説明

アシルペルオキシドを製造するための連続的方法

アシルペルオキシドの連続的製造は、カルボン酸クロリド、カルボン酸無水物またはクロロホルミエートを有機ヒドロペルオキシドまたは過酸化水素と、直列接続された十分に混合する少なくとも2個の反応帯域中で反応させることによって行なわれ、この場合第1の反応帯域には、アシル化合物、ペルオクソ酸化合物および塩基の水溶液が供給され、第1の反応帯域は、熱交換器上の2相の反応混合物の循環路を含み、この熱交換器中で反応混合物は、冷却される。この方法は、高い空時収量で安全な反応の操作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全に高い空時収量で実施することができる、アシルペルオキシドの製造方法に関する。
【0002】
アシルペルオキシドは、通常、一連のカルボン酸クロリド、カルボン酸無水物およびクロロホルミエートからのアシル化合物を、一連の有機ヒドロペルオキシドおよび過酸化水素からのペルオクソ酸化合物(Persauerstoffverbindung)と反応させることによって製造される。この反応は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を添加しながら行なわれ、アシル化合物とペルオクソ酸化合物との反応の際に遊離する酸を結合する。この場合、この反応は、2相の反応混合物中で行なわれ、発熱を伴いながら進行する。
【0003】
アシルペルオキシドは、重合反応、ポリマーの架橋反応および不飽和ポリエステル樹脂の硬化のための開始剤として工業的に使用されている。前記使用は、遊離ラジカルへの不安定な酸素−酸素結合に対するアシルペルオキシドの崩壊に基づくものである。この崩壊は、過酸化物の化学構造に依存して異なる温度で異なる速度で生じる。崩壊の際に遊離された熱は、不十分な熱導出の場合に崩壊過程の自己加速をまねき、この崩壊過程は、多くの場合に激しい分解に至り、最悪の場合には、爆発をまねきうる。
【0004】
従って、アシルペルオキシドを安全に製造するためには、自己加速する分解の温度(SADT)より低い温度で実施することができ、僅かな反応器容量および高い空時収量で進行し、したがって反応器中でそのつど微少量のアシルペルオキシドが存在するにすぎない方法が必要とされる。
【0005】
米国特許第3849468号明細書には、アシルペルオキシドを環状反応器中で製造するための連続的方法が開示されている。この方法の場合、反応混合物の水相だけが循環路中に導かれる。それというのも、反応カラムへのそのつどの通過後に、有機相は、生成物と分離され、水相だけが反応カラム中に返送されるからである。この方法は、溶剤の使用を必要とし、実施例から明らかなように、0.1〜0.47mol/l・hの範囲内の空時収量を可能にする。
【0006】
これに対して、米国特許第4075236号明細書には、改善された方法が開示されており、反応は、連続的に直列接続された2個の攪拌釜中で行なわれ、この場合使用物質は、第1の攪拌釜に供給される。この方法は、溶剤なしで1.3〜2.0mol/l・hの範囲内の空時収量で反応の実施を可能にする。
【0007】
東ドイツ国特許第128663号明細書には、米国特許第4075236号明細書の記載と同様の方法が開示されており、この場合この反応は、直列接続された4〜7個の攪拌釜中で行なわれる。自己加速する分解の温度(SADT)を上廻る40〜95℃の反応温度の場合には、16〜74mol/l・hの範囲内の空時収量が達成される。
【0008】
欧州特許第847387号明細書には、アシルペルオキシドを、混合反応器および後接続された結合導管を含む通過装置中で連続的に製造するための方法が記載されており、この場合には、後接続された結合導管中で反応の少なくとも10%が行なわれる。混合反応器には、噴射型混合装置の形の強力型混合装置、超音波発生器、静的混合装置または回転子/固定子型混合装置が使用される。記載された方法は、安全に工業的規模に転用することができない。それというのも、変換率が少なくとも10%である場合、後接続された結合導管中で実験室用装置の小型の導管断面の場合にのみ、必要とされる熱導出を保証することができるからである。
【0009】
米国特許第2004/0249097号明細書には、10μm未満のアシルペルオキシドの液滴寸法を有するアシルペルオキシドの乳濁液の製造法が記載されている。この方法の場合、アシル化合物とペルオクソ酸化合物とは、分散剤の存在で反応される。この方法の1つの実施態様において、反応は、貫流型ホモジェナイザー(直列型ホモジェナイザー)中で行なわれ、この場合この貫流型ホモジェナイザーは、循環路の操作で運転することができ、均質化のために大量の通過量が達成される。しかし、この方法の場合には、アシルペルオキシドの乳濁液だけを得ることができ、アシルペルオキシドを純粋な形で得ることができない。
【0010】
ところで、アシルペルオキシドを低い温度および高い空時収量で、さらにアシルペルオキシドの製造を純粋な形で溶剤の使用なしに可能にする本発明による方法によって、安全に製造するという課題を解決することができることが見出された。
【0011】
本発明の対象は、一連のカルボン酸クロリド、カルボン酸無水物およびクロロホルミエートからのアシル化合物を、一連の有機ヒドロペルオキシドおよび過酸化水素からのペルオクソ酸化合物と反応させ、この場合この反応を直列接続された十分に混合する少なくとも2個の反応帯域中で行ない、第1の反応帯域にアシル化合物、ペルオクソ酸化合物および塩基の水溶液を供給することにより、アシルペルオキシドを製造するための連続的方法であり、この場合この方法は、第1の反応帯域が熱交換器上の2相の反応混合物の循環路を含み、この熱交換器中で反応混合物を冷却することによって特徴付けられる。
