説明

アダプタレンズ装置およびレンズ鏡筒

【課題】ウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置として、光軸方向の長さおよび外径の増大させることなく、消費電力の低減も実現可能なアダプタレンズ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】フォーカスレンズのために光軸方向に移動するフォーカスレンズを含むマスターレンズを備えたレンズ鏡筒と撮像素子を備えたボディユニットとの間に装着可能なアダプタレンズ装置4は、上記フォーカスレンズを移動させる方向を検知するために光軸方向に往復移動するウォブリング動作を行うウォブリングレンズ53を備え、さらに、マウントリングリング25,24を備えた前、後固定枠41,42と、ウォブリングレンズ53を保持し、上記固定枠に対して光軸方向に進退可能に支持される可動枠43と、上記ウォブリングレンズを微小振動駆動するウォブリング駆動機構50と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置である一眼レフカメラのレンズ鏡筒とカメラ本体の間に装着されるアダプタレンズ装置、および、該アダプタレンズ装置が装着可能な上記レンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラにおいて、コントラスト方式にてフォーカシング動作を行う交換レンズのうち、フォーカシングの速度、精度を高めるため、フォーカシングレンズ群を微小に光軸方向に振動(ウォブリング)させ、コントラストの変化に基づきフォーカシングレンズ群を移動させて高速フォーカシングを行う技術が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたレンズ位置検出装置は、オートフォーカシングのための高速ウォブリングが可能なズームレンズ鏡筒にて、レンズ位置を迅速に検出するための装置である。このズームレンズ鏡筒においては、レンズ駆動アクチュエータとしてVCM(ボイスコイルモータ)が適用され、該VCMによって3枚のフォーカスレンズを保持する鏡枠が光軸方向に進退駆動される。上記鏡枠にはバイアスバネとしてコイルバネが組み込まれており、該コイルバネに位置検出用の歪みゲージが装着されている。
【0004】
特許文献2に開示されたカメラ用アダプタ装置は、カメラ装置と交換レンズ装置の間に装着される装置であって、アダプタ内のフォーカスレンズに合焦用信号を発生させるために微小振幅動作させるウォブリング駆動手段を備えている。上記アダプタ装置にはレンズ側マウントとカメラ側マウントが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−324408号公報
【特許文献2】特開平10−333024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたレンズ位置検出装置が適用されるズームレンズ鏡筒においては、3枚のレンズを光軸方向に駆動するためにVCMには上記3枚のレンズによる摩擦力と押圧力(質量×重力加速度)とを加算した駆動力を備える必要であり、消費電力が増大する。また、特許文献2に開示されたカメラ用アダプタ装置では、外観部材41の像側端面とアクチュエータ54、74を支持するメインシャーシ43との空間部や外観部材41の像側端面と物体側凸レンズ端面との空間部とを設けられている。 一方、カメラ本体側のカメラ側マウント面より本体内にフォーカスレンズが配置されている。 従って、光軸方向レンズの配置が薄型化の妨げとなり、大型化する。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、ウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置において、光軸方向の薄型化が可能で、外径の増大させることなく、消費電力の低減も実現可能であって、さらには対応可能な交換式のレンズ鏡筒の種類も確保できるアダプタレンズ装置、および、該アダプタレンズ装置が装着可能なレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のアダプタレンズ装置は、フォーカシングのために光軸方向に移動するフォーカスレンズを有するマスターレンズを含むレンズ鏡筒と撮像素子を有するカメラ本体との間に装着可能なアダプタレンズ装置であって、負レンズからなる物体側レンズ群と、負レンズからなる像側レンズ群と、上記物体側レンズ群の端面と上記像側レンズ群の端面との間に配され、上記フォーカスレンズを移動させる方向を検知するために光軸方向に往復移動するウォブリング動作を行う正レンズからなるウォブリングレンズとを含み、略等倍の倍率を有するアダプタレンズと、上記物体側レンズ群および像側レンズ群を保持し、物体側に端面と像側端面とにマウントリングを備える固定枠と、上記ウォブリングレンズを保持し、上記固定枠に対して光軸方向に進退可能に支持される可動枠と、上記固定枠および可動枠に組み込まれ、上記ウォブリングレンズを微小振動駆動するウォブリング駆動機構とを具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置において、光軸方向の厚みおよび外径の増大させることなく、消費電力の低減も実現可能である。あるいは対応可能な交換式のレンズ鏡筒の種類も確保できるアダプタレンズ装置やアダプタレンズ装置と一体化し、装置として小型化で装着可能な上記レンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態のアダプタレンズ装置が装着されるカメラシステムの構成図
【図2】図1のカメラシステムのブロック構成図
【図3】図1のカメラシステムに適用されるアダプタレンズ装置の光軸に沿った縦断面図
【図4】図3のA矢視図
【図5】図3のB−B断面図
【図6】図5のC矢視展開図
【図7】図5のD−D断面図
【図8】図5のE−E断面図
【図9】図1のカメラシステムにおける撮影シーケンスのフローチャート
【図10】図1のカメラシステムにおけるAF動作時のフォーカスレンズのレンズ位置に対するAF評価値の変化を示す図
【図11】図9の撮影シーケンスで呼び出されるサブルーチン「イメ−ジャAF」のフローチャート
【図12】図1のカメラシステムにおけるウォブリング動作時のウォブリングレンズ位置に対するAF評価値の変化を示す図
【図13】図1のカメラシステムにおけるウォブリング動作に関わるタイミングチャートである。
【図14】図1のカメラシステムにおけるACPU処理の動作を示すフローチャート
【図15】図1のカメラシステムにおけるイメージャAF動作のピーク判定動作に関するタイミングチャート
【図16】図1のカメラシステムにおけるLCPU処理の動作を示すフローチャート
【図17】本発明の第二実施形態のアダプタレンズ装置の光軸を含む縦断面図
【図18】図17のF−F断面図
【図19】図18のG−G断面図
【図20】本発明の第三実施形態のアダプタレンズ装置の図18に対応する断面図
【図21】図20のS−S′−S断面図
【図22】本発明の第四実施形態のアダプタレンズ装置の光軸を含む縦断面図
【図23】図22のH−H断面図
【図24】図23のK−K′−K″−K断面図
【図25】図23のJ矢視図
【図26】図22のアダプタレンズ装置の可動枠付勢機構に対する第一の変形例を適用するアダプタレンズ装置の図24に対応する断面図
【図27】図26のN部詳細図
【図28】図22のアダプタレンズ装置の可動枠付勢機構に対する第二の変形例を適用するアダプタレンズ装置についての図24の断面図に対応する断面図
【図29】図28のP部拡大図
【図30】図29のQ−Q断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態のアダプタレンズ装置、および、該アダプタレンズ装置を適用する撮像装置であるカメラシステムについて、図を用いて説明する。
【0012】
本発明の第一実施形態としてのアダプタレンズ装置を適用するカメラシステムについて、図1〜16を用いて説明する。
【0013】
上記第一実施形態のアダプタレンズ装置4を適用するカメラシステム1は、図1のシステム構成図および図2のシステムのブロック構成図に示すようにカメラシステム1は、撮像素子18を有するカメラ本体としてのボディユニット2と、ボディユニット2に着脱可能なマスターレンズMLを有する交換式のレンズ鏡筒3と、アダプタレンズALを備え、ボディユニット2とレンズ鏡筒3との間に着脱可能なアダプタレンズ装置4とで構成される。
【0014】
なお、上記マスターレンズALおよび上記アダプタレンズALの光軸は、図中、「O」で示される。また、カメラシステム1の説明において、物体側を前方側とし、像側を後方側とする。
【0015】
図1に示すようにレンズ鏡筒3は、像面側に配されるレンズ側マウントリング26をボディユニット2の前面に設けられたボディ側マウントリング23に結合することによりボディユニット2に着脱自在に装着可能である。
【0016】
このレンズ鏡筒3は、レンズ枠34に保持されるフォーカスレンズ33を備えたマスターレンズMLと、フォーカスレンズ33を進退駆動するためのレンズ駆動機構37と、レンズ駆動回路36と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、LCPUと記載する)35とを備えている。
【0017】
上記マスターレンズMLは、撮像素子18上の撮像面に像を形成する二群構成のズームレンズであって、物体側から像側の順に負屈折力の第一群レンズである前群レンズ31と、フォーカスレンズ33を含む正屈折力の第二群レンズである後群レンズ32とからなる。前群レンズ31と後群レンズ32は、カメラのズーミング操作時に光軸O方向に進退駆動される。具体的には、本出願人による特願2010−233876号に記載された第1レンズ群は、3枚のレンズからなり、負屈折力を有している。第2レンズ群は、9枚構成の正屈折力を有するレンズ群であり、正屈折力の単レンズであって、フォーカシング時に光軸O方向に進退駆動される物体側副レンズと、8枚構成の像側副レンズとで構成される。
【0018】
後群レンズ32に含まれるフォーカスレンズ33は、可動のレンズ枠34によって支持されており、カメラのフォーカシング動作時、レンズ駆動機構37内に配されるステッピングモータによって上記レンズ枠34を光軸方向に沿って進退駆動することにより該フォーカスレンズ33が光軸O方向のフォーカシング位置に向けて進退駆動される。レンズ駆動回路36は、LCPU35からの制御信号によりレンズ駆動機構37を介して前述のようにレンズ枠34を進退駆動する。フォーカスレンズ33のフォーカシング動作については、後で詳細に説明する。
