説明

ろ過装置およびろ過方法

【課題】回収離型剤中の酸化スケール分離に好適なろ過装置およびろ過方法を提供する。
【解決手段】容器1内に不純物をろ過するフィルタ3を配置し、フィルタ3で区画される一方の室に入口配管4を介して不純物を含む原液を供給し、フィルタ3で区画される他方の室から出口配管5を介してフィルタ3で不純物をろ過した液を排出するろ過装置において、容器1内の液を流動させる流動手段7を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中の不純物を捕集して液体を浄化するろ過装置およびろ過方法に関し、特に、黒鉛粉等の潤滑剤を分散させた水溶液または油性液からなる熱間・温間鍛造用の離型剤の回収および再生に好適なろ過装置およびろ過方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍛造装置から回収した離型剤中には、鋼塊から剥がれ落ちた酸化鉄の皮膜(スケール)や熱間鍛造装置から漏れた作動油といった不純物が混入しており、これらの酸化スケールや油分を除去することにより、離型剤として再使用可能とする熱間鍛造用離型剤の再使用方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
これは、回収した離型剤を攪拌しながらマグネットセパレータに供給して、回収離型剤中の酸化スケールを磁力によって吸着することで除去するようにしている。
【特許文献1】国際公開WO00/03820公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例のように、必要に応じてタンク内の回収液の一部をポンプによりマグネットセパレータに供給して回収液に含まれる酸化スケールを分離し、酸化スケール分離済みの回収液は再び回収タンクに戻される方法では、回収タンク内の回収液中の酸化スケール成分を徐々にしか低減させることができない不具合がある。また、離型剤の噴射口にスプレーノズルを用いる際、噴射口孔り大きい不純物(ゴミ、潤滑剤の燃えカス等)も除去する必要がある。
【0005】
これを解消するために、フィルタを備えるろ過装置に回収液を供給してフィルタにより回収液中の酸化スケールを分離する方法も考えられるが、離型剤は黒鉛等を主成分とする微粒子の潤滑剤を分散させた水溶液で構成されているため、その流動状態が停止すると黒鉛等の潤滑剤成分と酸化スケールとが混ざり合った状態で沈殿を開始し、その沈殿物は、不純物を除去することを困難とするだけでなく、フィルタを目詰まりさせたり、ろ過容器内に泥状に固まる不具合が予想される。この不具合は、必要に応じて使用されるろ過装置では頻繁に発生し、常時使用しているろ過装置でも、不純物除去が進むにつれ、フィルタの一部が目詰まりし始め、目詰まりした部位に発生する。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、回収離型剤中の酸化スケール分離に好適なろ過装置およびろ過方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器内に不純物をろ過するフィルタを配置し、フィルタで区画される一方の室に入口配管を介して不純物を含む原液を供給し、フィルタで区画される他方の室から出口配管を介してフィルタで不純物をろ過した液を排出するろ過装置において、容器内の液を流動させる流動手段を設けるようにした。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、容器内で流動手段により液を流動させながらフィルタによりろ過するため、液に含まれる微粒子の容器内への沈殿を抑制でき、不必要にフィルタを目詰まりさせることなくフィルタ全面を使用でき、ろ過容器内に泥状に固まる不具合を解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のろ過装置およびろ過方法の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0010】
図1、2は、本発明を適用したろ過装置の第1実施例を示す横断面図および縦断面図、図3はろ過装置を適用するろ過システムの概略図、図4はろ過装置の第2実施例を示す断面図、図5はろ過装置の第3実施例の概略図、図6はろ過装置の第4実施例の概略図である。
【0011】
図1、2において、第1実施例のろ過装置は、円筒状の容器を構成するドラム1と、ドラム1内を仕切る仕切り壁2に取付けられてドラム1内を2つの室に仕切る筒状のフィルタ3と、フィルタ3に仕切られた一方の室にドラム1底部から不純物を含んだろ過前の液体を供給する入口配管4と、フィルタ3に仕切られた他方の室を構成するドラム1の他方の底部からフィルタ3ろ過後の液体を排出する出口配管5と、ドラム1を回転自在に支持する回転支持装置6と、回転可能となったドラム1を回転駆動する回転駆動装置7と、を備える。
