説明

アセトアルデヒド脱水素酵素2及びアルコール脱水素酵素2の遺伝子変異を同時に検出する方法

【課題】アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の遺伝子多型のrs671及びアルコール脱水素酵素2(ADH2)の遺伝子多型のrs1229984を検出するのに有効なプローブを特定し、これらの遺伝子多型を同時に検出する方法、およびそのためのキットを提供する。
【解決手段】アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の遺伝子多型のrs671及びアルコール脱水素酵素2(ADH2)の遺伝子多型のrs1229984を含む特定の領域に基づいてプローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)及びアルコール脱水素酵素2(ADH2)
の遺伝子変異を検出する方法、ならびにそのための核酸プローブ及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール代謝に関わる代表的な酵素として、ADH (Alcohol dhydrogenase)とALDH (Aldehyde dehydrogenase)がある。ADHはエタノールをアセトアルデヒドに代謝し、ALDHはアセトアルデヒドを酢酸に代謝する。
ADHには、ADH1、ADH2及びADH3の3種類が存在し、ADH2遺伝子の表現型に関連する遺伝
子多型には、ADH2*1(WT)、ADH2*2、ADH2*3が存在する(非特許文献1)。日本人における頻度は、*1/*1:8.4%、*1/*2:34.9%、*2/*2:56.7%となっており、*3はほぼ存在しない
(非特許文献2)。
ALDH2の遺伝子の表現型に関連する遺伝子多型には、*1(WT)及び*2が存在し(非特許文
献1)、日本人における頻度は、*1/*1:52.8%、*1/*2:40.9%、*2/*2:6.3%となってい
る(非特許文献2)。
これらの遺伝子多型の中でも、ADH2*2及びALDH2は、アルコール依存症や、肝臓病、膵
臓ガン等に関与していると報告されている(非特許文献1,3)。
なお、CYP2E1についてもADH2及びALDH2と同様の機能を有することが報告されている(
非特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、アルコール代謝能力および耐性に関与する遺伝子(ALDH2、ADH2、及
びCYP2E1遺伝子)変異をハイブリダイゼーション法で検出するためのプライマーセットおよびプローブセットが記載されている。しかしながら、(1)アルコール代謝などに関連する変異1変異につき1反応系(1チューブ)で検出する必要があり、手間とコスト、時間を
要する、(2)唾液・全血から精製したDNAを用いる必要があり、手間とコスト、時間を
要し、簡易に測定することができない、(3)マイクロアレイを行う際増幅産物を取り扱うために、増幅産物が他のサンプルにコンタミする危険がある、などの問題点があった。
【0004】
一方、変異を含む領域をPCRで増幅した後、蛍光色素で標識された核酸プローブを用い
て融解曲線分析を行い、融解曲線分析の結果に基づいて変異を解析する方法が知られている(特許文献2,3)。しかしながら、これらの文献においては、プローブの設計に関し、末端部が蛍光色素により標識された消光プローブが標的核酸にハイブリダイゼーションしたとき、末端部分においてプローブ−核酸ハイブリッドの複数塩基対が少なくとも一つのGとCのペアを形成するように設計するという教示があるのみである。また、これらの方法は、実施する上で全ての任意配列で実施可能ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−79604号公報
【特許文献2】特開2001−286300号公報
【特許文献3】特開2002−119291号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hepatrogy Volume 23, Issue 2, pages 234−239, February 1996, F Tanaka et al.
【非特許文献2】第15回 血圧管理研究会 演題3 エタノール代謝酵素は飲酒と血圧との関連を修飾するか? 齋藤京子ら (http://www.healthcare.omron.co.jp/medical/study/pdf/past15_03.pdf)
【非特許文献3】上原記念生命科学財団研究報告書,23(2009) 膵臓がん罹患リスクに関する遺伝的背景と飲酒習慣の影響を評価する分子疫学研究 松尾恵太郎ら(http://ueharazaidan.yoshida-p.net/houkokushu/Vol.23/pdf/046_report.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の遺伝子多型のrs671及びアルコール脱水素酵素2(ADH2)の遺伝子多型のrs1229984を検出するのに有効なプローブを特定し、
これらの遺伝子多型を同時に検出する方法、およびそのためのキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の遺伝子多型のrs671及びアルコール脱水素酵素2(ADH2)の遺伝子多型のrs1229984を含む特定の領域に基づいてプローブを
設計し、該プローブを用いる融解曲線分析を行うことにより当該変異を検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択され
る少なくとも1種の遺伝子多型を検出するためのプローブであって、下記(P1)〜(P3)から選択される少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。
(P1)配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号241〜251を含む11〜50塩基長の塩基配列に相補的な配列またはそれに相同な配列を有し、241番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P1')配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号241〜251を含む1
1〜50塩基長の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、241番目に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P2)配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号251〜261を含む11〜50塩基長の塩基配列またはそれに相同な配列を有し、261番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P2')配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号251〜261を含む1
1〜50塩基長の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、261番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P3)配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号201〜212を含む12〜50塩基長の塩基配列またはそれに相同な配列を有し、212番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P3')配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号201〜212を含む12〜5