【0019】
LCPU35は、レンズ駆動回路36等、レンズ鏡筒3内の各部の制御を行う。このLCPU35は、通信部としての通信コネクタ23a〜26aを介してボディユニット2側のボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、BCPUと記載する)10と電気的に接続され、当該BCPU10からの指令に従って制御される。
【0020】
アダプタレンズ装置4は、ボディユニット2の前面に着脱自在に装着可能であり、レンズ鏡筒3とボディユニット2との間にアダプタレンズ装置4を介在させて装着する場合は、レンズ側マウントリング26とアダプタレンズ装置4のアダプタ物体側マウントリング25と結合させ、さらに、アダプタ像側マウントリング24をボディ側マウントリング23と結合させる。なお、上記各マウントリングは、例えば、すべてバヨネットタイプとする。
【0021】
このアダプタレンズ装置4は、物体側レンズ群51、ウォブリングレンズ53、像側レンズ群52からなるアダプタレンズALを備え、さらに、ウォブリングレンズ53を保持する可動枠43を進退駆動するウォブリング駆動機構50と、ウォブリング駆動回路39と、アダプタレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、ACPUと記載する)38とを備えている。
【0022】
なお、上述したウォブリングレンズ53およびアダプタレンズ装置4の詳細な構成および作用については、後で説明する。
【0023】
ウォブリング駆動回路39は、レンズ鏡筒3のフォーカシング動作に際してACPU38からの制御信号に従って、ウォブリング駆動機構50を駆動し、可動枠43に保持されるウォブリングレンズ53を光軸方向に沿って小振幅振動、すなわち、ウォブリング動作を行わせる。このウォブリング動作は、静止画撮影、あるいは、動画撮影時、装着されているレンズ鏡筒3のフォーカスレンズ33の「山登り制御」(後述)によるフォーカシング駆動を行う際、ウォブリングレンズ53を小振幅振動移動させ、フォーカスレンズ33の移動するべき方向を検知し、素早いフォーカシング動作を可能にするための動作である。後でその詳細を説明する。
【0024】
ACPU38は、ウォブリング駆動回路39等、アダプタレンズ装置4内の各部を制御する。このACPU38は、通信部としての通信コネクタ23aを介してボディユニット2側のBCPU10と電気的に接続され、当該BCPU10からの指令に従って制御される。
【0025】
アダプタレンズ装置4がボディユニット2とレンズ鏡筒3との間に装着されると、BCPU10とACPU38とLCPU35とは、通信コネクタ23a、24a、25a、26aを介して通信可能に電気的接続される。LCPU35とACPU38とBCPU10の通信は、光接続によって通信してもよく、また、無線等の非接触で通信してもよい。
【0026】
ボディユニット2は、図1,2に示すようにその内部にレンズ鏡筒3におけるフォーカスレンズ33等の撮影レンズを通過した被写体像を光電変換するための撮像素子18が撮影レンズの光軸O上に配置されているが、通常のデジタル一眼レフカメラのように撮像素子18の前方にファインダ光学系に被写体光束を導くための可動ミラー装置が配置されていない。但し、上記可動ミラーが配置されているカメラボディに対しても本実施形態のアダプタレンズ装置4は、適用可能である。
【0027】
そして、ボディユニット2の内部に撮像素子18に接続された撮像素子インターフェース回路11と、記憶領域として設けられたSDRAM13及びFLASH ROM14と、記録メディア15と、液晶モニタ16と、画像処理を行うための画像処理コントローラ12とが設けられている。
【0028】
画像処理コントローラ12には、撮像素子インターフェース回路11と、SDRAM13と、FLASH ROM14と、記録メディア15と、液晶モニタ16とが接続されている。これらは、電子撮像機能と共に電子撮像表示機能を提供できるように構成されている。
【0029】
記録メディア15は、各種のメモリカードや外付けのハードディスクドライブ(HDD)等の外部記録媒体であり、カメラのボディユニット2と通信可能で、かつ、交換可能に装着される。
【0030】
BCPU10には通信コネクタ23aと、画像処理コントローラ12と、不揮発性メモリであるEEPROM17等とが接続されている。
【0031】
画像処理コントローラ12は、BCPU10の指令に従って撮像素子インターフェース回路11を制御して撮像素子18から画像データを取り込む。この画像データは、画像処理コントローラ12によりビデオ信号に変換され、液晶モニタ16に出力してライブビュー表示される。撮影者は、この液晶モニタ16のライブビュー表示画像により、撮影する画像の構図等のイメージを認識することができる。また、撮影後の記録画像を液晶モニタ16に表示させ画像の確認をすることも可能である。
【0032】
SDRAM13は、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリア等に使用される。この画像データは、各種の画像処理が行われ、例えば、静止画像がJPEGデータに変換された後には、記録メディア15に保管されるように設定されている。また、BCPU10には、カメラ操作スイッチ(SW)19と、電源回路22を介して電池21とが接続されている。
【0033】
EEPROM17は、その他の記憶領域として、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶するもので、BCPU10からアクセス可能になっている。
【0034】
カメラ操作スイッチ19は、例えば、撮影動作の実行を指示するレリーズスイッチ、静止面撮影モード、動画撮影モード、記録画像表示モードを切り替えるモード変更スイッチ、動画撮影を開始させる動画記録開始スイッチ及びパワースイッチ等、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群で構成される。レリーズスイッチは、半押し動作すなわちファーストレリーズスイッチ(1RSW)の動作と、全押し動作であるセカンドレリーズスイッチ(2RSW)の動作とがある。
【0035】
電源回路22は、電池21の出力電圧を、当該装置を構成する各回路部が必要とする電圧に変換して供給するために設けられている。
【0036】
ここで、本実施形態のアダプタレンズ装置4の詳細な構造について、図3〜8を用いて説明する。
【0037】
アダプタレンズ装置4は、図3の縦断面図に示すように前、後固定枠41,42と、可動枠43と、前固定枠41、可動枠43、後固定枠42のそれぞれの中央開口部41a、43a,42aに保持されるアダプタレンズALとして、物体側から順に配置される物体側レンズ群51、ウォブリングレンズ53、像側レンズ群52と、前固定枠41および可動枠43に組み込まれるウォブリング駆動機構50と、ウォブリング動作時の可動枠43の位置検出用の反射部材58およびフォトリフレクタ59と、前固定枠41の物体面側端面に固着されたアダプタ物体側マウントリング25と、後固定枠42の像面側端面に固着されたアダプタ像側マウントリング24と、前述したACPU38とを備えている。なお、アダプタレンズALは、等倍の倍率を有している。なお、ウォブリング駆動機構50は、VCM(ボイスコイルモータ)からなり、図3,5,6に示すように光軸Oに対するラジアル方向に対向して配置されるそれぞれが一対の永久磁石45と、ヨーク46と、駆動コイル48とからなる。
【0038】
前固定枠41と後固定枠42は、印籠嵌合部41b,421bで結合が可能であり、アダプタレンズ群AL、可動枠43、ウォブリング駆動機構50を組み込んだ状態で接着固定される。前固定枠41と後固定枠42には可動枠支持用ガイド軸44が貫通状態で支持されている(図5)。
【0039】
アダプタ像側マウントリング24は、図4に示すようにバヨネット爪24bを有し、開口部下部に通信接続コネクタ接片24aが配されている。アダプタ物体側マウントリング25は、図2及び図3に示すようにバヨネット部25bを有し、開口部下部に通信接続コネクタ接片25aが配されている。
【0040】
可動枠43は、前固定枠41の内部に収容され、図5,7に示すように前後端面に固着される一対のボス54を挿通する状態で前、後固定枠に支持されるガイド軸44により光軸O方向に移動可能支持されている。前固定枠41および後固定枠42との接触部にはシリコンゴム等からなる一対で一体化したボス54と突起部55(なお、突起部55の厚みは薄いがボス54と協働で可動枠43の移動を許容する厚みとする。)が介在しており、可動枠43を光軸O方向に押圧している。従って、ウォブリング駆動機構50が非駆動状態にあるとき、可動枠43は光軸O方向の中央初期位置に保持される。
【0041】
物体側レンズ群51は、物体側から順に、両凸正レンズの第1レンズと両凹負レンズの第2レンズを接合した負屈折力を有する接合レンズである。ウォブリングレンズ53は、1枚の両凸正レンズからなり、光軸O方向に微小幅、例えば、200μmだけ進退可能である。像側レンズ群52は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹負レンズを接合した負屈折力を有する接合レンズである。そして、物体側レンズ群51、ウォブリングレンズ53、像側レンズ群52の間は、隙間a1,a2が設けられている(図1)。なお、これらのアダプタレンズ群ALは、通信コネクタを逃げるために下部(図5)がカットされ、同様に上部もカットされたダブルDカット形状になっている。
【0042】
ウォブリング駆動機構50は、VCM(ボイスコイルモータ)は図3,5,6に示すように光軸Oに対するラジアル方向に対向して配置されるそれぞれが一対の永久磁石45と、ヨーク46と、駆動コイル48としたが、使用する異極接合、または異極磁石が一体化した永久磁石45およびヨーク46は前固定枠41の内表面を矩形形状にして各面上に4個配置とする。さらに、可動枠43の外形も矩形形状として、永久磁石45に対向する位置に駆動コイル48も4個配置することで、ウォブリング駆動機構の駆動感度を向上することができる。
【0043】
駆動コイル48は、可動枠43の外周部に沿って湾曲した状態で光軸Oに対するラジアル方向軸心まわりに巻回された一対の扁平な小判形状したコイルからなる。一対のうち、少なくとも、一方の駆動コイル48のコイル内周部には可動枠ガタ取り付勢用磁性材56と、電源オン時の初期位置検出用のホール素子57が配されている(図6)。
