説明

アジュバント及びこれを用いたワクチン

【課題】安全で免疫増強作用が高く、かつ安定供給可能なアジュバントの開発及びこのアジュバントを用いたワクチンを提供する。
【解決手段】アルミニウムゲルへ高級脂肪酸、特に不飽和脂肪酸を1〜20%混合したアジュバントを提供する。このアジュバントは、毒性や副作用の発現が認められず、原料も十分量を安価に調達可能である。このアジュバントと抗原より成るワクチンを動物へ投与することにより、対象となる抗原に対する免疫応答を安全かつ効果的に増強することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学の分野、特に生物学的製剤であるワクチンに含有される免疫増強物質の調製技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンの免疫付与能の増強を目的として添加される物質は、総称してアジュバントと呼ばれる。アジュバントの用語と概念については西暦1920年代には既に提唱されている(非特許文献1を参照。)。アジュバントとして、アルミニウムゲル(非特許文献2を参照。)をはじめ、非イオン性ブロックコポリマー(非特許文献3を参照。)、サポニン(例えば、非特許文献4,特許文献1、特許文献2等を参照。)、ムラミルジペプチド(非特許文献5を参照。)、カーボハイドレートポリマー(非特許文献6を参照。)等種々の物質についての報告がある。またこうした単一の物質に限定されず、流動パラフィン、脂質、あるいは高分子物質と、複数の界面活性剤やアジュバント物質とを組み合わせて形成される微細な粒子を担体とした製剤もアジュバントとして開発されており、フロイントの完全アジュバント(非特許文献7を参照。)をはじめ、イミュノスチミュレイチィング・コンプレクス(略してISCOM)(非特許文献8を参照。)、あるいはリポソーム(非特許文献9を参照。)等が知られている。このように様々なタイプのアジュバントが考案されてきたが、現在実用化されて主流となっているアジュバントは、アルミニウムゲルアジュバントとオイルアジュバントの2種類に大別される。
【0003】
アルミニウムゲルはヒト用ワクチンから動物用ワクチンに至るまで、長年に渡る臨床上の実績とデータの蓄積を有し、ワクチンアジュバントを理解する上で不可欠な物質のひとつである(非特許文献10を参照。)。特にヒト用ワクチンでは、インフルエンザワクチンや破傷風トキソイドワクチンをはじめとする不活化ワクチンにおいて実績がある。またアルミニウムゲルは効果の実績のみならず、安全性、原料の安定供給が容易な点、あるいは比較的低価格である点も高く評価されており、ヒト用のみならず家畜や愛玩動物用のワクチンにおいても広範囲で利用され、人畜の感染症予防に広く貢献してきた。
【0004】
オイルアジュバントは、流動パラフィンあるいはスクワランを油性基剤として、種々の界面活性剤と混合して調製される乳剤型アジュバントの一種である。広義では粒子状アジュバントに分類される(例えば非特許文献11を参照。)。オイルアジュバントは油中水滴型(water-in-oil型、以下W/O型という。)と水中油滴型(oil-in-water型、以下O/W型という。)の2種類に大別される。W/O型オイルアジュバントは特にdepot(「貯留」を意味する。)効果に優れ、免疫応答を長期間持続させることが可能となる。またO/W型オイルアジュバントは特に抗原提示細胞のpresentation(「抗原提示」を意味する。)を賦活する効果が強く、一連の免疫応答を増強することが知られている。
【0005】
これらアジュバントを組み合わせる手段についても開発されてきた。例えば、アルミニウムゲルアジュバントとオイルアジュバントからなる動物用ワクチン製剤が知られている(特許文献3を参照。)。これは混合されたアジュバントというよりも、アジュバントの異なる2種のワクチン製剤を混合したものである。また、アルミニウムゲルへ他の物質が混合されたアジュバントとしては、スクワレン、グリセリン又はリン脂質および界面活性剤からなるアジュバントにアルミニウム塩を添加したアジュバント(特許文献4、5を参照。)、3価金属イオンと有機陰イオンの塩(サリチル酸アルミニウム等)からなるアジュバントにオイルアジュバントを加えるもの(特許文献6を参照。)、生体適合性最適化アジュバント(SBA)として、固体脂質をベースとする粒子にさらにアルミニウムゲルを添加するもの(特許文献7を参照。)、並びに、脂肪相と有機金属ゲル(アニオン性ポリマーと多価金属カチオンの錯化合物)を含む組成物(特許文献8を参照。)等がある。ただし、これら発明に使用されるアジュバントはいずれも、本発明のワクチンアジュバントに含有される高級脂肪酸そのものを用いていない。
【0006】
【特許文献1】特開2000−219638号公報
