説明

アジュバント物質

本発明は、金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分を含むアジュバント物質を提供する。さらに、本発明は、(a)金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分と、(b)金属アフィニティータグを含む抗原と、任意選択で(c)金属イオンとを含み、金属アフィニティータグと金属キレート基との間の相互作用により、抗原が樹状細胞を標的とした脂質部分に連結している免疫原性組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫応答を生成するのに使用するための化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばある種の感染症または癌等の広範囲にわたる疾患を予防するまたは治療するのに免疫療法またはワクチン接種が魅力的である。しかしながら、標的抗原が免疫原性に乏しいことからこのような処置の適用および成功は一部限られている。ペプチド、糖ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質、リポペプチド、糖質等の多くが免疫原性に乏しい。対象の免疫原に対する免疫応答を増強するためにいくつかの技術が用いられている。
【0003】
対象のペプチド/タンパク質免疫原に対する免疫応答を増強するために、例えば完全フロイントアジュバント(CFA)等のペプチド/タンパク質免疫原にとって外因性のアジュバント剤(すなわち、使用前に、アジュバント剤は免疫原と混合される)を利用することが知られている。しかしながら、現在利用可能なアジュバントの多くはヒトに使用できないほど有毒であるかまたは単に効果がない。
【0004】
アジュバントとして作用することで知られている脂質部分がペプチド免疫原に共有結合しているリポペプチドは、外因性のアジュバントがない状態で、免疫原性が弱い他のペプチドの免疫原性を増強することができる可能性がある[Jungら、Angew Chem,Int Ed Engl 10,872,(1985);Martinonら、J Immunol 149,3416,(1992);Toyokuniら、J Am Chem Soc 116,395,(1994);Deprezら、J Med Chem 38,459,(1995);およびSauzetら、Vaccine 13,1339,(1995);Benmohamedら、Eur.J.Immunol.27,1242,(1997);Wiesmullerら、Vaccine 7,29,(1989);Nardinら、Vaccine 16,590,(1998);Benmohamedら、Vaccine 18,2843,(2000);およびObertら、Vaccine 16,161,(1998)]。適したリポペプチドはアジュバント剤に関連する有害な副作用を全く示さず、リポペプチドに対する抗体反応および細胞応答の両方が観察されている。
【0005】
いくつかの異なる脂肪酸が脂質部分に使用されることが知られている。典型的な脂肪酸には、パルミトイル基、ミリストイル基、ステアロイル基、およびデカノイル基が含まれるが、これに限定されない。または、より一般に、C2からC30の任意の飽和脂肪族アシル基、モノ不飽和脂肪族アシル基、またはポリ不飽和脂肪族アシル基が有用であると考えられる。
【0006】
Pam3CysまたはPam3Cys−OHとしても知られているリポアミノ酸であるN−パルミトイル−S−[2,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン(Wiesmullerら、Z.Physiol.Chem.364(1983),p593)は、グラム陰性菌の内膜および外膜を補うブラウンのリポタンパク質のN末端部分を合成したものである。Pam3Cysは式(1)の構造を有する。
【化1】

【0007】
Metzgerらの米国特許第5700910号(1997年12月23日)には、合成アジュバント、Bリンパ球賦活薬、マクロファージ賦活薬、または合成ワクチンとして用いられるリポペプチドの調製において中間体として使用するためのいくつかのN−アシル−S−(2−ヒドロキシアルキル)システインが記載されている。Metzgerらはまた、このような化合物のPam3Cys−OH(Wiesmullerら、Z.Physiol.Chem.364,p593,1983)の合成における中間体としての使用、およびリポアミノ酸またはその類似体をN末端に含むリポペプチドの使用について教示する。
【0008】
Pam3Cysは、適切なエピトープと結合した時に、インフルエンザウィルス感染細胞に対するウィルス特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)応答を促すことができること(Deresら、Nature 342,561,1989)、および口蹄疫に対する防御抗体を誘発すること(Wiesmullerら、Vaccine 7,29,1989;Jungらの米国特許第6024964号、2000年2月15日)が証明されている。
【0009】
