説明

アッセイ試薬を具備するアッセイモジュールとその製造方法およびその使用方法

【課題】化学的、生化学的および/もしくは生物学的アッセイを実施するための改良されたアッセイモジュールを提供する。また、それらの作成の過程、およびアッセイを実施するためのそれらを使用する方法についても提供する。
【解決手段】試薬は独立して、もしくはアッセイモジュール内のコンパートメント(たとえばチャンバー、チャネル、フローセル、ウェルなど)の表面、または、コロイド、ビーズ、もしくは他の微粒子支持体を含む固相に支持されて存在することが出来る。特に、乾燥試薬がこれらアッセイモジュールのコンパートメントに組み込まれることが出来、アッセイ方法に従ってそれらを使用する前に復元される。デシカント剤をそれらの試薬を乾燥状態に維持し、安定化させるために用いる事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する言及
本特許出願は、2005年12月21日に出願された米国仮特許出願第60/752,475号、2005年12月21日に出願された米国仮特許出願第60/752,513号、および2006年12月21日に出願された「アッセイ装置、方法および試薬」と題された米国仮特許出願第11/___,___号(Atty.Dkt.番号4504−16)に基づく優先権を主張し、これらのそれぞれがこの参照により本明細書に含まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、国防省により授与された授与番号HDTRA1−05−C−0005に基づく連邦政府の支援で作成された。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、たとえばアッセイプレート、カートリッジ、マルチウェルアッセイプレート、反応槽のようなアッセイモジュール、ならびに、化学的、生化学的および/もしくは生物学的アッセイを行うための方法に関するものである。本発明はまた、乾燥試薬をそれらのモジュールに組み込むこと、および/もしくは、それらの方法において乾燥試薬を用いることに関するものでもある。
【背景技術】
【0004】
幾多もの方法およびシステムが、化学的、生化学的および/もしくは生物学的アッセイを実施するために開発されてきた。これらの方法およびシステムは、医療診断、食料及び飲料の検査、環境監視、製造品質管理、創薬ならびに、基礎科学研究を含むさまざまな用途において必要不可欠である。
【0005】
用途に応じて、アッセイ方法およびシステムが一つもしくはそれ以上の次の特徴を持つことが望ましい。i) 高生産性、ii) 高感度性、iii) 広いダイナミックレンジ、iv) 高い精度および/もしくは正確さ、v) 低コスト、vi) 少ない試薬の消費、vii) サンプル操作およびサンプル処理のための既存の器具との互換性、viii) 結果まで短時間、ix) 多重化可能性、ならびに、x) 干渉物および複合サンプルマトリックスに対して低感度。多くの用途において、実施するのが簡単で自動化可能で、および/もしくは、安定した乾燥試薬を用いるアッセイのフォーマットによって、これらのタイプの性能の利点が達成されることもまた望ましい。これらの特徴を持った新しいアッセイ方法及びシステムには多大な価値がある。
【0006】
アッセイのための試薬を乾燥の安定したフォームで提供するさまざまな種類のアプローチが開発されてきた。特許文献1は液体中で溶解することのできる特定の乾燥試薬球について記載している。
【0007】
特許文献2は、乾燥試薬及び時間分解蛍光検出を用いる特定のイムノアッセイについて記載している。捕捉抗体はマイクロタイターウェルの表面上に固定されている。カーボハイドレートおよび/もしくはたんぱく質を具備している絶縁層は、ウェル底部の捕捉抗体の上部において乾燥させられている。標識された抗体は少量の容量で加えられ、そして絶縁層の上部で乾燥させられている。抗体は解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)技術を用いて検出することができるランタニドキレートによって標識されている。イムノアッセイを開始するために、サンプル及び共通のアッセイバッファーが加えられる。抗体の反応が起こるようにしたのち、ウェルは数回洗浄され、DELFIA促進バッファーが加えられ、蛍光寿命測定が実施される。
【0008】
特許文献3は2.8μmの磁化可能なポリスチレンビーズ上に固定された捕捉抗体および電気化学発光標識により標識された検出抗体を含有する凍結乾燥された混合物を具備した試験管を使用するサンドイッチイムノアッセイについて記載している。混合物はまた、凍結乾燥過程における検出抗体のビーズへの非特異的な結合を減少するブロッキング剤を含んでもよい。関心のある検体を含むサンプルを加えることは、ビーズ上でのサンドイッチ複合体の形成という結果をもたらす。ビーズの懸濁物は再利用可能なフローセルへと吸引され、そこで電場上に集められ、電気化学発光(ECL)検出技術を用いて分析される。
