説明

アクチュエータ駆動装置

【課題】高精度なフルデジタル制御のアクチュエータ駆動装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータ駆動装置は、フィードバックされたデジタル信号でトルク指令デジタル信号の位相補償を行うデジタルフィルタ(10)と、デジタルフィルタの出力に応じて、パルス幅変調された複数のPWM制御信号を生成するデジタルPWM生成部(11)と、複数のPWM制御信号に応じて第1および第2の端子電圧を切り替えて出力するHブリッジ部(12)と、第1および第2の端子電圧をそれぞれA/D変換する第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器(13)と、第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力のデシメーション処理をしてデジタルフィルタにデジタル信号をフィードバックするフィードバックフィルタ(14)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ駆動装置に関し、特に、フルデジタル制御のアクチュエータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータ駆動装置はさまざまな製品に広く用いられており、例えば光ディスク装置では、光ピックアップのチルト方向、トラッキング方向、フォーカス方向の各制御、光ピックアップをディスク径方向に移動させるスレッドモータの制御、光ディスクを出し入れするためのローディングモータの制御、光ディスクを回転駆動するスピンドルモータの制御などに用いられる。
【0003】
一般に、アクチュエータ駆動装置は、負荷に流れる電流をセンス抵抗で検出し、検出信号をフィードバックしてトルク指令信号の位相補償をして負荷をPWM駆動する。これまで、位相補償フィルタおよびPWM信号生成部はアナログ回路で実現されるのがほとんどであった(例えば、特許文献1参照)。このため、光ピックアップの駆動などに用いられる非常に高い精度が要求されるアクチュエータ駆動装置では、プロセスばらつきや温度ばらつきを吸収するために設計マージンやレイアウトサイズを十分大きく確保しなければならず、さらには補償回路を設ける必要もあった。また、信号帯域が低いため、位相補償フィルタの素子定数を大きくせざるを得ず、外付けの抵抗素子や容量素子が必要であった。このため、小面積化や省電力化の対応が難しかった。
【0004】
また、近年の光ディスク制御はデジタル化が進みつつあり、制御コントローラから出力されるトルク指令信号もデジタル化されつつある。しかし、アクチュエータ駆動装置がアナログ方式であるため、トルク指令デジタル信号をD/A変換器でアナログ信号に変換しなければならない。上述したように光ディスク装置にはさまざまな制御対象が存在するため、トルク指令信号も複数存在し、その数だけD/A変換器が必要である。さらに、10ビット以上の精度が要求されるアクチュエータについてはD/A変換器の消費電力は相当大きくなる。今後はさらに回路規模と消費電力が大きくなることが予想される。
【0005】
そこで、上記のアナログ方式の欠点を克服すべくアクチュエータ駆動装置をフルデジタル化することが提案されている。例えば、フルデジタル制御のアクチュエータ駆動装置は、負荷に流れる電流をセンス抵抗で検出し、検出信号をA/D変換してフィードバックしてデジタル領域でトルク指令信号の位相補償をして負荷をPWM駆動している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−353830号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】小堀康功ほか、「ΔΣ変調ADCを用いたモータ駆動用ディジタル信号処理方式の検討」、信学技報、vol.107、no.382、ICD2007-130、2007年12月、pp.59-64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のフルデジタル制御のアクチュエータ駆動装置ではセンス抵抗から発生する熱雑音によって制御精度が劣化するおそれがある。そこで、本発明は、センス抵抗を用いることなく、高精度なフルデジタル制御のアクチュエータ駆動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1局面に従うと、入力されたトルク指令デジタル信号に応じて第1および第2の端子電圧を切り替えて出力してアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動装置は、フィードバックされたデジタル信号で前記トルク指令デジタル信号の位相補償を行うデジタルフィルタと、前記デジタルフィルタの出力に応じて、パルス幅変調された複数のPWM制御信号を生成するデジタルPWM生成部と、前記複数のPWM制御信号に応じて前記第1および第2の端子電圧を切り替えて出力するHブリッジ部と、前記第1および第2の端子電圧をそれぞれA/D変換する第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器と、前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力のデシメーション処理をして前記デジタルフィルタに前記デジタル信号をフィードバックするフィードバックフィルタとを備えている。
【0010】
これによると、Hブリッジ部から出力される第1および第2の端子電圧がそれぞれ独立に高精度にA/D変換されてその差分値がデジタルフィルタにフィードバックされるため、極めて高精度なアクチュエータ駆動が可能となる。
【0011】
例えば、前記フィードバックフィルタは、前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力をそれぞれフィルタリング処理する第1および第2のデシメーションフィルタと、前記第1および第2のデシメーションフィルタの出力の差分を算出して当該差分を表すデジタル信号を前記デジタルフィルタにフィードバックする差動/シングル変換部とを有する。あるいは、前記フィードバックフィルタは、前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力の差分を出力する差動/シングル変換部と、前記差動/シングル変換部の出力をフィルタリング処理するデシメーションフィルタとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、フルデジタル制御のアクチュエータ駆動装置の高精度化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図2】一例に係るHブリッジ部の構成図である。
【図3】第1の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図4】第2の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図5】第2の例に係るデジタルPWM生成部のタイミングチャートである。
【図6】図5に対応するHブリッジ部の出力のタイミングチャートである。
【図7】第3の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図8】第4の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図9】第5の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図10】第6の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図11】第6の例に係るデジタルPWM生成部におけるパルス生成部の構成図である。
【図12】図11のパルス生成部によるSFUのパルス生成例に係るタイミングチャートである。
【図13】第7の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図14】エッジ位置調整後のデジタルPWM生成部の出力およびHブリッジ部の出力のタイミングチャートである。
【図15】第8の例に係るデジタルPWM生成部の構成図である。
【図16】フィードバックフィルタの構成図である。
