らせん要素を有するクリンプ(縮らす)可能な管腔内部人工装具
【課題】供給装置上で容易にクリンプ(crimp:縮らす)させることが可能な幾何学形状を有するらせん要素を有するステントを提供する。
【解決手段】ステントは、複数の第1のらせんセグメント120a、120bおよび対向する複数の第2のらせんセグメント150a、150bを有する。第1のらせんセグメントは、複数の第1の拡張可能な要素300から構成され、第2のらせんセグメントは、複数の第2のらせん要素350から構成される。拡張可能な要素300、350は、複数のストラット400によって互いに接合される。ステントがクリンプする際、第1の拡張可能な要素の1つの一部分が、その同じ拡張可能な要素の別の一部分の中に入れ子になり、2つの第1の拡張可能な要素300の一部分が、第2の拡張可能な要素350の同じ2つの部分間に挿入される構成とする。
【解決手段】ステントは、複数の第1のらせんセグメント120a、120bおよび対向する複数の第2のらせんセグメント150a、150bを有する。第1のらせんセグメントは、複数の第1の拡張可能な要素300から構成され、第2のらせんセグメントは、複数の第2のらせん要素350から構成される。拡張可能な要素300、350は、複数のストラット400によって互いに接合される。ステントがクリンプする際、第1の拡張可能な要素の1つの一部分が、その同じ拡張可能な要素の別の一部分の中に入れ子になり、2つの第1の拡張可能な要素300の一部分が、第2の拡張可能な要素350の同じ2つの部分間に挿入される構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第60/267,778号(2001年2月9日付けで出願)の利益を主張するものである。
[発明の分野]
【0002】
本発明は、ステントとして知られる管腔内部人工装具デバイスに関する。特に、本発明は、ステントを供給装置上で容易にクリンプ(crimp:縮らす)させることが可能な幾何学形状を有するらせん要素を有するステントに関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の説明]
ステントは、体内の血管の管腔に埋め込まれて、その血管壁の支持を行う人工装具デバイスである。血管形成術では、ステントによる構造支持が特に重要である。通常、ステントは血管系内に埋め込まれて、部分的閉塞、圧壊、脆弱化または異常拡張を生じている血管を補強することができる。さらに一般的には、ステントは、たとえば、動脈、静脈、胆管、尿路、消化管、気管気管支樹、中脳水道または泌尿生殖系を含めたあらゆる生体の導管またはダクトの内部に用いることができる。ステントは、人間および動物の両方に使用することができる。
【0004】
通常、自己拡張型ステントおよびバルーン拡張型ステントの2種類のステントがある。自己拡張型ステントは、解除時に自動的に拡張して、展開した拡張状態になる。バルーン拡張型ステントは、膨張可能なバルーンカテーテルを使用して拡張させられる。バルーンを膨張させることによって、ステントを塑性変形させる。未拡張すなわちクリンプした状態のステントをカテーテルのバルーンセグメントに取り付けることによって、バルーン拡張型ステントを埋め込むことができる。クリンプした状態のステントをカテーテルに取り付けた後、カテーテルを血管壁の切開部から挿入して、血管内を移動させて、治癒が必要な血管部位に配置する。次に、バルーンカテーテルを膨張させることによってステントを拡張させて、血管の内壁に押し付ける。具体的に言うと、バルーンを膨張させることによってステントを塑性変形させて、ステントの直径を広げ、広げた状態に保つ。場合によっては、ステントを埋め込んだ血管を、ステントの拡張時にステント自体によって広げてもよい。
【0005】
Patrick W. Serruys他著「Handbook of Coronary Stents」Martin Dunitz, LTD 1998(「冠状動脈ステントのハンドブック」マルチン・ジュニッツ社、1998年)に開示されているPalmaz -Schatz(パルマツ・シャツ)(商標)ステントは、何十万人もの患者に埋め込まれたバルーン拡張型ステントの一例である。Palmaz -Schatz(商標)ステントには、他の周知のステントと同様に、一定の限界がある。これらには、制限的ではないが、(i)ステント対血管比の均一性が低いこと、(ii)クリンプおよび展開状態でステントがかなり剛直であること、(iii)柔軟性に制限があるため、狭い血管内への送達および設置が困難であることが含まれる。ステント対血管比は一般的に、血管壁が拡張状態のステントによって支持される度合いを表し、好ましくはステントの全長にわたって均一でなければならない。さらに、Palmaz -Schatz(商標)ステントは、連続スロットを設けた多数のチューブを連結する1つまたは複数のブリッジで構成されているため、ステントの拡張後に血管内に多数のむき出しの区域が存在する。このむき出しの問題は、多くのステントに共通している。上記参考文献の36。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ステントがバルーンデリバリデバイス(供給装置)上で容易にクリンプすることを可能にする幾何学形状を有する拡張型ステントを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、ステントは、ステントの長手方向軸に関して第1のつる巻角(helical angle)を有する複数の第1のらせんセグメントと、第2のつる巻角を有する複数の第2のらせんセグメントとから構成され得る。らせんセグメントは、円周方向に拡張および縮小可能である、すなわち、ステントの円周方向に沿って拡張または縮小する。この実施形態では、ステントがクリンプする際、1つの第1のらせんセグメントの少なくとも一部分が、別の第1のらせん要素の少なくとも一部分とともに、2つの別個の第2のらせんセグメントの同じ2つの部分間に挿入されている。
【0008】
本発明の一実施形態では、ステントは、複数の第1の拡張可能な要素および複数の第2の拡張可能な要素から構成される。第1の拡張可能な要素は、その同じ第1の拡張可能な要素の別のセグメント内に入れ子になるセグメントを有し得る。実施形態によっては、第1の拡張可能な要素は、ストラット(支柱)によりともに接合されて第1のらせんセグメントを形成し、第2の拡張可能な要素は、ストラットによりともに接合されて第2のらせんセグメントを形成する。第1および第2のらせんセグメントは、異なるつる巻角または異なるピッチを有し得る。実施形態によっては、第1および第2のらせんセグメントは共通のストラットを有する。
【0009】
