ばね製造機
【課題】線材を送出するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造し、小型化を図ることができるばね製造機を提供する。
【解決手段】線材送りユニット3から送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動板W3、Y軸方向に移動する移動板W2、及びZ軸方向に移動する移動板W1を備える支持体Wに、開口部を開設して、該開口部にクイル4を配置し、前記支持体Wに、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整する構成とした。
【解決手段】線材送りユニット3から送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動板W3、Y軸方向に移動する移動板W2、及びZ軸方向に移動する移動板W1を備える支持体Wに、開口部を開設して、該開口部にクイル4を配置し、前記支持体Wに、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交三軸方向に、前記線材送りユニットを移動させず、線材をばねに加工する加工ツールを、XYZ直交座標系の少なくとも一方向に移動させて、精度良くばねを製造することができるばね製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にクイル型ばね製造機は、線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内する案内通路を、その軸芯部分に備える半円柱状のクイルと、該クイルの先端部から送出された線材を加工する加工ツールを保持する保持部材とを備え、該保持部材に保持してある加工ツールに線材を当接させて、コイルばね、トーションばね等を成形する。線材を所望のばね形状に成形するためには、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整する必要がある。
【0003】
従来のクイル型ばね製造機は、線材送りユニットに、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交三軸方向、又はX軸方向及びY軸方向に摺動可能なスライド部材を設け、前記線材送りユニット及びクイルを移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を調整していた(特許文献1参照)。
【0004】
またXYZ直交三軸方向に移動する移動部材をクイルに対向させて配置し、該移動部材に加工ツールを取付けて該ツールを移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を調整していた(特許文献2参照)。
【0005】
またXYZ直交三軸方向に移動する二つの移動テーブルに、二つのタレットをそれぞれ設け、該タレットに加工ツールを保持する複数のツール保持具を放射状に配置し、また二つの前記移動テーブルの間にクイルを配置して、前記タレットの回転により選択した加工ツールとクイルとの相対位置を、前記移動テーブルを移動させて調整していた(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−95533号公報
【特許文献2】特開平10−109133号公報
【特許文献3】特開2000−61736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて線材に加工ツールを当接させたときには、線材を介して線材送りユニットに加工に伴う反力が伝播するが、特許文献1に記載のばね製造機にあっては、線材送りユニットに、XYZ直交三軸方向の移動機構、線材を捩るために線材送りユニットを回転させる捩り機構、及びクイルを回転させる回転機構を積層した構造で設けてあり、加工に伴う反力に対し前記機構それぞれに歪みを生じ、各歪みの総和が線材送りユニット全体としての歪みとなる。線材送りユニット全体としての歪みにより、クイルは基準の位置から、線材の成形において無視できない大きさで偏倚し、線材を所望のばね形状に成形できない虞がある。
【0007】
また加工ツールにより加工された線材は、線材の送出に伴い前方に移動するが、特許文献2に記載のばね製造機にあっては、前記移動部材をクイルに対向させて線材が送出される進路を塞ぐように配置してあり、加工された線材が前記移動部材に接触することを防ぐために、一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等は制約を受け、成形可能なばねの形状が限定され、前記制約を避けるために前記移動部材を前記クイルから離隔させた場合には、ばね製造機が大型になるという問題点がある。
【0008】
また一般に、クイルの周囲に多数の加工ツールを放射状に配置し、該多数の加工ツールを使用して、線材を複雑な形状のばねに成形するところ、特許文献3に記載のばね製造機にあっては、二つの前記タレットを、クイルを挟んで左右にそれぞれ配置してあり、クイルの周囲に放射状に多数の加工ツールを配置するためには、前記クイルの周囲に多数のタレットを配置する必要があり、前記タレットの大きさを考慮すれば、前記クイルの周囲に多数のタレットを配置することは難しい。
また小型の移動テーブルを二つ配置し、各移動テーブルに幅の狭い一対のガイドレールをそれぞれ設けてあり、加工ツールが線材に当接したときの反力及び該反力によるモーメントは、線材に当接した加工ツールを設けてある側の移動テーブルに集中し、幅の狭いガイドレールでは前記反力及び該反力によるモーメントに抗しきれず、線材を加工したときの反力により、各移動テーブルの位置が偏倚する虞がある。
更に二つの移動テーブルにそれぞれ設けてある二つの加工ツールを衝合して線材を加工する場合の反力は、二つの移動テーブルを互いに遠ざける力として働き、該移動テーブルの耐久性が低下し易い。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備える支持体に、開口部を開設して、該開口部にクイルを配置し、前記支持体に、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具を設けることにより、クイルの周囲に配置してある支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイルの周囲に多数のツール保持具を配設することを可能にし、また加工ツールが線材に当接したときの反力を支持体全体で吸収して、支持体の耐久性を向上させ、また前記支持体に複数のツール保持具を設けて、二つの加工ツールを衝合して線材を加工したときに発生する二つの反力を前記支持体にて相殺し、前記支持体の位置が偏倚することを防ぐことができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0010】
また前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを設けることにより、前記スライド及び支持体の移動を連動させて、前記ツール保持具に保持してある加工ツールを高速で移動させると共に、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0011】
また前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避し、回避させた線材がクイルに当接することを防止することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0012】
またZ軸方向に移動する支持体に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けて、前記移動部及び前記ツール保持具を前記支持体にてY軸(又はX軸)上に配置し、前記ツール保持具のクイル側部分にて、前記X軸(又はY軸)方向に沿って複数のツールを保持するように構成してあることにより、クイルの周囲に配置してある移動部及び支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造すると共に小型化を図り、また前記移動部を前記X軸(又はY軸)方向へ移動させ、一つのツール保持具に取付けてある複数の加工ツールから必要な加工ツールを選択することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0013】
また二つの移動部材を有する前記移動部に、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、各移動部材をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0014】
前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイルに当接することを防止できるばね製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るばね製造機は、線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具をその正面に支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、前記支持体は、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備える支持体に、開口部を開設して、該開口部にクイルを配置し、前記支持体の正面に、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具を設けることにより、前記支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避し、更に前記開口部の周囲に多数のツール保持具を配設することを可能にし、また前記加工ツールが線材に当接したときの反力を支持体全体で吸収し、また前記支持体に複数のツール保持具を設け、二つの加工ツールを衝合して線材を加工したときに発生する二つの反力は、前記支持体にて互いに逆向きに作用し相殺される。
【0017】
また本発明に係るばね製造機は、前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを設けることにより、前記スライド及び支持体の移動を連動させて、前記ツール保持具に保持してある加工ツールを高速で移動させると共に、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整する。
【0019】
また本発明に係るばね製造機は、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、該駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避し、回避させた線材がクイルに当接することを防止する。
【0021】
また本発明に係るばね製造機は、線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具を支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、前記支持体に伝動部材を介して駆動源が連結してあり、該駆動源の駆動により、前記支持体が、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系のZ軸方向に移動するようにしてあり、前記支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けてあり、前記移動部及び前記ツール保持具はY軸(又はX軸)上に配置してあり、前記ツール保持具のクイル側部分にて、X軸(又はY軸)に沿って複数の加工ツールを保持するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、Z軸方向に移動する支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けて、前記移動部及び前記ツール保持具を前記支持体にてY軸(又はX軸)上に配置し、前記ツール保持具のクイル側部分にて、前記X軸(又はY軸)方向に沿って複数の加工ツールを保持するようにしてあることにより、クイルの周囲に配置してある移動部及び支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、また前記移動部を前記X軸(又はY軸)方向へ移動させ、一つのツール保持具に取付けてある複数の加工ツールから必要な加工ツールを選択する。
【0023】
また本発明に係るばね製造機は、前記移動部は、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してある二つの移動部材を有しており、各駆動源の駆動により各移動部材がX軸方向又はY軸方向に移動するようにしてあることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、二つの移動部材を有する前記移動部に、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、各移動部材をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整する。
【0025】
また本発明に係るばね製造機は、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、各駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイルに当接することを防止する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るばね製造機にあっては、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備える支持体に、開口部を開設して、該開口部にクイルを挿通し、前記支持体の正面に、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具を設けることにより、クイルの周囲に配置してある支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイルの周囲に多数のツール保持具を配設することを可能にし、また加工ツールが線材に当接したときの反力を支持体全体で吸収して、支持体の耐久性を向上させ、また前記支持体に複数のツール保持具を設けて、二つの加工ツールを衝合して線材を加工したときに発生する二つの反力を前記支持体にて相殺し、前記支持体の位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0028】
また本発明に係るばね製造機にあっては、前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを設けることにより、前記スライド及び支持体の移動を連動させて、前記ツール保持具に保持してある加工ツールを高速で移動させると共に、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができる。
【0029】
また本発明に係るばね製造機にあっては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避し、回避させた線材がクイルに当接することを防止することができる。
【0030】
また本発明に係るばね製造機にあっては、Z軸方向に移動する支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けて、前記移動部及び前記ツール保持具を前記支持体にてY軸(又はX軸)上に配置し、前記ツール保持具のクイル側部分にて、前記X軸(又はY軸)方向に沿って複数のツールを保持するようにしてあることにより、クイルの周囲に配置してある移動部及び支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造すると共に小型化を図り、また前記移動部を前記X軸(又はY軸)方向へ移動させ、一つのツール保持具に取付けてある複数の加工ツールから必要な加工ツールを選択して、加工ツールを選択するために使用する部材、例えばタレット及び該タレットを回転させる駆動源を削減し、またツール保持具の数を少なくすることができる。
【0031】
また本発明に係るばね製造機にあっては、二つの移動部材を有する前記移動部に、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、各移動部材をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造することができる。
【0032】
また本発明に係るばね製造機にあっては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイルに当接することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図1はばね製造機の略示正面図、図2はばね製造機の略示側面図、図3は移動板に設けてある摺動子及びレールを示す模式的正面透視図、図4はばね製造機の略示平面部分断面図である。
【0034】
図において1はばね製造機の箱形の基台であり、該基台1の上面であって、該基台1の正面寄り中央付近に、後述するクイル4を支持する支持板2が立設している。該支持板2の背面側に、線材を送出する線材送りユニット3を設けてある。該線材送りユニット3は、上下に配置してある二つのローラの間で線材を狭圧し、上側のローラを時計回りに回転させ、下側のローラを反時計回りに回転させて前側へ送り出す二対の線材送りローラ30、30を備える。前記支持板2の前記線材送りユニット3に対向する部分に貫通孔が開設してあり、該貫通孔の前側に、線材を案内するクイル4が設けてある。該クイル4は半円柱状の本体部4aと、該本体部4aの軸芯部分に設けてあり線材を案内する案内通路4bとを備える。
【0035】
箱形の前記基台1に、前記線材送りローラ30、30に供給される線材を巻付けてある図示しないボビンが収容されている。線材は該ボビンから図示しないキャプスターンを介して前記線材送りローラ30、30に供給され、該線材送りローラ30、30により前記貫通孔を通過して前記クイル4に案内され、クイル4の出口にあり、線材が加工される線材加工空間5に送出される。
【0036】
前記基台1の上面にて、後述する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを支持する壁状の支持体Wが前記支持板2に周設してある。前記基台1上面の左右両側端に沿わせて二つのレール6a、6aが延設してある。二つのレール6a、6aは、線材の軸芯をZ軸とし、該Z軸に直交する左右方向の軸をX軸とし、該Z軸及びX軸に直交する上下方向の軸をY軸とするXYZ直交三軸において、前記Z軸下方にて、Y軸から略等距離離隔させてそれぞれ配置してある。
該レール6a、6a上に二つの摺動板7、7をそれぞれ設けてあり、該摺動板7、7は、該レール6a、6aに対向する位置に、該レール6a、6aを摺動する複数の摺動子7a、7a、・・・を備える。該摺動子7a、7a、・・・は略直方体をなし、レール6a、6aへの対向面に溝7bが形成してあり、該溝7bに前記レール6a、6aが嵌合して摺動する構成となっている。
【0037】
前記摺動板7、7の一方の上面にナット部7cを設けてあり、該ナット部7cの後方であって、前記基台1の上面にブロック状のモータ固定部7dが設けてある。該モータ固定部7dには、Z軸方向に貫通し、サーボモータM1を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。該モータ固定部7dに正逆回転可能なサーボモータM1を嵌合固定してあり、該サーボモータM1の回転軸に連結してある雄ねじ7eが前記ナット部7cに螺合している。該雄ねじ7e及びナット部7cの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0038】
二つの摺動板7、7の前部に跨って、移動板W1が立設しており、該移動板W1には、該移動板W1の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W1aを開設してある。該移動板W1は、前記開口部W1aにて前記線材送りユニット3付近を囲むように配置してある。前記サーボモータM1の正逆回転は、前記雄ねじ7e及びナット部7cにより直進運動に変換され、前記サーボモータM1が正回転したときに、前記摺動子7a、7a、・・・は前記レール6a、6a上を摺動し、前記移動板W1及び摺動板7、7はZ軸に沿って前側に移動し、前記サーボモータM1が逆回転したときに、後側に移動する。
【0039】
前記移動板W1の正面の四隅に、Y軸方向に平行な四つのレール8a、8a、・・・をそれぞれ設けてあり、該レール8a、8a、・・・の正面側に、前記移動板W1と略同寸の移動板W2を配置してある。該移動板W2には、該移動板W2の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W2aを開設してあり、該移動板W2は前記開口部W2aにて前記支持板2付近を囲むように配置してある。前記移動板W2は、該レール8a、8a、・・・に対向する位置に、前記レール8a、8a、・・・を摺動する四つの摺動子9a、9a、・・・をそれぞれ備える。該摺動子9a、9a、・・・は略直方体をなし、レール8a、8a、・・・への対向面に溝9bが形成してあり、該溝9bに前記レール8a、8a、・・・が嵌合して摺動する構成となっている。