【図17】第2の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図18】第3の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図19】第3の実施形態の変形例に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図20】第4の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図21】第4の実施形態の変形例に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図22】第4の実施形態の変形例に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図23】第5の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図24】第6の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【図25】第6の実施形態の変形例に係るアクチュエータ駆動装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成を示す。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の駆動対象である負荷100は、例えば、図示しないアクチュエータの一部であるボイスコイルモータなどである。負荷100にF端子電圧FOUTが印加されると負荷100に順方向の電流が流れてアクチュエータは順方向に運動する。一方、負荷100にR端子電圧ROUTが印加されると負荷100に逆方向の電流が流れてアクチュエータは逆方向に運動する。さらに、負荷100に供給される電流量に応じてアクチュエータに発生するトルクが変化する。すなわち、負荷100により多くの電流が供給されるとアクチュエータにより大きなトルクが発生する。
【0015】
本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置は、図示しない外部のコントローラから入力されたトルク指令デジタル信号TQに応じてFOUTおよびROUTの出力切り替えおよびPWM制御を行う。すなわち、当該アクチュエータ駆動装置は、FOUTおよびROUTの出力を切り替えることで負荷100への通電方向を切り替え、さらに、FOUTおよびROUTのパルス幅を制御することで負荷100に供給される電流量を制御する。
【0016】
具体的には、当該アクチュエータ駆動装置は、デジタルフィルタ10、デジタルPWM生成部11、Hブリッジ部12、2つの連続時間型ΔΣA/D変換器13、およびフィードバックフィルタ14を備えている。これら構成要素のうち負荷100とのインタフェースとなるHブリッジ部12および2つの連続時間型ΔΣA/D変換器13以外はすべてデジタル回路として構成することができる。以下、これら構成要素について詳細に説明する。
【0017】
Hブリッジ部12は、4つのPWM制御信号SFU、SFL、SRU、およびSRLによって制御され、FOUTおよびROUTを出力する。図2は、Hブリッジ部12の一構成例を示す。Hブリッジ部12は、例えば、F側の上側スイッチとしてPMOSトランジスタ121、F側の下側スイッチとしてNMOSトランジスタ122、R側の上側スイッチとしてPMOSトランジスタ123、およびR側の下側スイッチとしてNMOSトランジスタ124を備えている。PMOSトランジスタ121および123のソースはいずれも電源ノードに接続され、NMOSトランジスタ122および124のソースはいずれもグランドノードに接続されている。PMOSトランジスタ121のドレインとNMOSトランジスタ122のドレインとは互いに接続されており、当該接続点からFOUTが出力される。PMOSトランジスタ123のドレインとNMOSトランジスタ124のドレインとは互いに接続されており、当該接続点からROUTが出力される。
【0018】
PMOSトランジスタ121はSFUによってスイッチング制御される。NMOSトランジスタ122はSFLによってスイッチング制御される。PMOSトランジスタ123はSRUによってスイッチング制御される。PMOSトランジスタ124はSRLによってスイッチング制御される。SFUをLレベル、SRLをHレベルにしてPMOSトランジスタ121およびNMOSトランジスタ124をオン制御するとともに、SRUをHレベル、SFLをLレベルにしてPMOSトランジスタ123およびNMOSトランジスタ122をオフ制御すると、FOUTが出力される。一方、SRUをLレベル、SFLをHレベルにしてPMOSトランジスタ123およびNMOSトランジスタ122をオン制御するとともに、SFUをHレベル、SRLをLレベルにしてPMOSトランジスタ121およびNMOSトランジスタ124をオフ制御すると、ROUTが出力される。
【0019】
図1に戻り、デジタルフィルタ10は、フィードバックフィルタ14からフィードバックされるデジタル信号SFBでTQの位相補償を行ってデジタル信号FLTOUTを出力する。TQは、アクチュエータの運動方向およびトルクを指示するデジタル信号である。例えば、TQの正負符号はアクチュエータの運動方向を示し、TQの絶対値はトルクの大きさを示す。デジタルフィルタ10の伝達関数は、アナログ方式のアクチュエータ駆動装置において位相補償に用いられるアナログフィルタの伝達関数を双一次変換したものに相当する。具体的には、デジタルフィルタ10は、TQとSFBとの差分値に対してPI制御やPID制御などを行ってFLTOUTを生成する。なお、TQ、SFB、およびFLTOUTの信号ビット幅は任意であり、互いに異なるビット幅であってもよい。
【0020】
デジタルPWM生成部11は、FLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。ここで、FLTOUTの正負極性によってFOUTおよびROUTのいずれを出力すべきか、また、FLTOUTの絶対値によってFOUTまたはROUTの出力パルス幅が一意に決まる。したがって、デジタルPWM生成部11は、PWM周期ごとに、FLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、FLTOUTの絶対値に応じて当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。例えば、デジタルPWM生成部11は、PWM周波数に対して十分に早いクロック信号で動作するカウンタ(不図示)でFLTOUTの絶対値に相当する時間をカウントして当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0021】
以下、デジタルPWM生成部11のいくつかの好ましい構成例を紹介する。
【0022】
≪デジタルPWM生成部11の構成例1≫
図3は、第1の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、ΔΣ変調部111およびパルス生成部118を備えている。
【0023】
ΔΣ変調部111は、入力されたMビット幅のFLTOUTをΔΣ変調してその下位ビットを丸めてNビット化したFLTOUTを生成する。
【0024】
パルス生成部118は、Nビット幅のFLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、Nビット幅のFLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、PWM周波数に対して十分に早いクロック信号で動作するカウンタ(不図示)でNビット幅のFLTOUTの絶対値に相当する時間をカウントして当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0025】
ΔΣ変調部111がない場合、パルス生成部118はMビット相当のPWM解像度を実現するために高速な動作クロック信号で動作しなければならず、消費電力が大きくなる。これに対して、本例のように、デジタルPWM生成部11の入力段においてΔΣ変調部111によってFLTOUTのビット幅をNビットに丸めることで、パルス生成部118はNビット相当のPWM解像度を実現すればよくなり、動作クロック信号の周波数を下げて消費電力を低減することができる。さらに、単にMビット幅のFLTOUTの下位ビットを切り捨てるのではなくΔΣ変調によってNビットに丸めているため、時間方向で平均すると、パルス生成部118は実質的にMビット相当のPWM解像度を実現することができる。
【0026】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、消費電力を低減しつつ高解像度のPWM制御を実現することができる。
【0027】
≪デジタルPWM生成部11の構成例2≫
図4は、第2の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、オフセット加算部112およびパルス生成部118を備えている。
【0028】