【特許文献2】特開平11−322632号公報
【特許文献3】特開平8−27028号公報
【特許文献4】特開平8−315162号公報
【特許文献5】特開平8−315163号公報
【特許文献6】特表2000−507610号公報
【特許文献7】特表2003−500365号公報
【特許文献8】特表2004−527615号公報
【非特許文献1】レーヴィスとルーミス、J Exp Med 40、503、1924
【非特許文献2】グプタ、Adv Drug Deliv Rev 32、155-72、1998(1998)
【非特許文献3】ヒュンターら、Vaccine 9、250-6、1991
【非特許文献4】小田ら、Biol Chem 381、67-74、2000
【非特許文献5】レフランシエールら、Int J Pep Prot Res 11、289-96、1978
【非特許文献6】チナーら、Vaccine 10、551-7、1992
【非特許文献7】スチュアート-タル、The Theory and Practical Application of Adjuvants、1-19、1995
【非特許文献8】モラインら、Nature 308、457-60、1984
【非特許文献9】アルビンク、Biochem Biophys Acta Rev Biomembr 1113、307-22、1992
【非特許文献10】アイクホッフとマイヤー、Vaccine 20 Suppl、S1-S4、2002
【非特許文献11】コックスとコールター、Vaccine 15、248-56、1997
【非特許文献12】片山ら、Vaccine 17、2733-9、1999
【非特許文献13】小田ら、Vaccine 22、2812-21、2004
【非特許文献14】オーコートゥリエール、Vaccine 19、2666-72、2001
【非特許文献15】ティザード、Veterinary immunology. An introduction. 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アルミニウムゲルは、ワクチンアジュバントとして広く利用されてきた経緯があるが、Th1型免疫の賦活能が弱いために、Th1型免疫の賦活が必要な疾病ではアジュバント効果が満足に発揮できないことが指摘されていた(非特許文献12を参照。)。またアルミニウムゲルの抗体産生誘導能は、オイルアジュバントと比較すると若干劣るとの指摘もある(非特許文献13を参照。)。このようにアルミニウムゲル単体では、必ずしもすべての抗原や疾病に対応できるとは限らず、改良の余地が残されていた。
【0008】
またオイルアジュバントは、W/O型でワクチン組成中のおよそ50から70%、O/W型ではおよそ15から25%という高い含有比率で油性基剤が添加されているために(非特許文献14を参照。)、これがワクチン注射部位での注射痕や残留性の原因となることが指摘されてきた。オイルアジュバントによる注射痕や残留の問題は、特に家畜では可食部位すなわち食肉の価値の低下につながる。愛玩動物あるいはヒトでは、その部位の脱毛、腫脹、しこり、あるいは痛みの発生の原因となり好ましくない(非特許文献15を参照。)。
【0009】
さらに、アルミニウムゲル及びオイルアジュバント以外のその他のアジュバント物質については、基礎的研究は進歩しているが、毒性、量産・安定供給、コスト、あるいは化学物質であるがゆえの様々な規制等が障壁となって、実用化に至らないものが多かった。
【0010】
アジュバント活性を有する新規化合物の探究は今後も継続する必要があるが、そのスクリーニングには膨大な時間と労力を要する場合が多い。また新規化合物を得た場合でも、新規ゆえに副作用の強さが未知な点や強い毒性を有する可能性があることも、早期実用化においては不安材料と成り得る。今後市場で求められるワクチンアジュバントにおいては、単に免疫賦活能のみならず、前述のとおり、安全、安定供給が可能、低コストであることが製品上望ましいことが自明であると同時に、製品の実用化に至る過程そのもののコストの削減や開発期間の短縮も重要である。
【0011】
また社会のグローバル化にともない、物資輸送や交通手段が飛躍的に発達し、快適な社会生活を営むことが実現された。しかしながら、重篤な感染症が勃発した場合はこれらネットワークを介して過去には想定し得なかった速度で蔓延し、社会生活に悪影響を与えかねない時代となった。特に、重篤な、あるいは新興の感染症予防には、ワクチンの早期開発・生産が不可欠である。こうした社会的なニーズに即応すべく、今後アジュバントに求められる条件として早期実用が可能であることが重要懸案である。
【0012】