【0012】
前記ドラム1は、円筒板1Aと底板1Bとが一体に形成された有底円筒状に形成された本体部分と、本体部分の開口を閉じるようにボルト等の固定手段1Dにより固定された蓋1Cとにより、円筒状の容器を構成している。前記蓋1Cは、円筒板の開口に固定したフランジに固定手段1Dを介して固定されるよう構成され、固定手段1Dを外すことにより本体部分から離脱可能であり、開口状態では、本体部分の内部のフィルタ3等の清掃や取外しが可能となる。底板1Bの中央には入口配管4が開口し、蓋1Cの中央には出口配管5が開口している。また、底板1Bには円筒板に跨って排出管1Eが接続されており、ドラム1の回転位置を調整して排出管1Eをドラム1容器の最下位置に位置させた状態で排出管1Eを開口させることにより、ドラム1容器内の内容物を排出可能としている。
【0013】
前記ドラム1の円筒板1Aの外周には、一対のレール6Aが周状に固定され、一対のレール6Aは回転支持装置6のローラ6Bにより回転可能に支持されている。円筒板1Aの外周には、また、リング歯車7Aが周状に固定され、回転駆動装置7のピニオン7Bに噛合うことによりドラム1は回転駆動されるよう構成している。ドラム1の円筒板1Aの内壁には、リング状の仕切り壁2が固定され、仕切り壁2の内周には有底円筒状のフィルタ3の開口端に固定のフランジをボルト等の固定手段により固定して備える。
【0014】
前記フィルタ3は、有底円筒状にフィルタ面を備える。フィルタ面を構成するメッシュの大きさは、離型剤に分散された黒鉛等の微粒子の通過を許容する一方は、鋼塊から剥がれ落ちた前記黒鉛より粒子が大きい酸化鉄の皮膜(酸化スケール)等の不純物の通過を阻止する大きさに設定している。離型剤の噴射口にスプレーノズルを用いる場合には、噴射口孔より小さいものを選定する。
【0015】
前記入口配管4および出口配管5は、ドラム1と共に回転可能な部分と、回転しない供給管および排出管と、の間をロータリジョイント4A、5Aを介して接続することにより、両者の相対回転を許容するよう構成している。
【0016】
前記回転支持装置6は、基礎に配置した転動可能な複数対のローラ6Bを備え、ローラ6Bを前記ドラム1の夫々のレール6Aに対して、複数箇所(図では、2箇所)で転動可能に接触させて、ドラム1をその場で回転可能に支持している。したがって、前記回転駆動装置7によりドラム1を回転駆動すると、ドラム1はローラ6Bにレール6Aを接触させた状態で回転される。
【0017】
以上の構成のろ過装置の動作について以下に説明する。
【0018】
図3は本実施形態のろ過装置が適用される離型剤の再生システムを示し、鍛造装置から排出された不純物を含む離型剤を貯留する回収タンク10と、不純物を分離した離型剤を再使用するために貯留する再使用液供給タンク11と、を備え、本実施形態のろ過装置は回収タンク10に貯留する離型剤から不純物を分離して再使用液供給タンク11に供給する過程で使用される。夫々のタンク10、11には攪拌装置10A、11Aが設置され、離型剤に分散されている微粒子からなる潤滑剤が沈殿しないように常時攪拌されている。
【0019】
前記ろ過装置を作動させる場合には、回収タンク10に貯留している離型剤をポンプ10Bにより汲み上げてろ過装置の入口配管4に供給し、ろ過装置のドラム1内に導入する。同時に回転駆動装置7を作動させてドラム1を回転駆動する。
【0020】
ドラム1内に導入された離型剤は、分散された微粉末からなる潤滑剤と酸化スケール等の不純物を分散して含むものであり、フィルタ3を通過する際に、分散された微粉末からなる潤滑剤はフィルタ3のメッシュを通過可能であるが、酸化スケール等の粒子径が大きい不純物はフィルタ3のメッシュ通過が阻止され、フィルタ3の片側に付着したり、離型剤中に再び分散されたりする。フィルタ3を通過した不純物が分離された離型剤は出口から再使用液供給タンク11に供給される。
【0021】
ドラム1と一体となったフィルタ3は、回転駆動装置7によりドラム1と共に回転されているため、離型剤の液面内に位置する時と液面外に位置する時とが交互に繰返され、通過する離型剤に対するフィルタ3作用面を順次新しくする。このため、離型剤に対する不純物分離機能をフィルタ3全面で発揮させることができる。
【0022】
また、ドラム1は回転駆動装置7により回転されているため、図2に示すように、その円筒状の内壁面が一方では上昇し、他方では下降する。このため、ドラム1内の離型剤はドラム1内壁面の回転による移動に対して、壁面と接触する外周部分は壁面と同じ速い速度で移動し、壁面から離れるに連れて壁面からの引き摺り力が減少してその移動速度が遅くなる。また、壁面に引き摺られて移動している外周部の液においても、壁面が離型剤の液面より高くなる側では、壁面から離脱されて液面表面を壁面から離れる方向(ドラム中央側)に向かって流れ、また、壁面が離型剤の液面より低くなる側では、離型剤を液面下方に引込み、液面表面を(ドラム中央側から)壁面側に引寄せる方向に向かって流れる。ドラム1の底面や蓋内面においても、同様の作用が生じている。
