まくら木
【課題】本発明は、まくら木本体と連結部材との接合部を強化し、連結部材に生じる撓みによりまくら木本体と連結部材との一体化の崩壊を生じさせないまくら木を提供することを目的とした。
【解決手段】複数のまくら木本体11を連結部材12で平行状態に連結したまくら木1であって、連結部材12は芯層部材25と芯層部材25の上下に位置する連結補強材39,40とを有し複数のまくら木本体11に渡って配されている。また、まくら木本体12は中間層22とこれを挟む上下層を有し、上下層はまくら木本体全長に渡る長さを有し、中間層22は芯層部材25の端部と複数のまくら木小片14によって構成され、中間層22は芯層部材25の端部と複数のまくら木小片14によって密状態にされている。
【解決手段】複数のまくら木本体11を連結部材12で平行状態に連結したまくら木1であって、連結部材12は芯層部材25と芯層部材25の上下に位置する連結補強材39,40とを有し複数のまくら木本体11に渡って配されている。また、まくら木本体12は中間層22とこれを挟む上下層を有し、上下層はまくら木本体全長に渡る長さを有し、中間層22は芯層部材25の端部と複数のまくら木小片14によって構成され、中間層22は芯層部材25の端部と複数のまくら木小片14によって密状態にされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレールの下側に配置されるまくら木に関するものである。特に本発明は、複数のまくら木(まくら木本体)が連結された構造のまくら木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まくら木は、従来から木製あるいはコンクリート製のものが多く、平行に並ぶ2本のレールの下に一定の間隔ごとに敷設されるものである。詳しくは、まくら木はレールの軌間よりも長い長尺状であり、その長尺方向をレールに対して垂直に配置させている。そして、列車が通過する際に、レールに伝わる列車の振動や列車荷重をこのまくら木により分散させる。近年、繊維強化硬質樹脂発泡体を素材とした合成木材で製された合成まくら木が開発されている。
【0003】
ところで、まくら木におけるレールの継ぎ目部や分岐部では、列車の通過の際に、列車の振動や列車荷重を受けやすいことが知られている。これにより、レール継ぎ目部や分岐部を支持するまくら木においては、摩擦による摩耗で凹みが生じることがある。さらに、レールの継ぎ目部等では、一般のレール部と比較して曲げ剛性が低いため、列車荷重がより大きく影響してまくら木底面のバラストの圧密化が起こり易い。そのため軌道沈下が生じたり、ときにはまくら木が横ずれを起こすといった所謂「あおり現象」が発生しやすい。
【0004】
この問題の解決策として、従来から、まくら木の両端部にL型の鋼材等を用いてレール方向前後のまくら木を連結して一体化することで、列車の振動や列車荷重の分散を図る策が取られてきた。
【0005】
また特許文献1には、まくら木のレールが配される部位を樹脂等の合成材により連結して一体化した製品を工場で製作し、それを現場に搬入して敷設する発明が開示されている。
さらに、特許文献2には、まくら木同士を連結する連結部材を工場で製作し、現場に搬入してまくら木同士を容易に連結する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3569108号公報
【特許文献2】特開2005−9119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明は、まくら木にレールが配される位置に溝を設け、上面連結材,中間連結材,下面連結材を積層した断面形状がH型の連結部材がまくら木の溝に嵌め込まれた、まくら木同士を連結一体化させた構成である。つまり、上下層の連結部材と中間連結部材によって複数のまくら木を挟み込み、接着剤により固定する構成である。これにより複数のまくら木を一体化することができるため、列車による上下動に対する抗力を高めることができる。
【0008】
また、まくら木本体と連結部材との接合の更なる強度アップのためには、上記連結部材の中間部ないし外側部分に複数のまくら木を連結する上面連結材及び下面連結材を追加して取り付けた構造とすることにより、列車荷重に対して変形を抑えることができる。
【0009】
しかしながら鉄道関係者の間からは、さらに強度の強いまくら木の開発が望まれている。即ち従来技術のまくら木(連結構造のまくら木)は、強度の点で不満があった。要するに、特許文献1に記載のまくら木(連結構造のまくら木)によると、連結部材は、まくら木(まくら木本体)の上下の面から挟み込む構造であるため、列車荷重により繰り返し生じる圧縮力や引張り力により連結部材が撓みやすく、結果として接着面が剥がれ易い欠点があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の発明は、複数のまくら木を上面連結材と下面連結材で連結し、まくら木間には中間連結材が配置された構造である。そして、これらの上下面連結材は、まくら木表面と同一の平面(面一)となるように、まくら木に溝加工を施して取り付けられている。
この連結部材は、施工現場では断面形状がH型であり、上下面連結材の間に中間連結材が配置された構成である。要するに、予め工場で連結部材を加工している。そして、まくら木を敷設する現場で、この連結部材をまくら木の上下面の溝加工した部分に差し込んで一体化する。このとき、溝あるいは連結部材の接合部には接着剤を塗布する。これにより特許文献1と同様に複数のまくら木を一体化することができるため、列車による上下動に対する抗力を高めることができる。
しかし、特許文献2に記載された発明は、連結部材をまくら木の溝に差し込む構成であるため、差し込みの際に接着剤の殆どが除去されて、接着強度が不十分となる問題があった。
【0011】
このため、接合部の接着が剥がれてまくら木と連結材の一体化が崩壊してしまう、所謂「剥離現象」が起こる場合がある。つまり、特許文献1及び2に記載の発明では、まくら木の凹みや「あおり現象」等を十分に防止することができなかった。
【0012】
そこで本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、まくら木本体と連結部材との接合部を強化し、連結部材に生じる撓みによりまくら木本体と連結部材との一体化の崩壊を生じさせないまくら木を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結したまくら木において、連結部材は芯層部材と当該芯層部材を補強する補強部材とを有し、当該連結部材の芯層部材は、複数のまくら木本体に渡って配置され、前記まくら木本体は、中間層と上部側まくら木片と下部側まくら木片とを有し、上部側まくら木片は、前記中間層の上部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、下部側まくら木片は、前記中間層の下部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、まくら木本体の中間層は前記芯層部材の端部と複数のまくら木小片によって構成され、前記補強部材の少なくとも一つは、複数のまくら木本体に渡って配置され、上部側まくら木片又は下部側まくら木片の少なくともいずれかには幅方向に連通した凹部が形成され、当該凹部に補強部材の端部が嵌入されたことを特徴とするまくら木。
まくら木本体の幅方向とは、レールの延びている方向を指す。
【0014】
本発明におけるまくら木は、複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結するものであり、井桁状を形成させることが望ましい。
本発明におけるまくら木では、まくら木本体は、中間層とその層を挟む上下層により構成されている。そして、連結部材は芯層部材を有し、複数のまくら木本体に渡って配置されている。
またまくら木本体の中間層は、芯層部材の端部と複数のまくら木本体小片によって構成されている。要するに、まくら木本体及び連結部材を層状にすることで加工が容易になり、まくら木本体の内部と連結部材との一体化を容易且つ確実に図ることができる。また層状に部材を組み立てて連結する構成であるため、接着剤による接着強度も十分に確保できる。そのため、効率的にまくら木本体と連結部材の一体性を高めることができる。これにより、まくら木本体と連結部材との接合部の強度アップが図れるため、列車による振動や列車荷重により生じる曲げ応力や剪断力の影響による連結部材の撓みを軽減できる。言い換えると、まくら木本体と連結部材の連結構造の崩壊を阻止できる。
つまり、列車の通過による振動や列車荷重の影響を受けやすいレール継ぎ目部や分岐部であっても、まくら木の連結状態は維持される。これにより、まくら木に伝わる列車荷重が分散され、まくら木の下面に敷かれたバラストの圧密化を防止できる。その結果、軌道の沈下やまくら木の横ずれ等の「あおり現象」の発生を抑制できる。
また、上部側あるいは下部側まくら木片の少なくともどちらか一方に幅方向の凹部が設けられ、その凹部には補強部材の端部が嵌め込まれている。そのため、道床厚が十分に確保できない場合でも、本発明のまくら木であれば厚みを小さくすることができる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記補強部材は少なくとも芯層部材の中間部に設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0016】
請求項2のまくら木は、芯層部材を補強する補強部材が少なくとも芯層部材の中間部に設けられているため、連結部材に生じる撓みをより軽減できる。これにより、まくら木本体同士の間に位置する連結部材の断面係数を大きくすることができる。要するに、連結部材の断面二次モーメントが大きくなるため、曲げ強度を高めることができる。言い換えると、連結部材に生じる撓みを軽減でき、まくら木本体と連結部材の接合部に生じる負担をより軽減することが可能となる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、補強部材は、複数のまくら木本体に渡って配置されていることを特徴とするまくら木である。
【0018】
