まな板
【課題】 包丁を研ぐ際に利用できるとともに、包丁を研いでも汚れないまな板を提供する。
【解決手段】 着脱可能なカバー12をまな板本体2に対して緊密に被着させ、その外面に砥石ホルダとしての面ファスナ18を設ける。砥石20を面ファスナ18により保持すれば、シンク10に架け渡したカバー付きまな板1の上で包丁22を研ぐことができる。
【解決手段】 着脱可能なカバー12をまな板本体2に対して緊密に被着させ、その外面に砥石ホルダとしての面ファスナ18を設ける。砥石20を面ファスナ18により保持すれば、シンク10に架け渡したカバー付きまな板1の上で包丁22を研ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板に関する。
【背景技術】
【0002】
流し台で包丁を研ぐ際、砥石を流し台のステンレス板に直接載せて包丁を研ぐと、砥石が不安定で動きやすく、また、ステンレス板に傷が付く。そこで、ちょうど都合の良い広さと厚さと柔らかさとを有している木製又は合成樹脂製のまな板を利用し、その上に砥石を置いて包丁を研ぐのが便利である。一方、包丁を研ぐ砥石を、まな板に組み込んで一体化した構造も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3045133号公報(図1)
【特許文献2】登録実用新案第3091763号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、まな板の上に砥石を置いて包丁を研ぐと、研ぎ汁(包丁や砥石の微粉を含む汚濁水)によってまな板が汚れる。まな板の表面には通常、多数の細かい傷があり、これらに研ぎ汁の微粉が入ると、流水で洗い流してもなかなかとれない。これでは、衛生上良くない。砥石をまな板に組み込んだ場合にも同様の問題点がある。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、包丁を研ぐ際に利用できるとともに、包丁を研いでも汚れないまな板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のまな板は、まな板本体と、前記まな板本体の表面及び裏面の少なくとも一方の面を含む外面について、その全面に緊密に被着され、かつ、着脱可能であるカバーと、前記一方の面に被着された前記カバーの外面に設けられ、砥石を保持する砥石ホルダとを備えたものである。
上記のように構成されたまな板において、まな板本体にカバーを取り付けると、まな板本体の表面及び裏面の少なくとも一方の面を含む外面について、その全面にカバーが緊密に被着される。また、当該一方の面(まな板本体の表面又は裏面)に被着されたカバーの外面に設けられている砥石ホルダを上に向けて、ここに砥石を保持させることにより、カバーを付けた状態のまな板の上で包丁を研ぐことができる。
【0006】
また、上記まな板において、カバーは、まな板本体を包み込む袋状のものであることが好ましい。
この場合、カバーは、外部から押し引きの力を付与されても、まな板本体に対してずれない。
【0007】
また、上記まな板は、まな板本体に対して一方の側端面からスライド可能に挿入されたアームと、アームを所望の引き出し位置でまな板本体に対して固定する固定具と、アームに取り付けられ、まな板本体の他方の側端面をシンクの一方側に当接させた状態で当該シンクの他方側に当接させるストッパとを備えたものであってもよい。
この場合、シンクの前後寸法に合わせてアームを所定の引き出し位置で固定し、まな板本体の他方の側端面をシンクの一方側に当接させた状態で、シンクの他方側にストッパを当接させれば、各種寸法のシンクの上にまな板を載せて、その上で包丁を研ぐことができる。
【0008】
また、上記まな板において、カバーは防水性であることが好ましい。
この場合、カバーに研ぎ汁がしみこむことはなく、研ぎ終了後、洗い流すだけでよいので便利である。
【0009】
また、上記まな板において、カバーの縁辺部に、これに沿った芯体が設けられていてもよい。
この場合、芯体の存在により、カバーをまな板本体に被着するとき縁辺部全体を均一に引っ張ることができ、カバーの装着が容易になる。
【0010】
また、上記まな板において、砥石ホルダは面ファスナであってもよい。