【0012】
本発明による方法の場合、アシル化合物とペルオクソ酸化合物とは、直列接続された十分に混合する少なくとも2個の反応帯域中で反応される。この場合、十分に混合する反応帯域は、本発明の範囲内で混合により、反応帯域内での反応混合物の十分に単一の組成を保証する反応帯域である。これとは異なり、直列接続された反応帯域間で逆混合が起こらず、即ち後接続された反応帯域から、反応混合物は、先行する反応帯域中へ返送されない。十分に混合する反応帯域は、別個の反応器として形成されていてよい。他の選択可能な方法によれば、2個以上の十分に混合する反応帯域は、共通の装置中で形成されていてもよい。十分に混合する反応帯域に適した実施態様は、例えば攪拌釜反応器または環状反応器である。特に、本発明による方法は、2〜8個の直列接続された十分に混合する反応帯域を含む。
【0013】
本発明による方法の場合、アシル化合物およびペルオクソ酸化合物は、第1の反応帯域に供給される。更に、第1の反応帯域には、塩基の水溶液が供給される。塩基としては、水溶性金属水酸化物、水溶性第四アンモニウムヒドロキシドまたは水溶性第三アミンが使用される。好ましくは、塩基として、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、特に有利に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが使用される。ペルオクソ酸化合物と塩基の水溶液とは、混合されることができ、その後に、この混合物は、第1の反応帯域に供給される。他の選択可能な方法によれば、前記のペルオクソ酸化合物と塩基の水溶液とは、第1の反応帯域に別々に供給されてもよい。アシル化合物およびペルオクソ酸化合物の供給は、連続的または断続的に行なうことができ、この場合連続的な供給は、好ましい。また、塩基の水溶液は、選択的に連続的または断続的に供給されてよい。1つの好ましい実施態様において、塩基の水溶液の供給は、水相中でのpH値の測定により、第1の反応帯域中で監視される。
【0014】
本発明による方法の場合、第1の反応帯域中で2つの液相を有する2相の反応混合物が形成される。第1の水相は、使用される塩基および塩基との反応の際に形成されるクロリド塩、またはカルボキシレート塩の大部分を含有する。第2の有機相は、使用されるアシル化合物および反応の際に生じるアシルペルオキシドの大部分を含有する。
【0015】
本発明による方法の場合、第1の反応帯域中で2相の反応混合物は、熱交換器を含む循環路中に導かれ、この循環路中で反応混合物は冷却される。特に、循環路のそれぞれの通過量で反応混合物は、全部または部分的に熱交換器上に導かれる。特に有利には、循環路のそれぞれの通過量で全ての反応混合物は、熱交換器上に導かれる。1つの特に好ましい実施態様において、環状反応器は、第1の反応帯域として使用され、この環状反応器中で反応混合物は、ポンプで熱交換器を通じて輸送される。
【0016】
第1の反応帯域中での循環路の速度は、特に少なくとも2、特に少なくとも5の循環比が生じるように選択される。循環比は、経済的理由から一般に1000未満、殊に100未満である。この場合、循環比は、第1の反応帯域中で循環する反応混合物と第1の反応帯域から取り出される反応混合物との質量比を表わす。
【0017】
熱交換器としては、公知技術水準から公知の全ての熱交換器を使用することができ、当該熱交換器は、2相の液状混合物の冷却に適している。好ましくは、管束熱交換器または板状熱交換器が使用され、この場合反応混合物は、管を貫流するかまたは板間の間隙を貫流する。熱交換器は、特に、反応混合物が熱交換器の通路または間隙を通じて輸送され、この場合前記の通路または間隙は、50mm未満、特に有利に10mm未満の水圧直径を有する。熱交換器は、特に、熱交換器の冷却面積と第1の反応帯域の容積との比が少なくとも1.5m2/m3、特に有利に少なくとも15m2/m3であるように寸法決定される。特に、熱交換器の構造形式および寸法決定は、熱交換器内で主に攪乱流が生じ、この攪乱流が2相の反応混合物中で液滴の微粉砕による分散を引き起こすように選択される。
【0018】
第1の反応帯域中へのアシル化合物の添加は、特に第1の反応帯域の循環路中に、特に有利に反応混合物の流速が0.05m/秒を上廻る、殊に0.5m/秒を上廻る個所で行なわれる。
【0019】
本発明による方法の1つの好ましい実施態様において、第1の反応帯域中の循環路は、2相の反応混合物中で液滴の微粉砕による分散を引き起こす混合装置を含む。この実施態様において、第1の反応帯域中へのアシル化合物の添加は、特に混合装置の直前で行なわれる。混合装置としては、2相の液状混合物中で液滴の微粉砕に適していることが当業者に公知である全ての混合装置が適している。特に好適であるのは、静的混合装置、例えばSulzer SMV混合装置またはSMX混合装置の構造型の静的混合装置である。1つの他の好ましい実施態様において、混合装置としては、第1の反応帯域中での循環のための循環ポンプ、殊にロータリーポンプが使用される。適当な構造形式および寸法決定の場合、上記したように、本発明による方法に使用される熱交換器は、混合装置として適している。
【0020】
本発明による方法の他の好ましい実施態様において、第1の反応帯域に後接続された反応帯域は、攪拌セル型反応装置の形で形成されている。攪拌セル型反応装置は、ケーシング中に直列接続された2つ以上の反応帯域を有し、この場合それぞれの反応帯域は、少なくとも1つの攪拌機によって十分に混合され、攪拌機は、共通のモーター、特に共通の駆動軸によって駆動される。この場合、反応帯域は、実際に先行する反応帯域中への反応帯域の反応混合物の逆混合が全く起こらないように互いに結合されている。