オフセット加算部112は、入力されたFLTOUTの値がゼロ近傍のとき、FLOUTに時間平均値がゼロとなるように正または負のオフセット値を加算する。例えば、オフセット加算部112は、入力されたFLTOUTの絶対値がゼロ近傍の閾値よりも小さいとき、PWM周期ごとにオフセット値の正負符号を反転してFLTOUTに加算する。
【0029】
FLTOUTにオフセット値を加算する理由は、FLTOUTの値がゼロ近傍だと負荷100に含まれるインダクタ成分に流れる電流はほぼゼロになり、その状態で突然大きなトルク指令を受けても負荷100にすぐに電流が流れずに応答特性が劣化するところ、FLTOUTの値がゼロ近傍の場合には敢えてFLTOUTにオフセット値を付加して負荷100を常時電流が流れる状態にして応答特性を向上させるためである。
【0030】
パルス生成部118は、オフセット加算後のFLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、オフセット加算後のFLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、PWM周波数に対して十分に早いクロック信号で動作するカウンタ(不図示)でオフセット加算後のFLTOUTの絶対値に相当する時間をカウントして当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0031】
本例に係るデジタルPWM生成部11の動作について図5のタイミングチャートを参照しながら説明する。例えば、デジタルPWM生成部11は、PWM生成クロックに同期して動作するPWM周期カウンタによってPWM周期を1024に分割して10ビット相当のPWM解像度を実現する。オフセット加算部112は、入力されたFLTOUTを次のPWM周期の始めでリサンプリングする。例えば、FLTOUTとして“28”が入力され、当該値があるPWM周期でリサンプリングされたとする。この場合、“28”の絶対値は閾値である“32”よりも小さいため、オフセット加算を示すフラグが設定される。オフセット加算を示すフラグが設定されている場合、オフセット加算部112は、リサンプリングされたFLTOUTの値“28”を2倍してそれにオフセット値“48”を加算した値“104”をオフセット加算後のFLTOUTとして出力する。
【0032】
次のPWM周期ではオフセット減算を示すフラグが設定される。オフセット減算を示すフラグは、オフセット加算を示すフラグをPWM1周期遅らせたものである。オフセット減算を示すフラグが設定されている場合、オフセット加算部112は、値“0”からオフセット値“48”を減算した値“−48”をオフセット加算後のFLTOUTとして出力する。ここで、オフセット加算のベースとなる値が“0”である理由は、前のPWM周期でリサンプリングされたFLTOUTの値を2倍して出力しているため、このPWM周期ではリサンプリングされたFLTOUTの値を出力する必要がないからである。
【0033】
このように、オフセット加算部112は、値“28”のFLTOUTが入力された場合、オフセット加算後のFLTOUTとして値“104”を出力し、次のPWM周期で値“−48”を出力する。これらオフセット加算部112からPWM2周期に亘って出力されたオフセット加算後のFLTOUTのPWM周期平均値は“28”(=(104−48)/2)であり、入力されたFLOUTの値と等しい。すなわち、図6に示したように、オフセット加算によってFOUTのパルス幅が当該加算した分だけ長くなるが、次のPWM周期で当該加算した分に相当するパルス幅のROUTが出力されることでFOUTのオフセット加算分はキャンセルされる。
【0034】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、FLTOUTの値がゼロ近傍となっても、負荷100に常時電流が流れる状態にしつつ負荷100に対して当該値に応じた駆動を実現することができる。これにより、FLTOUTの値がゼロ近傍となったときの当該アクチュエータ駆動装置の応答特性を向上させることができる。
【0035】
なお、上記の閾値およびオフセット値はあくまでも一例であり、任意の値が設定可能である。また、オフセット加算方法についても上記例に限られない。
【0036】
≪デジタルPWM生成部11の構成例3≫
図7は、第3の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、のこぎり波生成部113およびパルス生成部118を備えている。
【0037】
のこぎり波生成部113は、PWM周期ごとに初期値から単調増加または単調減少する値を表すデジタル信号を出力する。例えば、のこぎり波生成部113は、PWM周期ごとにリセットされるアップカウンタまたはダウンカウンタで実現することができる。
【0038】
パルス生成部118は、FLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、FLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定する。さらに、パルス生成部118は、FLTOUTの絶対値とのこぎり波生成部113の出力値とを比較して当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。例えば、パルス生成部118は、のこぎり波発生部114の出力値よりもFLTOUTの絶対値の方が小さい間は当該制御すべき信号をHレベルなどの所定の論理レベルに固定する。
【0039】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、SFU、SFL、SRU、およびSRLのパルスをPWM周期の始まりに発生させることができるため、TQの変化に対する当該アクチュエータ駆動装置の応答特性を早くすることができる。
【0040】
≪デジタルPWM生成部11の構成例4≫
図8は、第4の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、三角波生成部114およびパルス生成部118を備えている。
【0041】
三角波生成部114は、PWM周期ごとに下限値と上限値との間の単調増加および単調減少する値を表すデジタル信号を出力する。例えば、三角波生成部114は、PWM周期ごとにリセットされるアップダウンカウンタで実現することができる。
【0042】
パルス生成部118は、FLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、FLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定する。さらに、パルス生成部118は、FLTOUTの絶対値と三角波生成部114の出力値とを比較して当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。例えば、パルス生成部118は、三角波生成部114の出力値よりもFLTOUTの絶対値の方が小さい間は当該制御すべき信号をHレベルなどの所定の論理レベルに固定する。
【0043】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、SFU、SFL、SRU、およびSRLのパルスをPWM周期の中央で発生させることができるため、TQの変化に対する当該アクチュエータ駆動装置の応答特性を滑らかにすることができる。
【0044】
≪デジタルPWM生成部11の構成例5≫
図9は、第5の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、のこぎり波/三角波生成部115およびパルス生成部118を備えている。
【0045】
のこぎり波/三角波生成部115は、PWM周期ごとに初期値から単調増加または単調減少する値を表すデジタル信号、またはPWM周期ごとに下限値と上限値との間の単調増加および単調減少する値を表すデジタル信号を出力する。のこぎり波/三角波生成部115は、入力されたFLTOUTの絶対値の大きさに応じて、いずれの波形のデジタル信号を出力するかを決める。例えば、のこぎり波/三角波生成部115は、PWM周期ごとにリセットされるアップカウンタおよびダウンカウンタを組み合わせて構成することができる。
【0046】
パルス生成部118は、FLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、FLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定する。さらに、パルス生成部118は、FLTOUTの絶対値とのこぎり波/三角波生成部115の出力値とを比較して当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。例えば、パルス生成部118は、のこぎり波/三角波生成部115の出力値よりもFLTOUTの絶対値の方が小さい間は当該制御すべき信号をHレベルなどの所定の論理レベルに固定する。
