説明

アクリル系エラストマー組成物

【課題】シリカ配合アクリル系エラストマー組成物であって、その耐熱性を低下させることなく、押出し性およびロール加工性を改善せしめたものを提供する。
【解決手段】(A)アクリル系エラストマー100重量部、(B)シリカ5〜300重量部および(C)流動パラフィン、シリコーンオイルまたはふっ素オイル2〜30重量部を含有してなり、好ましくはさらに(D)シランカップリング剤0.1〜5重量部を含有せしめたアクリル系エラストマー組成物。このアクリル系エラストマー組成物にあっては、流動パラフィン、シリコーンオイルまたはふっ素オイルをアクリル系エラストマー100重量部当り2〜30重量部用いることにより、アクリル系ゴム本来の耐熱性を低下させることなく、押出し性およびロール加工性を改善せしめることができ、このためステアリン酸等の他の滑剤(加工助剤)の使用割合を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系エラストマー組成物に関する。さらに詳しくは、シリカ配合アクリル系エラストマー組成物であって、その耐熱性を低下させることなく、押出し性およびロール加工性を改善せしめたものを提供することにある。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックを補強剤として使用したゴム材料に比べ、シリカを補強剤としているゴム材料は耐熱性が良好なことが一般的に知られているが、シリカ配合アクリル系エラストマー組成物はフロー特性、特に押出し成形性が劣るという問題がみられる。このため、カーボンブラックを殆ど配合せず、シリカを主に配合したアクリル系エラストマー組成物は、ホース等の用途には製品化されていないのが現状である。
【0003】
アクリル系ゴム材料の押出し性を向上させるためには、可塑剤としてジエステル系、ポリエステル系、ポリエーテルエステル系のものなどが使用されているが、可塑剤の使用は高耐熱性が要求されるアクリル系ゴム材料向けには、耐熱性が不十分である。しかしながら、アクリル系ゴム材料の押出し成形に際しては、押出し肌、生産性の確保などの点から可塑剤の使用は必須のものとされる。
【0004】
また、アクリル系ゴム材料は加工性に劣り、ロール粘着性が激しく、特にシリカ配合物の場合にはロール粘着性が激しくなるので、多量の滑剤を加工助剤として添加する必要があり、これに伴い加硫物性の低下という新たな問題もみられる。
【0005】
加工安全性、押出加工性と引張強さとのバランスにすぐれ、ゴムホース、シール部品として好適に用いられるアクリル系エラストマー組成物として、カルボキシル基含有アクリルエラストマー、シリカ(pH 7.0〜9.0)、シランカップリング剤、グアニジン化合物および特定の芳香族ジアミン化合物を含有するものが特許文献1に記載されているが、そこに記載されているすべての実施例および比較例では、ポリマー100重量部当り0.3重量部の流動パラフィンが用いられており、このような流動パラフィンの使用割合では押出し性(押出し肌の平滑性、ダイスウェル)およびロール加工性(ロールへの非粘着性)の点で満足されるアクリル系エラストマー組成物を得ることができない。
【特許文献1】特開2004−59667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、シリカ配合アクリル系エラストマー組成物であって、その耐熱性を低下させることなく、押出し性およびロール加工性を改善せしめたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる本発明の目的は、(A)アクリル系エラストマー100重量部、(B)シリカ5〜300重量部および(C)流動パラフィン、シリコーンオイルまたはふっ素オイル2〜30重量部を含有してなり、好ましくはさらに(D)シランカップリング剤0.1〜5重量部を含有せしめたアクリル系エラストマー組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
カーボンブラックを補強剤として配合したアクリル系エラストマー組成物は、カーボンブラックの表面に存在する官能性基がアクリル系ゴム材の耐熱性悪化の原因と考えられるが、シリカ配合アクリル系エラストマー組成物は本来耐熱性にすぐれており、ただしその押出し性を向上させるために可塑剤を用いると耐熱性が損なわれ、またロール粘着性を改善させるために多量の滑剤を用いると加硫物性の低下を免れないが、本発明のアクリル系エラストマー組成物にあっては、流動パラフィン、シリコーンオイルまたはふっ素オイルをアクリル系エラストマー100重量部当り2〜30重量部用いることにより、アクリル系ゴム本来の耐熱性を低下させることなく、押出し性およびロール加工性を改善せしめることができ、このためステアリン酸等の他の滑剤(加工助剤)の使用割合を減らすことができる。
【0009】
また、これらと共にシランカップリング剤を0.1〜5重量部併用した場合には、引張強さ、破断時伸び等の加硫物性ならびに押出成形性をさらに改善することができるという効果を奏する。
【0010】
