まな板
【課題】まな板本体の外周にモール材を設けることでエッヂによる衝撃を緩和するとともに、モール材が包丁の使用の妨げにならず、しかも、まな板本体にモール材を着脱自在にかつ安定的に取り付ける。
【解決手段】まな板本体12と、このまな板本体12の外周に設けられる弾性材料からなるモール材13とを備える。まな板本体12とモール材13との互いに向き合う隣接面には、モール材13の幅方向の端部をまな板本体12の調理面と同一平面付近に保って、まな板本体12とモール材13とを着脱可能に結合する凸条Rおよび凹溝Sを設ける。モール材13の幅方向の端部には、まな板本体12の少なくとも一方の調理面から0.5〜2.5mm程度の幅で突き出て横滑りを防止する荷重受け部13cを設けるとよい。
【解決手段】まな板本体12と、このまな板本体12の外周に設けられる弾性材料からなるモール材13とを備える。まな板本体12とモール材13との互いに向き合う隣接面には、モール材13の幅方向の端部をまな板本体12の調理面と同一平面付近に保って、まな板本体12とモール材13とを着脱可能に結合する凸条Rおよび凹溝Sを設ける。モール材13の幅方向の端部には、まな板本体12の少なくとも一方の調理面から0.5〜2.5mm程度の幅で突き出て横滑りを防止する荷重受け部13cを設けるとよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール材を適用したまな板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂等からなるまな板は、調理の作業性を考慮して包丁の刃に耐えうる十分な硬さをもっている。このため、まな板のエッヂが食器や壁面に当たって強い衝撃を与えることがある。また、まな板の落下により床に疵を付けることもある。
【0003】
上記の対策として、本発明者らは、まな板の外周に樹脂などの弾性材料からなるモール材を設けることに着眼した。通常、モール材は、テーブルやデスクにおける台板の外周に設けられて衝撃を緩和するが、まな板の外周にモール材を適用するものは知られていない。
なお、本発明に関連する先行技術としては、下記特許文献1および2が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−50217号公報
【特許文献2】実用新案登録第3048244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、まな板の外周にモール材を設ける場合、次のような問題が起こりうる。
第1に、まな板本体の厚みよりもモール材の幅が広いと、まな板の調理面にモール材の端部が突き出てしまう。このような場合、モール材の端部が包丁の使用の妨げになることがある。
【0006】
第2に、まな板本体にモール材を取り付けると、まな板本体とモール材との隙間に食材の汁やカスなどの汚れが溜まる。まな板本体にモール材を着脱自在に取り付ければ、上記ような隙間の汚れを容易に取り除くことができるが、モール材のズレや脱落などにより調理の作業に支障を来すおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、まな板本体の外周にモール材を設けることでエッヂによる衝撃を緩和するとともに、モール材が包丁の使用の妨げにならず、しかも、まな板本体にモール材を着脱自在にかつ安定的に取り付けるようにしたまな板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、使用時および保管時にモール材によって優れた滑り止め効果を得られる使い勝手の良いまな板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[第1発明]
前記課題を解決するための本発明のまな板は、
まな板本体と、
このまな板本体の外周に設けられる弾性材料からなるモール材とを備え、
前記まな板本体と前記モール材との互いに向き合う隣接面には、前記モール材の幅方向の端部を前記まな板本体の調理面と同一平面付近に保って、前記まな板本体と前記モール材とを着脱可能に結合する凸条および凹溝を設ける構成とした。
【0009】
このような構成によれば、まな板本体の外周に弾性材料からなるモール材が設けられるため、エッヂによる衝撃が緩和される。そして、まな板本体の調理面と同一平面付近にモール材の幅方向の端部が位置するため、モール材が包丁の使用の妨げになるのを回避することができる。
【0010】
また、本発明のまな板は、まな板本体とモール材の隣接面で凸条および凹溝を弾性力により結合させることで、まな板本体にモール材を着脱自在に取り付けることができる。凸条と凹溝とが互いに密着して嵌り合うから、まな板本体からモール材がズレたり外れたりする心配がない。
【0011】
さらに、本発明の構成によれば、水切りなどの際にモール材を下にしてまな板を立て掛けると、モール材が滑り止めの役割を果たし、まな板の起立姿勢が安定する。これにより、まな板の転倒を効果的に防止することもできる。
まな板本体とモール材とをそれぞれ異なる色でコーディネートすれば、まな板の外観を斬新でデザイン性の高いものに仕上げることが可能になる。
【0012】
なお、特許文献1および2には、まな板の外周に弾性材料からなる滑り止め材を備えたまな板が開示されている。この種のまな板は、まな板本体の外周端部に滑り止め材の凹溝を嵌め込む構造となっており、この滑り止め材の弾性力によりまな板のエッヂの衝撃を緩和することができる。
【0013】
ところが、上記のような滑り止め材の構造では、滑り止め材の凹溝の幅がまな板本体の厚みにほぼ等しく、滑り止め材の端部が表裏の調理面に大きく突き出る。このため、まな板の調理面から突き出る滑り止め材が包丁の使用の妨げになる。
また、まな板を調理台に載せたとき、滑り止め材の端部によってまな板の調理面が台面上に浮き上がって作業性が悪くなることも考えられる。
【0014】