本発明の実施形態によっては、ステントは複数のセルから構成され得る。各セルは、ともに交互に接合される第1および第2の要素から構成され得る(すなわち、各第1の要素が2つの第2の要素に接合され、各第2の要素が2つの第1の要素に接合されて多角形をなす)。この多角形は無定形であってもよく、あるいは定形であってもよい。ステントがクリンプする際、セルを構成する各要素の中の第1の要素のそれぞれの一部分がセルの第2の要素の中の複数の部分間に挿入される。実施形態によっては、ステントがクリンプする際、第1および第2の要素は互いに接触し得る。複数のストラットがセルを接合してステント本体を形成する。さらに、第1の要素の部分がその第1の要素の他の部分の中に入れ子になり、同様に第2の要素の一部分もその同じ第1の要素の一部分の中に入れ子になることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ステントを供給装置上でクリンプさせるのによく適した幾何学形状を有する拡張型ステントを対象とする。本発明の実施形態のすべてというわけではないが実施形態によっては、ステントは、ステントのクリンプ直径の3〜6倍の拡張径を有し得る。さらに、実施形態のすべてというわけではないが実施形態によっては、ステント対血管比は15%より高い場合もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態では、図1および図2に示されるように、ステントは長手方向軸1000を有する本体部分100から構成される。図1に示すステントは、キャリア616に取り付けられている。本体は、複数の第1のらせんセグメント120aおよび120bならびに複数の第2のらせんセグメント150aおよび150bから構成される。第1のらせんセグメントは、ステントの長手方向軸1000に対しつる巻角αをなし、第1のピッチを有する第1のらせんセグメントとなっている。第2のらせんセグメント150aおよび150bは、長手方向軸1000に対しつる巻角θをなし、第2のピッチを有する第2のらせんセグメントとなっている。実施形態によっては、αは20°〜50°の間で変更され、θは20°〜90°の間で変更される。第1のらせんセグメント120aおよび120bならびに第2のらせんセグメント150aおよび150bは、円周方向に拡張可能である、すなわち、ステントの円周方向200に平行な方向に拡張可能である。同様にらせんセグメント120a、120b、150a、および150bはステントがクリンプする際に円周方向に縮小もする。
【0012】
さらに以下に説明するように、実施形態によっては、第1のらせんセグメント120aおよび120bは複数のフィラメントセグメントから構成され、同様に第2のらせんセグメント150aおよび150bも複数のフィラメントセグメントから構成され得る。実施形態によっては、第1のらせんセグメントを構成するフィラメントセグメントの合計の全長は、第2のらせんセグメントを構成するフィラメントセグメントの全長よりも長くすることができる。場合によっては、第1および第2のらせんセグメントは、共通のフィラメントセグメントを共有し得る。
【0013】
図2に示すように、第1のらせんセグメント120aおよび120bは複数の第1の拡張可能な要素300から構成され、第2のらせんセグメントは複数の第2の拡張可能な要素350から構成される。2つ以上の第1の拡張可能なセグメント300が複数のストラット(支柱)400によってともに接合されて第1のらせんセグメント120aおよび120bそれぞれを形成する。その同じストラット400はまた、2つの第2の拡張可能なセグメント350を接合して第2のらせんセグメント150aおよび150bを形成する。ストラット400は、第1または第2の拡張可能な要素の一体部分、あるいはそのいずれもの一体部分であり得る。
【0014】
図3に示すように、実施形態によっては、第1の拡張可能な要素300は複数のひと続きのフィラメントセグメント700a、700b、710a、710b、720から構成される。一実施形態では、フィラメントセグメント700a、710a、720はともに接合されて略R字形の構造730を形成する(図4を参照)。Rの頭部を形成するフィラメント、すなわちフィラメント710aまたは710bは湾曲し、半径rを有し得る。半径rは、たとえば約0.015インチが挙げられるがこれに限定されない多くの値をとることができる。図3、図4a、および図4bに示すように、第1の拡張可能な要素300は、互いに逆方向を向き共通のフィラメントセグメント720を共有する複数のR字形構造730aおよび730bから構成され得る。
【0015】
図5に示すように、実施形態によっては、第2の拡張可能な要素350は複数のひと続きのフィラメントセグメント770a、770b、775a、780、775bから構成され得、たとえば、実施形態によってはZ字形構造を形成し得る。図示のように、たとえば、フィラメント770aはフィラメント780に対して角度βにあり、セグメント770aおよび770bは、湾曲セグメント775aおよび775bのところで単一のセグメント780に接合され得る。実施形態のすべてというわけではないが実施形態によっては、770aおよび770bは同じ寸法を有し、780はそれより短くすることができる。角度βもまた大幅に変わる可能性があり、一実施形態では、たとえば30°〜40°の間の範囲である。
【0016】
図1に示すように、本発明のいくつかの実施形態は、本体100に跨設されるエンドゾーン600および610を有し得る。エンドゾーンは、方形の外縁部(square outer edge)605および615を有し得る。エンドゾーンは、複数の第2のストラット(支柱)450により本体100に取着され得る(図2を参照)。第2のストラットは、別のストラット400の向きとは異なる向きを有し得る。たとえば、第2のストラット450はステントの円筒軸1000に平行であるが、ストラット400はステントの円筒軸に対し傾斜して向けられ得る。
【0017】
本発明のステントは、ステントの縮み性(crimpability)を高める幾何学形状を提供する。たとえば、本発明の一実施形態は、2.0mmよりも小さいクリンプ径および6.0mm〜12.0mmあるいはそれよりも大きい拡張径を有し得る。ステントは、1.50mmの直径にてPTAバルーン上にクリンプすることができ、約0.030〜0.500インチの直径を有するチューブから製造することができる。当然のことながら、他のサイズのチューブが用いられてもよい。ステントは、広範の各種用途のために広範の各種サイズで製造することができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、ステントがクリンプする際、第1の拡張可能な要素300の第1の部分がその同じ第1の拡張可能な要素300の別の部分の中に入れ子になる。たとえば、図6に示すように、フィラメント710aおよび720の部分はフィラメント700bの凹部の中に入れ子になる。同様に、フィラメント710bおよび720の部分はフィラメント700aの凹部の中に入れ子になる。
