説明

アキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置

【課題】ワークを一列状に高速で整列して下流側に連続して供給することにある。
【解決手段】ランダムに供給される複数のキャップ(ワーク)Wを一時的に蓄えると共に、第1搬送面21から噴出するエアによって下流側に移送するアキュムレータ部2と、このアキュムレータ部2からその幅方向に分布した状態で供給される複数のキャップWを第2搬送面31から噴出するエアによって下流側に移送しながら一列状に整列させるシングルファイラ部3とを備え、シングルファイラ部3の幅は、左右に設けられたガイド部材36、37によって、アキュムレータ部2の幅からキャップWが一列状に移送可能な幅まで、下流側に向かって漸次狭く形成され、シングルファイラ部3におけるエアによるキャップWの移送速度は、アキュムレータ部2におけるエアによるキャップWの移送速度より高く設定すべく構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランダムに供給される複数のワークを一時的に蓄えることによって、ワークの供給量のばらつきを吸収し、これにより安定的に供給されるワークを一列状に整列させながら下流側に供給するアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボトルの口を閉塞するキャップ(ワーク)をキャッピングマシンに搬送する場合、キャップの姿勢を一定の方向に整えた後、このキャップを上記キャッピングマシンに間断なく供給する必要がある。
【0003】
この場合、姿勢調整部からランダムに供給されるキャップを一列状に整列させてキャッピングマシンに供給することになる。このため、ランダムに供給されるキャップを如何に速く一列状に整列させて連続的にキャッピングマシンに供給するかがキャッピングの能率を図る上で重要な課題となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ランダムに供給されるワークを一列状に高速で整列させることができると共に、間断なく下流側に供給することのできるアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置は、ランダムに供給される複数のワークを一時的に蓄えると共に、搬送面から噴出するエアによって下流側に移送するアキュムレータ部と、このアキュムレータ部から当該アキュムレータ部の幅方向に分布した状態で供給される複数のワークを搬送面から噴出するエアによって下流側に移送しながら一列状に整列させるシングルファイラ部とを備えてなり、上記シングルファイラ部の幅は、左右に設けられたガイド部材によって、上記アキュムレータ部の幅から上記ワークが一列状に移送可能な幅まで、下流側に向かって漸次狭くなるように形成されており、上記シングルファイラ部における上記エアによるワークの移送速度は、上記アキュムレータ部における上記エアによるワークの移送速度より高く設定されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置は、請求項1に記載の発明において、上記シングルファイラ部における幅方向の中心線に沿う部分の上記移送速度は、当該シングルファイラ部の他の部分の上記移送速度より高く設定され、上記シングルファイラ部における幅方向の端部の上記移送速度は、上記中心線に向かう方向の成分を有していることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置は、請求項1又は2に記載の発明において、上記シングルファイラ部における上記移送速度は、下流側に向かって漸次高くなるように設定されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、上記左右のガイド部材のうち一方のガイド部材から上記シングルファイラ部の内側に突出し上記一方のガイド部材の内面に沿って旋回移動する外周面を有する回転部材と、この回転部材を回転駆動する回転駆動手段とを備えてなり、上記回転部材は、上記外周面における上記シングルファイラ部の内側に突出する部分と他方のガイド部材とで上記ワークを上記シングルファイラ部の幅方向に2つ及び3つ並べた状態にして保持し得るように、上記外周面の径が設定されていると共に、上記シングルファイラ部に対する位置が設置されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置は、請求項4に記載の発明において、上記回転部材は、上記回転駆動手段による回転駆動によって、上記外周面の上記シングルファイラ部の内側への突出量が変化するように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜5に記載の発明によれば、ランダムに供給される複数のワークをアキュムレータ部において一時的に蓄えることによって、ワークの供給量のばらつきを吸収することができるので、ワークをシングルファイラ部に連続して供給することができる。