これに対し、本発明のまな板は、モール材の幅方向の端部をまな板本体の調理面と同一平面付近に設ける構成であるため、調理面の使用時にモール材が包丁の使用の妨げにならない。また、調理台の上でまな板の調理面を自然な高さに保つことができる。
上記の点で、本発明のまな板は、特許文献1,2のまな板とはその構成および効果が異なるものである。
【0015】
第1発明において、凸条および凹溝の位置関係については、まな板本体とモール材の互いに向き合う隣接面のうちいずれか一方に凸条を設け、他方に凹溝を設ければよい。まな板本体に凹溝を、モール材に凸条をそれぞれ設ける構成では、凸条が圧縮変形して凹溝の内側に収まるため、モール材の幅の寸法変化を小さく抑えることができる。逆に、まな板本体に凸条を、モール材に凹溝をそれぞれ設ける構成では、まな板本体の凸条が凹溝に押し込まれてモール材の芯材のように作用するため、まな板本体とモール材との取付強度が向上する効果が得られる。
【0016】
[第2発明]
第2発明のまな板は、第1発明の構成を備えるものであって、前記モール材の幅方向の端部が、前記まな板本体の少なくとも一方の調理面から0.5〜2.5mm程度の幅で突き出て横滑りを防止する荷重受け部になっている構成とした。
【0017】
通常、まな板の調理面はフラットな面になっている。このため、調理台にフラットな調理面を下向きにしてまな板を置くと、まな板が横滑りして調理が行いにくくなることがある。
【0018】
第2発明の構成では、モール材の下端がまな板本体の調理面から突き出る荷重受け部になっているため、この荷重受け部が台面に接触してまな板の横滑りを防止する。これにより、まな板の使い勝手をさらに向上させることができる。
【0019】
第2発明において、前記荷重受け部の高さは、まな板の調理面から0.5〜2.5mm、望ましくは1〜2mmの高さに抑えるとよい。この程度の高さであれば、仮に、荷重受け部を上側に向けてまな板を使用しても、荷重受け部が包丁の使用の邪魔にならない。本発明者らは、荷重受け部の高さについて試作品によるモニタ試験を行い、使用感などのアンケート結果を基に上記高さ範囲を定めたものである。
前記荷重受け部の位置は、まな板の外周のうちいずれか一箇所あればよい。モール材の長さ方向に連なって形成されてもよいし、断続的に複数離れて形成されていてもよい。荷重受け部を均等な高さで設けると、調理面の水平度が保たれて作業性が良好になる。
横長矩形のまな板では、左右に向き合う短辺側のみに荷重受け部を設けて前後に向き合う長辺側には荷重受け部を設けないようにすると、表裏いずれの調理面でも作業が行いやすくなる。
【0020】
[第3発明]
第3発明のまな板は、第1発明または第2発明の構成を備えるものであって、前記モール材が前記まな板本体の外周の全長よりも短い環状に形成され、前記まな板本体の外周側面全体に環状の前記モール材が弾性力により締め付けられる構成とした。
【0021】
このような構成によれば、モール材が環状になっているため、まな板の外周のいずれの部位においても弾性材料による効果(衝撃緩和および滑り止め)を得ることができる。
また、まな板本体の外周側面全体(全周)に弾性力によってモール材が締め付けられるため、まな板本体とモール材との取付状態がさらに安定し、まな板の使用時に前後左右および斜めのいずれの方向にモール材が引っ張られても、まな板本体からモール材が外れにくくなる。
【0022】
[第4発明]
第4発明のまな板は、第3発明の構成を備えるものであって、前記まな板本体の角部の外周側面が、前記モール材に密着するアール面になっている構成とした。
【0023】
一般的なまな板は、その四隅の角部の形状がほぼ直角に形成されるものが多い。
このような形状のまな板の外周に環状のモール材を巻き付けようとすると、角部の先端でモール材が突っ張られて、その周辺に隙間が生じてモール材の締め付け力が弱くなることが起こりうる。
第4発明の構成によれば、まな板本体の角部がモール材に密着するアール面になっているため、上記のようなモール材の突っ張りを抑えて、まな板本体の角部を含む外周全体に環状のモール材を強く締め付けることができる。この結果、まな板本体からモール材が脱落しにくい信頼性の高いまな板を得ることができる。
【0024】
[第1〜4発明]
本発明(第1〜4発明)において、まな板の用途は限定されず、家庭用であっても、業務用であっても構わない。
まな板本体の材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂であることが望ましいが、木材その他の材料であってもよい。モール材の弾性材料としては、エラストマー、シリコンゴム、軟質塩化ビニル等を用いることができる。製法については、押出成形、射出成形等を採用することができる。
本発明によるまな板の販売形態は、まな板本体とモール材とをセットにする他、これらを単品として別々に販売するようにしてもよい。各種色違いのモール材を自由に着せ替えられるようにすることで、使用の幅が広がって購買意欲を刺激することもできる。
本発明(第1〜4発明)は、単独で適用してもよいし、組み合わせて適用してもよい。これらの発明に本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態によるまな板を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態によるまな板を示すもので、(A)は平面図、(B)はB−B線断面図である。
【図3】図2(B)のIII部分の拡大断面図である。
【図4】第1実施形態によるまな板の使用状態を示す部分断面図である。
【図5】第1実施形態によるまな板の立て掛け状態を示す部分断面図である。
【図6】第2実施形態によるまな板を示す部分切欠斜視図である。
【図7】第2実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【図8】第3実施形態によるまな板を示す部分切欠斜視図である。
【図9】第3実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【図10】第4実施形態によるまな板を示す部分拡大平面図である。