【0047】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、SFU、SFL、SRU、およびSRLのパルスをFLTOUTの絶対値の大きさに応じてPWM周期の始まりまたは中央で発生させることができるため、TQの変化に対する当該アクチュエータ駆動装置の応答特性を早くかつ滑らかにすることができる。
【0048】
≪デジタルPWM生成部11の構成例6≫
図10は、第6の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、DLL(Delay Locked Loop)116およびパルス生成部118を備えている。
【0049】
DLL116は、入力された基準クロック信号を僅かずつずらして互いに位相の異なる多相クロック信号を生成する。本例に係るデジタルPWM生成部11のPWM解像度は、当該多相クロック信号の最小位相差によって決まる。したがって、当該多相クロック信号の最小位相差はPWM周期よりも十分に小さくする。なお、基準クロック信号はPWM周期に同期していればよく、基準クロック信号の周波数はPWM周波数よりも遅くてもよい。
【0050】
パルス生成部118は、FLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、DLL116から出力される多相クロック信号のうちFLTOUTの正負極性および絶対値によって一意に決まるいずれか2つのクロック信号について論理演算を行ってSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。
【0051】
図11は、本例に係るデジタルPWM生成部11におけるパルス生成部118の構成例を示す。パルス生成部118は、デコーダ1181、8つのセレクタ1182、および4つのANDゲート1183を備えている。デコーダ1181は、FLTOUTをデコードして8つのセレクタ1182のそれぞれを制御するための制御信号を出力する。各セレクタ1182は、デコーダ1181から入力された制御信号に応じて多相クロック信号の中からいずれか一つを選択して出力する。各ANDゲート1183は、2つのセレクタ1182から出力されるクロック信号のAND演算を行う。4つのANDゲート1183の出力が、それぞれ、SFU、SFL、SRU、およびSRLに該当する。
【0052】
図12のタイミングチャートを参照しながらパルス生成部118によるSFUのパルス生成例について説明する。DLL116によってPWM周期の4倍の周期の基準クロック信号からPWM周期の1/4の最小位相差を有する8相クロック信号が生成されるとする。第n番目のPWM周期において、デコーダ1181は、SFUの生成に係る2つのセレクタ1182のうち一方に第1相のクロック信号を、他方に第4相のクロック信号を、それぞれ選択指示したとする。この場合、SFUの生成に係るANDゲート1183によって第1相のクロック信号と第4相のクロック信号とのAND演算が行われ、最小パルス幅、すなわちPWM周期の1/4の幅のパルスがSFUとして出力される。なお、デコーダ1181が第4相のクロック信号ではなく、第2相または第3相のクロック信号の選択指示をした場合には、SFUのパルス幅はPWM周期の2/4または3/4となる。
【0053】
続く第n+1番目のPWM周期において、デコーダ1181は、SFUの生成に係る2つのセレクタ1182のうち一方に第5相のクロック信号を、他方に第8相のクロック信号を、それぞれ選択指示したとする。この場合、SFUの生成に係るANDゲート1183によって第5相のクロック信号と第8相のクロック信号とのAND演算が行われ、最小パルス幅、すなわちPWM周期の1/4の幅のパルスがSFUとして出力される。なお、デコーダ1181が第8相のクロック信号ではなく、第6相または第7相のクロック信号の選択指示をした場合には、SFUのパルス幅はPWM周期の2/4または3/4となる。
【0054】
続く第n+2番目のPWM周期において、デコーダ1181は、SFUの生成に係る2つのセレクタ1182のうち一方に第1相のクロック信号の反転を、他方には第4相のクロック信号の反転を、それぞれ選択指示したとする。この場合、SFUの生成に係るANDゲート1183によって第1相のクロック信号の反転と第4相のクロック信号の反転とのAND演算が行われ、最小パルス幅、すなわちPWM周期の1/4の幅のパルスがSFUとして出力される。なお、各相のクロック信号の反転はDLL116が生成してもよいし、セレクタ1182内で生成することもできる。
【0055】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、PWM周波数よりも高速な動作クロック信号が不要となるため消費電力を大幅に低減することができる。これにより、当該アクチュエータ駆動装置全体の消費電力を低減することができる。
【0056】
≪デジタルPWM生成部11の構成例7≫
図13は、第7の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、パルス生成部118およびエッジ位置調整部119を備えている。
【0057】
パルス生成部118は、FLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、パルス生成部118は、PWM周期ごとに、FLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、PWM周波数に対して十分に早いクロック信号で動作するカウンタ(不図示)でFLTOUTの絶対値に相当する時間をカウントして当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0058】
エッジ位置調整部119は、パルス生成部118から出力されるSFU、SFL、SRU、およびSRLのエッジ位置を調整する。エッジ位置を調整する理由は、SFUおよびSRUの制御対象であるPMOSトランジスタとSFLおよびSRLの制御対象であるNMOSトランジスタとでは閾値電圧が互いに異なるため、例えば、SFUの立ち下がりエッジとSFLの立ち上がりエッジ位置が一致すると、図2に示したPMOSトランジスタ121がターンオフする前にNMOSトランジスタ122がターンオンしてPMOSトランジスタ121およびNMOSトランジスタ122からなるハーフブリッジに貫通電流が流れるからである。
【0059】
具体的には、SFUとSFLとのエッジ位置が一致する場合、エッジ位置調整部119は、SFUおよび/またはSFLのエッジ位置をずらして、図2に示したPMOSトランジスタ121およびNMOSトランジスタ122がいずれもオフするデッドタイムを確保する。同様に、SRUとSRLとのエッジ位置が一致する場合には、エッジ位置調整部119は、SRUおよび/またはSRLのエッジ位置をずらして、図2に示したPMOSトランジスタ123およびNMOSトランジスタ124がいずれもオフするデッドタイムを確保する。図14は、エッジ位置調整後のデジタルPWM生成部11の出力およびHブリッジ部12の出力のタイミングを示す。
【0060】
このように、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、Hブリッジ部12における貫通電流を防止することができる。
【0061】
≪デジタルPWM生成部11の構成例8≫
上記各例に係るデジタルPWM生成部11の構成要素は適宜組み合わせが可能である。図15は、第8の例に係るデジタルPWM生成部11の構成を示す。本例に係るデジタルPWM生成部11は、ΔΣ変調部111、オフセット加算部112、基準波生成部117、パルス生成部118、およびエッジ位置調整部119を備えている。
【0062】
ΔΣ変調部111は、入力されたMビット幅のFLTOUTをΔΣ変調してその下位ビットを丸めてNビット化したFLTOUTを生成する。
【0063】
オフセット加算部112は、入力されたNビット幅のFLTOUTの値がゼロ近傍のとき、Nビット幅のFLOUTに時間平均値がゼロとなるように正または負のオフセット値を加算する。例えば、オフセット加算部112は、入力されたNビット幅のFLTOUTの絶対値がゼロ近傍の閾値よりも小さいとき、PWM周期ごとにオフセット値の正負符号を反転してNビット幅のFLTOUTに加算する。
【0064】
基準波生成部117は、PWM周期ごとに初期値から単調増加または単調減少する値を表すデジタル信号、PWM周期ごとに下限値と上限値との間の単調増加および単調減少する値を表すデジタル信号、入力された基準クロック信号を僅かずつずらして互いに位相の異なる多相クロック信号のいずれかを出力する。具体的には、基準波生成部117は、上述したのこぎり波生成部113、三角波生成部114、のこぎり波/三角波生成部115、およびDLL116のいずれかである。