最近、Pam3Cysの類似体であるPam2Cys(ジパルミトイル−S−グリセリル−システインまたはS−[2,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システインとしても知られている)が合成され(Metzger,J.W.,A.G.Beck−Sickinger,M.Loleit,M.Eckert,W.G.Bessler,およびG.Jung.1995.J Pept Sci 1:184.)、このPam2Cysは、マイコプラズマから単離されたマクロファージ活性化リポペプチドであるMALP−2の脂質部分に相当することが証明された(Sacht,G.,A.Marten,U.Deiters,R.Sussmuth,G.Jung,E.Wingender,およびP.F.Muhlradt.1998.Eur J Immunol28:4207:Muhlradt,P.F.,M.Kiess,H.Meyer,R.Sussmuth,およびG.Jung.1998.Infect Immun 66:4804:Muhlradt,P.F.,M.Kiess,H.Meyer,R.Sussmuth,およびG.Jung.1997.J Exp Med 185:1951)。Pam2Cysは式(II)の構造を有する。
【化2】

【0010】
Pam2CysはPam3Cysよりも脾細胞およびマクロファージの強力な刺激物質であることが報告されている(Metzgerら、J Pept.Sci 1,184,1995;Muhlradtら、J Exp Med 185,1951,1997,およびMuhlradtら、Infect Immun 66,4804,1998)。
【0011】
樹状細胞(DC)は、一次免疫応答のみを促すことができる抗原提示細胞(APC)の希少な集団であり、癌免疫療法における樹状細胞の使用に強い関心が高まっている(Fongら、Annu,Rev.Immunol.18,245,2000)。強力な免疫応答を促すためにDCの能力を利用する試みにおいて生体外でのDCの操作を伴う手順がこれまで主に注目されてきた。この手法は、DCを患者から単離し、数を増やし、抗原(Ag)を与え(Heiser,A.ら、J.Immunol.166,2953,2001;Gatzaら、J.Immunol.169,5227,2002;Timmermanら、Blood 99,1517,2002;Martenら、Mol.Immunol.39,395,2002)、次いで、患者に再導入することを必要とすることがよくある。この手順はおおむね単純であるが、このような希少な細胞集団を単離し、培養するのに関連して困難が伴ってしまう(Inabaら、J.Exp.Med.172,631,1990;Wilsonら、P.N.A.S.USA 9,4784,2000)。生体内でAgを直接DCに送達させ、適切な免疫応答を誘発させることができる戦略に非常に大きな臨床的可能性があることは明らかである。
【0012】
DCは骨髄中の前駆体から生じ、未熟細胞として末梢組織に移動し、そこでAgを内部に取り入れ、複雑な成熟過程を経る。Agは、補体受容体(例えばCD11c/CD18)ならびにエンドサイトーシス受容体(例えば、DEC−205、DC−SIGN、およびToll様受容体)を含む多くの表面受容体によって内部に取り入れられる。未熟DCはまた、細菌細胞壁リポ多糖(LPS)等の病原体関連分子またはIFN−γ等のサイトカインによる炎症性の刺激といった形態の「危険信号」をAg獲得中に受けてもよい。次いで、DCは二次リンパ器官に移動し、有能なAPCになるために成熟する(Guermonprezら、Annu.Rev.Immunol.20,61,2002)。CD11c/CD18、DEC−205、DC−SIGN、およびToll様受容体等の受容体は、Agの捕捉および提示の過程において重大な役割を果たし、主にDCにおいて発現する。
【0013】
国際出願番号PCT/AU00/00397(国際公開第00/64471号パンフレット)において、生体膜、合成膜、またはリポソームを修飾する方法であって、修飾された生体膜、合成膜、またはリポソームが生体内に投与された時に、免疫を変更させる目的のためのまたは薬剤および他の作用物質が特異的な細胞型もしくは組織を標的とするための方法が記載されている。金属キレート基の取り込みまたは結合によりこの膜またはリポソームの修飾が達成され、その結果として、金属アフィニティータグを有する1つまたは複数の標的分子の移植が可能になる。
【0014】
国際出願番号PCT/AU2004/001125(国際公開第2005/01861号パンフレット)において、樹状細胞を標的として抗原を生体内で送り込むことにより免疫を調節するための組成物であって、複数の金属キレート基を表面に有する、抗原を含む膜小胞または抗原を含むリポソームの調製物と、リガンド上の金属アフィニティータグにより上述の金属キレート基に連結されている、上述の樹状細胞上の受容体に対する上述のリガンドとを含み、上述の抗原を含む小胞または上述の抗原を含むリポソームが免疫調節因子を含む組成物が開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様において、本発明は、金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分を含むアジュバント物質を提供する。
【0016】
第2の態様において、本発明は、(a)金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分と、(b)金属アフィニティータグを含む抗原と、任意選択で(c)金属イオンとを含み、金属アフィニティータグと金属キレート基との間の相互作用により、抗原が樹状細胞を標的とした脂質部分に連結している免疫原性組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の態様において、本発明は、金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分を含むアジュバント物質を提供する。