請求項3のまくら木は、補強部材が中間層と同様に複数のまくら木本体に渡って配置されているため、まくら木本体と連結部材との連結がより強固なものとなる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、上部側まくら木片又は下部側まくら木片の表面と補強部材の表面が略同一平面を形成していることを特徴とするまくら木である。
【0020】
請求項4のまくら木は、まくら木本体とその凹部に嵌め込まれた補強部材の表面は、略同一平面、所謂面一にされているため、既設のまくら木を撤去して敷設する様な、まくら木の維持管理作業の場合でも高度なレベル調整を必要としない。つまり、まくら木の取り替え作業に大幅な時間を必要としないため、夜間などの限られた時間の中での作業に適している。
【0021】
請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれかの発明において、補強部材は、芯層部材の側面に設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0022】
請求項5のまくら木は、芯層部材の側面の片側あるいは両側に補強部材が設けられているため、連結部材の撓みに対する抵抗をより強化できる。それにより、接合部の強度をさらに図ることができるため、列車荷重などの影響をより受け難くなる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、まくら木本体及び連結部材には、積層方向あるいは積層方向と直行する方向に固定ピンが打ち込まれていることを特徴とするまくら木である。
【0024】
請求項6のまくら木は、まくら木本体及び連結部材を接着剤だけでなく、積層方向あるいは積層方向と直行する方向に固定ピンを打ち込んだ接合方法であるため、まくら木本体と連結部材の接合強度が高く、予期せぬ大きな外力が発生した場合であっても、まくら木の連結が崩壊することを防止することができる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項2乃至6のいずれかの発明において、下部側まくら木片の底面又は/及び下部側に配された補強部材の底面の一部あるいは全部に弾性材が設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0026】
請求項7のまくら木は、下部側のまくら木本体あるいは補強部材の底面の一部あるいは全部に弾性材が設けられているため、バラストに対する大きな摩擦抵抗を有する構成である。そのため、列車の振動や列車荷重によるまくら木の横滑りなどの「あおり現象」をさらに起こりにくくすることができる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項2乃至7のいずれかの発明において、補強部材は、間隔を調整可能な調整材を備え、レールの底面と上部側の補強部材の表面との間に設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0028】
請求項8のまくら木は、調整材を備えているため、レール底部と上部側の補強部材の表面との隙間をなくすことができる。
つまり前記隙間が有ると、レールが列車荷重により撓むことが考えられる。そして、その撓みにより、まくら木に圧縮力と引張り力を繰り返し生じさせるため、まくら木本体と連結部材の接合部などに過度の負担を与えて連結を崩壊させる懸念が生じる。しかしながら、本発明であればレール下の間隔を無くすことができるので、接合部などに生じる過度の負担を防止でき、連結の崩壊を防止することができる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの発明において、まくら木本体及び連結部材は、長手方向に配向する繊維強化樹脂で構成された樹脂板によって作られたものであることを特徴とするまくら木である。
【0030】
請求項9のまくら木は、本体部材及び連結部材が長手方向に配向する繊維強化樹脂で構成された長尺板であるため、列車荷重により生じる圧縮力や引張り力の影響で部材自体が座屈して破壊される心配が無い。
【0031】
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかの発明において、前記補強部材は、短繊維を含有する樹脂で構成された樹脂板であること特徴とするまくら木である。
【0032】
請求項10のまくら木は、補強部材が環境を配慮した短繊維(再生利用されるガラス繊維、炭素繊維など)を含有させた樹脂板であるため、生産コストを抑えると共に一定の強度も得ることができる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかの発明において、まくら木本体の間に位置する連結部材の表面の一部あるいは全部にFRP層が積層されていることを特徴とするまくら木である。
【0034】
請求項11のまくら木は、FRP層が積層されているため、連結部材の強度をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のまくら木は、まくら木本体を積層構造とし、中間層においてまくら木本体と連結部材とが結合された構成とすることで、まくら木本体と連結部材の強度を高めることができ、列車の振動や列車荷重の影響を小さくできる。これにより連結部材に引き起こる撓み現象によるまくら木本体と連結部材の一体構成が崩壊することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態のまくら木を示す斜視図である。
【図2】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第1段階)
【図3】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第2段階)
【図4】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第3段階)
【図5】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第4段階)
【図6】図1のまくら木を示す(a)A−A断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図7】第2実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図8】第3実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図9】第4実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図10】第5実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図11】調整材及び弾性材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に本発明の実施形態であるまくら木1について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のまくら木の斜視図である。図2〜5は、本発明の第1実施形態のまくら木の組み立て段階毎の分解斜視図である。図6は、図1に示すまくら木の(a)A−A断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。図7〜10は、本発明の第2〜6実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
まくら木は、列車が通過するレールの下に敷設され、列車の振動や列車荷重を分散できるものである。まず、本発明の第1の実施形態のまくら木1の構成について説明する。
【0038】
本実施形態のまくら木1は、図1に示すように、2組のまくら木本体11とそれらを連結させる2組の連結部材12とで構成されたものである。まくら木本体11及び連結部材12は、長尺方向に配向する繊維強化樹脂で構成された樹脂板により作られたものである。そして、連結部材12はまくら木本体11と接着剤(図示しない)及び固定ピン31により接合されているものである。
【0039】
まくら木本体11は、長尺状の板部材と板部材の小片が3層に積層された構造で、上部側まくら木片21と下部側まくら木片23とその両者に挟まれた中間層22を有している。
上部側まくら木片21は、図4に示すように、一方の表面(上面側)に溝状の2個の凹部13と、まくら木本体11の厚み方向に貫通したピン挿通孔34,35が形成されている。なおピン挿通孔34,35は、まくら木1が組み立てられた後に、ドリルで各部材を貫通させて設けられるものであり、各部材を組み立てる際にはピン挿通孔34,35は無い。後述するピン挿通孔についても同様である。
【0040】
凹部13は、まくら木本体11の長尺方向と略直角方向に設けられており、図4,図6に示すように、後述する連結部材12が嵌り込むものである。また、各凹部13の底面には2個ずつのピン挿通孔35が形成されている。また、ピン挿通孔34は、まくら木本体11の両端部側に2個ずつと凹部13に挟まれた面に2個設けられている。なお、ピン挿通孔34,35は、固定ピン31が挿通され、まくら木本体11と連結部材12とを接合するものであり、前記した様に各部材を組み立てられた後に、ドリルで各部材を貫通させて設けられるものであり、各部材を組み立てる際にはピン挿通孔34,35は無い。
【0041】
下部側まくら木片23は、上記した上部側まくら木片21と略同じ構成を有しており、図2に示すように、凹部13がまくら木本体11の底面側に配される。要するに、下部側まくら木片23の凹部13は、上部まくら木片21の凹部13と積層面に対して鏡像の関係を有する。またピン挿通孔34,35は、上部側まくら木片21のそれと連通するように設けられている。
【0042】
また、中間層22は、上部側まくら木片21と下部側まくら木片23の両者に挟まれる配置であり、図3に示すように、まくら木本体11の長尺方向に連続しない複数の略長方形状のまくら木小片14によって構成されている。
まくら木小片14は、2個の端部小片27,28と中間小片29とを有しており、それぞれが切り離された構成である。
【0043】