以上の背景を配慮すると、従来技術の長所を活かす方法を応用することが、こうした条件を満たすひとつの手段として有用であると考えた。そこで前述の代表的かつ実績の高い2種類のアジュバントに焦点をあてて検討を重ねた結果、本発明のワクチンアジュバントの考案に至った。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、従来のアルミニウムゲルの長所、すなわち比較的高いアジュバント活性を有し、安全、安定供給可能、低コストである点を活かしつつ、さらにそのアジュバント活性を増強することを目的としている。生体由来成分である高級脂肪酸を、ワクチンアジュバントとして臨床実績のあるアルミニウムゲルのパートナーとして添加する本発明は、前述した種々の課題解決の条件を満たす発明である。
【0014】
何らかの物質を添加することで、アルミニウムゲルの性能を改良する方法そのものは、グプタらの報告(非特許文献2を参照。)をはじめ既に提唱されており、公知のことである。しかしながら、アルミニウムゲルと高級脂肪酸との具体的な組み合わせについての発明は、本発明が新規であり、濃度検討や種々の抗原を用いた実施例の報告はこれまでに無かった。
【0015】
本発明は、アルミニウムゲルとしてリン酸アルミニウムあるいは水酸化アルミニウムを用いる。これらアルミニウムゲルは、既にワクチンアジュバントとして用いられているものを用いることができる。また抗原原液に共存するリン酸イオンや水酸化物イオンとが反応することで偶発的に、あるいは抗原の吸着効果等を調整する目的で意図的に、リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとが混合されたアルミニウムゲルが調製されることもある。こうしたリン酸/水酸化アルミニウムゲルの混合物も本発明に用いることができる。これらのアルミニウムゲルは、後述の実施例(アジュバントの調製方法)に記載したように、アルミニウム換算濃度でアジュバント液中0.2〜1.2w/v%、好ましくは0.3〜0.5w/v%の範囲で使用される。
【0016】
本発明で用いる高級脂肪酸は、最終的にワクチンとなった時に、室温から体温域で均一に分散された状態になる必要がある。このような条件を満たす高級脂肪酸は、炭素数12〜30、不飽和度1〜6の脂肪酸から選択される。例えばオレイン酸、リノール酸、あるいはリノレン酸等の不飽和高級脂肪酸は、この条件を満たす比較的入手容易な高級脂肪酸である。また近年、その生理活性が注目を浴びているドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸等も使用可能な高級脂肪酸の一種である。これら高級脂肪酸は、単一の種類で使用可能であるが、複数の高級脂肪酸が混合されていても使用できる。ワクチンとした時のワクチン液の粘性を調節する場合等、目的に応じて複数の高級脂肪酸を混合状態で使用することは不可欠である。また、高級脂肪酸材料としてはじめから混合物として入手された高級脂肪酸を使用することもある。また、融点の比較的高い飽和高級脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、あるいはラウリン酸等を前述の不飽和高級脂肪酸と混合使用することもあり得る。なお、本発明においては、アジュバント液中の高級脂肪酸の含有濃度を1.0〜20.0w/v%の範囲で実施例として検討したが、それ以上の含有濃度においてもアジュバント活性は発揮し得る。すなわち高級脂肪酸の含有濃度は、抗原要因(抗原性状や量)、コスト、あるいはアジュバント活性の強さを追跡しながら検討を重ねて、希望に応じた範囲に決定すれば良い。例えば、組み換えタンパク抗原や、分子量の比較的小さいペプチド抗原等は、一般的なタンパク抗原と比較すると抗原性が低い場合がある。こうした抗原でワクチンを調製する場合、1)抗原そのものの添加濃度を増やす方法、もしくは、2)アジュバントの含有濃度を増やす方法等がある。特に添加する抗原の量の確保が困難な場合は、後者の方法を選択することができる。
【0017】
また高級脂肪酸に、適当な物質、例えば分散剤である界面活性剤を適量添加することで、均一かつ安定な分散液が容易に得られる。この分散剤としては、非イオン型界面活性剤として、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、マンニトール脂肪酸エステル、オリゴ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、あるいはポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール等が使用可能である。これらの界面活性剤は、市販品として入手可能で、例えば日光ケミカルズ株式会社等が高度な品質管理下で取り扱っている。以上の界面活性剤は、単一種類を添加する場合と、組成、添加量、使用目的、ワクチンの調製手順、あるいはコストを配慮して、複数を組み合わせて使用しても良い。