0塩基長の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、212番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(2)(P1) および(P1')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号241に対応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
(P2) および(P2')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号261に対応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
(P3) および(P3')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号212に対
応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有する、
(1)に記載のプローブ。
(3)(P1) および(P1')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号241に対応する塩基を3’末端に有し、
(P2) および(P2')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号261に対応する塩基を3’末端に有し、
(P3) および(P3')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号212に対応する塩基を3’末端に有する、
(1)に記載のプローブ。
(4)前記オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少するかまたは増加する、(1)〜(3)のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
(5)前記オリゴヌクレオチドが、標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少する、(4)記載の多型検出用プローブ。
(6)前記(P1)〜(P3')のオリゴヌクレオチドの塩基長が12〜30である、(1)
〜(5)のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
(7)前記(P1)〜(P3')のオリゴヌクレオチドの塩基長が15〜30である、(1)
〜(5)のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
(8)前記(P1)〜(P3')のオリゴヌクレオチドの塩基長が18〜30である、(1)
〜(5)のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
(9)前記プローブが、融解曲線分析用のプローブである、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の多型検出用プローブを少なくとも1種用いることを特徴とする、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からな
る群から選択される少なくとも1つの多型を検出するための方法。
(11)(I)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の多型検出用プローブおよび試料中
の一本鎖核酸を接触させて、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドおよび前記一本鎖核酸をハイブリダイズさせてハイブリッド形成体を得ること、
(II)前記ハイブリッド形成体を含む試料の温度を変化させることで、前記ハイブリッド形成体を解離させ、前記ハイブリッド形成体の解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定すること、
(III)前記シグナルの変動に基づいてハイブリッド形成体の解離温度であるTm値を決定すること、並びに
(IV)前記Tm値に基づいて、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群より選択される1つ以上の多型の存在または多型を有する核酸の存在比を決
定すること、
を含む、(10)に記載の多型検出方法。
(12)さらに、前記工程(I)の前または工程(I)と同時に核酸を増幅することを含む、(11)に記載の多型検出方法。
(13)(10)〜(12)のいずれか1項に記載の多型検出方法により、ALDH2遺伝子
多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群より選択される1つ以上の多型を検出する工程、並びに、多型の有無に基づいてアルコールに対する代謝能力の評価および/または耐性を判定する工程を含む、方法。
(14)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の多型検出用プローブを含む、ALDH2遺伝
子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群より選択される1つ以上の多型を検出するためのキット。
(15)配列番号1または2に示す塩基配列において、前記(P1), (P1'), (P2)ま
たは(P2')のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を鋳型として増
幅可能なプライマー、及び配列番号13に示す塩基配列において、前記(P3)または(P3')のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を鋳型として増幅可能なプ
ライマーをさらに含む、(14)に記載の多型検出用キット。
(16)ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択さ
れる1つ以上の多型を検出するためのプライマーであって、
下記(P4)および(P5)並びに/または(P6)および(P7)のオリゴヌクレオチドを含むこ
とを特徴とする多型検出用プライマーおよび(1)〜(9)のいずれか一項に記載のプローブを用いることを特徴とする方法。
(P4) 配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号89〜109を含む塩基長21〜60塩基長の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P5) 配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号388〜407を含む塩基長20〜60塩基長の塩基配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P6) 配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号93〜138を含む塩基長46〜60塩基長の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P7) 配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号214〜238を含む塩基長25〜60塩基
長の塩基配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド。
(17)アルコールに対する代謝能力の評価および/または耐性を判定する方法であって
、(16)に記載の方法により、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択される1つ以上の多型を検出する工程、および、多型の有無に基づ
いてアルコールに対する代謝能力の評価および/または耐性を判定する工程を含む、方法

