説明

アグロポリマー

【課題】金属もしくはイオン汚染水、または汚濁水の精製に使用する非毒性、生物分解性であって安価に入手可能なアグロポリマーおよびアグロポリマーの製造法を提供する。
【解決手段】炭水化物および/またはシリカマトリックスを含んでなり、少なくともタンパク質、タンニンおよびポリフェノール類を実質的に含まず、金属結合反応性部位を有する新規アグロポリマーであって、種々農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)の種皮、包被または籾殻などの植物材料の種皮または籾殻材料をミクロンサイズの微粉末とし、該微粉末をアルカリまたはアルカリ性過酸化水素または過酸化水素中で処理した後、水または酸で洗浄処理し、さらに酸溶液で処理して結合した金属を除去し、乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には農業生物工学の分野に関する。とりわけ、本発明は新規アグロポリマー、および農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)を含む植物の種皮、包被、籾殻または種皮被覆などの植物部分から当該アグロポリマーを製造する方法に関する。これらの新規アグロポリマーは広範な工業的応用が可能であり、水の汚染制御にも有用である。
【背景技術】
【0002】
多くの生物由来金属封鎖物質が知られているが、例えば、タンニン、フミン酸、全細胞バイオマス、キチンおよびキチン誘導体、金属チオネイン、微生物多糖類、メラニン、ポリフェノール生物色素、細菌細胞壁ポリマー、生物産生キレート化剤(シデロフォア)などである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の物質は費用が高く付くか、十分量が入手し得ないか、および/または効果が劣る。他方、本研究は安価に入手し得る植物材料、とりわけ、農業原材料、例えば、農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)の種皮または籾殻などからアグロポリマーを製造することを目的とする。これらのアグロポリマーは広範な工業的応用性を有する。
【0004】
本発明は、好ましくは農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)の種皮または籾殻などからの新規アグロポリマーの製造法開発に、また、金属封鎖とイオンの除去にそれを適用する際に応用し得る。
【0005】
従って、本発明の目的は農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)の種皮を含む植物材料から新規のアグロポリマーを発明することである。また、アグロポリマーの実用可能な製造法を開発すること、およびかかるアグロポリマーを金属および/またはイオンの封鎖または除去に使用することも本発明の企図するところである。かくして、好ましくは、これらのアグロポリマーは農作物の種皮または籾殻から製造する。
【0006】
従って、本発明の主目的は、工業的応用と水汚染制御のために、農業供給源から、生物起源の非毒性、生物分解性、安価に入手可能であって、非常に効果のある分子/ポリマーを発明することである。
【0007】
本発明の他の目的は、農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)の種皮、包被、籾殻または種子被覆などの植物材料からアグロポリマーを製造する方法を開発することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、農作物の種皮または籾殻からの、農業に由来する金属とイオンを封鎖するアグロポリマーを使用することにより、環境汚染を減ずるポリマーを発明することである。
【0009】
さらに本発明の他の目的は、本発明のアグロポリマーを使用して、水溶液から重金属およびイオンを除去する方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、環境保護のために、水から金属およびイオン汚染を減ずる方法/技術を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、生物分解性物質である農作物由来の非毒性物質を用いて、毒性金属および/またはイオン含有水を非毒性の金属および/またはイオン不含水に変換する方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、農作物の種皮または籾殻から得られる、農業に由来する金属とイオンを封鎖するアグロポリマーを使用することにより、環境汚染を減ずる新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的およびその他の目的に合致させるために、本発明は炭水化物および/またはシリカマトリックスを含んでなり、少なくともタンパク質、タンニン、色素およびポリフェノール類を実質的に含まず、金属結合反応性部位を有する新規アグロポリマー、該アグロポリマーの製造法、および水溶液から金属またはイオンを分離または除去するためのかかるアグロポリマーの用途を提供する。
【0014】
ここで、本発明につき詳細に記載し、本発明の種々の重要な特徴を説明し、解説する。
本発明の一態様では、金属結合部位を有する新規アグロポリマーであって、アルカリ処理または過酸化水素処理またはアルカリ性過酸化水素処理のいずれかによりアグロポリマーのマトリックス内に該金属結合部位が取込まれているアグロポリマーを提供する。
【0015】
該アグロポリマーのマトリックスは種皮、種皮被覆、籾殻および包被などの植物部分から得られる。アグロポリマーと金属との反応により形成された金属結合反応性部位(有機金属結合)は、赤外線(IR)分光法により観察される。
【0016】
本発明の他の態様は、農作物の種皮または籾殻(例えば、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなどからの種皮または籾殻など)から選択される植物材料からの、金属およびイオン封鎖性を有するアグロポリマーの製造法に関する。