このため、本発明に係るアクリル系エラストマー組成物は、フロー悪化に伴う成形不良が少ないことが要求され、また高耐熱性も要求される各種ホース類、シール類、ダイヤフラム、ロール等の各種用途の成形材料、特に押出成形材料として有効に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(A)成分のアクリル系エラストマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート単独重合体、アルキル(メタ)アクリレート-アルコキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-アクリレート共重合ゴム等のエラストマー状重合体が用いられる。
【0012】
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、その鎖長が長い程耐寒性の点では有利となるが、耐油性の点では不利となり、鎖長が短かくなるとこれらの性質は逆になる。こうした耐寒性および耐油性のバランスの点からは、エチルアクリレートおよびn-ブチルアクリレートが好んで用いられる。
【0013】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、メトキシメチル、2-メトキシエチル、エトキシメチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、2-または3-エトキシプロピル等のアルコキシアルキル基を有するアクリレートまたはメタクリレートが用いられ、好ましくは2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレートが用いられる。これらのアルコキシアルキルアクリレートは、側鎖にエーテル結合を有するので、耐寒性および耐油性のバランスにすぐれている。
【0014】
アルキル(メタ)アクリレートがアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体として用いられる場合には、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは共重合体中約50重量%以下、好ましくは約20重量%以下を占めるような割合で共重合して用いられ、耐寒性および耐油性のバランスをなお一層改善される。
【0015】
これらのアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体中には、さらに架橋点形成性単量体を共重合させていることが好ましい。架橋点形成性単量体としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(a)カルボキシル基含有ビニル単量体
(b)反応性ハロゲン含有ビニル単量体
(c)エポキシ基含有ビニル単量体
(d)ジエン系単量体
(e)水酸基含有ビニル単量体
(f)アミド基含有ビニル単量体
【0016】
これらの架橋点形成性単量体の中では、カルボキシル基または反応性ハロゲン、特に塩素基を有するビニル単量体を共重合させることが好ましく、カルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルであるモノメチルマレエート、モノエチルマレエート、モノ-n-ブチルマレエート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノ-n-ブチルフマレート等が、また塩素基含有ビニル単量体としては、例えばクロロエチルビニルエーテル、クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテート、クロロメチルスチレン等が、それぞれ挙げられる。さらに、カルボキシル基含有ビニル単量体と塩素基含有単量体の両者を共重合させたアルキル(メタ)アクリレート共重合体を用いることもできる。
【0017】
アクリル系エラストマーとしては、エチレン-アクリレート系共重合ゴムを用いることもできる。かかるエチレン-アクリレート系共重合ゴムとしては、次のようなものが挙げられる。
エチレン-アクリル酸エステル共重合ゴム:
これは、エチレン約60〜20重量%と炭素数1〜8のアルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート約40〜80重量%との共重合エラストマーであって、前記架橋点形成性単量体を約10重量%以下の割合で共重合させることができる。
エチレン-アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合ゴム:
これは、エチレン約45〜5重量%、上記(メタ)アクリル酸エステル(およびアルコキシアルキル(メタ)アクリレート)約5〜90重量%および酢酸ビニル約45〜5重量%の共重合エラストマーであって、前記架橋点形成性単量体を約10重量%以下の割合で共重合させることができる。
アクリル酸エステル-不飽和ニトリル-共役ジエン共重合ゴムおよびその水素添加物:
上記(メタ)アクリル酸エステル(およびアルコキシアルキル(メタ)アクリレート)約5〜75重量%、(メタ)アクリロニトリル、エタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリルの如き不飽和ニトリル60〜10重量%およびブタジエン、2-クロロブタジエン、2-メチルブタジエンの如き共役ジエン単量体15〜85重量%の共重合エラストマーまたはその不飽和結合を約10〜100%水素添加した水素添加物。
【0018】
これらのアクリル系エラストマー中にはさらに、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、エチレン、ピペリレン、イソプレン、ペンタジエン、ブタジエン等を、さらに約10重量%以下共重合させることもできる。
【0019】
また、必要に応じて、混練加工性、押出加工性などを改善する目的で、多官能性不飽和単量体またはオリゴマー、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート、ビスフェノールA-エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、3-アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレート等を、さらに約10重量%以下共重合させることができる。
【0020】
(B)成分のシリカとしては、pH(4%水性けん濁液のpHとして測定)が6.5〜8.5、好ましくは7.0〜8.0であって、かつ比表面積(BET法)が約150m2/g以上、好ましくは約300m2/g以上のものが、アクリル系エラストマー100重量部当り約5〜300重量部、好ましくは約10〜100重量部の割合で用いられる。シリカの配合割合がこれ以下では、所望の補強効果や耐熱性が得られず、一方これ以上の配合割合で用いられると、混練性などが損なわれるようになる。シリカと共にカーボンブラックを併用することもできるが、その配合割合は本発明の所望の目的達成が損なわれない範囲、すなわちシリカ重量に対して50重量%以下でかつアクリル系エラストマー100重量部当り約30重量部以下とされる。
【0021】
また、(C)成分として用いられる流動パラフィン、シリコーンオイルまたはふっ素オイルとしては、次のようなものが用いられる。
流動パラフィン:ノルマルアルカン製、イソアルカン製またはシクロアルカン製のものであって、その粘度(40℃)が3〜100cSt、好ましくは3〜30cStのもの
シリコーンオイル:ストレートシリコーンオイルまたは変性シリコーンオイルであって、その粘度(25℃)が0.1〜1000000cSt、好ましくは10〜10000cStのもの
ふっ素オイル:パーフルオロアルキルエーテル系のものであって、その粘度(40℃)が10〜1000cSt、好ましくは10〜100cStのもの
【0022】
これらの(C)成分は、アクリル系エラストマー100重量部当り2〜30重量部、好ましくは3〜10重量部の割合で用いられる。(C)成分の使用割合がこれよりも少ないと、押出し加工性やロール性の改善が達成されず、一方これよりも多い割合で用いられると、加硫物性(引張強さ、伸び)が低下するばかりではなく、ブルームのため製品外観が不良となり易い。
【0023】
加硫物性や押出成形性をさらに改善するために、(D)成分としてシランカップリング剤をアクリル系エラストマー100重量部当り0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部併用されることが望ましい。
【0024】
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、N-[β-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル]-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の各種シランカップリング剤を用いることができるが、好ましくはメルカプト基含有シランカップリング剤が用いられる。
【0025】
以上の各成分を必須乃至望ましい成分とするアクリル系エラストマー組成物中には、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、滑剤等が適宜添加されて用いられる。
【0026】
アクリル系エラストマー中に約0.1〜15重量%、好ましくは約1〜10重量%のカルボキシル基含有ビニル単量体を共重合させた場合には、公知の加硫剤および加硫促進剤が使用可能であり、加硫剤としては特性的にはジアミン化合物が好ましく、耐スコーチ性の観点からは芳香族ジアミン化合物、特にp-ジアミノ芳香族化合物が、アクリル系エラストマー100重量部当り約0.1〜5重量部、好ましくは約0.2〜4重量部の割合で用いられる。これらのジアミン系加硫剤には、公知の加硫促進剤が必要に応じて併用され、加硫促進剤としては好ましくはグアニジン化合物が、アクリル系エラストマー100重量部当り約0.1〜10重量部、好ましくは約0.3〜6重量部の割合で用いられる。
【0027】