(18)ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択さ
れる1つ以上の多型を検出するための試薬キットであって、(1)〜(9)のいずれか一項に記載のプローブおよび(16)に記載の(P4)および(P5)並びに/または(P6)およ
び(P7)のオリゴヌクレオチドを含むプライマーを含むことを特徴とするキット。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプローブにより、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の遺伝子多型のrs671及びアルコール脱水素酵素2(ADH2)の遺伝子多型のrs1229984を同時にかつ明確に検出す
ることができる。臨床的にもALDH2とADH2の遺伝子変異を確認する必要があるので、2変異を同時に検出できる意義は大きい。
本発明のプローブを添加して、融解曲線分析(Tm解析)を行うだけで、ALDH2及びADH2の遺伝子多型の同時検出が可能となる。
本発明の方法を用いることにより、PCRを行う場合であっても、増幅産物を取り出す必
要がないため、コンタミネーションの危険性がほぼ無い。また、本発明の方法は、操作が簡単なので自動化が容易である。
本発明の検出方法において、未精製の唾液・全血に元来含まれている核酸を鋳型として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の、プローブに3T−ALDH2*2−wt−R1−21を用い、鋳型にALDH2*1 F50(野生型)およびALDH2*2 F50(変異型)を用い、蛍光色素はTAMRAを用いた場合の、Tm解析における単位時間当たりのTAMRAの蛍光強度の変化量(d蛍光強度増加量/t)と温度との関係を示す。縦軸は、単位時間当たりの蛍光強度の変化量(d蛍光強度増加量/t)、横軸は、温度(℃)である。以下の図においては、異なる鋳型と蛍光色素の組み合わせにて同様の実験がなされた結果を示している。
【図2】実施例1の、プローブに3T−ALDH2*2−mt−F1−21を用い、鋳型にALDH2*1 R50(野生型)およびALDH2*2 R50(変異型)を用い、蛍光色素はTAMRAを用いている。
【図3】実施例1の、プローブに3T−ALDH2*2−wt−R3−20を用い、鋳型にALDH2*1 F50(野生型)およびALDH2*2 F50(変異型)を用い、蛍光色素はTAMRAを用いている。
【図4】比較例1の、プローブに5T−ALDH2*2−wt−R2−19を用い、鋳型にALDH2*1 F50(野生型)およびALDH2*2 F50(変異型)を用い、蛍光色素はTAMRAを用いている。
【図5A】実施例2の、プローブに3FL−ADH2−WT−F3を用い、鋳型にADH2*1−R50(野生型)およびADH2*2−R50(変異型)を用い、蛍光色素はBODIPY FLを用いている。
【図5B】図5Aの蛍光強度の変化量の縮尺を拡大した図である。
【図6A】比較例2の、プローブに3FL−ADH2−mt−F1を用い、鋳型にADH2*1−R50(野生型)およびADH2*2−R50(変異型)を用い、蛍光色素はBODIPY FLを用いている。
【図6B】図6Aの蛍光強度の変化量の縮尺を拡大した図である。
【図7A】比較例2の、プローブに3FL−ADH2−mt−F2を用い、鋳型にADH2*1−R51(野生型)およびADH2*2−R51(変異型)を用い、蛍光色素はBODIPY FLを用いている。
【図7B】図7Aの蛍光強度の変化量の縮尺を拡大した図である。
【図8A】実施例3の、プローブに3T−ALDH2*2−mt−F1−21を用い、鋳型に口腔スワブを用い、蛍光色素はTAMRAを用いている。
【図8B】実施例3の、プローブに3FL−ADH2−WT−F3を用い、試料に口腔スワブを用い、蛍光色素はBODIPY FLを用いている。
【図9A】実施例3の、プローブに3T−ALDH2*2−mt−F1−21を用い、試料に全血を用い、蛍光色素はTAMRAを用いている。
【図9B】実施例3の、プローブに3FL−ADH2−WT−F3を用い、試料に全血を用い、蛍光色素はBODIPY FLを用いている。
【図10A】実施例3の、プローブに3T−ALDH2*2−mt−F1−21を用い、試料に精製DNAを用い、蛍光色素はTAMRAを用いている。
【図10B】実施例3の、プローブに3FL−ADH2−WT−F3を用い、試料に精製DNAを用い、蛍光色素はBODIPY FLを用いている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1>本発明プローブおよび本発明検出方法
本発明プローブは、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる
群から選択される少なくとも1種の遺伝子多型を検出するためのプローブであって、下記(P1)〜(P3')から選択される少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなること
を特徴とする多型検出用プローブである。
(P1)配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号241〜251を含む11〜50塩基長の塩基配列に相補的な配列またはそれに相同な配列を有し、241番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P1')配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号241〜251を含む1
1〜50塩基長の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、241番目に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P2)配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号251〜261を含む11〜50塩基長の塩基配列またはそれに相同な配列を有し、261番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P2')配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号251〜261を含む1
1〜50塩基長の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、261番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P3)配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号201〜212を含む12〜50
塩基長の塩基配列またはそれに相同な配列を有し、212番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P3')配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号201〜212を含む12〜5
0塩基長の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、212番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
ここで、ALDH2遺伝子多型のrs671は、配列番号1,2の251番目の塩基である。また、ADH2遺伝子多型のrs1229984は、配列番号13,14の201番目の塩基である。これ
らのrs番号は、National Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)の登録番号を示す。
【0013】
本発明プローブは、配列番号1に示す塩基配列(ALDH2遺伝子の野生型の塩基を有する