【0040】
前記移動板W1の上面中央部に後述するサーボモータM2を固定するブロック状のモータ固定部9eを設けてある。該モータ固定部9eには、上下方向に貫通し、サーボモータM2を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。前記モータ固定部9eの近傍であって、前記移動板W1及び移動板W2の間にて、ナット部9c及び該ナット部9cを固定するナット固定部を前記移動板W2に設けてある。前記モータ固定部9eに正逆回転可能なサーボモータM2を嵌合固定してあり、該サーボモータM2の回転軸に連結してある雄ねじ9fが前記ナット部9cに螺合している。該雄ねじ9f及びナット部9cの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0041】
前記サーボモータM2の正逆回転は、前記雄ねじ9f及びナット部9cにより直進運動に変換され、前記サーボモータM2が正回転したときに、前記摺動子9a、9a、・・・は前記レール8a、8a、・・・上を摺動し、前記移動板W2はY軸に沿って上側に移動し、前記サーボモータM2が逆回転したときに、下側に移動する。
【0042】
前記移動板W2の正面の四隅に、X軸方向に平行な四つのレール10a、10a、・・・をそれぞれ設けてあり、該レール10a、10a、・・・の正面側に、前記移動板W2と略同寸の移動板W3を配置してある。該移動板W3に、該移動板W3の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W3aを開設してあり、該移動板W3は前記開口部W3aにて前記クイル4付近を囲むように配置してある。
前記移動板W3は、前記レール10a、10a、・・・に対向する位置に、前記レール10a、10a、・・・を摺動する四つの摺動子11a、11a、・・・を備える。該摺動子11a、11a、・・・は略直方体をなし、レール10a、10a、・・・への対向面に溝11bが形成してあり、該溝11bに前記レール10a、10a、・・・が嵌合して摺動する構成となっている。
【0043】
前記移動板W2の正面の右側部中央に、後述するサーボモータM3を固定するモータ固定部11eを設けてある。該モータ固定部11eには、左右方向に貫通し、サーボモータM3を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。前記モータ固定部11eの近傍であって、前記移動板W2及び移動板W3の間にて、ナット部11c及び該ナット部11cを固定するナット固定部を前記移動板W3に設けてある。前記モータ固定部11eに正逆回転可能なサーボモータM3を嵌合固定してあり、該サーボモータM3の回転軸に連結してある雄ねじ11fが前記ナット部11cに螺合している。該雄ねじ11f及びナット部11cの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0044】
前記サーボモータM3の正逆回転は、前記雄ねじ11f及びナット部11cにより直進運動に変換され、前記サーボモータM3が正回転したときに、前記摺動子11a、11a、・・・は前記レール10a、10a、・・・上を摺動し、前記移動板W3はX軸に沿って、正面に向かって右側に移動し、前記サーボモータM3が逆回転したときに、左側に移動する。
【0045】
前記移動板W3の正面に、線材を加工する加工ツールTを前記線材加工空間5に対し進退させる六つのクランクスライド14、14、・・・が、前記クイル4を中心にして放射状に設けてある。二つのクランクスライド14、14が、前記クイル4の左右両側であって、X軸上にそれぞれ配置してあり、四つのクランクスライド14、14、・・・が、X軸に対して上下に鋭角傾斜させてそれぞれ配置してある。
【0046】
前記クランクスライド14、14、・・・は、前記移動板W3の正面に固定してあり、レールを有するレール台14aと、前記レール上を摺動する板状のスライダ14bと、該スライダ14bに設けてあり、加工ツールTを保持するツール保持具14cと、前記レール台14aに、前記スライダ14bから離隔させて取付けてあるサーボモータM4と、該サーボモータM4の回転軸に連結してあるクランク14dと、該クランク14dと前記スライダ14bとの間に設けてあるロッド14eとを備える。
該ロッド14eの一端部は前記クランク14dに連結しており、ロッド14eの他端部は前記スライダ14bに連結してある。
【0047】
前記サーボモータM4の回転運動が、前記クランク14d及びロッド14eにより直進運動に変換され、前記ツール保持具14cに保持してある加工ツールTを、前記線材加工空間5に対し進退させる構成になっている。なお正面に向かって右斜め下及び左斜め上に配置してある二つのクランクスライド14、14に、線材を切断する二つのカッタT3、T3を加工ツールTとしてそれぞれ保持してあり、X軸上右側にあるクランクスライド14に、線材を折り曲げ加工する折り曲げツールT2を加工ツールTとして保持してある。
【0048】
前記移動板W3の正面上部であって、Y軸上に、線材を加工する加工ツールTを、前記線材加工空間5に対し進退させるボールねじスライド15が設けてある。該ボールねじスライド15は、前記移動板W3の正面上部にて、Y軸に沿って並設してある二つのレール15a、15aと、該レール15a、15a上を摺動する二つの摺動子と、該摺動子に設けてあり、加工ツールTを保持するツール保持具15cと、該ツール保持具15cに取付けてあり、該ツール保持具15c及び移動板W3の間に配置してあって、雄ねじ15eが螺合するナット部15dと、該ナット部15dに螺合する雄ねじ15eと、該雄ねじ15eにその回転軸を連結してあるサーボモータM5とを備えている。
【0049】
前記移動板W3の正面上部であって、前記ツール保持具15cの上方に、前記サーボモータM5を固定するブロック状のモータ固定部16を設けてある。該モータ固定部16には、上下方向に貫通し、サーボモータM5を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。前記モータ固定部16に正逆回転可能なサーボモータM5を嵌合固定してある。前記雄ねじ15e及びナット部15dの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0050】
前記サーボモータM5の正逆回転は、前記雄ねじ15e及びナット部15dにより直進運動に変換され、前記サーボモータM5が正回転したときに、前記ツール保持具15cに保持してある加工ツールTを線材加工空間5に進入させ、前記サーボモータM5が逆回転したときに、加工ツールTを退出させる構成になっている。なお前記ボールねじスライド15には、線材を曲げ加工する曲げダイスT1を加工ツールTとして保持してあり、該曲げダイスT1には線材を右巻コイル部にする右巻用溝T11、及び線材を左巻コイル部にする左巻用溝T12(後述する図11乃至図14参照)を設けてある。
【0051】
図5はばね製造機の線材送りユニット付近の略示側面断面図である。
【0052】
前記支持板2の後方に中間壁80が設けてあり、該中間壁80の後方に背面壁81が設けてある。前記中間壁80に、貫通した中間穴82が開設してあり、前記背面壁81に穴部81aが開設してある。クイル4の前記案内通路4b、中間穴82及び穴部81aは前記Z軸を中心軸にしてある。
【0053】
前記支持板2と前記中間壁80との間に、前記線材送りユニット3が配置してあり、該線材送りユニット3は筐体31と、前記線材送りローラ30、30と、前記筐体31に収容してあり、後述するサーボモータM6の回転を前記線材送りローラ30、30に伝動する複数の伝動歯車(図示せず)とを備える。
前記筐体31の側面には二つの窓部31a、31aが開設してある。各窓部31a、31aから、前記伝動歯車の回転を伝動する上下一対の軸(図示せず)が筐体31の外側に適長延出してある。各軸の延出端部にローラを連結し、前記線材送りローラ30、30を筐体31の前記側面に沿って配置してある。また前記側面に、線材を案内する溝を備える三つのガイドブロック32、32、・・・が、前記線材送りローラ30、30の間、上流側及び下流側に設けてあり、前記筐体31の背面には後述する嵌合部92cに嵌合する嵌合孔31cが開設してある。
【0054】
前記筐体31の後部に、後述する通路円筒36が嵌入する嵌入穴35aを中央に有する環状歯車35が設けてある。筐体31の前記側面後部には後窓部31bが設けてあり、該後窓部31bから前記環状歯車35は露出している。前記環状歯車35は、前記Z軸を中心軸として配置してある。前記環状歯車35は前記伝動歯車に噛合し、環状歯車35の回転が前記伝動歯車に伝動するようにしてある。
【0055】
前記嵌入穴35aに、線材が通過する通路円筒36の一端部が嵌入してあり、該通路円筒36は前記中間穴82に挿入され、通路円筒36の他端部が前記穴部81aに軸受を介して嵌入してある。
【0056】
前記中間壁80及び背面壁81の間にて、前記通路円筒36の前記他端部付近に、後述する主動ギヤ90に噛合する従動ギヤ91が外嵌している。前記通路円筒36の上側にて、サーボモータM6が背面壁81に取付けてあり、該サーボモータM6の軸芯に主動ギヤ90が嵌合し、該主動ギヤ90は前記従動ギヤ91に噛合している。前記サーボモータM6の回転が主動ギヤ90を介して前記従動ギヤ91に伝動し、前記通路円筒36が回転するようにしてある。
【0057】
前記サーボモータM6の回転により、前記通路円筒36が回転して、該通路円筒36を嵌入してある前記環状歯車35が回転し、前記伝動歯車を介して前記線材送りローラ30、30が回転して、線材を送出する構成としてある。
【0058】
前記筐体31の背面に、後述するサーボモータM7の回転を前記筐体31に伝動するハブ92が設けられている。該ハブ92は、円筒部92aと、該円筒部92aの一端部に連なる鍔部92bと、該鍔部92bから前記円筒部92aと反対側に立ち上げてあり、筐体31の前記嵌合孔31cに嵌合する嵌合部92cとを備える。該嵌合部92cを前記嵌合孔31cに嵌合し、前記鍔部92bを前記筐体31の背面に密着させてあり、前記円筒部92aは、前記通路円筒36に軸受を介して回転自在に外嵌しており、前記中間穴82に挿通してある。
【0059】
前記円筒部92aに従動ギヤ94を外嵌してある。該従動ギヤ94はギヤ部と、一面側に突出したボス部とを有する。該ボス部が前記円筒部92aに外嵌してあり、前記中間穴82にて軸受を介して回転自在に支持されている。前記ギヤ部は中間壁80及び背面壁81の間にて、中間壁80寄りに配置してある。
【0060】
前記通路円筒36の下側にて、サーボモータM7が前記背面壁81に取付けてあり、該サーボモータM7の軸芯に前記従動ギヤ94に噛合する主動ギヤ93が嵌合してある。前記サーボモータM7の回転が主動ギヤ93を介して前記従動ギヤ94に伝動し、前記筐体31がZ軸周りに回転して、前記線材送りローラ30、30が回転し、線材がZ軸周りに回転するようにしてある。
【0061】
前記支持板2の下部に、サーボモータM8を固定するモータ固定部2aが設けてある。該モータ固定部2aには、サーボモータM8を嵌合する図示しない嵌合穴が開設してあり、該嵌合穴にサーボモータM8を嵌合固定してある。また該サーボモータM8の回転軸にプーリ38が連結してある。
また前記クイル4にプーリ39を連結しており、二つのプーリ38、39にベルト40を掛架してある。前記サーボモータM8の回転が前記プーリ38、39及びベルト40を介して、前記クイル4に伝動し、前記クイル4がZ軸周りに回転するようにしてある。
【0062】
図6はクランクスライドの移動を説明する説明図であり、図6(a)はクランクスライドのツール保持具に保持してある加工ツールが、線材加工空間から最も離隔した位置にある状態を示す図、図6(b)は、クランクの回転により加工ツールが移動した状態を示す図、図6(c)は支持体の移動により加工ツールが移動した状態を示す図である。なお図6(b)のL1はクランクの回転により、加工ツールが図6(a)に示す位置から図6(b)に示す位置へ移動した距離を示しており、図6(c)のL2は、支持体の移動により、加工ツールが図6(b)に示す位置から図6(c)に示す位置へ移動した距離を示している。
【0063】
線材を加工するときは、前記クランク14dの回転により、前記スライダ14bを摺動させて、前記加工ツールTを距離L1移動させ、前記線材加工空間5に進入させる(図6(a)、(b)参照)。そして、前記移動板W1乃至W3を移動させて、前記加工ツールTを距離L2移動させ、加工ツールTを移動させる(図6(c)参照)。前記クランク14dにより、前記加工ツールTを前記線材加工空間5に高速で進入させ、進入後は前記移動板W1乃至W3を移動させて、前記加工ツールTと前記クイル4との相対位置の微調整を行う。
【0064】
次にばね製造機によるトーションばねの製造について説明する。図7は前記各サーボモータの回転を制御する制御回路及び制御回路に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図、図8乃至図10はトーションばねの製造工程を示すフローチャート、図11乃至図14は加工ツールの移動を説明する説明図である。なお図11乃至図14の(i)は略示正面図、(ii)は略示側面図、(iii)は略示底面図である。
【0065】
ばね製造機は操作部60を備えており、該操作部60により、右脚部の長さ、右巻コイル部の長さ、中間部の長さ、左巻コイル部の長さ、及び左脚部の長さ等の製造するトーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報を入力する構成となっている。なお前記操作部60はばね製造の開始及び停止を入力するスイッチ61を備える。前記操作部60に前記各サーボモータM1乃至M8の正逆回転を制御する制御回路70が接続されており、該制御回路70は、後述する駆動回路に回転信号を出力するCPU、サーボモータM1乃至M7の正逆回転を制御する制御プログラムを格納してあるROM、操作部60から入力された情報を一時的に格納するRAM等を有する。制御回路70には、移動板W1に連結してある前記サーボモータM1を駆動する移動板W1駆動回路71、移動板W2に連結してある前記サーボモータM2を駆動する移動板W2駆動回路72、移動板W3に連結してある前記サーボモータM3を駆動する移動板W3駆動回路73、折り曲げツールT2を保持してあるクランクスライド14のサーボモータM4を駆動する折り曲げツール駆動回路74、カッタT3、T3を保持してあるクランクスライド14、14のサーボモータM4、M4を駆動するカッタ駆動回路75、曲げダイスT1を保持してあるボールねじスライド15の前記サーボモータM5を駆動する曲げダイス駆動回路76、及び線材送りローラ30、30に連結してあるサーボモータM6を駆動するローラ駆動回路77,線材送りユニット3に連結してあるサーボモータM7を駆動するユニット駆動回路78、クイル4に連結してあるサーボモータM8を駆動するクイル駆動回路79を接続してある。前記制御回路70から前記各駆動回路71乃至79に回転信号を出力し、前記各サーボモータM1乃至M8を所定数回転させる構成にしてある。
【0066】
制御回路70は、操作部60により、トーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報が全て入力されているか否か判断する(ステップS1)。ばねの製造に必要な情報が全て入力されていないときは(ステップS1:NO)、ステップS1に戻る。ばねの製造に必要な情報が全て入力されているときは(ステップS1:YES)、スイッチ61がオンになっているか否か判断する(ステップS2)。スイッチ61がオンになっていないときは(ステップS2:NO)、ステップS2に戻る。スイッチ61がオンになっているときは(ステップS2:YES)、制御回路70から前記各駆動回路71乃至79に回転信号が出力され、サーボモータM1乃至M5が正逆回転し、前記折り曲げツールT2、曲げダイスT1及びカッタT3、T3を前記線材加工空間5から退出させて、制御プログラムに設定してある初期の位置に配置する(ステップS3)。
【0067】
次に制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出し、直線状の右脚部を形成する(ステップS4、図11(a)参照)。そして制御回路70から曲げダイスT1駆動回路に進入信号を出力し、サーボモータM5を所定数正回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5に進入させる(ステップS5)。次に制御回路70から前記クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図11(b)の矢印にて示す如く、クイル4を回転させて、後述する右巻コイル部に当接しない位置に配置する(ステップS6)。そして移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、右巻用溝T11を線材に当接させることを示す信号を出力し、各サーボモータM1乃至M3を所定数回転させて曲げダイスT1の位置を微調整し、曲げダイスT1の右巻用溝T11に線材を当接させる(ステップS7、図11(b)参照)。
【0068】
前記右巻用溝T11に線材が当接したときに、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出し、右巻コイル部を形成する(ステップS8、図11(c)参照)。前記右巻コイル部が形成されたときに、制御回路70から曲げダイスT1駆動回路に退出信号を出力し、サーボモータM6を所定数逆回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5から退出させる(ステップS9)。次に制御回路70から折り曲げツール駆動回路74に回転信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させ、折り曲げツールT2を線材加工空間5に進入させる(ステップS10)。そして前記クイル駆動回路79に回転信号を出力して、図12(d)の矢印にて示す如く、前記クイル4を、線材のばねに加工された部分が当接しない位置に、回転させる(ステップS11、図12(d)参照)。そして制御回路70から移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、折り曲げツールT2を線材に当接させることを示す信号を出力し、前記折り曲げツールT2の位置を微調整して、前記折り曲げツールT2を線材に当接させ、線材を、正面に向かって左側に屈曲する(ステップS12、図12(e)参照)。
【0069】
線材を屈曲したときに、制御回路70から移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、折り曲げツールT2を線材から離間させることを示す信号を出力し、サーボモータM1乃至M3を所定数回転させ、折り曲げツールT2を線材から離間させる(ステップS13)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、後述する中間部を形成する線材を線材加工空間5に送出する(ステップS14、図12(f)参照)。
【0070】
線材を線材加工空間5に送出したときに、制御回路70から移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、折り曲げツールT2を線材に当接させることを示す信号を出力し、前記折り曲げツールT2の位置を微調整して、前記折り曲げツールT2を線材に当接させ、線材を、正面に向かって左側に屈曲する(ステップS15、図13(g)参照)。線材を屈曲したときには、制御回路70から折り曲げツール駆動回路74に退出信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させ、折り曲げツールT2を線材加工空間5から退出させる(ステップS16)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出してコの字形の中間部を形成する(ステップS17、図13(h)参照)。
【0071】
次に制御回路70から前記クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図13(i)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、後述する左巻コイル部を形成しているときに、線材のばねに加工された部分が当接しない位置に配置する(ステップS18)。制御回路70から曲げダイスT1駆動回路に進入信号を出力し、サーボモータM5を所定数正回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5に進入させる(ステップS19)。移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、左巻用溝T12を線材に当接させることを示す信号を出力し、各サーボモータM1乃至M3を所定数回転させて曲げダイスT1の位置を微調整し、曲げダイスT1の左巻用溝T12に線材を当接させる。(ステップS20、図13(i)参照)。前記左巻用溝T12に線材が当接したときに、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、線材を線材加工空間5に送出し、左巻コイル部を形成する(ステップS21、図14(j)参照)。