【0044】
永久磁石45は、前固定枠41の内周部に沿って湾曲して露呈する状態で駆動コイル48に対向して配置され、光軸O方向に異極対向する一対の永久磁石からなる。永久磁石45の外周部にはヨーク46が配され、さらに、ヨーク46を覆うカバー47(ウォブリング駆動機構50に塵や埃が付着するのを防止するためのカバー)が配されている。なお、駆動コイル48の外形の周方向角度は、永久磁石45の外形の周方向角度より大きい(図6)。また、駆動コイル48の外形の光軸O方向の長さは、可動枠43の幅に対応した長さとし、永久磁石45の光軸O方向の長さは少なくとも可動枠43の幅に移動量分だけ加えた長さとなる。
【0045】
反射部材58とフォトリフレクタ59は、図5,8に示すようにそれぞれ可動枠43の外周部と前固定枠41の内周部に対向する状態で固定されている。フォトリフレクタ59の発光素子59aからの光は、反射部材58の傾斜面58aで反射されて、フォトリフレクタ59の受光素子59bに入射しており、受光素子59bより可動枠移動位置信号が出力される。
【0046】
ウォブリング動作時、ACPU38の制御のもとでウォブリング駆動回路39により駆動コイル48が通電されると、可動枠43がウォブリングレンズ53とともに光軸O方向に小振幅振動し、ウォブリング駆動がなされる。そのときのウォブリングレンズ53の振動位置は、受光素子のフォトリフレクタ59により検出される。このフォトリフレクタ59は2分割にしたが、さらには対角線上に2または4分割した受光面を4分割や8分割することにより位置検出精度を向上することができる。
【0047】
なお、アダプタレンズ装置4のアダプタレンズALの外径は、レンズ鏡筒3のマスターレンズMLの外径よりも大きくなっている。これにより明るいレンズ鏡筒が装着された場合であっても、周辺光量が確保される。その他のマスターレンズMLおよびアダプタレンズALの光学特性については、本出願人による特願2010−038192号に記載されている。
【0048】
上述した構成を有するカメラシステム1における撮影シーケンスについて、図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
上記撮影シーケンスの処理は、BCPU10の制御のもとで実行される。まず、BCPU10は、ステップS101において、撮影者のカメラ操作スイッチ19の操作によって静止画撮影モードが設定されたか否かを判定する(S101)。静止画撮影モードが設定されている場合はステップS102に進む。静止画撮影モードではない場合は、動画撮影モードが設定されており、ステップS109に進む。なお、再生モードについては本願に関係ないので省略する。
【0050】
ステップS102にて、撮影者によりカメラ操作スイッチ19内のレリーズスイッチが半押し動作、すなわち、ファーストレリーズスイッチ(以下、1RSWと記載する)がオンされたか否かを判定する。レリーズスイッチの半押し動作が行われると、BCPU10は、ステップS103に移り、イメージャAF(オートフォーカシング)制御であるサブルーチン「イメージャAF」(図11)が呼び出され、実行される。このサブルーチン「イメージャAF」の処理については、後で詳細に説明する。
【0051】
次に、BCPU10は、ステップS104において合焦状態を判定する。合焦状態であれば、ステップS105に移り、1RSWがオフされたか否かを判定する。また、ステップS104において、合焦していない状態であれば、ステップS108に移り、非合焦表示等の処理を行う。
【0052】
ここで、撮影者がレリーズスイッチの全押し動作を行うことなく、半押し動作を終了すると、BCPU10は、上記ステップS102に移って1RSWの待ち状態になる。
【0053】
一方、レリーズスイッチが半押し動作を継続していると判定すると、BCPU10は、ステップS106において、レリーズスイッチの全押し動作であるセカンドレリーズスイッチ(以下、2RSWと記載する)の動作が行われたか否かを判定する(S106)。ここでは、レリーズスイッチが全押しされるまで待機し、全押しされたならば、BCPU10は、ステップS107に移行して露光動作を行う。
【0054】
一方、ステップS101にて動画撮影モードであると判断された場合、ステップS109に進み、カメラ操作スイッチ19の動画撮影開始スイッチがオンされたか否かを判定する)。ステップS109にて、動画撮影開始スイッチがオンされたと判定すると、ステップS110にて動画撮影動作を行う。動画撮影動作中は、ステップS111にて動画撮影開始スイッチのオフを判別しており、オフされていない場合は、動画撮影動作を継続し、オフされた場合は、動画撮影動作を終了して本シーケンスを終了する。一方、ステップS109にて動画撮影開始スイッチがオンされていない場合はステップS101に戻る。
【0055】
なお、動画撮影中は常時イメージャAF動作が実行される。また、本実施の形態では、「動画」というときは、液晶モニタ16に表示されるライブビュー画像用の動画撮像であってもよいし、記録メディア15への記録用の動画撮像であってもよい。
【0056】
ステップS103で呼び出されるサブルーチン「イメージャAF」処理の詳しい説明に先立って、イメージャAF動作の概要をAF動作時におけるAF評価値の変化を示す図10を用いて説明する。
【0057】
なお、上記処理動作にて評価される「AF評価値」は、撮像信号に対するコントラスト値と同義であり、画像のボケ具合を数値化したデータであり、一般的には、画像データにHPFやBPFを作用させ、その結果を累積した値が用いられる。
【0058】
イメージャAF制御を実行するサブルーチン「イメージャAF」(図11のフローチャート)は、「方向判断処理D1」と「山登り制御D2〜D4」とで構成されており、BCPU10の制御のもとで実行される。
【0059】
上記山登り制御において、図10に示すように合焦位置から離れた初期位置A1から合焦位置A3に向かってフォーカスレンズを移動させていくと、画像より算出したコントラスト値を示すAF評価値は、合焦位置A3に近づくほど大きくなり、合焦位置A3で最大となる。
【0060】
フォーカスレンズ33を移動させながら撮像素子18の露光に同期したタイミングでフォーカスレンズの位置を取得し、取得した画像より算出したAF評価値に基づいてAF評価値が最大となるフォーカスレンズ位置を求めてその位置にフォーカスレンズを移動して合焦とする。これは一般に「山登り制御D2〜D4」と呼ばれる。
【0061】
本実施例では、上記「山登り制御D2〜D4」を実行するに際し、先立って「方向判断処理D1」が実行される。この「方向判断処理D1」では、アダプタレンズ装置4のウォブリングレンズ53のウォブリング制御動作によりイメージャAF開始時のフォーカスレンズ33の初期駆動方向が判断される。
【0062】
「方向判断処理D1」におけるウォブリング制御の概要について、ウォブリングレンズ動作に対するAF評価値の変化を示す図12を用いて説明する。「方向判断処理D1」におけるウォブリング制御は、ウォブリングレンズ53を微小距離だけ周期的に進退するよう制御してAF評価値を取得することにより、AF評価値がより大きい合焦位置の存在する方向を認識することができる。このウォブリングレンズ動作では、ウォブリングレンズ53の移動距離が微小距離であるため、動画像において、画質の変化が目立たず、画質の劣化を防止することができる。
【0063】
本実施例では前述したようにアダプタレンズ装置4の内部にウォブリング動作が可能なウォブリングレンズ53を備えている。ウォブリングレンズ53を光軸方向に微少移動させることは、フォーカスレンズ33を光軸方向に微少移動させることと光学的に等価となるように光学的構成がなされている。従って、ウォブリングレンズ53を光軸方向に微少移動した位置でのAF評価値により、フォーカスレンズ33の合焦位置が存在する方向を認識することが可能である。
【0064】
図12に示すようにウォブリングレンズ53が位置B2にある場合、ウォプリング制御により、ウォブリングレンズ53は位置B2から位置B3へ移動し、その後、位置B3から位置B1へ移動する。そして、各位置B1〜B3で取得した画像によりAF評価値を求め、合焦位置がある方向を決定する。
【0065】
例えば、図12の場合、ウォブリングレンズ53を位置B2から位置B3ヘ移動したとき、AF評価値はHaからHbへ上昇し、位置B3から位置B1へ移動したときにAF評価値はHbからHcへ下降している。従って、位置B2から見て位置B3の方向に合焦位置があると認識することができ、レンズ鏡筒2内のフォーカスレンズ33を位置B2から位置B3に向かう方向に移動させれば合焦位置に近づけることができる。
【0066】
上記ウォブリング制御のタイミングについて、ウォブリングレンズ動作のタイミングチャートである図13を用いて説明すると、撮像素子インターフェース回路11は、図13の(b)に示すように、垂直同期信号VDを周期的に生成し、撮像素子18とBCPU10に出力する。撮像素子18は、図13の(a)に示すように垂直同期信号VDに同期して露光を行う。また、BCPU10は、図13の(c)に示すように、所定の時点から、垂直同期信号に基づいて露光同期信号であるBL_SYNC信号を生成する。
【0067】
BCPU10は、垂直同期信号を基準にして露光開始タイミングと露光終了タイミングとを予め把握しているために、露光同期信号であるBL_SYNC信号を生成することができる。BL_SYNC信号は、立ち上がり出力が撮像素子18の露光期間の時間的な中心を示す信号である。あるいは、BL_SYNC信号を撮像素子18の露光期間を示す信号、例えば、立ち上がりで露光開始、立ち下がりで露光終了を示す信号としてもよい。
【0068】
BCPU10は、垂直同期信号VDを撮像素子インターフェース回路11より入力し、BL_SYNC信号を作成してLCPU35およびACPU38に出力する。LCPU35は、BL_SYNC信号に同期してフォーカスレンズ33の駆動を制御し、ACPU38は、BL_SYNC信号に同期してウォブリングレンズ53の駆動制御を行う。
【0069】
次に、上記「方向判断処理D1」と「山登り制御D2〜D4」を含むサブルーチン「イメージャAF」処理を図11のフローチャートに基づいて詳細に説明する。まず、「方向判断処理D1」(前半の処理ステップS201〜S209)を説明する。
【0070】