【0011】
また、シングルファイラ部の幅がガイド部材によって下流側に向かって漸次狭くなるように構成されているが、シングルファイラ部における移送速度がアキュムレータ部における移送速度より高く設定されているので、シングルファイラ部においてワークを一列状に整列する過程で、下流側のワークが上流側のワークから受ける押圧力を軽減することができる。
【0012】
このため、ワークが互いに押圧されることによって動きが鈍くなるのを低減することができるので、ワークを一列状にスムーズに整列させることができる。従って、ランダムに供給されるワークを一列状態に高速で整列させることができると共に、連続して下流側に供給することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、シングルファイラ部の中心線に沿う部分の移送速度が当該シングルファイラ部における他の部分より高く設定されていると共に、シングルファイラ部の幅方向の端部の移送速度が中心線に向かう方向の成分を有しているので、一列状に収斂される部分に向かうにしたがってより高速のワークの流れとなる。従って、ワークをより高速かつスムーズに一列状に整列させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、シングルファイラ部における移送速度が下流側に向かって漸次高くなるように設定されているので、ワークを一列状に整列する過程で、隣接するワーク同士が互いに受ける押圧力をより軽減することができる。
【0015】
このため、上記押圧力によってワークの動きが鈍くなるのをより効果的に抑えることができるので、ワークを一列状によりスムーズに整列させることができる。即ち、ワークを高速かつスムーズに一列状に整列されることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、例えば、エアによる移送が継続して行われているときに、シングルファイラ部の下流側において、ワークの移動を停止させると、アキュムレータ部から供給されるワークによってシングルファイラ部が充満した状態になり、当該シングルファイラ部における一列状に整列される直前の部位にワークがブリッジを構成するように並ぶことがあるが、当該部位に回転部材が設けられているので、上記ブリッジの構成を妨げることができ、当該ブリッジによって互いに膠着した状態となったワークにより、上記ワークの移動停止が解除された後も、シングルファイラ部からワークが搬出されなくなるという不具合が生じるのを防止することができる。
【0017】
即ち、シングルファイラ部における一列状に整列される直前の部位に、2つ又は3つのワークが幅方向に並ぶことによって、当該ワークを膠着状態に保持するブリッジが構成されることになる。しかし、回転部材の外周面が上記ブリッジを構成するワークを保持し得るように、回転部材の外周面の径及び当該回転部材の位置が設定されているので、回転部材を回転駆動することにより、上記ブリッジの発生を防止することできる。従って、シングルファイラ部の下流側においてワークの移動が停止した後、当該移動停止が解除されるような場合でも、シングルファイラ部からワークを滞りなく搬出することができる。
【0018】
また、回転部材は低速で回転するだけでブリッジの発生を充分防止することができるので、回転部材及び回転駆動手段の耐久性の向上を図ることができると共に、ワークに対して悪影響を生じることがない。
【0019】
そして、回転部材は、エアによる搬送がなされている間は常時回転駆動するようにしてもよい。この場合には、ワークを連続的に移送している状態において、当該ワークがシングルファイラ部に詰まるのを完全に防止することができる。また、この場合には、シングルファイラ部の下流側でワークの移動が停止し、当該シングルファイラ部にワークが充満している状態でも、回転部材がそのまま回転し続けることになるが、当該回転部材の回転速度が低いことから、回転部材、回転駆動手段及びワークに支障を生じることがない。
【0020】
但し、ワークの移動停止及び当該移動停止の解除に相当する電気信号がセンサ等から発せられる場合には、この信号に基づいて回転部材の停止、起動を行うようにしてもよい。この場合には、エアによるワークの移送停止及び移送再開も上記信号に基づいて行うことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、回転駆動手段による回転駆動によって、回転部材の外周面のシングルファイラ部の内側への突出量が変化するように構成されているので、ワークがブリッジを構成するのをより効果的に防止することができる。
【0022】
なお、回転部材の外周面のシングルファイラ部の内側への突出量が変化する構成は、円形の外周面を有する回転部材の偏心位置に回転駆動手段で回転駆動される回転中心部を設けること、あるいは非円形の外周面を有する回転部材の軸心位置あるいは偏心位置等に回転中心部を設けること等により構成することが可能である。また、上記非円形としては、例えば楕円形があげられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態としての一実施の形態について図1〜図5を参照しながら説明する。