【0021】
反応帯域は、例えば互いに別々であってもよく、管状導管により互いに結合されていてもよい。しかし、他の選択可能な方法によれば、反応帯域は、多孔板またはバルブ板により互いに結合されてもよく、これらの多孔板またはバルブ板は、実際に逆混合が生じないように寸法決定されている。
【0022】
第1の反応帯域に後接続された反応帯域は、冷却装置を有することができ、この冷却装置で前記反応帯域中で遊離される反応熱は、導出される。冷却装置としては、例えば第1の反応帯域中の場合と同様に熱交換器を使用することができる。他の選択可能な方法によれば、冷却ジャケットを有する反応器を使用してもよい。
【0023】
本発明による方法では、一連のカルボン酸クロリド、カルボン酸無水物およびクロロホルミエートからのアシル化合物が使用される。
【0024】
カルボン酸クロリドとしては、特に一連の塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化イソブチリル、塩化バレロイル、2−メチルブチリルクロリド、塩化ピバロイル、2−メチルペンタノイルクロリド、2−エチルブチリルクロリド、2−エチルヘキサノイルクロリド、塩化ノナノイル、2,4,4−トリメチルペンタノイルクロリド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド、塩化デカノイル、塩化ネオデカノイル、塩化ラウロイル、塩化ベンゾイル、2−メチルベンゾイルクロリド、4−メチルベンゾイルクロリド、4−クロロベンゾイルクロリド、2,4−ジクロロベンゾイルクロリドおよび塩化ナフトイルが使用される。特に有利には、カルボン酸クロリドとして塩化ピバロイル、2−エチルヘキサノイルクロリドまたは塩化ベンゾイルが使用される。
【0025】
カルボン酸無水物としては、特に一連の無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸および無水フタル酸が使用される。
【0026】
クロロホルミエートとしては、特に一連のメチルクロロホルミエート、エチルクロロホルミエート、n−プロピルクロロホルミエート、イソプロピルクロロホルミエート、n−ブチルクロロホルミエート、第二ブチルクロロホルミエート、2−エチルヘキシルクロロホルミエート、イソトリデシルクロロホルミエート、ミリスチルクロロホルムエート、セチルクロロホルミエート、ステアリルクロロホルミエート、シクロヘキシルクロロホルミエート、4−第三ブチルシクロヘキシルクロロホルミエート、ベンジルクロロホルミエートおよび2−フェノキシエチルクロロホルミエートが使用される。特に有利には、クロロホルミエートとして2−エチルヘキシルクロロホルミエートが使用される。
【0027】
本発明による方法では、一連の有機ヒドロペルオキシドおよび過酸化水素からのペルオクソ酸化合物が使用される。
【0028】
有機ヒドロペルオキシドとしては、特に一連の第三ブチルヒドロペルオキシド、第三アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、4−第三ブチルクメンヒドロペルオキシド、1,3−ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシドおよび1,4−ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシドが使用される。特に有利には、有機ヒドロペルオキシドとして第三ブチルヒドロペルオキシドが使用される。
【0029】
使用される反応条件下で固体であるアシル化合物および/または有機ヒドロペルオキシドは、特に溶剤中の溶液の形で使用される。この場合、溶剤としては、反応条件下でアシル化合物とも反応しないし、有機ヒドロペルオキシドまたは塩基とも反応しない、当業者に公知の全ての溶剤が適している。特に、使用された反応温度の場合に1g/l未満の水中での溶解度を有する溶剤が使用される。適当な溶剤は、例えばトルエンおよびイソドデカンである。
【0030】
使用される反応条件下で固体であるアシルペルオキシドを製造する場合には、特にアシルペルオキシドのための溶剤は、最後の反応帯域の後方で、有機相として溶剤中のアシルペルオキシドの液状溶液を有する2相の反応混合物に導かれる量で添加される。特に、使用された反応温度の場合に1g/l未満の水中での溶解度を有する溶剤が使用される。適当な溶剤は、例えばトルエンおよびイソドデカンである。
【0031】
使用される反応条件下で液状であるアシルペルオキシドを製造する場合には、反応は、特に溶剤なしに実施される。
【0032】
構造式R1C(O)Clのカルボン酸クロリドまたは構造式R1C(O)OC(O)R1のカルボン酸無水物を構造式R2OOHのヒドロペルオキシドと反応させる場合には、本発明による方法で構造式R1C(O)OOR2のペルカルボン酸エステルが得られる。この場合、アシル化合物およびヒドロペルオキシドは、特に1:0.8〜1:2、特に有利に1:1〜1:1.5のモル比で使用される。アシル化合物と塩基(有利にアルカリ金属水酸化物として)とのモル比は、特に1:0.8〜1:5、特に有利に1:1〜1:3.5の範囲内にある。塩基の添加は、特に、第1の反応帯域中で反応混合物の水相中で8〜14、特に11〜14の範囲内のpH値が生じるように行なわれる。反応は、特に−10〜50℃、特に有利に10〜40℃の範囲内の温度で行なわれる。