【0018】
第2の態様において、本発明は、(a)金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分と、(b)金属アフィニティータグを含む抗原と、任意選択で(c)金属イオンとを含み、金属アフィニティータグと金属キレート基との間の相互作用により、抗原が樹状細胞を標的とした脂質部分に連結している免疫原性組成物を提供する。
【0019】
第1および第2の態様の好ましい実施形態において、樹状細胞を標的とした脂質部分は、Pam2Cys(S−(2,3−ジパルミテート−プロピル)システイン)またはPam3Cys(N−パルミトイル−S−[2,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン)である。当業者により理解されるように、これらの分子の脂質鎖を変更してもよい。脂質は、樹状細胞上のTLR−2受容体を標的にすると証明されたPam2Cysであることが特に好ましい(Jacksonら、PNAS,101,15440−15445,2004)。使用してもよい代替脂質には、SteCys(ジステアロイル−S−グリセリル−システインまたはS−[2,3−ビス(ステアロイルオキシ)プロピル]システインとしても知られている)、LauCys(ジラウロイル−S−グリセリル−システインまたはS−[2,3−ビス(ラウロイルオキシ)プロピル]システインとしても知られている)、およびOctCys(ジオクタノイル−S−グリセリル−システインまたはS−[2,3−ビス(オクタノイルオキシ)プロピル]システインとしても知られている)が挙げられる。
【0020】
適した金属キレート基は当業者に知られているものである。金属キレート基は、カルボン酸ベースの金属キレート基であることが好ましい。例えば、金属キレート基は、3−NTA(トリニトリロ三酢酸)、N,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン(NTA)およびその誘導体であるN−(5−アミノ−1−カルボキシペンチル)イミノ二酢酸等、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)およびその誘導体、N,Nα,Nα,Nε,Nε−[ペンタキス(カルボキシメチル]−2,6−ジアミノ−4−アザヘキサン酸ヒドラジド、エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)ならびにその誘導体であるアミノベンジル−EDTAおよびイソシアナベンジル−EDTA等、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)およびその誘導体、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)およびその誘導体、ならびに他のカルボン酸ベースの金属キレート部分から選択することができる。
【0021】
金属キレート基は好ましくは3−NTAである。
【0022】
第2の態様の好ましい形態において、免疫原性組成物はさらに金属イオンを含む。本発明者たちは、本発明の免疫原性組成物が組成物中に金属イオンのない状態で免疫原性反応を引き起こすことを発見した。理論に拘束されることなく、本発明者たちは、組成物が投与された組織に金属イオンが偶発的に存在するおかげで樹状細胞を標的とした脂質部分に連結している抗原によりこの免疫原性反応がもたらされるものと考える。本出願人は、金属イオンが免疫原性組成物中に存在する場合、組成物により誘発される免疫応答が改善されることを発見した。金属イオンは、Ni2+、Zn2+、Co2+、およびCu2+から成る群から選択されることが好ましい。
【0023】
抗原は、ウィルス、原核生物、または真核生物の任意の適した免疫原性のタンパク質、リポタンパク質、または糖タンパク質とすることができ、哺乳類対象または上述の対象に感染する細菌、菌類、原生動物、もしくは寄生生物に由来する抗原を含むがこれに限定されない。脂質で修飾されたB細胞エピトープが含まれるように、免疫応答が要求されるイディオタイプB細胞エピトープおよび抗イディオタイプB細胞エピトープが特に含まれる。あるいは、B細胞エピトープは、例えばABH血液型抗原、移植抗原(例えばGalα1−3Galβ1−4GlcNAc;Sandrinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,11391−11395,1993;Galiliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,1369−1373,1987;Schofieldら、Nature 418:785−789,2002)、またはABH血液型抗原および移植抗原の複合体等の糖鎖抗原であってもよい。
【0024】
