説明

ろ過濃縮機

【課題】 設置面積の増大を抑制しながらより多くの汚泥を処理可能な、ろ過濃縮機を提供する。
【解決手段】 ろ過濃縮機1は、ろ布20に供給された汚泥10を鉛直方向と略直交する方向に搬送しながらろ過濃縮するろ過部41,42を有したろ過濃縮機において、ろ過部41,42は鉛直方向に複数設けられ、ろ布20は無端状に形成されて駆動手段38で駆動されることによって各ろ過部41,42を循環駆動すると共に、各ろ過部41,42でろ布20の同一面20a上に汚泥10が供給されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥をろ過濃縮するろ過濃縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、汚泥をろ過濃縮する技術として、例えば、特許文献1に記載のベルト濃縮機が知られている。ベルト濃縮機は、一対のプーリに無端ベルト(ろ布)を掛け渡して構成されており、一対のプーリの一方を回転駆動させることによって無端ベルトを循環駆動させている。そして、無端ベルト上に汚泥を供給し、汚泥を搬送しながら汚泥をろ過濃縮(処理)する。
【特許文献1】特開2003−236596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のようなベルト濃縮機で汚泥の処理量を増大させる場合、例えば、ベルト濃縮機を2台並列に配置して利用することが考えられる。しかしながら、ベルト濃縮機を2台利用するときに、それらを床等に並列に配置すると、設置面積が大きくなるという問題が生じる。
【0004】
そこで、本発明は、設置面積の増大を抑制しながらより多くの汚泥を処理可能な、ろ過濃縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るろ過濃縮機は、ろ布に供給された汚泥を鉛直方向と略直交する方向に搬送しながらろ過濃縮するろ過部を有したろ過濃縮機において、ろ過部は鉛直方向に複数設けられ、ろ布は無端状に形成されて駆動手段で駆動されることによって各ろ過部を循環駆動すると共に、各ろ過部でろ布の同一面上に汚泥が供給されることを特徴とする。
【0006】
上記構成のろ過濃縮機では、複数のろ過部各々において汚泥をろ過濃縮できることから、より多くの汚泥を処理することが可能である。また、複数のろ過部が鉛直方向に設けられていることから、設置面積の増大も抑制されている。従って、ろ過濃縮機では、設置面積の増大を抑制しながら汚泥の処理量の増大が図られていることになる。更に、上記ろ過濃縮機では、無端状のろ布を利用していることから、ろ布を循環駆動させるための駆動手段は一つでよく、結果として、一つの駆動手段を利用して複数のろ過部で汚泥をろ過濃縮できるようになっている。
【0007】
ところで、通常、ろ布は、その表裏面のうちの一方の面で汚泥のろ過濃縮が主に可能なように製造されているため、複数のろ過部を設けた場合に、例えば、複数のろ過部の何れかでろ布が反転しておりろ過濃縮可能な面と反対側に汚泥が供給されてしまうと、そのろ過部では汚泥のろ過を確実にできない場合がある。これに対して、上記ろ過濃縮機では、各ろ過部でろ布の同一面を利用して汚泥をろ過濃縮できるため、各ろ過部においてろ布のうちろ過濃縮可能な面を利用して確実に汚泥をろ過濃縮可能である。この場合、汎用のろ布を利用できることから、ろ過濃縮機の製造コストの低減も図られていることになる。
【0008】
また、本発明に係るろ過濃縮機では、ろ布に接するように設けられており、ろ布への張力の大きさを調整することによってろ布の張りを調整すると共に、ろ布へ加える張力の方向を調整することによって、ろ布の蛇行を修正するプーリを備えることが好ましい。このプーリは、ろ布の張りを調整できることから、ろ布の伸びを調整することが可能である。また、ろ布へ加える張力の方向を調整することでろ布の蛇行を修正するようになっている。このように一つのプーリによって、ろ布の伸びと蛇行を修正するため、ろ過濃縮機の構成を簡略化することができている。
【0009】
更にまた、本発明に係るろ過濃縮機では、各ろ過部における汚泥の搬送方向が略同一であることが好ましい。この場合、各ろ過部でろ過濃縮された汚泥がほぼ同じ側から排出されることになるため、ろ過濃縮された汚泥の排出が容易である。
【0010】
そして、この場合、本発明に係るろ過濃縮機では、各ろ過部でろ過濃縮された汚泥を排出する汚泥排出部と、各ろ過部に対してそれぞれ設けられており、各ろ過部でそれぞれろ過濃縮された汚泥を汚泥排出部に移送する汚泥移送部と、を更に備えることが好ましい。
【0011】