【0019】
本発明の実施形態によっては、ステントがクリンプする際、第2の拡張可能な要素350の一部分は第1の拡張可能な要素300の一部分の中に入れ子になる。たとえば、図7に示すように、第2の拡張可能な要素350の一部分は要素300の一部分の中に入れ子になる。具体的には、本発明を示しているがすべて包含しているわけではないこの実施形態では、フィラメント770bおよび775bの一部分がフィラメント710aおよび700aの凹部の中に入れ子になる。この例は、本発明の入れ子の特徴のいくつかを示しており、すべてを示しているというわけでない。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、ステントがクリンプする際、2つの別個の第1の拡張可能な要素300の部分が2つの別個の第2の拡張可能なセグメント350の同じ部分間で入れ子になる。図10に示すように、1つの第1の拡張可能な要素の一部、すなわちフィラメント710a、および別の第1の拡張可能な要素710bの一部(いずれもR字形構造730aおよび730bのための頭部を含む(図4aおよび図4bも参照))は、フィラメント775aおよび775b間に挿入される。フィラメント775aおよび775bは別個の第2の拡張可能な要素350の各部である。図10は、本発明の幾何学形状の挿入の特徴のいくつかを示しており、すべてを示しているというわけではない。
【0021】
図10、図3、図4a、図4bに示すように、実施形態によっては、フィラメント775aが、第2のらせんセグメント150aの一部をなす1つの第2の拡張可能な要素350の一部であるとともに、フィラメント710aもまた、第1のらせんセグメント120aの一部をなす1つの第1の拡張可能なセグメント300の一部である。同様に、フィラメント775bは異なる第2の拡張可能な要素350の一部であり、この第2の拡張可能な要素350は別の第2のらせんセグメント150bの一部となり、フィラメント710bは別の第1の拡張可能な要素300の一部であり、この第1の拡張可能な要素300は別のらせんセグメント120bの一部となる。このようにして、本発明の一実施形態では、ステントがクリンプする際、1つの第1のらせんセグメントの部分と別の第1のらせんセグメントの部分が、2つの別個の第2のらせんセグメントの部分間に挿入される。
【0022】
図8aに示すように、実施形態によっては、本発明のステントは複数のセル500から構成され得る。実施形態によっては、セル500は、ストラット400によりともに接合され得る。各セル500は、第1の要素300および第2の要素350から構成され得る。一実施形態では、図8bに示すように、各第1の要素300は2つの第2の要素350に接合され、各第2の要素350は2つの第1の要素300に接合される。これにより多角形状となるが、多くの形態をとってもよく、または無定形であってもよい。図2および図8aに示すように、セルどうしは、得られるステントが複数のらせんセグメントを有するようにともに接合され得、少なくとも1つのらせんセグメントが別のらせんセグメントと交差する(たとえば図2を参照)。
【0023】
セルの幾何学形状は、各セルが比較的一定速度で拡張するようなものであり得る。たとえば、図8aに示す実施形態では、各セルは、複数の第1の拡張可能な要素300および複数の第2の拡張可能な要素350から構成される。各第1の要素300は、複数のR字形要素730aおよび730bから構成される。この例示的な実施形態における第2の拡張可能な要素350は、略Z字形状である。拡張の際、R字形要素730aおよび730bは、Z字形要素よりも遅い初期速度で拡張する。第1の要素300および第2の要素350を円周方向に互い違いにまたは交互に配置することでステントが均一に円周方向に拡張するが、この理由は、要素350が要素300よりも速く拡張するにもかかわらず各セルが円周方向に均一に拡張するからである。
【0024】
図9に示すように、本発明によるステントがクリンプする際、各セルは円周方向に縮小する。この実施形態は本発明の例示的な目的のみのためであり、本発明をすべて包含するものではないが、ステントがクリンプする際、第1の拡張可能な要素の一部分(たとえば、少なくともフィラメント710aおよび720の部分)がその同じ第1の拡張可能な要素の別の部分(たとえば、少なくともフィラメント700bの部分)の中に入れ子になり、2つの別個の第1の拡張可能な要素300(たとえばフィラメント710aおよび710b)の部分が2つの別個の第2の拡張可能な要素350間に挿入される。ステントが拡張する際、各セルは、ステントの円周寸法であるライン200に沿って均一に拡張する(図1を参照)。第2の拡張可能な要素350は、第1の拡張可能な要素300よりも速い速度で開くが、第2の拡張可能な要素がそうであるように、第1の拡張可能な要素どうしが対角線上に向いているため、セル500の右側部分2000は、セル500の左側部分3000と同じ比率で拡張する(図9を参照)。
【0025】
上記の実施形態および説明は、本発明の種々の広範の特徴を示すことを意図しており、本発明の範囲または精神を限定することを意図するものではない。本発明は、具体的に上述された形態以外の多数の形態で具現することができる。たとえば、限定せずに、第1の要素300および第2の要素350は、図示した形態および形状以外の多数の形態および形状をとることができる。これにより、第2のらせん要素のフィラメント全長よりも長いか、あるいは短いフィラメント全長を有する第1のらせんセグメントとなり得る。さらに、本発明のステントは、たとえば適当なステント材料から製造されたチューブをレーザ切断することによるなどの、材料から当該技術において容易に知られている技法を用いて製造することができる。したがって、本明細書に記載された実施形態が同じステント内の異なる要素およびセグメントに言及しているにもかかわらず、当業者は、本発明のステントが単一のひと続きの材料片から構成されてもよく、または周知の技法によりともに接合された複数の異なるフィラメントまたはセグメント片から構成され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるステントの一実施形態の三次元図である。
【図2】図1のステントの円周を平らに延ばした部分の平面図である。
【図3】図2の平面図に示したステント本体を形成する一方の要素の平面図である。