寄生生物からの好ましい抗原は、リーシュマニア、マラリア、トリパノソーマ症、バベシア症、または住血吸虫症に関連した抗原である。好ましいウィルス抗原は、肝炎ウィルス、ロタウィルス、ヘルペスウィルス、コロナウィルス、ピコルナウィルス(例えば、アフトウィルス)、呼吸器合胞体ウィルス、インフルエンザウィルス、パラインフルエンザウィルス、アデノウィルス、ポックスウィルス、ウシヘルペスウィルスI型、ウシウィルス性下痢ウィルス、ウシロタウィルス、イヌジステンパーウィルス(CDV)、ウマ鼻炎Aウィルス(ERAV)、ウマ鼻炎Bウィルス(ERBV)、口蹄疫ウィルス(FMDV)、はしかウィルス(MV)、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、ネコ免疫不全ウィルス(FlV)、エプスタインバーウィルス(EBV)等に由来する。好ましい細菌抗原には、パスツレラ、アクチノバシラス、ヘモフィルス、リステリア菌、ミコバクテリウム、ブドウ球菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌等に由来する抗原が含まれる。哺乳類対象からの好ましい抗原は、少なくとも1つの腫瘍抗原に由来しおよび/またはこの腫瘍抗原に対する免疫応答を起こさせることができる。腫瘍抗原は通常自己抗原または外来性抗原であって、腫瘍抗原の発現は、腫瘍の発生、成長、存在、または再発と相互に関連している。腫瘍抗原が異常組織を正常組織と区別するのに使用できるため、腫瘍抗原は治療的介入のための標的として有用であるといえる。腫瘍抗原は当技術分野でよく知られている。実際に、いくつかの例が十分に述べられており、現在、腫瘍特異的治療法の作成における大きな関心の的となっている。腫瘍抗原の非限定的な例として、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、メラノーマ抗原(MAGE、BAGE、GAGE)、およびMUC−1等のムチンが挙げられる。
【0025】
また、哺乳類対象からの抗原は、ヒトまたはブタ等の他の哺乳類のZP3(Chamberlin and Dean Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)87,6014−6018,1990)またはZP3a(Yurewiczら、Biochim.Biophys,Acta 1174,211−214,1993)]等の透明帯タンパク質に由来する。この分類における特に好ましい抗原として、ヒトのZP3のアミノ酸残基323〜341(Chamberlin and Dean Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)87,6014−6018,1990)、ブタのZP3aのアミノ酸残基8〜18またはアミノ酸残基272〜283またはアミノ酸残基319〜330(Yurewiczら、Biochim.Biophys.Acta 1174,211−214,1993)が挙げられる。
【0026】
哺乳類対象からのさらに好ましい抗原は、例えば、満腹ホルモン(例えばレプチン)、消化ホルモン(例えばガストリン)、もしくは生殖ペプチドホルモン[例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG;Carlsenら、J.Biol.Chem.248,6810−6827,1973)等のペプチドホルモンまたはその代わりに、例えばFSH受容体等のホルモン受容体(Kraaijら、J.Endocrinol.158,127−136,1998)に由来しおよび/またはこのペプチドホルモンもしくはホルモン受容体に対する抗体を発生させることができる。この分類における特に好ましいエピトープとして、抗原性的にLHと非交差反応性のb−hCGのC末端部分(CTP)が挙げられる(Carlsenら、J.Biol.Chem.248,6810−6827,1973)。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、抗原は、複数の異なるCTLエピトープを含むポリトープである。
【0028】
特定のウィルスおよび生物の好ましい抗原について以下に記載する。
ウィルス 抗原
ヒト乳頭腫ウィルス E6E7タンパク質
インフルエンザ Mタンパク質
B型肝炎 B型肝炎小型抗原(HBsAg)
ヒト免疫不全ウィルス gp120、gp4l
単純ヘルペス gB
生物 毒素からのBサブユニット
炭疽菌 致死因子
百日咳菌 アデニル酸シクラーゼ
百日咳菌 百日咳毒素
破傷風菌 破傷風毒素
ジフテリア菌 ジフテリア毒素
腸管出血性大腸菌 志賀毒素
毒素原性大腸菌 易熱性毒素
コレラ菌 コレラ毒素
他の抗原 リシン
【0029】
金属アフィニティータグはヘキサヒスチジンが好ましいが、4〜16個のヒスチジン残基を有するポリヒスチジンまたは金属キレートに対する親和性を有するヒスチジンリッチペプチド、例えば、哺乳類のヒスチジンリッチ糖タンパク質のヒスチジンプロリンリッチ繰り返しペプチドとすることができる(HulettおよびParish,Immunol.Cell Biol.70,280−287,2000)。
【0030】
図1に示すように、好ましい実施形態において、本発明による構築物は、樹状細胞上のToll様受容体2(TLR−2)を標的にする脂質であるPam2Cysを含む。3−NTAは、Pam2Cysに共有結合している。抗原は、6−Hisタグタンパク質であり、タンパク質は、組換えワクチンタンパク質、糖質、ポリトープ、またはエピトープをベースとし、6−Hisタグを有するワクチンとすることができる。3−NTA(トリニトリロ三酢酸)はPam2Cysが抗原に結合するように6−Hisタグをキレート化し、好ましい実施形態の構築物が形成される。
【0031】