【0017】
好適な態様において、本発明は農作物の種皮または籾殻(例えば、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなどからの種皮または籾殻)などの植物材料からのアグロポリマーの製造法を提供するものであり、当該方法は以下の工程を含んでなる:
a.種皮または籾殻材料を粉末とする、
b.種皮または籾殻の粉末を必要とするミクロンサイズに微粉末化する、
c.当該微粉末化種皮または籾殻粉末をアルカリまたはアルカリ性過酸化水素または過酸化水素中で処理する、
d.当該材料を水または酸で繰返し洗浄処理して、アルカリおよび/または過酸化水素の残留物を除去する、
e.当該材料を酸溶液で処理して、結合した金属を除去する、
f.水洗により、または希アルカリ溶液の添加により酸を除去し当該分子を中和する、および
g.得られたアグロポリマーを室温でまたは乾燥機(70〜80℃)により乾燥する。
【0018】
他の態様において、種皮または籾殻材料の粉末化は粉砕機によって得られ、種皮または籾殻粉末の微粉末化は微粉末機により実施し、所望の粒子径(ミクロン)を得る。
【0019】
さらなる一態様において、アルカリ処理は水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムもしくは炭酸ナトリウムにより、または植物材料にいずれかのアルカリ性溶液を加えることにより、および/または反応混合物に過酸化水素を加えることにより実施する。アルカリ(1ないし10%w/w)と共に過酸化水素(5ないし30%濃度)処理することにより、効率的な金属封鎖性をもつアグロポリマーを得ることができた。処理後に残存するアルカリおよび/または過酸化水素残渣は、繰り返し水洗することにより、または別途希酸(H2SO4、HClまたはHNO3を使用する)を添加することにより除去した。
【0020】
本方法において、結合した金属がアグロポリマー中に存在する場合には、1〜3%の酸溶液(H2SO4、HClまたはHNO3を使用する)で溶出し、後に残る酸残渣は繰返し水洗するか、または希アルカリ溶液(NaOHまたはKOHなどを使用する)を添加することにより除去し、また、後に残る水分は上清を傾斜により除いた後、乾燥機中(70〜80℃)で乾燥するか、および/または室温で乾燥する。
【0021】
過酸化水素を用いないアルカリ処理もまた金属封鎖性を有するアグロポリマーを生じるが、とりわけ禾穀類および雑穀からのアグロポリマー生産に適している。微粉末化種皮または籾殻はアルカリと混合する(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)。アルカリ処理はアルカリ性溶液を微粉末化した種皮または籾殻の粉末に添加するか、またはアルカリ粉末/薄片を微粉末化した種皮または籾殻粉末に直接添加して、次いで、水を加えることにより実施する。アルカリ処理すると、種皮または籾殻から黒褐色黄色の物質が放出されてくるが、これは自然に水に溶解する。アルカリ濃度が低いパーセント(5〜7.5%)の場合、種皮または籾殻から黒褐色黄色物質を除去するのに、より長い維持時間を要するが、アルカリ濃度が高いパーセント(20〜25%溶液)の場合、黒褐色黄色物質は3〜4時間以内に除かれる。含まれるアルカリは繰返し水洗するか、または酸溶液(HClまたはH2SO4など)を添加することにより除去する。得られた物質から結合した金属を除去するために、硫酸、硝酸または塩酸などの鉱酸(1〜3%)により処理した。得られた物質は繰返し水洗するか、または必要量の1Mアルカリ溶液(NaOHまたはKOHなど)を添加することにより中和した。上清除去後の物質を室温で、または乾燥機中(70〜80℃)で乾燥する。サイズが小さい程、金属またはイオンの封鎖性はよくなる。
【0022】
アグロポリマーの収率はそのサイズと適用した反応手法に左右される。小サイズのアグロポリマーの収率は大サイズのアグロポリマー収率に比べて低い。工程での損失が小サイズアグロポリマーでより多く生じる。材料供給源もアグロポリマーの収率を決定する。一般に、小サイズアグロポリマーの生産の場合には、アグロポリマーは約30〜40%の収率で得られた。高いサイズのアグロポリマー(150ミクロン以上のサイズ)生産の場合には、アグロポリマーは約75〜80%の収率で得られる。
【0023】
本方法は植物材料をアルカリおよび/または過酸化水素で処理することからなる。植物材料はアルカリ性過酸化水素で処理することができるが、その場合、アルカリ処理は過酸化水素での処理前または過酸化水素と共に、または過酸化水素での処理後に実施することができる。最も好適な態様は、該植物材料をアルカリ性過酸化水素併用下に同時に処理することである。
【0024】
フロー・チャートはアグロポリマー製造における種々の段階/工程を説明するものである。
【0025】
微粉末化した種皮または籾殻粉末は硫酸または塩酸(3〜5%)で5〜6時間処理し、得られた物質は、痕跡の酸を除去した後、金属またはイオン封鎖性を示しはしたが、その封鎖能力は上記のアルカリ処理法で製造したアグロポリマーに比べて低かった。
【0026】
本発明の重要な特徴の一つは、農作物(例えば、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイ)の種皮または籾殻に存在するアグロポリマーを確認することである。
【0027】
本発明の今一つ重要な特徴は、農作物の種皮または籾殻からアグロポリマーを生産することに関する。種皮または籾殻(例えば、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなどの種皮または籾殻など)からアグロポリマーを製造するために、アルカリ性過酸化水素で処理する方法が開発された。
【0028】
該アグロポリマーは広範な工業的応用性を有する。これらは汚染制御に有効に使用し、環境を金属またはイオンの汚濁から保護することができる。当該物質の広範な応用性は本発明の重要な側面である。従って、本発明はアグロポリマーの製造法、好ましくは農作物の種皮または籾殻からの製造法に関する。
【0029】
アグロポリマー製造工程の流れ図