つまり、端部小片27,28と中間小片29を連続して並べると上部側まくら木片21等より短い。要するに、端部小片27,28と中間小片29は、それぞれが短い小片である。詳しくは、端部小片27,28は、上部側まくら木片21及び下部側まくら木片23の端部側に配され、その端部から水平方向に上下層に形成された凹部13に至る程度の長さである。また、端部小片27,28は、上下層が有するピン挿通孔34と同様の孔が形成されており、それぞれが連通する。
【0044】
中間小片29は、上下層のまくら木片21,23に形成された凹部13同士に挟まれた位置に配されている。つまり、中間小片29の長さは、まくら木本体11の長尺方向長さから、端部小片27,28の長さと上部側まくら木片21あるいは下部側まくら木片23の凹部13の長さを除いた程度の長さである。
要するに、中間層22が実質的に有する長尺方向長さは、まくら木本体11の長さより短い。そのため、端部小片27,28と中間小片29は、凹部13の長さ程度の間隔を設けて配することで、中間層22の全体長さがまくら木本体11と一致する。なおこの間隔は嵌合空間15であり、後述する連結部材12が狭着されるものである。
また、中間小片29にも上下層に連通するピン挿通孔34が形成されている。
【0045】
連結部材12は、図5,6に示すように、長尺状の板部材及び板部材の小片が5層に積層された構造で、まくら木本体11の中間層22の嵌合空間15に狭着される芯層部材25と、その上下に積層される層補強材(補強部材)37,38及び連結補強材(補強部材)39,40、並びに側面補強材(補強部材)51を有している。
【0046】
芯層部材25は、図3に示すように、長尺状の板部材であり、まくら木本体11の中間層22と同程度の厚みである。また、芯層部材25は厚み方向に貫通したピン挿通孔35,36が形成されている。詳しくは、端部側にそれぞれ2個ずつのピン挿通孔35と、中間近傍に4個のピン挿通孔36が形成されている。また、端部に位置するピン挿通孔35はまくら木本体11の上下層の凹部13に形成されたピン挿通孔35と連通するように配置されている。なおピン挿通孔36は、固定ピン31が挿通され、まくら木本体11同士の間に位置する連結部材12を積層方向に接合するものである。
【0047】
連結補強材39,40は、図2,4に示すように、芯層部材25と同様に長尺状の板部材であるが、芯層部材25よりも厚みが薄くされている。要するに、連結補強材39,40は、上記した上部側まくら木片21あるいは下部側まくら木片23に形成された凹部13に嵌め込まれるため、その凹部13の凹み深さ程度の厚みを有している。
また、連結補強材39,40は、ピン挿通孔35,36が形成されており、上記した芯層部材25と略同位置に有する。要するに、芯層部材25と連結補強材39,40のピン挿通孔35,36はそれぞれ連通する配置である。
【0048】
層補強材37,38は、図2,4に示すように、芯層部材25と連結補強材39,40を積層した際に形成される空間に配置される。要するに、層補強材37,38は、まくら木本体11同士の間隔程度の長さで、その厚みは上部側あるいは下部側まくら木片21,23の厚みから凹部13の凹み深さを除いた程度である。
【0049】
また、層補強材37,38には、4個のピン挿通孔36が形成されており、上下に位置する連結補強材39,40のピン挿通孔36と連通して配されている。さらに層補強材37,38の側面には、ピン挿通孔41が形成されており、固定ピン52を挿通して後述する側面補強材51を取り付ける構成である。
【0050】
側面補強材51は、図1に示すように、板部材の小片で、連結部材12の積層高さ及びまくら木本体11同士の間隔程度の幅を有している。また側面補強材51は、積層された連結部材12の側面に設けられており、4個のピン挿通孔41が厚み方向に貫通するように形成されている。つまり、上記した層補強材37,38の側面に形成されたピン挿通孔41と連通して配されている。
【0051】
次に本発明である実施形態1におけるまくら木1の各部材間の組み合わせ構成について図面を用いて説明する。
【0052】
実施形態1のまくら木1は、図1に示すように、2組のまくら木本体11が2組の連結部材12と接合されて井桁状を形成して一体化した構成である。
まくら木1の底部側から詳しく説明すると、図2に示すように、2枚の下部側まくら木片23が一定の間隔を空けて平行に並んでおり、底面側に凹部13が向くように配されている。そして、その下部側まくら木片23の長尺方向と直角を成すように連結補強材40が2枚の下部側まくら木片23に渡って配置されている。このとき、平行に並んだそれぞれの凹部13には、図6に示すように、連結補強材40の両端部が嵌り込んでおり、下部側まくら木片23と連結補強材40のピン挿通孔35が連通している。
【0053】
そして、図3に示すように、各連結補強材40の上面側で、下部側まくら木片23同士の間には、層補強材38が配されている。このとき、図6に示すように、層補強材38は下部側まくら木片23同士の間に嵌り込み、層補強材38と下部側まくら木片23の上面とは略同一平面、所謂面一の状態である。そして、層補強材38と連結補強材40のピン挿通孔36が連通している。
【0054】
図4に示すように、各下部側まくら木片23の上面側には中間層22と芯層部材25が配されている。つまり、上述したように中間層22は端部小片27,28と中間小片29により構成されており、端部小片27,28と中間小片29との間には下部側あるいは上部側まくら木片23,21と同程度の長さを有した嵌合空間15が設けられている。そのため、図6に示すように、その嵌合空間15に芯層部材25の両端部が嵌り込むことで中間層22が密状態となり、2組のまくら木本体11を連結する構成としている。このとき、中間層22と下部側まくら木片23のピン挿通孔34、並びに芯層部材25と下部側まくら木片23のピン挿通孔35、及び芯層部材25と層補強材38のピン挿通孔41はそれぞれ連通している。
【0055】
そして、図5に示すように、各中間層22の上面側には、上部側まくら木片21がそれぞれ配され、上方に凹部13が向けられて配されている。
また、図5に示すように、各芯層部材25の上面側には層補強材37が配されている。要するに、図6に示す層補強材37は、上記した層補強材38と同様に、まくら木本体11同士に挟まれており、上面側まくら木片21の凹部13の底面と同一平面を形成している。さらに、平行に並んだ上面側まくら木片21の凹部13の底面と層補強材37の上面に渡って連結補強材39が配されている。つまり、連結補強材39の両端部は、各上部側まくら木片21の凹部13に嵌合されている。このとき、上部側まくら木片21と連結補強材39と芯層部材25のピン挿通孔35、及び上部側まくら木片21と中間層22のピン挿通孔34、並びに連結補強材39と層補強材37と芯層部材25のピン挿通孔36は連通している。
【0056】
また、図5に示すように、まくら木本体11が3層に積層され、連結部材12が5層に積層された状態においては、ピン挿通孔34,35,36がそれぞれ連通しており、孔は上下に貫通した状態である。つまり、接着剤に加えて、それぞれの孔に固定ピン31を挿通することで、まくら木本体11及び連結部材12の結合力が強化される。これにより、まくら木本体11と連結部材12との連結状態が崩壊することを阻止することができる。
【0057】
また、図1,5に示すように、積層された各連結部材12の両側面には、側面補強材(補強部材)51が設けられている。つまり、まくら木本体11同士に挟まれ、層補強材37,38に形成されたピン挿通孔41と側面補強材51のピン挿通孔41とを連通させて固定ピン52を挿通して固定している。これにより、連結部材12の強度が高まり、列車荷重による撓み等を軽減できる。なお、固定ピン52の長さは、固定ピン31の長さよりも短い。
【0058】
上記した構成であるため、第1実施形態に示したまくら木1は、従来のように列車の振動や列車荷重によりまくら木本体11と連結部材12の一体化が崩壊することを防止することができる。つまり、本発明のまくら木1は、まくら木本体11及び連結部材12を層状に積層しており、平行して並ぶまくら木本体11の各層毎に長尺状の連結部材12が井桁状に渡るように配し、2組のまくら木本体11を一体化する構成としている。
【0059】
要するに、まくら木本体11は、外部だけでなく内部においても連結部材12によって連結された構造となり、従来技術と比較すると、まくら木本体11と連結部材12はより強固に接合されている。また、まくら木本体11と連結部材12との接合は、接着剤に加えて固定ピン31により接合しているため、列車荷重などにより連結部材12に生じる圧縮力や引張り力で連結部材12が撓み、接合面の「剥離現象」が生じることを防止できる。さらに、連結部材12の側面で、まくら木本体11同士の間には側面補強材51が設けられているため、まくら木1全体の一体性が増し、列車荷重などの影響をより受け難くなる。
【0060】
この結果、列車荷重によりまくら木1に発生する圧縮力や引張り力の影響により、まくら木本体11と連結部材12との連結状態が崩壊することを阻止することができる。
これにより、第1実施形態のまくら木1は、まくら木本体11と連結部材12との連結状態は維持され、まくら木1が有する本来の機能を発揮できる。要するに、レールから伝わる列車の振動や列車荷重を分散することができるため、まくら木1の下面に敷かれたバラストの圧密化を防止できる。その結果、軌道の沈下やまくら木1の横滑り等を防ぐことができる。つまり、本発明のまくら木1は、レールの継ぎ目部や分岐部の列車荷重などの影響を受けやすい箇所にも適応可能である。
【0061】
上記した第1実施形態のまくら木1では、上部側まくら木片21及び下部側まくら木片23に凹部13を形成し、連結部材12である連結補強材39,40を凹部13に嵌合させて連結した構成を示した。要するに、この構成であれば、連結部材12によりまくら木本体11を連結させた構造であってもまくら木本体11の厚み程度の深さがあれば敷設可能である。つまり、道床厚が十分確保できない条件下でもまくら木1を敷設できる。
【0062】
しかし、第1実施形態のまくら木1は、まくら木本体1に形成した凹部13の厚み分だけまくら木本体11の断面係数が減少する。そこで、図7に示されるような、第2実施形態のまくら木2のように、下部側まくら木片23に凹部13を形成しない構成とすることで、まくら木本体11の断面係数を減少させない構成とした。