【0009】
Wohlstadterらによる特許文献4は、乾燥試薬を用いるECLに基いたサンドイッチイムノアッセイについて記載している。捕捉抗体は複合電極の上に固定されていた。アッセイに用いられるその他の試薬は、ECL標識に結合された検出抗体、リン酸塩、トリプロピルアミン、ウシ血清アルブミン、スクロース、クロロアセトアミド、およびTriton X−100を含有している溶液を加えて凍結乾燥することによって電極表面上で乾燥させられていた。イムノアッセイは、サンプルを電極上の乾燥した試薬に対して加え、溶液をインキュベートし、そしてECLを誘起するように電極に電位がかけられることによって実施された。洗浄のステップは必要とされなかった。
【0010】
アッセイの生産性を増加させるさまざまな技術が開発されてきた。マルチウェルアッセイプレート(マイクロタイタープレートもしくはマイクロプレートとしても知られている)の利用はプレートの多数のウェルに分配された多数のサンプルの平行処理および平行分析を可能にする。マルチウェルアッセイプレートは様々なフォーム、サイズおよび形をとることができる。便宜上、高生産性アッセイのためのサンプルを処理するために用いられる器具にはいくつかの標準規格が見られる。マルチウェルアッセイプレートは、通常は、標準的なサイズおよび形に作られ、標準的な配列のウェルを有している。ウェルの配列は96ウェルプレート(12×8のウェルのアレイ)、384ウェルプレート(24×16のウェルのアレイ)および1536ウェルプレート(48×32のウェルのアレイ)に見られるものを含んでいる。生体分子スクリーニング学会(The Society for Biomolecular Screening)は、様々なプレートフォーマットのための推奨するマルチプレートの規格について公開してきた(http://www.sbsonline.orgを参照の事)。
【0011】
Wohlstadterらによる特許文献5および特許文献6ならびにそれぞれの公開されたものである特許文献7および特許文献8は、マルチウェルプレートのフォーマットにおいて単一のおよび多重のECLアッセイを実施するのに有用な解決策について記載している。それらはウェルの壁部を形成するスルーホールを伴ったプレート頂部と、プレート頂部に対してシールされてウェルの底部を形成するプレート底部とを備えるプレートを含む。プレート底部は、結合反応のための固相支持体とおよびECLを誘起する電極との両方として働く電極表面をウェルに提供するパターン化された導電層を具備する。導電層はまた、電極表面に対して電位エネルギーを適用するための電気接触を含有しても良い。
【0012】
そのようなアッセイを実施するための既知の方法及びシステムにも関わらず、化学的、生化学的および/もしくは生物学的アッセイを実施するための改良されたアッセイモジュールが必要とされている。
【特許文献1】米国特許第5,413,732号
【特許文献2】米国特許第6,429,026号
【特許文献3】米国特許公開第2003/0108973号
【特許文献4】米国特許第6,673,533号
【特許文献5】米国特許出願第10/185,274号
【特許文献6】米国特許出願第10/185,363号
【特許文献7】米国特許公開第2004/0022677号
【特許文献8】米国特許公開第2005/0052646号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ウェル、チャンバーもしくはアッセイモジュール内のアッセイ領域に予め組み込まれたアッセイ試薬を具備するアッセイモジュール(例えば、アッセイプレート、カートリッジ、もしくはマルチウェルアッセイプレート、反応槽等)に関係する。ある実施形態では、それらのアッセイ試薬は乾燥状態で保存される。さらにアッセイモジュールは、それらのアッセイ試薬を安定した乾燥状態に維持するためにデシカント剤を含有していても良い。このようなアッセイモジュールを作成するための方法や、アッセイにおいてアッセイモジュールを用いる方法も提供される。
【0014】
マルチウェルプレートは、(1)その上に固定された1つ目の結合試薬を具備している結合表面と、(2)少なくとも一つの追加の乾燥試薬と、を含有した少なくとも一つのウェルを含有して提供され、そこで少なくとも一つの追加の乾燥試薬は結合表面と接触していない。マルチアッセイプレートは、マルチウェルプレートの少なくとも一つのウェルに組み込まれた結合表面を伴う電極表面を具備していても良い。
【0015】