BCPU10は、垂直同期信号VDに基づいて動作タイミングを制御し、ステップS201にて、撮像素子18の露光を行うとともに、図13の(c)のE1に示すように露光の中心時刻にてACPU38へBL_SYNC信号の立ち上がり出力信号を送信する。
【0071】
次に、ステップS202にて、ウォブリング駆動を行うフレームか否か判断し、ウォブリング駆動を行うフレームである場合はステップS203に進み、ウォブリング駆動を行わないフレームである場合はステップS204に進む。
【0072】
ステップS203にて、図13の(d)のE2に示す駆動情報信号をACPU38へ送信する。駆動情報信号は、ウォブリング動作の開始を指示する信号であるとともにウォブリング制御に関する以下の情報を含む。すなわち、
(1)ウォブリングレンズ53の駆動を開始してから終了させるまでの時間であるウォブリング駆動時間の情報
(2)ウォブリングレンズ53の移動量の情報
(3)ウォブリングレンズ53の移動方向の情報
の各情報を含む。
【0073】
ステップS204にて、BL_SYNC信号の立ち上がり出力から所定時間が経過すると、図13の(e)でE3に示されるBLSYNC信号の立ち下がり出力をACPU38送信する。なお、図13に示すようにE3は、垂直同期信号VDの立ち下がりに同期させている。
【0074】
ACPU38は、図13の(e)に示すように上記BL_SYNC信号の立ち下がり出力を受信して駆動情報信号が示す動作時間だけ、また、駆動情報信号が示す移動方向、移動量だけ、ウォブリングレンズ53を移動させる。なお、ACPU38の詳細な動作については後述する。
【0075】
ステップS205にて、ウォブリング駆動を行うフレームか否か判断し、ウォブリング駆動を行うフレームではない場合は、ステップS206に進み、ウォブリング駆動を行うフレームである場合は、ステップS201に戻る。
【0076】
ステップS206にて、取得した画像に基づいてAF評価値を算出し、SDRAM13に格納する。AF評価値は、図13の(e)のE4からE5の間に露光された画像に基づいて算出される。
【0077】
ステップS207にて、AF評価値を所定数だけ取得したか否かを判定する。所定数は、合焦位置の方向を判断するために必要な数が設定され、例えば、3とする。そして、所定数だけ取得していない場合は、ステップS201に戻り、所定数だけ取得するまで上記動作が繰り返される。
【0078】
ステップS208にて、取得したAF評価値による合焦判定を行う。例えば、上記3個の異なるウォブリングレンズ53の位置におけるAF評価値のうちで、両端の位置に相当する2個のAF評価値の差が所定値以下の場合は、AF評価値のピークに位置する状態、即ち、合焦状態とみなす。
【0079】
合焦ではない場合は、ステップS209に移行し、合焦の場合は、ステップS201に戻る。
【0080】
ステップS209にて、取得した所定数のAF評価値に基づいて合焦位置の方向を判断してレンズ鏡筒3内のフォーカスレンズ33の移動方向と移動速度、すなわち、単位時間の移動量を決定する。
【0081】
以上、説明したステップS201からステップS209が、ウォブリング制御によりフォーカスレンズ33の移動方向と移動速度を決定する処理、すなわち、「方向判断処理D1」である。このようにフレーム単位でウォブリングレンズ53の駆動と停止を制御することにより、AF評価値を算出するための画像を露光している際には、ウォブリングレンズ53を停止させることができるので、ウォブリングレンズ53の移動による画像の劣化、すなわちAF評価値の劣化を防止することができ、AF精度を向上させることができる。
【0082】
なお、ウォブリング駆動時間は、撮影している画像の1フレームに要する時間としているが、1フレームに要する時間の整数倍としてもよい。フレーム単位でウォブリング駆動時間の上限を設定することで、ウォブリングレンズ53の駆動と停止をフレーム単位で行うことが可能となる。以上が「イメージャAF」処理における「方向判断処理D1」に関する説明である。
【0083】
上記「方向判断処理D1」におけるアダプタレンズ装置4側のACPU38のウォブリング駆動を実行する制御動作について、図14のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
ACPU38は、ステップS301において、電源オンのBCPU10による判断に基づく初期化処理コマンドを受信すると、続くステップS302において、初期化処理を実行する。
【0085】
次に、ACPU38は、ステップS303において、BCPU10から送信されるBL_SYNC信号の立ち上がり出力が発生したか否かを判断する。この判断の結果、BL_SYNC信号の立ち上がり出力が発生したことを検出した場合(図13の(c)に示すE1)、ステップS304にて駆動情報信号の受信待ちとなる。そして、駆動情報信号を受信した場合は、ステップS305に進む(図13の(d)に示すE2)。駆動情報信号を受信しなかった場合は、ステップS303に戻る。
【0086】
次に、ACPU38は、ステップS305において、BCPU10から送信されるBL SYNC信号の立ち下がり出力が発生したか否かを判断する。この判断の結果、BL_SYNC信号の立ち下がり出力が発生したことを検出した場合(図13の(e)に示すE3)、ステップS306に進む。BL_SYNC信号の立ち下がり出力を検出しなかった場合は、ステップS305に戻る。
【0087】
ACPU38は、ステップS306において、ウォブリング駆動回路30によりウォブリングレンズ53を駆動する(図13の(e)に示すE3)。このとき、受信した駆動信号情報に含まれるウォブリング駆動時間及び、移動方向と移動速度に基づいてウォブリングレンズ53を駆動する。
【0088】
ステップS307では、受信した上記ウォブリング駆動時間である所定時間が、駆動開始から経過したか否かを判定し、経過した場合はステップS308に進み、ウォブリングレンズ53の駆動を停止する(図13の(e)に示すE4)。このように、経過時間がウォブリング駆動時間を超えた場合には、駆動情報信号が示す移動量をウォブリングレンズ53が移動していない場合であっても、ウォブリングレンズ53の駆動を強制的に停止させる。
【0089】
ACPU38は、ウォブリングレンズ53が指示された移動量を移動できなかったことを示すこと記憶し、データ通信の際にBCPU10に送信し、このフレームのAF評価値を採用しないように通知する。
【0090】
一方、所定時間が経過していない場合は、ステップS309に進み、所定移動量を移動したか否かを判定する。そして、所定移動量を移動した場合は、ステップS310に進み、ウォブリングレンズ53のレンズ駆動を停止する(図13の(e)に示すE4)。そして、ステップS311に進み、所定時間の経過を待ち、所定時間の経過後、ステップS303に戻る。
【0091】
一方、ACPU38は、ステップS303においてBL_SYNC信号の立ち上がり出力が発生していなければ、ステップS312に移り、BCPU10からコマンドを受信したか否かを判断する。
【0092】
この判断の結果、BCPU10からコマンドを受信すると、ACPU38は、ステップS313において、受信したコマンドが処理終了コマンドであるかを判断し、処理終了コマンドの場合は処理を終了する。
【0093】
また、処理終了コマンドではない場合は、ステップS314に進み、受信したコマンドに従った処理を実行し、ステップS315において、受信コマンドに従って処理したデータ、すなわち、コマンドに対する応答データをBCPU10に送信する。
【0094】
上述のようにウォブリング機能を有するアダプタレンズ装置4を、ウォブリング機能を持たないレンズ鏡筒3とボディユニット2との間に挿入して使用することにより、AF動作速度を向上させることができる。
【0095】
次に、前述した「方向判断処理D1」と「山登り制御D2〜D4」を含むサブルーチン「イメージャAF」処理のうち、「山登り制御D2〜D4」(後半の処理ステップS210〜S218)を図11のフローチャートおよび図15のイメージャAF動作のピーク判定動作に関するタイミングチャートに基づいて説明する。
【0096】
BCPU10は、ステップS210において、ステップS209にて決定した移動方向と移動量をレンズ鏡筒3内のLCPU35へ送信する。LCPU35は、図15の(f)のF1に示すように、受信した移動方向と移動速度に基づいてフォーカスレンズ33を駆動する。なお、LCPU35の詳細動作については、後述する。
【0097】
BCPU10は、垂直同期信号VDに基づいて動作タイミングを制御し、ステップS211にて、撮像素子18の露光を行うとともに、図15の(c)のF2に示すように露光の中心時刻にてLCPU35へBL_SYNC信号の立ち上がり出力を送信する。LCPU35は、図15の(d)のF3に示すようにBLSYNC信号の立ち上がり出力を受信して、フォーカスレンズ33の位置を取得する。
【0098】
ステップS212にて、撮像した画像に基づきAF評価値を算出する。そして、図15の(e)のF4に示すように、ステップS213にて、フォーカスレンズ位置をLCPU35より受信する。
【0099】
次に、ステップS214において、ピーク判定(図10のD2)を行い、続いて、ステップS215において、ピークを検出したか否かを判定する。ここで、ピークが検出されない場合、BCPU10は、上記ステップS210に移行し、ピークを検出するまで上記処理動作を繰り返す。
【0100】
上記処理動作によってピークを検出すると、BCPU10は、ステップS216に移行して合焦位置を算出する。
【0101】
そして、BCPU10は、ステップS217において、ステップS213において算出した合焦位置にフォーカスレンズ33を移動するようにLCPU35へ通信して指示を行う。LCPU35はフォーカスレンズ33を合焦位置に駆動する(図10のD4)。
【0102】
ステップS218では、動画撮影モードか否か判定する。動画撮影モードの場合は継続してAF動作を行うためにステップS201に戻る。一方、動画撮影モードでは
ない場合は、処理を終了する。
【0103】
上述したフォーカスレンズ33の一連の動作は、図10の下部に示すようにAF評価値取得開始(D1)のA1点から至近側に向かって移動し、ピーク検出がなされると合焦位置が算出される(D3)。それと共に、フォーカスレンズ33のレンズ移動方向が反転してA2点より無限遠(∞)側に移動する。そして、フォーカスレンズ33は、一旦、ピーク位置を通過した後、再度レンズ移動方向が反転して合焦位置となるA3点に向かう。これは、レンズ駆動機構37等に存在するバックラッシュの影響を排除し、AF評価値のピークを通過したときにフォーカスレンズ位置を光学的に同―位置に正確に停止させるためである。これにより、フォーカスレンズ33は、合焦位置となるA3点に到達する。以上が「山登り制御D2〜D4」の説明である。