【0072】
前記左巻コイル部を形成したときに、制御回路70から曲げダイス駆動回路76に退出信号を出力し、サーボモータM5を所定数逆回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5から退出させる(ステップS22)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、線材を線材加工空間5に送出し、直線状の左脚部を形成する(ステップS23、図14(k)参照)。左脚部を形成したときに、制御回路70から前記クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図14(l)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、カッタT3、T3が当接しない位置に配置する(ステップS24)。そして制御回路70からカッタ駆動回路75に回転信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させて、カッタT3、T3により線材を切断する(ステップS25、図14(l)参照)。そしてスイッチ61がオフであるか否か判断する(ステップS26)。スイッチ61がオンのときは(ステップS26:NO)ステップS3に戻る。スイッチ61がオフのときは(ステップS26:YES)トーションばねの製造を終了する。
【0073】
実施の形態1に係るばね製造機にあっては、XYZ直交三軸方向に移動する移動板を備える支持体Wに、開口部W1a、W2a、W3aを開設して、該開口部W1a、W2a、W3aにクイル4を挿通し、前記支持体Wの正面に、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、15cを配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに複数のツール保持具14c、15cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0074】
また前記ツール保持具14c、15cを前記クイル4に向けて摺動させるクランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15と、該両スライド及び支持体Wの移動を制御する手段とを設けることにより、前記両スライドの進退速度を支持体Wの移動速度に比して高くし、前記両スライド及び支持体Wの移動を連動させて、前記ツール保持具14c、15cに保持してある加工ツールTを高速で移動させると共に、前記線材加工空間5内にて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができる。
【0075】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8を、それぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0076】
なお前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15の進退と、前記支持体Wの移動とが同時に行われても良く、またボールねじスライド15をクランクスライド14に置換しても良い。また前記支持板2により、クイル4は安定に支持されており、前記加工ツールTが線材に当接したときにクイル4の位置が偏ることを防止する。また脚部に、異なる向きに屈曲した複数の屈曲部分を形成するときには、前記ユニット駆動回路78に回転信号を出力して、線材を回転させ、折り曲げツールT2を当接させて、複数の屈曲部分を形成しても良い。
【0077】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図15は実施の形態2に係るばね製造機の略示側面図、図16はばね製造機の略示平面部分断面図である。
【0078】
前記基台1の上面にて、二つの前記移動板W2、W3及び移動板W2、W3を取付けてある取付板50を有する支持体Wが、前記支持板2に周設してある。前記取付板50には、取付板50の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部50aを開設してある。前記取付板50は、前記開口部50aにて前記線材送りユニット3を囲むように配置してある。前記取付板50の正面側に、前記移動板W2、W3が順に取付けてあり、前記移動板W2及び移動板W3は、前述の通り、それぞれY軸及びX軸に沿って移動するように構成してある。
【0079】
前記移動板W3の正面に、前記六つのクランクスライド14、14、・・・と、前記ボールねじスライド15とを前記クイル4を中心にして放射状に設けてあり、前記クランクスライド14、14、・・・に保持してある前記折り曲げツールT2及びカッタT3、T3と、前記ボールねじスライド15に保持してある曲げダイスT1とを、前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15を摺動させて、前記線材加工空間5に対し進退させるように構成してある(図1参照)。また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4には、前述の通り、前記サーボモータM6、M7、及びM8がそれぞれ連結してあり(図5参照)、前記サーボモータM6、M7、及びM8の回転により、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4はZ軸周りに回転する。
【0080】
前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15により、前記折り曲げツールT2、カッタT3、T3及び曲げダイスT1を前記線材加工空間5に対し進退させ、前記移動板W2、W3により、前記線材加工空間5に送出された線材と、前記折り曲げツールT2及び曲げダイスT1との相対位置を微調整しばねを形成する。
【0081】
実施の形態2に係るばね製造機にあっては、XY軸方向に移動する移動板を備える支持体Wに、開口部W2a、W3aを開設して、該開口部W2a、W3aにクイル4を挿通し、前記支持体Wの正面に、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、15cを配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに複数のツール保持具14c、15cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0082】
また前記ツール保持具14c、15cを前記クイル4に向けて摺動させるクランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15と、該両スライド及び支持体Wの移動を制御する手段とを設けることにより、前記両スライドの進退速度を支持体Wの移動速度に比して高くし、前記両スライド及び支持体Wの移動を連動させて、前記ツール保持具14c、15cに保持してある加工ツールTを高速で移動させると共に、前記線材加工空間5内にて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができる。
【0083】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8をそれぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0084】
実施の形態2に係るばね製造機の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0085】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図17は実施の形態3に係るばね製造機の略示側面図、図18はばね製造機の略示平面部分断面図である。
【0086】
前記基台1の上面に、前記移動板W1を備える支持体Wを配置してあり、前記移動板W1には、移動板W1の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W1aを開設してある。前記移動板W1は、前記開口部W1aにて前記クイル4を囲むように配置してある。前記移動板W1は、前述の通り、Z軸に沿って移動するように構成してある。
【0087】
前記移動板W1の正面に、前記六つのクランクスライド14、14、・・・と、前記ボールねじスライド15と前記クイル4を中心にしてを放射状に設けてあり、前記クランクスライド14、14、・・・に保持してある前記折り曲げツールT2及びカッタT3、T3と、前記ボールねじスライド15に保持してある曲げダイスT1とを、前述の通り、前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15を摺動させて、前記線材加工空間5に対し進退させるように構成してある(図1参照)。また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4には、前述の通り、前記サーボモータM6、M7、及びM8がそれぞれ連結してあり(図5参照)、前記サーボモータM6、M7、及びM8の回転により、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4はZ軸周りに回転する。
【0088】
前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15により、前記折り曲げツールT2、カッタT3、T3、及び曲げダイスT1を前記線材加工空間5に対し進退させ、前記移動板W1により、前記線材加工空間5に送出された線材と、前記折り曲げツールT2及び曲げダイスT1との相対位置を微調整し、ばねを形成する。
【0089】
実施の形態3に係るばね製造機にあっては、Z軸方向に移動する移動板を備える支持体Wに、開口部W1aを開設して、該開口部W1aにクイル4を挿通し、前記支持体Wの正面に、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、15cを配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに複数のツール保持具14c、15cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0090】
また前記ツール保持具14c、15cを前記クイル4に向けて摺動させるクランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15と、該両スライド及び支持体Wの移動を制御する手段とを設けることにより、前記両スライドの進退速度を支持体Wの移動速度に比して高くし、前記両スライド及び支持体Wの移動を連動させて、前記ツール保持具14c、15cに保持してある加工ツールTを高速で移動させると共に、前記線材加工空間5内にて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを短時間で製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造し、小型化を図ることができる。
【0091】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8を、それぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0092】
実施の形態3に係るばね製造機の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0093】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図19は実施の形態4に係るばね製造機の略示正面図、図20はばね製造機の略示側面図である。
【0094】
前記基台の上面に、前記移動板W1を備える支持体Wを配置してあり、前記移動板W1には、移動板W1の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W1aを開設してある。前記移動板W1は、前記開口部W1aにて前記クイル4付近を囲むように配置してある。前記移動板W1は、前述の通り、Z軸に沿って移動するように構成してある。前記移動板W1の上部に、後述するテーブルK1及び作動装置収容体K2を有する移動部Kが設けてある。
【0095】
前記移動板W1の正面にて、二つの前記クランクスライド14、14が、前記クイル4の左右両側であって、X軸上にそれぞれ配置してある。二つの前記クランクスライド14、14に、前記二つのカッタT3、T3がそれぞれ保持してある。前記二つのカッタT3、T3を、前述の通り、前記クランクスライド14、14を摺動させて、前記線材加工空間5に対し進退させるように構成してある。また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4には、前述の通り、前記サーボモータM6、M7、及びM8がそれぞれ連結してあり(図5参照)、前記サーボモータM6、M7、及びM8の回転により、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4はZ軸周りに回転する。
【0096】
前記移動板W1の正面であって、前記クイル4の上方に、二つのレール50、50がY軸に沿って並設してある。また前記移動板W1正面の上部には、後述するサーボモータM9を固定するブロック状のモータ固定部51が設けてある。該モータ固定部51には、上下方向に貫通し、サーボモータM9を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。
【0097】
前記レール50、50の正面側に、前記移動部KのテーブルK1が配置されており、該テーブルK1背面の四隅にて、前記レール50、50に対向する位置に、前記レール50、50上を摺動する四つの摺動子52、52、・・・が備えてある。該摺動子52、52、・・・は略直方体をなし、レール50、50への対向面に溝が形成してあり、該溝に前記レール50、50が嵌合して摺動する構成となっている。前記テーブルK1背面の上部中央には、後述する雄ねじ53を螺合するナット部(図示せず)が設けてある。
【0098】
モータ固定部51の前記嵌合穴に正逆回転可能なサーボモータM9が嵌合固定されており、該サーボモータM9の回転軸には雄ねじ53が連なっている。該雄ねじ53は前記ナット部に螺合しており、該雄ねじ53及びナット部の溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成してある。
【0099】
前記サーボモータM9の正逆回転は、前記雄ねじ53及びナット部により直進運動に変換され、前記サーボモータM9が正回転したときに、前記摺動子52、52、・・・は前記レール50、50上を摺動し、前記テーブルK1は前記Y軸方向に沿って下側に移動し、前記サーボモータM9が逆回転したときに、上側に移動する。
【0100】
前記テーブルK1の正面にて、該テーブルK1の上下両側端に沿わせて、二つのレール54、54がそれぞれ固定されている。該正面の右側部中央には後述するサーボモータM10を固定するブロック状のモータ固定部55が設けてある。該モータ固定部55には、左右方向に貫通し、サーボモータM10を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。
【0101】
前記レール54、54の正面側に、前記移動部Kの作動装置収容体K2が設けてある。該作動装置収容体K2は、後述するスピンドル作動装置59を収容する角材形の収容部K21を備えており、該収容部K21は、軸心部分を貫通させて形成してある円筒形の収容室を有する。また前記作動装置収容体K2は、該収容部K21一面の長手両側端に沿って連ねてある細長い二つの鍔部K22、K22を備えており、前記一面を前記レール54、54の正面側に向けて配置してある。
【0102】
前記鍔部K22、K22の両端部に、前記レール54、54に対向する位置にて、前記レール54、54上を摺動する四つの摺動子56、56、・・・が備えてある。該摺動子56、56、・・・は略直方体をなし、レール54、54への対向面に溝が形成してあり、該溝に前記レール54、54が嵌合して摺動する構成となっている。前記モータ固定部55側にある鍔部K22には、後述する雄ねじ58を螺合するナット部57が設けてある。
【0103】
モータ固定部55の前記嵌合穴に正逆回転可能なサーボモータM10が嵌合固定されており、該サーボモータM10の回転軸には雄ねじ58が連なっている。該雄ねじ58は前記ナット部57に螺合しており、該雄ねじ58及びナット部57の溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成してある。
【0104】
前記サーボモータM10の正逆回転は、前記雄ねじ58及びナット部57により直進運動に変換され、前記サーボモータM10が正回転したときに、前記摺動子56、56、・・・は前記レール54、54上を摺動し、前記作動装置収容体K2は前記X軸方向に沿って、正面に向かって右側に移動し、前記サーボモータM10が逆回転したときに、左側に移動する。
【0105】
収容部K21の前記収容室に、円柱形のスピンドル作動装置59が収容されている。スピンドル作動装置59は、作動装置本体59aと、該作動装置本体59aの下端部に設けてあるスピンドル取付け部59bとを備えており、該スピンドル取付け部59bは前記収容部K21から延出しており、該スピンドル取付け部59bにスピンドル100が取付けてある。前記スピンドル作動装置59の側面部には、二つのサーボモータM11、M11が連結してある。
【0106】
図21はばね製造機に取付けるスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスを示す模式的底面図である。スピンドル100は、内側円柱100aと、該内側円柱100aの周囲に設けてある外側スリーブ100cとを備え、該内側円柱100aの先端面には線材を係合する直線状の溝部100bを形成してあり、該外側スリーブ100cの先端部には線材を屈曲させる突起部100dを設けてある。前記二つのサーボモータM11、M11は、それぞれ前記内側円柱100a及び外側スリーブ100cに連結してあり、前記サーボモータM11が正回転したときに外側スリーブ100cは、反時計回りに回転し、サーボモータM11が逆回転したときに外側スリーブ100cは、時計回りに回転するように構成してある。また前記サーボモータM11の回転により、前記内側円柱100aが回転するように構成してある。
【0107】
前記スピンドル取付け部59bの周囲に、曲げダイス取付け治具111を支持する支持円筒110が配置してあり、該支持円筒110は前記作動装置本体59aに固定してある。前記支持円筒110の左右両側に、二つの曲げダイス取付け治具111、111を支持してある。右側の曲げダイス取付け治具111に右巻用曲げダイス112aを取付けてあり、左側の曲げダイス取付け治具111に左巻用曲げダイス112bが取付けてある。
【0108】
前記スピンドル取付け部59bにスピンドル100を取付け、二つの曲げダイス取付け治具111、111に右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを取付けたときに、スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bは前記X軸方向に沿って配置される。
【0109】
次に実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造について説明する。図22は各サーボモータの回転を制御する制御回路70及び制御回路70に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図、図23乃至図25はばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャート、図26乃至図34はスピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bの移動を説明する説明図である。なお図26乃至図34の(a)は略示正面図、(b)は略示側面図、(c)は略示底面図である。
【0110】