【0024】
この実施の形態で示すアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置1は、図1〜図5に示すように、図示しない姿勢調整部からランダムに供給される複数のキャップ(ワーク)Wを一時的に蓄えると共に、第1搬送面21から噴出するエアによって搬送方向Aの下流側に移送するアキュムレータ部2と、このアキュムレータ部2から当該アキュムレータ部2の幅方向に分布した状態で供給される複数のキャップWを第2搬送面31から噴出するエアによって下流側に移送しながら一列状に整列させるシングルファイラ部3とを備えた構成になっている。なお、図1においては、キャップWの量を少なく描いている。
【0025】
ここで、搬送対象物として示したキャップWは、びんやボトル用のキャップであって、図4に示すように、一端が平面状に形成された端面部W1によって閉塞され、他端が開口すべく形成された円筒状のものであるが、平面状の端面部を1箇所にでも有するものであれば、搬送対象物、即ちワークとすることが可能である。このキャップWは、端面部W1が下方(第1搬送面21側)を向いた正規姿勢のものが上記姿勢調整部からアキュムレータ部2に供給されることになる。
【0026】
第1搬送面21及び第2搬送面31は、図1に示すように、帯状に延在する一枚の平板101の表面(上面)に連続して形成されていると共に、平板101の幅方向の中心線Cに対して左右対称に形成されている。平板101は、図2に示すように、圧縮空気が供給されるプレナム室Pを構成すべく横向きに設置された四角筒体100の上方の一側壁部によって構成されている。
【0027】
アキュムレータ部2の幅は、図1に示すように、左右に設けられたガイド部材26、27によって、複数のキャップWを幅方向に複数並べた状態で移送可能な寸法に設定されている。そして、アキュムレータ部2におけるガイド部材26、27の内側が上記第1搬送面21になっている。
【0028】
第1搬送面21には、上記エアを噴出する第1エア噴出孔22が千鳥状に複数開口している。この第1エア噴出孔22は、平板101の内面から第1搬送面21に向かって漸次搬送方向Aの下流側に位置するように傾斜されており、エアの噴出によって、キャップWを第1搬送面21から所定量浮上させながら、下流側に移送するようになっている。
【0029】
但し、アキュムレータ部2における幅方向の各端部に設けられた第1エア噴出孔22は、平板101の内面から第1搬送面21に向かって漸次搬送方向Aの下流側に位置すると共に、漸次幅方向の中心線C側に位置するように傾斜されており、キャップWを下流側に向かいかつ中心線C側に向かう方向に移送するようになっている。
【0030】
即ち、アキュムレータ部2におけるエアによるキャップWの移送速度は、図5に示すように、全体的に搬送方向Aの下流側に向かう方向の成分を有していると共に、アキュムレータ部2における幅方向の各端部から噴出するエアによるキャップWの移送速度は、更に中心線C側に向かう方向の速度成分を有している。なお、上記各端部から噴出するエアによるキャップWの移送速度は、中心線C側に向かう方向の成分のみであってもよい。
【0031】
シングルファイラ部3の幅は、図1に示すように、左右に設けられたガイド部材36、37によって、アキュムレータ部2の幅からキャップWが一列状に移送可能な幅まで、下流側に向かって漸次狭くなるように形成されている。ガイド部材36、37は、アキュムレータ部2のガイド部材26、27から連続して形成されている。そして、シングルファイラ部3におけるガイド部材36、37の内側が第2搬送面31に対応している。
【0032】
第2搬送面31には、上記エアを噴出する第2エア噴出孔32が千鳥状に複数開口していると共に、中心線C上に複数開口している。この第2エア噴出孔32は、平板101の内面から第2搬送面31に向かって漸次搬送方向Aの下流側に位置するように傾斜されており、エアの噴出によって、キャップWを第1搬送面21から所定量浮上させながら、下流側に移送するようになっている。
【0033】
なお、第1及び第2搬送面21、31から斜め上方に延在する第1及び第2噴出孔22、32の軸線と、第1及び第2搬送面21、31とのなす角度(鋭角側)を傾斜角度(図4のθに対応する)と定義すると、第2エア噴出孔32の傾斜角度θは、第1エア噴出孔22の傾斜角度θより、全体的に小さくなっている。即ち、シングルファイラ部3におけるエアによるキャップWの下流側への移送速度は、アキュムレータ部2におけるエアによるキャップWの下流側への移送速度より高くなっている。
【0034】
また、シングルファイラ部3における幅方向の中心線Cに沿う部分の第2エア噴出孔32の傾斜角度θは、当該シングルファイラ部3の他の部分の第2エア噴出孔32の傾斜角度θより小さく設定されている。即ち、シングルファイラ部3における幅方向の中心線Cに沿う部分のエアによるキャップWの移送速度は、当該シングルファイラ部3の他の部分の上記移送速度より高く設定されている。