【0063】
詳しくは、まくら木2では、下部側まくら木片23の凹部13を無くして下部側まくら木片23の厚みを確保し、その下部側まくら木片23とその下部側まくら木片23同士に挟まれた層補強材38の底面に連結補強材40を貼り付けるような構成である。この構成により、第1実施形態と比較すると、まくら木本体11の断面係数を大きくすることができ、まくら木2の曲げ剛性を強化することができる。
【0064】
また、第3実施形態のまくら木3は、図8に示すように、層補強材37,38を用いず、連結部補強材39,40の中央部を凸形状としている。また上記した第1実施形態の構成と同様に、上部側及び下部側まくら木片21,23に凹部13を形成した構成としている。要するに、層補強材37,38の分だけ部材点数が少なくされているため、部材管理が軽減され、作業効率も高くなる。
【0065】
第4実施形態のまくら木4は、図9に示すように第2及び第3実施形態の構成を併せ持っており、部材点数を少なくでき、まくら木本体11の断面係数も確保できる構成である。要するに、図9に示すように、まくら木4は層補強材37,38が用いられておらず、下部側まくら木片23に凹部13が形成されていない。つまり、凸形状の連結補強材40の両端部は、凹部13に嵌合されずに下部側まくら木片23の底面に貼り付いたような構成である。このような構成とすることで、まくら木4の製作作業効率は上がるうえ、まくら木本体11の曲げ剛性を強化することができる。
【0066】
前記した各まくら木1〜4は、いずれも上部側まくら木片21に溝状の凹部13を有し、当該凹部13は、上部側まくら木片21の幅方向に連通するものである。即ち凹部13は、上部側まくら木片21の全幅に渡る長さを持つ。
また、第5実施形態のまくら木5は、層補強材37,38が用いられておらず、連結補強材39,40が凸形状を有している。
【0067】
前記したまくら木1〜5は、いずれも連結部材12の芯層部材25が長尺状の板部材であり、まくら木本体11の中間層22と同程度の厚みを有するものであった。しかしながら、本発明は芯層部材25が長尺上の板部材を用いた構成に限られるわけではない。例えば、芯層部材25はまくら木本体11同士に挟まれた部位の厚みが、まくら木本体11の中間層22の厚みより大きいものであってもよい。
【0068】
即ち第5実施形態のまくら木6は、図10に示すように、まくら木1〜5と同様に芯層部材25がまくら木本体11の全幅に渡って接合されており、その芯層部材25のまくら木本体11に挟まれた部位は上下に配された連結補強材39,40が積層された構成である。詳しく説明すると、第6実施形態のまくら木6は、上述した第3実施形態と略同じ構成であり、層補強材37,38を用いていない構成である。即ち、第3実施形態のまくら木3は連結補強材39,40に凸形状を設け、芯層部材25との層間隔を埋めていたが、第6実施形態のまくら木6は芯層部材25の上下面に凸形状を設けた構成としている。要するに、芯層部材25に凸形状を設ける構成とすることで、まくら木本体11同士で挟まれた部位が積層方向に密状態となり第3実施形態と略同じ効果を得ることができる。
また、第6実施形態のまくら木6は、連結補強材39,40を第1実施形態に示したように長尺状の板部材とし、当該連結部材39,40の端部を上部側及び下部側まくら木片21,23の凹部13に配した構成である。
つまり、本実施形態であれば部材点数を少なくできるため生産の作業効率を高めることができる。さらに、まくら木本体11と連結部材12との一体性も確保でき、列車荷重により、まくら木6に繰り返し曲げ応力が生じても連結状態が崩壊することを阻止できる。
【0069】
前記した第5実施形態に示したまくら木6の芯層部材25の構成は、第4実施形態及び第5実施形態のまくら木4,5に用いた構成としてもよい。その場合、第6実施形態のまくら木6と同様に、連結補強材39あるいは40を長尺状の板部材とすることが好ましい。要するに、芯層部材25の端部側がまくら木本体11の中間層22の厚みと略同程度で、芯層部材25の中間部、つまり連結補強材39,40に挟まれる部位の厚みが中間層22の厚み以上、且つ積層する連結補強材39,40と密状態であればよい。
【0070】
また上記したまくら木1〜6には、図11に示すように、連結補強材39の表面にレール45の底面との間隔をなくす調整材32を設けてもよい。この調整材32によりレール45の撓みが抑制され、列車荷重によりまくら木本体11に生じる圧縮力や引張り力を抑制できる。つまり、連結部材12に生じる撓みをより軽減できる。
さらに、連結補強材40及び下部側まくら木片23の底面全体には、ゴムなどの弾性材33を設ける構成であってもよい。これにより、バラストとの摩擦が大きくなり、まくら木1〜6の横ずれ等を防止することができる。
なお、弾性材33は、下部側まくら木片23あるいは連結補強材40の底面の一部であっても構わない。
【0071】
また、上記した実施形態のまくら木1〜6のまくら木本体11同士の間に位置する連結部材12の表面の全部あるいは一部に繊維強化樹脂(FRP)の層を設けてもよい。このような構成とすることで、連結部材12の強度がさらに高まり、列車荷重などの影響をより受け難くする。
【0072】
また、連結補強材39,40、層補強材37,38及び側面補強材51の補強部材に短繊維を含む圧縮成形樹脂板を用いることが推奨される。特には、連結補強材39,40に用いることが好ましい。これにより、耐摩耗性が向上し、タイプレートやバラストによる摩擦を防止できる。なお、短繊維とは、繊維長さが0.02mm〜3mmの繊維くずであり、代表的なものにガラス繊維,炭素繊維などがある。
【0073】
上記した実施形態では、連結部材12を芯層部材25を中心として、鏡像の関係とした構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、芯層部材25の上部には、第1実施形態で示したように層補強材37と連結補強材39を積層し、あるいは第6実施形態で示したように層補強材37を用いず、芯層部材25を凸形状とし、芯層部材25の下部には、第3実施形態で示したように凸形状の連結補強材40を積層するような鏡像の関係としない構成を有していても構わない。
【0074】
上記した実施形態では、2組のまくら木本体11を連結する構成を示したが、本発明はこの構成に限られるわけではない。
例えば、3組以上のまくら木本体11を連結部材12を用いて連結する構成であっても構わない。その場合、連結部材12を長くすることが好ましい。
【0075】
上記した実施形態では、図1に示すように、連結部材12の長尺方向端部がまくら木本体11の側面と同一平面にした構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。
連結部材12の長尺方向端部の片方あるいは両方が、まくら木本体11の側面から一定長さ突出していても構わない。これにより、連結したまくら木は、道床への接地面積が大きくなるため、列車荷重をより分散し、まくら木の耐久性を高めることができる。
【0076】
上記した実施形態では、芯層部材22の上下に補強部材を設ける構成を示したが、本発明にこれに限定されるわけではなく、補強部材を設けず芯層部材22のみでまくら木本体11を連結した構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3,4,5,6 まくら木
11 まくら木本体
12 連結部材
13 凹部
14 まくら木小片
21 上部側まくら木片
22 中間層
23 下部側まくら木片
25 芯層部材
37,38 層補強材(補強部材)
39,40 連結補強材(補強部材)
51 側面補強材(補強部材)
【技術分野】
【0001】
本発明はレールの下側に配置されるまくら木に関するものである。特に本発明は、複数のまくら木(まくら木本体)が連結された構造のまくら木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まくら木は、従来から木製あるいはコンクリート製のものが多く、平行に並ぶ2本のレールの下に一定の間隔ごとに敷設されるものである。詳しくは、まくら木はレールの軌間よりも長い長尺状であり、その長尺方向をレールに対して垂直に配置させている。そして、列車が通過する際に、レールに伝わる列車の振動や列車荷重をこのまくら木により分散させる。近年、繊維強化硬質樹脂発泡体を素材とした合成木材で製された合成まくら木が開発されている。
【0003】
ところで、まくら木におけるレールの継ぎ目部や分岐部では、列車の通過の際に、列車の振動や列車荷重を受けやすいことが知られている。これにより、レール継ぎ目部や分岐部を支持するまくら木においては、摩擦による摩耗で凹みが生じることがある。さらに、レールの継ぎ目部等では、一般のレール部と比較して曲げ剛性が低いため、列車荷重がより大きく影響してまくら木底面のバラストの圧密化が起こり易い。そのため軌道沈下が生じたり、ときにはまくら木が横ずれを起こすといった所謂「あおり現象」が発生しやすい。
【0004】
この問題の解決策として、従来から、まくら木の両端部にL型の鋼材等を用いてレール方向前後のまくら木を連結して一体化することで、列車の振動や列車荷重の分散を図る策が取られてきた。
【0005】
また特許文献1には、まくら木のレールが配される部位を樹脂等の合成材により連結して一体化した製品を工場で製作し、それを現場に搬入して敷設する発明が開示されている。
さらに、特許文献2には、まくら木同士を連結する連結部材を工場で製作し、現場に搬入してまくら木同士を容易に連結する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3569108号公報
【特許文献2】特開2005−9119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明は、まくら木にレールが配される位置に溝を設け、上面連結材,中間連結材,下面連結材を積層した断面形状がH型の連結部材がまくら木の溝に嵌め込まれた、まくら木同士を連結一体化させた構成である。つまり、上下層の連結部材と中間連結部材によって複数のまくら木を挟み込み、接着剤により固定する構成である。これにより複数のまくら木を一体化することができるため、列車による上下動に対する抗力を高めることができる。
【0008】