図2は、3NTA−PEG−Pam2Cysを生成するための方法について説明する概略図である。上記に記載するように、3NTA基を介してこの構築物に関連する6−Hisタグ付き抗原を単に変化させて、DCへの抗原送達の範囲を増加させることにより、一般的なワクチンとして貢献する大きな可能性をこの構築物は有する。ここに示す構築物はポリエチレングリコール(PEG)を含み、このポリエチレングリコールは3NTAおよびPam2Cysを連結するブリッジとして貢献し、さらに重要なことには、(生成物の生体内における効力を改善するための)「隠れた」特性を分子に与える。マレイミド基およびN−ヒドロキシスクシンイミド基で誘導体化されたPEG(Nektar Therpeutics;ネクターセラピューティクス社)(mal−PEG−NHS)によりチオール基およびアミノ基にそれぞれ結合することを可能にするヘテロ二官能性架橋剤が実現される。3NTAはアミノ官能基を含む。第1の反応(A)は、アミノ−3NTAのアミノ基およびmal−PEG−NHSのNHS基の間の縮合反応を示し、アミド結合が形成され、mal−PEG−3NTAが生成される。(B)は、mal−PEG−3NTAのマレイミド基およびPam2Cys中の末端システイン残基のスルフヒドリル基の間のチオールアルキル化反応を示し、チオエーテル結合の形成がもたらされる。連続して、任意の順序で、または同時に(A)および(B)を実行してもよい。また、ここに示した同一の化学の法則に従い、PEGスペーサーなしで、sulfo−SMPB(Pierce;ピアス社)等の「マレイミド−スクシンイミジル」ヘテロ二官能性架橋剤を使用してPam2Cysおよびアミノ−3NTAを結合させてもよい。好ましい形態において、ヘテロ二官能性架橋剤はN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエートである。
【0032】
当業者によって認識されているように、アジュバント物質は、6−Hisタグを含む組換えタンパク質または組換えペプチドと共に使用するのに最適である。本発明の物質により、金属アフィニティータグを含む抗原を樹状細胞標的脂質に容易に結合させ、その結果として抗原の免疫原性を増加させることができる。こういったことは、抗原が発現された組換えタンパク質である場合、これらの分子は精製用の6−Hisタグと共に生成されることがよくあるため、特に有用である。これらの分子を本発明のアジュバント物質と単純に反応させ、本発明の第2の態様の免疫原性組成物を得ることができる。
【0033】
本発明の本質がより明確に理解されるために、本発明の好ましい形態について以下の非限定的な実施例に関連して記載することとする。
【実施例】
【0034】
実施例1
(材料と方法)
1.化学物質
特に記載されない限り、化学物質が分析用グレードまたはその相当物であった。N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ピペリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、O’ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)ならびにジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)はオースペップ社(Auspep Pty.Ltd.)、メルボルン、豪州およびシグマアルドリッチ社、キャッスルヒル、豪州から入手した。ジクロロメタン(DCM)およびジエチルエーテルはメルク社(キルシス、豪州)製であり、フェノールおよびトリイソプロピルシラン(TIPS)はアルドリッチ社(ミルウォーキー、WI)製であった。トリニトロベンジルスルホン酸(TNBSA)およびジアミノピリジン(DMAP)はフルカ社製であった。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)はシグマ社から入手し、パルミチン酸はフルカ社製であった。固体担体TentaGel S RAMはラップポリメーレ社製、チュービンゲン、ドイツであった。O−(N−Fmoc−2−アミノエチル−O’−(2−カルボキシエチル)−ウンデカエチレングリコール(Fmoc−PEG)はノバビオケム社、メルクバイオサイエンス、スイスから入手した。ヘテロ二官能性リンカー分子であるN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエート(MCS)はフルカ バイオケミカ社(Fluka Biochemika)製、スイスであった。実質的に、国際公開第2005/018610号パンフレットに記載されるように、3NTAを生成した。NTAはDojindo社、日本から購入した。
【0035】
2.ペプチドワクチンの合成
ペプチドワクチンHis−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGは6つのヒスチジン残基、Tヘルパー細胞エピトープALNNRFQIKGVELKS、およびB細胞エピトープHWSYGLRPGを含む。Tヘルパー細胞エピトープはインフルエンザウィルスヘマグルチニンの軽鎖(HA2)からのものであり、B細胞エピトープは黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)である。Fmoc化学を使用する従来の固相法により連続した配列としてペプチドワクチンを合成した。ペプチド合成のために使用した一般的な手順は、Jacksonら、Vaccine 18,355(1999)に記載されている。固体担体TentaGel S RAMを使用した。Zeng,W.ら、Journal of Immunology 169,4905−4912に記載されるように6個のヒスチジン残基がないこのペプチドワクチンALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGの脂質修飾型を合成した。
【0036】
3.脂質部分の合成
4つの脂質部分を開発し、合成した。
(i)PamCysSer(Lys)Cys