上述したように、各ろ過部におけ汚泥の搬送方向が略同一であることで、各ろ過部でろ過濃縮された汚泥はほぼ同じ側から排出される。そのため、各ろ過部に対してそれぞれ設けられる汚泥移送部も同じ側に配置されることになる。その結果、複数の汚泥移送部に対して一つの汚泥排出部を利用して容易に汚泥を排出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るろ過濃縮機によれば、設置面積の増大を抑制しながらより多くの汚泥を処理することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係るろ過濃縮機の実施形態について説明する。図面の説明において、同一の要素には同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明に係るろ過濃縮機の一実施形態の構成図であり、ろ過濃縮機を側方から見た構成を模式的に表している。ろ過濃縮機1は、下水処理施設等において生じる汚泥10をろ過濃縮するベルト型ろ過濃縮機である。
【0015】
ろ過濃縮機1は、無端状のろ布20が、図1に示すように配置された6個のプーリ31,32,33,34,35,36に掛け渡されてなる汚泥処理部40を有する。汚泥処理部40は、横向きの略U字状を為しており、上下2段に配置された第1及び第2のろ過部41,42を有する。第1及び第2のろ過部41,42は、ろ布20が循環駆動されたときに、ろ布20上に供給される汚泥10を鉛直方向と略直交する方向に搬送しながらろ過濃縮する。なお、以下では、循環駆動によるろ布20の進行方向Aにおいて、汚泥10を搬送する方向を搬送方向A1と称し、搬送方向A1と反対方向を戻り方向A2とも称す。
【0016】
汚泥処理部40が有する第1及び第2のろ過部41,42に汚泥10を供給するために、ろ過濃縮機1は、凝集槽50と、第1の汚泥供給部51と、第2の汚泥供給部52とを更に有する。
【0017】
凝集槽50は、ラインL1を通して導入される例えば下水処理施設等で発生した汚泥10と、ラインL2を通して導入される高分子凝集剤とを混合することによって、汚泥10を凝集しフロック状の汚泥10とするためのものである。凝集槽50で形成されたフロック状の汚泥10は、ラインL3,L4を通して排出される。図1では、ラインL3の一部を、図面の見やすさを考慮して便宜的に破線で示している。
【0018】
第1の汚泥供給部51は、第1のろ過部41の上方に配置されており、凝集槽50からラインL3を通して排出された汚泥10を第1のろ過部41に供給する。同様に、第2の汚泥供給部52は、第2のろ過部42の上方に配置されており、凝集槽50からラインL4を通して排出された汚泥10を第2のろ過部42に供給する。第1及び第2の汚泥供給部51,52は、例えば、ラインL3,L4から導入される汚泥10を所定時間貯留し、貯留した汚泥10を断続的に供給するようになっている槽でもよいし、シュートでもよい。
【0019】
以下の説明では、第1の汚泥供給部51を介して第1のろ過部41に供給される汚泥10を第1の汚泥11とも称し、第2の汚泥供給部52を介して第2のろ過部42に供給される汚泥10を第2の汚泥12とも称す。
【0020】
また、ろ過濃縮機1は、第1及び第2のろ過部41,42によってろ過濃縮された第1及び第2の汚泥11,12を排出するために、シュート(第1の汚泥移送部)61、シュート(第2の汚泥移送部)62及び汚泥排出部70を有する。シュート61,62は、ろ過濃縮機1において同じ側、すなわち、図1では、プーリ31,33側に配置されており、第1及び第2のろ過部41,42によってろ過濃縮された第1及び第2の汚泥11,12を移送して汚泥排出部70に投入する。汚泥排出部70は、例えば、ベルトコンベア等であり、集められた汚泥10を系外に排出する。なお、第1及び第2の汚泥移送部は、シュート61,62としたが、ろ過濃縮された第1及び第2の汚泥11,12を汚泥排出部70に投入できるものであれば特に限定されず、例えば、後述するスクレーパS1,S2のみとすることもできる。
【0021】
また、第1及び第2の汚泥11,12がろ過されることで生じたろ液Wを受けるために、第1及び第2のろ過部41,42の下方にはピット81,82が設けられている。各ピット81,82からは、ろ液Wを排出するためのラインL5,L6が延びており、ラインL5,L6を通して排出されたろ液Wは、ろ液貯留槽83に流入するようになっている。ろ液貯留槽83に貯留されたろ液Wは、系外に排出してもよいが、図1に示すように、ラインL7,L8を利用してろ布20を洗浄するための洗浄ノズル91,92に導入することが好ましい。これにより、洗浄ノズル91,92からろ液Wをろ布20の裏面20bに噴射してろ布20を洗浄できるため、洗浄液の使用量を少なくすることが可能であり、また、ろ液Wを有効利用できる。