【0023】
同時に、ドラム1と共に回転するフィルタ3の表面においても、ドラム1内面と同様に、フィルタ3の表面と接触する部分はフィルタ面と同じ速い速度で移動し、フィルタ面から離れるに連れてフィルタ面からの引き摺り力が減少してその移動速度が遅くなる。また、フィルタ面に引き摺られて移動している離型剤においても、フィルタ面が離型剤の液面より高くなる側では、フィルタ面から離脱されて液面表面をフィルタ面から離れる方向に向かって流れ、また、フィルタ面が離型剤の液面より低くなる側では、離型剤を液面下方に引込み、液面表面をフィルタ面に引寄せる方向に向かって流れる。フィルタ3の底面においても、同様の作用が生じている。
【0024】
以上の作用により、ドラム1内のフィルタ3通過前および通過後のいずれの室の離型剤においても、ドラム1壁面とフィルタ3表面との接触による循環流が発生する。このため、離型剤に分散させている微粉末の潤滑剤が、ドラム1内で離型剤が静止されることにより生ずる沈殿を防止できる。
【0025】
離型剤に対する不純物の分離作業が必要量だけ終了した場合には、ポンプ10Bを停止させて回収タンク10からの離型剤供給を停止させる。しかしながら、ろ過装置内には既に供給された離型剤が存在するため、回転駆動装置7を停止させず、ドラム1の回転は継続される。このため、ろ過装置を使用していない時においても、ドラム1内の離型剤に含まれる微粒子からなる潤滑材が沈殿することを防止することができる。
【0026】
ろ過作動が長期間において見込まれない場合や予め設定した所定量のろ過作動を行った後には、ドラム1内清掃およびフィルタ3再生が実施される。この場合には、ドラム1を所定角度に停止させて、ドラム1内の離型剤をタンク12にドレーン口1Eから排出させてからドレーン口1Eを閉じ、回転駆動装置7によりドラム1を回転させ、洗浄液、例えば、洗浄水タンク13からの洗浄水をバルブ14を切換えて出口配管5から所定量だけドラム1内に導入する。ドラム1から入口配管4への洗浄水の排出を停止させた状態で、所定時間ドラム1を回転させる。ドラム1内では、洗浄水によりドラム1内壁面に付着した離型剤および不純物が洗い流され、フィルタ3に付着した離型剤および不純物も洗浄水に洗い流されて、洗浄水中に洗い流された離型剤及び不純物が混合される。この状態で、ドラム1を所定角度に停止させ、ドラム1内の洗浄水を排水としてドレーン口1Eから排出させて洗浄が完了する。
【0027】
なお、ドラム1内に内蔵させているフィルタ3の目詰まりが発生している場合においても、上記の洗浄作業が開始され、ドラム1内およびフィルタ3の洗浄が実行される。この場合におけるフィルタ3の詰りによる不純物除去効率の低下は、例えば、ろ過装置の前後の配管に圧力計を設置しておき、その差圧により判断して、洗浄するか否かを判断してもよい。また、フィルタ3の目詰まり頻度を下げるため、タンク10に国際特許WO00/03820に記載されているようなマグネットセパレータを付加したり、ポンプ10Bとドラム1との間の経路にマグネットフィルタを配置してもよい。
【0028】
図4はろ過装置の第2実施例を示し、図1に示す実施例のろ過装置においては水平に位置させたドラム1を備えるものであったが、本実施例におけるドラム1は、その軸心を傾斜させて配置している。このように傾斜させて配置したドラム1を備えるろ過装置においても、ドラム1の回転に起因するドラム1内の離型剤の循環流が発生して、第1実施例と同様に、離型剤中に分散された微粒子からなる潤滑材の沈殿を抑制することができる。
【0029】
なお、以上に記載した実施例において、ろ過装置のフィルタ3として、ドラム1の軸心と同心状態で一個の有底円筒状のフィルタ3を用いるものについて説明しているが、図示しないが、複数個(2個以上)の有底円筒状のフィルタをドラム1の軸心回りに等角度間隔で配置するものであってもよく、その場合には、フィルタ自体によって、新たにドラム1内の離型剤を掻き混ぜる作用が追加され、離型剤のドラム1内での流動がより一層強くすることができ、潤滑剤の沈殿をより一層防止することができ、また、同一の攪拌状態を得るためのドラム1自体の回転速度を低下させることができる。
【0030】
また、上記実施例において、ろ過装置に回収した離型剤を供給する場合において、回収タンク10に付設したポンプ10Bにより供給するようにしているが、図示しないが、離型剤の粘度が低い場合には、回収タンク10より下方にろ過装置を配置し、入口配管4に配置したバルブの開閉によって離型剤の供給および供給停止を切換えるようにしてもよく、また、離型剤の粘度が高い場合には、回収タンク10に強力なポンプを配置して離型剤をろ過装置に圧送するようにしてもよい。