(ii)PamCysSerSer(Lys)Cys
(ii)PamCysSerSerPEG10Cys
(iii)PamCysSerSerPEG20Cys
【0037】
Fmoc化学を使用する従来の固相法により脂質部分を作成した。ペプチド合成のために使用した一般的な手順は、Jacksonら、Vaccine 18,355(1999)に記載されている。固体担体TentaGel S RAMを使用した。2倍過剰だけ使用したFmoc−PEGのカップリングを除き、4倍過剰のFmocアミノ酸誘導体をカップリングステップに使用した。8つのリシン残基の後にセリンが1つ余分に挿入されているということが最初の2つの脂質部分における差異である。
【0038】
Jonesら、Xenobiotica 5,155(1975)およびMetzgerら、Int J Pept Protein Res 38,545(1991)に記載される方法により以下の変更を伴ってPam2Cysをペプチドに結合させた。
【0039】
I.S−(2,3−ジヒドロキシプロピル)システインの合成:
トリエチルアミン(6g、8.2ml、58ミリモル)をL−システイン塩酸塩(3g、19ミリモル)および3−ブロモ−プロパン−1,2−ジオール(4.2g、2.36ml、27ミリモル)の水溶液に加え、均一溶液を3日間室温で保存した。溶液を40℃真空中で凝縮して白い残渣を得て、これをメタノール(100ml)と共に煮沸し、遠心分離し、この残渣を水(5ml)に溶解させた。この水溶液をアセトン(300ml)に加え、遠心分離によって沈澱物を単離した。沈殿反応を数回行い沈澱物をアセトンで水から精製し、白いアモルファス粉末としてS−(2,3−ジヒドロキシプロピル)システイン(2.4g、12.3mmol、64.7%)を得た。
【0040】
II.N−フルオレニルメトキシカルボニル−S−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−システイン(Fmoc−Dhc−OH)の合成:
S−(2,3−ジヒドロキシプロピル)システイン(2.45g、12.6ミリモル)を9%の炭酸ナトリウム(20ml)中で溶解させた。アセトニトリル(20ml)中のフルオレニルメトキシカルボニル−N−ヒドロキシスクシンイミド(3.45g、10.5ミリモル)の溶液を加え、混合物を2時間撹拌し、次いで水(240ml)で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した(25ml×3)。水相を濃塩酸で酸性化してpH2にし、次いで、酢酸エチルで抽出した(70ml×3)。抽出物を、水(50ml×2)および飽和塩化ナトリウム溶液(50ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、乾燥させた。エーテルおよび酢酸エチルから−20℃で再結晶させることにより無色の粉末(2.8g、6.7ミリモル、63.8%)を得た。
【0041】
III.樹脂結合ペプチドへのFmoc−Dhc−OHの結合:
Fmoc−Dhc−OH(100mg、0.24ミリモル)をHOBt(36mg、0.24ミリモル)およびDICI(37μl、0.24mmol))を用いDCMおよびDMF(1:1、v/v、3ml)中で5分間0℃で活性化させた。次いで、樹脂結合ペプチド(0.04ミリモル、0.25gのアミノ−ペプチド樹脂)を含む容器にこの混合物を加えた。2時間振盪した後、溶液を濾過により除去し、DCMおよびDMFで樹脂を洗浄した(各3×30ml)。反応を完成させるためにTNBSA試験を用いて監視した。必要であれば、ダブルカップリングを行った。
【0042】
IV.Fmoc−Dhcペプチド樹脂の2つの水酸基のパルミトイル化:
パルミチン酸(204mg、0.8ミリモル)、DICI(154μl、1ミリモル)、およびDMAP(9.76mg、0.08ミリモル)を2mlのDCMおよび1mlのDMF中で溶解させた。樹脂結合Fmoc−Dhc−ペプチド樹脂(0.04ミリモル、0.25g)をこの溶液中に懸濁させ、室温で16時間振盪した。溶液を濾過により除去し、次いで、尿素のいかなる残渣をも除去するためにDCMおよびDMFで樹脂を徹底的に洗浄した。2.5%のDBUでFmoc基を除去した(2×5分間)。
【0043】
樹脂結合ペプチド構築物をすべて試薬B(88%のTFA、5%のフェノール、2%のTIPS、5%の水)を用いて固相担体から2時間ではがし、Zengら、Vaccine 18,1031 (2000)に記載されるように逆相クロマトグラフィーにより精製した。
【0044】
ウォーターズ社製HPLCシステムに取り付けられたバイダック社製C4カラム(4.6×300mm)を用いて分析逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を実行し、H2O中0.1%のTFAおよびCH3CN中0.1%のTFAを制限溶媒として使用し、1ml/分の流速で展開させた。生成物はすべて分析RP−HPLCにおいて単一の大きなピークとして示され、アジレント社製1100 LC−MSDトラップ質量分析計により分析すると、予期した質量を有していた。
【0045】
4.LIPOKELの合成
LIPOKELは、ヘテロ二官能性リンカー分子であるN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエート(MCS)を介して3NTAに結合された脂質部分PCSKCを含む。LIPOKELの改良物を上記に取り上げた脂質部分PCSPEG10およびPCSPEG20を用いて合成した。