種皮または籾殻材料を粉末とする

種皮または籾殻の粉末を必要とするミクロンサイズに微粉末化する
当該微粉末化種皮または籾殻粉末をアルカリまたはアルカリ性過酸化水素または過酸化水素中で処理する

当該材料を水または酸で繰返し洗浄処理して、アルカリおよび/または過酸化水素の残留物を除去する

当該材料を酸溶液で処理して、結合した金属を除去する

水洗により、または希アルカリ溶液の添加により酸を除去し当該分子を中和する

得られたアグロポリマーを室温でまたは乾燥機(70〜80℃)により乾燥する
【0030】
本発明の他の態様において、本出願人は本発明の新規アグロポリマーを使用する金属/イオンの処理方法を提供する。
【0031】
とりわけ、本発明は農作物の種皮または籾殻から製造されるアグロポリマーを使用して、金属およびイオン汚染による環境破壊を防止する方法に関わる。より詳しくは、本発明は金属またはイオンで汚染された工業廃棄地下水および飲料水などの金属またはイオンで汚染された水溶液の精製方法に関する。該精製方法は有機水銀などの金属類および/またはイオン類を汚染水から封鎖することの可能な新規アグロポリマーを使用して実施する。本発明の最終目的は金属およびイオンによる汚染から環境を保護することである。この目的は合成ルートによってではなく、自然界に大量に存在する天然の生物学的、農業資源を使用することにより達成される。本発明の重要な特徴は、物質を発明し、その物資を用いて、汚染水から金属および/またはイオンを精製/封鎖する新しい技術に有効に利用することにある。
【0032】
本発明の一態様においては、農作物の種皮または籾殻(例えば、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなどの種皮または籾殻など)から製造されるアグロポリマーを用いての、水溶液から金属およびイオンを除去する方法を記載する。本新規アグロポリマーを用いて、多くの金属類、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ヒ素、水銀、鉛、亜鉛など、およびイオン類が水溶液から除去し得る。
【0033】
本発明はさらに農作物の種皮または籾殻からの金属およびイオン封鎖性アグロポリマーを有効に利用することに関する。本発明は環境保護のために生物工学的方法を使用する金属およびイオンの汚染制御に有用である。金属封鎖については多くの植物物質が知られているが、工業的利用のために大量に生産することは、原材料の入手可能性および生産コストなど多くの要因のためにこれまで達成されなかった。多くの生物起源の金属封鎖物質、例えば、タンニン、フミン酸、全細胞バイオマス、キチンおよびキチン誘導体、金属チオネイン、微生物多糖類、メラニン、ポリフェノール生物色素、細菌細胞壁ポリマー、生物産生キレート化剤(シデロフォア)などが知られている。実際に有用性を見出すことを目標とした研究はほんの僅かである。領域が拡大するにつれて、実用上の用途を見出すために、農業供給源からこの新種のアグロポリマー利用法を創案し、創出し、開発するために実験研究が行われている。
【0034】
本出願人は今回、農作物の種皮または籾殻から得られた金属および/またはイオン封鎖性アグロポリマーの利用方法を創案した。このように、本発明によると農作物の種皮または籾殻から製造されたアグロポリマーは、金属および/またはイオン封鎖性の原因となる。農作物の種皮からの金属およびイオン封鎖性アグロポリマー利用のためには、技術的に実用可能であって、経済的にも成立し得る方法が開発されている。
【0035】
本発明は、アグロポリマーおよび/または金属含浸アグロポリマーによる汚染水処理により、金属もしくはイオンで汚染された飲料水または地下水などの金属とイオンで汚染/汚濁された水溶液を精製する方法に関し、当該アグロポリマーは種々の農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなど)の種皮、包被または籾殻などの植物材料から製造され、当該方法はカラム式またはバッチ式でイオンまたは金属汚染水をアグロポリマーおよび/または金属含浸アグロポリマーと接触させ、イオンまたは金属を封鎖して無汚染水とすることを含んでなり、当該封鎖は封鎖の効率を最大とするために、最適条件(pHなど)下で実施する。
【0036】
実際に、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなどの農作物の種子包被、籾殻または種皮から製造されるアグロポリマーは、PPMないしPPBレベルで水溶液から金属またはイオンを除去し得る。
【0037】
従って、本発明は金属またはイオン汚濁水溶液の処理方法をも企図するものでり、当該方法は上記定義の汚染水を(カラムまたはバッチ様式により)アグロポリマーと接触させることからなり、当該物質は汚染水からPPMおよびPPBレベルで金属およびイオンの負荷を減ずる能力を有する生物学/農業上植物供給源(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなどの農業植物から選択される植物材料の種皮または籾殻)から得られ、当該金属またはイオン含有水はカラムまたはバッチ様式でアグロポリマーと接触させる。
【0038】
さらに、本発明は金属および/またはイオン汚染水の処理方法を企図するものであり、その場合のアグロポリマーは農作物の種皮または籾殻(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイからの種皮または籾殻)から得られる。該アグロポリマーは毒性金属による地下水汚濁が起り得る場所にも使用される。事実、ヒ素の多い自然の地下水を本発明のアグロポリマーで処理した結果、ヒ素含量が大幅に減少し、その結果、ヒ素濃厚水が飲用水となることが明らかとなった。
【発明の効果】
【0039】