なお、界面活性剤を組み合わせて使用する方法そのものは公知の手段である。また、高級脂肪酸の分散補助に植物油、例えばダイズ油、オリーブ油、ブドウ種子油、サフラワー油、アーモンド油、コーン油、ヒマワリ油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、ククイナッツ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、あるいはローズヒップ油等を補助的に添加することも可能である。その他、均一な分散を実現するために、特殊な分散装置、例えば特開2000−15073号公報に記載の高速撹拌装置等にて、本発明のアジュバント材料に強い撹拌エネルギーを与える方法を用いれば、前述した界面活性剤等の添加剤の量を抑えることが可能である。
【0018】
本発明で使用する高級脂肪酸は、動植物の生命維持に不可欠な生体成分のひとつであり、β酸化をはじめとして脂肪酸の代謝経路が存在することが知られている。そこで、これらの脂肪酸を用いれば、生体に対して高い親和性を示す、すなわち投与後早い速度で代謝されることが予測され、単にアジュバント活性の増強効果のみならず残留のないアジュバントとなる可能性が高い。以上に述べた方法により得られる、アルミニウムゲルへ高級脂肪酸を添加した本発明のワクチンアジュバントを使用することで、次項に示す特徴と効果が得られることを確認した。
【発明の効果】
【0019】
(1)アジュバント活性: マウスを用いた基礎試験により、高級脂肪酸を添加することで、従来のアルミニウムゲルアジュバント単味の場合よりも高い抗体産生能を引き出すことが確認された。さらに豚による実用試験においては、単に抗体産生能の増強効果のみならず、豚マイコプラズマ肺炎の肺病変面積率の減少効果をも増強することが攻撃試験により確認できた。
【0020】
(2)安全性: マウスの腹腔に免疫原を注射した後の体重変動を観察したところ、本発明の高級脂肪酸を添加した群のマウスの体重変動は、従来のアルミニウムゲルアジュバント単味の群の変動と有意差が無く、低毒性であることが確認できた。豚による試験では、試作ワクチン注射後に一過性の発熱が認められたが、その発熱の温度及び発熱期間は従来のアルミニウムゲルアジュバント単味の群と同等であった。注射後に元気消失、食欲減退、嘔吐、下痢、あるいは座り込みの臨床症状を認めなかった。また、注射部位の注射痕も認められなかった。以上の試験成績より、本発明のアルミニウムゲルへ高級脂肪酸を添加したアジュバントは、従来のアルミニウムゲルアジュバント単味と同等の、安全性が高いアジュバントであることがわかった。
【0021】
(3)安定供給: アルミニウムゲルの原料であるアルミニウムは、鉱物資源のひとつとして地球上に大量に存在する元素のひとつで、地下埋蔵資源として得られる。社会情勢により多少の相場変動はあるが、現在のところ原料そのものの枯渇はなく、アジュバントとしての安定供給は可能である。また高級脂肪酸は通常、動物もしくは植物より得られる。また石油からも合成される。高級脂肪酸は、そのものが利用されるだけでなく、種々のエステル化合物の原料として不可欠な物質である。エステル化合物は、医薬品、医薬部外品、食品、あるいは工業用品等、あらゆる産業分野で需要があるため、その原料の高級脂肪酸の供給経路は現在のところ十分に確保されている。
【0022】
(4)BSE対策: 近年、BSEいわゆる狂牛病の問題が発端となって、食品や医薬品の原料として牛の臓器に由来する原料を可能な限り使用しないことが求められている。やむを得ず使用する場合でも、1)BSE非発生国であることが証明された原産国由来の牛を利用すること、2)BSEの原因物質であるプリオンの含有量がなるべく少ない、もしくはプリオンが含有されない臓器を原料とすること、さらには3)プリオンを分解消失させるための適当な加熱、精製、加工処理をおこなうこと等が要求される。本発明においては、特に家畜用ワクチンのアジュバントとして使用することにも配慮して、高級脂肪酸は石油を原料とする合成品あるいは植物由来品等、牛臓器由来でない原料を用いることを前提としている。牛臓器由来の高級脂肪酸は、基本的には使用しない。したがって投与対象や、投与対象が家畜の場合それを食するヒトや動物に、本発明のアジュバントが原因となってBSEが発生することはない。本発明のアジュバントは、単にアジュバント活性が高いのみならず、安全性が高い、安定供給可能な材料から成る、かつ低コストに加えて、BSE対策をも満たすアジュバントである。以上の検証と確認の実施例を次に示す。
【実施例1】
【0023】