【図11】図10の[11]−[11]線断面図である。
【図12】他の実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【図13】他の実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態のまな板10を図1〜図3に示した。図1はまな板10の斜視図、図2(A)は同平面図、図2(B)は同B−B線断面図、図3は図2のIII部分の拡大断面図である。
【0027】
図1に示すように、まな板10は、まな板本体12とモール材13とからなる。まな板本体12の外周側面に沿って環状のモール材13が取り付けられている。
まな板本体12は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を均一の板厚に形成してなるもので、概ね横長矩形の平面形状になっている。まな板本体12の図1で左上のコーナ付近には把手孔Hが設けられる。まな板本体12のエッヂ部12aと把手孔Hの孔縁部12dには面取りが施されている。
【0028】
モール材13は、シリコン、エラストマー、軟質塩化ビニル等の弾性材料からなり、その表面は蒲鉾形で指で押さえて窪む程度の適度な弾性を有している。モール材の幅は均一で、まな板本体12の厚みより僅かに大きい寸法に設定される。
【0029】
モール材13の内周長さは、まな板本体12からモール材13を取り外した状態で、まな板本体12の外周長さよりも短い。これにより、まな板本体12にモール材13を取り付けると、まな板本体12の外周側面全体にモール材13がその弾性力により締め付けられることになる。
【0030】
図3に示すように、まな板本体12とモール材13の互いに向き合う隣接面12b,13bには凹溝Rおよび凸条Sが設けられる。まな板本体12の外周側面に凹溝Rが形成され、モール材13の内周面に凸条Sが形成される。凹溝Rに凸条Sが弾性力によって結合することで、まな板本体12にモール材13が着脱自在になっている。
凹溝Rおよび凸条Sは、まな板本体12の外周に沿って環状に連なる。両者の境界は、横向きU字形の曲面になっており、結合面の密着性が高められている。凹溝Rに凸条Sを嵌め込むと、まな板本体12にモール材13が正確に位置決めされる。
【0031】
まな板本体12の四隅の角部は円弧状のアール面Mになっている(図1および図2参照)。このアール面Mは、まな板本体12の長辺と短辺に沿った側面を滑らかに繋いで、まな板本体12とモール材13とが隙間なく密着するアール径を有している。これにより、角部でモール材13が突っ張られてその周辺に隙間が生じることがなくなり、角部を含むまな板本体12の外周全体で凹溝Rと凸条Sとが確実に嵌り合う。
【0032】
図3に示すように、モール材13の上端は、まな板本体12の調理面f1とほぼ同一平面上に位置する。一方、モール材13の下端は、まな板本体12の調理面f2よりも段差L分だけ下方に突き出た位置にある。つまり、モール材13の下端の突出部分が荷重受け部13cとなっている。この荷重受け部13cは、まな板本体12の調理面f2から0.5〜2.5mm、望ましくは1〜2mm程度の突出幅で環状のモール材13の全周に亘って連なっている。
【0033】
まな板本体12にモール材13を取り付ける場合、モール材13を引き伸ばしてまな板本体12の外周側面に掛ける。このとき、モール材13をまな板本体12の中央側へ押し付けるようにして凹溝Rにモール材13の凸条Sを嵌め込む。
【0034】
まな板本体12からモール材13を取り外す場合には、モール材13を掴んで外側に引っ張ると、凹溝Rから凸条Sが抜ける。モール材13の一箇所で凹溝Rから凸条Sが抜けると、これらの抜けた部分の隙間に手指を掛けてモール材13を引っ張ることでまな板本体12からモール材13が簡単に外れる。このようにモール材13を取り外せば、まな板本体12とモール材13との隙間の汚れを簡単に取り除ける。
【0035】
まな板10の構成によれば、まな板本体12の外周側面がモール材13で覆われることにより、まな板本体12のエッヂ部12aによる衝撃が緩和される。
モール材13の幅方向の端部がまな板本体12の調理面f1,f2と同一平面付近に保たれるため、モール材13が包丁の使用の妨げになりにくい。特に、調理面f1については、モール材13の上端が同一平面上に一致するため、包丁の刃先が当たらず調理の作業を快適に行える。
【0036】
また、まな板10によれば、凹溝Rと凸条Sとを弾性力で結合することで、まな板本体12の外周側面にモール材13をズレなく安定した状態で取り付けることができる。環状のモール材13が均一な締付力でまな板本体12の外周側面全体に締め付けられるため、モール材13が引っ張られたとしても、直ぐに元の状態に戻り簡単に外れることはない。
【0037】
さらに、まな板10ではモール材13が滑り止めとして役立つ。例えば図4に示すように、モール材13の荷重受け部13cを下にして調理台にまな板10を置くと、荷重受け部13cが弾性力で台面に押し付けられてまな板10の横滑りを防止することができる。
【0038】
また、図5に示すように、水切りの際、キッチンの縁などにまな板10を立て掛けると、モール材13の蒲鉾形の外側面がその弾性力で台面に押し付けられる。このため、台面とモール材13との摩擦力が高まってまな板10の横滑りが防止され、その起立姿勢を安定させることができる。
このようにまな板10によれば、モール材13が滑り止めの役割も果たすため、調理の作業や水切り時の取り扱いが良好になる。
【0039】
さらに、まな板10によれば、モール材13とまな板本体12を外観をカラーコーディネートすることもできる。例えば、まな板本体12に白、モール材13に緑、赤、青など有彩色を採用すると、斬新でカラフルな外観のまな板10に仕上げることができる。
【0040】
次に、第2実施形態を図6および図7に示した。なお、下記の実施形態において第1実施形態の構成部分に対応する構成部分には同一の符号を付している。