マルチウェルアッセイプレートは内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備えて提供され、複数のウェルはその上に固定された捕捉試薬を具備する結合表面と復元可能な乾燥試薬とを含有している。任意選択で、結合表面は、電気化学アッセイもしくは電気化学発光アッセイにおける電極としての使用に適するように選択されても良い。さらに、結合表面は復元可能な保護層によって覆われていても良い。乾燥試薬は、標識された検出試薬であっても良く、独立しているか、結合表面と重なり合わないウェルの表面上に配置されている。一つの具体例において、結合表面がウェルの底部に配置されており、復元可能な乾燥試薬がウェルの壁部および任意選択で壁部に画定された試薬貯蔵棚に配置されている。他の例では、結合表面および復元可能な乾燥試薬はどちらも、ウェルの底面の重なり合わない領域に配置されている。他の具体例では、復元可能な乾燥試薬は独立した錠剤である。
【0016】
マルチウェルアッセイプレートは、固定された捕捉試薬に対しておよび/もしくは、もし存在するなら標識された検出試薬に対して結合親和性を具備する復元可能な乾燥アッセイコントロール検体をさらに含有していても良い。特定の実施形態では、コントロール検体は、ウェル内の、固定された捕捉試薬および/もしくは標識された検出試薬に対して親和性を有しているが、結合表面もしくは標識された検出試薬とは接触しておらず、非結合状態で存在する。
【0017】
マルチウェルアッセイプレートは一つもしくはそれ以上の固定された捕捉試薬をさらに含有していてもよい。捕捉試薬と追加の捕捉試薬は結合表面上でパターン化され、結合表面上に結合領域のアレイを形成する。これらの結合領域/捕捉試薬は結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっているであろう。さらに、ウェルは複数の異なった復元可能な乾燥の標識された検出試薬を含有しても良く、それらは結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている。
【0018】
上述のマルチウェルプレートは、固定された捕捉試薬および復元可能な乾燥の標識された検出試薬を有した一つもしくはそれ以上のウェルに対してサンプルを加え、それらのウェル内で復元可能な乾燥材料を復元して反応混合液(複数可)を生成し、前記捕捉試薬および検出試薬によるそれらの対応する結合パートナーに対する結合を促進するような条件において反応混合液(複数可)をインキュベートし、固定された捕捉試薬と標識された結合試薬とからなる複合体の形成を測定することを含有するアッセイを実施する方法に使用してもよい。捕捉試薬および検出試薬の適切な選択によって、これらの方法はサンドイッチ結合アッセイ法および競合的結合アッセイ法を含有する。
【0019】
プレートの少なくとも二個のウェルにおいて以下のステップを実施することを含む、アッセイにおいて使用するためのマルチウェルアッセイプレートを作成する方法が提供される:前記プレートのウェルの表面上に捕捉試薬を固定し結合表面を形成するステップと、結合表面と重なり合わないウェル上の表面に標識された検出試薬を含む液体試薬を分注するステップと、液体試薬を乾燥させ復元可能な乾燥の検出試薬を形成するステップ。方法は結合表面上に保護試薬を分注し、そして保護試薬を乾燥させ結合表面上に復元可能な乾燥保護層を形成するステップを含んでも良い。たとえば、保護試薬は、標識された検出試薬を含有している液体試薬の分注に先立って、分注され乾燥させられる。
【0020】
一つの具体的な実施形態では、結合表面はウェルの底部表面にあり、液体試薬はウェルの重なり合わない底部表面上もしくはウェルの壁部上に分注される。任意選択で、壁部は液体貯蔵棚を含有しており、液体試薬は(i)棚の上に分注され乾燥させられるかもしくは(ii)壁を流れ落ちる液体試薬が集まり結果的に棚において乾燥するように、棚の上側の位置で壁部に分注される。
【0021】
プレートを作成する方法はまた、一つもしくはそれ以上の追加の捕捉試薬を固定し、それによって結合表面上に結合パートナーに対するそれらの特異性もしくは親和性において異なる結合領域のアレイを形成することを含有する。同様に、液体試薬は、結合パートナーに対するそれらの特異性もしくは親和性において異なる一つもしくはそれ以上の追加の標識された検出試薬を含有しても良い。さらに、方法は、捕捉試薬もしくは標識された検出試薬に対する結合親和性を持ったアッセイコントロール検体を含有した追加の液体試薬が分注され、乾燥させられることを含有していても良く、ここで液体試薬は捕捉試薬もしくは標識された検出試薬と接触しないように分注され乾燥させられている。
【0022】
上述の方法の一つの代替的な実施形態では、標識された検出試薬を含有した液体試薬の分注および乾燥は省略され、復元可能な乾燥の標識された検出試薬は、例えば独立した錠剤のような独立したフォームで加えられる。好ましくは、検出試薬を加えるよりも先に、保護試薬が結合表面上に分注され乾燥させられて復元可能な保護層を形成する。方法はまた、一つもしくはそれ以上の追加の捕捉試薬を固定し、それによって、前記結合表面の上に、結合パートナーに対するそれらの特異性もしくは親和性において異なっている結合領域のアレイを形成することを含有しても良い。同様に、復元可能な乾燥試薬は、結合パートナーに対するそれらの特異性もしくは親和性において異なっている、一つもしくはそれ以上の追加の標識された検出試薬を含有していても良い。さらに方法は、ウェルに捕捉試薬および/もしくは検出試薬に対する結合親和性を有したアッセイコントロール検体を含有した追加の独立した乾燥試薬を加えることを含有していても良い。