この場合、砥石ホルダを、取付簡単で安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のまな板によれば、まな板本体に被着されたカバーの外面には砥石ホルダが設けられているので、これを上に向けて、ここに砥石を保持させることにより、カバーを付けた状態のまな板の上で包丁を研ぐことができる。こうして、包丁を研ぐ際にまな板を利用しつつ、研ぎ汁によってまな板本体が汚れるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態によるまな板1の、カバー(詳細後述)を外した状態を示す斜視図である。また、図2は、まな板本体2を、その厚さ方向の中間面で切った断面図である。図1又は図2において、ほぼ直方体のまな板本体2は、表(おもて)面2a、裏面2b、長辺側の一対の側端面2c及び短辺側の一対の側端面2dの合計6面を外面とする。短辺側における一方の側端面2dにおいて、その厚さ方向の中間位置からまな板本体2の長手方向に一定の深さまで、一対の孔2eが形成されている。各孔2eには、円筒状のガイド部材3が緊密に挿入されている。また、各ガイド部材3の内端部近傍には、ガイド部材3と直交する方向に、長辺側の側端面2cからまな板本体2内部に挿通されたねじ4が螺着されている。これにより、ねじ4を抜かない限り、ガイド部材3は、まな板本体2から抜けない。なお、ガイド部材3は加工容易なアルミニウム製、ねじ4はタッピングねじが好適であり、その場合には、ガイド部材3と直交する方向からタッピングねじをねじ込むことにより、このようなガイド部材3の抜け止め構造を容易に実現することができる。
【0013】
各ガイド部材3の外端部は外部に露出しており、キャップ5が被せられている。このキャップ5にも孔5aが形成されており、この孔5aからガイド部材3に、丸棒をL字状に加工した横アーム6aの長い直線状部分が、スライド可能に内挿されている。一対の横アーム6aは、円筒状の縦アーム6bによって相互に接続され、全体として「コ」の字状のアーム6を構成する。キャップ5にはねじ7が螺着され、このねじ7はガイド部材3を貫通(ばか孔)している。ねじ7を締め込むと、ねじ7の先端が横アーム6aを圧迫し、キャップ5及びガイド部材3に横アーム6aを固定することができる。また、ねじ7を緩めれば、ガイド部材3に対して、横アーム6aを自在に出し入れすることができる。すなわち、キャップ5及びねじ7は、横アーム6aを所望の引き出し位置でまな板本体2に対して固定する固定具を構成している。一方、縦アーム6bには、これと直交する方向に一対の支持部材8が取り付けられている。また、支持部材8の先端には平板状のストッパ9が取り付けられている。ストッパ9は、まな板本体2の側端面2dと平行に設けられている。
【0014】
図3は、上記のように構成されたまな板1を、流し台のシンク10に架け渡した状態を示す斜視図である。図において、前述のねじ7を緩めながら横アーム6aの引き出し位置を調整して、まな板本体2の手前側の下面端部を、シンク10の段部11(最も外側の表面より一段低くなっているところ)に載せ、側端面2dを当該段部11の手前の壁面10aに当接させる。また、ストッパ9を、シンク10における「対岸」の段部11の壁面11aに当接させる。この状態でねじ7(図1,図2)を締め込んで横アーム6aを固定すると、まな板1は、シンク10の手前の壁面10aと向こう側の壁面11aとの間で突っ張った状態となり、安定して保持される。このようにして、前後寸法が異なる各種のシンク10について、上記のまな板1を設置することができる。
【0015】
また、まな板本体2の両端の高さを見ると、手前側は段部11に直接まな板本体2が載っているが、向こう側では、横アーム6aが段部11に載っている。ここで、図1に示すように、横アーム6aの下面は、まな板本体2の下面より上にある。そのため、図3の状態では、まな板本体2は手前の方に高く、向こう側へ低くなる姿勢となる。従って、まな板本体2に水をかけても、水は前方へ向かって流れ落ち、大量の水を一気にかけない限りは手前側に水が流れてくることはない。
【0016】
次にカバーについて説明する。図4は、カバー12の斜視図である。カバー12はナイロン、塩化ビニル等の厚手の防水性材料からなり、直方体の袋状である。図の向こう側の広い面を表(おもて)面12aとすると、手前の裏面12bにはジッパー13が設けられ、開閉可能となっている。表面12aの上部中央には閉じ片14が設けられており、その先端近傍に面ファスナ15が取り付けられている。閉じ片14を手前に折り曲げて裏面側に織り込んだときの、裏面12bの対応部にも、面ファスナ16が取り付けられている。また、閉じ片14が設けられている縁辺部12a1には丸棒(角棒でも可)からなる芯体17が埋め込まれている。この芯体17の存在により、カバー12をまな板本体2に被着するとき閉じ片14を図4の上方向に引っ張ると、閉じ片14の付け根の部分のみならず縁辺部12a1全体を均一に引っ張ることができ、まな板本体2へのカバー12の装着が容易になる。
図5は、カバー12を反対側から見た斜視図である。カバー12の表面12aの外面には、砥石を保持する「砥石ホルダ」としての面ファスナ18が取り付けられている。
【0017】
