合片32の係止部33が拡径部25の傾斜面S1を摺動することで、係合片32のより多くの係合折曲部32aが座巻部12と係合状態となるように、シート本体20に対する板ばね30の取付姿勢が自律的に調整されるようになる。
【0041】
このようなばねシート部材のコイルばね10からの脱落を抑制するため本実施形態では、板ばね30をシート本体20に取り付ける際、係止部33の先端を力点として、係合折曲部32aよりも係止部33の先端から離間した周縁折曲部31bが作用点となる構成を採用している。これにより、周縁折曲部31bを作用点とする係合片32の弾性変形では、係合折曲部32aを作用点とする係止部33の弾性変形よりも小さい荷重で十分なものとなる。
【0042】
一方、本実施形態では、引き抜き荷重がばねシート部材に作用する場合、係止部33の先端を力点として、周縁折曲部31bよりも係止部33の先端に近接した係合折曲部32aが作用点となる構成を採用している。このため、係合折曲部32aを作用点とする係止部33の弾性変形では、周縁折曲部31bを作用点とする係合片32の弾性変形よりも大きな荷重に耐え得るようになる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(1)ばねシート部材に引き抜き荷重が作用した場合には、係合片32の変形と板ばね30の取付姿勢にかかる自律調整との相乗効果によって、係合片32のより多くの部分が座巻部12と係合状態に移行するようになる。このため、係合片32と座巻部12との係合部位において限られた一部に引き抜き荷重が集中してしまうことがなく、その分散均一化が図られるようになる。その結果、係合片32が局所的に破損したり、軸部22に近接するように変形して座巻部12との係合が解除されたりすることが抑えられ、これらに起因するばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
【0044】
(2)係合片32は、基部31の周縁の周方向において等角度間隔を隔てて設けられているとともに、隣り合う係合片32の間にスリット34が形成されている。このため、各係合片32は、各周縁折曲部31bから軸部22から離間する弾性変形を各別に独立した態様で可能にしている。したがって、板ばね30をシート本体20に取り付ける際の取付荷重を低減できるため、その取付作業を容易なものとすることができる。
【0045】
また、板ばね30をシート本体20に取り付けた状態でこれらを座巻部12に挿入する際にあっても、その挿入時の荷重を低減できるため、コイルばねに対するばねシート部材の取付作業についてもこれを容易なものとすることができる。
【0046】
さらに、係合片32が各別に独立した態様で弾性変形することが可能であることから、座巻部12の形状等に寸法誤差がある場合でもそれに合わせるかたちで各係合片32が弾性変形するようになるため、係合片32と座巻部12との係合をより確実なものとすることができる。
【0047】
(3)しかも、係合片32のうち比較的剛性が高い係合折曲部32aを座巻部12と係合させる構成を採用しているため、座巻部12との係合部位にて係合片32が損傷することについても効果的に抑制することができる。
【0048】
(4)板ばね30の基部31には、補強リブ31aを形成する構成を採用しているため、引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合にも板ばね30の変形が抑えられ、これに起因するばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
【0049】
また、板ばね30の係合片32が弾性変形を伴う場合にも板ばね30の破損が抑えられ、これに起因するばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
(5)引き抜き荷重がばねシート部材に作用する場合、係止部33の先端を力点として、周縁折曲部31bよりも係止部33の先端に近接した係合折曲部32aが作用点となる構成を採用することで、より大きな引き抜き荷重にも耐え得るようになる。したがって、ばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を図5〜図8に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一の構成について同一番号を付すことによりその重複する説明を割愛する。
【0051】
次に、本実施形態のばねシート部材を説明する。