【0023】
マルチアッセイプレートは内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を含有し提供され、a)1番目の復元可能な乾燥試薬を保持した複数の1番目の試薬ウェルおよびb)2つ目の乾燥試薬を保持した複数の2番目の試薬ウェルを含有し、ここで、1番目の試薬と2番目の試薬はアッセイを実施するにあたって対応した試薬である。方法はそれらプレートにおいてアッセイを行うために提供され、a)1番目の試薬ウェルの一つにサンプルを加え、b)1番目の試薬ウェル内の復元可能な乾燥の標識された検出試薬を復元して反応混合液を形成し、c)反応混合液の一定分量を一つもしくはそれ以上の2番目の試薬ウェルへと移し、そしてd)2番目の試薬ウェル(複数可)において、反応混合物をインキュベートし、それによって前記サンプルにおける前記アッセイを実施することを含有する。一つの実施形態において、マルチウェルアッセイプレートは一つの1番目の試薬ウェルと一つもしくはそれ以上の2番目の試薬ウェルからなる複数のウェルのセットに分割でき、方法はさらに、それぞれのウェルのセットにおいて、(a)〜(d)のステップを繰り返すことを含有する。
【0024】
1番目および2番目の試薬ウェルを具備したマルチウェルプレートの一つの具定的な実施形態において、1番目の試薬ウェルは規則的な二次元パターンに配列され、そして前記1番目の試薬ウェルはウェルの床面とウェルの壁部を具備しており、ここでウェル壁部は内側壁部表面と外側壁部表面を有している。さらに、2番目の試薬ウェルはウェルの床面とウェルの壁部とを具備しており、ここでウェルの壁部は、検出ウェルの外側ウェル壁部表面と近接した検出ウェルの外側壁表面に接続したリブ要素とによって画定されている。任意選択で、1番目の試薬ウェルは丸いウェル開口周を具備しており、ならびに/または、1番目の試薬ウェルは8×12の四角のアレイに配列されている。
【0025】
マルチアッセイプレートは内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備えて提供され、a)複数の検出ウェルでそれぞれの検出ウェルがその中に固定された捕捉試薬を具備した結合表面を含有しているものと、b)複数の試薬復元ウェルでそれぞれの試薬復元ウェルが復元可能な標識された検出試薬を含有しているものとを備えており、ここで少なくとも一つの検出ウェルおよび一つの試薬復元ウェルは関心のある検体を測定するための対応した捕捉試薬と検出試薬を含有している。任意選択で、結合表面は電気化学アッセイもしくは電気化学発光アッセイにおける電極としての使用に適したように選択しても良い。一つの実施形態において、検出試薬ウェルおよび試薬復元ウェルは、一つの試薬復元ウェルおよび一つもしくはそれ以上の検出ウェルからなる複数のアッセイセットにグループ化され、ここで一つのセット内の試薬復元ウェルおよび検出ウェルは関心のある検体を測定するための対応した捕捉試薬と検出試薬を含有している。それらのセットは一つの試薬復元ウェルと一つの検出ウェルとから構成されていても良い。
【0026】
検出ウェルと試薬復元ウェルとを具備したマルチウェルプレートの一つの具体的な実施形態は、
a)複数の検出ウェルを備え、前記検出ウェルは
i)ウェルの床面とウェルの壁部を具備し、前記ウェルの壁部は内側壁表面と外側壁表面を有していて
ii)規則的な二次元パターンに配列され、
iii)それぞれの前記検出ウェルの内側表面上に、内部に固定された捕捉試薬アレイを有した結合表面を含有しており、
b)複数の試薬復元ウェルを備え、前記試薬復元ウェルは
i)ウェルの床面とウェルの壁部を具備し、前記ウェルの壁部は前記検出ウェルの外側壁表面と近接した検出ウェルの外側壁表面に接続したリブ要素とによって画定され
ii)それぞれの試薬復元ウェルにおいて、復元可能な乾燥の標識された検出試薬を含有している。
【0027】
任意選択で、検出ウェルは凹の角も凹の曲面も伴わない(たとえば丸い周囲の)ウェル開口周を具備しており、そして、試薬復元ウェルは凹の角もしくは凹の曲面を伴うウェル開口周を具備している。
【0028】
検出ウェルと試薬復元ウェルを伴ったマルチウェルプレートの検出ウェルもしくは試薬復元ウェルは、さらに復元可能な乾燥したアッセイコントロール検体を含有していても良い。検出ウェルはまた、一つもしくはそれ以上の追加の固定された捕捉試薬を含有していても良い。一つの実施形態において、捕捉試薬は、結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なる結合領域のパターン化したアレイを結合表面上に形成するようにパターン化されている。さらに、復元可能な乾燥試薬はさらに一つもしくはそれ以上の追加の標識された検出試薬を含有し、検出試薬および追加の検出試薬は、結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている。