(1)マウスによる基礎試験: 以下に本発明のアジュバントの性能について、マウスを用いた実施例を示す。アジュバントの実用化は、ヒト用、家畜用、及び愛玩動物用のワクチンでの使用を前提に進められる(例えば非特許文献7を参照。)。動物種によって免疫応答や毒性が異なることが知られているが(例えば非特許文献2を参照。)、アジュバントの基礎研究でも他の医薬品と同様に、まずマウス等の小動物を用いることが基本とされている。
【0024】
1.1 材料と方法
1.1.1 アジュバントの調製: アルミニウムゲルをアルミニウム換算で0.4w/v%、高級脂肪酸を1.0、2.0、5.0、10.0、あるいは20.0w/v%、及び高級脂肪酸の分散補助剤としてポリソルベート80を高級脂肪酸と等量、滅菌精製水へ加えて、分散機T.K.ロボミックス(特殊機化工業社)を用いて室温下3,000rpmで5分間、均一に分散してアジュバント液とした。なおアルミニウムゲルはリン酸アルミニウムを基本に検討し、水酸化アルミニウムと比較した。高級脂肪酸はオレイン酸を基本に検討し、高級脂肪酸の種類の検討では、オレイン酸の他に、パルミトオレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸を用いた。
【0025】
1.1.2 抗原の調製: 卵白アルブミン(以下OVAという)(シグマ-アルドリッチ社製)を生理食塩水へ溶解後、4℃、100,000×g、90分間遠心して、不溶性成分及び凝集成分を除去した。この遠心上清を可溶性OVA抗原とした。
【0026】
1.1.3 免疫原の調製: 前述のアジュバント液30mLと、OVA量が免疫原中濃度100μg/mLとなるようにOVA抗原液を混合調製し、免疫原100mLを調製した。この免疫原0.1mLずつを1群5匹の6週齢ddYマウス雌(日本エスエルシー社)それぞれの脚部筋肉内に1回注射して、4週間後の血清中の抗OVAマウス抗体価を測定した。
【0027】
1.1.4 血清中抗体価の測定: 小田らの報告(例えば非特許文献13、特許文献1及び2等)を参考に実施した抗体価測定方法を記載する。ポリカーボネート製96穴丸底プレート(グライナー・バイオワン社製)を用いてエンザイムリンクト・イムノソルベントアッセイ(以下、ELISAという。)を実施した。炭酸緩衝液(pH9.6)で調製された0.1%(w/v)OVA液を1穴あたり150μLずつ分注し、4℃、一晩、固相処理した。このプレートを0.05%ツイーン20加リン酸緩衝食塩液(以下、Tween PBSという)で3回洗浄して、Tween PBSにて100倍希釈されたマウス被験血清を100μLずつ分注し、30℃、1時間感作した。3回洗浄の後、Tween PBSで希釈した抗マウス総IgG-POD標識抗体(バイオソース社製)をそれぞれ100μLずつ分注し、30℃、1時間感作した。再び3回洗浄の後に、リン酸クエン酸緩衝液(pH5.6)で調製された10mg/mL オルトフェニレンジアミン液(0.003%過酸化水素水添加)を100μLずつ分注した。30℃、1時間感作後、1mol/Lの硫酸水溶液を50μLずつ分注し、発色反応を停止した。波長492nmにおける吸光度をもって血清中の抗OVAマウスELISA抗体価とした。
【0028】
1.1.5 マウス急性毒性試験: 農林水産省発行の動物用生物学的製剤基準(p650、2002)にて定められている異常毒性否定試験法に準じて、感作材料の毒性を調べた。1群10匹の5週齢 ddYマウス雌(体重およそ24g)(日本エスエルシー社)の腹腔内に感作材料0.5mLを注射して、1日1回7日間、各個体の体重を測定し、体重回復の推移を群間で比較した。
【0029】
1.2 結果
1.2.1 高級脂肪酸の添加量: マウス血清中ELISA抗体価は、アルミニウムゲル単味の免疫原注射群よりも、高級脂肪酸を添加したアジュバントの群の方が高値を示した。また高級脂肪酸を添加した群の中でも、添加量が多い群ほど高値傾向を示した(以上図1)。マウス急性毒性については、いずれのマウスも注射後極端な体重減少は無く、注射後4日目には回復した。検討した高級脂肪酸量の範囲内では強い毒性は認められず、アルミニウムゲル単独の免疫原の注射群との間に有意差はなかった(図2)。以上の成績より、アルミニウムゲルへ高級脂肪酸を添加することで、従来のアルミニウムゲルアジュバントと同等の安全性を保持したままに、アルミニウムゲルのアジュバント活性をさらに増強できることが確認された。
【0030】
1.2.2 高級脂肪酸及びアルミニウムの種類: 前述の検討は、高級脂肪酸としてオレイン酸1種類と、アルミニウムゲルとしてリン酸アルミニウム1種類とを組み合わせた試験であった。そこで次に、高級脂肪酸を5種類(オレイン酸、パルミトオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸)、またアルミニウムゲルとしてリン酸アルミニウムの他に水酸化アルミニウムを用いた場合について調べた。その結果、どの高級脂肪酸を添加してもオレイン酸の場合と同等のアジュバント活性の増強効果を示した(図3)。また高級脂肪酸を添加した水酸化アルミニウムに関しても、リン酸アルミニウムの場合と同等のアジュバント活性の増強効果が得られることが確認された(図4)。