配列)または配列番号2に示す塩基配列(ALDH2遺伝子の変異型(多型)の塩基を有する
配列)において上記特定された配列を有し、配列番号13に示す塩基配列(ADH2遺伝子の野生型の塩基を有する配列)において上記特定された配列を有する他は、特許文献2,3に記載されたプローブと同様にして作製できる。
本願における「相同な配列」とは、特定の塩基配列において、塩基配列の相補鎖に例えば、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性を有する配列を有している塩基配列をさす。本願においては、100%の同一性を有していてもよい。
本願におけるハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)
に記載の方法等に従って行うことができる。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。典型的なストリンジェントな条件とは、例えば、カリウム濃度は約25mM〜約50mM、及びマグネシウム濃度は約1.0mM〜約5.0mM
中において、ハイブリダイゼーションを行う条件があげられる。本発明の条件の1例としてTris−HCl(pH8.6)、25mMのKCl、及び1.5mMのMgCl2
においてハイブリダイゼーションを行う条件が、挙げられるが、これに限定されるものではない。その他、ストリンジェントな条件としては、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Ha
rbor Lab. Press, 2001)に記載されている。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。当業者は、ハイブリダイゼーション反応や、ハイブリダイゼーション反応液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドにおける、オリゴヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオチドの他、修飾されたオリゴヌクレオチドも含まれる。
前記オリゴヌクレオチドの構成単位としては、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、人工核酸等が挙げられる。前記人工核酸としては、DNA、RNA、RNAアナログであるLNA(Locked Nucleic Acid);ペプチド核酸であるPNA(Peptide Nucleic Acid);架橋化核酸であるBNA(Bridged Nucleic Acid)等が挙げられる。
前記オリゴヌクレオチドは、前記構成単位のうち、一種類から構成されてもよいし、複数種類から構成されてもよい。
【0014】
本発明の(P1)および(P1’)のプローブは、塩基番号241〜251を含む11〜50塩基長の塩基配列に相補的な配列であり、配列番号1または2に相補的な配列に対して相同性を有する配列を示している。すなわち、本発明の(P1)および(P1’)のプローブ
は、塩基番号241〜251を含む11〜50塩基長の塩基配列に相補的であるが、完全に相補的でなくてもよい。また、241番目に対応する塩基は、シトシンであり、蛍光標識されている。
本発明の(P2)および(P2’)のプローブは、塩基番号251〜261を含む11〜50塩基長の塩基配列であり、配列番号1または2に対して相同性を有する配列を示している。すなわち、本発明の(P2)および(P2’)のプローブは、塩基番号251〜261を含む11〜50塩基長の塩基配列に相同的であるが、完全に同一でなくてもよい。また、261番目に対応する塩基は、シトシンであり、蛍光標識されている。
本発明の(P3)および(P3’)のプローブは、塩基番号201〜212を含む12〜50塩基長の塩基配列であり、配列番号13に対して相同性を有する配列を示している。すなわち、本発明の(P3)および(P3’)のプローブは、塩基番号201〜212を含む12〜50塩基長の塩基配列に相同的であるが、完全に同一でなくてもよい。また、212番目に対応する塩基は、シトシンであり、蛍光標識されている。
【0015】
本発明のプローブの長さとしては、(P1)〜(P3’)共に、例えば、11〜50塩基長、12〜30塩基長、15〜30、18〜30である。
本発明において使用されるALDH2遺伝子多型のrs671を検出するためのプローブの塩基配列の例としては、5'-gttttcacttCagtgtatgcc-3'(配列番号3)、5'-ggcatacactAaagtgaaaac-3'(配列番号4)、5'-ttttcacttTagtgtatgcc-3'(配列番号5)が挙げられる。なお、大文字の塩基は、変異箇所を示す。
本発明において使用されるADH2遺伝子多型のrs1229984を検出するためのプローブの塩
基配列の例としては、5'- TCTGTCNCACGGATGACC-3'(配列番号15)が挙げられる。配列
中、“N”はa、t、g、またはcを表す。より好ましくは、5'-TCTGTCGCACGGATGACC-3'(配
列番号16)である。
蛍光色素としては、特許文献2,3に記載されたものが使用できるが、具体例としては、Pacific Blue(商標)、FAM(商標)、TAMRA(商標)、BODIPY FL(商標)等が挙げられる。蛍
光色素のオリゴヌクレオチドへの結合方法は、通常の方法、例えば特許文献2,3に記載の方法に従って行うことができる。
【0016】
本発明プローブは、例えば、標的配列にハイブリダイゼーションしないときに蛍光色素の蛍光が発光し、標的配列にハイブリダイゼーションしたときに蛍光色素の蛍光が減少または増加するプローブである。例えば、ハイブリダイゼーションしないときに蛍光色素の蛍光が発光し、ハイブリダイゼーションしたときに蛍光色素の蛍光が消光する、消光プローブである。
また、本発明プローブは、例えば、3’末端から数えて1〜3番目の塩基が蛍光色素により標識化されているいるか、または、3’末端が蛍光色素により標識されている。
なお、本発明プローブにおいて蛍光色素により標識されている塩基は、配列番号1または2における241番目または261番目の塩基である。また、配列番号13または14においては、212番目の塩基である。
【0017】
本発明の検出方法は、本発明のプローブを使用し、以下の工程を含むことを特徴とする。(I)本発明の多型検出用プローブおよび試料中の一本鎖核酸を接触させて、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドおよび前記一本鎖核酸をハイブリダイズさせてハイブリッド形成体を得ること、
(II)前記ハイブリッド形成体を含む試料の温度を変化させることで、前記ハイブリッド形成体を解離させ、前記ハイブリッド形成体の解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定すること、
(III)前記シグナルの変動に基づいてハイブリッド形成体の解離温度であるTm値を決定すること、並びに
(IV)前記Tm値に基づいて、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs122998
4からなる群から選択される1つ以上の多型の存在または多型を有する核酸の存在比を決
定すること。
【0018】
本発明検出方法は、本発明プローブを用いることの他は、通常の核酸増幅および融解曲線分析(Tm解析)の方法に従って行うことができる。また、本発明の検出方法は、前記工程(I)の前または工程(I)と同時に核酸を増幅することを含んでいてもよい。
【0019】
核酸増幅の方法としては、ポリメラーゼを用いる方法が好ましく、その例としては、PCR、ICAN、LAMP等が挙げられる。ポリメラーゼを用いる方法により増幅する場合は、本発
明プローブの存在下で増幅を行うことが好ましい。用いるプローブに応じて、増幅の反応条件等を調整することは当業者であれば容易である。これにより、核酸の増幅後にプローブのTm値を解析するだけなので、反応終了後増幅産物を精製などする必要がない。よって、増幅産物による汚染の心配がない。また、増幅に必要な機器と同じ機器で検出することが可能なので、容器を移動する必要すらない。よって、自動化も容易である。