【0022】
なお、図1では、ラインL3の場合と同様に、ラインL6,L7,L8の一部を、図面の見やすさを考慮して破線で示している。
【0023】
次に、汚泥10をろ過濃縮する汚泥処理部40について、図1及び図2を利用してより詳細に説明する。図2は、汚泥処理部40の構成図であり、汚泥処理部40の構成を模式的に示している。
【0024】
図1及び図2に示すように、汚泥処理部40は、無端状のろ布20と、一対のプーリ31,32と、その一対のプーリ31,32の上方に配置された一対のプーリ33,34と、下段のプーリ31,32と上段のプーリ33,34との間に鉛直方向に互いに離して配置されたプーリ35,36とを有する。プーリ33は、プーリ31のほぼ直上に位置しており、プーリ34はプーリ32のほぼ直上に位置している。また、プーリ35,36は、水平方向において、プーリ31(又はプーリ33)側よりプーリ32(又はプーリ34)側に配置されている。各プーリ31〜36は、図示していないフレームに回転自在に取りつけられている。
【0025】
プーリ31には、モータ等の駆動部37が取りつけられており、この駆動部37がプーリ31を所定の方向(図1の配置では右回り)に回転駆動することによって、無端状のろ布20が循環駆動するようになっている。すなわち、プーリ31はいわゆる駆動プーリであり、プーリ31と駆動部37とはろ布20を循環駆動させるための駆動手段38として機能している。
【0026】
また、プーリ35は、ろ布20の進行方向をガイドしながら、ろ布20の張りを調整するいわゆるテークアッププーリ(テンションローラ)であると共に、蛇行修正機として機能するものである。プーリ35は、その回転軸の両端部がそれぞれ独立に例えば水平方向に移動できるように上記フレーム(不図示)に設けられている。この場合、プーリ35の回転軸の両端部の移動方向及び移動量を同じにすることで、ろ布20への張力の大きさが調整されるため、プーリ35はテークアッププーリとして機能していることになる。また、プーリ35の回転軸の両端部の移動方向及び移動量をそれぞれ変えることで、プーリ35からろ布20へ加えられる張力の方向を調整できることになる。その結果、ろ布20の蛇行を修正でき、プーリ35は、蛇行修正機としても機能していることになる。上記プーリ35の回転軸の移動は、例えば、操作者がプーリ35の位置を調整してもよいし、ろ布20の伸び及び蛇行を検出するセンサ等を設け、そのセンサの検出結果に応じてプーリ35の位置を調整する機構を備えるようにしてもよい。
【0027】
また、プーリ32,34はいわゆるテールプーリであり、プーリ33,36はいわゆるアイドラープーリであり、これらは、ろ布20の進行方向をガイドするためのものである。
【0028】
ここでは、プーリ31を駆動プーリとしたが、他のプーリ32〜36の何れかを駆動プーリとしてもよい。また、プーリ35の代わりに、プーリ36をテークアッププーリであると共に蛇行修正機とすることも可能である。また、一例としてプーリ35の移動方向を水平方向としたが、ろ布20に張力を加えられる方向であればよい。
【0029】
汚泥処理部40は、上記のように配置された各プーリ31〜36に、表面20aが外側を向くように無端状のろ布20が掛け渡されて構成されており、図1及び図2に示すように、横向きの略U字状を為している。この構成では、ろ布20が循環駆動された場合、循環駆動されているろ布20の軌道上において、プーリ36を通過してからプーリ31に至る迄の部分が、略水平方向に汚泥10を搬送しながらろ過濃縮する第1のろ過部41として機能し、プーリ34を通過してからプーリ33に至る迄の部分が、略水平方向に汚泥10を搬送しながらろ過濃縮する第2のろ過部42として機能する。換言すれば、汚泥処理部40は、縦2段に配置されておりそれぞれ汚泥10をろ過濃縮可能な第1及び第2のろ過部41,42を有している。
【0030】
次に、ろ過濃縮機1を利用して汚泥10をろ過濃縮する方法について説明する。先ず、駆動部37を駆動してろ布20を循環駆動する。この際、凝集槽50によって凝集されて形成されるフロック状の汚泥10の一部をラインL3と第1の汚泥供給部51とを介して第1のろ過部41に供給する。また、フロック状の汚泥10の他の一部をラインL4と第2の汚泥供給部52とを介して第2のろ過部42に供給する。
【0031】
第1及び第2のろ過部41,42に供給された第1及び第2の汚泥11,12は、それぞれろ布20によって搬送方向A1(図1中において右側)に搬送されながらろ過され濃縮される。
【0032】