図5及び図6に示すように、本実施形態のばねシート部材は、シート本体20と取付部材としてのリング部材40との二部品により構成されている。リング部材40は、ばね性を有する金属製のCリング状で且つ径方向に弾性変形可能に形成されている。また、リング部材40は、上方の断面が半円形で且つ下方の断面が四角形であって、下方に角部を有するように形成されている。そして、リング部材40の内径は、拡径部25及び縮径部26の最大径よりも小さく且つ小径部24よりも大きく設定されている。また、リング部材40の外径は、拡径部25及び縮径部26の最大径よりも大きく設定されている。さらに、このリング部材40の外径は、同リング部材40が弾性変形していない状態においてコイルばね10の座巻部12の内径よりも大きく形成されている。また、リング部材40の外径は、座巻部12の内周に係合可能な大きさに形成されている。なお、リング部材40は、例えば線材をコイリングマシンにより成形することができる。
【0052】
図7に示すように、このリング部材40は、シート本体20に以下のようにして取り付けられる。すなわち、リング部材40を、シート本体20の軸部22に被せるようにして押し付ける。これにともない、リング部材40が、軸部22の縮径部26に当接した状態で摺動することにより、軸部22から離間するように拡径変形する。そして、リング部材40が縮径部26を乗り越えると、リング部材40の弾性変形が復元することにより、リング部材40の内周側部分41が軸部22の溝Dに遊嵌する。このようにして、リング部材40がシート本体20に抜止状態に取り付けられることにより、本実施形態のばねシート部材が得られる。
【0053】
次に、本実施形態のばねシート部材をコイルばね10の座巻部12に取り付ける工程について説明する。すなわち、リング部材40を取り付けた軸部22をコイルばね10の座巻部12内に挿入させるようにして、シート本体20を座巻部12に押し付ける。これにともない、リング部材40の外周側部分42がコイルばね10の座巻部12の内周面に当接した状態で摺動することにより、リング部材40が軸部22に近接するように縮径変形する。そして、リング部材40の外周側部分42が座巻部12を乗り越えると、リング部材40の弾性変形が復元することにより、リング部材40の外周側部分42の角部分が座巻部12に係合する。これにともない、座巻部12がシート本体20の大径部23に嵌合するとともに、座巻部12の座面13がシート本体20の座部21の上面に当接する。このようにして、本実施形態のばねシート部材がコイルばね10の両座巻部12にそれぞれ取り付けられることにより、ばね組立て体が得られる。
【0054】
以下、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、以下に説明するように引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合にもばねシート部材のコイルばね10からの脱落を抑制することができる。
【0055】
具体的に、図8の矢印に示すように、引き抜き荷重がばねシート部材に作用した場合には、コイルばね10とシート本体20とが離間する。
そして、リング部材40は、外周側部分42が座巻部12との係合を保持した状態でコイルばね10と一体にシート本体20から離間するとともに、リング部材40の内周側部分41を当接部位として、拡径部25の傾斜面S1と当接する状態に移行する。この当接する状態への移行に伴っては、引き抜き荷重が作用する状況やリング部材40と座巻部12との係合の状態に応じて、リング部材40の内周側部分41が順に拡径部25の傾斜面S1と当接する状態に移行する。
【0056】
そして、リング部材40の内周側部分41は、拡径部25の傾斜面S1と当接する状態に移行すると、拡径部25の傾斜面S1に沿って径方向外方へ変位しようとする。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として拡径変形させようとする力がリング部材40に作用する。
【0057】
このため、図8の拡大図に示すように、リング部材40とすでに係合状態にある外周側部分42については、同座巻部12に更に強く押圧されるようになる。また、図8の右側のリング部材40の外周側部分42については、座巻部12とすでに係合状態の場合、同座巻部12に更に強く押圧されるようになる。
【0058】
一方、図8の右側のリング部材40の外周側部分42が座巻部12と非係合状態である場合や、図示しない図8の紙面裏側のリング部材40の外周側部分42が座巻部12と非係合状態である場合、座巻部12との係合状態が維持されつつリング部材40が傾いたりして揺動する。このような揺動に合わせて、座巻部12と非係合状態であるリング部材40の外周側部分42については、リング部材40の内周側部分41が拡径部25の傾斜面S1に沿って変位するようになる。その結果、座巻部12と非係合状態にあるリング部材40の外周側部分42も座巻部12と係合する状態に移行されるように調整される。
【0059】