【0104】
次に、上記「山登り制御D2〜D4」におけるレンズ鏡筒3側のLCPU35によるフォーカスレンズ駆動制御について、図16のフローチャートおよび図15のタイムチャートを用いて説明する。
【0105】
LCPU35は、ステップS401において、電源オンのBCPU10による判断に基づく初期化処理を行うコマンドを受信すると、続くステップS402において、初期化処理を行う。
【0106】
次に、LCPU35は、ステップS403において、BCPU10から送信されるBL_SYNC信号の立ち上がり出力が発生したか否かを判断する。この判断の結果、BL_SYNC信号の立ち上がり出力が発生したことを検出した場合(図15の(c)のF2)、LCPU35は、ステップS404において、レンズ駆動回路37内の位置検出回路によってフォーカスレンズ33の光軸に沿った位置情報を検出する。
【0107】
ここで、図15の(d)のF3に示すようにLCPU35は、BL_SYNC信号の立ち上がり出力の発生時にフォーカスレンズ33の位置情報を検出する。
【0108】
次に、LCPU35は、ステップS405において、内蔵するバッファメモリ内の情報を更新、すなわち、フォーカスレンズ33の位置情報を内蔵バッファメモリに記憶する。そして、ステップS403に戻り、BL_SYNC信号の立ち上がり出力の発生を検出した場合は、フォーカスレンズ位置の取得動作を繰り返し行う。
【0109】
一方、LCPU35は、ステップS403においてBL_SYNC信号の立ち上がり出力が発生していなければ、ステップS406に移り、BCPU10からコマンドを受信したか否かを判断する。
【0110】
この判断の結果、BCPU10からコマンドを受信すると、LCPU35は、ステップS407において、受信したコマンドがフォーカスレンズ33の位置情報の要求であるか否かを判断する。そして、受信したコマンドがフォーカスレンズ33の位置情報の要求であれば、ステップS408に移り、内蔵バッファメモリに記憶されているフォーカスレンズ33の位置情報をBCPU10に送信する(図15の(e)のF4)。
【0111】
なお、LCPU35は、ステップS407における判断の結果、受信コマンドがフォーカスレンズ33の位置情報の要求でなければ、ステップS409に移り、処理終了コマンドであるかを判断し、処理終了コマンドの場合は、処理を終了する。
【0112】
また、処理終了コマンドではない場合は、ステップS410に進み、受信したコマンドに従った処理、例えば、フォーカスレンズ33の駆動等を実行し、ステップS411において、受信コマンドに従って処理したデータ、すなわち、コマンドに対する応答データ、例えば、フォーカスレンズ33を駆動中であることを示すデータ等をBCPU10に送信する。
【0113】
以上、説明した構成により、アダプタレンズ装置4内のウォブリングレンズ53の往復移動によりボディユニット2内の撮像素子18上の像のコントラストが変化し、そのコントラスト伏態を検知することで、コントラストのピークに近づけるためのフォーカスレンズ33の移動方向や移動量が計算可能となる。そして、上記移動方向や移動量群の情報をボディユニット2からレンズ鏡筒3に送信し、すばやいフォーカシングを行うことができる。このようにウォブリング機能を持たないレンズ鏡筒3であってもアダプタレンズ装置4を介在させてボディユニット2に装着することで、フォーカシング速度の向上、動画撮影時のフォーカシングの追従性の向上が可能となる。
【0114】
本実施形態のアダプタレンズ装置4によれば、上述したようにウォブリング駆動機構50の駆動負荷がウォブリングレンズ53を保持する単一の可動枠43のみであり、駆動機構自体の収容体積も小さく、装置の小型化が可能になり、消費電力を抑えることが実現できるさらに、ウォブリング駆動機構50として前固定枠41の内周部に永久磁石45を取り付け、可動枠43の外周部に駆動コイル48を配置したのでアダプタレンズ装置4の光軸方向の厚みおよび外径の増大が避けられる。さらには前固定枠41と後固定枠42の物体側端面、および、像側端面に各種レンズ鏡筒3及びボディユニット2に結合可能なマウントリングを配置したので対応可能な交換式のレンズ鏡筒の多くの種類も確保できる。
【0115】
アダプタレンズ装置4に組み込まれるアダプタレンズALは、上述したように等倍の倍率を有していることからウォブリング動作時に撮像素子18上の撮像面で被写体像が揺れることがなく、液晶表示部上の画像の観察も容易になるといった効果を奏する。
【0116】
なお、アダプタレンズ装置4に配される像側マウントリング24に対する変形例として、ボディユニット側の異なるフランジバック(マウント面から撮像素子までの距離)に対応させるために、バヨネット爪の数の異なるマウントリングを採用することを提案することも可能である。
【0117】
また、本実施形態のアダプタレンズ装置4に適用した弾性片55に替えて形状変化型のバイモルフ圧電素子、形状記憶合金素子等の高分子アクチュエータからなる押圧部材に置き換えた変形例が提案できる。この変形例の高分子アクチュエータからなる押圧部材をボス54の前固定枠41および後固定枠42との接触部に介在させ、可動枠43の光軸O方向の押圧力を制御可能とし、ウォブリング駆動機構50の駆動コイル48の停止や暴走防止等による可動枠43の破損を減じることができる。
【0118】
本発明の第二実施形態のアダプタレンズ装置4Bについて図17〜19を用いて説明する。
【0119】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Bも第一実施形態のアダプタレンズ装置4と同様に上述したボディユニット2とレンズ鏡筒3との間にバヨネットタイプのマウントリングを介して着脱可能に装着することができるウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置4Bである。
【0120】
アダプタレンズ装置4Bは、図17の断面図に示すように前、後固定枠41B,42Bと、可動枠43Bと、前固定枠41B、可動枠43B、後固定枠42Bのそれぞれの中央開口部に保持さされる。前、後固定枠41B、42B、可動枠43Bの材質には、ガラス繊維またはカーボン繊維が含まれたPPS(ポリフェニレンスルフィド)やABS樹脂が好適である。特に可動枠43Bは繊維状充填材を含有したPPS組成物や液晶性樹脂組成物のLCP(液晶ポリマー)材料を用いる。特にカーボン繊維を含む液晶性樹脂は高い弾性率も優れ、可動枠43Bに形成された軸受面の真円度を上げることができる。等倍の倍率を有するダブルDカット形状のアダプタレンズALとして、物体側から順に配置される物体側レンズ群51、ウォブリングレンズ53、像側レンズ群52と、前固定枠41Bおよび可動枠43Bに組み込まれるウォブリング駆動機構60(図19)と、ウォブリング動作時の可動枠43Bの位置検出用の誘電多層膜が蒸着された反射部材58および発光素子と2分割(または4分割や8分割)の受光面を有する受光素子からなるフォトリフレクタ59(図19)と、前固定枠41Bの物体面側端面に固着された金属製のアダプタ物体側マウントリング25と、後固定枠42Bの像面側端面に固着された金属製のアダプタ像側マウントリング24と、ウォブリング駆動回路(図示せず)、ACPUおよび前、後固定枠41B、42Bには印籠嵌合部4142を隠し、薄い環状形状したマグネシウム合金等の金属で全幅が覆われた外カバーを備えている。(図示せず)を備えている。
【0121】
なお、上記本実施形態のACPUは、前述したACPU38と同様にBCPU10の指示に従って上記ウォブリング駆動回路を制御する。このウォブリング駆動回路は、ウォブリング駆動機構60を構成する積層圧電素子63を駆動するための駆動回路であり、上記ACPUにより制御される。
【0122】
前固定枠41Bと後固定枠42Bは、印籠嵌合部4142での結合が可能であり、アダプタレンズ群AL、可動枠43B、ウォブリング駆動機構60を組み込んだ状態で接着固定される。
【0123】
可動枠43Bは、前固定枠41Bの内部に収容され、前固定枠41Bと後固定枠42Bに支持される2本の可動枠43Bと同―材料からなるガイド軸44B(図18)により光軸O方向に移動可能支持されている。さらに、可動枠43Bと後固定枠42Bとの間に球状で柔らかいシリコンゴム等のゴム部材(円周上に3点支持可能)68aが配されている。球状で柔らかいシリコンゴム等のゴム部材(円周上に3点支持可能)68aに対向し、可動枠43Bのアダプタ物体側マウントリング25側の前固定枠41Bには球状で柔らかいシリコンゴム等のゴム部材(円周上に3点支持可能)68bが一体成型されている。以上から、ウォブリング駆動機構60が非駆動状態にあるとき、可動枠43Bは、上記ゴム部材68a、68bの付勢力によって落下時などの外部からの振動を受けたときに可動枠43Bが保持され、破損を防止できる。
【0124】
このアダプタレンズ装置4Bに適用されるアダプタレンズALは、前述したアダプタレンズ装置4に適用したアダプタレンズALと同一の特性を有するレンズである。
【0125】
ウォブリング駆動機構60は、図18,19に示すように物体側から像側に向けて順次、互いに当接した一体状態で配される部材として、前固定枠41Bに支持される板バネ65と、前固定枠41Bに柔らかいシリコンゴム等の軟性ゴム部材67を介在して光軸O方向に移動可能に支持される錘部材64および光軸O方向に積層される圧電素子からなる積層圧電素子63と、偏心振動伝達部材62と、光軸O方向に沿って可動枠43BのU字溝(またはV字溝等)43Bbを挿通し、像面側端部が後固定枠42Bに摺動可能に支持される摩擦ガイド軸61と、を備えている。さらに、一端部が摩擦ガイド軸61の外周部に当接し、他端部が可動枠43Bに固定支持される弾性押圧部材である押圧バネ66と備えている。
【0126】
ウォブリング動作時、上記ウォブリング駆動回路により積層圧電素子63に駆動電圧が印加されると、積層圧電素子63は光軸O方向に伸縮する。積層圧電素子63の伸縮により柔らかいシリコンゴム等の球状ゴム部材68の付勢力に抗して摩擦ガイド軸61が光軸O方向に小振幅振動する。摩擦ガイド軸61は押圧バネ66の付勢力で可動枠43BのU字溝43Bbに押圧されており、該U字溝43Bbとの摩擦力によってウォブリングレンズ53を保持する可動枠43Bが光軸O方向に小振幅振動する。すなわち、ウォブリング駆動がなされる。