【0033】
構造式R1C(O)Clのカルボン酸クロリドまたは構造式R1C(O)OC(O)R1のカルボン酸無水物を過酸化水素と反応させる場合には、本発明による方法で構造式R1C(O)OOC(O)R1のジアシルペルオキシドが得られる。この場合、アシル化合物と過酸化水素は、特に2:1〜2:4、特に有利に2:1〜2:1.5のモル比で使用される。アシル化合物と塩基(有利にアルカリ金属水酸化物として)とのモル比は、特に1:1〜1:2、特に有利に1:1〜1:1.5の範囲内にある。塩基の添加は、特に、第1の反応帯域中で反応混合物の水相中で8〜14、特に10〜14の範囲内のpH値が生じるように行なわれる。反応は、特に−10〜50℃、特に有利に10〜40℃の範囲内の温度で行なわれる。
【0034】
構造式R1OC(O)Clのクロロホルミエートと構造式R2OOHのヒドロペルオキシドとの反応の場合には、本発明による方法で構造式R1OC(O)OOR2のペルオキソカーボネートが得られる。この場合、クロロホルミエートおよびヒドロペルオキシドは、特に1:0.8〜1:2、特に有利に1:1.2〜1:1.5のモル比で使用される。クロロホルミエートと塩基(有利にアルカリ金属水酸化物として)とのモル比は、特に1:0.8〜1:2、特に有利に1:1.2〜1:1.5の範囲内にある。塩基の添加は、特に、第1の反応帯域中で反応混合物の水相中で8〜14、特に10〜14の範囲内のpH値が生じるように行なわれる。反応は、特に−10〜50℃、特に有利に10〜40℃の範囲内の温度で行なわれる。
【0035】
構造式R1OC(O)Clのクロロホルミエートと過酸化水素との反応の場合には、本発明による方法で構造式R1OC(O)OO(O)OR1のペルオキソジカーボネートが得られる。この場合、クロロホルミエートと過酸化水素は、特に2:1〜2:4、特に有利に2:1〜2:1.5のモル比で使用される。クロロホルミエートと塩基(有利にアルカリ金属水酸化物として)とのモル比は、特に1:1〜1:2、特に有利に1:1〜1:1.5の範囲内にある。塩基の添加は、特に、第1の反応帯域中で反応混合物の水相中で8〜14、特に10〜14の範囲内のpH値が生じるように行なわれる。反応は、特に−10〜50℃、特に有利に10〜40℃の範囲内の温度で行なわれる。
【0036】
第1の反応帯域に供給される、アシル化合物、ペルオクソ酸化合物および塩基の水溶液の量は、特に、第1の反応帯域中で60〜99%、特に有利に85〜95%の範囲内のアシル化合物の変換率が達成されるように選択される。
【0037】
最後の反応帯域からは、製造されたアシルペルオキシドを有機相中で含有する2相の生成物混合物が取り出される。この生成物混合物は、公知方法によりさらに後処理および精製されることができる。特に、アシルペルオキシドを有する有機相は、相分離によって分離され、引続きアルカリ水溶液での抽出に掛けられ、未反応のペルオクソ酸化合物および反応の際に形成された副生成物、例えばアシル化合物の加水分解によって形成されたカルボン酸は、除去される。引続き、アシルペルオキシドは、後洗浄および乾燥に掛けられ、この場合このために適した方法は、米国特許第4075236号明細書の記載から当業者に公知である。
【0038】
図1は、本発明による方法の1つの好ましい実施態様を示し、この場合反応は、直列接続された6つの反応帯域中で行なわれる。この場合、第1の反応帯域は、環状反応器(1)として形成されており、第2〜第6の反応帯域は、攪拌セル型反応器(2)として形成されている。環状反応器(1)は、板状熱交換器の形の熱交換器(3)および循環ポンプの形のポンプ(4)を含み、この場合このポンプは、同時に2相の反応混合物のための混合装置としても作用する。環状反応器(1)には、ペルオクソ酸化合物(5)、塩基の水溶液(6)およびアシル化合物(7)が供給され、この場合アシル化合物の添加は、混合装置として作用するポンプ(4)の直前で行なわれる。環状反応器(1)から結合導管(8)を介して反応混合物は、攪拌セル型反応器(2)に供給される。攪拌セル型反応器(2)中で、反応混合物は下方から上方へ5個の反応帯域(9)を通過し、この反応混合物は、攪拌機(10)によって十分に混合され、この場合全ての攪拌機は、共通の軸上のモーター(11)によって駆動される。最後の反応帯域からは、製造されたアシルペルオキシドを有機相中で含有する2相の生成物混合物(12)が取り出される。
【0039】
本発明による方法は、改善された空時収量およびよりいっそう高い生成物選択性を有するアシルペルオキシドの製造を可能にする。この方法は、溶剤なしに安全に実施することができる。それというのも、この反応は、アシルペルオキシドの自己加速する分解の温度を下廻って実施されることができ、反応の際に遊離する反応熱は、確実に導出することができるからである。本発明による方法を用いると、望ましい生産能力に必要とされる反応器容積は、縮小することができ、したがって運転の故障による危険性は、減少される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】アシルペルオキシドを製造するための本発明による連続的方法を実施するための装置の1つの好ましい実施態様を示す系統図であり、この場合反応は、直列接続された6つの反応帯域中で行なわれる。
【0041】
次の実施例は、本発明による方法を説明するものであるが、しかし、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
使用された反応器:
反応器 型A:
6個の冷却された床によって互いに分離されかつ互いに隣接した室間の通路により結合されている、共通の冷却ジャケットを備えた、7個の同じ大きさの重なり合って配置された室を有する攪拌セル型反応器。それぞれの室内には、攪拌機が取り付けられており、この場合全ての攪拌機は、共通の軸上で運転される。前接続された反応器の使用物質または反応混合物の供給は、最下の室中へ行なわれる。反応された反応混合物の取出しは、最上の室から溢流管により行なわれる。
【0043】
反応器 型B:反応器Aと同じ構造ではあるが、3倍の容積を有する攪拌セル型反応器。
【0044】
反応器 型C:
反応器Aと同じ構造ではあるが、それぞれ容積1,7 lの6個の室を有する攪拌セル型反応器。
【0045】
反応器 型D:
冷却ジャケットおよび内在する冷却蛇管および反応器Bの0.53倍の有効容積を有する攪拌釜。
【0046】
反応器 型E:
1mmの板間隔および0.7m2の熱交換面積を有する板状熱交換器、1m3/hの輸送効率を有する循環ポンプならびに熱交換器と14mmの内径を有する循環ポンプとの間の結合導管からなる、2.2 lの全容積を有する環状反応器。使用物質の供給は、循環ポンプの直前で結合導管中へ行なわれる。反応器は、熱交換器の冷却面積と反応帯域の容積との比318m2/m3を有する。使用物質の添加個所での流速は、1.8m/秒である。
【0047】
実施例1(本発明によらない)
第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの製造
反応は、型Aの第1の反応器と型Bの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド26質量%および水酸化カリウム17質量%の溶液2.42kg/l*hおよび2−エチルヘキサノイルクロリド0.86kg/l*hを供給する。この場合、計量供給速度は、リットルでの反応器装置の全体容積と関係する。冷却水での冷却により、2個の反応器中の内部温度は、46℃に維持される。第2の反応器から取り出される反応混合物を脱塩水1.5kg/l*hと混合し、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%の溶液、水中の10質量%の亜硫酸ナトリウムの酢酸溶液および脱塩水で洗浄し、その後に塩化カルシウムで乾燥させる。第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.06kg/l*h(2−エチルヘキサノイルクロリドに対して93.1%)が得られる。
【0048】
実施例2(本発明による)
第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの製造
反応は、型Eの第1の反応器と型Cの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に反応開始前に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド25.8質量%および水酸化カリウム16.4質量%の溶液を充填する。次に、第1の反応器に水中のブチルヒドロペルオキシド70質量%の溶液24.6kg/h、水中の水酸化カリウム45質量%の溶液24.2kg/h、水174.kg/hおよび2−エチルヘキサノイルクロリド24.0kg/hを供給する。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を35℃に維持し、第2の反応器中の内部温度を27℃に維持する。第2の反応器から取り出される反応混合物から、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%の溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および水中の炭酸水素ナトリウムの1質量%溶液で洗浄し、その後にストリッピングによって充填塔中で33℃および35〜40ミリバールで乾燥する。第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート31.4kg/h(2−エチルヘキサノイルクロリドに対して98.5%)が得られる。空時収量は、2.53kg/l*hである。
【0049】
実施例3(本発明によらない)
第三アミルペルオキシピバレートの製造
反応は、型Dの第1の反応器と型Bの直列に後接続された2個の反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に水中の第三アミルヒドロペルオキシド88質量%の溶液0.26kg/l*h、水中の水酸化カリウムの25質量%溶液0.47kg/l*h、水中の水酸化ナトリウムの25質量%溶液および塩化ピバロイル0.26kg/l*hを供給する。この場合、計量供給速度は、リットルでの反応器装置の全体容積との関係式で示される。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を25℃に維持し、2個の次の反応器中の内部温度を15℃に維持する。第3の反応器から取り出される反応混合物を脱塩水0.79kg/l*hおよびイソドデカン0.08kg/l*hと混合し、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および脱塩水で洗浄し、その後に塩化カルシウムで乾燥させる。イソドデカン中の第三アミルペルオキシピバレートの75質量%溶液0.42kg/l*hが得られる(塩化ピバロイルに対して80.6%)。
【0050】
実施例4(本発明による)
第三アミルペルオキシピバレートの製造