【図4a】図3に示した要素を構成するフィラメントセグメントの図である。
【図4b】図3に示した要素を構成するフィラメントセグメントの図である。
【図5】図2に示したステント本体を構成するもう一方の要素の平面図である。
【図6】ステントがクリンプしたときの図3の要素の平面図である。
【図7】ステントがクリンプしたときの図3および図5の要素の平面図である。
【図8a】ともに接合されて本発明のステントの一実施形態を形成する複数のセルを示す平面図である。
【図8b】図8aに示したセルの1つの拡大部分図である。
【図9】ステントがクリンプした後の図8aのセルの平面図である。
【図10】ステントがクリンプしたときのある第1の要素およびある第2の要素が挿入される方法を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第60/267,778号(2001年2月9日付けで出願)の利益を主張するものである。
[発明の分野]
【0002】
本発明は、ステントとして知られる管腔内部人工装具デバイスに関する。特に、本発明は、ステントを供給装置上で容易にクリンプ(crimp:縮らす)させることが可能な幾何学形状を有するらせん要素を有するステントに関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の説明]
ステントは、体内の血管の管腔に埋め込まれて、その血管壁の支持を行う人工装具デバイスである。血管形成術では、ステントによる構造支持が特に重要である。通常、ステントは血管系内に埋め込まれて、部分的閉塞、圧壊、脆弱化または異常拡張を生じている血管を補強することができる。さらに一般的には、ステントは、たとえば、動脈、静脈、胆管、尿路、消化管、気管気管支樹、中脳水道または泌尿生殖系を含めたあらゆる生体の導管またはダクトの内部に用いることができる。ステントは、人間および動物の両方に使用することができる。
【0004】
通常、自己拡張型ステントおよびバルーン拡張型ステントの2種類のステントがある。自己拡張型ステントは、解除時に自動的に拡張して、展開した拡張状態になる。バルーン拡張型ステントは、膨張可能なバルーンカテーテルを使用して拡張させられる。バルーンを膨張させることによって、ステントを塑性変形させる。未拡張すなわちクリンプした状態のステントをカテーテルのバルーンセグメントに取り付けることによって、バルーン拡張型ステントを埋め込むことができる。クリンプした状態のステントをカテーテルに取り付けた後、カテーテルを血管壁の切開部から挿入して、血管内を移動させて、治癒が必要な血管部位に配置する。次に、バルーンカテーテルを膨張させることによってステントを拡張させて、血管の内壁に押し付ける。具体的に言うと、バルーンを膨張させることによってステントを塑性変形させて、ステントの直径を広げ、広げた状態に保つ。場合によっては、ステントを埋め込んだ血管を、ステントの拡張時にステント自体によって広げてもよい。
【0005】
Patrick W. Serruys他著「Handbook of Coronary Stents」Martin Dunitz, LTD 1998(「冠状動脈ステントのハンドブック」マルチン・ジュニッツ社、1998年)に開示されているPalmaz -Schatz(パルマツ・シャツ)(商標)ステントは、何十万人もの患者に埋め込まれたバルーン拡張型ステントの一例である。Palmaz -Schatz(商標)ステントには、他の周知のステントと同様に、一定の限界がある。これらには、制限的ではないが、(i)ステント対血管比の均一性が低いこと、(ii)クリンプおよび展開状態でステントがかなり剛直であること、(iii)柔軟性に制限があるため、狭い血管内への送達および設置が困難であることが含まれる。ステント対血管比は一般的に、血管壁が拡張状態のステントによって支持される度合いを表し、好ましくはステントの全長にわたって均一でなければならない。さらに、Palmaz -Schatz(商標)ステントは、連続スロットを設けた多数のチューブを連結する1つまたは複数のブリッジで構成されているため、ステントの拡張後に血管内に多数のむき出しの区域が存在する。このむき出しの問題は、多くのステントに共通している。上記参考文献の36。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ステントがバルーンデリバリデバイス(供給装置)上で容易にクリンプすることを可能にする幾何学形状を有する拡張型ステントを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、ステントは、ステントの長手方向軸に関して第1のつる巻角(helical angle)を有する複数の第1のらせんセグメントと、第2のつる巻角を有する複数の第2のらせんセグメントとから構成され得る。らせんセグメントは、円周方向に拡張および縮小可能である、すなわち、ステントの円周方向に沿って拡張または縮小する。この実施形態では、ステントがクリンプする際、1つの第1のらせんセグメントの少なくとも一部分が、別の第1のらせん要素の少なくとも一部分とともに、2つの別個の第2のらせんセグメントの同じ2つの部分間に挿入されている。
【0008】
本発明の一実施形態では、ステントは、複数の第1の拡張可能な要素および複数の第2の拡張可能な要素から構成される。第1の拡張可能な要素は、その同じ第1の拡張可能な要素の別のセグメント内に入れ子になるセグメントを有し得る。実施形態によっては、第1の拡張可能な要素は、ストラット(支柱)によりともに接合されて第1のらせんセグメントを形成し、第2の拡張可能な要素は、ストラットによりともに接合されて第2のらせんセグメントを形成する。第1および第2のらせんセグメントは、異なるつる巻角または異なるピッチを有し得る。実施形態によっては、第1および第2のらせんセグメントは共通のストラットを有する。
【0009】