【0065】
パルス生成部118は、基準波生成部117から出力される信号を基準にして、オフセット加算後のFLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。
【0066】
エッジ位置調整部119は、パルス生成部118から出力されるSFU、SFL、SRU、およびSRLのエッジ位置を調整する。
【0067】
以上、本例に係るデジタルPWM生成部11によると、上記各例に特有の効果がすべて奏される。
【0068】
図1に戻り、2つの連続時間ΔΣA/D変換器13のうち一方は、PWM周期でFOUTをA/D変換してFADOUTを出力する。他方は、PWM周期でROUTをA/D変換してRADOUTを出力する。
【0069】
フィードバックフィルタ14は、FADOUTおよびRADOUTのデシメーション処理をしてデジタルフィルタ10にデジタル信号SFBをフィードバックする。すなわち、フィードバックフィルタ14は、オーバーサンプリングされたA/D変換結果をダウンサンプリングする機能および差動信号をシングル信号に変換する機能を有する。
【0070】
図16は、フィードバックフィルタ14の構成例を示す。図16(a)に示した例では、フィードバックフィルタ14は、2つのデシメーションフィルタ141、および差動/シングル変換部142を備えている。2つのデシメーションフィルタ141のうち一方は、FADOUTのLPF処理およびダウンサンプリングをしてFDECOUTを出力する。他方は、RADOUTのLPF処理およびダウンサンプリングをしてRDECOUTを出力する。差動/シングル変換部142は、FDECOUTおよびRDECOUTの差分を算出して当該差分値を表すSFBを出力する。一方、図16(b)に示した例では、フィードバックフィルタ14は、差動/シングル変換部142およびデシメーションフィルタ141を備えている。差動/シングル変換部142は、FADOUTおよびRADOUTの差分を出力する。デシメーションフィルタ141は、差動/シングル変換部142の出力のLPF処理およびダウンサンプリングをしてSFBを出力する。
【0071】
このように、2つの連続時間A/D変換器13およびフィードバックフィルタ14によって、PWM1周期当たりに負荷100に供給される電流値がSFBとして表される。
【0072】
フィードバックフィルタ14は、連続時間ΔΣA/D変換器13の変換誤差を補正するデジタル補正機能を有していてもよい。具体的には、フィードバックフィルタ14は、連続時間ΔΣA/D変換器13のLFP処理およびダウンサンプリングをした結果に対してオフセット調整およびゲイン調整をして当該調整後の値をFDECOUTまたはRDECOUTとして出力する。フィードバックフィルタ14が図16(a)に示した構成のときは、2つのデシメーションフィルタ141がそれぞれ当該デジタル補正を実行すればよい。一方、フィードバックフィルタ14が図16(b)に示した構成のときは、差動/シングル変換部142が当該デジタル補正を実行すればよい。
【0073】
オフセット調整値およびゲイン調整値は、FOUTまたはROUTに任意のテスト電圧を印加したときのA/D変換結果と理想値との誤差から算出することができる。これら調整値は製品出荷前の検査において算出してその後変更されないようにしてもよいし、あるいは、例えば当該アクチュエータ駆動装置が起動するたびに算出して更新されるようにしてもよい。
【0074】
また、フィードバックフィルタ14は、当該アクチュエータ駆動装置の系全体のDCオフセットを補正するデジタル補正機能を有していてもよい。具体的には、フィードバックフィルタ14は、FDECOUTとRDECOUTとの差分に対してオフセット調整をして当該調整後の値をSFBとして出力する。フィードバックフィルタ14が図16(a)に示した構成のときは、差動/シングル変換部142が当該デジタル補正を実行すればよい。一方、フィードバックフィルタ14が図16(b)に示した構成のときは、デシメーションフィルタ141が当該デジタル補正を実行すればよい。
【0075】
オフセット調整値は、当該アクチュエータ駆動装置のフィードバックループをオープンにした状態でTQとして“0”を与えたときのFDECOUTとRDECOUTとの差分から算出することができる。オフセット調整値は製品出荷前の検査において算出してその後変更されないようにしてもよいし、あるいは、例えば当該アクチュエータ駆動装置が起動するたびに算出して更新されるようにしてもよい。
【0076】
以上のように、本実施形態によると、Hブリッジ部12から出力されるFOUTおよびROUTが個別にA/D変換され、デジタル領域において差動/シングル変換が行われる。もし、A/D変換前にアナログ領域でFOUTおよびROUTの差動/シングル変換を行うとしたら、FOUTとROUTとは互いに逆極性の関係にない非対称な信号であることから、A/D変換器の前段に非常に複雑な構成の差動/シングル変換回路を配置しなければならない。これに対して、本実施形態によると、FOUTとROUTとの非対称性を考慮する必要がなく、フィードバックフィルタ14の回路構成を簡素化することができる。
【0077】
さらに、本実施形態によると、連続時間ΔΣA/D変換器13を用いてFOUTおよびROUTをオーバーサンプリングすることで、量子化ノイズを抑制してFOUTおよびROUTを高精度にA/D変換することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
図17は、第2の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成を示す。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置は、第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置に誤差積分部16を追加したものである。
【0079】
誤差積分部16は、デジタルフィルタ10から出力されるFLTOUTにTQとSFBとの誤差を積分した値を加算することでFLTOUTを補正する。
【0080】
デジタルPWM生成部11は、補正後のFLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、デジタルPWM生成部11は、PWM周期ごとに、補正後のFLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、補正後のFLTOUTの絶対値に応じて当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0081】
上記以外の構成および動作は第1の実施形態で説明した通りである。
【0082】
誤差積分部16がない場合には、例えば、Hブリッジ部12の電源電圧の変動などに起因する量子化誤差によってTQとSFBとの位相が若干ずれた状態でフィードバックループがロックされることがある。これに対して、本実施形態のように誤差積分部16を設けることで、TQとSFBとの位相がほぼ等しくなるようにフィードバックがかかる。これにより、当該アクチュエータ駆動装置をより高精度化することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
図18は、第3の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成を示す。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置は、第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置に保護検出部17を追加したものである。
【0084】
当該アクチュエータ駆動装置の出力が天絡または地絡した状態で負荷100を駆動し続けるとHブリッジ部12を構成するトランジスタが異常電圧によって破壊されるおそれがある。そこで、Hブリッジ部12を破壊から保護するために、保護検出部17は、FOUTおよびROUTがデジタルPWM生成部11の制御に従って正しく出力されているかどうかを検査し、不正な出力を検出すると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる。
【0085】
具体的には、フィードバックフィルタ14が図16(a)に示した構成である場合、保護検出部17は、デジタルPWM生成部11から出力されるSFU、SFL、SRU、およびSRL、ならびに2つのデシメーションフィルタ141からそれぞれ出力されるFDECOUTおよびEDECOUTが所定の論理条件を満たしていないことを検出すると保護信号PROOUTを出力する。なお、FDECOUTおよびRDECOUTについては全ビットを参照する必要はなく、FOUTおよびROUTが出力されているか否かが判別できればよいため、デシメーションフィルタ141の初段でH/Lの入力データを+1/−1の符号付きデータに変換すれば、デシメーションフィルタ141の出力値の符号ビットのみを参照すれば足りる。なお、参照の仕方はこの限りではない。