ばね製造機は操作部60を備えており、該操作部60により、右脚部の長さ、右巻コイル部の長さ、中間部の長さ、左巻コイル部の長さ、及び左脚部の長さ等の製造するトーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報を入力する構成となっている。なお前記操作部60はばね製造の開始及び停止を入力するスイッチ61を備える。前記操作部60に前記各サーボモータの正逆回転を制御する制御回路70が接続されており、該制御回路70は、後述する駆動回路に回転信号を出力するCPU、サーボモータの正逆回転を制御する制御プログラムを格納してあるROM、操作部60から入力された情報を一時的に格納するRAM等を有する。制御回路70には、移動板W1に連結してある前記サーボモータM1を駆動する移動板W1駆動回路121、テーブルK1に連結してある前記サーボモータM9を駆動するテーブルK1駆動回路122、作動装置収容体K2に連結してある前記サーボモータM10を駆動する収容体駆動回路123、前記外側スリーブに連結してあるサーボモータM11を駆動するスリーブ駆動回路124、カッタを保持してあるクランクスライドのサーボモータM4、M4を駆動するカッタ駆動回路75、線材送りローラに連結してあるサーボモータM6を駆動するローラ駆動回路77、線材送りユニットに連結してあるサーボモータM7を駆動するユニット駆動回路78、及びクイル4に連結してあるサーボモータM8を駆動するクイル駆動回路79を接続してある。前記制御回路70から前記各駆動回路に回転信号を出力し、前記各サーボモータを所定数回転する構成にしてある。
【0111】
制御回路70は、操作部60により、トーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報が全て入力されているか否か判断する(ステップS31)。ばねの製造に必要な情報が全て入力されていないときは(ステップS31:NO)、ステップS1に戻る。ばねの製造に必要な情報が全て入力されているときは(ステップS31:YES)、スイッチ61がオンになっているか否か判断する(ステップS32)。スイッチ61がオフであるときは(ステップ3S2:NO)、ステップS32に戻る。スイッチ61がオンになっているときは(ステップS32:YES)、制御回路70から移動板W1駆動回路121、テーブルK1駆動回路122、及び収容体駆動回路123に回転信号が出力され、サーボモータM1、M9、M10が正逆回転し、スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bは、XYZ方向に移動して、前記クイル4の略真上に配置される(ステップS33)。
【0112】
そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータを所定数回転させ、線材を線材加工空間に送出し、直線状の右脚部を形成する(ステップS34、図26参照)。
【0113】
次に制御回路70から収容体駆動回路123に逆回転信号を出力し、サーボモータを所定数逆回転させて、X軸方向に沿って前記作動装置収容体K2を左方向に移動させ、右巻用曲げダイス112aを線材の真上に配置して、右巻用曲げダイス112aを選択する(ステップS35)そしてクイル駆動回路79に回転信号を出力し、図27(a)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、後述する右巻コイル部が当接しない位置に前記クイル4を配置する(ステップS36)。次にテーブルK1駆動回路122に正回転信号を出力して、サーボモータM9を所定数正回転させて、テーブルK1をY軸方向に沿って下側に移動させ、右巻用曲げダイス112aを線材に当接させ、線材を下側に曲げる(ステップS37)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出して、線材を右巻用曲げダイス112aに形成してある溝に当接させて曲げ変形し、右巻コイル部を形成する(ステップS38、図27参照)。
【0114】
右巻コイル部を形成したときには、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に逆回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数逆回転させ、右巻用曲げダイス112aをY軸方向に沿って上側に移動させて線材から離間させる(ステップS39)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、線材を送出する(ステップS40、図28参照)。
【0115】
線材を送出したときには、制御回路70から収容体駆動回路123に正回転信号を出力し、サーボモータM10を所定数正回転させて、X軸方向に沿って前記作動装置収容体K2を右方向に移動させ、スピンドル100を線材の真上に配置して、スピンドル100を選択する(ステップS41)そしてクイル駆動回路79に回転信号を出力し、図29(a)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、スピンドル100で折り曲げた線材が当接しない位置に前記クイル4を配置する(ステップS42)。テーブルK1駆動回路122に正回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数正回転させて、スピンドル100をY軸方向に沿って下側に移動させ、前記内側円柱100aにある溝部100bに線材を係合する(ステップS43)。そして制御回路70からスリーブ駆動回路124に正回転信号を出力し、サーボモータM11を所定数正回転させて外側スリーブ100cを反時計回りに回転させ、前記突起部100dを線材に当接させて、線材を前記溝部100bの端部にある角で、正面に向かって左側に屈曲する(ステップS44、図29参照)。
【0116】
線材を屈曲したときには、制御回路70からスリーブ駆動回路124に逆回転信号を出力し、サーボモータM11を所定数逆回転させて、外側スリーブ100cを時計回りに回転させ、突起部100dを線材から離間させ(ステップS45)、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、前記溝部100bに沿って線材を送出する(ステップS46、図30参照)。
【0117】
線材を送出したときには、制御回路70からスリーブ駆動回路124に正回転信号を出力し、サーボモータM11を所定数正回転させて外側スリーブ100cを反時計回りに回転させ、前記突起部100dを線材に当接させ、線材を前記溝部100bの角で、正面に向かって左側に屈曲し、コの字形の中間部を形成する(ステップS47、図31参照)。
【0118】
中間部を形成したときには、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に逆回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数逆回転させて、スピンドル100をY軸方向に沿って上側に移動させ、前記溝部100bを線材から離間させる(ステップS48)。そして収容体駆動回路123に正回転信号を出力して、サーボモータM10を所定数正回転させて、X軸方向に沿って前記作動装置収容体K2を右方向に移動させ、左巻用曲げダイス112bを線材の真上に配置して、左巻用曲げダイス112bを選択し(ステップS49)、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に正回転信号を出力し、サーボモータM9を正回転させて、左巻用曲げダイス112bをY軸方向に沿って下側に移動させ、左巻用曲げダイス112bを線材に当接させて(ステップS50)、線材を下側に曲げ、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて線材を送出し、左巻用曲げダイス112bに形成してある溝に線材を当接させて曲げ変形し、左巻コイル部を形成する(ステップS51、図32参照)。
【0119】
左巻コイル部を形成したときには、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に逆回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数逆回転させて、左巻用曲げダイス112bをY軸方向に沿って上側に移動させ、前記左巻用曲げダイス112bを線材から離間させ(ステップS52)、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて線材を送出し、直線状の左脚部を形成する(ステップS53、図33参照)。
【0120】
左脚部を形成したときには、制御回路70からユニット駆動回路78に正回転信号を出力し、前記サーボモータM7を所定数正回転させて反時計回りに線材を捩り、前記右巻コイル部を下側に回転移動させて、前記線材加工空間5から出す(ステップS54)。そして、クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図34(a)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、線材加工空間5に移動したカッタが当接しない位置に前記クイル4を配置する(ステップS55)。制御回路70からカッタ駆動回路75に回転信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させ、二つのカッタT3、T3を線材加工空間5に移動させ、衝合して線材を切断し、トーションばねを形成する(ステップS56、図34参照)。
【0121】
そして制御回路70からユニット駆動回路78に逆回転信号を出力し、前記サーボモータM7を所定数逆回転させて時計回りに線材を回転させ、線材の捩れを戻す(ステップS57)。次に制御回路70はスイッチ61がオフになっているか否か判断する(ステップS58)。スイッチ61がオンであるときは(ステップS58:NO)、ステップS33に戻る。スイッチ61がオフになっているときは(ステップS58:YES)、トーションばねの製造を終了する。なお右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bの記載を一部の図において省略している。
【0122】
実施の形態4に係るばね製造機にあっては、Z軸方向に移動する支持体Wの正面に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部K及び前記ツール保持具14cを設け、該移動部Kに前記スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111を設けることにより、クイル4の周囲に配置してある移動部K及び支持体Wを移動させて、前記クイル4と、前記ツール保持具14c、スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111との相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、スピンドル取付け部59b、曲げダイス取付け治具111を配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに二つのツール保持具14c、14cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0123】
また前記テーブルK1及び作動装置収容体K2を有する前記移動部Kに、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記テーブルK1及び作動装置収容体K2をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造することができる。
【0124】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8を、それぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0125】
また支持体Wの正面であって前記開口部W1aの周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部Kを設け、該移動部Kに前記スピンドル作動装置59を設け、前記移動部K及び前記スピンドル作動装置59をY軸上に配置して、スピンドル作動装置59の前記クイル4側部分にて、前記スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111を配置し、前記X軸方向に沿って前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを取付けることにより、前記移動部Kを前記X軸方向へ移動させ、前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bから必要な加工ツールTを選択して、加工ツールTを選択するための部材、例えばタレット及び該タレットを回転させるためのサーボモータを削減し、またツール保持具の数を少なくすることができる。
【0126】
また前記Z軸側部分に、前記右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bと、線材を屈曲するスピンドル100とを設けることにより、前記右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを用いてコイル部分を成形し、またスピンドル100を用いて屈曲部分を成形して、トーションばねを製造することができる。
【0127】
なお前記移動部K及び前記スピンドル作動装置59をX軸上に配置して、スピンドル作動装置59の前記クイル4側部分にて、前記スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111を配置し、前記Y軸方向に沿って前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを取付けることにより、前記移動部Kを前記Y軸方向へ移動させ、前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bから必要な加工ツールTを選択する構成にしても良い。また二つの加工ツールを衝合させて、プレスにより線材を加工するときに発生する二つの反力が相殺されることは言うまでもない。
【0128】
実施の形態4に係るばね製造機の構成の内、実施の形態1乃至3と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施の形態1に係るばね製造機の略示正面図である。
【図2】実施の形態1に係るばね製造機の略示側面図である。
【図3】実施の形態1に係る移動板に設けてある摺動子及びレールを示す模式的正面透視図である。
【図4】実施の形態1に係るばね製造機の略示平面部分断面図である。
【図5】実施の形態1に係るばね製造機の線材送りユニット付近の略示側面断面図である。
【図6】実施の形態1に係るクランクスライドの移動を説明する説明図である。
【図7】実施の形態1に係る各サーボモータの回転を制御する制御回路及び制御回路に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係るトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1に係るトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図12】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図13】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図14】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図15】実施の形態2に係るばね製造機の略示側面図である。
【図16】実施の形態2に係るばね製造機の略示平面部分断面図である。
【図17】実施の形態3に係るばね製造機の略示側面図である。
【図18】実施の形態3に係るばね製造機の略示平面部分断面図である。
【図19】実施の形態4に係るばね製造機の略示正面図である。
【図20】実施の形態4に係るばね製造機の略示側面図である。
【図21】実施の形態4に係るばね製造機に取付けるスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスを示す模式的底面図である。
【図22】実施の形態4に係る各サーボモータの回転を制御する制御回路及び制御回路に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図23】実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図24】実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図25】実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図26】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図27】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図28】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図29】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図30】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図31】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図32】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図33】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図34】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0130】
1 基台
2 支持板
3 線材送りユニット
4 クイル
14 クランクスライド(スライド)
15 ボールねじスライド(スライド)
14c、15c ツール保持具
59b スピンドル取付け部(ツール保持具)
70 制御回路
111 曲げダイス取付け治具(ツール保持具)
K 移動部
K1 テーブル(移動部材)
K2 作動装置収容体(移動部材)
M1乃至M11 サーボモータ
T 加工ツール
W 支持体
W1、W2、W3 移動板
W1a、W2a、W3a 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交三軸方向に、前記線材送りユニットを移動させず、線材をばねに加工する加工ツールを、XYZ直交座標系の少なくとも一方向に移動させて、精度良くばねを製造することができるばね製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にクイル型ばね製造機は、線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内する案内通路を、その軸芯部分に備える半円柱状のクイルと、該クイルの先端部から送出された線材を加工する加工ツールを保持する保持部材とを備え、該保持部材に保持してある加工ツールに線材を当接させて、コイルばね、トーションばね等を成形する。線材を所望のばね形状に成形するためには、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整する必要がある。
【0003】
従来のクイル型ばね製造機は、線材送りユニットに、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交三軸方向、又はX軸方向及びY軸方向に摺動可能なスライド部材を設け、前記線材送りユニット及びクイルを移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を調整していた(特許文献1参照)。
【0004】
またXYZ直交三軸方向に移動する移動部材をクイルに対向させて配置し、該移動部材に加工ツールを取付けて該ツールを移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を調整していた(特許文献2参照)。
【0005】
またXYZ直交三軸方向に移動する二つの移動テーブルに、二つのタレットをそれぞれ設け、該タレットに加工ツールを保持する複数のツール保持具を放射状に配置し、また二つの前記移動テーブルの間にクイルを配置して、前記タレットの回転により選択した加工ツールとクイルとの相対位置を、前記移動テーブルを移動させて調整していた(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−95533号公報
【特許文献2】特開平10−109133号公報
【特許文献3】特開2000−61736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて線材に加工ツールを当接させたときには、線材を介して線材送りユニットに加工に伴う反力が伝播するが、特許文献1に記載のばね製造機にあっては、線材送りユニットに、XYZ直交三軸方向の移動機構、線材を捩るために線材送りユニットを回転させる捩り機構、及びクイルを回転させる回転機構を積層した構造で設けてあり、加工に伴う反力に対し前記機構それぞれに歪みを生じ、各歪みの総和が線材送りユニット全体としての歪みとなる。線材送りユニット全体としての歪みにより、クイルは基準の位置から、線材の成形において無視できない大きさで偏倚し、線材を所望のばね形状に成形できない虞がある。