本発明の実施形態によっては、ステントは複数のセルから構成され得る。各セルは、ともに交互に接合される第1および第2の要素から構成され得る(すなわち、各第1の要素が2つの第2の要素に接合され、各第2の要素が2つの第1の要素に接合されて多角形をなす)。この多角形は無定形であってもよく、あるいは定形であってもよい。ステントがクリンプする際、セルを構成する各要素の中の第1の要素のそれぞれの一部分がセルの第2の要素の中の複数の部分間に挿入される。実施形態によっては、ステントがクリンプする際、第1および第2の要素は互いに接触し得る。複数のストラットがセルを接合してステント本体を形成する。さらに、第1の要素の部分がその第1の要素の他の部分の中に入れ子になり、同様に第2の要素の一部分もその同じ第1の要素の一部分の中に入れ子になることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ステントを供給装置上でクリンプさせるのによく適した幾何学形状を有する拡張型ステントを対象とする。本発明の実施形態のすべてというわけではないが実施形態によっては、ステントは、ステントのクリンプ直径の3〜6倍の拡張径を有し得る。さらに、実施形態のすべてというわけではないが実施形態によっては、ステント対血管比は15%より高い場合もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態では、図1および図2に示されるように、ステントは長手方向軸1000を有する本体部分100から構成される。図1に示すステントは、キャリア616に取り付けられている。本体は、複数の第1のらせんセグメント120aおよび120bならびに複数の第2のらせんセグメント150aおよび150bから構成される。第1のらせんセグメントは、ステントの長手方向軸1000に対しつる巻角αをなし、第1のピッチを有する第1のらせんセグメントとなっている。第2のらせんセグメント150aおよび150bは、長手方向軸1000に対しつる巻角θをなし、第2のピッチを有する第2のらせんセグメントとなっている。実施形態によっては、αは20°〜50°の間で変更され、θは20°〜90°の間で変更される。第1のらせんセグメント120aおよび120bならびに第2のらせんセグメント150aおよび150bは、円周方向に拡張可能である、すなわち、ステントの円周方向200に平行な方向に拡張可能である。同様にらせんセグメント120a、120b、150a、および150bはステントがクリンプする際に円周方向に縮小もする。
【0012】
さらに以下に説明するように、実施形態によっては、第1のらせんセグメント120aおよび120bは複数のフィラメントセグメントから構成され、同様に第2のらせんセグメント150aおよび150bも複数のフィラメントセグメントから構成され得る。実施形態によっては、第1のらせんセグメントを構成するフィラメントセグメントの合計の全長は、第2のらせんセグメントを構成するフィラメントセグメントの全長よりも長くすることができる。場合によっては、第1および第2のらせんセグメントは、共通のフィラメントセグメントを共有し得る。
【0013】
図2に示すように、第1のらせんセグメント120aおよび120bは複数の第1の拡張可能な要素300から構成され、第2のらせんセグメントは複数の第2の拡張可能な要素350から構成される。2つ以上の第1の拡張可能なセグメント300が複数のストラット(支柱)400によってともに接合されて第1のらせんセグメント120aおよび120bそれぞれを形成する。その同じストラット400はまた、2つの第2の拡張可能なセグメント350を接合して第2のらせんセグメント150aおよび150bを形成する。ストラット400は、第1または第2の拡張可能な要素の一体部分、あるいはそのいずれもの一体部分であり得る。
【0014】
図3に示すように、実施形態によっては、第1の拡張可能な要素300は複数のひと続きのフィラメントセグメント700a、700b、710a、710b、720から構成される。一実施形態では、フィラメントセグメント700a、710a、720はともに接合されて略R字形の構造730を形成する(図4を参照)。Rの頭部を形成するフィラメント、すなわちフィラメント710aまたは710bは湾曲し、半径rを有し得る。半径rは、たとえば約0.015インチが挙げられるがこれに限定されない多くの値をとることができる。図3、図4a、および図4bに示すように、第1の拡張可能な要素300は、互いに逆方向を向き共通のフィラメントセグメント720を共有する複数のR字形構造730aおよび730bから構成され得る。
【0015】
図5に示すように、実施形態によっては、第2の拡張可能な要素350は複数のひと続きのフィラメントセグメント770a、770b、775a、780、775bから構成され得、たとえば、実施形態によってはZ字形構造を形成し得る。図示のように、たとえば、フィラメント770aはフィラメント780に対して角度βにあり、セグメント770aおよび770bは、湾曲セグメント775aおよび775bのところで単一のセグメント780に接合され得る。実施形態のすべてというわけではないが実施形態によっては、770aおよび770bは同じ寸法を有し、780はそれより短くすることができる。角度βもまた大幅に変わる可能性があり、一実施形態では、たとえば30°〜40°の間の範囲である。
【0016】
図1に示すように、本発明のいくつかの実施形態は、本体100に跨設されるエンドゾーン600および610を有し得る。エンドゾーンは、方形の外縁部(square outer edge)605および615を有し得る。エンドゾーンは、複数の第2のストラット(支柱)450により本体100に取着され得る(図2を参照)。第2のストラットは、別のストラット400の向きとは異なる向きを有し得る。たとえば、第2のストラット450はステントの円筒軸1000に平行であるが、ストラット400はステントの円筒軸に対し傾斜して向けられ得る。
【0017】
本発明のステントは、ステントの縮み性(crimpability)を高める幾何学形状を提供する。たとえば、本発明の一実施形態は、2.0mmよりも小さいクリンプ径および6.0mm〜12.0mmあるいはそれよりも大きい拡張径を有し得る。ステントは、1.50mmの直径にてPTAバルーン上にクリンプすることができ、約0.030〜0.500インチの直径を有するチューブから製造することができる。当然のことながら、他のサイズのチューブが用いられてもよい。ステントは、広範の各種用途のために広範の各種サイズで製造することができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、ステントがクリンプする際、第1の拡張可能な要素300の第1の部分がその同じ第1の拡張可能な要素300の別の部分の中に入れ子になる。たとえば、図6に示すように、フィラメント710aおよび720の部分はフィラメント700bの凹部の中に入れ子になる。同様に、フィラメント710bおよび720の部分はフィラメント700aの凹部の中に入れ子になる。
【0019】