【0031】
図5に示すろ過装置の第3実施例では、使用するフィルタとして平面状のフィルタ8を用いている構成で、第1、2実施例と相違しているが、その他の構成は、第1、2実施例と同様に構成している。この実施例においては、フィルタ8の離型剤との接触による循環流の発生が若干弱まるが、ドラム1内面の離型剤に対する循環流発生の作用には変化がなく、ドラム1内壁面による循環流により、離型剤中に分散された微粒子の潤滑剤の沈殿を抑制することができる。
【0032】
上記実施例において、ろ過装置のフィルタ8として、1枚の平面状のフィルタ8を用いるものについて説明しているが、図示しないが、複数枚の平面状のフィルタを直列状態でドラム1内に配列するものであってもよく、その場合には、入口配管4側から出口配管5側に向けて、メッシュの大きさを多段階に変化させ、一段目のフィルタで最も大きい粒子の不純物の通過を阻止し、2段目のフィルタでその次に大きい粒子の不純物の通過を阻止させ、順次メッシュの大きさを小さくしたものを配置するようにする。このように多段階にメッシュの大きさを変えることにより、出口配管5から洗浄液を導入しての洗浄時には、最終段のフィルタを通過しない大きさの粒子までの不純物をドラム1入口側に戻して排出させることができる。
【0033】
図6に示す改良された第4実施例のろ過装置においては、ドラム1の内壁面および/またはフィルタ3内面にフィン9を多数設けたものであり、その他の構成は省略しているが第1、2実施形態と同様に構成している。
【0034】
このろ過装置においては、ドラム1(および/またはフィルタ3)の内壁面に多数のフィン9を配置しているため、ドラム1(および/またはフィルタ3)の内壁面に接触している離型剤の外周側を内壁面と共に強制的に回転移動させることができる。このため、離型剤に強い循環流を発生させることができ、離型剤のより確実な攪拌が可能となる。
【0035】
前記ドラム1(および/またはフィルタ3)の内壁面に設けるフィン9は、ドラム1の軸芯に平行な平板状のフィンであっても、前記攪拌効果を十分に発揮するものであるが、このフィン9をドラム1(および/またはフィルタ3)の内壁面に螺旋状に捻った構造とする場合には、離型剤のドラム1内およびフィルタ3内での流動が、ドラム1の回転方向に生ずるのみでなくドラム1の軸方向にも発生させることができる。このため、潤滑剤からなる微粒子が離型剤中に均一に分散されることになり、より一層沈殿等の不具合の発生を抑制することができる。
【0036】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0037】
(ア)容器1内に不純物をろ過するフィルタ3を配置し、フィルタ3で区画される一方の室に入口配管4を介して不純物を含む原液を供給し、フィルタ3で区画される他方の室から出口配管5を介してフィルタ3で不純物をろ過した液を排出するろ過装置において、容器1内の液を流動させる流動手段7を設けるようにした。即ち、容器1内で流動手段7により液を流動させながらフィルタ3によりろ過するため、液に含まれる微粒子の容器内への沈殿を抑制でき、フィルタ3を不必要に目詰まりさせることなくフィルタ3の全面を使用でき、ろ過容器1内に泥状に固まる不具合を解消できる。この場合における、流動手段7としては、容器、1即ち、ドラム1を回転させることにより得ることができるが、ドラム1を回転させない場合には、容器1内に攪拌手段を配置するものであってもよい。
【0038】
(イ)第1、2実施例のように、流動手段7によりろ過装置を構成する容器1を回転させることにより容器1内の液を流動させる、即ち、容器1を円筒状のドラム1に形成し、内部に同心に配置され若しくは軸心回りに複数個が等間隔に配置された有底円筒状のフィルタ3を備え、前記ドラム1および/またはフィルタ3は、ドラム1軸心回りに回転されることによりドラム1内の液を流動させるものであることにより、フィルタ3の全面を利用して不純物をろ過することができる。
【0039】
(ウ)第3実施例のように、流動手段7によりろ過装置を構成する容器を回転させることにより容器1内の液を流動させる、即ち、容器1を円筒状のドラム1に形成し、ドラム1内を入口側と出口側とに区画する板状フィルタ8を1枚若しくは複数枚備え、前記ドラム1および/またはフィルタ8は、ドラム1軸心回りに回転されることによりドラム1内の液を流動させるものであることにより、フィルタ8の全面を利用して不純物をろ過することができる。
【0040】
(エ)第4実施例のように、ドラム1内壁面および/またはフィルタ3内壁面に、複数のフィン9を配置することにより、ドラム1内でより強い流動を発生させることができ、液のより確実な攪拌が可能となり、液に含まれる微粒子の沈殿を効果的に抑制することができる。
【0041】