第2実施形態のまな板20は、直線状のモール材13,13を採用したものである。図6に示すように、まな板本体12の長手方向の両側面に2本のモール材13,13が取り付けられる。
まな板本体12とモール材13の互いに向き合う隣接面には凹溝Rおよびと凸条Sが設けられる(図7参照)。まな板本体12に凹溝R、モール材13に凸条Sがそれぞれ形成されている。
【0041】
凹溝Rと凸条Sの形状については、両者の境界が横向きΩ字形の曲面になるように形成される。凸条Sの付け根部分がくびれ部Saになっており、このくびれ部Saが凹溝Rの入口付近の返し部Raに密着している(図7参照)。モール材13,13の外側面は、上下の中央部13dのみが蒲鉾形に突出している。
【0042】
まな板本体12にモール材13を取り付ける場合、凹溝Rに凸条Sを押し込むと、凸条Sが縮んで返し部Raを通って凹溝Rに嵌まる。まな板本体12からモール材13を取り外す場合は、モール材13を外側に引っ張れば、凸条Sが一旦縮んで返し部Raから外側へ引き抜かれる。
【0043】
まな板20によれば、まな板本体12に2本のモール材13,13をそれぞれ着脱することができるため、洗浄や交換の作業を効率よく行える。
また、凹溝Rの返し部Raに凸条Sのくびれ部Saを係止することで、まな板本体12とモール材13との取付強度を高めることができる。
なお、第2実施形態において、モール材13を環状にすることももちろん可能である。
【0044】
第3実施形態のまな板30を図8および図9に示した。
第3実施形態のまな板30は、凹溝Rと凸条Sの位置関係を逆にしたものである。まな板本体12の外周側面に凸条Sが形成され、モール材13の内周面に凹溝Rが形成される(図9参照)。凹溝Rと凸条Sは、それぞれまな板30の外周に沿って環状に連なっている。
【0045】
モール材13の幅方向の両端部には、2本の平行な筋状の荷重受け部13c,13cが形成される。荷重受け部13c,13cは、均一な間隔を保ってまな板本体12の調理面f2から0.5〜2.5mm、望ましくは1〜2mm程度の突出幅で環状のモール材13の全周に亘って連なっている。
【0046】
まな板30によれば、まな板本体12の凸条Sがモール材13の凹溝Sに嵌って芯材のように作用して弾性変形を抑える。例えば図9矢印Pに示すように、モール材に負荷がかかったとき、その負荷を凸条Sで受けてモール材13の変形を抑え、凸条Sから凹溝Rが外れるのを防止する。この結果、まな板本体12とモール材との取付の安定性を高めることができる。
また、モール材13の両端部に2本の荷重受け部13c,13cを並設することで、まな板30の横滑りをさらに効果的に防止することができる。
さらには、モール材13に凸条Sを形成するよりも凹溝Sを形成した方がまな板本体12のアール面にそってモール材13が曲がりやすいという効果もある。
【0047】
第4実施形態を図10および図11に示した。
第4実施形態は、まな板40の角部に切り欠きKを設けたものである。
切り欠きKは、まな板本体12の調理面f1上であって四隅の一角に設けられる。この切り欠きKの深さと広さは、手指がモール材13の上端にかかる程度になっている。
【0048】
切り欠きKの位置は、調理面f1の把手孔Hの外側にある。通常、まな板40の表面のうち把手孔Hに近い部分は使用されないため、上記のような位置に切り欠きKを設けても調理の支障にはならない。なお、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0049】
まな板40によれば、まな板本体12からモール材13を取り外す際に、切り欠きKに手指を入れてモール材13の上端を外側に拡げることができる。このため、まな板本体12からモール材13を取り外す際の着脱の作業性が容易になり、まな板40の使い勝手が向上する。
【0050】
第1〜4実施形態を説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されることなく、種々の変形を伴ってもよい。
まな板本体12の形状は、矩形の平面形状に限らず、その他の多角形、円形、D形等にしてもよい。
モール材13の形状は、まな板本体12の外周側面に密着するものであればその長さや断面形状を変更することができる。例えば図12のまな板50に示すように、まな板本体12にフラットな側面13eをもつモール材13を取り付けてもよい。このような構成では、モール材13を薄型・軽量化して材料コストを抑えることができる。
また、図13のまな板60に示すように、モール材13の荷重受け部13c,13cを断続的に形成してもよい。このような構成によれば、荷重受け部13c,13cの接触面で効果的に横滑りを防止する一方、荷重受け部13c,13cの断続的な隙間で調理面の通気性・通水性を高めることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 まな板
12 まな板本体
12a エッヂ部
12b 隣接面
13 モール材
13b 隣接面
13c 荷重受け部
f1 調理面
f2 調理面
R 凹溝
Ra 返し部
S 凸条
Sa くびれ部
L 段差
M アール面
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール材を適用したまな板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂等からなるまな板は、調理の作業性を考慮して包丁の刃に耐えうる十分な硬さをもっている。このため、まな板のエッヂが食器や壁面に当たって強い衝撃を与えることがある。また、まな板の落下により床に疵を付けることもある。
【0003】
上記の対策として、本発明者らは、まな板の外周に樹脂などの弾性材料からなるモール材を設けることに着眼した。通常、モール材は、テーブルやデスクにおける台板の外周に設けられて衝撃を緩和するが、まな板の外周にモール材を適用するものは知られていない。