本発明の実施形態によっては、ステントがクリンプする際、第2の拡張可能な要素350の一部分は第1の拡張可能な要素300の一部分の中に入れ子になる。たとえば、図7に示すように、第2の拡張可能な要素350の一部分は要素300の一部分の中に入れ子になる。具体的には、本発明を示しているがすべて包含しているわけではないこの実施形態では、フィラメント770bおよび775bの一部分がフィラメント710aおよび700aの凹部の中に入れ子になる。この例は、本発明の入れ子の特徴のいくつかを示しており、すべてを示しているというわけでない。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、ステントがクリンプする際、2つの別個の第1の拡張可能な要素300の部分が2つの別個の第2の拡張可能なセグメント350の同じ部分間で入れ子になる。図10に示すように、1つの第1の拡張可能な要素の一部、すなわちフィラメント710a、および別の第1の拡張可能な要素710bの一部(いずれもR字形構造730aおよび730bのための頭部を含む(図4aおよび図4bも参照))は、フィラメント775aおよび775b間に挿入される。フィラメント775aおよび775bは別個の第2の拡張可能な要素350の各部である。図10は、本発明の幾何学形状の挿入の特徴のいくつかを示しており、すべてを示しているというわけではない。
【0021】
図10、図3、図4a、図4bに示すように、実施形態によっては、フィラメント775aが、第2のらせんセグメント150aの一部をなす1つの第2の拡張可能な要素350の一部であるとともに、フィラメント710aもまた、第1のらせんセグメント120aの一部をなす1つの第1の拡張可能なセグメント300の一部である。同様に、フィラメント775bは異なる第2の拡張可能な要素350の一部であり、この第2の拡張可能な要素350は別の第2のらせんセグメント150bの一部となり、フィラメント710bは別の第1の拡張可能な要素300の一部であり、この第1の拡張可能な要素300は別のらせんセグメント120bの一部となる。このようにして、本発明の一実施形態では、ステントがクリンプする際、1つの第1のらせんセグメントの部分と別の第1のらせんセグメントの部分が、2つの別個の第2のらせんセグメントの部分間に挿入される。
【0022】
図8aに示すように、実施形態によっては、本発明のステントは複数のセル500から構成され得る。実施形態によっては、セル500は、ストラット400によりともに接合され得る。各セル500は、第1の要素300および第2の要素350から構成され得る。一実施形態では、図8bに示すように、各第1の要素300は2つの第2の要素350に接合され、各第2の要素350は2つの第1の要素300に接合される。これにより多角形状となるが、多くの形態をとってもよく、または無定形であってもよい。図2および図8aに示すように、セルどうしは、得られるステントが複数のらせんセグメントを有するようにともに接合され得、少なくとも1つのらせんセグメントが別のらせんセグメントと交差する(たとえば図2を参照)。
【0023】
セルの幾何学形状は、各セルが比較的一定速度で拡張するようなものであり得る。たとえば、図8aに示す実施形態では、各セルは、複数の第1の拡張可能な要素300および複数の第2の拡張可能な要素350から構成される。各第1の要素300は、複数のR字形要素730aおよび730bから構成される。この例示的な実施形態における第2の拡張可能な要素350は、略Z字形状である。拡張の際、R字形要素730aおよび730bは、Z字形要素よりも遅い初期速度で拡張する。第1の要素300および第2の要素350を円周方向に互い違いにまたは交互に配置することでステントが均一に円周方向に拡張するが、この理由は、要素350が要素300よりも速く拡張するにもかかわらず各セルが円周方向に均一に拡張するからである。
【0024】
図9に示すように、本発明によるステントがクリンプする際、各セルは円周方向に縮小する。この実施形態は本発明の例示的な目的のみのためであり、本発明をすべて包含するものではないが、ステントがクリンプする際、第1の拡張可能な要素の一部分(たとえば、少なくともフィラメント710aおよび720の部分)がその同じ第1の拡張可能な要素の別の部分(たとえば、少なくともフィラメント700bの部分)の中に入れ子になり、2つの別個の第1の拡張可能な要素300(たとえばフィラメント710aおよび710b)の部分が2つの別個の第2の拡張可能な要素350間に挿入される。ステントが拡張する際、各セルは、ステントの円周寸法であるライン200に沿って均一に拡張する(図1を参照)。第2の拡張可能な要素350は、第1の拡張可能な要素300よりも速い速度で開くが、第2の拡張可能な要素がそうであるように、第1の拡張可能な要素どうしが対角線上に向いているため、セル500の右側部分2000は、セル500の左側部分3000と同じ比率で拡張する(図9を参照)。
【0025】
上記の実施形態および説明は、本発明の種々の広範の特徴を示すことを意図しており、本発明の範囲または精神を限定することを意図するものではない。本発明は、具体的に上述された形態以外の多数の形態で具現することができる。たとえば、限定せずに、第1の要素300および第2の要素350は、図示した形態および形状以外の多数の形態および形状をとることができる。これにより、第2のらせん要素のフィラメント全長よりも長いか、あるいは短いフィラメント全長を有する第1のらせんセグメントとなり得る。さらに、本発明のステントは、たとえば適当なステント材料から製造されたチューブをレーザ切断することによるなどの、材料から当該技術において容易に知られている技法を用いて製造することができる。したがって、本明細書に記載された実施形態が同じステント内の異なる要素およびセグメントに言及しているにもかかわらず、当業者は、本発明のステントが単一のひと続きの材料片から構成されてもよく、または周知の技法によりともに接合された複数の異なるフィラメントまたはセグメント片から構成され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるステントの一実施形態の三次元図である。
【図2】図1のステントの円周を平らに延ばした部分の平面図である。
【図3】図2の平面図に示したステント本体を形成する一方の要素の平面図である。
【図4a】図3に示した要素を構成するフィラメントセグメントの図である。
【図4b】図3に示した要素を構成するフィラメントセグメントの図である。
【図5】図2に示したステント本体を構成するもう一方の要素の平面図である。
【図6】ステントがクリンプしたときの図3の要素の平面図である。
【図7】ステントがクリンプしたときの図3および図5の要素の平面図である。
【図8a】ともに接合されて本発明のステントの一実施形態を形成する複数のセルを示す平面図である。
【図8b】図8aに示したセルの1つの拡大部分図である。
【図9】ステントがクリンプした後の図8aのセルの平面図である。