上記のカバー12は、まな板本体2に被せられたとき、まな板本体2に緊密に被着される寸法に設計されており、まな板本体2に被せてジッパー13を閉じ、閉じ片14を引っ張りながら織り込んで面ファスナ15,16同士を固定すると、図6に示すカバー装着状態となる。すなわち、図1と図6とを対照すれば明らかなように、図1のまな板本体2の表面2a及び裏面2bを含む6面のうち、短辺側の一方の側端面2dを除く5面については完全にカバー12によって覆われ、カバー12は、当該外面に密着する。また、短辺側の一方の側端面2dは、閉じ片14によって部分的に覆われ、かつ、この閉じ片14が当該側端面2dに密着する。このように、まな板本体2を包み込む袋状のカバー12は、まな板本体2に密着し、外部から押し引きの力を付与されても、まな板本体2に対してずれない。
【0018】
図7は、砥石20の斜視図である。研ぐ面を表面20aとすると、砥石20の裏面20bには面ファスナ21が取り付けられている。面ファスナ21は、例えばその四隅を小さな鋲やねじで固定することにより、取付可能である。なお、砥石20ではなく、砥石台(図示せず。)の裏面に面ファスナ21を取り付けてもよい。
図6に示すようにカバー12を被せたまな板1を、面ファスナ18がある方の面を上にして図8に示すようにシンク10に架け渡し、砥石20の面ファスナ21(図7)をカバー12の面ファスナ18に押し付ければ、まな板1上に砥石20が保持された状態となる。従って、ここで、包丁22を研ぐことができる。研ぐことによって研ぎ汁が出るが、まな板本体2はカバー12によって覆われているので、まな板本体2は汚れない。すなわち、包丁22を研ぐ際にまな板1を利用しつつ、研ぎ汁によってまな板本体2が汚れるのを防止することができる。なお、カバー12は防水性であるので研ぎ汁がしみこむことはなく、研ぎ終了後、洗い流すだけでよいので便利である。また、図8の状態においてまな板1はシンク10の上にあるため、研ぎ汁は自然にシンク10に流れ落ちて排水され、流し台23を汚さない。また、蛇口24がすぐ近くにあるため、研ぐ際に必要な水の補給が容易である。
【0019】
なお、上記実施形態では、まな板本体2の全外面(6面)のうち5面を完全に覆う袋状のカバー12を使用したが、基本的には、カバー12は、まな板本体2の表面2a及び裏面2bの少なくとも一方の面を含む外面について、その全面に緊密に被着されるものであればよい。次に、かかる他の形態のカバーを備えたまな板の第2実施形態について説明する。
【0020】
図9は第2実施形態によるまな板1の斜視図(カバーを一部破断して示す。)であり、図10は、そのカバーのみを示す斜視図である。
図9において、まな板本体2の短辺側の一方の側端面2dには一対の雄スナップ30が取り付けられている。また、反対側の側端面2dには面ファスナ31が取り付けられている。その他の構造は第1実施形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0021】
一方、図10において、このカバー32は片面が全面被着タイプでない、いわばエプロン型の簡略カバーである。すなわち、まな板本体2に対して全面的に被着されるのは、表面32a及び、それに隣接する3つの側端面32c,32dのみである。そして、短辺側の側端面32dには雌スナップ33が取り付けられている。また、長辺側の両側端面32cには帯状部34が取り付けられており、それぞれの先端には面ファスナ35が取り付けられている。さらに、表面32aの端部から帯状に設けた閉じ片36にも面ファスナ37が取り付けられている。表面32aの外面には、砥石ホルダとしての面ファスナ38が取り付けられている。このようなカバー32は、まな板本体2に被せられた後、雄スナップ30と雌スナップ33とが互いに接続される。また、帯状部34の先に取り付けられた面ファスナ35同士が接続され、他の面ファスナ37がまな板本体2の面ファスナ31(図9)に押し付けられることにより、まな板本体2に対してカバー32を緊密に被着させることができる。
【0022】
このようにしてカバー32を被せた状態のまな板1を、面ファスナ38がある方の面を上にしてシンクに架け渡し、砥石の面ファスナをカバー32の面ファスナ38に押し付ければ、まな板1上に砥石が保持された状態となる。従って、ここで、包丁を研ぐことができ、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
なお、上記各実施形態では砥石20を保持する砥石ホルダとして面ファスナ18,38を用いた。この面ファスナは取付簡単で安価である点において好ましい。しかしながら、かかる砥石ホルダは面ファスナに限られるものではなく、例えば、カバー2,32の外面に、砥石20の底面外形に合致した立体的な砥石ホルダを設ければ、砥石20には何も取り付けなくても、この砥石ホルダによって砥石20を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態によるまな板(カバーを除く。)の斜視図である。