【0086】
例えば、図14に示したように、SFUおよびSFLがLレベル、SRUおよびSRLがHレベルのとき、FOUTが出力され、ROUTは出力されないはずである。ここで、FOUTが出力されていない、または、ROUTが出力されていれば、保護検出部17は論理条件が満たされていないことを検出してPROOUTを出力する。また、SFUおよびSFLがHレベル、SRUおよびSRLがLレベルのとき、ROUTが出力され、FOUTは出力されないはずである。ここで、ROUTが出力されていない、または、FOUTが出力されていれば、保護検出部17は論理条件が満たされていないことを検出してPROOUTを出力する。
【0087】
PROOUTは、例えば、デジタルPWM生成部11に入力される。デジタルPWM生成部11は、PROOUTを受けると、Hブリッジ部12におけるスイッチをすべてオフにするようにSFU、SFL、SRU、およびSRLの値を固定する。これにより、当該アクチュエータ駆動装置の出力が停止される。また、PROOUTをHブリッジ部12に入力して、Hブリッジ部12の動作を直接停止させてもよい。
【0088】
なお、図19に示したように、保護検出部17は、FDECOUTおよびRDECOUTに代えてFADOUTおよびRADOUTを参照してFOUTおよびROUTが出力されているか否かを判別してもよい。ただし、この場合、FADOUTおよびRADOUTを直接参照するのではなく、フィルタ171を介してFADOUTおよびRADOUTを積分した値を参照する必要がある。なお、フィルタ171は、例えば、FIRフィルタなどで実現することができる。
【0089】
(第4の実施形態)
図20は、第4の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成を示す。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置は、第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置に熱量算出部18を追加したものである。
【0090】
負荷100は抵抗成分を含むため電流を流すと熱を発する。そして、負荷100に絶えず電流が流れると熱が蓄積されて上昇し、その熱によって負荷100が破壊されるおそれがある。そこで、負荷100を破壊から保護するために、熱量算出部18は、負荷100に発生する熱量を算出し、当該熱量が閾値を越えると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる。
【0091】
具体的には、熱量算出部18は、デジタルフィルタ10から出力されるFLTOUTから負荷100に発生する熱量をPWM周期ごとに算出して初期値から累積し、当該累積熱量が閾値を超えると保護信号TEMPOUTを出力する。
【0092】
FLTOUTの絶対値が大きいとPWM制御のデューティ比が大きくなるため、負荷100に発生する熱量は大きくなる。一方、FLTOUTの絶対値が小さいとPWM制御のデューティ比が小さくなるため、負荷100に発生する熱量は小さくなり、場合によっては負荷100は放熱する、すなわち、熱量は負値となる。このように、負荷100に発生する熱量はFLTOUTから一意に決めることができる。したがって、熱量算出部18は、FLTOUTと発生熱量との対応関係が記録されたルックアップテーブルなどを参照することで、FLTOUTから負荷100に発生する熱量を容易に算出することできる。
【0093】
TEMPOUTは、例えば、デジタルPWM生成部11に入力される。デジタルPWM生成部11は、TEMPOUTを受けると、Hブリッジ部12におけるスイッチをすべてオフにするようにSFU、SFL、SRU、およびSRLの値を固定する。これにより、当該アクチュエータ駆動装置の出力が停止される。また、TEMPOUTをHブリッジ部12に入力して、Hブリッジ部12の動作を直接停止させてもよい。
【0094】
なお、図21に示したように、熱量算出部18は、FLTOUTに代えてフィードバックフィルタ14から出力されるSFBから負荷100に発生する熱量をPWM周期ごとに算出して初期値から累積し、当該累積熱量が閾値を超えると保護信号TEMPOUTを出力してもよい。あるいは、図22に示したように、熱量算出部18は、FLTOUTに代えてTQから負荷100に発生する熱量をPWM周期ごとに算出して初期値から累積し、当該累積熱量が閾値を超えると保護信号TEMPOUTを出力してもよい。
【0095】
(第5の実施形態)
図23は、第5の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成を示す。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置は、第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置に誤差積分部16、保護検出部17、および熱量算出部18を追加したものである。
【0096】
誤差積分部16は、デジタルフィルタ10から出力されるFLTOUTにTQとSFBとの誤差を積分した値を加算することでFLTOUTを補正する。
【0097】
デジタルPWM生成部11は、補正後のFLTOUTに応じてSFU、SFL、SRU、およびSRLを出力する。具体的には、デジタルPWM生成部11は、PWM周期ごとに、補正後のFLTOUTの正負極性によってSFU、SFL、SRU、およびSRLのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、補正後のFLTOUTの絶対値に応じて当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0098】
保護検出部17は、FOUTおよびROUTがデジタルPWM生成部11の制御に従って正しく出力されているかどうかを検査し、不正な出力を検出すると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる。具体的には、フィードバックフィルタ14が図16(a)に示した構成である場合、保護検出部17は、デジタルPWM生成部11から出力されるSFU、SFL、SRU、およびSRL、ならびに2つのデシメーションフィルタ141からそれぞれ出力されるFDECOUTおよびEDECOUTが所定の論理条件を満たしていないことを検出すると保護信号PROOUTを出力する。
【0099】
熱量算出部18は、負荷100に発生する熱量を算出し、当該熱量が閾値を越えると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる。具体的には、熱量算出部18は、デジタルフィルタ10から出力されるFLTOUTから負荷100に発生する熱量をPWM周期ごとに算出して初期値から累積し、当該累積熱量が閾値を超えると保護信号TEMPOUTを出力する。
【0100】
PROOUTおよびTEMPOUTは、例えば、デジタルPWM生成部11に入力される。デジタルPWM生成部11は、PROOUTまたはTEMPOUTを受けると、Hブリッジ部12におけるスイッチをすべてオフにするようにSFU、SFL、SRU、およびSRLの値を固定する。これにより、当該アクチュエータ駆動装置の出力が停止される。また、PROOUTおよびTEMPOUTをHブリッジ部12に入力して、Hブリッジ部12の動作を直接停止させてもよい。
【0101】
上記以外の構成および動作は第1の実施形態で説明した通りである。
【0102】
以上、本実施形態によると、第1から第4の各実施形態に係る特有の効果がすべて奏される。
【0103】
(第6の実施形態)
図24は、第6の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置の構成を示す。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置は、図示しない外部のコントローラから入力されたn個(nは2以上の整数)のトルク指令デジタル信号TQ1〜TQnのそれぞれに応じてn個の負荷100を駆動する。
【0104】
具体的には、当該アクチュエータ駆動装置は、セレクタ20、デジタルフィルタ10、デジタルPWM生成部11A、n個のHブリッジ部12、2つのセレクタ21、2つの連続時間型ΔΣA/D変換器13、およびフィードバックフィルタ14を備えている。これら構成要素のうちn個の負荷100とのインタフェースとなるn個のHブリッジ部12および2つの連続時間型ΔΣA/D変換器13以外はすべてデジタル回路として構成することができる。以下、これら構成要素について詳細に説明する。