反応は、型Eの第1の反応器と型Cの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に反応開始前に水中の第三アミルヒドロペルオキシド23.1質量%、水酸化カリウム9.9質量%および水酸化ナトリウム8.3質量%の溶液を充填する。次に、第1の反応器に水中の第三アミルヒドロペルオキシド88質量%の溶液20.2kg/h、水中の水酸化カリウム45質量%の溶液15.8kg/h、水中の水酸化ナトリウム50質量%の溶液12.2kg/h、水24.4kg/hおよび塩化ピバロイル18.0kg/hを供給する。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を18℃に維持し、第2の反応器中の内部温度を10℃に維持する。第2の反応器から取り出される反応混合物をイソドデカン8.8kg/hと混合し、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および水中の炭酸水素ナトリウムの1質量%溶液で洗浄し、その後にストリッピングによって充填塔中で20℃および45ミリバールで乾燥する。イソドデカン中の第三アミルペルオキシピバレートの75質量%溶液35.0kg/hが得られる(塩化ピバロイルに対して93.5%)。空時収量は、2.82kg/l*hである。
【0051】
実施例5(本発明によらない)
第三ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートの製造
反応は、型Aの第1の反応器と型Bの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド26質量%および水酸化カリウム17質量%の溶液2.25kg/l*hおよび3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド0.75kg/l*hを供給する。この場合、計量供給速度は、リットルでの反応器装置の全体容積と関係する。冷却水での冷却により、2つの反応器中の内部温度を、46℃に維持する。第2の反応器から取り出される反応混合物を脱塩水1.5kg/l*hと混合し、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%の溶液、水中の10質量%の亜硫酸ナトリウムの酢酸溶液および脱塩水で洗浄し、その後に塩化カルシウムで乾燥させる。第三ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.90kg/l*hが得られる(3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド91.6%)。
【0052】
実施例6(本発明による)
第三ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートの製造
反応は、型Eの第1の反応器と型Cの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に反応開始前に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド25.6質量%および水酸化カリウム15.0質量%の溶液を充填する。次に、第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド70質量%の溶液20.2kg/h、水中の水酸化カリウム45質量%の溶液18.2kg/h、水16.2kg/hおよび3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド19.2kg/hを供給する。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を25℃に維持し、第2の反応器中の内部温度を25℃に維持する。第2の反応器から取り出される反応混合物から、有機相は、分離される。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および水中の炭酸水素ナトリウムの1質量%溶液で洗浄し、その後にストリッピングによって充填塔中で34℃および47ミリバールで乾燥する。第三ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート24.6kg/hが得られる(3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド98.2%)。空時収量は、1.98kg/l*hである。
【0053】
実施例7(本発明によらない)
第三ブチルペルオキシイソブチレートの製造
反応は、型Dの第1の反応器と型Bの直列に後接続された2個の反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド26質量%および水酸化カリウム17質量%の溶液1.22kg/l*hおよびイソブチロイルクロリド0.32kg/l*hを供給する。この場合、計量供給速度は、リットルでの反応器装置の全体容積と関係する。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を26℃に維持し、2個の次の反応器中の内部温度を20℃に維持する。第3の反応器から取り出される反応混合物を脱塩水0.79kg/l*hおよびイソドデカン0.14kg/l*hと混合し、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%の溶液、水中の10質量%の亜硫酸ナトリウムの酢酸溶液および脱塩水で洗浄し、その後に塩化カルシウムで乾燥させる。イソドデカン中の第三ブチルペルオキシイソブチレートの75質量%溶液0.54kg/l*hが得られる(イソブチロイルクロリドに対して86.0%)。