【0020】
本発明において、試料中のDNAは、一本鎖DNAでもよいし二本鎖DNAであってもよい。前記DNAが二本鎖DNAの場合は、例えば、前記ハイブリダイズ工程に先立って、加熱により前記試料中の二本鎖DNAを解離させる工程を含むことが好ましい。二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離することによって、次のハイブリダイズ工程において、検出用プローブとのハイブリダイズが可能となる。
【0021】
本発明において、前記試料中のDNAに対する、本発明のプローブの添加割合(モル比)は、制限されないが、検出シグナルを十分に確保できることから、例えば、試料中のDNAに対して1倍以下または0.1倍以下である。この際、試料中のDNAとは、例えば、検出目的の多型が発生している検出対象DNAと前記多型が発生していない非検出対象DNAとの合計でもよいし、検出目的の多型が発生している検出対象配列を含む増幅産物と前記多型が発生していない非検出対象配列を含む増幅産物との合計でもよい。なお、試料中のDNAにおける前記検出対象DNAの割合は、通常、不明であるが、結果的に、前記プローブの添加割合(モル比)は、例えば、検出対象DNA(検出対象配列を含む増幅産物)に対して10倍以下、5倍以下、または、3倍以下である。また、その下限は特に制限されないが、例えば、0.001倍以上、0.01倍以上、または0.1倍以上である。前記DNAに対する本発明のプローブの添加割合は、例えば、二本鎖DNAに対するモル比でもよいし、一本鎖DNAに対するモル比でもよい。
【0022】
Tm値について説明する。二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。この現象に基づき、融解温度Tmとは、一般に、吸光度が、吸光度全上昇分の50%に達した時の温度と定義される。
【0023】
本発明において、Tm値を決定するための温度変化に伴うシグナル変動の測定は、前述のような原理から260nmの吸光度測定により行うこともできるが、本発明のプローブに付加した標識のシグナルに基づくシグナルであってDNAとプローブとのハイブリッド形成の状態に応じて変動するシグナルを測定することが好ましい。このため、本発明のプローブとして、前述の標識化プローブを使用することが好ましい。前記標識化プローブとしては、例えば、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少(消光)する蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブ、または標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリ
ダイズしたときに蛍光強度が増加する蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブが挙げられる。前者のようなプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成している際にはシグナルを示さないか、シグナルが弱いが、加熱によりプローブが遊離するとシグナルを示すようになるか、シグナルが増加する。また、後者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成することによってシグナルを示し、加熱によりプローブが遊離するとシグナルが減少(消失)する。したがって、この標識に基づくシグナルの変化をシグナル特有の条件(吸光度等)で検出することによって、前記260nmの吸光度測定と同様に、融解の進行ならびにTm値の決定を行うことができる。標識化プローブにおける標識化物質は、例えば、前述のとおりであるが蛍光色素標識化プローブが好ましい。
【0024】
核酸増幅を行う際の鋳型となる核酸としては、核酸を含んでいればよく、特に制限されないが、例えば、血液、口腔粘膜懸濁液、爪や毛髪等の体細胞、生殖細胞、乳、腹水液、パラフィン包埋組織、胃液、胃洗浄液、腹膜液、羊水、細胞培養などの任意の生物学的起源に由来する又は由来しうるものである。鋳型となる核酸は、該起源から得られたままで直接的に、または該サンプルの特性を改変するために前処理した後で使用することができる。
【0025】
以下、PCRを用いる場合を例として、さらに説明する。PCRに用いるプライマー対は、本発明プローブがハイブリダイゼーションできる領域が増幅されるようにする他は、通常のPCRにおけるプライマー対の設定方法と同様にして設定することができる。プライマーの
長さおよびTm値は、通常には、12〜40merで40〜70℃、または16〜30merで55〜65℃である。プライマー対の各プライマーの長さは同一でなくてもよいが、両プライマーのTmはほぼ同一(通常には、相違が2℃以内)であることが好ましい。なお、Tm値は最近接塩基対(Nearest Neighbor)法により算出した値である。プライマー対の例としては、配列番号7,8,19,20に示す塩基配列を有するプライマーからなるものが挙げられる。
【0026】
PCRは、本発明で使用される本発明プローブの存在下で行うことが好ましい。これによ
り、増幅反応終了後に増幅産物を精製などすることなくTm解析を行うことができる。用いるプローブに応じて、プライマーのTm値やPCRの反応条件(試薬組成やサイクル数)
を調整することは当業者であれば容易である。
【0027】
Tm解析は、本発明プローブの蛍光色素の蛍光を測定する他は通常の方法に従って行うことができる。蛍光の測定は、蛍光色素に応じた波長の励起光を用い発光波長の光を測定することに行うことができる。Tm解析における昇温速度は、通常には、0.1〜1℃/秒である。Tm解析を行うときの反応液の組成は、プローブとその塩基配列に相補的な配列を有する核酸とのハイブリダイゼーションが可能であれば特に制限されないが、通常には、一価の陽イオン濃度が1.5〜5 mM、pHが7〜9である。PCR等のDNAポリメラーゼを用いる
増幅方法の反応液は、通常、この条件を満たすので、増幅後の反応液をそのままTm解析に用いることができる。
【0028】
Tm解析の結果に基づくALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984の検
出は通常の方法に従って行うことができる。本発明における検出とは、変異の有無の検出および多型を有する核酸の存在比の決定を包含する。
【0029】
なお、本発明のプローブおよび多型検出方法により、ALDH2遺伝子及びADH2遺伝子にお
ける多型を検出することができ、検出された多型の有無に基づいて、アセトアルデヒド及びアルコールに対する分解能を予測することができる。具体的には、ALDH2遺伝子多型のrs671の塩基がG/Gとなっていれば野生型であり、アセトアルデヒドに対する分解能が高い
と判定されるが、ヘテロ型のG/A、変異型の塩基のホモ型のA/Aとなっていれば、アセトア
ルデヒドに対する分解能が低く、また、ADH2遺伝子多型のrs1229984の塩基がG/Gとなっていれば野生型であり、アルコールに対する分解能が低いと判定されるが、ヘテロ型のG/A
、ホモ型のA/Aとなっていれば、アルコールに対する分解能が高いことが示唆される。
アセトアルデヒド及びアルコールに対する分解能の予測結果から、アルコールの耐性や、アルコール依存症、肝臓病及び膵臓癌などのアルコール代謝に関する疾患を予測できる。
また、本発明の方法においては、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984を同時に検出することが可能であり、例えばALDH2遺伝子及びADH2遺伝子が共に変異が存在すると、よりアルコールに対する耐性が低いことが示唆される。
【0030】
<2>本発明プライマー
本発明のプライマーは、本発明の検出方法において、本発明のプローブと共に用いるためのプライマーである。