【0007】
また加工ツールにより加工された線材は、線材の送出に伴い前方に移動するが、特許文献2に記載のばね製造機にあっては、前記移動部材をクイルに対向させて線材が送出される進路を塞ぐように配置してあり、加工された線材が前記移動部材に接触することを防ぐために、一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等は制約を受け、成形可能なばねの形状が限定され、前記制約を避けるために前記移動部材を前記クイルから離隔させた場合には、ばね製造機が大型になるという問題点がある。
【0008】
また一般に、クイルの周囲に多数の加工ツールを放射状に配置し、該多数の加工ツールを使用して、線材を複雑な形状のばねに成形するところ、特許文献3に記載のばね製造機にあっては、二つの前記タレットを、クイルを挟んで左右にそれぞれ配置してあり、クイルの周囲に放射状に多数の加工ツールを配置するためには、前記クイルの周囲に多数のタレットを配置する必要があり、前記タレットの大きさを考慮すれば、前記クイルの周囲に多数のタレットを配置することは難しい。
また小型の移動テーブルを二つ配置し、各移動テーブルに幅の狭い一対のガイドレールをそれぞれ設けてあり、加工ツールが線材に当接したときの反力及び該反力によるモーメントは、線材に当接した加工ツールを設けてある側の移動テーブルに集中し、幅の狭いガイドレールでは前記反力及び該反力によるモーメントに抗しきれず、線材を加工したときの反力により、各移動テーブルの位置が偏倚する虞がある。
更に二つの移動テーブルにそれぞれ設けてある二つの加工ツールを衝合して線材を加工する場合の反力は、二つの移動テーブルを互いに遠ざける力として働き、該移動テーブルの耐久性が低下し易い。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備える支持体に、開口部を開設して、該開口部にクイルを配置し、前記支持体に、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具を設けることにより、クイルの周囲に配置してある支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイルの周囲に多数のツール保持具を配設することを可能にし、また加工ツールが線材に当接したときの反力を支持体全体で吸収して、支持体の耐久性を向上させ、また前記支持体に複数のツール保持具を設けて、二つの加工ツールを衝合して線材を加工したときに発生する二つの反力を前記支持体にて相殺し、前記支持体の位置が偏倚することを防ぐことができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0010】
また前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを設けることにより、前記スライド及び支持体の移動を連動させて、前記ツール保持具に保持してある加工ツールを高速で移動させると共に、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0011】
また前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避し、回避させた線材がクイルに当接することを防止することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0012】
またZ軸方向に移動する支持体に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けて、前記移動部及び前記ツール保持具を前記支持体にてY軸(又はX軸)上に配置し、前記ツール保持具のクイル側部分にて、前記X軸(又はY軸)方向に沿って複数のツールを保持するように構成してあることにより、クイルの周囲に配置してある移動部及び支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造すると共に小型化を図り、また前記移動部を前記X軸(又はY軸)方向へ移動させ、一つのツール保持具に取付けてある複数の加工ツールから必要な加工ツールを選択することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0013】
また二つの移動部材を有する前記移動部に、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、各移動部材をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造することができるばね製造機を提供することを目的とする。
【0014】
前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイルに当接することを防止できるばね製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るばね製造機は、線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具をその正面に支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、前記支持体は、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備える支持体に、開口部を開設して、該開口部にクイルを配置し、前記支持体の正面に、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具を設けることにより、前記支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避し、更に前記開口部の周囲に多数のツール保持具を配設することを可能にし、また前記加工ツールが線材に当接したときの反力を支持体全体で吸収し、また前記支持体に複数のツール保持具を設け、二つの加工ツールを衝合して線材を加工したときに発生する二つの反力は、前記支持体にて互いに逆向きに作用し相殺される。
【0017】
また本発明に係るばね製造機は、前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを設けることにより、前記スライド及び支持体の移動を連動させて、前記ツール保持具に保持してある加工ツールを高速で移動させると共に、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整する。
【0019】
また本発明に係るばね製造機は、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、該駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避し、回避させた線材がクイルに当接することを防止する。
【0021】
また本発明に係るばね製造機は、線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具を支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、前記支持体に伝動部材を介して駆動源が連結してあり、該駆動源の駆動により、前記支持体が、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系のZ軸方向に移動するようにしてあり、前記支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けてあり、前記移動部及び前記ツール保持具はY軸(又はX軸)上に配置してあり、前記ツール保持具のクイル側部分にて、X軸(又はY軸)に沿って複数の加工ツールを保持するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、Z軸方向に移動する支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けて、前記移動部及び前記ツール保持具を前記支持体にてY軸(又はX軸)上に配置し、前記ツール保持具のクイル側部分にて、前記X軸(又はY軸)方向に沿って複数の加工ツールを保持するようにしてあることにより、クイルの周囲に配置してある移動部及び支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、また前記移動部を前記X軸(又はY軸)方向へ移動させ、一つのツール保持具に取付けてある複数の加工ツールから必要な加工ツールを選択する。
【0023】
また本発明に係るばね製造機は、前記移動部は、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してある二つの移動部材を有しており、各駆動源の駆動により各移動部材がX軸方向又はY軸方向に移動するようにしてあることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、二つの移動部材を有する前記移動部に、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、各移動部材をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整する。
【0025】
また本発明に係るばね製造機は、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、各駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイルに当接することを防止する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るばね製造機にあっては、線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備える支持体に、開口部を開設して、該開口部にクイルを挿通し、前記支持体の正面に、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具を設けることにより、クイルの周囲に配置してある支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイルの周囲に多数のツール保持具を配設することを可能にし、また加工ツールが線材に当接したときの反力を支持体全体で吸収して、支持体の耐久性を向上させ、また前記支持体に複数のツール保持具を設けて、二つの加工ツールを衝合して線材を加工したときに発生する二つの反力を前記支持体にて相殺し、前記支持体の位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0028】
また本発明に係るばね製造機にあっては、前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを設けることにより、前記スライド及び支持体の移動を連動させて、前記ツール保持具に保持してある加工ツールを高速で移動させると共に、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができる。
【0029】
また本発明に係るばね製造機にあっては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避し、回避させた線材がクイルに当接することを防止することができる。
【0030】
また本発明に係るばね製造機にあっては、Z軸方向に移動する支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けて、前記移動部及び前記ツール保持具を前記支持体にてY軸(又はX軸)上に配置し、前記ツール保持具のクイル側部分にて、前記X軸(又はY軸)方向に沿って複数のツールを保持するようにしてあることにより、クイルの周囲に配置してある移動部及び支持体を移動させて、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造すると共に小型化を図り、また前記移動部を前記X軸(又はY軸)方向へ移動させ、一つのツール保持具に取付けてある複数の加工ツールから必要な加工ツールを選択して、加工ツールを選択するために使用する部材、例えばタレット及び該タレットを回転させる駆動源を削減し、またツール保持具の数を少なくすることができる。
【0031】
また本発明に係るばね製造機にあっては、二つの移動部材を有する前記移動部に、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、各移動部材をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイルと前記加工ツールとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造することができる。
【0032】
また本発明に係るばね製造機にあっては、前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記線材送りユニット及びクイルを線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイルに当接することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図1はばね製造機の略示正面図、図2はばね製造機の略示側面図、図3は移動板に設けてある摺動子及びレールを示す模式的正面透視図、図4はばね製造機の略示平面部分断面図である。
【0034】
図において1はばね製造機の箱形の基台であり、該基台1の上面であって、該基台1の正面寄り中央付近に、後述するクイル4を支持する支持板2が立設している。該支持板2の背面側に、線材を送出する線材送りユニット3を設けてある。該線材送りユニット3は、上下に配置してある二つのローラの間で線材を狭圧し、上側のローラを時計回りに回転させ、下側のローラを反時計回りに回転させて前側へ送り出す二対の線材送りローラ30、30を備える。前記支持板2の前記線材送りユニット3に対向する部分に貫通孔が開設してあり、該貫通孔の前側に、線材を案内するクイル4が設けてある。該クイル4は半円柱状の本体部4aと、該本体部4aの軸芯部分に設けてあり線材を案内する案内通路4bとを備える。
【0035】
箱形の前記基台1に、前記線材送りローラ30、30に供給される線材を巻付けてある図示しないボビンが収容されている。線材は該ボビンから図示しないキャプスターンを介して前記線材送りローラ30、30に供給され、該線材送りローラ30、30により前記貫通孔を通過して前記クイル4に案内され、クイル4の出口にあり、線材が加工される線材加工空間5に送出される。
【0036】
前記基台1の上面にて、後述する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを支持する壁状の支持体Wが前記支持板2に周設してある。前記基台1上面の左右両側端に沿わせて二つのレール6a、6aが延設してある。二つのレール6a、6aは、線材の軸芯をZ軸とし、該Z軸に直交する左右方向の軸をX軸とし、該Z軸及びX軸に直交する上下方向の軸をY軸とするXYZ直交三軸において、前記Z軸下方にて、Y軸から略等距離離隔させてそれぞれ配置してある。
該レール6a、6a上に二つの摺動板7、7をそれぞれ設けてあり、該摺動板7、7は、該レール6a、6aに対向する位置に、該レール6a、6aを摺動する複数の摺動子7a、7a、・・・を備える。該摺動子7a、7a、・・・は略直方体をなし、レール6a、6aへの対向面に溝7bが形成してあり、該溝7bに前記レール6a、6aが嵌合して摺動する構成となっている。
【0037】
前記摺動板7、7の一方の上面にナット部7cを設けてあり、該ナット部7cの後方であって、前記基台1の上面にブロック状のモータ固定部7dが設けてある。該モータ固定部7dには、Z軸方向に貫通し、サーボモータM1を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。該モータ固定部7dに正逆回転可能なサーボモータM1を嵌合固定してあり、該サーボモータM1の回転軸に連結してある雄ねじ7eが前記ナット部7cに螺合している。該雄ねじ7e及びナット部7cの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0038】
二つの摺動板7、7の前部に跨って、移動板W1が立設しており、該移動板W1には、該移動板W1の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W1aを開設してある。該移動板W1は、前記開口部W1aにて前記線材送りユニット3付近を囲むように配置してある。前記サーボモータM1の正逆回転は、前記雄ねじ7e及びナット部7cにより直進運動に変換され、前記サーボモータM1が正回転したときに、前記摺動子7a、7a、・・・は前記レール6a、6a上を摺動し、前記移動板W1及び摺動板7、7はZ軸に沿って前側に移動し、前記サーボモータM1が逆回転したときに、後側に移動する。
【0039】
前記移動板W1の正面の四隅に、Y軸方向に平行な四つのレール8a、8a、・・・をそれぞれ設けてあり、該レール8a、8a、・・・の正面側に、前記移動板W1と略同寸の移動板W2を配置してある。該移動板W2には、該移動板W2の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W2aを開設してあり、該移動板W2は前記開口部W2aにて前記支持板2付近を囲むように配置してある。前記移動板W2は、該レール8a、8a、・・・に対向する位置に、前記レール8a、8a、・・・を摺動する四つの摺動子9a、9a、・・・をそれぞれ備える。該摺動子9a、9a、・・・は略直方体をなし、レール8a、8a、・・・への対向面に溝9bが形成してあり、該溝9bに前記レール8a、8a、・・・が嵌合して摺動する構成となっている。
【0040】
前記移動板W1の上面中央部に後述するサーボモータM2を固定するブロック状のモータ固定部9eを設けてある。該モータ固定部9eには、上下方向に貫通し、サーボモータM2を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。前記モータ固定部9eの近傍であって、前記移動板W1及び移動板W2の間にて、ナット部9c及び該ナット部9cを固定するナット固定部を前記移動板W2に設けてある。前記モータ固定部9eに正逆回転可能なサーボモータM2を嵌合固定してあり、該サーボモータM2の回転軸に連結してある雄ねじ9fが前記ナット部9cに螺合している。該雄ねじ9f及びナット部9cの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0041】
前記サーボモータM2の正逆回転は、前記雄ねじ9f及びナット部9cにより直進運動に変換され、前記サーボモータM2が正回転したときに、前記摺動子9a、9a、・・・は前記レール8a、8a、・・・上を摺動し、前記移動板W2はY軸に沿って上側に移動し、前記サーボモータM2が逆回転したときに、下側に移動する。
【0042】
前記移動板W2の正面の四隅に、X軸方向に平行な四つのレール10a、10a、・・・をそれぞれ設けてあり、該レール10a、10a、・・・の正面側に、前記移動板W2と略同寸の移動板W3を配置してある。該移動板W3に、該移動板W3の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W3aを開設してあり、該移動板W3は前記開口部W3aにて前記クイル4付近を囲むように配置してある。
前記移動板W3は、前記レール10a、10a、・・・に対向する位置に、前記レール10a、10a、・・・を摺動する四つの摺動子11a、11a、・・・を備える。該摺動子11a、11a、・・・は略直方体をなし、レール10a、10a、・・・への対向面に溝11bが形成してあり、該溝11bに前記レール10a、10a、・・・が嵌合して摺動する構成となっている。
【0043】
前記移動板W2の正面の右側部中央に、後述するサーボモータM3を固定するモータ固定部11eを設けてある。該モータ固定部11eには、左右方向に貫通し、サーボモータM3を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。前記モータ固定部11eの近傍であって、前記移動板W2及び移動板W3の間にて、ナット部11c及び該ナット部11cを固定するナット固定部を前記移動板W3に設けてある。前記モータ固定部11eに正逆回転可能なサーボモータM3を嵌合固定してあり、該サーボモータM3の回転軸に連結してある雄ねじ11fが前記ナット部11cに螺合している。該雄ねじ11f及びナット部11cの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0044】