また、まくら木本体と連結部材との接合の更なる強度アップのためには、上記連結部材の中間部ないし外側部分に複数のまくら木を連結する上面連結材及び下面連結材を追加して取り付けた構造とすることにより、列車荷重に対して変形を抑えることができる。
【0009】
しかしながら鉄道関係者の間からは、さらに強度の強いまくら木の開発が望まれている。即ち従来技術のまくら木(連結構造のまくら木)は、強度の点で不満があった。要するに、特許文献1に記載のまくら木(連結構造のまくら木)によると、連結部材は、まくら木(まくら木本体)の上下の面から挟み込む構造であるため、列車荷重により繰り返し生じる圧縮力や引張り力により連結部材が撓みやすく、結果として接着面が剥がれ易い欠点があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の発明は、複数のまくら木を上面連結材と下面連結材で連結し、まくら木間には中間連結材が配置された構造である。そして、これらの上下面連結材は、まくら木表面と同一の平面(面一)となるように、まくら木に溝加工を施して取り付けられている。
この連結部材は、施工現場では断面形状がH型であり、上下面連結材の間に中間連結材が配置された構成である。要するに、予め工場で連結部材を加工している。そして、まくら木を敷設する現場で、この連結部材をまくら木の上下面の溝加工した部分に差し込んで一体化する。このとき、溝あるいは連結部材の接合部には接着剤を塗布する。これにより特許文献1と同様に複数のまくら木を一体化することができるため、列車による上下動に対する抗力を高めることができる。
しかし、特許文献2に記載された発明は、連結部材をまくら木の溝に差し込む構成であるため、差し込みの際に接着剤の殆どが除去されて、接着強度が不十分となる問題があった。
【0011】
このため、接合部の接着が剥がれてまくら木と連結材の一体化が崩壊してしまう、所謂「剥離現象」が起こる場合がある。つまり、特許文献1及び2に記載の発明では、まくら木の凹みや「あおり現象」等を十分に防止することができなかった。
【0012】
そこで本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、まくら木本体と連結部材との接合部を強化し、連結部材に生じる撓みによりまくら木本体と連結部材との一体化の崩壊を生じさせないまくら木を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結したまくら木において、連結部材は芯層部材と当該芯層部材を補強する補強部材とを有し、当該連結部材の芯層部材は、複数のまくら木本体に渡って配置され、前記まくら木本体は、中間層と上部側まくら木片と下部側まくら木片とを有し、上部側まくら木片は、前記中間層の上部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、下部側まくら木片は、前記中間層の下部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、まくら木本体の中間層は前記芯層部材の端部と複数のまくら木小片によって構成され、前記補強部材の少なくとも一つは、複数のまくら木本体に渡って配置され、上部側まくら木片又は下部側まくら木片の少なくともいずれかには幅方向に連通した凹部が形成され、当該凹部に補強部材の端部が嵌入されたことを特徴とするまくら木。
まくら木本体の幅方向とは、レールの延びている方向を指す。
【0014】
本発明におけるまくら木は、複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結するものであり、井桁状を形成させることが望ましい。
本発明におけるまくら木では、まくら木本体は、中間層とその層を挟む上下層により構成されている。そして、連結部材は芯層部材を有し、複数のまくら木本体に渡って配置されている。
またまくら木本体の中間層は、芯層部材の端部と複数のまくら木本体小片によって構成されている。要するに、まくら木本体及び連結部材を層状にすることで加工が容易になり、まくら木本体の内部と連結部材との一体化を容易且つ確実に図ることができる。また層状に部材を組み立てて連結する構成であるため、接着剤による接着強度も十分に確保できる。そのため、効率的にまくら木本体と連結部材の一体性を高めることができる。これにより、まくら木本体と連結部材との接合部の強度アップが図れるため、列車による振動や列車荷重により生じる曲げ応力や剪断力の影響による連結部材の撓みを軽減できる。言い換えると、まくら木本体と連結部材の連結構造の崩壊を阻止できる。
つまり、列車の通過による振動や列車荷重の影響を受けやすいレール継ぎ目部や分岐部であっても、まくら木の連結状態は維持される。これにより、まくら木に伝わる列車荷重が分散され、まくら木の下面に敷かれたバラストの圧密化を防止できる。その結果、軌道の沈下やまくら木の横ずれ等の「あおり現象」の発生を抑制できる。
また、上部側あるいは下部側まくら木片の少なくともどちらか一方に幅方向の凹部が設けられ、その凹部には補強部材の端部が嵌め込まれている。そのため、道床厚が十分に確保できない場合でも、本発明のまくら木であれば厚みを小さくすることができる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記補強部材は少なくとも芯層部材の中間部に設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0016】
請求項2のまくら木は、芯層部材を補強する補強部材が少なくとも芯層部材の中間部に設けられているため、連結部材に生じる撓みをより軽減できる。これにより、まくら木本体同士の間に位置する連結部材の断面係数を大きくすることができる。要するに、連結部材の断面二次モーメントが大きくなるため、曲げ強度を高めることができる。言い換えると、連結部材に生じる撓みを軽減でき、まくら木本体と連結部材の接合部に生じる負担をより軽減することが可能となる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、補強部材は、複数のまくら木本体に渡って配置されていることを特徴とするまくら木である。
【0018】
請求項3のまくら木は、補強部材が中間層と同様に複数のまくら木本体に渡って配置されているため、まくら木本体と連結部材との連結がより強固なものとなる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、上部側まくら木片又は下部側まくら木片の表面と補強部材の表面が略同一平面を形成していることを特徴とするまくら木である。
【0020】
請求項4のまくら木は、まくら木本体とその凹部に嵌め込まれた補強部材の表面は、略同一平面、所謂面一にされているため、既設のまくら木を撤去して敷設する様な、まくら木の維持管理作業の場合でも高度なレベル調整を必要としない。つまり、まくら木の取り替え作業に大幅な時間を必要としないため、夜間などの限られた時間の中での作業に適している。
【0021】
請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれかの発明において、補強部材は、芯層部材の側面に設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0022】
請求項5のまくら木は、芯層部材の側面の片側あるいは両側に補強部材が設けられているため、連結部材の撓みに対する抵抗をより強化できる。それにより、接合部の強度をさらに図ることができるため、列車荷重などの影響をより受け難くなる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、まくら木本体及び連結部材には、積層方向あるいは積層方向と直行する方向に固定ピンが打ち込まれていることを特徴とするまくら木である。
【0024】
請求項6のまくら木は、まくら木本体及び連結部材を接着剤だけでなく、積層方向あるいは積層方向と直行する方向に固定ピンを打ち込んだ接合方法であるため、まくら木本体と連結部材の接合強度が高く、予期せぬ大きな外力が発生した場合であっても、まくら木の連結が崩壊することを防止することができる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項2乃至6のいずれかの発明において、下部側まくら木片の底面又は/及び下部側に配された補強部材の底面の一部あるいは全部に弾性材が設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0026】
請求項7のまくら木は、下部側のまくら木本体あるいは補強部材の底面の一部あるいは全部に弾性材が設けられているため、バラストに対する大きな摩擦抵抗を有する構成である。そのため、列車の振動や列車荷重によるまくら木の横滑りなどの「あおり現象」をさらに起こりにくくすることができる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項2乃至7のいずれかの発明において、補強部材は、間隔を調整可能な調整材を備え、レールの底面と上部側の補強部材の表面との間に設けられていることを特徴とするまくら木である。
【0028】
請求項8のまくら木は、調整材を備えているため、レール底部と上部側の補強部材の表面との隙間をなくすことができる。
つまり前記隙間が有ると、レールが列車荷重により撓むことが考えられる。そして、その撓みにより、まくら木に圧縮力と引張り力を繰り返し生じさせるため、まくら木本体と連結部材の接合部などに過度の負担を与えて連結を崩壊させる懸念が生じる。しかしながら、本発明であればレール下の間隔を無くすことができるので、接合部などに生じる過度の負担を防止でき、連結の崩壊を防止することができる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの発明において、まくら木本体及び連結部材は、長手方向に配向する繊維強化樹脂で構成された樹脂板によって作られたものであることを特徴とするまくら木である。
【0030】
請求項9のまくら木は、本体部材及び連結部材が長手方向に配向する繊維強化樹脂で構成された長尺板であるため、列車荷重により生じる圧縮力や引張り力の影響で部材自体が座屈して破壊される心配が無い。
【0031】