好ましくは、農産物の種皮又はもみ殻(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイのような農産物からの種皮又はもみ殻のような)からの植物物質から得られる新規のアグロポリマーは、比較的低コストで生産することが出来、簡単に処分するのに好適な無毒性の生分解性植物物質である。アグロポリマーの諸特性は、カラム又はバッチモードによって、固定化による反応性分子を除去又は結合又は精製又は反応する物質として、アフィニティークロマトグラフィー系での利用の範囲、及び生分解性プラスチック、樹脂、キャリヤー物質等の製造の際の利用の範囲を提供する。このような経済的に利用出来、技術的に可能なアグロポリマー製造方法は環境保全には有用であり、広範囲な工業用途を有し、そして更に、原料が農業資源なので農業従事者の収入の増加にも役立つ。
【0040】
好ましくは農産物の種皮から形成される新規の金属及びイオン封鎖アグロポリマーは、PPMないしPPBレベルで金属負荷量の軽減が可能であり、これらの物質は、その他の植物誘導型金属封鎖物質と比較して比較的安価なコストで製造される。
【0041】
従って、本発明の幾つかの利点は、次のようにまとめられる:
1.本発明のアグロポリマーは天然産物である。
2.アグロポリマーを使った汚染防止プロセスは極めて簡単である。
3.これらのアグロポリマーによる環境悪化を防止する方法又はプロセスは、金属又はイオン負荷をPPMないしPPBレベルで減少出来るので有効である。従って、毒性物質を含まない汚染されていない水が得られる。
4.アグロポリマーは環境に優しく生分解性である。
5.汚染水の精製プロセスは、経済的に利用出来、かつ技術的に実行出来る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】原料稲の包皮のIRスペクトルである。
【図2】アルカリ性過酸化水素で処理された稲の包皮のIRスペクトルである。
【図3】塩化第二鉄で処理された原料稲の包皮のIRスペクトルである。
【図4】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された稲の包皮のIRスペクトルである。
【図5】原料アワの包皮のIRスペクトルである。
【図6】アルカリ性過酸化水素で処理されたアワの包皮のIRスペクトルである。
【図7】塩化第二鉄で処理された原料アワの包皮のIRスペクトルである。
【図8】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理されたアワの包皮のIRスペクトルである。
【図9】アルカリ性過酸化水素で処理された小麦(wheat)の包皮のIRスペクトルである。
【図10】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された小麦の包皮のIRスペクトルである。
【図11】キビの包皮のIRスペクトルである。
【図12】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理されたキビの包皮のIRスペクトルである。
【図13】アルカリ性過酸化水素で処理された綿実(ワタ)のもみ殻のIRスペクトルである。
【図14】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された綿実(ワタ)のもみ殻のIRスペクトルである。
【図15】アルカリ性過酸化水素で処理されたカスター(castor)(ヒマ)の種皮のIRスペクトルである。
【図16】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理されたカスター(ヒマ)の種皮のIRスペクトルである。
【図17】アルカリ性過酸化水素で処理された向日葵(ヒマワリ)の種皮のIRスペクトルである。
【図18】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された向日葵(ヒマワリ)の種皮のIRスペクトルである。
【図19】アルカリ性過酸化水素で処理された赤いヒヨコマメ(redgram)(カジャヌス・カジャン)の種皮のIRスペクトルである。
【図20】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された赤いヒヨコマメ(カジャヌス・カジャン)の種皮のIRスペクトルである。
【図21】アルカリ性過酸化水素で処理された緑のヒヨコマメ(リョクトウ)の種皮のIRスペクトルである。
【図22】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された緑のヒヨコマメ(リョクトウ)の種皮のIRスペクトルである。
【図23】アルカリ性過酸化水素で処理された黒のヒヨコマメ(ケツルアズキ)の種皮のIRスペクトルである。
【図24】アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された黒のヒヨコマメ(ケツルアズキ)の種皮のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
今から、本出願人は、本発明の実施例及び図示によって次の具体的説明を行なうが、これは、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0044】
原料の包皮、もみ殻又は被膜を微粉砕したのち、KBr錠でIR分光法を行なった。試料は塩化第二鉄で処理し、乾燥したのち、KBr錠でIR分光法を行なった。各試料の形状のIR分光法は3つのパターンで行なった;(1)全走査;即ち、4000ないし500の波数(cm-1)、(2)4000から2200までの波数(cm-1)の走査、及び(3)2000から600までの波数(cm-1)の走査。
[図1]
原料稲の包皮のIRスペクトルである。
[図2]
アルカリ性過酸化水素で処理された稲の包皮のIRスペクトルである。
