説明

ゆで麺類をしめる容器

【課題】 本発明は、簡易で単純な装置であって、冷水を0℃付近の低温に長時間保持可能で、ゆで麺類をしめる効果が十分に発揮されるように構成された、ゆで麺類をしめるための容器を開発することにある。
【解決手段】 ゆで麺類等をしめる容器であって、該容器の内周に氷着するように、冷凍機の冷凍パイプを該容器の周辺に密接して配置するように構成されていることを特徴とするゆで麺類等をしめる容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生麺等を茹で上げた後、該ゆで麺類をしめるための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、そばなどの各種飲食店では、まず加熱手段で加熱したゆで釜に、生麺を収容したゆで網を十分に浸けて生麺を茹であげる。茹で上がったゆで麺類をそのまま放置しておくと、いわゆる「のびて」しまい、きわめて味覚を損ね、悪くすると食べられなくなってしまうくらいである。
そこで、茹で上がったゆで麺類は、直ちに「しめる」という作業が実施される。しめることによって、麺類の中のグルテンがキュッとしまるので、シコシコ感があり腰がつよく、のど越し感がよい美味な麺類が得られるようになる。
【0003】
ゆで麺類をしめる方法としては、通常冷水中に、あるいは氷水中に浸すという方法が採られているが、この従来の方法では、十分にゆで麺類をしめることができない。とくにうどん、そばなどの各種飲食店におけるように、多量のゆで麺類を同時にしめる必要のある場合には不十分となる。
【0004】
従来、ゆで麺類をしめる方法として、たとえば特開平10−267522号公報には、冷水を保持可能なシンク状の貯水槽と、この貯水槽内の水を冷却可能な冷却装置とを有し、前記貯水槽および冷却装置が上下に配置されていることを特徴とする冷水製造装置を用いる方法が知られている。しかし、上記のような冷水製造装置でゆで麺類をしめると、前記貯水槽および冷却装置が別々に配置されているため、とくに多量のゆで麺類を同時にしめる場合に、水の温度がすぐに上昇してしまい、ゆで麺類をしめる効果が十分に発揮されないという問題点が生じる。
【0005】
そして、上記の従来の冷水製造装置でゆで麺類をしめると、水の温度がすぐに上昇してしまうことについて全く認識されておらず、したがってその解決の手段についても、全く検討されていない。
【0006】
【特許文献1】 特開昭10−267522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡易で単純な装置であって、冷水を0℃付近の低温に長時間保持可能で、ゆで麺類をしめる効果が十分に発揮されるように構成された、ゆで麺類をしめるための容器を開発することを最大の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者はかかる目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明のゆで麺類をしめるための容器においては、当該容器と冷凍手段を一体化させることにより、冷水を0℃付近に長時間保持可能で、ゆで麺類をしめる効果が十分に発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ゆで麺類等をしめる容器であって、該容器の内周に氷着するように、冷凍機の冷凍パイプを該容器の周辺に密接して配置するように構成されていることを特徴とするゆで麺類等をしめる容器であり、また、前記容器の外周に、冷凍機の冷凍パイプを密接して配置するよう構成されていてもよく、さらには前期容器の内周に、冷凍機の冷凍パイプを密接して配置するよう構成されていてもよいゆで麺類等をしめる容器である。
【0010】
本発明のゆで麺類等をしめる容器は、そば、うどん、中華麺等の生麺やスパゲテイなどの加工麺のほか、.種々の乾麺、加工食品などをしめるのに最適に使用される。また、大量のものを要領よくしめるのに適するので、とくに業務用に用いるのがよいが、しかしそれに限定されることはない。
【発明の効果】
【0011】
従来の冷水製造装置でゆで麺類などをしめると、水の温度がすぐに上昇してしまうが、本発明のゆで麺類等をしめる容器によれば、簡易で単純な装置により、冷水を0℃付近の低温に長時間保持可能で、ゆで麺類をしめる効果が十分に発揮されるように構成され、よってシコシコ感があり腰がつよく、のど越し感がよい美味な麺類などが得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るゆで麺類等をしめる容器の概略図である。
うどん、そばなどの各種飲食店では、加熱したゆで釜で生麺を茹であげる。茹で上がったゆで麺類は、直ちに「しめる」という作業が実施される。茹で上がったゆで麺類をしめるために、容器1が用いられる。従来の冷水製造装置でゆで麺類などをしめると、水の温度がすぐに上昇してしまうが、本発明のゆで麺類等をしめる容器1によれば、容器1の周辺には冷凍機2からの冷凍パイプ3が密接して付設されており、たとえ多量のゆで麺類を同時にしめる場合であっても冷水を0℃付近の低温に長時間保持可能である。ここで、容器1の周辺とは、図1に示すように、容器1の外周に密接して付設するのが一般的で好ましいが、設計上容器の内周の設けても差し支えない。容器1には水4を十分に入れ、冷凍機2を作動させる。やがて容器1の内壁で冷凍パイプ3が密接して付設されている付近に氷結が始まり、それが幅数センチメートル程度の氷5に成長すれば、その付近の水は0℃程度の冷水となるので、茹で上がったゆで麺類をしめる作業が開始できる。
【0013】
上記のように本発明のゆで麺類等をしめる容器が構成されているので、たとえ多量のゆで麺類を同時にしめる場合であっても冷水を0℃付近の低温に長時間保持可能である。なお、ゆで麺類をしめる際、麺類等に付着していて茹でた後にも残っていた打粉が洗い出され、冷水4が濁ってきて不衛生となるので、水を補充しつつ、折にふれて打粉をすくいだしたり水を入れ替えたりすることが肝要である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施態様をさらに具体的に説明する。
実施例1
ゆで麺類等をしめる容器1(縦60cm、横70cm、深さ50cm)の外周に密接して冷凍機2からの冷凍パイプ3が3周に付設されている。該容器1に水150リットルを入れ、冷凍機2を作動させる。やがて容器1の内壁で冷凍パイプ3が付設されている付近に氷結が始まり、20分後にはそれが幅2.5センチメートル程度に成長し、その付近の水は0℃程度の冷水となるので、茹で上がった麺類をしめる作業を開始する。ゆで釜で茹で上がったうどん14人前(4kg)を、直ちに上記容器1の冷水中に10秒間浸漬、振とうしてしめる。よってシコシコ感があり腰がつよく、のど越し感がよい美味なうどんが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明のゆで麺類等をしめる容器の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0016】
1 容器
2 冷凍機
3 冷凍パイプ
4 水(冷水)
5 氷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゆで麺類等をしめる容器であって、該容器の内周に氷着するように、冷凍機の冷凍パイプを該容器の周辺に密接して配置するように構成されていることを特徴とするゆで麺類等をしめる容器。
【請求項2】
容器の外周に、冷凍機の冷凍パイプを密接して配置するよう構成されている請求項1に記載のゆで麺類等をしめる容器。
【請求項3】
容器の内周に、冷凍機の冷凍パイプを密接して配置するよう構成されている請求項1または2に記載のゆで麺類等をしめる容器。

【図1】
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【公開番号】特開2010−60260(P2010−60260A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257826(P2008−257826)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(508263486)株式会社十全社 (2)
【Fターム(参考)】