【0031】
1.2.3 高級脂肪酸の混合例: 前述のアジュバントの応用例として、アルミニウムゲルへ添加する高級脂肪酸を複数種類より構成し、さらに植物油を添加した組成について実施例として記載する。ステアリン酸単独ではアジュバントの調製が出来なかったが、オレイン酸と植物油としてダイズ油(日本薬局方)を加えた組成とすることで、アジュバントの調製が可能となった。これを元に免疫原を調製してマウスに注射した結果、血清中抗体価の上昇が確認できた。以上の結果を下記の表に示す。この成績は、融点が高いためにもともと調製困難であった高級脂肪酸を用いた組成であっても、複数の高級脂肪酸や分散補助剤を適量使用することで、本発明のアジュバントの調製が可能であることが確認された。
【0032】
【表1】

複数の高級脂肪酸を混合した場合に得られる効果(アジュバント物性の改良)。
【実施例2】
【0033】
(2)豚での応用試験: 動物種により感受性が異なる可能性があるが、高級脂肪酸を添加することによって得られるアルミニウムゲルのアジュバント活性の増強効果は動物種がかわっても以上の成績に準じることが予測された。そこでマウス以外の動物種における効果の確認に併せて、実用化に最適なワクチンの候補のひとつとして、動物用ワクチン、その中でも豚用ワクチンについて検討した成績を以下に示す。
【0034】
豚の慢性呼吸器病は、養豚経営において現在衛生対策上最も重要な課題の一つである。豚の呼吸器病のうちマイコプラズマ性肺炎及びパスツレラ・ムルトシダによる萎縮性鼻炎は共に離乳前後が感染の好発時期であり、他の病原体との混合感染により呼吸器症状を重篤化させる。また、豚インフルエンザは、前述の病原体をはじめ、呼吸器感染症に関与する種々の病原体の感染の温床となり、やはり呼吸器症状を重篤化させる。そこで、離乳期前後の呼吸器複合感染症の軽減を目的として、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(以下Mhpという)、パスツレラ・ムルトシダ(以下Pmという)、及び豚インフルエンザの抗原を添加した肥育豚用の混合ワクチンを試作し、その有用性を調べて、本発明のアジュバントの性能を評価した。
【0035】
2.1 材料と方法
2.1.1 試作ワクチンの調製: 試作ワクチンの調製は、前述の免疫原の調製方法に準じた。アルミニウムゲルとしてリン酸アルミニウム(アルミニウム換算でアジュバント液中0.4w/v%)、高級脂肪酸としてオレイン酸(アジュバント液中10w/v%)を用いた。抗原として、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mhp)不活化全菌体、パスツレラ・ムルトシダ(Pm)不活化皮膚壊死毒素(トキソイド)、及び不活化インフルエンザウイルス(以下SIVという)を用いた。各抗原の具体的な調製方法について以下に示す。
【0036】
2.1.2 Mhp不活化全菌体抗原原液の調製: MhpをFriisの液体培地(ロスら、Am J Vet Res 45、1899-1905、1984)で37℃、210時間通気撹拌培養し、採取した培養菌液にホルマリンを0.1vol%の割合に加え、37℃、24時間以上静置し、不活化した。不活化後、この菌液を遠心分離により集菌した。遠心沈渣を生理食塩液を用いて不活化前の生菌数に換算して1.0×1010CCU以上/mLとなるように浮遊させたものをMhp原液とした。
【0037】
2.1.3 Pmトキソイド原液の調製: Pmをダイズ製ペプトン液体培地で37℃、60時間通気撹拌培養し、その遠心上清を限外ろ過(分画分子量300,000)により30倍に濃縮した。10,000×g、30分間遠心して得られた上清にホルマリンを0.5vol%の割合で添加し、37℃、3日間感作し、不活化した。この抗原液を不活化前皮膚壊死毒素価に換算して10,000U/mLとなるように希釈したものをPmトキソイド原液とした。
【0038】
2.1.4 不活化SIV原液の調製: SIV京都株(H1N1)及び和田山株(H3N2)(“京都微研”豚インフルエンザワクチンの抗原として使用されている株)を各々発育鶏卵の尿膜腔内に接種し、37℃、3日間培養した後4℃に一晩静置し、感染尿膜腔液を採取した。これを限外ろ過(分画分子量300,000)により濃縮後、ホルマリンを0.04vol%の割合に添加し、22℃、48時間感作し、不活化原液とした。更に100,000×gにてゾーナル遠心して抗原分画を採取し、濃縮調製したものをインフルエンザウイルス原液とした。
【0039】