【図10】ステントがクリンプしたときのある第1の要素およびある第2の要素が挿入される方法を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給装置上でステントがクリンプすることを可能にする幾何学形状を有するバルーン拡張型円筒形ステントであって、
該ステントの円周に平行である円周方向に拡張可能な複数の第1の拡張可能な要素と、
同じく前記円周方向に拡張可能な複数の第2の拡張可能な要素と、
前記第1の拡張可能な要素をともに接合して複数の第1のらせんセグメントを形成し、前記第2の拡張可能な要素をともに接合して対向した第2のらせんセグメントを形成する複数の第1のストラットであって、それぞれが、2つの第1の拡張可能な要素を接合し、
2つの第2の拡張可能な要素を接合する、複数の第1のストラットと
を備え、
該ステントがクリンプする際、前記第1の拡張可能な要素の中の一要素の一部分は、前記第1の拡張可能な要素の中の別の要素の一部分の中に入れ子になる、バルーン拡張型円筒形ステント。
【請求項2】
前記ステントがクリンプする際、2つの第1の拡張可能な要素の複数の部分は、前記第2の拡張可能な要素の中の一要素の一部分と別の第2の拡張可能な要素の別の一部分の間に挿入される、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1のらせんセグメントは第1のつる巻角に向けられ、前記第2のらせんセグメントは第2の異なるつる巻角に向けられる、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記第1のらせんセグメントは、前記第2のらせんセグメントのフィラメント全長とは異なるフィラメント全長を有する、請求項2に記載のステント。
【請求項5】
方形の外縁部をさらに含む、請求項2に記載のステント。
【請求項6】
略円筒形の本体を有するステントであって、前記本体は、
少なくとも1つのらせんセグメントが別のらせんセグメントと交差する、複数のらせんセグメントを備え、
前記ステントは、クリンプ半径および該クリンプ半径の3〜5倍の拡張半径を有する、ステント。
【請求項7】
該ステントがクリンプおよび拡張する際、前記らせんセグメントは、前記本体の円周に平行な方向に縮小および拡張する、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
少なくとも1つのらせんセグメントは、複数のR字形のフィラメントから構成される、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
該ステントがクリンプする際、1つのらせんセグメントの少なくとも一部分は、2つ別のらせんセグメント間に挿入される、請求項7に記載のステント。
【請求項10】
前記ステントは、0.03インチ〜0.500インチの直径を有するチューブから製造される、請求項9に記載のステント。
【請求項11】
前記ステントは、チューブをレーザ切断することによって製造される、請求項10に記載のステント。
【請求項12】
供給装置上でステントをクリンプさせるための幾何学形状を有するバルーン拡張型ステントであって、
複数の円周方向に拡張可能ならせんセグメントを形成する複数のひと続きのフィラメントであって、少なくとも1つのらせんセグメントは、該らせんセグメントの別部分の中に入れ子になる第1の部分と、2つの別のらせんセグメント間に挿入される第2の部分とを有する、フィラメントを含む、バルーン拡張型ステント。
【請求項13】
クリンプ径および該クリンプ径の3〜6倍の拡張径を有する、請求項12に記載のステント。
【請求項14】
拡張状態では、約15%よりも高いステント対血管比を有する、請求項13に記載のステント。
【請求項15】
複数のセルであって、該セルのそれぞれは、複数の第1の要素と、複数の第2の要素とを含み、
各第1の要素は2つの第2の要素に接続され、各第2の要素は2つの第1の要素に接続され、それによって多角形状を形成しており、該ステントがクリンプする際、前記第1の中の一要素の少なくとも一部分は、2つの第2の要素の複数の部分間に挿入される、複数のセルと、
1つのセルを別のセルに接続する複数のストラットと
を備える、ステント。
【請求項16】
前記第2の要素は、前記第1の要素よりも速い速度で拡張し、前記セルは、均一に円周方向に拡張する、請求項15に記載のステント。
【請求項17】
前記第1の要素は、少なくとも略R字形である部分を有する、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
前記第2の要素は、略R字形である、請求項16に記載のステント。
【請求項19】
前記セルは、ストラットによりともに接合されて、
複数の第1の要素から構成される複数の第1のらせんセグメントと、
複数の第2の要素から構成される複数の第2のらせんセグメントと
を形成する、請求項17に記載のステント。
【請求項20】
前記ストラットは、前記第1および第2の要素の一体部分である、請求項19に記載のステント。
【請求項21】
1つまたは複数の略R字形のフィラメントセグメントから構成される複数の第1の要素と、
1つまたは複数の略Z字形のフィラメントセグメントから構成される複数の第2の要素と、
前記第1の要素の少なくとも一部をともに接合して1つまたは複数の第1の略らせん状のセグメントを形成し、前記第2の要素の少なくとも一部をともに接合して1つまたは複数の略らせん状の第2のセグメントを形成する複数のストラットであって、前記第1および第2の要素の一体部分である、ストラットと
を備えるステント。
【請求項22】
前記第1および第2の要素ならびに前記ストラットは、同一のひと続きの材料片の部分である、請求項21に記載のステント。
【請求項23】
エンドゾーンをさらに含む、請求項22に記載のステント。
【請求項24】
前記エンドゾーンは、同一のひと続きの材料片の部分である、請求項23に記載のステント。
【請求項25】
前記第1および第2の要素は、該ステントが半径方向拡張力を受けるときとは異なる速度で円周方向に拡張する、請求項24に記載のステント。
【請求項26】
半径方向拡張力を受けると円周方向に均一に拡張する、請求項25に記載のステント。
【請求項1】
供給装置上でステントがクリンプすることを可能にする幾何学形状を有するバルーン拡張型円筒形ステントであって、
該ステントの円周に平行である円周方向に拡張可能な複数の第1の拡張可能な要素と、
同じく前記円周方向に拡張可能な複数の第2の拡張可能な要素と、
前記第1の拡張可能な要素をともに接合して複数の第1のらせんセグメントを形成し、前記第2の拡張可能な要素をともに接合して対向した第2のらせんセグメントを形成する複数の第1のストラットであって、それぞれが、2つの第1の拡張可能な要素を接合し、
2つの第2の拡張可能な要素を接合する、複数の第1のストラットと