また、アクリル系エラストマー中に約0.1〜15重量%、好ましくは0.3〜5重量%の反応性ハロゲン含有ビニル単量体、特に塩素基含有ビニル単量体を共重合させた場合には、加硫剤としてイオウ、イオウ供与性化合物、アミン化合物、トリアジン化合物等が用いられ、良好な常態物性が要求される場合には、加硫剤としてイオウがアクリル系エラストマー100重量部当り0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いられ、この場合には金属石けん等の公知の加硫促進剤を併用することが好ましく、また良好な耐圧縮永久歪特性が要求される場合には、加硫剤として2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン等のトリアジン化合物が、アクリル系エラストマー100重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは約0.3〜2重量部の割合で用いられ、この場合にはカルバミン酸金属塩等の公知の加硫促進剤が併用されることが好ましい。
【0028】
組成物の調製は、加硫剤、加硫促進剤を除く各成分をバンバリーミキサ等の混練機を用いて混練した後、オープンロールを用いて加硫剤、加硫促進剤を添加することによって行われる。調製された組成物は、約60〜110℃で押出成形した後、約120〜180℃、約10〜120分間の水蒸気加硫が行われ、あるいは150〜200℃、2〜30分間のプレス成形が行われ、その後必要に応じて約150〜200℃、約1〜20時間のオーブン加硫(二次加硫)も行われる。
【実施例】
【0029】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0030】
実施例1
カルボキシル基含有アクリルゴム 100重量部
(ユニマテック製品ノックスタイト PA-522HF)
含水非晶質二酸化けい素 55 〃
(DSLジャパン製品カープレックス#67;
pH 7〜8、比表面積380m2/g)
流動パラフィン(中央化成製品流動パラフィン150S;25cSt) 5 〃
ステアリン酸 1 〃
4,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン 2 〃
メルカプトプロピルトリメトキシシラン 1 〃
2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン 1 〃
ジ-o-トリルグアニジン 2 〃
以上の各成分を用い、まず加硫剤および促進剤以外の各成分をバンバリーミキサで混練した後、オープンロールを用いて加硫剤および促進剤が添加された。得られた組成物は、160℃、30分間のプレス加硫および175℃、4時間のオーブン加硫(二次加硫)によって、加硫成形された。
【0031】
加硫成形に用いられた組成物およびそれから加硫成形された加硫物について、次の各項目の測定が行われた。
加硫物性:JIS K6251、JIS K6253準拠
空気加熱老化試験:加硫物を175℃で500時間または1000時間、200℃で250時間空気加熱した後の加硫物性を測定し、その変化(率)を算出
押出し性:東測精密製25mm径押出機(L/D=16)を用い、口金4mm径、ホッパ 30℃、バレル 60℃、ヘッド 90℃、回転数60rpmの条件下で、チューブ状に押出し、押出し肌の外観を目視で観察すると共に、ダイスウェルを測定
ロール加工性:オープンロールを用いて、加硫剤および促進剤を添加する際のゴム生地のロールへの粘着度合いを評価(粘着度合いの大きいものは加工性が悪い)
【0032】
実施例2
実施例1において、流動パラフィンの代りに、同量のシリコーンオイル(信越化学製品KF-96;100cSt)が用いられた。
【0033】
実施例3
実施例1において、流動パラフィンの代りに、同量のフッ素オイル(NOKクリューバー製品バリエルタ100)が用いられた。
【0034】
実施例4
実施例1において、流動パラフィン量が10重量部に変更された。
【0035】
実施例5
実施例1において、アクリルエラストマーとしてカルボキシル基含有アクリルゴム90重量部とエチレン-アルキルアクリレート共重合ゴム(デュポン製品Vamac G)10重量部とが用いられた。
【0036】
実施例6
実施例1において、カルボキシル基含有アクリルゴムの代りに、同量の塩素基含有アクリルゴム(ユニマテック製品ノックスタイト PA-402K)が用いられ、また2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンとジ-o-トリルグアニジンの代りに、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン 0.5重量部およびジブチルジチオカルバミン酸亜鉛 1.5重量部が用いられた。
【0037】
実施例7
実施例1において、メルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられなかった。
【0038】
比較例1
実施例1において、流動パラフィンおよびメルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられなかった。
【0039】
比較例2
実施例1において、含水非晶質二酸化けい素量が58重量部に変更され、また流動パラフィンの代りに、同量のエーテルエステル系可塑剤(ADEKA製品アデカサイザーRS735)が用いられた。