【0127】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Bを適用するカメラシステムの撮影シーケンスにおいても前述したカメラシステム1における撮影シーケンスと同様の制御がなされる。撮影シーケンス中のイメージャAF制御における「方向判断処理D1」もカメラシステム1の場合と同様の制御方式によりアダプタレンズ装置4Bのウォブリングレンズ53がウォブリング駆動され、イメージャAF開始時のフォーカスレンズ33の初期駆動方向が判断される。
【0128】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Bによれば、前記第一の実施形態と同様の効果を奏し、さらに、ウォブリング駆動機構60に積層圧電素子63を適用することでアダプタレンズ装置4Bをコンパクトにまとめ、装置の小型化も実現できる。
【0129】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Bに適用した押圧バネ66を高分子アクチュエータ(例えば、形状変化型のバイモルフ圧電素子)からなる表面にフッ素樹脂やダイヤモンドライクカーボン(DLC)樹脂がコーティングやスパッタリングされた圧電素子板部材に置き換えた変形例が提案できる。この変形例の圧電素子板部材は、摩擦ガイド軸61に対する押圧付勢力を変化させることが可能であり、ウォブリング動作時、上記押圧付勢力を減じ、ウォブリング停止時、上記押圧付勢力を増やすように調節することにより、積層圧電素子63の駆動力を減じることが可能になる。なお、前固定枠41Bとアダプタ物体側マウントリング25および後固定枠42Bとアダプタ像側マウントリング24は、繊維状充填材を含有したPPS組成物や液晶性樹脂組成物のLCP(液晶ポリマー)材料を用いると、それぞれ一体成形が可能となり、部品点数が削減でき、組み立てが簡素化となる効果がある。
【0130】
本発明の第三実施形態のアダプタレンズ装置4Sについて図20,21を用いて説明する。
【0131】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Sも第一実施形態のアダプタレンズ装置4と同様に上述したボディユニット2とレンズ鏡筒3との間にバヨネットタイプのマウントリングを介して着脱可能に装着することができるウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置である。
【0132】
アダプタレンズ装置4Sは、図21の断面図に示すように前、後固定枠41S,42Bと、可動枠43Sと、前固定枠41S、可動枠43S、後固定枠42Sのそれぞれの中央開口部に保持される。 前、後固定枠41S、42B、可動枠43Sの材質には、ガラス繊維またはカーボン繊維が含有されたPPS(ポリフェニレンスルフィド)やABS樹脂が好適である。特に可動枠43Sはカーボン、ガラス等の繊維を含有したPPS組成物や液晶性樹脂組成物のLCP(液晶ポリマー)材料を用いる。等倍の倍率を有するダブルDカット形状のアダプタレンズALとして、物体側から順に配置される物体側レンズ群51、ウォブリングレンズ53、像側レンズ群52と、前固定枠41Sおよび可動枠43Sに組み込まれるウォブリング駆動機構90(図20,21)と、ウォブリング動作時の可動枠43Sの位置検出用の誘電多層真膜が蒸着された反射部材58および発光素子と2分割(または3分割や4分割)の受光面を有する受光素子からなるフォトリフレクタ59(図20)と、前固定枠41Sの物体面側端面に固着された金属性のアダプタ物体側マウントリング25と、後固定枠42Sの像面側端面に固着された金属性のアダプタ像側マウントリング24と、ウォブリング駆動回路、ACPUおよび前、後固定枠41B、42B、には印籠嵌合部4142を隠し、薄い環状形状したマグネシウム合金等の金属で全幅が覆われた外カバー(図示せず)を備えている。
【0133】
なお、上記本実施形態のACPUは、前述したACPU38と同様にBCPU10の指示に従って上記ウォブリング駆動回路を制御する。上記ウォブリング駆動回路は、ウォブリング駆動機構90を構成する圧電素子95を駆動するための駆動回路であり、上記ACPUにより制御される。
【0134】
前固定枠41Sと後固定枠42Sは、印籠嵌合部で結合が可能であり、アダプタレンズ群AL、可動枠43S、ウォブリング駆動機構90を組み込んだ状態で接着固定される。
【0135】
可動枠43Sは、前固定枠41Sの内部に収容され、前固定枠41Sと後固定枠42Sに支持されるガイド軸44Sにより光軸O方向に移動可能支持されている。
【0136】
アダプタレンズ装置4Sに適用されるアダプタレンズALは、前述したアダプタレンズ装置4に適用したアダプタレンズALと同一の特性を有するレンズである。
【0137】
ウォブリング駆動機構90は、図21に示すように物体側から像面側に向けて配される部材として、前固定枠41Sの貫通穴41Sbを通し、前固定枠41Sに小ねじで固着される支持板97と、貫通穴41Sbに挿入され、圧電素子基板96に実装されるピエゾ素子からなる。4つの圧電素子95および該圧電素子95が接触された矩形外形のステータ94に接触して配されるロータは、雄ネジ部92aの軸部と一体形成とする。外周部に雄ねじ部92aが形成され、さらに、像側端部が後固定枠42Sに回動可能し支持された軸部材92と、雄ねじ部92aにわずかな隙間のある状態で螺合し、外周部が可動枠43Sに固着されるナット部材93と、後固定枠42Sに装着され、軸部材92に対して物体側方向へのスラスト圧を与えるスペーサ98とからなる。なお、前固定枠41Sの貫通穴41Sbの径d2は、ナット部材93の外径d1より大きい。また、支持板97と圧電素子95およびロータ94は、前固定枠41Sのレンズ保持部幅L1内に収容可能とする。なお、図示していないが、雄ネジ部92aは回り止めを一体化したナット部材93と蝶合されている。可動枠43Sに配置されたホール素子(原点検出用)を用いると、このホール素子に対向した位置(前固定枠41S)に光軸方向にNS極の永久磁石を配置する。
【0138】
ウォブリング駆動時に上記ウォブリング駆動回路は、圧電素子95に対して圧縮、伸張変形させる非対称の鋸歯状波形の駆動電圧を印加する。圧電素子95に接合したステータ94により接触するロータは、印加される駆動電圧によって時計回り、または、反時計回りに交互に回動変位する。このロータおよび雄ネジ92aの回動変位に伴い、ナット部材93およびウォブリングレンズ53を保持した可動枠43Sは、光軸O方向の前後にウォブリング駆動される。
【0139】
なお、上記ウォブリング駆動機構90に適用される圧電素子による進退駆動機構の類似の機構は、例えば、特開2008−271667号公報、または、特開2008−312309号公報等に開示されている。
【0140】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Sを適用するカメラシステムの撮影シーケンスにおいても前述したカメラシステム1における撮影シーケンスと同様の制御がなされる。撮影シーケンス中のイメージャAF制御における「方向判断処理D1」もカメラシステム1の場合と同様の制御方式によりアダプタレンズ装置4Sのウォブリングレンズ53がウォブリング駆動、すなわち、微小振動駆動され、イメージャAF開始時のフォーカスレンズ33の初期駆動方向が判断される。
【0141】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Sによれば、前記第一の実施形態と同様の効果を奏し、さらに、ウォブリング駆動機構90に圧電素子95を適用することでアダプタレンズ装置をコンパクトにまとめ、装置の小型化も実現できる。
【0142】
本発明の第四実施形態のアダプタレンズ装置4Cについて図22〜25を用いて説明する。
【0143】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Cも第一実施形態のアダプタレンズ装置4と同様に上述したボディユニット2とレンズ鏡筒3との間にバヨネットタイプのマウントリングを介して着脱可能に装着することができるウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置である。
【0144】
アダプタレンズ装置4Cは、図22〜25に示すように前、後固定枠41C,42Cと、可動枠43Cと、前固定枠41C、可動枠43C、後固定枠42Cのそれぞれの中央開口部41Ca,43Ca,42Caに保持される。前、後固定枠41S、42B、可動枠43Sの材質には、ガラス繊維またはカーボン繊維が含有されたPPS(ポリフェニレンスルフィド)やABS樹脂が好適である。特に可動枠43Sは繊維状充填材を含有したPPS組成物や液晶性樹脂組成物のLCP(液晶ポリマー)材料を用いる。等倍の倍率を有するアダプタレンズALCとして、物体側から順に配置される物体側レンズ群51C、ウォブリングレンズ53C、像側レンズ群52Cと、前固定枠41Cおよび可動枠43Cに組み込まれるウォブリング駆動機構50C(図23)と、ウォブリング動作時の可動枠43Cの位置検出用の反射部材58およびフォトリフレクタ59と、前固定枠41Cの物体面側端面に固着された金属のアダプタ物体面側マウントリング25と、後固定枠42Cの像面側端面に固着された金属のアダプタ像側マウントリング24と、ウォブリング駆動回路、ACPUおよび前、後固定枠41B、42B、には印籠嵌合部4142を隠し、薄い環状形状したマグネシウム合金等の金属で全幅が覆われた外カバー(図示せず)を備えている。
【0145】
なお、上記ACPUは、前述したACPU38と同様にBCPU10の指示に従って上記ウォブリング駆動回路を制御する。上記ウォブリング駆動回路は、ウォブリング駆動機構50Cを構成する駆動コイル48に電流を流すための駆動回路であり、上記ACPUにより制御される。
【0146】
前固定枠41Cと後固定枠42Cとは、印籠嵌合部で結合可能であり、アダプタレンズ群AL、可動枠43C、ウォブリング駆動機構50Cを組み込んだ状態で接着固定される。
【0147】
可動枠43Cは、前固定枠41Cの内部に収容され、前固定41C,後固定枠42Cに支持される2本のガイド軸44Cにより光軸O方向に移動可能支持されている。さらに、可動枠付勢機構として可動枠43Cの光軸O方向側面と前固定枠41Cおよび後固定枠42Cの側面との間に弾性部材からなる一対のボール部材71,72が凹部41Cc,42Ccに保持され、当接した状態で配されている(図24)。従って、ウォブリング駆動機構50Cが非駆動状態にあるとき、可動枠43Cはボール部材71,72の付勢力を受けた状態で光軸O方向の中央初期位置に保持される。ウォブリング駆動時、一対のボール部材71,72が弾性変形して可動枠43Cの光軸Oの微小振動を可能にする。