[図3]
塩化第二鉄で処理された原料稲の包皮のIRスペクトルである。
[図4]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された稲の包皮のIRスペクトルである。
【0045】
稲の包皮の種々の試料のIRスペクトルで判るように、稲の包皮にアルカリ性過酸化水素処理を施すと、多数の反応性結合、即ち、有機金属結合が生成することが判った。
[図5]
原料アワの包皮のIRスペクトルである。
[図6]
アルカリ性過酸化水素で処理されたアワの包皮のIRスペクトルである。
[図7]
塩化第二鉄で処理された原料アワの包皮のIRスペクトルである。
[図8]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理されたアワの包皮のIRスペクトルである。
【0046】
前記のIR分光法の図5ないし8で判るように、比較的多数の反応性有機金属結合が鉄によって生成した。
[図9]
アルカリ性過酸化水素で処理された小麦(wheat)の包皮のIRスペクトルである。
[図10]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された小麦の包皮のIRスペクトルである。
【0047】
IR分光法の図9及び10で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理された小麦(コムギ)の包皮は、2360±10及び2340±10の波数(cm-1)で特に目立つ多数の有機金属結合を生成した。
[図11]
キビの包皮のIRスペクトルである。
[図12]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理されたキビの包皮のIRスペクトルである。
【0048】
IR分光法の図11及び12によると、有機金属結合は1600ないし600の波数(cm-1)で比較的目立っていたことが判る。
[図13]
アルカリ性過酸化水素で処理された綿実(ワタ)のもみ殻のIRスペクトルである。
[図14]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された綿実(ワタ)のもみ殻のIRスペクトルである。
【0049】
IR分光法の図13及び14で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理された綿実(ワタ)のもみ殻は、2360±10及び2340±10の波数(cm-1)で特に目立つ多数の有機金属結合を生成した。
[図15]
アルカリ性過酸化水素で処理されたカスター(castor)(ヒマ)の種皮のIRスペクトルである。
[図16]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理されたカスター(ヒマ)の種皮のIRスペクトルである。
【0050】
IR分光法の図15及び16で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理されたカスター(ヒマ)の種皮は多数の有機金属結合を生成した。
[図17]
アルカリ性過酸化水素で処理された向日葵(ヒマワリ)の種皮のIRスペクトルである。
[図18]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された向日葵(ヒマワリ)の種皮のIRスペクトルである。
【0051】
IR分光法の図17及び18で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理された向日葵(ヒマワリ)の種皮は多数の有機金属結合を生成した。
[図19]
アルカリ性過酸化水素で処理された赤いヒヨコマメ(redgram)(カジャヌス・カジャン)の種皮のIRスペクトルである。
[図20]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された赤いヒヨコマメ(カジャヌス・カジャン)の種皮のIRスペクトルである。
【0052】
IR分光法の図19及び20で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理された赤いヒヨコマメ(カジャヌス・カジャン)の種皮は多数の有機金属結合を生成した。
[図21]
アルカリ性過酸化水素で処理された緑のヒヨコマメ(リョクトウ)の種皮のIRスペクトルである。
[図22]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された緑のヒヨコマメ(リョクトウ)の種皮のIRスペクトルである。
【0053】
IR分光法の図21及び22で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理された緑のヒヨコマメ(リョクトウ)の種皮は、2360±10及び2340±10の波数(cm-1)で特に目立つ多数の有機金属結合を生成した。
[図23]
アルカリ性過酸化水素で処理された黒のヒヨコマメ(ケツルアズキ)の種皮のIRスペクトルである。
[図24]
アルカリ性過酸化水素で処理され、更に塩化第二鉄で処理された黒のヒヨコマメ(ケツルアズキ)の種皮のIRスペクトルである。
【0054】
IR分光法の図23及び24で判るように、アルカリ性過酸化水素で処理された黒のヒヨコマメ(ケツルアズキ)の種皮は多数の有機金属結合を生成した。
【0055】