【0035】
更に、シングルファイラ部3における幅方向の各端部の第2エア噴出孔32は、平板101の内面から第2搬送面31に向かって漸次搬送方向Aの下流側に位置すると共に、漸次幅方向の中心線C側に位置するように傾斜されており、キャップWを下流側に向かいかつ中心線C側に向かう方向に移送するようになっている。
【0036】
即ち、シングルファイラ部3におけるエアによるキャップWの移送速度は、図5に示すように、全体的に搬送方向Aの下流側に向かう方向の成分を有していると共に、シングルファイラ部3における幅方向の各端部から噴出するエアによるキャップWの移送速度は、更に中心線C側に向かう方向の速度成分を有している。なお、上記各端部から噴出するエアによるキャップWの移送速度は、図示のように、中心線C側に向かう方向の成分のみであってもよい。
【0037】
そして更に、シングルファイラ部3における各第2エア噴出孔32の傾斜角度θは、図4に示すように、下流側に位置するものほど小さく設定されている。即ち、シングルファイラ部3におけるエアによるキャップWの移送速度は、下流側に向かって漸次高くなるように設定されている。なお、キャップWが一列状に整列された後の第2搬送面31に開口する第2エア噴出孔32は、傾斜角度θが最も小さな状態(例えば30度)で一定に形成されている。
【0038】
また、図1に示すように、左右のガイド部材36、37のうち一方のガイド部材36からシングルファイラ部3の内側に突出し一方のガイド部材36の内面に沿って旋回移動する外周面41aを有する回転部材41と、この回転部材41を回転駆動するモータ(回転駆動手段)42とを備えている。
【0039】
回転部材41は、図1及び図3に示すように、外周面41aにおけるシングルファイラ部3の内側に突出する部分と他方のガイド部材37とでキャップWをシングルファイラ部3の幅方向に2つ及び3つ並べた状態にして保持し得るように、外周面41aの径が設定されていると共に、シングルファイラ部3に対する位置がモータ42及び当該モータ42を保持するブラケット43によって設定されている。
【0040】
回転部材41は、円板状に形成されており、その軸心41bに対して偏心した位置にモータ42の出力軸によって回転駆動される回転中心部41cが設けられている。即ち、回転部材41は、モータ42による回転駆動によって、外周面41aのシングルファイラ部3の内側への突出量が変化するように構成されている。また、外周面41aは、回転部材41の外周縁部に沿って設けられた摩擦係数の大きい材料、例えばゴム材料の層によって形成されている。なお、回転部材41の全体をゴム等の摩擦係数の大きい材料で一体に形成してもよい。
【0041】
モータ42は、シングルファイラ部3内に突出した回転部材41の外周面41aが搬送方向Aの上流側に移動するように、当該回転部材41を回転駆動するようになっている。
【0042】
ブラケット43は、平板101の表面に沿って移動可能なように、当該平板101にねじによって固定されている。そして、ブラケット43の設置位置を平板101の表面に沿って調整することにより、回転部材41の外周面41aがシングルファイラ部3内に突出する量を調整することが可能になっている。
【0043】
なお、ガイド部材36、37には、回転部材41の外周面41aをシングルファイラ部3内に突出させるためのスリット状の開口部が形成されている。また、ガイド部材36、37は、回転部材41に対応する位置で不連続になっているが、この部分も連続するように形成してもよい。
【0044】
また、プレナム室Pは、図2に示すように、アキュムレータ部2とシングルファイラ部3との境界部で仕切板102によって区切られており、アキュムレータ部2及びシングルファイラ部3に独立した圧力の空気を供給することが可能になっている。このため、プレナム室Pに供給される圧力によっても、シングルファイラ部3におけるエアによるキャップWの移送速度を、アキュムレータ部2におけるエアによるキャップWの移送速度より高くすることが可能になっている。
【0045】
上記のように構成されたアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置1においては、ランダムに供給される複数のキャップWをアキュムレータ部2において一時的に蓄えることによって、キャップWの供給量のばらつきを吸収することができるので、キャップWをシングルファイラ部3に連続して供給することができる。
【0046】
また、シングルファイラ部3の幅がガイド部材36、37によって下流側に向かって漸次狭くなるように構成されているが、シングルファイラ部3における移送速度が全体的にアキュムレータ部2における移送速度より高く設定されているので、シングルファイラ部3においてキャップWを一列状に整列する過程で、下流側のキャップWが上流側のキャップWから受ける押圧力を軽減することができる。