を備え、
該ステントがクリンプする際、前記第1の拡張可能な要素の中の一要素の一部分は、前記第1の拡張可能な要素の中の別の要素の一部分の中に入れ子になる、バルーン拡張型円筒形ステント。
【請求項2】
前記ステントがクリンプする際、2つの第1の拡張可能な要素の複数の部分は、前記第2の拡張可能な要素の中の一要素の一部分と別の第2の拡張可能な要素の別の一部分の間に挿入される、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1のらせんセグメントは第1のつる巻角に向けられ、前記第2のらせんセグメントは第2の異なるつる巻角に向けられる、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記第1のらせんセグメントは、前記第2のらせんセグメントのフィラメント全長とは異なるフィラメント全長を有する、請求項2に記載のステント。
【請求項5】
方形の外縁部をさらに含む、請求項2に記載のステント。
【請求項6】
略円筒形の本体を有するステントであって、前記本体は、
少なくとも1つのらせんセグメントが別のらせんセグメントと交差する、複数のらせんセグメントを備え、
前記ステントは、クリンプ半径および該クリンプ半径の3〜5倍の拡張半径を有する、ステント。
【請求項7】
該ステントがクリンプおよび拡張する際、前記らせんセグメントは、前記本体の円周に平行な方向に縮小および拡張する、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
少なくとも1つのらせんセグメントは、複数のR字形のフィラメントから構成される、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
該ステントがクリンプする際、1つのらせんセグメントの少なくとも一部分は、2つ別のらせんセグメント間に挿入される、請求項7に記載のステント。
【請求項10】
前記ステントは、0.03インチ〜0.500インチの直径を有するチューブから製造される、請求項9に記載のステント。
【請求項11】
前記ステントは、チューブをレーザ切断することによって製造される、請求項10に記載のステント。
【請求項12】
供給装置上でステントをクリンプさせるための幾何学形状を有するバルーン拡張型ステントであって、
複数の円周方向に拡張可能ならせんセグメントを形成する複数のひと続きのフィラメントであって、少なくとも1つのらせんセグメントは、該らせんセグメントの別部分の中に入れ子になる第1の部分と、2つの別のらせんセグメント間に挿入される第2の部分とを有する、フィラメントを含む、バルーン拡張型ステント。
【請求項13】
クリンプ径および該クリンプ径の3〜6倍の拡張径を有する、請求項12に記載のステント。
【請求項14】
拡張状態では、約15%よりも高いステント対血管比を有する、請求項13に記載のステント。
【請求項15】
複数のセルであって、該セルのそれぞれは、複数の第1の要素と、複数の第2の要素とを含み、
各第1の要素は2つの第2の要素に接続され、各第2の要素は2つの第1の要素に接続され、それによって多角形状を形成しており、該ステントがクリンプする際、前記第1の中の一要素の少なくとも一部分は、2つの第2の要素の複数の部分間に挿入される、複数のセルと、
1つのセルを別のセルに接続する複数のストラットと
を備える、ステント。
【請求項16】
前記第2の要素は、前記第1の要素よりも速い速度で拡張し、前記セルは、均一に円周方向に拡張する、請求項15に記載のステント。
【請求項17】
前記第1の要素は、少なくとも略R字形である部分を有する、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
前記第2の要素は、略R字形である、請求項16に記載のステント。
【請求項19】
前記セルは、ストラットによりともに接合されて、
複数の第1の要素から構成される複数の第1のらせんセグメントと、
複数の第2の要素から構成される複数の第2のらせんセグメントと
を形成する、請求項17に記載のステント。
【請求項20】
前記ストラットは、前記第1および第2の要素の一体部分である、請求項19に記載のステント。
【請求項21】
1つまたは複数の略R字形のフィラメントセグメントから構成される複数の第1の要素と、
1つまたは複数の略Z字形のフィラメントセグメントから構成される複数の第2の要素と、
前記第1の要素の少なくとも一部をともに接合して1つまたは複数の第1の略らせん状のセグメントを形成し、前記第2の要素の少なくとも一部をともに接合して1つまたは複数の略らせん状の第2のセグメントを形成する複数のストラットであって、前記第1および第2の要素の一体部分である、ストラットと
を備えるステント。
【請求項22】
前記第1および第2の要素ならびに前記ストラットは、同一のひと続きの材料片の部分である、請求項21に記載のステント。
【請求項23】
エンドゾーンをさらに含む、請求項22に記載のステント。
【請求項24】
前記エンドゾーンは、同一のひと続きの材料片の部分である、請求項23に記載のステント。
【請求項25】
前記第1および第2の要素は、該ステントが半径方向拡張力を受けるときとは異なる速度で円周方向に拡張する、請求項24に記載のステント。
【請求項26】
半径方向拡張力を受けると円周方向に均一に拡張する、請求項25に記載のステント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−50715(P2009−50715A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272062(P2008−272062)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2002−588879(P2002−588879)の分割
【原出願日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【出願人】(500013371)オーバスネイチ メディカル、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2002−588879(P2002−588879)の分割
【原出願日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【出願人】(500013371)オーバスネイチ メディカル、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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