具体的には、本発明のプライマーは、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択される1つ以上の多型を検出するためのプライマーであって
、下記(P4)および(P5)並びに/または(P6)および(P7)のオリゴヌクレオチドを含む
ことを特徴とする多型検出用プライマーである。
(P4) 配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号89〜109を含む塩基長21〜60塩基長の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P5) 配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号388〜407を含む塩基長20〜60塩基長の塩基配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P6) 配列番号13または14に示す塩基配列において、塩基番号93〜138を含む塩基長46〜60塩基長の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P7) 配列番号13または14に示す塩基配列において、塩基番号214〜238を含む塩基長25〜60塩基長の塩基配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド。
【0031】
本発明の(P4)〜(P7)のプライマーは、上記配列と完全に同一でなくてもよく、5塩基、4塩基、3塩基、2塩基、または1塩基のみ異なっていてもよい。本発明において使用されるプライマーは、例えば、配列番号7,8,19,20で示されるプライマーである。
【0032】
<3>本発明キット
本発明キットは、本発明の検出方法に用いるためのキットである。このキットは、本発明の多型検出用プローブを含むことを特徴とする。なお、本発明のキットは、アルコールに対する代謝能力および耐性を判断するのにも使用できる。
【0033】
本発明検出キットは、プローブの他に、本発明の検出方法における核酸増幅を行うのに必要とされる試薬類、特にDNAポリメラーゼを用いる増幅のための、上記プライマーをさ
らに含んでいてもよい。
本発明検出キットにおいてプローブ、プライマーおよびその他の試薬類は、別個に収容されていてもよいし、それらの一部が混合物とされていてもよい。以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、これらの実施例は例示であり、これらに限定されない。
本発明において、検出対象となる試料中の試料核酸、多型検出用プローブ又はプライマーの個々の配列に関して、これら互いの相補的な関係に基づいて記述された事項は、特に断らない限り、それぞれの配列と、各配列に対して相補的な配列とについても適用される。各配列に対して相補的な当該配列について本発明の事項を適用する際には、当該相補的な配列が認識する配列は、当業者にとっての技術常識の範囲内で、対応する本明細書に記載された配列に相補的な配列に、明細書全体を読み替えるものとする。
【実施例】
【0034】
実施例1(ALDH2の鋳型オリゴヌクレオチドを検出対象とし、単一プローブを用いる場合

ALDH2遺伝子多型のrs671の部位を含む塩基配列(配列番号1(野生型))に基づき、表1に示す、3’末端部にCを有するプローブ(野生型(配列番号3,5)および変異型(
配列番号4)に対応)並びに5’ 末端部にCを有するプローブ(野生型(配列番号6)に対応)を設計した。表1中、プローブの位置は、野生型については配列番号1、変異型については配列番号2に示す塩基配列における塩基番号を示す。3’末端のPは、リン酸化
されていることを示す。TAMRAによる標識は、常法に従って行った。
また、検出対象として使用した鋳型オリゴヌクレオチド(野生型センス(配列番号9)、野生型アンチセンス(配列番号11)、変異型センス(配列番号10)、変異型アンチセンス(配列番号12))の配列を表1に示す。表1中、オリゴの位置は、配列番号2に示す塩基配列における塩基番号を示す。
【0035】
【表1】

【0036】
Smart Cycler(Cephied社製)を用いてTm解析を行った。プローブ溶液の組成は下記の
通りである。サンプルは、以下の組み合わせの鋳型オリゴヌクレオチドを用いた。Tm解析の条件は、95℃、1秒→47℃、60秒→(47℃→94℃、1℃/1秒)とした。
Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ520〜555 nmおよび585〜700 nm(TAMRA)であった。
【0037】
【表2】

【0038】
表1のプローブを用いてTm解析を行った結果、3T-ALDH2*2-wt-R1-21(配列番号3)
、3T-ALDH2*2-mt-F1-21(配列番号4)、および3T-ALDH2*2-mt-R3-20(配列番号5)については、TAMRAの野生型のピーク及び変異型のピークの2つの明瞭なピークが見られたが(図1〜3)、5T-ALDH2*2-wt-R2-19(配列番号6)については、TAMRAの変異
型のピークは見られなかった(図4)。
従って、プローブの5’または3’末端のCが蛍光標識されていればどんなプローブ配列でもよいというわけではなく、配列番号3〜5のプローブのように、241番目または261番目のCが蛍光標識されていることが重要であることが理解される。
【0039】
実施例2(ADH2の鋳型オリゴヌクレオチドを検出対象とし、単一プローブを用いる場合)
ADH2遺伝子多型のrs1229984の部位を含む塩基配列(配列番号13(野生型))に基づ
き、表3に示す、末端部にCを有するプローブ(野生型(配列番号16)および変異型(
配列番号17,18)に対応)を設計した。表3中、プローブの位置は、野生型については配列番号13、変異型については配列番号14に示す塩基配列における塩基番号を示す。BODIPY FLによる標識は、常法に従って行った。
また、検出対象として使用した鋳型オリゴヌクレオチド(野生型(配列番号21,23)および変異型(配列番号22,24)に対応)の配列を表3に示す。表3中、オリゴの位置は、配列番号13または14に示す塩基配列における塩基番号を示す。
なお、配列番号13,14において、wはaまたはt、kはgまたはtを示す。
【0040】
【表3】

【0041】
全自動SNPs検査装置(商品名i-densy IS-5310、アークレイ社製)を用いてTm解析を
行った。PCR反応液の組成は下記の通りである。試料は、以下の組み合わせの鋳型オリゴヌクレオチドを用いた。Tm解析の条件は、95℃、1秒→40℃、60秒→(40℃→66℃、3℃/1秒)であった。
Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ420〜485 nmおよび520〜555 nm(BODIPY FL)であった。
【0042】
【表4】

【0043】
表3のプローブを用いてTm解析を行った結果、3FL-ADH2-WT-F3(配列番号16)については、BODIPY FLの野生型のピーク及び変異型のピークの2つの明瞭なピークが見られ
たが(図5)、3FL-ADH2-mt-F1(配列番号17)及び3FL-ADH2-mt-F2(配列番号18)については、BODIPY FLの変異型のピークは見られなかった(図6A,7A)。
なお、図6Bを参照すると、mtグラフには50℃にノイズがあり、59℃にピークが
あり、ヘテロ型と誤判定する可能性がある。また、図7Bを参照すると、mtグラフには51℃にノイズがあり、61℃にピークがあり、ヘテロ型と誤判定する可能性がある。
従って、プローブの3’末端のCが蛍光標識されていればどんなプローブ配列でもよいというわけではなく、配列番号16のプローブのように、212番目のCが蛍光標識され、野生型の配列を有していることが重要であることが理解される。
【0044】