なお、本発明に関連する先行技術としては、下記特許文献1および2が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−50217号公報
【特許文献2】実用新案登録第3048244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、まな板の外周にモール材を設ける場合、次のような問題が起こりうる。
第1に、まな板本体の厚みよりもモール材の幅が広いと、まな板の調理面にモール材の端部が突き出てしまう。このような場合、モール材の端部が包丁の使用の妨げになることがある。
【0006】
第2に、まな板本体にモール材を取り付けると、まな板本体とモール材との隙間に食材の汁やカスなどの汚れが溜まる。まな板本体にモール材を着脱自在に取り付ければ、上記ような隙間の汚れを容易に取り除くことができるが、モール材のズレや脱落などにより調理の作業に支障を来すおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、まな板本体の外周にモール材を設けることでエッヂによる衝撃を緩和するとともに、モール材が包丁の使用の妨げにならず、しかも、まな板本体にモール材を着脱自在にかつ安定的に取り付けるようにしたまな板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、使用時および保管時にモール材によって優れた滑り止め効果を得られる使い勝手の良いまな板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[第1発明]
前記課題を解決するための本発明のまな板は、
まな板本体と、
このまな板本体の外周に設けられる弾性材料からなるモール材とを備え、
前記まな板本体と前記モール材との互いに向き合う隣接面には、前記モール材の幅方向の端部を前記まな板本体の調理面と同一平面付近に保って、前記まな板本体と前記モール材とを着脱可能に結合する凸条および凹溝を設ける構成とした。
【0009】
このような構成によれば、まな板本体の外周に弾性材料からなるモール材が設けられるため、エッヂによる衝撃が緩和される。そして、まな板本体の調理面と同一平面付近にモール材の幅方向の端部が位置するため、モール材が包丁の使用の妨げになるのを回避することができる。
【0010】
また、本発明のまな板は、まな板本体とモール材の隣接面で凸条および凹溝を弾性力により結合させることで、まな板本体にモール材を着脱自在に取り付けることができる。凸条と凹溝とが互いに密着して嵌り合うから、まな板本体からモール材がズレたり外れたりする心配がない。
【0011】
さらに、本発明の構成によれば、水切りなどの際にモール材を下にしてまな板を立て掛けると、モール材が滑り止めの役割を果たし、まな板の起立姿勢が安定する。これにより、まな板の転倒を効果的に防止することもできる。
まな板本体とモール材とをそれぞれ異なる色でコーディネートすれば、まな板の外観を斬新でデザイン性の高いものに仕上げることが可能になる。
【0012】
なお、特許文献1および2には、まな板の外周に弾性材料からなる滑り止め材を備えたまな板が開示されている。この種のまな板は、まな板本体の外周端部に滑り止め材の凹溝を嵌め込む構造となっており、この滑り止め材の弾性力によりまな板のエッヂの衝撃を緩和することができる。
【0013】
ところが、上記のような滑り止め材の構造では、滑り止め材の凹溝の幅がまな板本体の厚みにほぼ等しく、滑り止め材の端部が表裏の調理面に大きく突き出る。このため、まな板の調理面から突き出る滑り止め材が包丁の使用の妨げになる。
また、まな板を調理台に載せたとき、滑り止め材の端部によってまな板の調理面が台面上に浮き上がって作業性が悪くなることも考えられる。
【0014】
これに対し、本発明のまな板は、モール材の幅方向の端部をまな板本体の調理面と同一平面付近に設ける構成であるため、調理面の使用時にモール材が包丁の使用の妨げにならない。また、調理台の上でまな板の調理面を自然な高さに保つことができる。
上記の点で、本発明のまな板は、特許文献1,2のまな板とはその構成および効果が異なるものである。
【0015】
第1発明において、凸条および凹溝の位置関係については、まな板本体とモール材の互いに向き合う隣接面のうちいずれか一方に凸条を設け、他方に凹溝を設ければよい。まな板本体に凹溝を、モール材に凸条をそれぞれ設ける構成では、凸条が圧縮変形して凹溝の内側に収まるため、モール材の幅の寸法変化を小さく抑えることができる。逆に、まな板本体に凸条を、モール材に凹溝をそれぞれ設ける構成では、まな板本体の凸条が凹溝に押し込まれてモール材の芯材のように作用するため、まな板本体とモール材との取付強度が向上する効果が得られる。
【0016】
[第2発明]
第2発明のまな板は、第1発明の構成を備えるものであって、前記モール材の幅方向の端部が、前記まな板本体の少なくとも一方の調理面から0.5〜2.5mm程度の幅で突き出て横滑りを防止する荷重受け部になっている構成とした。
【0017】
通常、まな板の調理面はフラットな面になっている。このため、調理台にフラットな調理面を下向きにしてまな板を置くと、まな板が横滑りして調理が行いにくくなることがある。
【0018】
第2発明の構成では、モール材の下端がまな板本体の調理面から突き出る荷重受け部になっているため、この荷重受け部が台面に接触してまな板の横滑りを防止する。これにより、まな板の使い勝手をさらに向上させることができる。
【0019】
第2発明において、前記荷重受け部の高さは、まな板の調理面から0.5〜2.5mm、望ましくは1〜2mmの高さに抑えるとよい。この程度の高さであれば、仮に、荷重受け部を上側に向けてまな板を使用しても、荷重受け部が包丁の使用の邪魔にならない。本発明者らは、荷重受け部の高さについて試作品によるモニタ試験を行い、使用感などのアンケート結果を基に上記高さ範囲を定めたものである。