アグロポリマーの金属封鎖特性は、農業穀物の種皮(イネ、キビ、アワからの種皮又はもみ殻)からのものであった。1グラムのアグロポリマー試料を1000mlのメスフラスコに採取して、20.0PPMの銅及び銀の標準溶液を別々に標線まで入れた後、このフラスコの中の溶液を2時間連続的に振とうした後、溶液を濾過し、この溶液の中に含まれる銅及び銀を分光光度法により評価した。アグロポリマーを加える前と後の溶液に含まれる金属含量の差から、特定のアグロポリマーの金属吸収/封鎖能力が判る。表2に示しているように、アグロポリマーが銅及び銀のような金属を封鎖した。1グラムのアワアグロポリマーが各々、6.0ミリグラムの銅及び4.1ミリグラムの銀を吸収/封鎖した。1グラムのキビアグロポリマーが、各々、1.6ミリグラムの銅及び2.5ミリグラムの銀を封鎖した。1グラムのイネアグロポリマーが、各々、4.5ミリグラムの銅及び4.7ミリグラムの銀を封鎖した。
【0056】
アグロポリマーは、高濃度の金属を含む溶液から比較的高含量の金属を吸収する性質を発現する。このような特性を利用して保持時間(12−24)を長くすると、金属の高濃度溶液中の比較的高含量の金属を吸収させることが出来る。アグロポリマーを金属に加えて(例えば、鉄又はアルミニウムを含む溶液)、非結合金属を水による洗浄で除去し及び/又は酸性pHの反応媒体の場合にはアルカリで中和した後、この材料を乾燥させた。金属含浸アグロポリマーをビーカーに採取した後、ビーカーに250mlの水を加えて、充分に攪拌した後、アグロポリマー材料をカラムモード(mode)に充填した。結合した金属を得るために、カラムに含まれるアグロポリマー材料は1Nの酸50mlで洗浄した。酸洗浄の際の金属含量は分光光度法で評価した。表3は、アグロポリマーに結合した金属含量の量を示している。1グラムのアワアグロポリマーは、14.4ミリグラムの量のアルミニウムを吸収した(塩化アルミニウムで処理された場合)。1グラムのイネアグロポリマーは、8.6ミリグラムの量のアルミニウムを吸収した(硫酸アルミニウムで処理された場合)。1グラムのアワアグロポリマーは、4.7ミリグラムの量の鉄を吸収した(塩化第二鉄で処理された場合)。
【0057】
なお、次の説明は、アグロポリマーのヒ素封鎖特性である。この実験では、銅、亜鉛及び鉄と結合したアグロポリマーは、ヒ素封鎖特性を測定するために別々に採取した。
【0058】
1グラムのアグロポリマーを、6.6PPMのヒ酸ナトリウムを含む溶液100mlに加えた後、3ないし4時間充分に攪拌した。上澄み液に含まれるヒ素含量は分光光度法により評価した。表4で判るように、金属含浸アグロポリマーが水溶液からヒ素を吸収した。銅、鉄及び亜鉛含浸のアワアグロポリマーは、6.6PPMと言う当初のヒ素の量から約73−75パーセントのヒ素を吸収した。
【0059】
金属含浸をしていないアグロポリマーも、ヒ素を吸収する。表5で判るように、アグロポリマーによって、ヒ素を含む天然水からヒ素含量が大幅に減少した。
【0060】
次の説明では、アグロポリマーのフッ化物除去特性を説明する。実際に、アグロポリマーは、僅かのフッ化物イオンも吸収することは出来ないが、アグロポリマーがアルミニウムのような金属と結合すると、金属に結合したアグロポリマーがフッ化物イオンを著しく吸収することが出来る。硫酸アルミニウムと結合したアグロポリマーが5PPMのフッ化ナトリウムを含む溶液に加えられると(金属含浸アグロポリマー1000ミリグラムを5PPMフッ化ナトリウム50mlに加えた)、この金属結合アグロポリマーは、フッ化物イオンを、各々、77.4%、及び90.87%吸収した。同様に、これらの金属結合アグロポリマーは、フッ化物を含む天然水からフッ化物イオンを取り除いた。4.15PPMのフッ化物含量の天然水を、(1)塩化アルミニウム含浸アワアグロポリマー及び(2)硫酸アルミニウム含浸イネアグロポリマーとリットル当たり1gmの濃度で混合すると、フッ化物イオンは大幅に取り除かれた。
【0061】
今から、本発明は、金属封鎖及び結合金属の溶離にとって重要なパラメータを説明する。前記物質の効果的使用は、金属封鎖にとって好適なpHによって決まる。前記物質の結合金属はpH0.8−1.0の硫酸、硝酸及び塩酸を含めた鉱酸で溶離することが出来る。
【0062】
本発明の重要な特徴の1つは、農産物の種皮又はもみ殻に含まれるアグロポリマーの金属又はイオン封鎖特性の確認、及び水処理におけるアグロポリマーの利用である。
【0063】
本発明のもう1つの重要な特徴は、アグロポリマーがカラム又はバッチモードで有用であり、種々の金属をPPMないしPPBレベルで除去又は封鎖するために多数のサイクルで反復使用するのに適していることである。
【0064】
金属含浸アグロポリマーは、フッ化物イオンの封鎖及びヒ素のような金属吸収には有用であることが判った。前記の物質封鎖能力は、試験した大抵の金属では中性のpH範囲で最も高い。前記物質(アグロポリマー)に含まれる大抵の結合金属は、0.8−1.0pHで、硫酸、硝酸及び塩酸を含めて鉱酸で溶離することが出来る。これらのアグロポリマーは、経済的な利点をもたらす、カラム又はバッチモードで反復使用するのに好適である。
【0065】
これらのアグロポリマーの工業的用途は広範囲である。これらは汚染防止に効果的に使用出来、環境を金属又はイオン汚濁から保護する。前記物質の広範囲な用途は本発明の主題である。従って、本発明は、カラム方法によってもバッチ方法によっても、汚濁水から金属及びイオンを除去する方法に関するものであり、毒性の原因となる金属及びイオンが水から除去される。
【0066】
ここで、本出願人によって行なわれた検討の諸発見事項をまとめることが必要不可欠であり、この発見事項を次の表1ないし5に示す:
【0067】
表1は、アルカリ性過酸化水素で処理された、イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイから誘導されるアグロポリマーの金属(鉄)封鎖特性を示している。カラムの中の1グラムのアグロポリマーに塩化第二鉄溶液を1分間当たり2mlの流量で通し、結合金属含量は2−5%の塩酸で溶離させることにより評価した。溶離に先立って、pH2.5の塩酸溶液で洗浄することにより非結合の過剰の金属はカラムから取り除いた。結合金属は、標準試薬を使い535nmで分光光度法で評価した。
【0068】
【表1】