そして、第1及び第2のろ過部41,42においてそれぞれろ過濃縮された第1及び第2の汚泥11,12は、搬送方向A1から戻り方向A2への軌道の反転部近傍においてろ布20の表面20a側に設けられたスクレーパS1,S2で掻き取られ、シュート61,62を介して汚泥排出部70上に集められた後、汚泥排出部70によって系外に移送される。また、第1及び第2のろ過部41,42において第1及び第2の汚泥11,12がろ過濃縮されることで生じた分離液としてのろ液Wは、ピット81,82を介してろ液貯留槽83に集められる。そして、ろ液貯留槽83に集められたろ液Wは、ラインL7,L8を介して洗浄ノズル91,92に導入され、洗浄液としてろ布20の裏面20bに噴きつけられる。
【0033】
なお、ろ過濃縮機1の運転中に生じるろ布20の伸びや蛇行は、プーリ35の位置を調整して、ろ布20への張力の大きさ及びろ布20へ加える張力の方向を変えることによって修正する。
【0034】
上記ろ過濃縮機1では、縦2段に配置された第1及び第2のろ過部41,42において汚泥10(第1及び第2の汚泥11,12)を略水平方向に搬送しながらろ過濃縮するため、より多くの汚泥10を処理することができる。具体的には、一段の場合(例えば、第1のろ過部41だけの場合)に比べて、約2倍の汚泥をろ過濃縮することができる。また、第1のろ過部41の上方に第2のろ過部42が配置された縦2段の構成となっているため、ろ過濃縮機1の設置面積の低減も図られている。例えば、ろ過濃縮機を水平に2台並べると、結果として、2倍の設置面積を必要とするが、上記のように縦2段にすることで、設置面積はほぼ変わらない。従って、第1及び第2のろ過部41,42を縦2段に配置したろ過濃縮機1は、設置面積の増大を抑制しながら汚泥10の処理量を増大させることができている。
【0035】
ところで、通常、ろ布20では、その表面20aは汚泥10等の被脱水物をろ過濃縮するのに適したフィルタ機能を有するように形成されている一方、裏面20bはそのようなフィルタ機能を有さない。そのため、仮に、裏面20b側に汚泥10が供給されると、汚泥10のろ過濃縮を十分にできない場合がある。
【0036】
これに対して、ろ過濃縮機1では、図1及び図2に示すように配置されたプーリ31〜36によってろ布20をガイドしていることから、プーリ31〜36にろ布20を掛け渡したとき、ろ布20の同一面が外側を向くようになっている。そして、ろ過濃縮機1では、上述したように、ろ布20は、汚泥10をろ過濃縮可能な表面20aが外側を向くようにプーリ31〜36に掛け渡たされていることから、汚泥10が第1及び第2の汚泥供給部51,52を介して表面20a上に供給されることになる。そのため、第1及び第2のろ過部41,42において確実に汚泥10をろ過濃縮できる。また、上記のように、第1及び第2のろ過部41,42各々において、ろ布20の表面20aを利用して汚泥10をろ過濃縮するため、汎用のろ布20を使用できる。そのため、ろ過濃縮機1の製造コストの低減も図られている。更に、ろ布20における同一面としての表面20aを利用して汚泥10をろ過濃縮できるため、ろ布20の洗浄を効果的に実施することが可能である。
【0037】
また、ろ過濃縮機1では、無端状のろ布20を循環駆動させることによって第1及び第2のろ過部41,42において汚泥10をそれぞれろ過濃縮している。そのため、第1及び第2のろ過部41,42を設けていても駆動手段38は一つでよく、結果として、ろ過濃縮機1の構成の簡易化を図れており、また、電力の節約が図れている。
【0038】
更に、ろ過濃縮機1では、ろ布20の軌道の一部をガイドするプーリ35が、ろ布20へ加える張力の大きさを変えるためのテークアッププーリ(テンションローラ)として機能するので、ろ過濃縮機1が運転されて生じるろ布20の伸びを調整できる。また、上記プーリ35は、ろ布20の蛇行を修正する蛇行修正機でもあることから、より少ない構成要素でろ布20の蛇行を修正することができている。
【0039】
更にまた、ろ過濃縮機1では、プーリ31のほぼ直上にプーリ33が位置し、プーリ32のほぼ直上にプーリ34が位置しているため、第1のろ過部41における第1の汚泥11の搬送方向A1と第2のろ過部42における第2の汚泥12の搬送方向A1とがほぼ同じである。そのため、第1及び第2のろ過部41,42への第1及び第2の汚泥11,12の供給から排出までを、第1及び第2のろ過部41,42においてほぼ同様の条件で実施することができる。
【0040】
更に、第1及び第2の汚泥11,12の搬送方向A1が同じであることから、汚泥処理部40において汚泥10の後戻りがない。その結果、第1及び第2のろ過部41,42に対して同じ側にシュート61,62を配置することができている。そのため、ろ過濃縮された第1及び第2の汚泥11,12を一つの汚泥排出部70を利用して系外に移送することが可能となっており、ろ過濃縮機1の構成の簡略化が図られている。