【0047】
このため、キャップWが互いに押圧されることによって動きが鈍くなるのを低減することができるので、キャップWを一列状にスムーズに整列させることができる。従って、ランダムに供給されるキャップWを一列状態に高速で整列させることができると共に、連続して下流側に供給することができる。
【0048】
また、シングルファイラ部3の中心線Cに沿う部分の移送速度が当該シングルファイラ部3における他の部分より高く設定されていると共に、シングルファイラ部3の幅方向の端部の移送速度が中心線Cに向かう方向の成分を有しているので、一列状に収斂される部分に向かうにしたがってキャップWの流れがより高速になる。従って、キャップWをより高速かつスムーズに一列状に整列させることができる。
【0049】
更に、シングルファイラ部3における移送速度が下流側に向かって漸次高くなるように設定されているので、キャップWを一列状に整列する過程で、隣接するキャップW同士が互いに受ける押圧力を更に軽減することができる。
【0050】
このため、押圧力によってキャップWの動きが鈍くなるのをより効果的に抑えることができるので、キャップWを一列状によりスムーズに整列させることができる。
【0051】
一方、例えば、アキュムレータ部2及びシングルファイラ部3におけるエアによる移送が継続して行われているときに、シングルファイラ部3の下流側において、キャップWの移動を停止させると、アキュムレータ部2から供給されるキャップWがシングルファイラ部3に充満した状態になり、当該シングルファイラ部3における一列状に整列される直前の部位にキャップWがブリッジを構成するように並ぶことがある。
【0052】
この場合、2つ又は3つのキャップWが幅方向に並ぶことによって、キャップWを膠着状態に保持するブリッジが構成されることになる。
【0053】
しかし、回転部材41の外周面41aがブリッジを構成するキャップWを保持し得るように、回転部材41の外周面41aの径及び当該回転部材41の位置が設定されているので、回転部材41を回転駆動することにより、上記ブリッジの発生を防止することできる。あるいは、発生した後のブリッジを崩壊させることができる。従って、シングルファイラ部3の下流側においてキャップWの移動が停止した後、当該移動停止が解除されるようなことがあった場合でも、シングルファイラ部3からキャップWを滞りなく搬出させることができる。
【0054】
また、回転部材41は低速で回転させるだけでブリッジの発生を充分防止することができると共に、発生した後のブリッジを崩壊させることができるので、回転部材41及びモータ42の耐久性の向上を図ることができると共に、キャップWに対して悪影響を与えることもない。
【0055】
そして、回転部材41は、アキュムレータ部2及びシングルファイラ部3においてエアによる搬送がなされている間中、常時回転駆動するようにしてもよい。この場合には、キャップWを連続的に移送している状態において、当該キャップWがシングルファイラ部3に詰まるのを完全に防止することができる。また、この場合には、シングルファイラ部3の下流側でキャップWの移動が停止し、当該シングルファイラ部3にキャップWが充満している状態でも、回転部材41がそのまま回転し続けることになるが、当該回転部材41が低速で回転することから、回転部材41、モータ42及びキャップWに支障を来すことがない。
【0056】
但し、キャップWの移動停止及び当該移動停止の解除に相当する電気信号がセンサや制御装置等から発せられる場合には、この信号に基づいて回転部材41の停止、起動を行うようにしてもよい。また、この場合には、アキュムレータ部2及びシングルファイラ部3におけるエアによるキャップWの移送停止及び移送再開も上記信号に基づいて行うことができる。
【0057】
更に、モータ42による回転駆動によって、回転部材41の外周面41aのシングルファイラ部3の内側への突出量が変化するように構成されているので、キャップWがブリッジを構成するのをより効果的に防止することができる。
【0058】
また、アキュムレータ部2においては、第1エア噴出孔22の傾斜角度θが大きくなり、エアが上方に噴出する割合が大きくなるので、端面部W1が下方を向いていない不正規姿勢のキャップWがアキュムレータ部2に万一供給されるようなことがっても、第1エア噴出孔22から噴出するエアによって、当該不正規姿勢のキャップWを正規姿勢に変換することができる。
【0059】
即ち、第1エア噴出孔22から噴出するエアは、端面部W1が下方を向く正規姿勢のキャップWに対しては大きな抵抗として作用することがなく、第1搬送面21と端面部W1との間を円滑に流れることによって、キャップWを第1搬送面21に吸引しながら下流側に安定的に移送することになる。しかし、上記エアは、不正規姿勢のキャップWに対しては大きな抵抗となって作用するため、当該キャップWを第1搬送面21から浮き上がらせると共に、より抵抗の小さな正規姿勢に変換することになる。従って、アキュムレータ部2は、キャップWを正規姿勢に整える作用及び効果も有している。
【0060】