【図2】図1のまな板におけるまな板本体を、その厚さ方向の中間面で切った断面図である。
【図3】上記まな板を、流し台のシンクに架け渡した状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態におけるカバーの斜視図である。
【図5】上記カバーを反対側から見た斜視図である。
【図6】上記カバーをまな板本体に被せた状態を示す斜視図である。
【図7】砥石の斜視図である。
【図8】カバーを被せたまな板で包丁を研ぐ状態を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態によるまな板の斜視図である。
【図10】第2実施形態によるまな板のカバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 まな板
2 まな板本体
2a 表面
2b 裏面
5 キャップ(固定具)
6 アーム
7 ねじ(固定具)
9 ストッパ
12,32 カバー
17 芯体
18,38 面ファスナ(砥石ホルダ)
20 砥石
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板に関する。
【背景技術】
【0002】
流し台で包丁を研ぐ際、砥石を流し台のステンレス板に直接載せて包丁を研ぐと、砥石が不安定で動きやすく、また、ステンレス板に傷が付く。そこで、ちょうど都合の良い広さと厚さと柔らかさとを有している木製又は合成樹脂製のまな板を利用し、その上に砥石を置いて包丁を研ぐのが便利である。一方、包丁を研ぐ砥石を、まな板に組み込んで一体化した構造も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3045133号公報(図1)
【特許文献2】登録実用新案第3091763号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、まな板の上に砥石を置いて包丁を研ぐと、研ぎ汁(包丁や砥石の微粉を含む汚濁水)によってまな板が汚れる。まな板の表面には通常、多数の細かい傷があり、これらに研ぎ汁の微粉が入ると、流水で洗い流してもなかなかとれない。これでは、衛生上良くない。砥石をまな板に組み込んだ場合にも同様の問題点がある。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、包丁を研ぐ際に利用できるとともに、包丁を研いでも汚れないまな板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のまな板は、まな板本体と、前記まな板本体の表面及び裏面の少なくとも一方の面を含む外面について、その全面に緊密に被着され、かつ、着脱可能であるカバーと、前記一方の面に被着された前記カバーの外面に設けられ、砥石を保持する砥石ホルダとを備えたものである。
上記のように構成されたまな板において、まな板本体にカバーを取り付けると、まな板本体の表面及び裏面の少なくとも一方の面を含む外面について、その全面にカバーが緊密に被着される。また、当該一方の面(まな板本体の表面又は裏面)に被着されたカバーの外面に設けられている砥石ホルダを上に向けて、ここに砥石を保持させることにより、カバーを付けた状態のまな板の上で包丁を研ぐことができる。
【0006】
また、上記まな板において、カバーは、まな板本体を包み込む袋状のものであることが好ましい。
この場合、カバーは、外部から押し引きの力を付与されても、まな板本体に対してずれない。
【0007】
また、上記まな板は、まな板本体に対して一方の側端面からスライド可能に挿入されたアームと、アームを所望の引き出し位置でまな板本体に対して固定する固定具と、アームに取り付けられ、まな板本体の他方の側端面をシンクの一方側に当接させた状態で当該シンクの他方側に当接させるストッパとを備えたものであってもよい。
この場合、シンクの前後寸法に合わせてアームを所定の引き出し位置で固定し、まな板本体の他方の側端面をシンクの一方側に当接させた状態で、シンクの他方側にストッパを当接させれば、各種寸法のシンクの上にまな板を載せて、その上で包丁を研ぐことができる。
【0008】
また、上記まな板において、カバーは防水性であることが好ましい。
この場合、カバーに研ぎ汁がしみこむことはなく、研ぎ終了後、洗い流すだけでよいので便利である。
【0009】
また、上記まな板において、カバーの縁辺部に、これに沿った芯体が設けられていてもよい。
この場合、芯体の存在により、カバーをまな板本体に被着するとき縁辺部全体を均一に引っ張ることができ、カバーの装着が容易になる。
【0010】