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかの発明において、前記補強部材は、短繊維を含有する樹脂で構成された樹脂板であること特徴とするまくら木である。
【0032】
請求項10のまくら木は、補強部材が環境を配慮した短繊維(再生利用されるガラス繊維、炭素繊維など)を含有させた樹脂板であるため、生産コストを抑えると共に一定の強度も得ることができる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかの発明において、まくら木本体の間に位置する連結部材の表面の一部あるいは全部にFRP層が積層されていることを特徴とするまくら木である。
【0034】
請求項11のまくら木は、FRP層が積層されているため、連結部材の強度をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のまくら木は、まくら木本体を積層構造とし、中間層においてまくら木本体と連結部材とが結合された構成とすることで、まくら木本体と連結部材の強度を高めることができ、列車の振動や列車荷重の影響を小さくできる。これにより連結部材に引き起こる撓み現象によるまくら木本体と連結部材の一体構成が崩壊することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態のまくら木を示す斜視図である。
【図2】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第1段階)
【図3】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第2段階)
【図4】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第3段階)
【図5】図1のまくら木を示す分解斜視図である。(第4段階)
【図6】図1のまくら木を示す(a)A−A断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図7】第2実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図8】第3実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図9】第4実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図10】第5実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
【図11】調整材及び弾性材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に本発明の実施形態であるまくら木1について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のまくら木の斜視図である。図2〜5は、本発明の第1実施形態のまくら木の組み立て段階毎の分解斜視図である。図6は、図1に示すまくら木の(a)A−A断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。図7〜10は、本発明の第2〜6実施形態のまくら木を示す(a)断面図、(b)側面図及び(c)平面図である。
まくら木は、列車が通過するレールの下に敷設され、列車の振動や列車荷重を分散できるものである。まず、本発明の第1の実施形態のまくら木1の構成について説明する。
【0038】
本実施形態のまくら木1は、図1に示すように、2組のまくら木本体11とそれらを連結させる2組の連結部材12とで構成されたものである。まくら木本体11及び連結部材12は、長尺方向に配向する繊維強化樹脂で構成された樹脂板により作られたものである。そして、連結部材12はまくら木本体11と接着剤(図示しない)及び固定ピン31により接合されているものである。
【0039】
まくら木本体11は、長尺状の板部材と板部材の小片が3層に積層された構造で、上部側まくら木片21と下部側まくら木片23とその両者に挟まれた中間層22を有している。
上部側まくら木片21は、図4に示すように、一方の表面(上面側)に溝状の2個の凹部13と、まくら木本体11の厚み方向に貫通したピン挿通孔34,35が形成されている。なおピン挿通孔34,35は、まくら木1が組み立てられた後に、ドリルで各部材を貫通させて設けられるものであり、各部材を組み立てる際にはピン挿通孔34,35は無い。後述するピン挿通孔についても同様である。
【0040】
凹部13は、まくら木本体11の長尺方向と略直角方向に設けられており、図4,図6に示すように、後述する連結部材12が嵌り込むものである。また、各凹部13の底面には2個ずつのピン挿通孔35が形成されている。また、ピン挿通孔34は、まくら木本体11の両端部側に2個ずつと凹部13に挟まれた面に2個設けられている。なお、ピン挿通孔34,35は、固定ピン31が挿通され、まくら木本体11と連結部材12とを接合するものであり、前記した様に各部材を組み立てられた後に、ドリルで各部材を貫通させて設けられるものであり、各部材を組み立てる際にはピン挿通孔34,35は無い。
【0041】
下部側まくら木片23は、上記した上部側まくら木片21と略同じ構成を有しており、図2に示すように、凹部13がまくら木本体11の底面側に配される。要するに、下部側まくら木片23の凹部13は、上部まくら木片21の凹部13と積層面に対して鏡像の関係を有する。またピン挿通孔34,35は、上部側まくら木片21のそれと連通するように設けられている。
【0042】
また、中間層22は、上部側まくら木片21と下部側まくら木片23の両者に挟まれる配置であり、図3に示すように、まくら木本体11の長尺方向に連続しない複数の略長方形状のまくら木小片14によって構成されている。
まくら木小片14は、2個の端部小片27,28と中間小片29とを有しており、それぞれが切り離された構成である。
【0043】
つまり、端部小片27,28と中間小片29を連続して並べると上部側まくら木片21等より短い。要するに、端部小片27,28と中間小片29は、それぞれが短い小片である。詳しくは、端部小片27,28は、上部側まくら木片21及び下部側まくら木片23の端部側に配され、その端部から水平方向に上下層に形成された凹部13に至る程度の長さである。また、端部小片27,28は、上下層が有するピン挿通孔34と同様の孔が形成されており、それぞれが連通する。
【0044】
中間小片29は、上下層のまくら木片21,23に形成された凹部13同士に挟まれた位置に配されている。つまり、中間小片29の長さは、まくら木本体11の長尺方向長さから、端部小片27,28の長さと上部側まくら木片21あるいは下部側まくら木片23の凹部13の長さを除いた程度の長さである。
要するに、中間層22が実質的に有する長尺方向長さは、まくら木本体11の長さより短い。そのため、端部小片27,28と中間小片29は、凹部13の長さ程度の間隔を設けて配することで、中間層22の全体長さがまくら木本体11と一致する。なおこの間隔は嵌合空間15であり、後述する連結部材12が狭着されるものである。
また、中間小片29にも上下層に連通するピン挿通孔34が形成されている。
【0045】
連結部材12は、図5,6に示すように、長尺状の板部材及び板部材の小片が5層に積層された構造で、まくら木本体11の中間層22の嵌合空間15に狭着される芯層部材25と、その上下に積層される層補強材(補強部材)37,38及び連結補強材(補強部材)39,40、並びに側面補強材(補強部材)51を有している。
【0046】
芯層部材25は、図3に示すように、長尺状の板部材であり、まくら木本体11の中間層22と同程度の厚みである。また、芯層部材25は厚み方向に貫通したピン挿通孔35,36が形成されている。詳しくは、端部側にそれぞれ2個ずつのピン挿通孔35と、中間近傍に4個のピン挿通孔36が形成されている。また、端部に位置するピン挿通孔35はまくら木本体11の上下層の凹部13に形成されたピン挿通孔35と連通するように配置されている。なおピン挿通孔36は、固定ピン31が挿通され、まくら木本体11同士の間に位置する連結部材12を積層方向に接合するものである。
【0047】
連結補強材39,40は、図2,4に示すように、芯層部材25と同様に長尺状の板部材であるが、芯層部材25よりも厚みが薄くされている。要するに、連結補強材39,40は、上記した上部側まくら木片21あるいは下部側まくら木片23に形成された凹部13に嵌め込まれるため、その凹部13の凹み深さ程度の厚みを有している。
また、連結補強材39,40は、ピン挿通孔35,36が形成されており、上記した芯層部材25と略同位置に有する。要するに、芯層部材25と連結補強材39,40のピン挿通孔35,36はそれぞれ連通する配置である。
【0048】
層補強材37,38は、図2,4に示すように、芯層部材25と連結補強材39,40を積層した際に形成される空間に配置される。要するに、層補強材37,38は、まくら木本体11同士の間隔程度の長さで、その厚みは上部側あるいは下部側まくら木片21,23の厚みから凹部13の凹み深さを除いた程度である。
【0049】
また、層補強材37,38には、4個のピン挿通孔36が形成されており、上下に位置する連結補強材39,40のピン挿通孔36と連通して配されている。さらに層補強材37,38の側面には、ピン挿通孔41が形成されており、固定ピン52を挿通して後述する側面補強材51を取り付ける構成である。
【0050】
側面補強材51は、図1に示すように、板部材の小片で、連結部材12の積層高さ及びまくら木本体11同士の間隔程度の幅を有している。また側面補強材51は、積層された連結部材12の側面に設けられており、4個のピン挿通孔41が厚み方向に貫通するように形成されている。つまり、上記した層補強材37,38の側面に形成されたピン挿通孔41と連通して配されている。
【0051】
次に本発明である実施形態1におけるまくら木1の各部材間の組み合わせ構成について図面を用いて説明する。
【0052】
実施形態1のまくら木1は、図1に示すように、2組のまくら木本体11が2組の連結部材12と接合されて井桁状を形成して一体化した構成である。