【0029】
方法は、検出ウェルと試薬復元ウェルとを伴うマルチウェルプレートにおいて実施されるために提供される。一つの実施形態はa)試薬復元ウェルの一つにサンプルを加え、b)復元ウェル内の復元可能な乾燥の標識された検出試薬を復元し、反応混合液(複数可)を形成し、c)反応混合液の一定分量を一つもしくはそれ以上の検出ウェルへ移し、c)検出ウェル(複数可)内の反応混合液を、捕捉試薬および検出試薬のそれらの対応する結合パートナーとの結合を促進するような条件においてインキュベートし、d)固定された捕捉試薬と標識された結合試薬とを含有する複合体の形成を測定する。任意選択で、マルチウェルアッセイプレートは一つの1番目の試薬ウェルと一つもしくはそれ以上の2番目の試薬ウェルからなる複数のセットに分割でき、方法はさらに、それぞれの前記ウェルのセットに対して(a)〜(d)のプロセスを繰り返すことを含有している。
【0030】
マルチウェルアッセイプレートは内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備え、ウェルはウェルの床面とウェルの壁部とを具備し、ウェルの壁部は前記床面から前記床面の上の高さhまで延伸し、前記壁は高さhに棚要素を提供するように成形され、ここで0<h<hである。ウェルは、四角の格子に配列された4×6、8×12、16×24、および32×48のウェルのアレイを含む、標準的なマルチウェルプレートフォーマットに配列することが出来る。ある実施形態では、hは、0.02h、0.05hもしくは0.1hよりも大きいかもしくはそれと等しいが、0.1h、0.25hもしくは0.5hよりも小さいかもしくはそれと等しい。他の実施形態では、hは約0.1mm、0.2mm0.5mmもしくは1mmよりも大きいかもしくはそれと等しいが、1mm、2mmもしくは5mmよりも小さいかもしくはそれと等しい。棚要素は乾燥試薬を保持するのに用いられても良い。このように他の実施形態は、棚上の復元可能な乾燥試薬を伴うプレートである。方法はアッセイの使用のためのプレートを作成するために提供され、棚要素を具備するマルチウェルプレートのウェルに液体試薬を分注することと、試薬を乾燥させ復元可能な乾燥試薬を形成することとを含有し、ここで試薬は、棚上に分注され乾燥させられるかまたは、ウェルの壁部を流れ落ちる液体試薬が棚の上に集まり乾燥させられるようにウェルの棚の上部に分注され、乾燥させられる。
【0031】
ウェルと棚要素とを伴うプレートのある実施形態において、プレート本体はワンピースの射出成形部品である。他の実施形態においては、プレートの本体は、ウェルの壁部を画定する複数のスルーホールを具備するプレート頂部と、前記プレート頂部に対してシールされウェルの床面を画定するプレート底部とを備える。任意選択で、プレート底部は、ウェルの内部ボリュームに露出し、電気化学アッセイもしくは電気化学発光アッセイにおいて使用することも出来る導電性の電極表面を提供する。
【0032】
マルチウェルプレートは
a)内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備え、プレート本体は
i) 乾燥アッセイ試薬を含有している複数のアッセイウェルと
ii)デシカントを含有している複数のデシカントウェルとを備え、
b)前記プレート本体に対してシールされ、それによって前記複数のウェルを外部環境から分離するプレートシールとを備え、
提供される。
【0033】
プレートは任意選択で、ウェルが標準的なウェルの配列(例えば、四角の格子にアレンジされた4×6、8×12、16×24もしくは32×48のウェルのアレイ)になるように配列することが出来る。適当なアッセイウェルの構成は、上述の実施形態に記載されたように乾燥試薬(例えば、捕捉試薬および/もしくは検出試薬)を伴うウェルを含むが、これに限定するものではない。有利にも、デシカントウェルは乾燥導管によってアッセイウェルへと接続されていても良く、導管はアッセイウェルからデシカントウェルへの水蒸気の拡散を可能にするが、アッセイウェル内の乾燥アッセイ試薬の位置より上部の高さでウェルと交差する。一つの実施形態において、そのような導管は、アッセイウェルをデシカントウェルへと接続するプレート本体の上面に埋め込まれたチャネルに対してプレートシールをシールすることによって提供されても良い。ある実施形態において、前記プレートのウェルは少なくとも一つのアッセイウェルと少なくとも一つのデシカントウェルとを備える複数のアッセイパネルに分割されている。それらの実施形態において、アッセイパネル内のウェルは乾燥導管を介して相互接続されているが、他のアッセイパネル内のウェルへは接続されていない。一つの具体的な実施形態において、アッセイパネルは一つのアッセイウェルと一つのデシカントウェルとを備える。