このようにして座巻部12と非係合状態であるリング部材40の内周側部分41が拡径部25の傾斜面S1を摺動することで、このようなリング部材40のより多くの外周側部分42が座巻部12と係合状態となるように、シート本体20に対するリング部材40の取付姿勢が自律的に調整されるようになる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(6)引き抜き荷重が作用したときに、拡径部25に当接するリング部材40の内周側部分41がその傾斜面S1に沿って径方向外方に変位しようとする。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として拡径変形させようとする力がリング部材40に作用することとなる。その結果、リング部材40が局所的に破損したり、縮径変形して座巻部12との係合が解除されたりすることが抑えられ、これらに起因するばねシート部材の脱落を効果的に抑制することができるようになる。
【0061】
(7)引き抜き荷重が作用したときに、拡径部25に当接するリング部材40の内周側部分41も曲面とすることで、径方向外方に変位し易くなる。すなわち、こうした引き抜き荷重の分力として拡径変形させようとする力をリング部材40に好適に作用させることができるようになる。一方、引き抜き荷重が作用したときに、座巻部12と係合するリング部材40の外周側部分42を角部とすることで、係合状態を好適に維持することができるようになる。
【0062】
なお、上述した各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・各実施形態では、両端部が研削により平面状に加工された座面を有するコイルばね10を例示したが、図9に示されるように、こうした研削加工が施されていないコイルばね10を採用することもできる。
【0063】
・各実施形態では、図10に示されるように、アークスプリング等、円弧状をなすコイルばね10を採用することもできる。
・各実施形態は、軸部22を二部品で構成することもできる。例えば、軸部22は、大径部23及び小径部24を有する円筒状の部品に対し、拡径部25及び縮径部26を有するCリング状の部品を嵌合させて構成することができる。また、この場合には、拡径部25及び縮径部26を有するCリング状の部品に替えて、コイルエキスパンダ等、直線状のコイルばねの両端を連結して円環状に形成したような部品を採用することもできる。このような構成では、その部品の外周面に拡径部25や縮径部26に相当する傾斜面を形成することができ、各実施形態と同様の効果を奏するようになる。
【0064】
・各実施形態では、軸部22に拡径部25に相当する傾斜面S1が形成されていれば、軸部22の構成を任意に変更することもできる。例えば、軸部22の大径部23を形成しなくてもよいし、縮径部26を小径部24のような円柱に置き換えることもできる。
【0065】
・各実施形態において、溝Dは、軸部22の全周に形成されていなくてもよく、例えば、一部分にのみ形成されるようにしてもよいし、間隔を空けて複数箇所に形成されるようにしてもよい。
【0066】
・各実施形態では、拡径部25に傾斜面が形成されていればよく、平面でなく曲面であってもよい。
・各実施形態では、コイルばね10の両座巻部12に各実施形態のばねシート部材を取り付けるようにしたが、一方の座巻部12にのみ取り付けてばね組立て体を実現することもできる。
【0067】
・各実施形態に示したばね組立て体において、引き抜き荷重が比較的低荷重である場合には、シート本体20、板ばね30、リング部材40を樹脂製とすることもできる。
・第1の実施形態において、板ばね30は、中空円筒状の基筒部と、基筒部の周縁から各係合片32を延設するようにしてもよい。
【0068】
・第1の実施形態では、基部31の周縁の全周から円筒状に係合片32を形成する構成を採用してもよい。
・第1の実施形態では、基部31の各周縁折曲部31bから各係合片32を径方向外方に延設しなくてもよく、鉛直方向に延設してもよい。
【0069】
・第1の実施形態では、各係合片32を複数有していればよく、その数を変更することもできる。
・第1の実施形態において、コイルばね10の座巻部12の内周と係合する各係合片32の部位は、係合折曲部32aに限らずその周辺で係合可能に構成されていればよい。なお、上記部位は、少なくとも各係合片32の外周であればよい。
【0070】
・第1の実施形態では、各係合片32に係合折曲部32aを形成して係止部33を形成したが、各係合片32の長手方向の途中の内周側に係止部33に相当する突出部を形成するとともに、その長手方向の先端の外側にコイルばね10の座巻部12の内周と係合する部位を形成する構成を採用することもできる。この場合にあっては樹脂製等ではなく、金属製の板ばね30を採用することが好ましい。
【0071】
・第1の実施形態において、板ばね30には補強リブ31aを形成しなくてもよい。
・第1の実施形態において、板ばね30の補強リブ31aは環状に限らず他の形状で実現してもよい。
【0072】
・第2の実施形態において、リング部材40は、断面円形、断面角形等のものを採用することもできる。