2.1.5 試作ワクチン中の抗原量: 試作ワクチン10mL中のそれぞれの最終抗原量が、Mhp 不活化前生菌数1.0×1010CCU、Pm不活化前皮膚壊死毒素活性10,000U、不活化SIV京都株(H1N1)原液1,280HA、及び和田山株(H3N2)原液1,280HAとなるように添加した。なお試作ワクチンとして、リン酸アルミニウムゲルへオレイン酸を添加したアジュバントを使用したものと、リン酸アルミニウムゲル単味のものとを調製した。
【0040】
2.1.6 豚への注射と臨床観察: 1群あたり5頭の豚を割り付けて、前述の試作ワクチン2mLを生後23日齢の離乳豚(特定病原体フリー豚。去勢雄豚)の頚部筋肉内に、4週間隔で2回注射した。また比較対照群には抗原量が同じで、リン酸アルミニウムゲル単味をアジュバントとした試作ワクチンを同じワクチンプログラムで注射した。各注射後の臨床観察を実施すると共に、初回注射時と2回目注射後4週間後の各抗原に対する血清中各抗体価を測定した。また解剖時に注射部位のワクチンの注射痕の有無を観察した。
【0041】
2.1.7 Mhp攻撃試験: Mhp攻撃試験では上記に準じた群の割り付けで、2回目注射後4週間後に鼻腔内経由でMhpの生菌を接種し、その4週間後の肺のマイコプラズマ肺炎の病変面積率を算出した。攻撃試験は、下地らの報告(Vaccine 21、532-7、2003)に記載の術式に準じた。なおMhp攻撃試験では、試作ワクチン未注射の陰性対照群も設定した。
【0042】
2.1.8 血清中抗体価の測定
(a)抗Mhp抗体価及び抗Pmトキソイド抗体価の測定: 前述のマウス血清中のELISA抗体価測定方法を参考に、豚血清測定用の術式に改編して実施した。ポリカーボネート製96穴丸底プレート(グライナー・バイオワン社)を用いて、炭酸緩衝液(pH9.6)で調製されたMhp不活化全菌体破砕ELISA抗原液(Mhp抗体価測定)、あるいはPm皮膚壊死毒素(Pm抗体価測定)を1穴あたり150μLずつ分注し、4℃、一晩、固相処理した。このプレートをTween PBSで3回洗浄して、Tween PBSにて2倍階段希釈された豚被験血清を100μLずつ分注し、30℃、1時間感作した。3回洗浄の後、Tween PBSで希釈した抗豚総IgG-POD標識抗体(キャッペル社製)をそれぞれ100μLずつ分注し、30℃、1時間感作した。再び3回洗浄の後に、リン酸クエン酸緩衝液(pH5.6)で調製された10mg/mL オルトフェニレンジアミン液(0.003%過酸化水素水添加)を100μLずつ分注した。30℃、1時間感作後、1mol/Lの硫酸水溶液を50μLずつ分注し、発色反応を停止した。波長492nmにおける吸光度を測定する。吸光度0.5以上を示した血清の最高希釈倍数を抗Mhp豚ELISA抗体価あるいは抗Pm豚ELISA抗体価とした。
【0043】
(b)インフルエンザHI抗体価の測定: 赤血球凝集抑制(以下HIという)試験により測定した。被験血清をRDE及びニワトリ赤血球で処理する。これをPBSにて2倍階段希釈し、各希釈液0.2mLに0.2mL中8単位の赤血球凝集抗原を等量ずつ加え、室温で60分間処理する。これに2vol%のニワトリ赤血球浮遊液を0.1mLずつ加え、室温に60分間静置し、赤血球凝集の有無を判定する。赤血球凝集を抑制した血清の最高希釈倍数をHI抗体価とする。
【0044】
2.2 結果
2.2.1 注射後の臨床観察: 第1回目注射時は、高級脂肪酸添加試作ワクチン注射群で1時間後に発熱する個体が認められた。発熱は注射後9時間目をピークとして回復し、18時間目には平常時体温へと回復した。リン酸アルミニウムゲル単味の群では発熱のピークは3から6時間目で、高級脂肪酸添加試作ワクチン注射群より早期傾向であった。ただし2群間で体温の変動の全体に有意差は認められなかった。第2回目注射時は、発熱のピークは2群とも注射後6時間目で、その後は第1回目注射時と同様に18時間目にはもとの体温に回復した(図5)。また、注射後の元気消失、食欲減退、下痢、嘔吐、あるいは座り込みの症状はどの個体にも認められなかった。さらにその後の飼育期間中に、試作ワクチンによる臨床症状の異常は認められなかった。結果を表に示す。
【0045】
【表2】

本発明のワクチン注射後の豚の臨床症状観察記録。
【0046】
2.2.2 抗体応答: Mhp、Pm、及びSIVに対する各抗体価は、高級脂肪酸添加試作ワクチン注射群においてアルミニウムゲル単味群よりもいずれも高値を示した。Pmに関しては、既報(“京都微研”ピッグウィンAR-BP2技術資料集、2003)に記載の発症予防に必要な最小有効抗体価(抗Pm豚ELISA抗体価2以上)、SIVに関しては、発症予防に必要とされている最小有効抗体価(HI抗体価80以上)を満たした(以上図6)。
【0047】