【0034】
アッセイウェルとデシカントウェルとを伴うマルチウェルプレートの一つの実施形態において、アッセイウェルは、中に固定された捕捉試薬を具備していている結合表面と復元可能な乾燥の標識された検出試薬とを含有している。アッセイウェルはさらに一つもしくはそれ以上の追加の固定された捕捉試薬を含有していてもよく、捕捉試薬および追加の捕捉試薬は前記結合表面上に結合領域のパターン化したアレイを形成し、ここで結合領域は結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている。さらに、復元可能な乾燥試薬はさらに一つもしくはそれ以上の追加の標識された検出試薬を含有していてもよく、検出試薬および追加の検出試薬は検出パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている。任意選択で、結合表面は電気化学発光アッセイにおいて電極として用いられるのに適している。
【0035】
アッセイウェルとデシカントウェルとを伴うマルチウェルプレートのある実施形態において、プレート本体はワンピースの射出成形部品である。代替として、プレート本体は、ウェル壁部を画定する複数のスルーホールを具備しているプレート頂部と、前記プレート頂部に対してシールされウェルの床面を画定するプレート底部とを備えていても良い。前記スルーホールおよびプレート底部はすべてのウェルまたは、たとえば前記アッセイウェルのみもしくは前記デシカントウェルのみというように、ウェルの一部のみを画定してもよい。任意選択で、プレート底部はウェルの内部ボリュームに対して露出している導電性の電極表面を提供しても良い。
【0036】
マルチウェルプレートはまた、
a)乾燥アッセイ試薬を含有して内部に形成された複数のウェルを伴うプレート本体を含有し、前記プレート本体はウェルの壁部を画定する複数のスルーホールを具備するプレート頂部と前記プレート頂部に対してシールされウェルの床面を画定するプレート底部とを含有し、
b)前記プレート本体に対してシールされ、それによって前記複数のウェルを外部環境から隔離するプレートシールを含有し、
c)デシカント剤を含有して
提供される。
【0037】
プレートは任意選択で、ウェルが標準的なウェルの配列(例えば、四角の格子にアレンジされた4×6、8×12、16×24もしくは32×48のウェルのアレイ)になるように配列することが出来る。プレート底部は任意選択で、ウェルの内部ボリュームに対して露出される導電性の電極表面を提供してもよい。アッセイウェルの適した構成は上述の実施形態に記載のように、乾燥試薬(例えば、捕捉試薬および/もしくは検出試薬)を伴うウェルを含むがこれに限定するものではない。ある実施形態において、デシカントは、プレートシール内、プレートシールとプレート頂部との間のガスケット層、プレート頂部、プレート頂部とプレート底部との間のガスケット層、および/もしくはプレート底部に含有される。例えば、デシカントはこれらの構成要素、もしくはこれらの構成要素上のコートなどに含浸されている。代替として、プレート本体は一つもしくはそれ以上のデシカントを保持した追加のウェルを画定しても良い。
【0038】
一つの実施形態において、アッセイウェルは内部に固定された捕捉試薬を具備した結合表面と復元可能な検出試薬とを含有している。任意選択で、結合表面は電気化学アッセイもしくは電気化学発光アッセイにおける電極として使用するのに適したものである。アッセイウェルはさらに、一つもしくはそれ以上の追加の固定された捕捉試薬を含有していて、捕捉試薬および追加の捕捉試薬は前記結合表面上に結合パートナーに対する特異性と親和性において異なる結合領域のパターン化されたアレイを形成する。さらに、復元可能な乾燥試薬は、一つもしくはそれ以上の追加の標識された検出試薬をさらに含有し、検出試薬および追加の検出試薬は結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
われわれは、ウェルの中、チャンバーもしくはアッセイモジュール内のアッセイ領域に予め組み込まれたアッセイ試薬を具備したアッセイモジュール(たとえば、アッセイプレート、カートリッジ、マルチウェルアッセイプレート、反応槽など)について記載する。ある実施形態ではこれらのアッセイ試薬は乾燥状態で保存される。さらに、アッセイモジュールはアッセイ試薬を乾燥状態に保つためにデシカント剤を含有していても良い。アッセイ試薬を予め組み込まれたアッセイモジュールは、アッセイ測定のスピードを大幅に改善しアッセイ測定の複雑さを減ずる一方で、保管の間のすばらしい安定性を維持する。われわれはまた、そのようなアッセイモジュールの作成方法ならびにアッセイにおけるアッセイモジュールの使用方法についても記載する。
【0040】