・第1の実施形態は、溝Dを画成する内壁のうち座部21と反対側に位置する拡径部25を当接部としたとき、係合片32が軸部22に遊嵌される係止部33の前記当接部と当接する面が軸部22の径方向内方に向けて座部21側に傾斜する傾斜面とされるようにしてもよい。すなわち、係止部33は、拡径部25との当接側が軸部22の径方向内方に向けて座部21側に傾斜する傾斜面となるように、折り曲げられてもよい。この場合には、拡径部25の壁面が傾斜面でなくても第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
・第2の実施形態は、溝Dを画成する内壁のうち座部21と反対側に位置する拡径部25を当接部としたとき、リング部材40が軸部22に遊嵌される内周側部分41の前記当接部と当接する面が軸部22の径方向内方に向けて座部21側に傾斜する傾斜面とされるようにしてもよい。すなわち、リング部材40の内周側部分41は、軸部22の径方向内方に向けて座部21側に傾斜する傾斜面となるようにしてもよい。この場合には、拡径部25の壁面が傾斜面でなくても第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0074】
・各実施形態のばね組立て体は、車両用手動変速機のクラッチディスクや、車両用フライホイール等のダンパーとして適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10…コイルばね、11…コイル部、12…座巻部、13…座面、20…シート本体、21…座部、22…軸部、23…大径部、24…小径部、25…拡径部、30…板ばね、31…基部、31b…周縁折曲部、32…係合片、32a…係合折曲部、33…係止部、40…リング部材、41…内周側部分、42…外周側部分、S1…傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルばねの座巻部と当接可能な座部及び該座部から延出されて前記コイルばねの内部に配置可能な軸部を含むシート本体と、該シート本体に取り付けられる取付部材とを備え、前記取付部材は前記軸部に対して近接離間する態様で弾性変形可能な係合部を含み、前記軸部の外周にはその周方向に延びる溝が形成され、前記係合部を前記軸部と離間する側に弾性変形させて前記溝に遊嵌させることで前記取付部材が前記シート本体に取り付けられる一方、前記係合部を前記軸部と近接する側に弾性変形させて前記座巻部に挿入するとともにその弾性変形を復元させて同係合部を前記座巻部に係合させることで前記取付部材が前記シート本体とともに前記コイルばねに取り付けられるばねシート部材において、
前記溝を画成する面のうち前記座部と反対側に位置する壁面は前記軸部の径方向外方に向けて前記軸部の延出方向に傾斜する傾斜面とされる
ことを特徴とするばねシート部材。
【請求項2】
請求項1に記載のばねシート部材において、
前記取付部材は、円形状の基部の周縁部から前記係合部としての複数の係合片が延設される中空円錐台形に形成されるものであり、
前記複数の係合片は、前記基部の周縁部から延設される各先端部が軸部側に折り曲げられて前記溝と遊嵌される一方、その折曲部分が前記座巻部と係合可能とされる
ことを特徴とするばねシート部材。
【請求項3】
請求項1に記載のばねシート部材において、
前記取付部材は、Cリング状に形成された前記係合部としてのリング部材であり、
同リング部材は前記溝に遊嵌されてその内周側部分が前記傾斜面に当接可能とされるとともに、その外周側部分が前記コイルばねの座巻部と係合可能とされる
ことを特徴とするばねシート部材。
【請求項4】
コイルばねの座巻部と当接可能な座部及び該座部から延出されて前記コイルばねの内部に配置可能な軸部を含むシート本体と、該シート本体に取り付けられる取付部材とを備え、前記取付部材は前記軸部に対して近接離間する態様で弾性変形可能な係合部を含み、前記軸部の外周にはその周方向に延びる溝が形成され、前記係合部を前記軸部と離間する側に弾性変形させて前記溝に遊嵌させることで前記取付部材が前記シート本体に取り付けられる一方、前記係合部を前記軸部と近接する側に弾性変形させて前記座巻部に挿入するとともにその弾性変形を復元させて同係合部を前記座巻部に係合させることで前記取付部材が前記シート本体とともに前記コイルばねに取り付けられるばねシート部材において、
前記溝を画成する内壁のうち前記座部と反対側に位置する部位を当接部としたとき、前記係合部の前記遊嵌される部位の前記当接部と当接する面が前記軸部の径方向内方に向けて前記座部側に傾斜する傾斜面とされる
ことを特徴とするばねシート部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のばねシート部材を前記コイルばねの少なくとも一方の端部の座巻部に取り付けられてなるばね組立て体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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