【0040】
比較例3
実施例1において、他の含水非晶質二酸化けい素(東ソーシリカ製品ニップシールVN3)が48重量部用いられ、また流動パラフィンの代りに、同量のエーテルエステル系可塑剤(アデカサイザーRS735)が用いられた。
【0041】
比較例4
実施例1において、含水非晶質二酸化けい素量が35重量部に変更され、他にカーボンブラック(N550カーボン)30重量部が用いられた。
【0042】
比較例5
実施例1において、流動パラフィン量が1重量部に変更され、メルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられなかった。
【0043】
以上の各実施例および比較例で得られた結果は、次の表に示される。

実施例 比較例
測定項目
〔加硫物性〕
硬度 (Duro A) 68 67 67 67 69 70 67 69 65 68 68 69
引張強さ (MPa) 12.1 11.9 11.7 11.2 12.7 12.4 10.1 12.5 12.2 14.3 11 12.4
破断時伸び (%) 310 300 300 270 340 270 240 310 320 320 235 300
〔175℃/500hr老化試験〕
硬さ (Duro A) 71 74 72 71 72 73 73 71 74 72 81 72
同変化率 (%) 104 110 107 106 104 104 109 103 114 106 119 104
引張強さ (MPa) 7.8 7.5 7.4 7.1 7.7 6.5 7.4 8.2 8.5 12.2 7.8 8.1
同変化率 (%) 64 63 63 63 61 52 73 66 70 85 71 65
破断時伸び (%) 300 260 280 280 320 260 250 290 220 250 165 290
同変化率 (%) 97 87 93 104 94 96 104 94 69 78 70 97
〔175℃/1000hr老化試験〕
硬さ (Duro A) 75 76 75 76 79 77 77 74 84 82 86 75
同変化率 (%) 110 113 112 113 114 110 115 107 129 121 126 109
引張強さ (MPa) 6 6.2 5.7 5.5 6.8 5.3 6 6.4 7.8 8 7.3 6.5
同変化率 (%) 50 52 49 49 54 43 59 51 64 56 66 52
破断時伸び (%) 240 220 220 220 210 200 190 240 150 150 100 230
同変化率 (%) 77 73 73 81 62 74 79 77 47 47 43 77
〔200℃/250hr老化試験〕
硬さ (Duro A) 78 77 76 79 80 80 80 76 88 83 94 78
同変化率 (%) 115 115 113 118 116 114 119 110 135 122 138 113
引張強さ (MPa) 5.4 5.9 5.8 5.1 6.7 5.5 4.5 5.5 8.4 9.4 7.7 5.7
同変化率 (%) 45 50 50 46 53 44 45 44 69 66 70 46
破断時伸び (%) 180 170 190 160 140 190 140 170 80 100 50 170
同変化率 (%) 58 57 63 59 41 70 58 55 25 31 21 57
〔押出し性〕
押出し肌の外観 良 良 良 良 優 良 劣 劣 良 劣 良 劣
ダイスウェル(%) 180 150 160 140 120 170 230 280 170 300 120 270
〔ロール加工性〕
粘着度合い 小 小 小 小 小 小 小 大 大 大 小 大

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリル系エラストマー100重量部、(B)シリカ5〜300重量部および(C)流動パラフィン、シリコーンオイルまたはふっ素オイル2〜30重量部を含有してなるアクリル系エラストマー組成物。
【請求項2】
さらに、(D)シランカップリング剤0.1〜5重量部を含有せしめた請求項1記載のアクリル系エラストマー組成物。
【請求項3】
(A)成分アクリル系エラストマーがカルボキシル基または塩素基を架橋性基として含有するアクリル系エラストマーである請求項1または2記載のアクリル系エラストマー組成物。
【請求項4】
(A)成分アクリル系エラストマーがエチレン-アクリレート共重合ゴムである請求項1、2または3記載のアクリル系エラストマー組成物。
【請求項5】
請求項1記載のアクリル系エラストマー組成物から押出成形された押出成形品。
【請求項6】
請求項2記載のアクリル系エラストマー組成物から押出成形された押出成形品。

【公開番号】特開2009−40922(P2009−40922A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208715(P2007−208715)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】