実施例3(口腔スワブ、全血、又は精製DNAを検出対象とし、複数プローブを用いる場合)
以下の通り、下記のプライマーを用いてPCRにより口腔スワブ、全血、又は精製DNA
の多型領域を増幅し、配列番号4,16に示すプローブを用いてTm解析を行った。
まず、ALDH2遺伝子多型のrs671の部位を含む塩基配列(配列番号1(野生型))に基づき、多型の部位を増幅できるように表5に示すプライマーを設計した。表5中、プライマーの位置は、配列番号1に示す塩基配列における塩基番号を示す。
また、ADH2遺伝子多型のrs1229984の部位を含む塩基配列(配列番号13(野生型))
に基づき、多型の部位を増幅できるように表5に示すプライマーを設計した。表5中、プライマーの位置は、配列番号13に示す塩基配列における塩基番号を示す。
次いで、全自動SNPs検査装置(商品名i-densy IS-5310、アークレイ社製)を用いてPCRおよびTm解析を行った。PCR反応液の組成は下記の通りである。試料は、以下の口腔スワブ、全血、又は精製DNAを用いた。PCR およびTm解析の条件は、95℃、60秒→(95℃、1秒→60℃、30秒)×50サイクル→95℃、1秒→40℃、60秒→(40℃→75℃、1℃/3秒)であった。
Tm解析における励起波長および検出波長は、それぞれ420〜485 nmおよび520〜555 nm(BODIPY FL)、または、それぞれ520〜555 nmおよび585〜700 nm(TAMRA)であった。
【0045】
【表5】

【0046】
<口腔スワブの調製>
口腔スワブ懸濁液(1) 500μlに、合計20回両頬にこすりつけたものを懸濁した。希釈液(2) 90μlに対して懸濁液を30μl加えてよく混合した。この混合液10μlを95℃、5分で
加熱して4μlの前処理済口腔スワブ液を得た。これをPCR反応液に加え、前記前処理済口腔スワブ液からもたらされるDNAを鋳型として使用した。
【0047】
【表6】

【0048】
<全血の調製>
全血10μlを希釈液(1) 90μlに加え、よく混合した後、この混合液10μlを希釈液(2)
90μlに加えた。この混合液17μlを95℃10分で加熱して4μlの前処理済全血が得た。こ
れをPCR反応液に加え、前記前処理済全血からもたらされるDNAを鋳型として使用した。
【0049】
【表7】

【0050】
<精製DNA>
精製DNAについては、25コピー/μlを1 testあたり4μl使用した。これをPCR反応液に加え、鋳型として使用した。
【0051】
TAMRAの蛍光によりALDH2遺伝子の評価を行った結果、ヘテロ型の口腔スワブについては、TAMRAの野生型のピークおよび変異型のピークが見られ(図8A)、ホモ型の全血及び
DNAについては、TAMRAの変異型のピークのみが見られた(図9A、10A)。
また、BODIPY FLの蛍光によりADH2遺伝子の評価を行った結果、野生型の口腔スワブ及びDNAについては、BODIPY FLの野生型のピークのみが見られ(図8B、10B)、ヘテロ型の全血については、BODIPY FLの野生型のピークおよび変異型のピークが見られた(図9B)。
【0052】
図8〜10の結果より、表1における配列番号4で示すプローブ及び表3における配列
番号16で示すプローブを用いたとき、ALDH2遺伝子多型及びADH2遺伝子多型について、
Tm解析で解析の可能な蛍光強度の変化が認められた。
すなわち、ALDH2遺伝子多型については、ヘテロ型のG/Aである口腔スワブは2つのピーク(48℃及び56℃)を有し、ホモ型のA/Aである全血及びDNAは1つのみピーク(
48℃)を有するものであり、固有の蛍光強度の変化量のパターンの変化が存在する。
また、ADH2遺伝子多型についても、Tm解析で解析の可能な蛍光強度の変化が認められた。すなわち、ヘテロ型のG/Aである全血は2つのピーク(50℃及び56℃)を有し、
野生型のG/Gである口腔スワブ及びDNAは1つのピーク(50℃)を有するものであり
、固有の蛍光強度の変化量のパターンの変化が存在する。
従って、配列番号4及び16のプローブを同時に用いることにより、ALDH2遺伝子多型
と、ADH2遺伝子多型とを同時に検出することができる。
また、配列番号3または5のプローブは、配列番号4のプローブと同様に、3’末端のCが蛍光標識されており、実施例1でその効果が示されているので、配列番号3または5のプローブと配列番号16のプローブを同時に用いることによっても、ALDH2遺伝子多型
と、ADH2遺伝子多型とを同時に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のプローブを用いることより、被験者の生物学的にアルコールに対する分解能及び耐性を予測することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択される少な
くとも1種の遺伝子多型を検出するためのプローブであって、下記(P1)〜(P3')から選択
される少なくとも1種の蛍光標識オリゴヌクレオチドからなることを特徴とする多型検出用プローブ。
(P1)配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号241〜251を含む11〜50塩基長の塩基配列に相補的な配列またはそれに相同な配列を有し、241番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P1')配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号241〜251を含む1
1〜50塩基長の塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、241番目に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P2)配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号251〜261を含む11〜50塩基長の塩基配列またはそれに相同な配列を有し、261番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P2')配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号251〜261を含む1
1〜50塩基長の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、261番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P3)配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号201〜212を含む12〜50塩基長の塩基配列またはそれに相同な配列を有し、212番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
(P3')配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号201〜212を含む12〜5
0塩基長の塩基配列の相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有し、212番目の塩基に対応する塩基がシトシンであり蛍光色素で標識されているオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
(P1)および(P1')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号241に対
応する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
(P2)および(P2')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号261に対応
する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有し、