2.2.3 Mhp攻撃試験: 高級脂肪酸添加試作ワクチン注射群の個体が示したマイコプラズマ肺炎の病変面積率は、アルミニウムゲル単味群よりも低値を示し、より強い予防効果を示すことが判明した(図7)。
【0048】
2.2.4 注射部位におけるワクチンの残留: 攻撃試験の個体について、解剖時に頚部筋肉の注射痕の有無を観察した。解剖時で注射後2か月目(=2回目注射部位)及び注射後3か月目(=1回目注射部位)を観察したが、いずれの個体においても注射部位筋肉に著変は認められず、膿瘍、筋肉の変色、あるいは線維化組織は認められなかった。この成績より、本発明のアジュバントは、長くとも注射後2か月目には肉眼的にはすでに消失していることが判明した。本発明のアジュバントは、アルミニウムゲル単味の場合と同等の期間で注射痕が消失することが確認された。結果を表に示す。
【0049】
【表3】

本発明のワクチン注射部位における解剖時の肉眼所見(注射痕の有無)。
【0050】
以上の成績より、本発明のアジュバントは、マウス以外の動物種、例えば実施例では豚において、アジュバント効果の増強が確認できた。また、従来のアルミニウムゲルと同等に副作用が低いことも判明し、本発明の有用性について証明された。なおこの検討では、細菌の不活化全菌体、トキソイド、及びウイルスを含む計3種類の性状の異なる抗原に対する試作ワクチンの効果、ひいては本発明のアジュバントの幅広い抗原の種類に対するアジュバント効果が確認された。同時にマウスでの基礎試験成績が異種動物(実施例では豚)でも応用可能である可能性も確認できたことから、豚のみに限定されず、牛や鶏等の家畜動物、犬及びネコ等の愛玩動物をはじめ、ヒト用ワクチンへの応用、また近年予防衛生対策が強化されている養殖魚、魚類用ワクチンへの応用も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】アジュバント中の高級脂肪酸濃度とマウス血清中抗OVA抗体価との関係。アルミニウムゲルはリン酸アルミニウム、高級脂肪酸はオレイン酸を使用した。
【図2】本発明のアジュバントをマウス腹腔内へ注射した後の経過日数とマウス平均体重との関係。アルミニウムゲルとしてリン酸アルミニウム、高級脂肪酸としてオレイン酸を使用し、高級脂肪酸の添加量と体重変動との関係を比較した。
【図3】種々の高級脂肪酸を使用した場合のマウス血清中抗OVA抗体価。高級脂肪酸は、アジュバント液中それぞれ10w/v%で添加した。
【図4】2種類のアルミニウムゲルを使用した場合のマウス血清中抗OVA抗体価。アルミニウムゲル量は、アルミニウム換算でアジュバント液中0.4w/v%を添加した。
【図5】本発明のワクチンを注射後の豚の体温変動。
【図6】本発明の試作ワクチン2回目注射4週後の豚の抗体価の成績。
【図7】マイコプラズマ肺炎の病変面積率(Mhp攻撃試験)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムゲルと高級脂肪酸からなるアジュバント。
【請求項2】
アルミニウムゲルがアルミニウム換算で0.2〜1.2w/v%、及び高級脂肪酸が1.0〜20.0w/v%それぞれ含有される請求項1に記載のアジュバント。
【請求項3】
アルミニウムゲルがリン酸アルミニウムである請求項1に記載のアジュバント。
【請求項4】
アルミニウムゲルが水酸化アルミニウムである請求項1に記載のアジュバント。
【請求項5】
高級脂肪酸が不飽和高級脂肪酸である請求項1〜4に記載のアジュバント。
【請求項6】
不飽和高級脂肪酸が炭素数12〜30、不飽和度1〜6である請求項1〜5に記載のアジュバント。
【請求項7】
不飽和高級脂肪酸がオレイン酸、パルミトオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸から、少なくとも1種選択される請求項1〜6に記載のアジュバント。
【請求項8】
さらに植物油を含む請求項1〜7に記載のアジュバント。
【請求項9】
植物油がダイズ油である請求項8に記載のアジュバント。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のアジュバントと抗原より成るワクチン。
【請求項11】
抗原として少なくとも1種類以上の細菌由来成分及び/又はウイルス由来成分を含む請求項10に記載のワクチン。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−206539(P2006−206539A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23284(P2005−23284)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(591193370)株式会社微生物化学研究所 (14)
【Fターム(参考)】