前記サーボモータM3の正逆回転は、前記雄ねじ11f及びナット部11cにより直進運動に変換され、前記サーボモータM3が正回転したときに、前記摺動子11a、11a、・・・は前記レール10a、10a、・・・上を摺動し、前記移動板W3はX軸に沿って、正面に向かって右側に移動し、前記サーボモータM3が逆回転したときに、左側に移動する。
【0045】
前記移動板W3の正面に、線材を加工する加工ツールTを前記線材加工空間5に対し進退させる六つのクランクスライド14、14、・・・が、前記クイル4を中心にして放射状に設けてある。二つのクランクスライド14、14が、前記クイル4の左右両側であって、X軸上にそれぞれ配置してあり、四つのクランクスライド14、14、・・・が、X軸に対して上下に鋭角傾斜させてそれぞれ配置してある。
【0046】
前記クランクスライド14、14、・・・は、前記移動板W3の正面に固定してあり、レールを有するレール台14aと、前記レール上を摺動する板状のスライダ14bと、該スライダ14bに設けてあり、加工ツールTを保持するツール保持具14cと、前記レール台14aに、前記スライダ14bから離隔させて取付けてあるサーボモータM4と、該サーボモータM4の回転軸に連結してあるクランク14dと、該クランク14dと前記スライダ14bとの間に設けてあるロッド14eとを備える。
該ロッド14eの一端部は前記クランク14dに連結しており、ロッド14eの他端部は前記スライダ14bに連結してある。
【0047】
前記サーボモータM4の回転運動が、前記クランク14d及びロッド14eにより直進運動に変換され、前記ツール保持具14cに保持してある加工ツールTを、前記線材加工空間5に対し進退させる構成になっている。なお正面に向かって右斜め下及び左斜め上に配置してある二つのクランクスライド14、14に、線材を切断する二つのカッタT3、T3を加工ツールTとしてそれぞれ保持してあり、X軸上右側にあるクランクスライド14に、線材を折り曲げ加工する折り曲げツールT2を加工ツールTとして保持してある。
【0048】
前記移動板W3の正面上部であって、Y軸上に、線材を加工する加工ツールTを、前記線材加工空間5に対し進退させるボールねじスライド15が設けてある。該ボールねじスライド15は、前記移動板W3の正面上部にて、Y軸に沿って並設してある二つのレール15a、15aと、該レール15a、15a上を摺動する二つの摺動子と、該摺動子に設けてあり、加工ツールTを保持するツール保持具15cと、該ツール保持具15cに取付けてあり、該ツール保持具15c及び移動板W3の間に配置してあって、雄ねじ15eが螺合するナット部15dと、該ナット部15dに螺合する雄ねじ15eと、該雄ねじ15eにその回転軸を連結してあるサーボモータM5とを備えている。
【0049】
前記移動板W3の正面上部であって、前記ツール保持具15cの上方に、前記サーボモータM5を固定するブロック状のモータ固定部16を設けてある。該モータ固定部16には、上下方向に貫通し、サーボモータM5を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。前記モータ固定部16に正逆回転可能なサーボモータM5を嵌合固定してある。前記雄ねじ15e及びナット部15dの溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成している。
【0050】
前記サーボモータM5の正逆回転は、前記雄ねじ15e及びナット部15dにより直進運動に変換され、前記サーボモータM5が正回転したときに、前記ツール保持具15cに保持してある加工ツールTを線材加工空間5に進入させ、前記サーボモータM5が逆回転したときに、加工ツールTを退出させる構成になっている。なお前記ボールねじスライド15には、線材を曲げ加工する曲げダイスT1を加工ツールTとして保持してあり、該曲げダイスT1には線材を右巻コイル部にする右巻用溝T11、及び線材を左巻コイル部にする左巻用溝T12(後述する図11乃至図14参照)を設けてある。
【0051】
図5はばね製造機の線材送りユニット付近の略示側面断面図である。
【0052】
前記支持板2の後方に中間壁80が設けてあり、該中間壁80の後方に背面壁81が設けてある。前記中間壁80に、貫通した中間穴82が開設してあり、前記背面壁81に穴部81aが開設してある。クイル4の前記案内通路4b、中間穴82及び穴部81aは前記Z軸を中心軸にしてある。
【0053】
前記支持板2と前記中間壁80との間に、前記線材送りユニット3が配置してあり、該線材送りユニット3は筐体31と、前記線材送りローラ30、30と、前記筐体31に収容してあり、後述するサーボモータM6の回転を前記線材送りローラ30、30に伝動する複数の伝動歯車(図示せず)とを備える。
前記筐体31の側面には二つの窓部31a、31aが開設してある。各窓部31a、31aから、前記伝動歯車の回転を伝動する上下一対の軸(図示せず)が筐体31の外側に適長延出してある。各軸の延出端部にローラを連結し、前記線材送りローラ30、30を筐体31の前記側面に沿って配置してある。また前記側面に、線材を案内する溝を備える三つのガイドブロック32、32、・・・が、前記線材送りローラ30、30の間、上流側及び下流側に設けてあり、前記筐体31の背面には後述する嵌合部92cに嵌合する嵌合孔31cが開設してある。
【0054】
前記筐体31の後部に、後述する通路円筒36が嵌入する嵌入穴35aを中央に有する環状歯車35が設けてある。筐体31の前記側面後部には後窓部31bが設けてあり、該後窓部31bから前記環状歯車35は露出している。前記環状歯車35は、前記Z軸を中心軸として配置してある。前記環状歯車35は前記伝動歯車に噛合し、環状歯車35の回転が前記伝動歯車に伝動するようにしてある。
【0055】
前記嵌入穴35aに、線材が通過する通路円筒36の一端部が嵌入してあり、該通路円筒36は前記中間穴82に挿入され、通路円筒36の他端部が前記穴部81aに軸受を介して嵌入してある。
【0056】
前記中間壁80及び背面壁81の間にて、前記通路円筒36の前記他端部付近に、後述する主動ギヤ90に噛合する従動ギヤ91が外嵌している。前記通路円筒36の上側にて、サーボモータM6が背面壁81に取付けてあり、該サーボモータM6の軸芯に主動ギヤ90が嵌合し、該主動ギヤ90は前記従動ギヤ91に噛合している。前記サーボモータM6の回転が主動ギヤ90を介して前記従動ギヤ91に伝動し、前記通路円筒36が回転するようにしてある。
【0057】
前記サーボモータM6の回転により、前記通路円筒36が回転して、該通路円筒36を嵌入してある前記環状歯車35が回転し、前記伝動歯車を介して前記線材送りローラ30、30が回転して、線材を送出する構成としてある。
【0058】
前記筐体31の背面に、後述するサーボモータM7の回転を前記筐体31に伝動するハブ92が設けられている。該ハブ92は、円筒部92aと、該円筒部92aの一端部に連なる鍔部92bと、該鍔部92bから前記円筒部92aと反対側に立ち上げてあり、筐体31の前記嵌合孔31cに嵌合する嵌合部92cとを備える。該嵌合部92cを前記嵌合孔31cに嵌合し、前記鍔部92bを前記筐体31の背面に密着させてあり、前記円筒部92aは、前記通路円筒36に軸受を介して回転自在に外嵌しており、前記中間穴82に挿通してある。
【0059】
前記円筒部92aに従動ギヤ94を外嵌してある。該従動ギヤ94はギヤ部と、一面側に突出したボス部とを有する。該ボス部が前記円筒部92aに外嵌してあり、前記中間穴82にて軸受を介して回転自在に支持されている。前記ギヤ部は中間壁80及び背面壁81の間にて、中間壁80寄りに配置してある。
【0060】
前記通路円筒36の下側にて、サーボモータM7が前記背面壁81に取付けてあり、該サーボモータM7の軸芯に前記従動ギヤ94に噛合する主動ギヤ93が嵌合してある。前記サーボモータM7の回転が主動ギヤ93を介して前記従動ギヤ94に伝動し、前記筐体31がZ軸周りに回転して、前記線材送りローラ30、30が回転し、線材がZ軸周りに回転するようにしてある。
【0061】
前記支持板2の下部に、サーボモータM8を固定するモータ固定部2aが設けてある。該モータ固定部2aには、サーボモータM8を嵌合する図示しない嵌合穴が開設してあり、該嵌合穴にサーボモータM8を嵌合固定してある。また該サーボモータM8の回転軸にプーリ38が連結してある。
また前記クイル4にプーリ39を連結しており、二つのプーリ38、39にベルト40を掛架してある。前記サーボモータM8の回転が前記プーリ38、39及びベルト40を介して、前記クイル4に伝動し、前記クイル4がZ軸周りに回転するようにしてある。
【0062】
図6はクランクスライドの移動を説明する説明図であり、図6(a)はクランクスライドのツール保持具に保持してある加工ツールが、線材加工空間から最も離隔した位置にある状態を示す図、図6(b)は、クランクの回転により加工ツールが移動した状態を示す図、図6(c)は支持体の移動により加工ツールが移動した状態を示す図である。なお図6(b)のL1はクランクの回転により、加工ツールが図6(a)に示す位置から図6(b)に示す位置へ移動した距離を示しており、図6(c)のL2は、支持体の移動により、加工ツールが図6(b)に示す位置から図6(c)に示す位置へ移動した距離を示している。
【0063】
線材を加工するときは、前記クランク14dの回転により、前記スライダ14bを摺動させて、前記加工ツールTを距離L1移動させ、前記線材加工空間5に進入させる(図6(a)、(b)参照)。そして、前記移動板W1乃至W3を移動させて、前記加工ツールTを距離L2移動させ、加工ツールTを移動させる(図6(c)参照)。前記クランク14dにより、前記加工ツールTを前記線材加工空間5に高速で進入させ、進入後は前記移動板W1乃至W3を移動させて、前記加工ツールTと前記クイル4との相対位置の微調整を行う。
【0064】
次にばね製造機によるトーションばねの製造について説明する。図7は前記各サーボモータの回転を制御する制御回路及び制御回路に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図、図8乃至図10はトーションばねの製造工程を示すフローチャート、図11乃至図14は加工ツールの移動を説明する説明図である。なお図11乃至図14の(i)は略示正面図、(ii)は略示側面図、(iii)は略示底面図である。
【0065】
ばね製造機は操作部60を備えており、該操作部60により、右脚部の長さ、右巻コイル部の長さ、中間部の長さ、左巻コイル部の長さ、及び左脚部の長さ等の製造するトーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報を入力する構成となっている。なお前記操作部60はばね製造の開始及び停止を入力するスイッチ61を備える。前記操作部60に前記各サーボモータM1乃至M8の正逆回転を制御する制御回路70が接続されており、該制御回路70は、後述する駆動回路に回転信号を出力するCPU、サーボモータM1乃至M7の正逆回転を制御する制御プログラムを格納してあるROM、操作部60から入力された情報を一時的に格納するRAM等を有する。制御回路70には、移動板W1に連結してある前記サーボモータM1を駆動する移動板W1駆動回路71、移動板W2に連結してある前記サーボモータM2を駆動する移動板W2駆動回路72、移動板W3に連結してある前記サーボモータM3を駆動する移動板W3駆動回路73、折り曲げツールT2を保持してあるクランクスライド14のサーボモータM4を駆動する折り曲げツール駆動回路74、カッタT3、T3を保持してあるクランクスライド14、14のサーボモータM4、M4を駆動するカッタ駆動回路75、曲げダイスT1を保持してあるボールねじスライド15の前記サーボモータM5を駆動する曲げダイス駆動回路76、及び線材送りローラ30、30に連結してあるサーボモータM6を駆動するローラ駆動回路77,線材送りユニット3に連結してあるサーボモータM7を駆動するユニット駆動回路78、クイル4に連結してあるサーボモータM8を駆動するクイル駆動回路79を接続してある。前記制御回路70から前記各駆動回路71乃至79に回転信号を出力し、前記各サーボモータM1乃至M8を所定数回転させる構成にしてある。
【0066】
制御回路70は、操作部60により、トーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報が全て入力されているか否か判断する(ステップS1)。ばねの製造に必要な情報が全て入力されていないときは(ステップS1:NO)、ステップS1に戻る。ばねの製造に必要な情報が全て入力されているときは(ステップS1:YES)、スイッチ61がオンになっているか否か判断する(ステップS2)。スイッチ61がオンになっていないときは(ステップS2:NO)、ステップS2に戻る。スイッチ61がオンになっているときは(ステップS2:YES)、制御回路70から前記各駆動回路71乃至79に回転信号が出力され、サーボモータM1乃至M5が正逆回転し、前記折り曲げツールT2、曲げダイスT1及びカッタT3、T3を前記線材加工空間5から退出させて、制御プログラムに設定してある初期の位置に配置する(ステップS3)。
【0067】
次に制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出し、直線状の右脚部を形成する(ステップS4、図11(a)参照)。そして制御回路70から曲げダイスT1駆動回路に進入信号を出力し、サーボモータM5を所定数正回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5に進入させる(ステップS5)。次に制御回路70から前記クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図11(b)の矢印にて示す如く、クイル4を回転させて、後述する右巻コイル部に当接しない位置に配置する(ステップS6)。そして移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、右巻用溝T11を線材に当接させることを示す信号を出力し、各サーボモータM1乃至M3を所定数回転させて曲げダイスT1の位置を微調整し、曲げダイスT1の右巻用溝T11に線材を当接させる(ステップS7、図11(b)参照)。
【0068】
前記右巻用溝T11に線材が当接したときに、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出し、右巻コイル部を形成する(ステップS8、図11(c)参照)。前記右巻コイル部が形成されたときに、制御回路70から曲げダイスT1駆動回路に退出信号を出力し、サーボモータM6を所定数逆回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5から退出させる(ステップS9)。次に制御回路70から折り曲げツール駆動回路74に回転信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させ、折り曲げツールT2を線材加工空間5に進入させる(ステップS10)。そして前記クイル駆動回路79に回転信号を出力して、図12(d)の矢印にて示す如く、前記クイル4を、線材のばねに加工された部分が当接しない位置に、回転させる(ステップS11、図12(d)参照)。そして制御回路70から移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、折り曲げツールT2を線材に当接させることを示す信号を出力し、前記折り曲げツールT2の位置を微調整して、前記折り曲げツールT2を線材に当接させ、線材を、正面に向かって左側に屈曲する(ステップS12、図12(e)参照)。
【0069】
線材を屈曲したときに、制御回路70から移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、折り曲げツールT2を線材から離間させることを示す信号を出力し、サーボモータM1乃至M3を所定数回転させ、折り曲げツールT2を線材から離間させる(ステップS13)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、後述する中間部を形成する線材を線材加工空間5に送出する(ステップS14、図12(f)参照)。
【0070】
線材を線材加工空間5に送出したときに、制御回路70から移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、折り曲げツールT2を線材に当接させることを示す信号を出力し、前記折り曲げツールT2の位置を微調整して、前記折り曲げツールT2を線材に当接させ、線材を、正面に向かって左側に屈曲する(ステップS15、図13(g)参照)。線材を屈曲したときには、制御回路70から折り曲げツール駆動回路74に退出信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させ、折り曲げツールT2を線材加工空間5から退出させる(ステップS16)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出してコの字形の中間部を形成する(ステップS17、図13(h)参照)。
【0071】
次に制御回路70から前記クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図13(i)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、後述する左巻コイル部を形成しているときに、線材のばねに加工された部分が当接しない位置に配置する(ステップS18)。制御回路70から曲げダイスT1駆動回路に進入信号を出力し、サーボモータM5を所定数正回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5に進入させる(ステップS19)。移動板W1駆動回路71、移動板W2駆動回路72、及び移動板W3駆動回路73に、左巻用溝T12を線材に当接させることを示す信号を出力し、各サーボモータM1乃至M3を所定数回転させて曲げダイスT1の位置を微調整し、曲げダイスT1の左巻用溝T12に線材を当接させる。(ステップS20、図13(i)参照)。前記左巻用溝T12に線材が当接したときに、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、線材を線材加工空間5に送出し、左巻コイル部を形成する(ステップS21、図14(j)参照)。
【0072】
前記左巻コイル部を形成したときに、制御回路70から曲げダイス駆動回路76に退出信号を出力し、サーボモータM5を所定数逆回転させ、曲げダイスT1を線材加工空間5から退出させる(ステップS22)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、線材を線材加工空間5に送出し、直線状の左脚部を形成する(ステップS23、図14(k)参照)。左脚部を形成したときに、制御回路70から前記クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図14(l)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、カッタT3、T3が当接しない位置に配置する(ステップS24)。そして制御回路70からカッタ駆動回路75に回転信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させて、カッタT3、T3により線材を切断する(ステップS25、図14(l)参照)。そしてスイッチ61がオフであるか否か判断する(ステップS26)。スイッチ61がオンのときは(ステップS26:NO)ステップS3に戻る。スイッチ61がオフのときは(ステップS26:YES)トーションばねの製造を終了する。
【0073】
実施の形態1に係るばね製造機にあっては、XYZ直交三軸方向に移動する移動板を備える支持体Wに、開口部W1a、W2a、W3aを開設して、該開口部W1a、W2a、W3aにクイル4を挿通し、前記支持体Wの正面に、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、15cを配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに複数のツール保持具14c、15cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0074】
また前記ツール保持具14c、15cを前記クイル4に向けて摺動させるクランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15と、該両スライド及び支持体Wの移動を制御する手段とを設けることにより、前記両スライドの進退速度を支持体Wの移動速度に比して高くし、前記両スライド及び支持体Wの移動を連動させて、前記ツール保持具14c、15cに保持してある加工ツールTを高速で移動させると共に、前記線材加工空間5内にて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができる。
【0075】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8を、それぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0076】