【0041】
以上、本発明のろ過濃縮機の実施形態について説明したが、本発明のろ過濃縮機は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、プーリ33は、プーリ31のほぼ直上に位置するとし、プーリ34はプーリ32の直上に位置するとしたが、一対のプーリ31,32の上方に一対のプーリ33,34が配置されており、ろ布20の表面20aが外向きになるように掛け渡される配置であれば、特に限定されない。例えば、プーリ31,32間の距離より、プーリ33,34間の距離の方が長くなっており、水平方向においてプーリ31よりもプーリ33が右側に位置してもよいし、プーリ32よりもプーリ34が左側に位置していてもよい。また、例えば、上方からみた場合、第1のろ過部41と第2のろ過部42が異なる方向に延在している、言い換えれば、上方からみた場合、第1のろ過部41における第1の汚泥11の搬送方向A1と第2のろ過部42における第2の汚泥12の搬送方向A1とが一致していなくてもよい。
【0042】
また、汚泥処理部40のように第1及び第2のろ過部41,42を汚泥処理部40が有する場合、汚泥処理部40は、6個のプーリ31〜36を有するとしたが、無端状のろ布20を掛け渡すことで略U字状を形成できるように、最低4個のプーリがあればよい。すなわち、プーリ31,33と、プーリ35(又はプーリ36)と、プーリ32(又はプーリ34)が設けられていればよい。
【0043】
また、ろ過濃縮機1では、プーリ35をテークアッププーリとし、蛇行修正機の機能も有するとしたが、テークアッププーリは、プーリ36であってもよく、また、テークアッププーリとは別に蛇行修正機を設けてることも可能である。
【0044】
更にまた、上記実施形態では、ろ過濃縮機1は、2つの第1及び第2のろ過部41,42を有するとしたが、ろ過部の数は、2つに限定されず3つ以上でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るろ過濃縮機の一実施形態の構成図である。
【図2】汚泥処理部の構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1…ろ過濃縮機、10…汚泥、11…第1の汚泥、12…第2の汚泥、20…ろ布、20a…表面(同一面)、35…プーリ(テークアッププーリ)、38…駆動手段、41…第1のろ過部(ろ過部)、42…第2のろ過部(ろ過部)、61…シュート(第1の汚泥移送部)、62…シュート(第2の汚泥移送部)、70…汚泥排出部、A1…搬送方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ布に供給された汚泥を鉛直方向と略直交する方向に搬送しながらろ過濃縮するろ過部を有したろ過濃縮機において、
前記ろ過部は鉛直方向に複数設けられ、
前記ろ布は無端状に形成されて駆動手段で駆動されることによって前記各ろ過部を循環駆動すると共に、前記各ろ過部で前記ろ布の同一面上に前記汚泥が供給されることを特徴とするろ過濃縮機。
【請求項2】
前記ろ布に接するように設けられており、前記ろ布への張力の大きさを調整することによって前記ろ布の張りを調整すると共に、前記ろ布へ加える前記張力の方向を調整することによって前記ろ布の蛇行を修正するプーリを備えることを特徴とする請求項1に記載のろ過濃縮機。
【請求項3】
前記各ろ過部における前記汚泥の搬送方向が略同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のろ過濃縮機。
【請求項4】
前記各ろ過部でろ過濃縮された前記汚泥を排出する汚泥排出部と、
前記各ろ過部に対してそれぞれ設けられており、前記各ろ過部でそれぞれろ過濃縮された前記汚泥を前記汚泥排出部に移送する汚泥移送部と、
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のろ過濃縮機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−330862(P2007−330862A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163632(P2006−163632)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(507036050)住友重機械エンバイロメント株式会社 (88)
【Fターム(参考)】