【0148】
このアダプタレンズ装置4Cに適用されるアダプタレンズALCは、前述したアダプタレンズ装置4に適用したアダプタレンズALと同一の特性を有するレンズである。但し、外形形状は後述するように異なる。
【0149】
ウォブリング駆動機構50Cは、VCM(ボイスコイルモータ)からなり、図23〜25に示すように光軸Oに対するラジアル方向に対向した状態で配置されるそれぞれが一対の永久磁石45Cと、ヨーク46Cと、駆動コイル48Cとからなる。
【0150】
駆動コイル48Cは、可動枠43Cの外周部に沿って湾曲した状態で光軸Oに対するラジアル方向軸心まわりに巻回された一対のコイルからなる。一対のうちの一方の駆動コイル48Cにはそのコイル内周部に可動枠ガタ取り付勢用永久磁石56Cと、電源オン時の初期位置検出用のホール素子57Cが配されている(図25)。
【0151】
永久磁石45Cは、前固定枠41Cの内周部に沿って湾曲して露呈する状態で駆動コイル48Cに対向して配置され、光軸O方向に異極対向する一対の永久磁石からなる。永久磁石45Cの外周部にはヨーク46Cが配され、さらに、ヨーク46Cを覆うカバー47Cが配されている。さらに、図示していないが、前、後固定枠41C、42C、にはカバー47Cを隠し、薄い環状形状したマグネシウム合金等の金属で全幅が覆われた外カバーを備えていることは勿論である。
【0152】
なお、駆動コイル48Cの外形周方向の角度は、永久磁石45Cの外形周方向の角度より大きい。さらに、ウォブリング駆動機構50Cの十分な駆動出力を得るために、駆動コイル48Cの外形の光軸O方向長さを、永久磁石45Cの光軸O方向の長さとともに十分な寸法を採用する。
【0153】
すなわち、アダプタレンズ装置4Cの光軸O方向長さを増やすことなく駆動コイル48Cの光軸O方向の十分な長さを採用するには、前、後固定枠に収容される可動枠43Cの光軸O方向の長さを長くする必要がある。そこで、本実施形態では、図22,24に示すように可動枠43Cの端部内周部の内側に前、後固定枠41C、42Cの端部外周部(レンズを含む)を入り込ませた形状を採用する。そのためにウォブリングレンズ53Cの外径Dbを、物体側レンズ群51Cおよび像側レンズ群52Cの外径Daより大きくする(図23,24)。但し、通信コネクタを逃げるためのカットダブルDカット形状は、物体側レンズ群51C、ウォブリングレンズ53C、像側レンズ群52Cにおいて同一寸法にする(図23)。このように枠構造を適用することで、より大きな駆動コイル外形を採用可能とし(図25)、当該ウォブリング駆動機構50Cの十分な駆動出力が得られる。
【0154】
反射部材58とフォトリフレクタ59は、図23に示すように第一実施形態の場合と同様にそれぞれ可動枠43の外周部と前固定枠41の内周部に対向する状態で固定支持されており、フォトリフレクタ59より可動枠移動位置信号が出力される。
【0155】
ウォブリング動作時、ACPU38の制御のもとでウォブリング駆動回路39により駆動コイル48Cが通電されると、可動枠43Cがウォブリングレンズ53Cとともに光軸O方向に小振幅振動し、ウォブリング駆動がなされる。そのときのウォブリングレンズ53Cの小振動位置は、フォトリフレクタ59により検出される。
【0156】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Cを適用するカメラシステムの撮影シーケンスにおいても前述したカメラシステム1における撮影シーケンスと同様の制御がなされる。撮影シーケンス中のイメージャAF制御における「方向判断処理D1」も前述したカメラシステム1の場合と同様の制御方式によりアダプタレンズ装置4Cのウォブリングレンズ53Cがウォブリング駆動され、イメージャAF開始時のフォーカスレンズ33の初期駆動方向が判断される。
【0157】
本実施形態のアダプタレンズ装置4Cによれば、前記第一の実施形態と同様の効果を奏し、さらに、ウォブリング駆動機構50Cの駆動コイル48Cの光軸O方向の長さを永久磁石45Cとともに十分な寸法にすることでウォブリング駆動機構50Cの高出力が実現できる。そのために、ウォブリングレンズ53Cの外径を物体側レンズ群51Cおよび像側レンズ群52Cの外径より大きくして、可動枠43Cの端部内周部の内側に前、後固定枠41C,42Cの端部外周部を入り込ませる構造を採用する。
【0158】
次に、第四実施形態のアダプタレンズ装置4Cにおけるボール部材を適用した可動枠付勢機構に対する第一の変形例を適用するアダプタレンズ装置4Dについて、図26,27を用いて説明する。
【0159】
第一の変形例の可動枠付勢機構81を適用するアダプタレンズ装置4Dは、図26に示すようにアダプタレンズ装置4Cに対して前,後固定枠41D,42Dに支持される可動枠付勢機構81のみが異なる。他の構成は、アダプタレンズ装置4Cと同一である。
【0160】
可動枠付勢機構81は、図27に示すように可動枠43Dの光軸O方向両端面に対向して配置される一対の付勢機構部からなり、それぞれが前,後固定枠41D,42Dの側面に形成された凹部41Dc,42Dcに嵌入して端子基板86に電気的に接続された積層圧電素子82と、積層圧電素子82の先端に装着されるボール支持部材83と、ボール支持部材83に保持されるボール部材84と、先端部にボール部材84が固着され、他端部が前,後固定枠41D,42Dに埋め込まれた状態で支持される弾性変形可能なバネ支持板85とからなる。また、アダプタレンズ装置4Dには可動枠付勢機構駆動回路(図示せず)が設けられる。
【0161】
この可動枠付勢機構81は、ウォブリング駆動機構50Cの動作状態に連動して駆動される。すなわち、ウォブリング駆動機構50Cの非動作状態にあるときは、上記可動枠付勢機構駆動回路を介して積層圧電素子82に駆動電圧が通電されず、積層圧電素子82が光軸O方向に伸張して可動枠43Dの端面にボール部材84が当接する。この当接状態では、可動枠43Dは、光軸O方向の移動が規制され、所定の初期位置にロック保持される。ウォブリング駆動機構50Cの動作状態になると、積層圧電素子82に駆動電圧(直流バイアス電圧、即ち、オフセット電圧)が印加された状態に切り替えられ、積層圧電素子82が光軸O方向に収縮して可動枠43Dの端面からボール部材84が離れる。この離間状態でウォブリング駆動機構50Cによるウォブリング動作が実行され、負荷抵抗が減る。
【0162】
本変形例の可動枠付勢機構81を適用するアダプタレンズ装置4Dによれば、ウォブリング非動作状態では、可動枠43Dが所定の初期位置にロック保持され、ウォブリング動作状態では、可動枠43Dが可動枠付勢機構81からフリーの状態になり、ウォブリング駆動機構50Cの負荷が減少した状態になり、駆動コイル48Cの消費電力が抑えられる。また、カメラを落下させた衝撃を受けた場合、可動枠43Dの光軸O方向への移動しにくく、破損防止に効果がある。
【0163】
上述した可動枠付勢機構81は、前,後固定枠41D,42Dの側面に配置されているが、この配置構造に替えて可動枠付勢機構81の積層圧電素子82を可動枠43D側に配し、ボール部材84を前,後固定枠41D,42Dの側面に当接させる構造も提案することができる。
【0164】
次に、第四の実施形態のアダプタレンズ装置4Cにおけるボール部材を用いた可動枠付勢機構に対する第二の変形例を適用するアダプタレンズ装置4Eについて、図28〜30を用いて説明する。
【0165】
第二の変形例の可動枠付勢機構81Eを適用するアダプタレンズ装置4Eは、図28に示すようにアダプタレンズ装置4Dに対して可動枠43Eに支持される可動枠付勢機構81Eのみが異なる。他の構成は、アダプタレンズ装置4Cと同一である。
【0166】
可動枠付勢機構81Eは、図28〜30に示すように繊維状充填材を含有したPPS組成物や液晶性樹脂組成物のLCP(液晶ポリマー)材料の可動枠43Eを貫通する可動枠43Eと同一材料のガイド軸44E上に配置され、可動枠43Eのガイド軸穴上部に設けられた凹部43Ecに支持される端子基板86Eに電気的に接続された積層圧電素子82Eと、積層圧電素子82Eの先端に装着されるボール支持部材83Eと、ボール支持部材83Eに保持されるガイド軸44Eと同一材料のボール部材84Eと、先端部にボール部材84Eが固着され、他端部が可動枠43Eの凹部43Ecに開放された状態で支持される弾性変形可能な板バネ形状のバネ支持板85Eとからなる。前,後固定枠41E,42Eに支持され、可動枠43Eを光軸O方向に進退可能に支持するガイド軸44Eは、Dカット面44Eaを有しており、ボール部材84Eは、Dカット面44Eaに対向し、当接可能状態で配置されている。なお、アダプタレンズ装置4Eには可動枠付勢機構駆動回路(図示せず)が設けられる。ここで、バネ支持板85Eは板バネ形状に替えてコイルバネ(圧縮、捩り)や皿バネ等に置き換えることも提案することができる。
【0167】
この可動枠付勢機構81Eは、ウォブリング駆動機構50Cの動作状態に連動して駆動される。すなわち、ウォブリング駆動機構50Cの非動作状態にあるときは、上記可動枠付勢機構駆動回路を介して積層圧電素子82Eに駆動電圧が印加されず、積層圧電素子82Eが光軸O方向に伸張してガイド軸44EのDカット面44Eaに当接する。この当接状態では、可動枠43Eは、光軸O方向の移動が規制され、所定の初期位置にロック保持される。ウォブリング駆動機構50Cの動作状態になると、積層圧電素子82Eの駆動電圧(直流バイアス電圧、即ち、オフセット電圧)が印加された状態に切り替えられ、積層圧電素子82Eが光軸O方向に収縮してガイド軸44EのDカット面44Eaから離れる。この離間状態でウォブリング駆動機構50Cによるウォブリング動作が実行され、負荷抵抗が減る。なお、積層圧電素子82の伸縮ストロ−クは10〜20μm程度あればよい。
【0168】
本変形例の可動枠付勢機構81Eを適用するアダプタレンズ装置4Eによれば、ウォブリング非動作状態では、可動枠43Eが所定の初期位置にロック保持され、ウォブリング動作状態では、可動枠43Eが可動枠付勢機構81Eからフリーの状態になり、ウォブリング駆動機構50Cの負荷が減少した状態になり、駆動コイル48Cの消費電力が抑えられる。さらに、可動枠付勢機構81Eをガイド軸44Eの上部に配置することにより、前述した第二の変形例のように可動枠付勢機構81を前,後固定枠と可動枠の間に配置する必要がなく、前,後固定枠41E,42Eと可動枠43Eより接近させることが可能になる。従って、アダプタレンズ装置4Eの光軸O方向の長さを短縮することができる。また、前,後固定枠41E,42Eの厚みを増やすことも可能であり、剛性度合いの高いアダプタレンズ装置が得られる。