【0054】
実施例8(本発明による)
第三ブチルペルオキシイソブチレートの製造
反応は、型Eの第1の反応器と型Cの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に反応開始前に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド24.4質量%および水酸化カリウム12.7質量%の溶液を充填する。次に、第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド70質量%の溶液33.6kg/h、水中の水酸化カリウム45質量%の溶液27.2kg/h、水38.0kg/hおよびイソブチロイルクロリド18.4kg/hを供給する。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を11℃に維持し、第2の反応器中の内部温度を12℃に維持する。第2の反応器から取り出される反応混合物をイソドデカン8.0kg/hと混合し、有機相を分離する。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および水中の炭酸水素ナトリウムの1質量%溶液で洗浄し、その後にストリッピングによって充填塔中で20℃および47ミリバールで乾燥する。イソドデカン中の第三ブチルペルオキシイソブチレートの75質量%溶液33.4kg/hが得られる(イソブチロイルクロリドに対して92.8%)。空時収量は、2.69kg/l*hである。
【0055】
実施例9(本発明によらない)
第三ブチルペルオキシベンゾエートの製造
反応は、型Dの第1の反応器と型Bの直列に後接続された2個の反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド19.5質量%および水酸化ナトリウム9.5質量%の溶液1.72kg/l*hおよび塩化ベンゾイル0.49kg/l*hを供給する。この場合、計量供給速度は、リットルでの反応器装置の全体容積と関係する。冷却水での冷却により、全ての反応器中の内部温度を25℃に維持する。第3の反応器から取り出された反応混合物から有機相を分離し、順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および脱塩水で洗浄し、その後に塩化カルシウムで乾燥させる。第三ブチルペルオキシベンゾエート0.61kg/l*hが得られる(塩化ベンゾイルに対して89.9%)。
【0056】
実施例10(本発明による)
第三ブチルペルオキシベンゾエートの製造
反応は、型Eの第1の反応器と型Cの後接続された反応器とからなる反応装置中で行なわれる。第1の反応器に反応開始前に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド19.4質量%および水酸化ナトリウム8.9質量%の溶液を充填する。次に、第1の反応器に水中の第三ブチルヒドロペルオキシド70質量%の溶液18.4kg/h、水中の水酸化ナトリウム50質量%の溶液11.8kg/h、水35.8kg/hおよび塩化ベンゾイル18.0kg/hを供給する。冷却水での冷却により、第1の反応器中の内部温度を12℃に維持し、第2の反応器中の内部温度を11℃に維持する。第2の反応器から取り出される反応混合物から、有機相は、分離される。この有機相を順次に水中の水酸化ナトリウムの8質量%溶液、水中の亜硫酸ナトリウム10質量%の酢酸溶液および水中の炭酸水素ナトリウムの1質量%溶液で洗浄し、その後にストリッピングによって充填塔中で35℃および42〜44ミリバールで乾燥する。第三ブチルペルオキシベンゾエート33.8kg/hが得られる(塩化ベンゾイルに対して95.3%)。空時収量は、2.73kg/l*hである。
【符号の説明】
【0057】
1 環状反応器、 2 攪拌セル型反応器、 3 板状熱交換器の形の熱交換器、 4 循環ポンプの形のポンプ、 5 ペルオクソ酸化合物、 6 塩基の水溶液、 7 アシル化合物、 8 結合導管、 9 反応帯域、 10 攪拌機、 11 モーター、 12 2相の生成物混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のカルボン酸クロリド、カルボン酸無水物およびクロロホルミエートからのアシル化合物を、一連の有機ヒドロペルオキシドおよび過酸化水素からのペルオクソ酸化合物と反応させ、この場合この反応を直列接続された十分に混合する少なくとも2個の反応帯域中で行ない、第1の反応帯域にアシル化合物、ペルオクソ酸化合物および塩基の水溶液を供給することにより、アシルペルオキシドを製造するための連続的方法において、第1の反応帯域が熱交換器上の2相の反応混合物の循環路を含み、この熱交換器中で反応混合物を冷却することを特徴とする、アシルペルオキシドを製造するための連続的方法。
【請求項2】
循環する反応混合物と第1の反応帯域から取り出された反応混合物との循環比は、少なくとも2、特に少なくとも5である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
熱交換器の冷却面積と第1の反応帯域の容積との比は、少なくとも1.5m2/m3である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