なお前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15の進退と、前記支持体Wの移動とが同時に行われても良く、またボールねじスライド15をクランクスライド14に置換しても良い。また前記支持板2により、クイル4は安定に支持されており、前記加工ツールTが線材に当接したときにクイル4の位置が偏ることを防止する。また脚部に、異なる向きに屈曲した複数の屈曲部分を形成するときには、前記ユニット駆動回路78に回転信号を出力して、線材を回転させ、折り曲げツールT2を当接させて、複数の屈曲部分を形成しても良い。
【0077】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図15は実施の形態2に係るばね製造機の略示側面図、図16はばね製造機の略示平面部分断面図である。
【0078】
前記基台1の上面にて、二つの前記移動板W2、W3及び移動板W2、W3を取付けてある取付板50を有する支持体Wが、前記支持板2に周設してある。前記取付板50には、取付板50の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部50aを開設してある。前記取付板50は、前記開口部50aにて前記線材送りユニット3を囲むように配置してある。前記取付板50の正面側に、前記移動板W2、W3が順に取付けてあり、前記移動板W2及び移動板W3は、前述の通り、それぞれY軸及びX軸に沿って移動するように構成してある。
【0079】
前記移動板W3の正面に、前記六つのクランクスライド14、14、・・・と、前記ボールねじスライド15とを前記クイル4を中心にして放射状に設けてあり、前記クランクスライド14、14、・・・に保持してある前記折り曲げツールT2及びカッタT3、T3と、前記ボールねじスライド15に保持してある曲げダイスT1とを、前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15を摺動させて、前記線材加工空間5に対し進退させるように構成してある(図1参照)。また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4には、前述の通り、前記サーボモータM6、M7、及びM8がそれぞれ連結してあり(図5参照)、前記サーボモータM6、M7、及びM8の回転により、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4はZ軸周りに回転する。
【0080】
前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15により、前記折り曲げツールT2、カッタT3、T3及び曲げダイスT1を前記線材加工空間5に対し進退させ、前記移動板W2、W3により、前記線材加工空間5に送出された線材と、前記折り曲げツールT2及び曲げダイスT1との相対位置を微調整しばねを形成する。
【0081】
実施の形態2に係るばね製造機にあっては、XY軸方向に移動する移動板を備える支持体Wに、開口部W2a、W3aを開設して、該開口部W2a、W3aにクイル4を挿通し、前記支持体Wの正面に、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、15cを配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに複数のツール保持具14c、15cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0082】
また前記ツール保持具14c、15cを前記クイル4に向けて摺動させるクランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15と、該両スライド及び支持体Wの移動を制御する手段とを設けることにより、前記両スライドの進退速度を支持体Wの移動速度に比して高くし、前記両スライド及び支持体Wの移動を連動させて、前記ツール保持具14c、15cに保持してある加工ツールTを高速で移動させると共に、前記線材加工空間5内にて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを短時間で製造することができる。
【0083】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8をそれぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0084】
実施の形態2に係るばね製造機の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0085】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図17は実施の形態3に係るばね製造機の略示側面図、図18はばね製造機の略示平面部分断面図である。
【0086】
前記基台1の上面に、前記移動板W1を備える支持体Wを配置してあり、前記移動板W1には、移動板W1の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W1aを開設してある。前記移動板W1は、前記開口部W1aにて前記クイル4を囲むように配置してある。前記移動板W1は、前述の通り、Z軸に沿って移動するように構成してある。
【0087】
前記移動板W1の正面に、前記六つのクランクスライド14、14、・・・と、前記ボールねじスライド15と前記クイル4を中心にしてを放射状に設けてあり、前記クランクスライド14、14、・・・に保持してある前記折り曲げツールT2及びカッタT3、T3と、前記ボールねじスライド15に保持してある曲げダイスT1とを、前述の通り、前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15を摺動させて、前記線材加工空間5に対し進退させるように構成してある(図1参照)。また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4には、前述の通り、前記サーボモータM6、M7、及びM8がそれぞれ連結してあり(図5参照)、前記サーボモータM6、M7、及びM8の回転により、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4はZ軸周りに回転する。
【0088】
前記クランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15により、前記折り曲げツールT2、カッタT3、T3、及び曲げダイスT1を前記線材加工空間5に対し進退させ、前記移動板W1により、前記線材加工空間5に送出された線材と、前記折り曲げツールT2及び曲げダイスT1との相対位置を微調整し、ばねを形成する。
【0089】
実施の形態3に係るばね製造機にあっては、Z軸方向に移動する移動板を備える支持体Wに、開口部W1aを開設して、該開口部W1aにクイル4を挿通し、前記支持体Wの正面に、線材をばねに加工する加工ツールTを保持するツール保持具14c、15cを設けることにより、クイル4の周囲に配置してある支持体Wを移動させて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、15cを配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに複数のツール保持具14c、15cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0090】
また前記ツール保持具14c、15cを前記クイル4に向けて摺動させるクランクスライド14、14、・・・及びボールねじスライド15と、該両スライド及び支持体Wの移動を制御する手段とを設けることにより、前記両スライドの進退速度を支持体Wの移動速度に比して高くし、前記両スライド及び支持体Wの移動を連動させて、前記ツール保持具14c、15cに保持してある加工ツールTを高速で移動させると共に、前記線材加工空間5内にて、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを短時間で製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造し、小型化を図ることができる。
【0091】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8を、それぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させて、線材を回転させ、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0092】
実施の形態3に係るばね製造機の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0093】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係るばね製造機を示す図面に基づいて詳述する。図19は実施の形態4に係るばね製造機の略示正面図、図20はばね製造機の略示側面図である。
【0094】
前記基台の上面に、前記移動板W1を備える支持体Wを配置してあり、前記移動板W1には、移動板W1の下側中央部から中心部分に亘って、アーチ状に切り欠いてある開口部W1aを開設してある。前記移動板W1は、前記開口部W1aにて前記クイル4付近を囲むように配置してある。前記移動板W1は、前述の通り、Z軸に沿って移動するように構成してある。前記移動板W1の上部に、後述するテーブルK1及び作動装置収容体K2を有する移動部Kが設けてある。
【0095】
前記移動板W1の正面にて、二つの前記クランクスライド14、14が、前記クイル4の左右両側であって、X軸上にそれぞれ配置してある。二つの前記クランクスライド14、14に、前記二つのカッタT3、T3がそれぞれ保持してある。前記二つのカッタT3、T3を、前述の通り、前記クランクスライド14、14を摺動させて、前記線材加工空間5に対し進退させるように構成してある。また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4には、前述の通り、前記サーボモータM6、M7、及びM8がそれぞれ連結してあり(図5参照)、前記サーボモータM6、M7、及びM8の回転により、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4はZ軸周りに回転する。
【0096】
前記移動板W1の正面であって、前記クイル4の上方に、二つのレール50、50がY軸に沿って並設してある。また前記移動板W1正面の上部には、後述するサーボモータM9を固定するブロック状のモータ固定部51が設けてある。該モータ固定部51には、上下方向に貫通し、サーボモータM9を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。
【0097】
前記レール50、50の正面側に、前記移動部KのテーブルK1が配置されており、該テーブルK1背面の四隅にて、前記レール50、50に対向する位置に、前記レール50、50上を摺動する四つの摺動子52、52、・・・が備えてある。該摺動子52、52、・・・は略直方体をなし、レール50、50への対向面に溝が形成してあり、該溝に前記レール50、50が嵌合して摺動する構成となっている。前記テーブルK1背面の上部中央には、後述する雄ねじ53を螺合するナット部(図示せず)が設けてある。
【0098】
モータ固定部51の前記嵌合穴に正逆回転可能なサーボモータM9が嵌合固定されており、該サーボモータM9の回転軸には雄ねじ53が連なっている。該雄ねじ53は前記ナット部に螺合しており、該雄ねじ53及びナット部の溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成してある。
【0099】
前記サーボモータM9の正逆回転は、前記雄ねじ53及びナット部により直進運動に変換され、前記サーボモータM9が正回転したときに、前記摺動子52、52、・・・は前記レール50、50上を摺動し、前記テーブルK1は前記Y軸方向に沿って下側に移動し、前記サーボモータM9が逆回転したときに、上側に移動する。
【0100】
前記テーブルK1の正面にて、該テーブルK1の上下両側端に沿わせて、二つのレール54、54がそれぞれ固定されている。該正面の右側部中央には後述するサーボモータM10を固定するブロック状のモータ固定部55が設けてある。該モータ固定部55には、左右方向に貫通し、サーボモータM10を嵌合する嵌合穴を中央に開設してある。
【0101】
前記レール54、54の正面側に、前記移動部Kの作動装置収容体K2が設けてある。該作動装置収容体K2は、後述するスピンドル作動装置59を収容する角材形の収容部K21を備えており、該収容部K21は、軸心部分を貫通させて形成してある円筒形の収容室を有する。また前記作動装置収容体K2は、該収容部K21一面の長手両側端に沿って連ねてある細長い二つの鍔部K22、K22を備えており、前記一面を前記レール54、54の正面側に向けて配置してある。
【0102】
前記鍔部K22、K22の両端部に、前記レール54、54に対向する位置にて、前記レール54、54上を摺動する四つの摺動子56、56、・・・が備えてある。該摺動子56、56、・・・は略直方体をなし、レール54、54への対向面に溝が形成してあり、該溝に前記レール54、54が嵌合して摺動する構成となっている。前記モータ固定部55側にある鍔部K22には、後述する雄ねじ58を螺合するナット部57が設けてある。
【0103】
モータ固定部55の前記嵌合穴に正逆回転可能なサーボモータM10が嵌合固定されており、該サーボモータM10の回転軸には雄ねじ58が連なっている。該雄ねじ58は前記ナット部57に螺合しており、該雄ねじ58及びナット部57の溝部分に図示しないボールが転動可能に嵌合しており、ボールねじ機構を構成してある。
【0104】
前記サーボモータM10の正逆回転は、前記雄ねじ58及びナット部57により直進運動に変換され、前記サーボモータM10が正回転したときに、前記摺動子56、56、・・・は前記レール54、54上を摺動し、前記作動装置収容体K2は前記X軸方向に沿って、正面に向かって右側に移動し、前記サーボモータM10が逆回転したときに、左側に移動する。
【0105】
収容部K21の前記収容室に、円柱形のスピンドル作動装置59が収容されている。スピンドル作動装置59は、作動装置本体59aと、該作動装置本体59aの下端部に設けてあるスピンドル取付け部59bとを備えており、該スピンドル取付け部59bは前記収容部K21から延出しており、該スピンドル取付け部59bにスピンドル100が取付けてある。前記スピンドル作動装置59の側面部には、二つのサーボモータM11、M11が連結してある。
【0106】
図21はばね製造機に取付けるスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスを示す模式的底面図である。スピンドル100は、内側円柱100aと、該内側円柱100aの周囲に設けてある外側スリーブ100cとを備え、該内側円柱100aの先端面には線材を係合する直線状の溝部100bを形成してあり、該外側スリーブ100cの先端部には線材を屈曲させる突起部100dを設けてある。前記二つのサーボモータM11、M11は、それぞれ前記内側円柱100a及び外側スリーブ100cに連結してあり、前記サーボモータM11が正回転したときに外側スリーブ100cは、反時計回りに回転し、サーボモータM11が逆回転したときに外側スリーブ100cは、時計回りに回転するように構成してある。また前記サーボモータM11の回転により、前記内側円柱100aが回転するように構成してある。
【0107】
前記スピンドル取付け部59bの周囲に、曲げダイス取付け治具111を支持する支持円筒110が配置してあり、該支持円筒110は前記作動装置本体59aに固定してある。前記支持円筒110の左右両側に、二つの曲げダイス取付け治具111、111を支持してある。右側の曲げダイス取付け治具111に右巻用曲げダイス112aを取付けてあり、左側の曲げダイス取付け治具111に左巻用曲げダイス112bが取付けてある。
【0108】
前記スピンドル取付け部59bにスピンドル100を取付け、二つの曲げダイス取付け治具111、111に右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを取付けたときに、スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bは前記X軸方向に沿って配置される。
【0109】
次に実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造について説明する。図22は各サーボモータの回転を制御する制御回路70及び制御回路70に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図、図23乃至図25はばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャート、図26乃至図34はスピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bの移動を説明する説明図である。なお図26乃至図34の(a)は略示正面図、(b)は略示側面図、(c)は略示底面図である。
【0110】
ばね製造機は操作部60を備えており、該操作部60により、右脚部の長さ、右巻コイル部の長さ、中間部の長さ、左巻コイル部の長さ、及び左脚部の長さ等の製造するトーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報を入力する構成となっている。なお前記操作部60はばね製造の開始及び停止を入力するスイッチ61を備える。前記操作部60に前記各サーボモータの正逆回転を制御する制御回路70が接続されており、該制御回路70は、後述する駆動回路に回転信号を出力するCPU、サーボモータの正逆回転を制御する制御プログラムを格納してあるROM、操作部60から入力された情報を一時的に格納するRAM等を有する。制御回路70には、移動板W1に連結してある前記サーボモータM1を駆動する移動板W1駆動回路121、テーブルK1に連結してある前記サーボモータM9を駆動するテーブルK1駆動回路122、作動装置収容体K2に連結してある前記サーボモータM10を駆動する収容体駆動回路123、前記外側スリーブに連結してあるサーボモータM11を駆動するスリーブ駆動回路124、カッタを保持してあるクランクスライドのサーボモータM4、M4を駆動するカッタ駆動回路75、線材送りローラに連結してあるサーボモータM6を駆動するローラ駆動回路77、線材送りユニットに連結してあるサーボモータM7を駆動するユニット駆動回路78、及びクイル4に連結してあるサーボモータM8を駆動するクイル駆動回路79を接続してある。前記制御回路70から前記各駆動回路に回転信号を出力し、前記各サーボモータを所定数回転する構成にしてある。
【0111】
制御回路70は、操作部60により、トーションばねの寸法、トーションばねの製造に使用するツールの種類及びツールの取付け位置等のばねの製造に必要な情報が全て入力されているか否か判断する(ステップS31)。ばねの製造に必要な情報が全て入力されていないときは(ステップS31:NO)、ステップS1に戻る。ばねの製造に必要な情報が全て入力されているときは(ステップS31:YES)、スイッチ61がオンになっているか否か判断する(ステップS32)。スイッチ61がオフであるときは(ステップ3S2:NO)、ステップS32に戻る。スイッチ61がオンになっているときは(ステップS32:YES)、制御回路70から移動板W1駆動回路121、テーブルK1駆動回路122、及び収容体駆動回路123に回転信号が出力され、サーボモータM1、M9、M10が正逆回転し、スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bは、XYZ方向に移動して、前記クイル4の略真上に配置される(ステップS33)。
【0112】
そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータを所定数回転させ、線材を線材加工空間に送出し、直線状の右脚部を形成する(ステップS34、図26参照)。
【0113】
次に制御回路70から収容体駆動回路123に逆回転信号を出力し、サーボモータを所定数逆回転させて、X軸方向に沿って前記作動装置収容体K2を左方向に移動させ、右巻用曲げダイス112aを線材の真上に配置して、右巻用曲げダイス112aを選択する(ステップS35)そしてクイル駆動回路79に回転信号を出力し、図27(a)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、後述する右巻コイル部が当接しない位置に前記クイル4を配置する(ステップS36)。次にテーブルK1駆動回路122に正回転信号を出力して、サーボモータM9を所定数正回転させて、テーブルK1をY軸方向に沿って下側に移動させ、右巻用曲げダイス112aを線材に当接させ、線材を下側に曲げる(ステップS37)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させ、線材を線材加工空間5に送出して、線材を右巻用曲げダイス112aに形成してある溝に当接させて曲げ変形し、右巻コイル部を形成する(ステップS38、図27参照)。