また、上記まな板において、砥石ホルダは面ファスナであってもよい。
この場合、砥石ホルダを、取付簡単で安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のまな板によれば、まな板本体に被着されたカバーの外面には砥石ホルダが設けられているので、これを上に向けて、ここに砥石を保持させることにより、カバーを付けた状態のまな板の上で包丁を研ぐことができる。こうして、包丁を研ぐ際にまな板を利用しつつ、研ぎ汁によってまな板本体が汚れるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態によるまな板1の、カバー(詳細後述)を外した状態を示す斜視図である。また、図2は、まな板本体2を、その厚さ方向の中間面で切った断面図である。図1又は図2において、ほぼ直方体のまな板本体2は、表(おもて)面2a、裏面2b、長辺側の一対の側端面2c及び短辺側の一対の側端面2dの合計6面を外面とする。短辺側における一方の側端面2dにおいて、その厚さ方向の中間位置からまな板本体2の長手方向に一定の深さまで、一対の孔2eが形成されている。各孔2eには、円筒状のガイド部材3が緊密に挿入されている。また、各ガイド部材3の内端部近傍には、ガイド部材3と直交する方向に、長辺側の側端面2cからまな板本体2内部に挿通されたねじ4が螺着されている。これにより、ねじ4を抜かない限り、ガイド部材3は、まな板本体2から抜けない。なお、ガイド部材3は加工容易なアルミニウム製、ねじ4はタッピングねじが好適であり、その場合には、ガイド部材3と直交する方向からタッピングねじをねじ込むことにより、このようなガイド部材3の抜け止め構造を容易に実現することができる。
【0013】
各ガイド部材3の外端部は外部に露出しており、キャップ5が被せられている。このキャップ5にも孔5aが形成されており、この孔5aからガイド部材3に、丸棒をL字状に加工した横アーム6aの長い直線状部分が、スライド可能に内挿されている。一対の横アーム6aは、円筒状の縦アーム6bによって相互に接続され、全体として「コ」の字状のアーム6を構成する。キャップ5にはねじ7が螺着され、このねじ7はガイド部材3を貫通(ばか孔)している。ねじ7を締め込むと、ねじ7の先端が横アーム6aを圧迫し、キャップ5及びガイド部材3に横アーム6aを固定することができる。また、ねじ7を緩めれば、ガイド部材3に対して、横アーム6aを自在に出し入れすることができる。すなわち、キャップ5及びねじ7は、横アーム6aを所望の引き出し位置でまな板本体2に対して固定する固定具を構成している。一方、縦アーム6bには、これと直交する方向に一対の支持部材8が取り付けられている。また、支持部材8の先端には平板状のストッパ9が取り付けられている。ストッパ9は、まな板本体2の側端面2dと平行に設けられている。
【0014】
図3は、上記のように構成されたまな板1を、流し台のシンク10に架け渡した状態を示す斜視図である。図において、前述のねじ7を緩めながら横アーム6aの引き出し位置を調整して、まな板本体2の手前側の下面端部を、シンク10の段部11(最も外側の表面より一段低くなっているところ)に載せ、側端面2dを当該段部11の手前の壁面10aに当接させる。また、ストッパ9を、シンク10における「対岸」の段部11の壁面11aに当接させる。この状態でねじ7(図1,図2)を締め込んで横アーム6aを固定すると、まな板1は、シンク10の手前の壁面10aと向こう側の壁面11aとの間で突っ張った状態となり、安定して保持される。このようにして、前後寸法が異なる各種のシンク10について、上記のまな板1を設置することができる。
【0015】
また、まな板本体2の両端の高さを見ると、手前側は段部11に直接まな板本体2が載っているが、向こう側では、横アーム6aが段部11に載っている。ここで、図1に示すように、横アーム6aの下面は、まな板本体2の下面より上にある。そのため、図3の状態では、まな板本体2は手前の方に高く、向こう側へ低くなる姿勢となる。従って、まな板本体2に水をかけても、水は前方へ向かって流れ落ち、大量の水を一気にかけない限りは手前側に水が流れてくることはない。
【0016】
次にカバーについて説明する。図4は、カバー12の斜視図である。カバー12はナイロン、塩化ビニル等の厚手の防水性材料からなり、直方体の袋状である。図の向こう側の広い面を表(おもて)面12aとすると、手前の裏面12bにはジッパー13が設けられ、開閉可能となっている。表面12aの上部中央には閉じ片14が設けられており、その先端近傍に面ファスナ15が取り付けられている。閉じ片14を手前に折り曲げて裏面側に織り込んだときの、裏面12bの対応部にも、面ファスナ16が取り付けられている。また、閉じ片14が設けられている縁辺部12a1には丸棒(角棒でも可)からなる芯体17が埋め込まれている。この芯体17の存在により、カバー12をまな板本体2に被着するとき閉じ片14を図4の上方向に引っ張ると、閉じ片14の付け根の部分のみならず縁辺部12a1全体を均一に引っ張ることができ、まな板本体2へのカバー12の装着が容易になる。