【0105】
セレクタ20は、TQ1〜TQnの中から選択信号SELで指定されたいずれか一つを選択してTQとして出力する
デジタルフィルタ10は、フィードバックフィルタ14からフィードバックされるデジタル信号SFBに基づいてTQの位相補償を行ってデジタル信号FLTOUTを出力する。具体的には、デジタルフィルタ10は、TQとSFBとの差分値に対してPI制御やPID制御などを行ってFLTOUTを生成する。
【0106】
デジタルPWM生成部11Aは、FLTOUTに応じてSFU1〜SFUn、SFL1〜SFLn、SRU1〜SRUn、およびSRL1〜SRLnを出力する。すなわち、デジタルPWM生成部11Aは、4つのPWM制御信号SFUi、SFLi、SRUi、およびSRLiをn組生成して、n個のHブリッジ部12のそれぞれに出力する。ただし、iは1からnまでの整数である。具体的には、PWM周期ごとに、FLTOUTの正負極性によって、SELで指定された組に属するSFUi、SFLi、SRUi、およびSRLiのいずれを制御すべきかを決定し、さらに、FLTOUTの絶対値に応じて当該制御すべき信号のエッジ生成のタイミングを決定する。
【0107】
デジタルPWM生成部11Aは、例えば、第1の実施形態に係るアクチュエータ駆動装置におけるデジタルPWM生成部11をn個設けて、これらn個のデジタルPWM生成部11に共通にFLOUTを入力し、SELに応じてn個のデジタルPWM生成部11のうちのいずれか一つを動作させることで実現することができる。なお、デジタルPWM生成部11に上記のΔΣ変調部111、オフセット加算部112、のこぎり波生成部113、三角波生成部114、のこぎり波/三角波生成部115、DLL116などが含まれる場合には、これら構成要素はn個のデジタルPWM生成部11で共有することができる。
【0108】
各Hブリッジ部12は、各組の4つのPWM制御信号SFUi、SFLi、SRUi、およびSRLiによって制御され、FOUTiおよびROUTiを出力する。各負荷100にはFOUTiおよびROUTiが接続されている。すなわち、各Hブリッジ部12は、対応する各負荷100に電流を供給する。
【0109】
2つのセレクタ21のうち一方は、FOUT1〜FOUTnの中からSELで指定されたいずれか一つをFSELOUTとして出力する。他方は、ROUT1〜ROUTnの中からSELで指定されたいずれか一つをRSELOUTとして出力する。
【0110】
2つの連続時間ΔΣA/D変換器13のうち一方は、PWM周期でFSELOUTをA/D変換してFADOUTを出力する。他方は、PWM周期でRSELOUTをA/D変換してRADOUTを出力する。
【0111】
フィードバックフィルタ14は、2つの連続時間ΔΣA/D変換器13の出力のデシメーション処理をしてデジタルフィルタ10にデジタル信号SFBをフィードバックする。すなわち、フィードバックフィルタ14は、オーバーサンプリングされたA/D変換結果をダウンサンプリングする機能および差動信号をシングル信号に変換する機能を有する。フィードバックフィルタ14の構成例については図16を参照して説明した通りである。
【0112】
このように、2つの連続時間A/D変換器13およびフィードバックフィルタ14によって、PWM1周期当たりに負荷100に供給される電流値がSFBとして表される。
【0113】
フィードバックフィルタ14は、連続時間ΔΣA/D変換器13の変換ばらつきを補正するデジタル補正機能を有していてもよい。具体的には、フィードバックフィルタ14は、連続時間ΔΣA/D変換器13のLFP処理およびダウンサンプリングをした結果に対してオフセット調整およびゲイン調整をして当該調整後の値をFDECOUTまたはRDECOUTとして出力する。フィードバックフィルタ14が図16(a)に示した構成のときは、2つのデシメーションフィルタ141がそれぞれ当該デジタル補正を実行すればよい。一方、フィードバックフィルタ14が図16(b)に示した構成のときは、差動/シングル変換部142が当該デジタル補正を実行すればよい。
【0114】
オフセット調整値およびゲイン調整値は、SELをi番目の信号を指定する値に設定してFOUTiまたはROUTiに任意のテスト電圧を印加したときのA/D変換結果と理想値との誤差から算出することができる。これら調整値は製品出荷前の検査において算出してその後変更されないようにしてもよいし、あるいは、例えば当該アクチュエータ駆動装置が起動するたびに算出して更新されるようにしてもよい。
【0115】
また、フィードバックフィルタ14は、当該アクチュエータ駆動装置の系全体にもDCオフセットのばらつきを補正するデジタル補正機能を有していてもよい。具体的には、フィードバックフィルタ14は、FDECOUTとRDECOUTとの差分に対してオフセット調整をして当該調整後の値をSFBとして出力する。フィードバックフィルタ14が図16(a)に示した構成のときは、差動/シングル変換部142が当該デジタル補正を実行すればよい。一方、フィードバックフィルタ14が図16(b)に示した構成のときは、デシメーションフィルタ141が当該デジタル補正を実行すればよい。
【0116】
オフセット調整値は、SELをi番目の信号を指定する値に設定して当該アクチュエータ駆動装置のフィードバックループをオープンにした状態でTQiとして“0”を与えたときのFDECOUTとRDECOUTとの差分から算出することができる。オフセット調整値は製品出荷前の検査において算出してその後変更されないようにしてもよいし、あるいは、例えば当該アクチュエータ駆動装置が起動するたびに算出して更新されるようにしてもよい。
【0117】
図示しないが、上記の誤差積算部16、保護検出部17、熱量算出部18のすべてまたはいずれかを本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置に組み込むこともできる。
【0118】
なお、図25に示したように、2つのセレクタ21をフィードバックフィルタ14の直前に配置してもよい。この場合、2n個の連続時間ΔΣA/D変換器13を設ける必要がある。2n個の連続時間ΔΣA/D変換器13は、それぞれ、FOUT1〜FOUTnおよびROUT1〜ROUTnをA/D変換してFADOUT1〜FADOUTnおよびRADOUT1〜RADOUTnを出力する。2つのセレクタ21のうち一方は、FADOUT1〜FADOUTnの中からSELで指定されたいずれか一つをFSELOUTとして出力する。他方は、RADOUT1〜RADOUTnの中からSELで指定されたいずれか一つをRSELOUTとして出力する。そして、フィードバックフィルタ14は、FSELOUTおよびRSELOUTのデシメーション処理をしてデジタルフィルタ10にデジタル信号SFBをフィードバックする。
【0119】
以上のように、本実施形態によると、デジタルフィルタ10、2つの連続時間ΔΣA/D変換器13およびフィードバックフィルタ14がn個のHブリッジ部12によって時分割共有される。したがって、複数の負荷を高精度に駆動するアクチュエータ駆動装置の小型化が可能となる。例えば、光ディスク装置に応用した場合、当該アクチュエータ駆動装置1個で、光ピックアップの光ピックアップのチルト方向、トラッキング方向、フォーカス方向の各制御、スレッドモータの制御、ローディングモータの制御、スピンドルモータの制御を時分割で行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明に係るアクチュエータ駆動装置は、高精度かつフルデジタル化可能であるため、光ディスク装置の光ピックアップの駆動などに有用である。
【符号の説明】
【0121】
10 デジタルフィルタ
11 デジタルPWM生成部
11A デジタルPWM生成部
12 Hブリッジ部
13 連続時間ΔΣA/D変換器
14 フィードバックフィルタ
141 デシメーションフィルタ
142 差動/シングル変換部
16 誤差積分部
17 保護検出部
18 熱量算出部
20 セレクタ
21 セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたトルク指令デジタル信号に応じて第1および第2の端子電圧を切り替えて出力してアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動装置であって、
フィードバックされたデジタル信号で前記トルク指令デジタル信号の位相補償を行うデジタルフィルタと、
前記デジタルフィルタの出力に応じて、パルス幅変調された複数のPWM制御信号を生成するデジタルPWM生成部と、
前記複数のPWM制御信号に応じて前記第1および第2の端子電圧を切り替えて出力するHブリッジ部と、
前記第1および第2の端子電圧をそれぞれA/D変換する第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器と、