(オ)フィン9として、ドラム1内壁面および/またはフィルタ3内壁面に螺旋状に配置すると、液のドラム1内およびフィルタ3内での流動が、ドラム1の回転方向に生ずるのみでなくドラム1の軸方向にも発生させることができ、例えば、潤滑剤からなる微粒子が液中に均一に分散されることになり、より一層沈殿等の不具合の発生を抑制することができる。
【0042】
(カ)容器若しくはドラム1の回転は、ろ過装置のろ過作用の中断中であっても作動が続けるようにすると、ろ過の中断中においても、液の停滞が発生せず、微粒子の沈殿を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のろ過装置は、ろ過すべき液中に潤滑剤として作用する黒鉛の微粒子を分散させた、例えば、鍛造装置に利用される離型剤へ混入した粒径の比較的大きい酸化スケール等の不純物を分離する場合のろ過装置であるが、これに限定されるものでなく、液中に混合した比較的粒径の小さい有効成分と比較的粒径の大きい不純物とが存在する場合における不純物を分離ろ過する場合に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示す第1実施例のろ過装置の横断面図。
【図2】同じく図1に示すろ過装置の縦断面図。
【図3】ろ過装置を適用するろ過システムの構成図。
【図4】第2実施例のろ過装置の断面図。
【図5】第3実施例のろ過装置の概略横断面図(A)および概略縦断面図。
【図6】第4実施例のろ過装置の概略横断面図(A)および概略縦断面図。
【符号の説明】
【0045】
1 容器、ドラム
2 隔壁
3、8 フィルタ
4 入口配管
5 出口配管
6 回転支持装置
7 回転駆動装置、流動手段
9 フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に不純物をろ過するフィルタを配置し、フィルタで区画される一方の室に入口配管を介して不純物を含む原液を供給し、フィルタで区画される他方の室から出口配管を介してフィルタで不純物をろ過した液を排出するろ過装置において、
容器内の液を流動させる流動手段を設けたことを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
前記流動手段は、ろ過装置を構成する容器を回転させることにより容器内の液を流動させるものであることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
前記容器は円筒状のドラムに形成され、内部に同心に配置され若しくは軸心回りに複数個が等間隔に配置された有底円筒状のフィルタを備え、
前記ドラムおよび/またはフィルタは、ドラム軸心回りに回転されることによりドラム内の液を流動させるものであることを特徴とする請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記容器は円筒状のドラムに形成され、ドラム内を入口側と出口側とに区画する板状フィルタを1枚若しくは複数枚備え、
前記ドラムおよび/またはフィルタは、ドラム軸心回りに回転されることによりドラム内の液を流動させるものであることを特徴とする請求項2に記載のろ過装置。
【請求項5】
前記ドラム内壁面および/またはフィルタ内壁面には、複数のフィンが配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のろ過装置。
【請求項6】
前記フィンは、ドラム内壁面および/またはフィルタ内壁面に螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のろ過装置。
【請求項7】
前記容器若しくはドラムの回転は、ろ過装置のろ過作用の中断中であっても作動が続けられていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一つに記載のろ過装置。
【請求項8】
容器内に不純物をろ過するフィルタを配置し、フィルタで区画される一方の室に入口配管を介して不純物を含む原液を供給し、フィルタで区画される他方の室から出口配管を介してフィルタで不純物をろ過した液を排出するろ過方法において、
容器内の液を流動させながらフィルタによりろ過させることを特徴とするろ過方法。
【請求項9】
前記容器内の液の流動は、ろ過の中断時においても継続されることを特徴とする請求項8に記載のろ過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−90202(P2007−90202A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281586(P2005−281586)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】