図5は、カバー12を反対側から見た斜視図である。カバー12の表面12aの外面には、砥石を保持する「砥石ホルダ」としての面ファスナ18が取り付けられている。
【0017】
上記のカバー12は、まな板本体2に被せられたとき、まな板本体2に緊密に被着される寸法に設計されており、まな板本体2に被せてジッパー13を閉じ、閉じ片14を引っ張りながら織り込んで面ファスナ15,16同士を固定すると、図6に示すカバー装着状態となる。すなわち、図1と図6とを対照すれば明らかなように、図1のまな板本体2の表面2a及び裏面2bを含む6面のうち、短辺側の一方の側端面2dを除く5面については完全にカバー12によって覆われ、カバー12は、当該外面に密着する。また、短辺側の一方の側端面2dは、閉じ片14によって部分的に覆われ、かつ、この閉じ片14が当該側端面2dに密着する。このように、まな板本体2を包み込む袋状のカバー12は、まな板本体2に密着し、外部から押し引きの力を付与されても、まな板本体2に対してずれない。
【0018】
図7は、砥石20の斜視図である。研ぐ面を表面20aとすると、砥石20の裏面20bには面ファスナ21が取り付けられている。面ファスナ21は、例えばその四隅を小さな鋲やねじで固定することにより、取付可能である。なお、砥石20ではなく、砥石台(図示せず。)の裏面に面ファスナ21を取り付けてもよい。
図6に示すようにカバー12を被せたまな板1を、面ファスナ18がある方の面を上にして図8に示すようにシンク10に架け渡し、砥石20の面ファスナ21(図7)をカバー12の面ファスナ18に押し付ければ、まな板1上に砥石20が保持された状態となる。従って、ここで、包丁22を研ぐことができる。研ぐことによって研ぎ汁が出るが、まな板本体2はカバー12によって覆われているので、まな板本体2は汚れない。すなわち、包丁22を研ぐ際にまな板1を利用しつつ、研ぎ汁によってまな板本体2が汚れるのを防止することができる。なお、カバー12は防水性であるので研ぎ汁がしみこむことはなく、研ぎ終了後、洗い流すだけでよいので便利である。また、図8の状態においてまな板1はシンク10の上にあるため、研ぎ汁は自然にシンク10に流れ落ちて排水され、流し台23を汚さない。また、蛇口24がすぐ近くにあるため、研ぐ際に必要な水の補給が容易である。
【0019】
なお、上記実施形態では、まな板本体2の全外面(6面)のうち5面を完全に覆う袋状のカバー12を使用したが、基本的には、カバー12は、まな板本体2の表面2a及び裏面2bの少なくとも一方の面を含む外面について、その全面に緊密に被着されるものであればよい。次に、かかる他の形態のカバーを備えたまな板の第2実施形態について説明する。
【0020】
図9は第2実施形態によるまな板1の斜視図(カバーを一部破断して示す。)であり、図10は、そのカバーのみを示す斜視図である。
図9において、まな板本体2の短辺側の一方の側端面2dには一対の雄スナップ30が取り付けられている。また、反対側の側端面2dには面ファスナ31が取り付けられている。その他の構造は第1実施形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0021】
一方、図10において、このカバー32は片面が全面被着タイプでない、いわばエプロン型の簡略カバーである。すなわち、まな板本体2に対して全面的に被着されるのは、表面32a及び、それに隣接する3つの側端面32c,32dのみである。そして、短辺側の側端面32dには雌スナップ33が取り付けられている。また、長辺側の両側端面32cには帯状部34が取り付けられており、それぞれの先端には面ファスナ35が取り付けられている。さらに、表面32aの端部から帯状に設けた閉じ片36にも面ファスナ37が取り付けられている。表面32aの外面には、砥石ホルダとしての面ファスナ38が取り付けられている。このようなカバー32は、まな板本体2に被せられた後、雄スナップ30と雌スナップ33とが互いに接続される。また、帯状部34の先に取り付けられた面ファスナ35同士が接続され、他の面ファスナ37がまな板本体2の面ファスナ31(図9)に押し付けられることにより、まな板本体2に対してカバー32を緊密に被着させることができる。
【0022】
このようにしてカバー32を被せた状態のまな板1を、面ファスナ38がある方の面を上にしてシンクに架け渡し、砥石の面ファスナをカバー32の面ファスナ38に押し付ければ、まな板1上に砥石が保持された状態となる。従って、ここで、包丁を研ぐことができ、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