まくら木1の底部側から詳しく説明すると、図2に示すように、2枚の下部側まくら木片23が一定の間隔を空けて平行に並んでおり、底面側に凹部13が向くように配されている。そして、その下部側まくら木片23の長尺方向と直角を成すように連結補強材40が2枚の下部側まくら木片23に渡って配置されている。このとき、平行に並んだそれぞれの凹部13には、図6に示すように、連結補強材40の両端部が嵌り込んでおり、下部側まくら木片23と連結補強材40のピン挿通孔35が連通している。
【0053】
そして、図3に示すように、各連結補強材40の上面側で、下部側まくら木片23同士の間には、層補強材38が配されている。このとき、図6に示すように、層補強材38は下部側まくら木片23同士の間に嵌り込み、層補強材38と下部側まくら木片23の上面とは略同一平面、所謂面一の状態である。そして、層補強材38と連結補強材40のピン挿通孔36が連通している。
【0054】
図4に示すように、各下部側まくら木片23の上面側には中間層22と芯層部材25が配されている。つまり、上述したように中間層22は端部小片27,28と中間小片29により構成されており、端部小片27,28と中間小片29との間には下部側あるいは上部側まくら木片23,21と同程度の長さを有した嵌合空間15が設けられている。そのため、図6に示すように、その嵌合空間15に芯層部材25の両端部が嵌り込むことで中間層22が密状態となり、2組のまくら木本体11を連結する構成としている。このとき、中間層22と下部側まくら木片23のピン挿通孔34、並びに芯層部材25と下部側まくら木片23のピン挿通孔35、及び芯層部材25と層補強材38のピン挿通孔41はそれぞれ連通している。
【0055】
そして、図5に示すように、各中間層22の上面側には、上部側まくら木片21がそれぞれ配され、上方に凹部13が向けられて配されている。
また、図5に示すように、各芯層部材25の上面側には層補強材37が配されている。要するに、図6に示す層補強材37は、上記した層補強材38と同様に、まくら木本体11同士に挟まれており、上面側まくら木片21の凹部13の底面と同一平面を形成している。さらに、平行に並んだ上面側まくら木片21の凹部13の底面と層補強材37の上面に渡って連結補強材39が配されている。つまり、連結補強材39の両端部は、各上部側まくら木片21の凹部13に嵌合されている。このとき、上部側まくら木片21と連結補強材39と芯層部材25のピン挿通孔35、及び上部側まくら木片21と中間層22のピン挿通孔34、並びに連結補強材39と層補強材37と芯層部材25のピン挿通孔36は連通している。
【0056】
また、図5に示すように、まくら木本体11が3層に積層され、連結部材12が5層に積層された状態においては、ピン挿通孔34,35,36がそれぞれ連通しており、孔は上下に貫通した状態である。つまり、接着剤に加えて、それぞれの孔に固定ピン31を挿通することで、まくら木本体11及び連結部材12の結合力が強化される。これにより、まくら木本体11と連結部材12との連結状態が崩壊することを阻止することができる。
【0057】
また、図1,5に示すように、積層された各連結部材12の両側面には、側面補強材(補強部材)51が設けられている。つまり、まくら木本体11同士に挟まれ、層補強材37,38に形成されたピン挿通孔41と側面補強材51のピン挿通孔41とを連通させて固定ピン52を挿通して固定している。これにより、連結部材12の強度が高まり、列車荷重による撓み等を軽減できる。なお、固定ピン52の長さは、固定ピン31の長さよりも短い。
【0058】
上記した構成であるため、第1実施形態に示したまくら木1は、従来のように列車の振動や列車荷重によりまくら木本体11と連結部材12の一体化が崩壊することを防止することができる。つまり、本発明のまくら木1は、まくら木本体11及び連結部材12を層状に積層しており、平行して並ぶまくら木本体11の各層毎に長尺状の連結部材12が井桁状に渡るように配し、2組のまくら木本体11を一体化する構成としている。
【0059】
要するに、まくら木本体11は、外部だけでなく内部においても連結部材12によって連結された構造となり、従来技術と比較すると、まくら木本体11と連結部材12はより強固に接合されている。また、まくら木本体11と連結部材12との接合は、接着剤に加えて固定ピン31により接合しているため、列車荷重などにより連結部材12に生じる圧縮力や引張り力で連結部材12が撓み、接合面の「剥離現象」が生じることを防止できる。さらに、連結部材12の側面で、まくら木本体11同士の間には側面補強材51が設けられているため、まくら木1全体の一体性が増し、列車荷重などの影響をより受け難くなる。
【0060】
この結果、列車荷重によりまくら木1に発生する圧縮力や引張り力の影響により、まくら木本体11と連結部材12との連結状態が崩壊することを阻止することができる。
これにより、第1実施形態のまくら木1は、まくら木本体11と連結部材12との連結状態は維持され、まくら木1が有する本来の機能を発揮できる。要するに、レールから伝わる列車の振動や列車荷重を分散することができるため、まくら木1の下面に敷かれたバラストの圧密化を防止できる。その結果、軌道の沈下やまくら木1の横滑り等を防ぐことができる。つまり、本発明のまくら木1は、レールの継ぎ目部や分岐部の列車荷重などの影響を受けやすい箇所にも適応可能である。
【0061】
上記した第1実施形態のまくら木1では、上部側まくら木片21及び下部側まくら木片23に凹部13を形成し、連結部材12である連結補強材39,40を凹部13に嵌合させて連結した構成を示した。要するに、この構成であれば、連結部材12によりまくら木本体11を連結させた構造であってもまくら木本体11の厚み程度の深さがあれば敷設可能である。つまり、道床厚が十分確保できない条件下でもまくら木1を敷設できる。
【0062】
しかし、第1実施形態のまくら木1は、まくら木本体1に形成した凹部13の厚み分だけまくら木本体11の断面係数が減少する。そこで、図7に示されるような、第2実施形態のまくら木2のように、下部側まくら木片23に凹部13を形成しない構成とすることで、まくら木本体11の断面係数を減少させない構成とした。
【0063】
詳しくは、まくら木2では、下部側まくら木片23の凹部13を無くして下部側まくら木片23の厚みを確保し、その下部側まくら木片23とその下部側まくら木片23同士に挟まれた層補強材38の底面に連結補強材40を貼り付けるような構成である。この構成により、第1実施形態と比較すると、まくら木本体11の断面係数を大きくすることができ、まくら木2の曲げ剛性を強化することができる。
【0064】
また、第3実施形態のまくら木3は、図8に示すように、層補強材37,38を用いず、連結部補強材39,40の中央部を凸形状としている。また上記した第1実施形態の構成と同様に、上部側及び下部側まくら木片21,23に凹部13を形成した構成としている。要するに、層補強材37,38の分だけ部材点数が少なくされているため、部材管理が軽減され、作業効率も高くなる。
【0065】
第4実施形態のまくら木4は、図9に示すように第2及び第3実施形態の構成を併せ持っており、部材点数を少なくでき、まくら木本体11の断面係数も確保できる構成である。要するに、図9に示すように、まくら木4は層補強材37,38が用いられておらず、下部側まくら木片23に凹部13が形成されていない。つまり、凸形状の連結補強材40の両端部は、凹部13に嵌合されずに下部側まくら木片23の底面に貼り付いたような構成である。このような構成とすることで、まくら木4の製作作業効率は上がるうえ、まくら木本体11の曲げ剛性を強化することができる。
【0066】
前記した各まくら木1〜4は、いずれも上部側まくら木片21に溝状の凹部13を有し、当該凹部13は、上部側まくら木片21の幅方向に連通するものである。即ち凹部13は、上部側まくら木片21の全幅に渡る長さを持つ。
また、第5実施形態のまくら木5は、層補強材37,38が用いられておらず、連結補強材39,40が凸形状を有している。
【0067】
前記したまくら木1〜5は、いずれも連結部材12の芯層部材25が長尺状の板部材であり、まくら木本体11の中間層22と同程度の厚みを有するものであった。しかしながら、本発明は芯層部材25が長尺上の板部材を用いた構成に限られるわけではない。例えば、芯層部材25はまくら木本体11同士に挟まれた部位の厚みが、まくら木本体11の中間層22の厚みより大きいものであってもよい。
【0068】
即ち第5実施形態のまくら木6は、図10に示すように、まくら木1〜5と同様に芯層部材25がまくら木本体11の全幅に渡って接合されており、その芯層部材25のまくら木本体11に挟まれた部位は上下に配された連結補強材39,40が積層された構成である。詳しく説明すると、第6実施形態のまくら木6は、上述した第3実施形態と略同じ構成であり、層補強材37,38を用いていない構成である。即ち、第3実施形態のまくら木3は連結補強材39,40に凸形状を設け、芯層部材25との層間隔を埋めていたが、第6実施形態のまくら木6は芯層部材25の上下面に凸形状を設けた構成としている。要するに、芯層部材25に凸形状を設ける構成とすることで、まくら木本体11同士で挟まれた部位が積層方向に密状態となり第3実施形態と略同じ効果を得ることができる。
また、第6実施形態のまくら木6は、連結補強材39,40を第1実施形態に示したように長尺状の板部材とし、当該連結部材39,40の端部を上部側及び下部側まくら木片21,23の凹部13に配した構成である。
つまり、本実施形態であれば部材点数を少なくできるため生産の作業効率を高めることができる。さらに、まくら木本体11と連結部材12との一体性も確保でき、列車荷重により、まくら木6に繰り返し曲げ応力が生じても連結状態が崩壊することを阻止できる。
【0069】
前記した第5実施形態に示したまくら木6の芯層部材25の構成は、第4実施形態及び第5実施形態のまくら木4,5に用いた構成としてもよい。その場合、第6実施形態のまくら木6と同様に、連結補強材39あるいは40を長尺状の板部材とすることが好ましい。要するに、芯層部材25の端部側がまくら木本体11の中間層22の厚みと略同程度で、芯層部材25の中間部、つまり連結補強材39,40に挟まれる部位の厚みが中間層22の厚み以上、且つ積層する連結補強材39,40と密状態であればよい。
【0070】