【0169】
上述した第二の変形例の可動枠付勢機構81Eは、図28に示すようにガイド軸44E上の一箇所にボール部材84Eを当接させる構造を有しているが、これに替えて、複数の可動枠付勢機構81Eをガイド軸44E上に配置し、複数箇所にボール部材84Eを当接させるさらなる変形例も提案可能である。例えば、ガイド軸44EのDカット面44Eaの軸延長線上に離間した状態で2組の可動枠付勢機構81Eのボール部材84Eを並べて当接させる配置が提案できる。さらには、一方のガイド軸44Eに対して2組の可動枠付勢機構81Eのボール部材84Eを当接させ、他方のガイド軸44Eに対して1組の可動枠付勢機構81Eのボール部材84Eを当接させる配置も提案できる。また、2本のガイド軸44Eに対してそれぞれ単一、または、2つのボール部材84Eを当接させる配置やボール部材をコロ部材にすることも可能である。このような配置を採用することで非ウォブリング動作時、可動枠43Eを保持する力をさらに大きくすることができる。
【0170】
また、他の変形例として、図19に示すアダプタレンズ装置4Bにおいて、錘部材64、板バネ65、押圧バネ66、軟性ゴム部材67との部品を使用せず、押圧バネ66の代わりに図29に示す可動枠付勢機構81Eを前固定枠60に取り付け、可動レンズ枠43Bとカイド軸44Eが像側端面で接合されている。可動レンズ枠43B内で重心点を通り光軸O方向に直交する平面内において、図29に示す可動枠付勢機構81E内のボール84Eと積層圧電素子82Eの中心が一致するように取り付ける。摩擦ガイド軸61は図29に示すガイド軸44Eを用いる。可動レンズ枠43Bとカイド軸44Eが像側端面で接合されている。ウォブリング動作時、上記ウォブリング駆動回路により積層圧電素子(第1という)63に駆動電圧が印加されると、積層圧電素子63は光軸O方向に伸縮する。積層圧電素子63の伸縮により柔らかいシリコンゴム等の球状ゴム部材68の付勢力に抗して積層圧電素子63と可動レンズ枠43Bとガイド軸44Eと、が光軸O方向に移動可能とする。ガイド軸44Eは積層圧電素子(第2という)81E、82Eとボール84Eとの付勢力で押圧されており、該ガイド軸44Eとボール84Eとの摩擦力によってウォブリングレンズ53を保持する可動レンズ枠43Bが光軸O方向に小振幅振動、すなわち、ウォブリング動作を行わせることが可能となり、装置として小型化となる。類似特許として、特開2010−204403号公報がある。
【0171】
上述した各実施形態では、レンズ鏡筒とアダプタレンズ装置とがマウントリングにより着脱可能となっているが、この構成に限らず、マスターレンズ鏡筒内にウォブリングレンズ駆動機構およびウォブリングレンズを含むアダプタレンズが組み込まれた構成のものも提案可能である。
【0172】
また、上述した各実施形態では、フォーカスレンズおよびウォブリングレンズが単一のレンズで構成されているが、それぞれ複合のレンズ群(例えば、凹凸レンズの接合など)で構成されていてもよい。
【0173】
また、上述した各実施形態のアダプタレンズ装置において、前固定枠、後固定枠に対して金属製マウントリングがねじ止め等により固着されるが、これに替えて、金属製マウントリングに対して例えば、ガラス繊維やカーボン繊維が含有されたポリカーボネート樹脂の前固定枠、後固定枠をアウトサート成形により一体化したものを採用することも可能である。
【0174】
この発明は、上述した各実形態や変形例に限ることなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得る。あるいは、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、
(付記)
(1)上記ウォブリング駆動機構は、上記物体側レンズ群の物体側端面と上記像側レンズ群の像側端面との間に配置され、上記可動枠に一体的に配置される第1の積層圧電素子およびガイド軸と、上記固定枠に配置される可動枠付勢機構81を具備し、第2の積層圧電素子による押圧により該可動枠付勢機構81内のボール、または、ローラと上記ガイド軸と、を摺動可能とすることを特徴とする上述した本発明のアダプタレンズ装置に記載のもの。
【産業上の利用可能性】
【0175】
上述のように本発明のウォブリング機能を備えたアダプタレンズ装置および該アダプタレンズ装置をフォーカスレンズと一体化したレンズ鏡筒として、光軸方向の厚みおよび外径の増大させることなく、消費電力の低減も実現可能である。あるいは対応可能な交換式のレンズ鏡筒の種類も確保できるアダプタレンズ装置およびレンズ鏡筒として利用可能である。
【符号の説明】
【0176】
2…カメラボディ(カメラ本体)
3…レンズ鏡筒
4,4B,4C,4D,4E,4S…アダプタレンズ装置
18…撮像素子
24…アダプタ像側マウントリング
25…アダプタ物体側マウントリング
31…第一レンズ群
32…第二レンズ群
33…フォーカスレンズ
41,41B,41C,41D,41E,41S…前固定枠(固定枠)
42,42B,42C,42D,42E,32S…後固定枠(固定枠)
43,43B,43C,43D,43E,43S…可動枠
45,45C…永久磁石
48,48C…駆動コイル
50,50C,60,90…ウォブリング駆動機構
51,51C…物体側レンズ群
52,52C…像側レンズ群
53,53C…ウォブリングレンズ
61…摩擦ガイド軸
62…振動伝達部材
63…積層圧電素子
66…弾性押圧部材
92…軸部材
93…ナット部材
95…圧電素子
Db…ウォブリングレンズの外径
Da…物体側レンズ群または像側レンズ群の外径
AL,ALC…アダプタレンズ群
ML…マスターレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカシングのために光軸方向に移動するフォーカスレンズを含むマスターレンズを備えたレンズ鏡筒と撮像素子を備えたカメラ本体との間に装着可能なアダプタレンズ装置であって、
略等倍の倍率を有し、負レンズからなる物体側レンズ群と、負レンズからなる像側レンズ群と、上記物体側レンズ群の端面と上記像側レンズ群の端面との間に配され、上記フォーカスレンズを移動させる方向を検知するために光軸方向に往復移動するウォブリング動作を行う正レンズからなるウォブリングレンズとで構成されるアダプタレンズ群と、
上記物体側レンズ群および像側レンズ群を保持し、物体側端面と像側端面にマウントリングを備えた固定枠と、
上記ウォブリングレンズを保持し、上記固定枠に対して光軸方向に進退可能に支持される可動枠と、
上記固定枠および可動枠に組み込まれ、上記ウォブリングレンズを微小振動駆動するウォブリング駆動機構と、
を有することを特徴とするアダプタレンズ装置。
【請求項2】
上記ウォブリング駆動機構は、上記物体側レンズ群の物体側端面と上記像側レンズ群の像側端面との間に配置され、上記可動枠に一体的に配置された駆動コイルと、上記固定枠に該駆動コイルと対向する位置に配置される永久磁石およびヨークとを備えていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項3】
上記永久磁石は、異極対向配置されていることを特徴とする請求項2に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項4】
上記ウォブリング駆動機構は、上記物体側レンズ群の物体側端面と上記像側レンズ群の像側端面との間に配置され、上記可動枠に一体的に配置される弾性押圧部材と、上記固定枠に配置される部材として積層圧電素子と、振動伝達部材と、該振動伝達部材と上記弾性押圧部材とに接触して結合する摩擦ガイド軸とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項5】
上記ウォブリング駆動機構は、上記物体側レンズ群の物体側端面と上記像側レンズ群の像側端面との間に配置され、上記可動枠に一体的に配置されるナット部材と、上記固定枠に配置される部材として圧電素子と、上記圧電素子に接触結合するロータ部材を有し、上記ナット部材に螺合する雄ねじ部を有する軸部材とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項6】
上記アダプタレンズ群を構成する上記ウォブリングレンズの外径は、上記物体側レンズ群と像側レンズ群の少なくとも一方のレンズ群の外径より大きいことを特徴とする請求項1に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項7】
上記アダプタレンズ群は、Dカット形状またはダブルDカット形状を有していることを特徴とする請求項1記載のアダプタレンズ装置。
【請求項8】
上記固定枠は、カーボンまたはガラス繊維が含まれた合成樹脂製のレンズ枠からなり、該固定枠に対して金属製の上記物体側端面のマウントリングと上記像側端面のマウントリングの少なくとも一方のマウントリングが成形により一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項9】
上記可動枠、または上記固定枠に積層圧電素子と付勢力バネの可動枠付勢機構を有することを特徴とする請求項1に記載のアダプタレンズ装置。
【請求項10】
上記フォーカシングのために光軸方向に移動するフォーカスレンズを含むマスターレンズを備えたレンズ鏡筒アダプタレンズ装置が組み込まれて一体化することを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
上記マスターレンズは、撮像面上に像を形成する二群構成のズームレンズであって、物体側から像側の順に負屈折力の第一レンズ群と、正屈折力の第二レンズ群とからなり、上記第二レンズ群の一部は、光軸方向へ移動してフォーカシング駆動されることを特徴とする請求項9記載のレンズ鏡筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−189711(P2012−189711A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52050(P2011−52050)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】