なお、上記実施の形態においては、円形の外周面41aを有する回転部材41の偏心位置にモータ42で回転駆動される回転中心部41cを設けるように構成したが、楕円形等の非円形の外周面を有する回転部材の軸心位置あるいは偏心位置等に回転中心部を設けることによって、当該外周面のシングルファイラ部3の内側への突出量を変化させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一の実施の形態として示したアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置の平面図である。
【図2】同アキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置の概略を示す斜視図である。
【図3】同アキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置の概略を示す平面図である。
【図4】同アキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置におけるシングルファイラ部の断面図であって、図1のVI−VI線に沿う断面図である。
【図5】同アキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置における移送速度の概略を示す平面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 アキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置
2 アキュムレータ部
3 シングルファイラ部
21 第1搬送面
31 第2搬送面
36 37 ガイド部材
41 回転部材
41a 外周面
41b 軸心
41c 回転中心部
42 モータ(回転駆動手段)
C 中心線
W キャップ(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムに供給される複数のワークを一時的に蓄えると共に、搬送面から噴出するエアによって下流側に移送するアキュムレータ部と、このアキュムレータ部から当該アキュムレータ部の幅方向に分布した状態で供給される複数のワークを搬送面から噴出するエアによって下流側に移送しながら一列状に整列させるシングルファイラ部とを備えてなり、
上記シングルファイラ部の幅は、左右に設けられたガイド部材によって、上記アキュムレータ部の幅から上記ワークが一列状に移送可能な幅まで、下流側に向かって漸次狭くなるように形成されており、
上記シングルファイラ部における上記エアによるワークの移送速度は、上記アキュムレータ部における上記エアによるワークの移送速度より高く設定されていることを特徴とするアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置。
【請求項2】
上記シングルファイラ部における幅方向の中心線に沿う部分の上記移送速度は、当該シングルファイラ部の他の部分の上記移送速度より高く設定され、
上記シングルファイラ部における幅方向の端部の上記移送速度は、上記中心線に向かう方向の成分を有していることを特徴とする請求項1に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置。
【請求項3】
上記シングルファイラ部における上記移送速度は、下流側に向かって漸次高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置。
【請求項4】
上記左右のガイド部材のうち一方のガイド部材から上記シングルファイラ部の内側に突出し上記一方のガイド部材の内面に沿って旋回移動する外周面を有する回転部材と、この回転部材を回転駆動する回転駆動手段とを備えてなり、
上記回転部材は、上記外周面における上記シングルファイラ部の内側に突出する部分と他方のガイド部材とで上記ワークを上記シングルファイラ部の幅方向に2つ及び3つ並べた状態にして保持し得るように、上記外周面の径が設定されていると共に、上記シングルファイラ部に対する位置が設置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置。
【請求項5】
上記回転部材は、上記回転駆動手段による回転駆動によって、上記外周面の上記シングルファイラ部の内側への突出量が変化するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のアキュムレータ・シングルファイラエア搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−36444(P2006−36444A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218087(P2004−218087)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】