(P3)および(P3')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号212に対応
する塩基を3’末端から数えて1〜3番目の位置に有する、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
(P1) および(P1')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号241に対応する塩基を3’末端に有し、
(P2) および(P2')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号261に対応する塩基を3’末端に有し、
(P3) および(P3')のオリゴヌクレオチドは、蛍光色素で標識された塩基番号212に対応する塩基を3’末端に有する、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしないときに蛍光を発し、且つ標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少するかまたは増加する、請求項1〜3のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドが、標的配列にハイブリダイズしたときに蛍光強度が減少する、請求項4記載の多型検出用プローブ。
【請求項6】
前記(P1)〜(P3')のオリゴヌクレオチドの塩基長が12〜30である、請求項1〜5
のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
【請求項7】
前記(P1)〜(P3')のオリゴヌクレオチドの塩基長が15〜30である、請求項1〜5
のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
【請求項8】
前記(P1)〜(P3')のオリゴヌクレオチドの塩基長が18〜30である、請求項1〜5
のいずれか1項記載の多型検出用プローブ。
【請求項9】
前記プローブが、融解曲線分析用のプローブである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多型検出用プローブ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の多型検出用プローブを少なくとも1種用いることを特徴とする、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選
択される少なくとも1つの多型を検出するための方法。
【請求項11】
(I)請求項1〜9のいずれか1項に記載の多型検出用プローブおよび試料中の一本鎖核
酸を接触させて、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドおよび前記一本鎖核酸をハイブリダイズさせてハイブリッド形成体を得ること、
(II)前記ハイブリッド形成体を含む試料の温度を変化させることで、前記ハイブリッド形成体を解離させ、前記ハイブリッド形成体の解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定すること、
(III)前記シグナルの変動に基づいてハイブリッド形成体の解離温度であるTm値を決定すること、並びに
(IV)前記Tm値に基づいて、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群より選択される1つ以上の多型の存在または多型を有する核酸の存在比を決
定すること、
を含む、請求項10に記載の多型検出方法。
【請求項12】
さらに、前記工程(I)の前または工程(I)と同時に核酸を増幅することを含む、請求項11に記載の多型検出方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の多型検出方法により、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群より選択される1つ以上の多型を検出する工
程、並びに、多型の有無に基づいてアルコールに対する代謝能力の評価および/または耐
性を判定する工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の多型検出用プローブを含む、ALDH2遺伝子多型及びADH2遺伝子多型からなる群より選択される1つ以上の多型を検出するためのキット。
【請求項15】
配列番号1または2に示す塩基配列において、前記(P1), (P1'), (P2)または(P2')のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を鋳型として増幅可能なプライマー、及び配列番号13に示す塩基配列において、前記(P3)または(P3')のオリゴ
ヌクレオチドがハイブリダイズする配列を含む領域を鋳型として増幅可能なプライマーをさらに含む、請求項14に記載の多型検出用キット。
【請求項16】
ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択される1つ
以上の多型を検出するためのプライマーであって、
下記(P4)および(P5)並びに/または(P6)および(P7)のオリゴヌクレオチドを含むこ
とを特徴とする多型検出用プライマーおよび請求項1〜9のいずれか一項に記載のプローブを用いることを特徴とする方法。
(P4) 配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号89〜109を含む塩基長21〜60塩基長の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P5) 配列番号1または2に示す塩基配列において、塩基番号388〜407を含む塩基長20〜60塩基長の塩基配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P6) 配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号93〜138を含む塩基長46〜60塩基長の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
(P7) 配列番号13に示す塩基配列において、塩基番号214〜238を含む塩基長25〜60塩基
長の塩基配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
多型の有無に基づいてアルコールに対する代謝能力の評価および/または耐性を判定する
工程を含むアルコールに対する代謝能力の評価および/または耐性を判定する方法であっ
て、請求項16に記載の方法により、ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択される1つ以上の多型を検出する工程、および、多型の有無に
基づいてアルコールに対する代謝能力の評価および/または耐性を判定する工程を含む、
方法。
【請求項18】
ALDH2遺伝子多型のrs671及びADH2遺伝子多型のrs1229984からなる群から選択される1つ
以上の多型を検出するための試薬キットであって、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプローブおよび請求項16に記載の(P4)および(P5)並びに/または(P6)および(P7)
のオリゴヌクレオチドを含むプライマーを含むことを特徴とするキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−235778(P2012−235778A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102731(P2012−102731)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】