乾燥アッセイ試薬は、乾燥させることが可能でアッセイにおいて用いる前に復元する事が可能ないずれのアッセイ試薬でも良い。それらは、結合アッセイにおいて有用な結合試薬、酵素、酵素の基質、指示染料および他の関心のある検体の検出に使用できる反応性化合物を含むが、これらに限定するものでない。アッセイ試薬は直接的に検出のメカニズムには含まれないが、アッセイにおいて補助的な役割を果たす物質を含んでも良く、そのような物質はブロッキング剤、安定剤、界面活性剤、塩、pH緩衝剤、防腐剤などを含むが、これらに限定するものではない。試薬は独立して存在するか、または、アッセイモジュール内のコンパートメント(例えば、チャンバー、チャネル、フローセル、ウェル等)の表面、あるいは、コロイド、ビーズ、もしくは他の粒子状物質の支持体表面を含む固相上に支持されている。ある実施形態において、乾燥試薬(たとえば、復元可能な乾燥試薬)が含まれ、それは、緩衝剤要素としてリン酸アンモニウムを含み、他のアンモニウム塩を含み、ならびに/または約1%(w/w)以下のもしくは約0.1%(w/w)以下のナトリウムイオンもしくはカリウムイオンを含む。
【0041】
多くの実施形態は、結合アッセイのための乾燥した捕捉試薬および乾燥した検出試薬を保持したマルチウェルプレートとの関連で記述されており、そこでは捕捉試薬および検出試薬はお互いに接触することを避けるようにプレート上に保存されている。しかしながら、当業者には明らかであろうことは、そのような実施形態を、他のいかなる数の乾燥アッセイ試薬(それらが結合試薬であろうと、固定されていてもされてなくても、標識されていてもされてなくても等)を、使用前にお互いに接触することを避けるような方法で貯蔵することへ、もっと一般的に適用することが出来るということである。同様に、多くの図面が「Y」というシンボルを試薬や結合試薬を描写するのに用いるが、特別に明言されない限りこのシンボルを使用することがこれらの試薬を抗体と制限すると解釈すべきでない。実施形態が他のタイプのアッセイモジュールのウェル以外のコンパートメント(たとえば、チャンバー、チャネル、フローセル等)で保存するアッセイ試薬へ、もっと一般的に適用できるということもまた明らかであろう。
【0042】
記述子「復元可能な乾燥」は、標識された検出試薬もしくは乾燥した復元可能な保護層等を伴う復元可能な乾燥試薬のような乾燥試薬を言及するのにも用いてよい。この専門用語は、溶液もしくは懸濁液を形成するためにサンプルもしくは溶媒を加えることよって復元される乾燥試薬を言及するのに使われる。好ましくは、それらは水溶性であるか、そうでなければ水性のサンプルを加えることによって復元可能である。比較として、「固定された」試薬は、本明細書においては、アッセイを実施する間でサンプルを加えた後も、通常は表面に残る試薬について言及するために用いられる用語であるが、積極的にそれらの試薬を表面から分離させる特別な方法があっても良い。
【0043】
復元可能な乾燥試薬は、アッセイモジュールのコンパートメント(例えばマルチアッセイプレートのウェルの中)という現場において作成されても良い。一例として、あるボリュームの液体試薬はウェルもしくは他のコンパートメントに分注され、そして乾燥(例えば、風乾、真空乾燥、凍結乾燥など)させられ、復元可能な乾燥試薬を形成する。コンパートメントの局所的な表面(例えば、ウェルの底部もしくは壁部の部分的な位置など)に限定して留まる少ないボリュームを加えることによって、結果として生ずる乾燥試薬はその位置に限定されて固定して留まることが出来る。代替的に、底部表面全体に広がるのに充分な量または接触した表面全体に渡って乾燥試薬の層を形成するようにコンパートメント/ウェルを満たすのに充分な量を加えても良い。復元可能な乾燥試薬はアッセイモジュールの外側で作成されることも出来、モジュールのコンパートメント(例えば、マルチウェルプレートのウェル)に対して乾燥フォーム(例えば、乾燥粉末としてもしくは独立した乾燥錠剤)で加えられることが出来る。本明細書において錠剤は、プレスされた乾燥タブレットもしくは凍結乾燥された乾燥ビーズ(米国特許第5,413,732号に記載されるようなもの)のような連続的に乾燥したものを言及する。
【0044】
ある実施形態は、結合アッセイを実施するのに有用な乾燥結合試薬を含むかもしくは用いる。アッセイモジュールおよび方法において用いることのできる結合試薬は、抗体、受容体、リガンド、ハプテン、抗原、エピトープ、ミミトープ、アプタマー、ハイブリダイゼーションパートナー、インターカレーターを含むが、これらに限定するものではない。適切な結合試薬の組成は、たんぱく質、核酸、薬物、ステロイド、ホルモン、脂質、多糖類、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定するものではない。核酸およびたんぱく質(特に抗体)は、結合アッセイにおいて、特に有用であることが証明されている。当業者ならば、特別な用途に対する適切な結合試薬を識別することが出来るであろう。