前記荷重受け部の位置は、まな板の外周のうちいずれか一箇所あればよい。モール材の長さ方向に連なって形成されてもよいし、断続的に複数離れて形成されていてもよい。荷重受け部を均等な高さで設けると、調理面の水平度が保たれて作業性が良好になる。
横長矩形のまな板では、左右に向き合う短辺側のみに荷重受け部を設けて前後に向き合う長辺側には荷重受け部を設けないようにすると、表裏いずれの調理面でも作業が行いやすくなる。
【0020】
[第3発明]
第3発明のまな板は、第1発明または第2発明の構成を備えるものであって、前記モール材が前記まな板本体の外周の全長よりも短い環状に形成され、前記まな板本体の外周側面全体に環状の前記モール材が弾性力により締め付けられる構成とした。
【0021】
このような構成によれば、モール材が環状になっているため、まな板の外周のいずれの部位においても弾性材料による効果(衝撃緩和および滑り止め)を得ることができる。
また、まな板本体の外周側面全体(全周)に弾性力によってモール材が締め付けられるため、まな板本体とモール材との取付状態がさらに安定し、まな板の使用時に前後左右および斜めのいずれの方向にモール材が引っ張られても、まな板本体からモール材が外れにくくなる。
【0022】
[第4発明]
第4発明のまな板は、第3発明の構成を備えるものであって、前記まな板本体の角部の外周側面が、前記モール材に密着するアール面になっている構成とした。
【0023】
一般的なまな板は、その四隅の角部の形状がほぼ直角に形成されるものが多い。
このような形状のまな板の外周に環状のモール材を巻き付けようとすると、角部の先端でモール材が突っ張られて、その周辺に隙間が生じてモール材の締め付け力が弱くなることが起こりうる。
第4発明の構成によれば、まな板本体の角部がモール材に密着するアール面になっているため、上記のようなモール材の突っ張りを抑えて、まな板本体の角部を含む外周全体に環状のモール材を強く締め付けることができる。この結果、まな板本体からモール材が脱落しにくい信頼性の高いまな板を得ることができる。
【0024】
[第1〜4発明]
本発明(第1〜4発明)において、まな板の用途は限定されず、家庭用であっても、業務用であっても構わない。
まな板本体の材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂であることが望ましいが、木材その他の材料であってもよい。モール材の弾性材料としては、エラストマー、シリコンゴム、軟質塩化ビニル等を用いることができる。製法については、押出成形、射出成形等を採用することができる。
本発明によるまな板の販売形態は、まな板本体とモール材とをセットにする他、これらを単品として別々に販売するようにしてもよい。各種色違いのモール材を自由に着せ替えられるようにすることで、使用の幅が広がって購買意欲を刺激することもできる。
本発明(第1〜4発明)は、単独で適用してもよいし、組み合わせて適用してもよい。これらの発明に本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態によるまな板を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態によるまな板を示すもので、(A)は平面図、(B)はB−B線断面図である。
【図3】図2(B)のIII部分の拡大断面図である。
【図4】第1実施形態によるまな板の使用状態を示す部分断面図である。
【図5】第1実施形態によるまな板の立て掛け状態を示す部分断面図である。
【図6】第2実施形態によるまな板を示す部分切欠斜視図である。
【図7】第2実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【図8】第3実施形態によるまな板を示す部分切欠斜視図である。
【図9】第3実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【図10】第4実施形態によるまな板を示す部分拡大平面図である。
【図11】図10の[11]−[11]線断面図である。
【図12】他の実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【図13】他の実施形態によるまな板を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態のまな板10を図1〜図3に示した。図1はまな板10の斜視図、図2(A)は同平面図、図2(B)は同B−B線断面図、図3は図2のIII部分の拡大断面図である。
【0027】
図1に示すように、まな板10は、まな板本体12とモール材13とからなる。まな板本体12の外周側面に沿って環状のモール材13が取り付けられている。
まな板本体12は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を均一の板厚に形成してなるもので、概ね横長矩形の平面形状になっている。まな板本体12の図1で左上のコーナ付近には把手孔Hが設けられる。まな板本体12のエッヂ部12aと把手孔Hの孔縁部12dには面取りが施されている。
【0028】
モール材13は、シリコン、エラストマー、軟質塩化ビニル等の弾性材料からなり、その表面は蒲鉾形で指で押さえて窪む程度の適度な弾性を有している。モール材の幅は均一で、まな板本体12の厚みより僅かに大きい寸法に設定される。
【0029】
モール材13の内周長さは、まな板本体12からモール材13を取り外した状態で、まな板本体12の外周長さよりも短い。これにより、まな板本体12にモール材13を取り付けると、まな板本体12の外周側面全体にモール材13がその弾性力により締め付けられることになる。
【0030】
図3に示すように、まな板本体12とモール材13の互いに向き合う隣接面12b,13bには凹溝Rおよび凸条Sが設けられる。まな板本体12の外周側面に凹溝Rが形成され、モール材13の内周面に凸条Sが形成される。凹溝Rに凸条Sが弾性力によって結合することで、まな板本体12にモール材13が着脱自在になっている。