前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力のデシメーション処理をして前記デジタルフィルタに前記デジタル信号をフィードバックするフィードバックフィルタとを備えている
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項2】
請求項1のアクチュエータ駆動装置において、
前記フィードバックフィルタは、
前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力をそれぞれフィルタリング処理する第1および第2のデシメーションフィルタと、
前記第1および第2のデシメーションフィルタの出力の差分を算出して当該差分を表すデジタル信号を前記デジタルフィルタにフィードバックする差動/シングル変換部とを有する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項3】
請求項1のアクチュエータ駆動装置において、
前記フィードバックフィルタは、
前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力の差分を出力する差動/シングル変換部と、
前記差動/シングル変換部の出力をフィルタリング処理するデシメーションフィルタとを有する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項4】
請求項1のアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、前記デジタルフィルタの出力をΔΣ変調して、当該ΔΣ変調後のデジタル信号に応じて前記複数のPWM制御信号を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項5】
請求項4のアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、前記ΔΣ変調後のデジタル信号がゼロ近傍の値のとき、前記ΔΣ変調後のデジタル信号に時間平均値がゼロとなるように正または負のオフセット値を加算して、当該オフセット加算後のデジタル信号に応じて前記複数のPWM制御信号を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項6】
請求項1のアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、前記デジタルフィルタの出力がゼロ近傍の値のとき、前記デジタルフィルタの出力に時間平均値がゼロとなるように正または負のオフセット値を加算して、当該オフセット加算後のデジタル信号に応じて前記複数のPWM制御信号を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、パルス幅変調の基準波としてのこぎり波を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、パルス幅変調の基準波として三角波を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、前記デジタルフィルタの出力に応じてパルス幅変調の基準波としてのこぎり波または三角波を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、入力された基準クロック信号を僅かずつずらして互いに位相の異なる多相クロック信号を生成し、前記デジタルフィルタの出力に応じて前記多相クロック信号のいずれか2つを選択し、当該選択したクロック信号について論理演算を行って前記複数のPWM制御信号を生成する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記デジタルPWM生成部は、前記複数のPWM制御信号のエッジ位置を互いにずらす
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記フィードバックフィルタは、前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の変換誤差を補正する機能を有する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記フィードバックフィルタは、当該アクチュエータ駆動装置の系全体のDCオフセットを補正する機能を有する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記トルク指令デジタル信号と前記フィードバックフィルタからフィードバックされたデジタル信号との誤差を積分した値を前記デジタルフィルタの出力に加算する誤差積分部を備えている
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項15】
請求項2のアクチュエータ駆動装置において、
前記複数のPWM制御信号および前記第1および第2のデシメーションフィルタの出力が所定の論理条件を満たしていないことを検出すると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる保護検出部を備えている
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力をそれぞれ積分する第1および第2のフィルタと、
前記複数のPWM制御信号および前記第1および第2のフィルタの出力が所定の論理条件を満たしていないことを検出すると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる保護検出部とを備えている
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
前記トルク指令デジタル信号、前記フィードバックフィルタからフィードバックされたデジタル信号、および前記デジタルフィルタの出力のうちのいずれか一つに基づいて当該アクチュエータ駆動装置によって駆動される負荷に発生する熱量を算出し、当該熱量が閾値を越えると当該アクチュエータ駆動装置の出力を停止させる熱量算出部を備えている
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
n個(ただし、nは2以上の整数)のトルク指令デジタル信号の中から選択信号で指定されたいずれか一つを選択的に出力するセレクタと、
n個の前記Hブリッジ部と、
前記n個のHブリッジ部から出力されるn個の前記第1の端子電圧の中から前記選択信号で指定されたいずれか一つを選択的に出力する第1のセレクタと、
前記n個のHブリッジ部から出力されるn個の前記第2の端子電圧の中から前記選択信号で指定されたいずれか一つを選択的に出力する第2のセレクタとを備え、
前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器は、前記第1および第2のセレクタから出力された前記第1および第2の端子電圧をそれぞれA/D変換するものであり、
前記デジタルPWM生成部は、n組の前記複数のPWM制御信号を生成して前記n個のHブリッジ部を制御する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一つのアクチュエータ駆動装置において、
n個(ただし、nは2以上の整数)のトルク指令デジタル信号の中から選択信号で指定されたいずれか一つを選択的に出力するセレクタと、
n個の前記Hブリッジ部と、
n個の前記第1の連続時間ΔΣA/D変換器と、
n個の前記第2の連続時間ΔΣA/D変換器と、
前記n個の第1の連続時間ΔΣA/D変換器の出力の中から前記選択信号で指定されたいずれか一つを選択的に出力する第1のセレクタと、
前記n個の第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力の中から前記選択信号で指定されたいずれか一つを選択的に出力する第2のセレクタとを備え、
前記フィードバックフィルタは、前記第1および第2のセレクタから出力された前記第1および第2の連続時間ΔΣA/D変換器の出力のデシメーション処理をするものであり、
前記デジタルPWM生成部は、n組の前記複数のPWM制御信号を生成して前記n個のHブリッジ部を制御する
ことを特徴とするアクチュエータ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−143070(P2012−143070A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293792(P2010−293792)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】