なお、上記各実施形態では砥石20を保持する砥石ホルダとして面ファスナ18,38を用いた。この面ファスナは取付簡単で安価である点において好ましい。しかしながら、かかる砥石ホルダは面ファスナに限られるものではなく、例えば、カバー2,32の外面に、砥石20の底面外形に合致した立体的な砥石ホルダを設ければ、砥石20には何も取り付けなくても、この砥石ホルダによって砥石20を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態によるまな板(カバーを除く。)の斜視図である。
【図2】図1のまな板におけるまな板本体を、その厚さ方向の中間面で切った断面図である。
【図3】上記まな板を、流し台のシンクに架け渡した状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態におけるカバーの斜視図である。
【図5】上記カバーを反対側から見た斜視図である。
【図6】上記カバーをまな板本体に被せた状態を示す斜視図である。
【図7】砥石の斜視図である。
【図8】カバーを被せたまな板で包丁を研ぐ状態を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態によるまな板の斜視図である。
【図10】第2実施形態によるまな板のカバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 まな板
2 まな板本体
2a 表面
2b 裏面
5 キャップ(固定具)
6 アーム
7 ねじ(固定具)
9 ストッパ
12,32 カバー
17 芯体
18,38 面ファスナ(砥石ホルダ)
20 砥石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まな板本体と、
前記まな板本体の表面及び裏面の少なくとも一方の面を含む外面について、その全面に緊密に被着され、かつ、着脱可能であるカバーと、
前記一方の面に被着された前記カバーの外面に設けられ、砥石を保持する砥石ホルダと
を備えたことを特徴とするまな板。
【請求項2】
前記カバーは、前記まな板本体を包み込む袋状のものである請求項1記載のまな板。
【請求項3】
前記まな板本体に対して一方の側端面からスライド可能に挿入されたアームと、
前記アームを所望の引き出し位置で前記まな板本体に対して固定する固定具と、
前記アームに取り付けられ、前記まな板本体の他方の側端面をシンクの一方側に当接させた状態で当該シンクの他方側に当接させるストッパと
を備えた請求項1記載のまな板。
【請求項4】
前記カバーは防水性である請求項1記載のまな板。
【請求項5】
前記カバーの縁辺部に、これに沿った芯体が設けられている請求項1記載のまな板。
【請求項6】
前記砥石ホルダが面ファスナである請求項1記載のまな板。
【請求項1】
まな板本体と、
前記まな板本体の表面及び裏面の少なくとも一方の面を含む外面について、その全面に緊密に被着され、かつ、着脱可能であるカバーと、
前記一方の面に被着された前記カバーの外面に設けられ、砥石を保持する砥石ホルダと
を備えたことを特徴とするまな板。
【請求項2】
前記カバーは、前記まな板本体を包み込む袋状のものである請求項1記載のまな板。
【請求項3】
前記まな板本体に対して一方の側端面からスライド可能に挿入されたアームと、
前記アームを所望の引き出し位置で前記まな板本体に対して固定する固定具と、
前記アームに取り付けられ、前記まな板本体の他方の側端面をシンクの一方側に当接させた状態で当該シンクの他方側に当接させるストッパと
を備えた請求項1記載のまな板。
【請求項4】
前記カバーは防水性である請求項1記載のまな板。
【請求項5】
前記カバーの縁辺部に、これに沿った芯体が設けられている請求項1記載のまな板。
【請求項6】
前記砥石ホルダが面ファスナである請求項1記載のまな板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−198066(P2006−198066A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11390(P2005−11390)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(505023674)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(505023674)
【Fターム(参考)】
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