凹溝Rおよび凸条Sは、まな板本体12の外周に沿って環状に連なる。両者の境界は、横向きU字形の曲面になっており、結合面の密着性が高められている。凹溝Rに凸条Sを嵌め込むと、まな板本体12にモール材13が正確に位置決めされる。
【0031】
まな板本体12の四隅の角部は円弧状のアール面Mになっている(図1および図2参照)。このアール面Mは、まな板本体12の長辺と短辺に沿った側面を滑らかに繋いで、まな板本体12とモール材13とが隙間なく密着するアール径を有している。これにより、角部でモール材13が突っ張られてその周辺に隙間が生じることがなくなり、角部を含むまな板本体12の外周全体で凹溝Rと凸条Sとが確実に嵌り合う。
【0032】
図3に示すように、モール材13の上端は、まな板本体12の調理面f1とほぼ同一平面上に位置する。一方、モール材13の下端は、まな板本体12の調理面f2よりも段差L分だけ下方に突き出た位置にある。つまり、モール材13の下端の突出部分が荷重受け部13cとなっている。この荷重受け部13cは、まな板本体12の調理面f2から0.5〜2.5mm、望ましくは1〜2mm程度の突出幅で環状のモール材13の全周に亘って連なっている。
【0033】
まな板本体12にモール材13を取り付ける場合、モール材13を引き伸ばしてまな板本体12の外周側面に掛ける。このとき、モール材13をまな板本体12の中央側へ押し付けるようにして凹溝Rにモール材13の凸条Sを嵌め込む。
【0034】
まな板本体12からモール材13を取り外す場合には、モール材13を掴んで外側に引っ張ると、凹溝Rから凸条Sが抜ける。モール材13の一箇所で凹溝Rから凸条Sが抜けると、これらの抜けた部分の隙間に手指を掛けてモール材13を引っ張ることでまな板本体12からモール材13が簡単に外れる。このようにモール材13を取り外せば、まな板本体12とモール材13との隙間の汚れを簡単に取り除ける。
【0035】
まな板10の構成によれば、まな板本体12の外周側面がモール材13で覆われることにより、まな板本体12のエッヂ部12aによる衝撃が緩和される。
モール材13の幅方向の端部がまな板本体12の調理面f1,f2と同一平面付近に保たれるため、モール材13が包丁の使用の妨げになりにくい。特に、調理面f1については、モール材13の上端が同一平面上に一致するため、包丁の刃先が当たらず調理の作業を快適に行える。
【0036】
また、まな板10によれば、凹溝Rと凸条Sとを弾性力で結合することで、まな板本体12の外周側面にモール材13をズレなく安定した状態で取り付けることができる。環状のモール材13が均一な締付力でまな板本体12の外周側面全体に締め付けられるため、モール材13が引っ張られたとしても、直ぐに元の状態に戻り簡単に外れることはない。
【0037】
さらに、まな板10ではモール材13が滑り止めとして役立つ。例えば図4に示すように、モール材13の荷重受け部13cを下にして調理台にまな板10を置くと、荷重受け部13cが弾性力で台面に押し付けられてまな板10の横滑りを防止することができる。
【0038】
また、図5に示すように、水切りの際、キッチンの縁などにまな板10を立て掛けると、モール材13の蒲鉾形の外側面がその弾性力で台面に押し付けられる。このため、台面とモール材13との摩擦力が高まってまな板10の横滑りが防止され、その起立姿勢を安定させることができる。
このようにまな板10によれば、モール材13が滑り止めの役割も果たすため、調理の作業や水切り時の取り扱いが良好になる。
【0039】
さらに、まな板10によれば、モール材13とまな板本体12を外観をカラーコーディネートすることもできる。例えば、まな板本体12に白、モール材13に緑、赤、青など有彩色を採用すると、斬新でカラフルな外観のまな板10に仕上げることができる。
【0040】
次に、第2実施形態を図6および図7に示した。なお、下記の実施形態において第1実施形態の構成部分に対応する構成部分には同一の符号を付している。
第2実施形態のまな板20は、直線状のモール材13,13を採用したものである。図6に示すように、まな板本体12の長手方向の両側面に2本のモール材13,13が取り付けられる。
まな板本体12とモール材13の互いに向き合う隣接面には凹溝Rおよびと凸条Sが設けられる(図7参照)。まな板本体12に凹溝R、モール材13に凸条Sがそれぞれ形成されている。
【0041】
凹溝Rと凸条Sの形状については、両者の境界が横向きΩ字形の曲面になるように形成される。凸条Sの付け根部分がくびれ部Saになっており、このくびれ部Saが凹溝Rの入口付近の返し部Raに密着している(図7参照)。モール材13,13の外側面は、上下の中央部13dのみが蒲鉾形に突出している。
【0042】
まな板本体12にモール材13を取り付ける場合、凹溝Rに凸条Sを押し込むと、凸条Sが縮んで返し部Raを通って凹溝Rに嵌まる。まな板本体12からモール材13を取り外す場合は、モール材13を外側に引っ張れば、凸条Sが一旦縮んで返し部Raから外側へ引き抜かれる。
【0043】
まな板20によれば、まな板本体12に2本のモール材13,13をそれぞれ着脱することができるため、洗浄や交換の作業を効率よく行える。
また、凹溝Rの返し部Raに凸条Sのくびれ部Saを係止することで、まな板本体12とモール材13との取付強度を高めることができる。
なお、第2実施形態において、モール材13を環状にすることももちろん可能である。
【0044】
第3実施形態のまな板30を図8および図9に示した。
第3実施形態のまな板30は、凹溝Rと凸条Sの位置関係を逆にしたものである。まな板本体12の外周側面に凸条Sが形成され、モール材13の内周面に凹溝Rが形成される(図9参照)。凹溝Rと凸条Sは、それぞれまな板30の外周に沿って環状に連なっている。
【0045】
モール材13の幅方向の両端部には、2本の平行な筋状の荷重受け部13c,13cが形成される。荷重受け部13c,13cは、均一な間隔を保ってまな板本体12の調理面f2から0.5〜2.5mm、望ましくは1〜2mm程度の突出幅で環状のモール材13の全周に亘って連なっている。