LIPOKEL: PamCysSerLysCys−3NTA
LIPOKELP−10: PamCysSerSerPEG10−3NTA
LIPOKELP−20: PamCysSerSerPEG20−MCS−3NTA
【0046】
3NTAへの脂質部分のカップリングを以下の通り行った。
1)リン酸緩衝アセトニトリル中で等モル量の3NTAおよびMCSを混合し、2〜3時間室温で保温することにより3NTAをMCSにカップリングさせた。3NTA−MCSの特性についてMSにより確認し、化合物をHPLCにより精製した。
2)すべての反応成分が溶けるように固体のグアニジン粉末を加えたリン酸緩衝アセトニトリルを含む溶液中で、等モル量の3NTA−MCSおよび脂質部分を用いて3NTA−MCSと脂質部分の結合を行った。pH6.0と比較してpH7.5で反応効率が大幅に増加したことが分かった。反応生成物の特性についてMSにより確認し、LIPOKEL、LIPOKELP−10、およびLIPOKELP−20をHPLCにより精製した。LIPOKELの質量スペクトルについて質量分析計であるアジレント社シリーズ1100 LC−MSDを使用して決定した。実験による質量3073.95が、推定した質量3074.9Daとほぼ一致した。
【0047】
5.動物試験
ニッケルがある状態またはない状態で、HIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGと共に混合されたLIPOKEL、HlS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGのみ、ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGの脂質修飾型、または(第1の投与では完全、第2の投与では不完全)フロイントアジュバント中で乳化されたHIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGを2回(第1の投与量として20ナノモル、続いて第2の投与量として5ナノモル)0週目および3週目にそれぞれBALB/cマウスの5群に与えた。3週目および4週目にマウスから採血し、血清を調製し、抗LHRH抗体反応についてELISAにより測定した(図2)。
【0048】
本明細書の全体にわたり、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」等の変形は、示した要素、数値もしくはステップ、または要素、数値もしくはステップの群を包含し、他のいかなる要素、数値もしくはステップ、または要素、数値もしくはステップの群を排除するものではないということを意味することが理解されるであろう。
【0049】
本明細書中で述べた刊行物はすべて、参照によってここに含むものとする。本明細書中に含まれる文書、行為、物質、装置、製品等についてのいかなる議論も単に本発明にとっての背景を提供するためのものである。任意のもしくはすべてのこれらの事項が、先行技術の基礎の一部を形成するまたは本出願の各請求項の優先日の前にどこにでも存在したかのように本発明に関連する分野における共通の一般知識だったということが許可されるべきではない。
【0050】
広く記載した本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示されるように多数の変形形態および/または変更形態が本発明に対してなされてもよいことが当業者により十分に理解されるであろう。それゆえ、本実施形態は、すべての点で、例示的なものとしてかつ限定的ではないものとしてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるアジュバント物質を含む構築物を示す図である。
【図2】3NTA−PEG−mal−Cys−Lys−Ser−Pam2Cysを生成するための方法について説明する概略図である。
【図3】本発明に係るアジュバント物質を用いて送達されたHisタグペプチドワクチンに対する抗体反応を示す図である。この物質をLIPOKELと呼ぶ。LIPOKELは、ヘテロ二官能性リンカー分子であるN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエート(MCS)を介して3NTAに結合された脂質部分PCSKCを含む。ニッケルがある状態またはない状態でHIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGと共に混合されたLIPOKELを0週目および3週目にマウスに2回投与した。HIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGのみ、このペプチドワクチンの脂質修飾型、またはフロイントアジュバント中で乳化されたHIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGをそれぞれ、同じスケジュールで対照マウスに与えた。第1の投与量はマウス当たり20ナノモルであり、第2の投与量は5ナノモルだった。3週目および4週目にマウスから採血した。1回目のワクチン投与後にマウスの血清でELISAを行った結果。