第1の反応帯域は、反応混合物をポンプで熱交換器によって輸送する環状反応器である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
反応混合物を、50mm未満の水圧直径を有する熱交換器の通路または間隙を通じて輸送する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1の反応帯域の循環路は、混合装置を含み、アシル化合物の添加は、混合装置の直前で行なわれる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1の反応帯域の循環路中でのアシル化合物の添加を、流速が0.5m/秒を上廻る個所で行なう、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
製造されたアシルペルオキシドは、液状であり、反応は、溶剤の添加なしに行なわれる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
反応は、直列に接続された十分に混合する2個を上廻る反応帯域中で行なわれ、第2の反応帯域および次の反応帯域は、攪拌セル型反応器の形を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アシル化合物は、一連の塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化イソブチリル、塩化バレロイル、2−メチルブチリルクロリド、塩化ピバロイル、2−メチルペンタノイルクロリド、2−エチルブチリルクロリド、2−エチルヘキサノイルクロリド、塩化ノナノイル、2,4,4−トリメチルペンタノイルクロリド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド、塩化デカノイル、塩化ネオデカノイル、塩化ラウロイル、塩化ベンゾイル、2−メチルベンゾイルクロリド、4−メチルベンゾイルクロリド、4−クロロベンゾイルクロリド、2,4−ジクロロベンゾイルクロリドおよび塩化ナフトイルである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アシル化合物は、一連のメチルクロロホルミエート、エチルクロロホルミエート、n−プロピルクロロホルミエート、イソプロピルクロロホルミエート、n−ブチルクロロホルミエート、第二ブチルクロロホルミエート、2−エチルヘキシルクロロホルミエート、イソトリデシルクロロホルミエート、ミリスチルクロロホルムエート、セチルクロロホルミエート、ステアリルクロロホルミエート、シクロヘキシルクロロホルミエート、4−第三ブチルシクロヘキシルクロロホルミエート、ベンジルクロロホルミエートおよび2−フェノキシエチルクロロホルミエートである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ペルオクソ酸化合物は、一連の第三ブチルヒドロペルオキシド、第三アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、4−第三ブチルクメンヒドロペルオキシド、1,3−ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシドおよび1,4−ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシドである、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
直列接続された少なくとも2個の反応器を含む、有機過酸化物を製造するための反応システムにおいて、第1の反応器が、環内に配置された熱交換器およびこの熱交換を通じて反応混合物を輸送するためのポンプを有する環状反応器であることを特徴とする、直列接続された少なくとも2個の反応器を含む、有機過酸化物を製造するための反応システム。
【請求項14】
熱交換器の冷却面積と環状反応器の容積との比は、少なくとも1.5m2/m3である、請求項13記載の反応システム。
【請求項15】
熱交換器は、50mm未満の水圧直径を有する、反応混合物を貫流させるための通路または間隙を有する、請求項13または14記載の反応システム。
【請求項16】
状反応器の後方に配置された攪拌セル型反応器を含む、請求項13から15までのいずれか1項に記載の反応システム。

【図1】
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【公表番号】特表2009−542756(P2009−542756A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518816(P2009−518816)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056006
【国際公開番号】WO2008/006666
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509013482)ユナイテッド イニシエーターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】United Initiators GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Dr.−Gustav−Adolph−Strasse 3, D−82049 Pullach, Germany
【Fターム(参考)】