【0069】
表2は、アワ、キビ及びイネのアルカリ処理により種皮又はもみ殻から誘導されたアグロポリマーの金属封鎖特性、即ち封鎖された銅及び銀を示している。
【0070】
【表2】

【0071】
表3は、アワ及びイネからの種皮又はもみ殻から誘導されるアグロポリマーへの金属含浸(アルミニウム及び鉄)を示している。
【0072】
【表3】

【0073】
表4は、金属含浸アグロポリマーのヒ素封鎖特性を示している(アワからの種皮又はもみ殻から誘導されたアグロポリマーに含浸された銅、鉄、亜鉛)。
【0074】
【表4】

【0075】
表5は、ヒ素を含む天然水からの、アグロポリマーのヒ素封鎖特性を示している。
【0076】
【表5】

【0077】
本発明は、金属含浸アグロポリマー(アワ及びイネからの種皮又はもみ殻から誘導されたアグロポリマーに含浸されたアルミニウム)のイオン(フッ化物)の除去又は封鎖特性を説明している。
【0078】
本発明から誘導される結果から、金属及びイオンを含む工業排水による地下水汚濁を減らすためにアグロポリマーを使用することを含めて、種々の工業用途で有用な反応性物質を用いて、精製又は結合又は除去又は封鎖又は反応させるためにアフィニティーカラム(affinity column)の中で使用するアグロポリマー及び金属含浸アグロポリマーを使用する範囲が得られる(例えば、生分解性プラスチック、樹脂のような種々の誘導体の製造にこれらのアグロポリマーを使用する)。
【0079】
本発明の実施態様は、完全明細書の中で、本発明の重要な特徴を説明するために詳細に説明されていることに注目すべきであり、更に、本発明の範囲内では、本発明の種々の修正が可能であると考えられる。説明は、本発明の範囲を決して限定するのもではないことは明白である。本発明の範囲は、該当の頁に記載されている。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】