【0046】
まな板30によれば、まな板本体12の凸条Sがモール材13の凹溝Sに嵌って芯材のように作用して弾性変形を抑える。例えば図9矢印Pに示すように、モール材に負荷がかかったとき、その負荷を凸条Sで受けてモール材13の変形を抑え、凸条Sから凹溝Rが外れるのを防止する。この結果、まな板本体12とモール材との取付の安定性を高めることができる。
また、モール材13の両端部に2本の荷重受け部13c,13cを並設することで、まな板30の横滑りをさらに効果的に防止することができる。
さらには、モール材13に凸条Sを形成するよりも凹溝Sを形成した方がまな板本体12のアール面にそってモール材13が曲がりやすいという効果もある。
【0047】
第4実施形態を図10および図11に示した。
第4実施形態は、まな板40の角部に切り欠きKを設けたものである。
切り欠きKは、まな板本体12の調理面f1上であって四隅の一角に設けられる。この切り欠きKの深さと広さは、手指がモール材13の上端にかかる程度になっている。
【0048】
切り欠きKの位置は、調理面f1の把手孔Hの外側にある。通常、まな板40の表面のうち把手孔Hに近い部分は使用されないため、上記のような位置に切り欠きKを設けても調理の支障にはならない。なお、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0049】
まな板40によれば、まな板本体12からモール材13を取り外す際に、切り欠きKに手指を入れてモール材13の上端を外側に拡げることができる。このため、まな板本体12からモール材13を取り外す際の着脱の作業性が容易になり、まな板40の使い勝手が向上する。
【0050】
第1〜4実施形態を説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されることなく、種々の変形を伴ってもよい。
まな板本体12の形状は、矩形の平面形状に限らず、その他の多角形、円形、D形等にしてもよい。
モール材13の形状は、まな板本体12の外周側面に密着するものであればその長さや断面形状を変更することができる。例えば図12のまな板50に示すように、まな板本体12にフラットな側面13eをもつモール材13を取り付けてもよい。このような構成では、モール材13を薄型・軽量化して材料コストを抑えることができる。
また、図13のまな板60に示すように、モール材13の荷重受け部13c,13cを断続的に形成してもよい。このような構成によれば、荷重受け部13c,13cの接触面で効果的に横滑りを防止する一方、荷重受け部13c,13cの断続的な隙間で調理面の通気性・通水性を高めることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 まな板
12 まな板本体
12a エッヂ部
12b 隣接面
13 モール材
13b 隣接面
13c 荷重受け部
f1 調理面
f2 調理面
R 凹溝
Ra 返し部
S 凸条
Sa くびれ部
L 段差
M アール面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まな板本体と、
このまな板本体の外周に設けられる弾性材料からなるモール材とを備え、
前記まな板本体と前記モール材との互いに向き合う隣接面には、前記モール材の幅方向の端部を前記まな板本体の調理面と同一平面付近に保って、前記まな板本体と前記モール材とを着脱可能に結合する凸条および凹溝を設けることを特徴とするまな板。
【請求項2】
請求項1記載のまな板であって、前記モール材の幅方向の端部が、前記まな板本体の少なくとも一方の調理面から0.5〜2.5mm程度の幅で突き出て横滑りを防止する荷重受け部になっている、まな板。
【請求項3】
請求項1または2記載のまな板であって、前記モール材が前記まな板本体の外周の全長よりも短い環状に形成され、前記まな板本体の外周側面全体に環状の前記モール材が弾性力により締め付けられる、まな板。
【請求項4】
請求項3記載のまな板であって、前記まな板本体の角部の外周側面が、前記モール材に密着するアール面になっている、まな板。
【請求項1】
まな板本体と、
このまな板本体の外周に設けられる弾性材料からなるモール材とを備え、
前記まな板本体と前記モール材との互いに向き合う隣接面には、前記モール材の幅方向の端部を前記まな板本体の調理面と同一平面付近に保って、前記まな板本体と前記モール材とを着脱可能に結合する凸条および凹溝を設けることを特徴とするまな板。
【請求項2】
請求項1記載のまな板であって、前記モール材の幅方向の端部が、前記まな板本体の少なくとも一方の調理面から0.5〜2.5mm程度の幅で突き出て横滑りを防止する荷重受け部になっている、まな板。
【請求項3】
請求項1または2記載のまな板であって、前記モール材が前記まな板本体の外周の全長よりも短い環状に形成され、前記まな板本体の外周側面全体に環状の前記モール材が弾性力により締め付けられる、まな板。
【請求項4】
請求項3記載のまな板であって、前記まな板本体の角部の外周側面が、前記モール材に密着するアール面になっている、まな板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−252878(P2010−252878A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103503(P2009−103503)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(591167669)株式会社三洋化成 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(591167669)株式会社三洋化成 (9)
【Fターム(参考)】
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