【0114】
右巻コイル部を形成したときには、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に逆回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数逆回転させ、右巻用曲げダイス112aをY軸方向に沿って上側に移動させて線材から離間させる(ステップS39)。そして制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、線材を送出する(ステップS40、図28参照)。
【0115】
線材を送出したときには、制御回路70から収容体駆動回路123に正回転信号を出力し、サーボモータM10を所定数正回転させて、X軸方向に沿って前記作動装置収容体K2を右方向に移動させ、スピンドル100を線材の真上に配置して、スピンドル100を選択する(ステップS41)そしてクイル駆動回路79に回転信号を出力し、図29(a)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、スピンドル100で折り曲げた線材が当接しない位置に前記クイル4を配置する(ステップS42)。テーブルK1駆動回路122に正回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数正回転させて、スピンドル100をY軸方向に沿って下側に移動させ、前記内側円柱100aにある溝部100bに線材を係合する(ステップS43)。そして制御回路70からスリーブ駆動回路124に正回転信号を出力し、サーボモータM11を所定数正回転させて外側スリーブ100cを反時計回りに回転させ、前記突起部100dを線材に当接させて、線材を前記溝部100bの端部にある角で、正面に向かって左側に屈曲する(ステップS44、図29参照)。
【0116】
線材を屈曲したときには、制御回路70からスリーブ駆動回路124に逆回転信号を出力し、サーボモータM11を所定数逆回転させて、外側スリーブ100cを時計回りに回転させ、突起部100dを線材から離間させ(ステップS45)、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて、前記溝部100bに沿って線材を送出する(ステップS46、図30参照)。
【0117】
線材を送出したときには、制御回路70からスリーブ駆動回路124に正回転信号を出力し、サーボモータM11を所定数正回転させて外側スリーブ100cを反時計回りに回転させ、前記突起部100dを線材に当接させ、線材を前記溝部100bの角で、正面に向かって左側に屈曲し、コの字形の中間部を形成する(ステップS47、図31参照)。
【0118】
中間部を形成したときには、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に逆回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数逆回転させて、スピンドル100をY軸方向に沿って上側に移動させ、前記溝部100bを線材から離間させる(ステップS48)。そして収容体駆動回路123に正回転信号を出力して、サーボモータM10を所定数正回転させて、X軸方向に沿って前記作動装置収容体K2を右方向に移動させ、左巻用曲げダイス112bを線材の真上に配置して、左巻用曲げダイス112bを選択し(ステップS49)、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に正回転信号を出力し、サーボモータM9を正回転させて、左巻用曲げダイス112bをY軸方向に沿って下側に移動させ、左巻用曲げダイス112bを線材に当接させて(ステップS50)、線材を下側に曲げ、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて線材を送出し、左巻用曲げダイス112bに形成してある溝に線材を当接させて曲げ変形し、左巻コイル部を形成する(ステップS51、図32参照)。
【0119】
左巻コイル部を形成したときには、制御回路70からテーブルK1駆動回路122に逆回転信号を出力し、サーボモータM9を所定数逆回転させて、左巻用曲げダイス112bをY軸方向に沿って上側に移動させ、前記左巻用曲げダイス112bを線材から離間させ(ステップS52)、制御回路70からローラ駆動回路77に回転信号を出力し、サーボモータM6を所定数回転させて線材を送出し、直線状の左脚部を形成する(ステップS53、図33参照)。
【0120】
左脚部を形成したときには、制御回路70からユニット駆動回路78に正回転信号を出力し、前記サーボモータM7を所定数正回転させて反時計回りに線材を捩り、前記右巻コイル部を下側に回転移動させて、前記線材加工空間5から出す(ステップS54)。そして、クイル駆動回路79に回転信号を出力し、図34(a)の矢印にて示す如く、前記クイル4を回転させて、線材加工空間5に移動したカッタが当接しない位置に前記クイル4を配置する(ステップS55)。制御回路70からカッタ駆動回路75に回転信号を出力し、サーボモータM4を所定数回転させ、二つのカッタT3、T3を線材加工空間5に移動させ、衝合して線材を切断し、トーションばねを形成する(ステップS56、図34参照)。
【0121】
そして制御回路70からユニット駆動回路78に逆回転信号を出力し、前記サーボモータM7を所定数逆回転させて時計回りに線材を回転させ、線材の捩れを戻す(ステップS57)。次に制御回路70はスイッチ61がオフになっているか否か判断する(ステップS58)。スイッチ61がオンであるときは(ステップS58:NO)、ステップS33に戻る。スイッチ61がオフになっているときは(ステップS58:YES)、トーションばねの製造を終了する。なお右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bの記載を一部の図において省略している。
【0122】
実施の形態4に係るばね製造機にあっては、Z軸方向に移動する支持体Wの正面に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部K及び前記ツール保持具14cを設け、該移動部Kに前記スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111を設けることにより、クイル4の周囲に配置してある移動部K及び支持体Wを移動させて、前記クイル4と、前記ツール保持具14c、スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111との相対位置を精度良く調整して、精度の良いばねを製造し、また一つのばねを製造するときに送出することができる線材の長さ、線材に対する折り曲げ又は回転等の制約を回避して、所望のばねを製造すると共に小型化を図り、更に前記クイル4の周囲に多数のツール保持具14c、スピンドル取付け部59b、曲げダイス取付け治具111を配設することを可能にし、また加工ツールTが線材に当接したときの反力を支持体W全体で吸収して、支持体Wの耐久性を向上させ、また前記支持体Wに二つのツール保持具14c、14cを設け、二つの加工ツールTを衝合して線材を加工したとき、例えば二つのカッタT3、T3を衝合して線材を切断したときに発生する二つの反力は、前記支持体Wにて互いに逆向きに作用して相殺され、前記支持体Wの位置が偏倚することを防ぐことができる。
【0123】
また前記テーブルK1及び作動装置収容体K2を有する前記移動部Kに、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結することにより、前記テーブルK1及び作動装置収容体K2をそれぞれX軸方向又はY軸方向に移動させ、前記クイル4と前記加工ツールTとの相対位置を精度良く調整し、精度の良いばねを製造することができる。
【0124】
また前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4に、伝動部材を介して前記サーボモータM6、M7、及びM8を、それぞれ連結することにより、前記線材送りローラ30、筐体31及びクイル4を線材の軸芯周りに回転させ、線材を回転させて、線材のばねに加工された部分に前記加工ツールTが当接することを回避すると共に、回避させた線材がクイル4に当接することを防止することができる。
【0125】
また支持体Wの正面であって前記開口部W1aの周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部Kを設け、該移動部Kに前記スピンドル作動装置59を設け、前記移動部K及び前記スピンドル作動装置59をY軸上に配置して、スピンドル作動装置59の前記クイル4側部分にて、前記スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111を配置し、前記X軸方向に沿って前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを取付けることにより、前記移動部Kを前記X軸方向へ移動させ、前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bから必要な加工ツールTを選択して、加工ツールTを選択するための部材、例えばタレット及び該タレットを回転させるためのサーボモータを削減し、またツール保持具の数を少なくすることができる。
【0126】
また前記Z軸側部分に、前記右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bと、線材を屈曲するスピンドル100とを設けることにより、前記右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを用いてコイル部分を成形し、またスピンドル100を用いて屈曲部分を成形して、トーションばねを製造することができる。
【0127】
なお前記移動部K及び前記スピンドル作動装置59をX軸上に配置して、スピンドル作動装置59の前記クイル4側部分にて、前記スピンドル取付け部59b及び曲げダイス取付け治具111、111を配置し、前記Y軸方向に沿って前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bを取付けることにより、前記移動部Kを前記Y軸方向へ移動させ、前記スピンドル100、右巻用曲げダイス112a及び左巻用曲げダイス112bから必要な加工ツールTを選択する構成にしても良い。また二つの加工ツールを衝合させて、プレスにより線材を加工するときに発生する二つの反力が相殺されることは言うまでもない。
【0128】
実施の形態4に係るばね製造機の構成の内、実施の形態1乃至3と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施の形態1に係るばね製造機の略示正面図である。
【図2】実施の形態1に係るばね製造機の略示側面図である。
【図3】実施の形態1に係る移動板に設けてある摺動子及びレールを示す模式的正面透視図である。
【図4】実施の形態1に係るばね製造機の略示平面部分断面図である。
【図5】実施の形態1に係るばね製造機の線材送りユニット付近の略示側面断面図である。
【図6】実施の形態1に係るクランクスライドの移動を説明する説明図である。
【図7】実施の形態1に係る各サーボモータの回転を制御する制御回路及び制御回路に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係るトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1に係るトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図12】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図13】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図14】実施の形態1に係る加工ツールの移動を説明する説明図である。
【図15】実施の形態2に係るばね製造機の略示側面図である。
【図16】実施の形態2に係るばね製造機の略示平面部分断面図である。
【図17】実施の形態3に係るばね製造機の略示側面図である。
【図18】実施の形態3に係るばね製造機の略示平面部分断面図である。
【図19】実施の形態4に係るばね製造機の略示正面図である。
【図20】実施の形態4に係るばね製造機の略示側面図である。
【図21】実施の形態4に係るばね製造機に取付けるスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスを示す模式的底面図である。
【図22】実施の形態4に係る各サーボモータの回転を制御する制御回路及び制御回路に接続されている各サーボモータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図23】実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図24】実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図25】実施の形態4に係るばね製造機によるトーションばねの製造工程を示すフローチャートである。
【図26】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図27】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図28】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図29】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図30】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図31】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図32】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図33】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【図34】実施の形態4に係るスピンドル、右巻用曲げダイス及び左巻用曲げダイスの移動を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0130】
1 基台
2 支持板
3 線材送りユニット
4 クイル
14 クランクスライド(スライド)
15 ボールねじスライド(スライド)
14c、15c ツール保持具
59b スピンドル取付け部(ツール保持具)
70 制御回路
111 曲げダイス取付け治具(ツール保持具)
K 移動部
K1 テーブル(移動部材)
K2 作動装置収容体(移動部材)
M1乃至M11 サーボモータ
T 加工ツール
W 支持体
W1、W2、W3 移動板
W1a、W2a、W3a 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具をその正面に支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、
前記支持体は、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備えることを特徴とするばね製造機。
【請求項2】
前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のばね製造機。
【請求項3】
前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、該駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のばね製造機。
【請求項4】
線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具を支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、
前記支持体に伝動部材を介して駆動源が連結してあり、該駆動源の駆動により、前記支持体が、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系のZ軸方向に移動するようにしてあり、
前記支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けてあり、
前記移動部及び前記ツール保持具はY軸(又はX軸)上に配置してあり、
前記ツール保持具のクイル側部分にて、X軸(又はY軸)に沿って複数の加工ツールを保持するようにしてあることを特徴とするばね製造機。
【請求項5】
前記移動部は、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してある二つの移動部材を有しており、各駆動源の駆動により各移動部材がX軸方向又はY軸方向に移動するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載のばね製造機。
【請求項6】
前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、各駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする請求項4又は5に記載のばね製造機。
【請求項1】
線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具をその正面に支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、
前記支持体は、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系の、X軸方向に移動する移動体、Y軸方向に移動する移動体、又はZ軸方向に移動する移動体の少なくとも一つを備えることを特徴とするばね製造機。
【請求項2】
前記ツール保持具を前記クイルに向けて摺動させるスライドと、該スライド及び支持体の移動を制御する手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のばね製造機。
【請求項3】
前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、該駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のばね製造機。
【請求項4】
線材を送出する線材送りローラを有する線材送りユニットと、該線材送りユニットから送出された線材を案内するクイルと、線材をばねに加工する加工ツールを保持するツール保持具と、該ツール保持具を支持する支持体と、該支持体に開設してあり、前記クイルが配置される開口部とを備えるばね製造機において、
前記支持体に伝動部材を介して駆動源が連結してあり、該駆動源の駆動により、前記支持体が、前記線材送りユニットから送出される線材の移動域をZ軸とするXYZ直交座標系のZ軸方向に移動するようにしてあり、
前記支持体の正面であって前記開口部の周囲に、X軸方向及びY軸方向に移動する移動部を設け、該移動部に前記ツール保持具を設けてあり、
前記移動部及び前記ツール保持具はY軸(又はX軸)上に配置してあり、
前記ツール保持具のクイル側部分にて、X軸(又はY軸)に沿って複数の加工ツールを保持するようにしてあることを特徴とするばね製造機。
【請求項5】
前記移動部は、伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してある二つの移動部材を有しており、各駆動源の駆動により各移動部材がX軸方向又はY軸方向に移動するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載のばね製造機。
【請求項6】
前記線材送りユニット及びクイルに伝動部材を介して複数の駆動源をそれぞれ連結してあり、各駆動源の駆動により、前記線材送りユニット及びクイルが線材の軸芯周りに回転するようにしてあることを特徴とする請求項4又は5に記載のばね製造機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2009−710(P2009−710A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163086(P2007−163086)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000190622)新興機械工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000190622)新興機械工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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