【図4】本発明に係るアジュバント物質を用いて送達されたHisタグペプチドワクチンに対する抗体反応を示す図である。この物質をLIPOKELと呼ぶ。LIPOKELは、ヘテロ二官能性リンカー分子であるN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエート(MCS)を介して3NTAに結合された脂質部分PCSKCを含む。ニッケルがある状態またはない状態でHIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGと共に混合されたLIPOKELを0週目および3週目にマウスに2回投与した。HIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGのみ、このペプチドワクチンの脂質修飾型、またはフロイントアジュバント中で乳化されたHIS−ALNNRFQIKGVELKS−HWSYGLRPGをそれぞれ、同じスケジュールで対照マウスに与えた。第1の投与量はマウス当たり20ナノモルであり、第2の投与量は5ナノモルだった。3週目および4週目にマウスから採血した。2回目のワクチン投与後にマウスの血清でELISAを行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分を含む、アジュバント物質。
【請求項2】
前記樹状細胞を標的とした脂質部分が、Pam2Cys(S−(2,3−ジパルミテート−プロピル)システインもしくはPam3Cys(N−パルミトイル−S−[2,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン)またはそれらの誘導体である、請求項1に記載のアジュバント物質。
【請求項3】
前記樹状細胞を標的とした脂質部分がPam2Cysである、請求項1に記載のアジュバント物質。
【請求項4】
前記金属キレート基がカルボン酸ベースの金属キレート基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアジュバント物質。
【請求項5】
前記金属キレート基が3−NTAである、請求項4に記載のアジュバント物質。
【請求項6】
前記樹状細胞を標的とした脂質部分と前記金属キレート基とがヘテロ二官能性架橋剤により共有結合している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアジュバント物質。
【請求項7】
前記ヘテロ二官能性架橋剤がN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエートである請求項6に記載のアジュバント物質。
【請求項8】
(a)金属キレート基が共有結合した、樹状細胞を標的とした脂質部分と、(b)金属アフィニティータグを含む抗原と、任意選択で(c)金属イオンとを含み、金属アフィニティータグおよび金属キレート基の間の相互作用により、前記抗原が前記樹状細胞を標的とした脂質部分に連結している、免疫原性組成物。
【請求項9】
前記樹状細胞を標的とした脂質部分がPam2Cysである、請求項8に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記金属キレート基がカルボン酸ベースの金属キレート基である、請求項8または9に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記金属キレート基が3−NTAである、請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記樹状細胞を標的とした脂質部分と前記金属キレート基とがヘテロ二官能性架橋剤により共有結合している、請求項8〜11のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記ヘテロ二官能性架橋剤がN−スクシンイミジル6−マレイミドカプロエートである、請求項12に記載のアジュバント物質。
【請求項14】
金属イオンをさらに含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
前記金属イオンが、Ni2+、Zn2+、Co2+、およびCu2+から成る群から選択される、請求項14に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記抗原が、少なくとも1つの腫瘍抗原に由来し、および/または少なくとも1つの腫瘍抗原に対して免疫応答を生成することができる、請求項8〜15のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
前記抗原が、複数の異なるCTLエピトープを含むポリトープである、請求項8〜16のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
前記金属アフィニティータグが4〜16個のヒスチジン残基を有するポリヒスチジンである、請求項8〜17のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記金属アフィニティータグがヘキサヒスチジンである、請求項18に記載の免疫原性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−529977(P2008−529977A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553416(P2007−553416)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000147
【国際公開番号】WO2006/081631
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507267274)リポテック プロプライエタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】