【図3−1】

【図3−2】

【図3−3】

【図4−1】

【図4−2】

【図4−3】

【図5−1】

【図5−2】

【図5−3】

【図6−1】

【図6−2】

【図6−3】

【図7−1】

【図7−2】

【図7−3】

【図8−1】

【図8−2】

【図8−3】

【図9−1】

【図9−2】

【図9−3】

【図10−1】

【図10−2】

【図10−3】

【図11−1】

【図11−2】

【図11−3】

【図12−1】

【図12−2】

【図12−3】

【図13−1】

【図13−2】

【図13−3】

【図14−1】

【図14−2】

【図14−3】

【図15−1】

【図15−2】

【図15−3】

【図16−1】

【図16−2】

【図16−3】

【図17−1】

【図17−2】

【図17−3】

【図18−1】

【図18−2】

【図18−3】

【図19−1】

【図19−2】

【図19−3】

【図20−1】

【図20−2】

【図20−3】

【図21−1】

【図21−2】

【図21−3】

【図22−1】

【図22−2】

【図22−3】

【図23−1】

【図23−2】

【図23−3】

【図24−1】

【図24−2】

【図24−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有意な量のペントサンを有する炭水化物および/またはシリカのマトリックスを含んでなり、少なくともタンパク質、タンニンおよびポリフェノール類を実質的に含まず、金属結合反応性部位を有する新規アグロポリマー。
【請求項2】
該炭水化物マトリックスが農作物の種皮、種子被覆、籾殻および包被から選択される植物部分から得られるものである請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項3】
該農作物がイネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、およびラッカセイから選択される請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項4】
該原料包被が微粉末化されており、IR分光法をKBr錠で実施し、該サンプルは塩化第二鉄で処理した後に乾燥され、そのサンプルはIR分光法で測定したとき、結果として生じる反応性結合、すなわち、有機金属結合を示すものである請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項5】
該植物材料(コムギ包被)をアルカリ性過酸化水素処理した後に実施したIR分光法が、2360±10および2340±10の波数(cm-1)において顕著な有機金属結合を示す請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項6】
綿実(ワタ)種皮をアルカリ性過酸化水素処理した後にKBr錠で実施したIR分光法が、2360±10および2340±10の波数(cm-1)において顕著な有機金属結合を示す請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項7】
緑のヒヨコマメ(リョクトウ)種皮をアルカリ性過酸化水素処理した後にKBr錠で実施したIR分光法が、2360±10および2340±10の波数(cm-1)において顕著に多数の有機金属結合を生ずるに至る請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項8】
キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、ヒマ、ヒマワリの種皮をアルカリ性過酸化水素処理した後にKBr錠で実施したIR分光法が、各材料に特徴的な有機金属結合を示す請求項1記載のアグロポリマー。
【請求項9】
イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、およびラッカセイから選択される植物から得られる材料からのアグロポリマーの製造法であって、以下の工程を含んでなる方法:
a)植物材料を粉末とする、
b)植物材料を必要とするミクロンサイズに微粉末化する、
c)当該微粉末化植物材料をアルカリまたはアルカリ性過酸化水素または過酸化水素で処理する、
d)当該材料を水または酸で繰返し洗浄処理して、アルカリおよび/または過酸化水素の残留物を除去する、
e)当該材料を酸溶液で処理して、結合した金属を除去する、
f)水洗により、または希アルカリ溶液の添加により酸を除去し当該分子を中和する、および
g)得られたアグロポリマーを室温でまたは乾燥機(70〜80℃)により乾燥する。
【請求項10】
該植物材料の粉末化を粉砕機による粉砕により実施する請求項9記載の方法。
【請求項11】
種子、包被および種皮または籾殻の粉末の微粉末化を微粉末機により実施し、所望の粒子径(ミクロン)を得る請求項9記載の方法。
【請求項12】
該植物材料が作物の種皮、包被または籾殻から選択される請求項9記載の方法。
【請求項13】
アルカリ処理を炭酸ナトリウムで実施し、次いで過酸化水素で処理する請求項9記載の方法。
【請求項14】
アルカリ処理を、アルカリ性溶液をアグロポリマーに添加することにより実施する請求項9記載の方法。
【請求項15】
アルカリ処理を、アルカリ粉末/薄片を乾燥状態でアグロポリマーに直接添加して、次いで、水を加えることにより実施する請求項9記載の方法。
【請求項16】
処理後のアルカリおよび/または過酸化物残量を水洗の繰返しにより除去する請求項9記載の方法。
【請求項17】
処理後のアルカリおよび/または過酸化物残量を別途希酸(H2SO4、HClまたはHNO3を使用する)を添加することにより除去する請求項9記載の方法。
【請求項18】
アグロポリマー中に存在する結合金属を1〜3%の酸溶液(H2SO4、HClまたはHNO3を使用する)で溶出する請求項9記載の方法。
【請求項19】
酸の残渣を水洗の繰返しにより除去する請求項9記載の方法。
【請求項20】
酸の残渣を希アルカリ溶液(NaOHまたはKOHなどを使用する)の添加により除去する請求項9記載の方法。
【請求項21】
水分を上清の傾斜の後に乾燥機(70〜80℃)にて乾燥除去する請求項9記載の方法。
【請求項22】
水分を上清の傾斜の後に室温にて乾燥除去する請求項9記載の方法。
【請求項23】
アグロポリマーおよび/または金属含浸アグロポリマーによる汚染水処理により、金属もしくはイオンで汚染された飲料水または地下水などの金属とイオンで汚染/汚濁された水溶液を精製する方法であって、当該アグロポリマーは種々の農作物(イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、ラッカセイなど)の種皮、包被または籾殻などの植物材料から製造され、当該方法はカラム式またはバッチ式でイオンまたは金属汚染水をアグロポリマーおよび/または金属含浸アグロポリマーと接触させる工程、イオンまたは金属を封鎖して無汚染水とする工程を含んでなり、当該封鎖は封鎖の効率を最大とするために、最適条件(pHなど)下で実施する精製方法。
【請求項24】
イネ、キビ、アワ、カジャヌス・カジャン、ケツルアズキ、リョクトウ、コムギ、ヒマ、ヒマワリ、ワタ、およびラッカセイなどの農作物の種子包被、籾殻または種皮から製造されるアグロポリマーが、PPMないしPPBレベルの水溶液から金属を除去することの可能な請求項23記載の方法。
【請求項25】
該アグロポリマーが、PPMないしPPBレベルで水溶液からヒ素などの金属を除去することの可能な請求項23記載の方法。
【請求項26】
該アグロポリマーが、PPMないしPPBレベルで水溶液からイオンを除去することの可能な請求項23記載の方法。
【請求項27】
当該方法がカラム方式を用い、汚濁水溶液からの金属またはイオンの負荷を封鎖することにより実施し、カラム法は金属またはイオン含量がPPMまたはPPBレベルで得られる場合に使用し、工程の条件は特定金属の結合と溶出に適したpH条件を用い、これらのアグロポリマーがカラム方式で繰返し使用し得るものである請求項23記載の方法。
【請求項28】
当該方法がバッチ方式を用い、汚濁水溶液からの金属またはイオンの負荷を封鎖することにより実施し、バッチ法は金属またはイオン含量がPPMまたはPPBレベルで得られる場合に使用し、工程の条件は特定金属の結合と溶出に適したpH条件を用い、これらのアグロポリマーがバッチ方式で繰返し使用し得るものである請求項23記載の方法。
【請求項29】
該アグロポリマーをヒ素または水銀など毒性金属の濃厚な天然地下水の処理に使用して、実質的に純粋な水または飲料水を得る請求項23記載の方法。
【請求項30】
該アグロポリマーを使用して、多くの工業地帯および密集した処理工場において不所望の金属および/またはイオンによる地下水の潜在的な汚濁を防止する請求項23記載の方法。

【公開番号】特開2011−88142(P2011−88142A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240950(P2010−240950)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【分割の表示】特願2000−600772(P2000−600772)の分割
【原出願日】平成12年2月24日(2000.2.24)
【出願人】(501336491)ビジャム バイオサイエンシズ プライヴェート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】