また上記したまくら木1〜6には、図11に示すように、連結補強材39の表面にレール45の底面との間隔をなくす調整材32を設けてもよい。この調整材32によりレール45の撓みが抑制され、列車荷重によりまくら木本体11に生じる圧縮力や引張り力を抑制できる。つまり、連結部材12に生じる撓みをより軽減できる。
さらに、連結補強材40及び下部側まくら木片23の底面全体には、ゴムなどの弾性材33を設ける構成であってもよい。これにより、バラストとの摩擦が大きくなり、まくら木1〜6の横ずれ等を防止することができる。
なお、弾性材33は、下部側まくら木片23あるいは連結補強材40の底面の一部であっても構わない。
【0071】
また、上記した実施形態のまくら木1〜6のまくら木本体11同士の間に位置する連結部材12の表面の全部あるいは一部に繊維強化樹脂(FRP)の層を設けてもよい。このような構成とすることで、連結部材12の強度がさらに高まり、列車荷重などの影響をより受け難くする。
【0072】
また、連結補強材39,40、層補強材37,38及び側面補強材51の補強部材に短繊維を含む圧縮成形樹脂板を用いることが推奨される。特には、連結補強材39,40に用いることが好ましい。これにより、耐摩耗性が向上し、タイプレートやバラストによる摩擦を防止できる。なお、短繊維とは、繊維長さが0.02mm〜3mmの繊維くずであり、代表的なものにガラス繊維,炭素繊維などがある。
【0073】
上記した実施形態では、連結部材12を芯層部材25を中心として、鏡像の関係とした構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、芯層部材25の上部には、第1実施形態で示したように層補強材37と連結補強材39を積層し、あるいは第6実施形態で示したように層補強材37を用いず、芯層部材25を凸形状とし、芯層部材25の下部には、第3実施形態で示したように凸形状の連結補強材40を積層するような鏡像の関係としない構成を有していても構わない。
【0074】
上記した実施形態では、2組のまくら木本体11を連結する構成を示したが、本発明はこの構成に限られるわけではない。
例えば、3組以上のまくら木本体11を連結部材12を用いて連結する構成であっても構わない。その場合、連結部材12を長くすることが好ましい。
【0075】
上記した実施形態では、図1に示すように、連結部材12の長尺方向端部がまくら木本体11の側面と同一平面にした構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。
連結部材12の長尺方向端部の片方あるいは両方が、まくら木本体11の側面から一定長さ突出していても構わない。これにより、連結したまくら木は、道床への接地面積が大きくなるため、列車荷重をより分散し、まくら木の耐久性を高めることができる。
【0076】
上記した実施形態では、芯層部材22の上下に補強部材を設ける構成を示したが、本発明にこれに限定されるわけではなく、補強部材を設けず芯層部材22のみでまくら木本体11を連結した構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3,4,5,6 まくら木
11 まくら木本体
12 連結部材
13 凹部
14 まくら木小片
21 上部側まくら木片
22 中間層
23 下部側まくら木片
25 芯層部材
37,38 層補強材(補強部材)
39,40 連結補強材(補強部材)
51 側面補強材(補強部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結したまくら木において、
連結部材は芯層部材と当該芯層部材を補強する補強部材とを有し、当該連結部材の芯層部材は、複数のまくら木本体に渡って配置され、
前記まくら木本体は、中間層と上部側まくら木片と下部側まくら木片とを有し、
上部側まくら木片は、前記中間層の上部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、
下部側まくら木片は、前記中間層の下部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、
まくら木本体の中間層は前記芯層部材の端部と複数のまくら木小片によって構成され、
前記補強部材の少なくとも一つは、複数のまくら木本体に渡って配置され、上部側まくら木片又は下部側まくら木片の少なくともいずれかには幅方向に連通した凹部が形成され、当該凹部に補強部材の端部が嵌入されたことを特徴とするまくら木。
【請求項2】
前記補強部材は少なくとも芯層部材の中間部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のまくら木。
【請求項3】
補強部材は、複数のまくら木本体に渡って配置されていることを特徴とする請求項2に記載のまくら木。
【請求項4】
上部側まくら木片又は下部側まくら木片の表面と補強部材の表面が略同一平面を形成していることを特徴とする請求項2に記載のまくら木。
【請求項5】
補強部材は、芯層部材の側面に設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のまくら木。
【請求項6】
まくら木本体及び連結部材には、積層方向あるいは積層方向と直行する方向に固定ピンが打ち込まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のまくら木。
【請求項7】
下部側まくら木片の底面又は/及び下部側に配された補強部材の底面の一部あるいは全部に弾性材が設けられていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載のまくら木。
【請求項8】
補強部材は、間隔を調整可能な調整材を備え、
レールの底面と上部側の補強部材の表面との間に設けられていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のまくら木。
【請求項9】
まくら木本体及び連結部材は、長手方向に配向する繊維強化樹脂で構成された樹脂板によって作られたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のまくら木。
【請求項10】
前記補強部材は、短繊維を含有する樹脂で構成された樹脂板であること特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載のまくら木。
【請求項11】
まくら木本体の間に位置する連結部材の表面の一部あるいは全部にFRP層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のまくら木。
【請求項1】
複数のまくら木本体を連結部材で平行状態に連結したまくら木において、
連結部材は芯層部材と当該芯層部材を補強する補強部材とを有し、当該連結部材の芯層部材は、複数のまくら木本体に渡って配置され、
前記まくら木本体は、中間層と上部側まくら木片と下部側まくら木片とを有し、
上部側まくら木片は、前記中間層の上部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、
下部側まくら木片は、前記中間層の下部側に配置され、まくら木本体の全長に渡る長さを有し、
まくら木本体の中間層は前記芯層部材の端部と複数のまくら木小片によって構成され、
前記補強部材の少なくとも一つは、複数のまくら木本体に渡って配置され、上部側まくら木片又は下部側まくら木片の少なくともいずれかには幅方向に連通した凹部が形成され、当該凹部に補強部材の端部が嵌入されたことを特徴とするまくら木。
【請求項2】
前記補強部材は少なくとも芯層部材の中間部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のまくら木。
【請求項3】
補強部材は、複数のまくら木本体に渡って配置されていることを特徴とする請求項2に記載のまくら木。
【請求項4】
上部側まくら木片又は下部側まくら木片の表面と補強部材の表面が略同一平面を形成していることを特徴とする請求項2に記載のまくら木。
【請求項5】
補強部材は、芯層部材の側面に設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のまくら木。
【請求項6】
まくら木本体及び連結部材には、積層方向あるいは積層方向と直行する方向に固定ピンが打ち込まれていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のまくら木。
【請求項7】
下部側まくら木片の底面又は/及び下部側に配された補強部材の底面の一部あるいは全部に弾性材が設けられていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載のまくら木。
【請求項8】
補強部材は、間隔を調整可能な調整材を備え、
レールの底面と上部側の補強部材の表面との間に設けられていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のまくら木。
【請求項9】
まくら木本体及び連結部材は、長手方向に配向する繊維強化樹脂で構成された樹脂板によって作られたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のまくら木。
【請求項10】
前記補強部材は、短繊維を含有する樹脂で構成された樹脂板であること特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載のまくら木。
【請求項11】
まくら木本体の間に位置する連結部材の表面の一部あるいは全部にFRP層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のまくら木。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−189870(P2010−189870A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33021(P2009−33021)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
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