本明細書で用いる際、抗体という用語は、元のままの抗体分子(抗体のサブユニットをインビトロで再結合することによって組み立てられたハイブリッド抗体も含む)、抗体のフラグメント、および抗体の抗原結合部位を備えるリコンビナントたんぱく質のコンストラクト(PorterとWeir著のJ.Cell.Physiol.,67(Suppl.1):51−64,1966ならびにHochmanら著のBiochemistry12:1130−1135,1973に記載されるようなもの)を含む。この用語はまた元のままの抗体分子、抗体のフラグメント、および抗体のコンストラクトで、例えば標識の導入などの化学的に修飾されたものをも含む。本明細書で使用するにあたり、核酸という用語は、一般的に、DNAおよびRNAのみでなく、Watson−Crick型もしくはHoogstein型の特異的なハイブリダイゼーション反応にDNAもしくはRNAと共に参加することが出来るアナログ(たとえば、ペプチド核酸もしくはホスホロチオエート結合の核酸のような)までも含むように適用され、ならびに、核酸という用語は、例えば標識の導入などの化学的に修飾された核酸およびアナログものをも含む。
【0045】
「捕捉試薬」という用語は本明細書において固相結合アッセイにおける使用のための結合表面を形成するために表面上に固定される結合試薬を言及するのに用いられる。アッセイモジュールおよび方法は、結合表面における結合反応への参加を測定することができる「検出試薬」という他の結合試薬を用いるかもしくは含む。検出試薬はたとえば、色、発光、放射能、磁場、電荷、屈折率、質量、化学的活性などの試薬の固有の特性を測定することによって測定できる。代替的に、検出試薬は、検出可能な標識によって標識し、標識の特性を測定することによって測定することが出来る。適切な標識は、電気化学発光標識、発光標識、蛍光標識、りん光標識、放射能標識、酵素標識、電気活性標識、磁気標識および光散乱標識を含む群より選択される標識を含むが、これらに限定するものではない。
【0046】
実施することの出来るアッセイは「サンドイッチアッセイ」であり、これは関心の或る検体に対して同時に結合することによって、結合表面上に検出試薬を隔離する効果を持つような固定された捕捉試薬および検出試薬を用いる。このように、検体の存在は表面上への検出試薬の集積を測定することによって測定することが出来る。アッセイはまた「競合的アッセイ」をも含むことが出来、i)検出試薬との結合において検体と競合する固定された捕捉試薬もしくはii)固定された捕捉試薬との結合において検体と競合する検出試薬を用いる。競合的アッセイの場合、検体の存在が、結合表面での検出検出試薬の量の測定可能な減少を導く。
【0047】
捕捉試薬もしくは検出試薬は関心のある検体へ直接的に結合する(もしくは検体と直接的に競合する)か、あるいは、一つもしくはそれ以上の橋渡し的なリガンドを介して間接的に相互作用する。従って、乾燥アッセイ試薬はそのような橋渡し的なリガンドを含んでいても良い。一例として、関心のある検体に結合するもしくは関心のある検体と競合するようなビオチンで標識した橋渡し的試薬を用いることによってストレプトアビジンもしくはアビジンを捕捉試薬もしくは検出試薬として用いても良い。同様に、関心のある検体と結合するかもしくは関心のある検体と競合するようなハプテンで標識した結合試薬を用いることによって抗ハプテン抗体を捕捉試薬もしくは検出試薬として用いる事ができる。他の例では、抗種抗体もしくはFc受容体(たとえばプロテインA、GもしくはL)を、それらの検体特異的抗体に対する結合能によって、捕捉試薬もしくは検出試薬として用いる事ができる。このような技術は結合アッセイの技術分野においてよく確立されており、当業者ならば特定の用途に対して適切な橋渡し的リガンドを容易に識別することが可能であるだろう。
【0048】
アッセイモジュール/プレートのある実施形態は結合表面を形成するようにモジュール/プレートの表面上に固定された捕捉抗体を含む。固定は、たとえばELISAアッセイもしくはアレイを基にした結合アッセイを実施するために確立されたような技術のような、固相結合アッセイの技術分野においてよく確立した固定技術を用いて実施される。一つの例では、結合試薬はマルチウェルプレートのウェルの表面に非特異的に吸着する。表面は処理をしていなくても良いし、あるいは表面の吸着力を高めるための処理(たとえば、プラズマもしくは荷電したポリマーによる処理)を受けていても良い。他の例では、表面は結合試薬を共有結合させるような活性化した化学官能性を有していても良い。試薬を固定した後、表面は任意選択で、表面上のコートされていない部位をブロックするようなブロッキング剤を備える試薬によって接触されても良い。多重測定を実施するために、いろいろな捕捉試薬のアレイを伴う結合表面を用いても良い。今日では、アレイに基いたアッセイの技術分野において、捕捉試薬のアレイを形成するための様々な技術が確立されている。
【0049】
結合表面は任意選択で復元可能な乾燥保護層によって覆われている。保護層は結合表面を安定化するため、製造や保管の間に結合表面が検出試薬と接触することを防ぐため、もしくは単に、たとえば橋渡し的試薬やブロッキング剤、pH緩衝剤、塩、界面活性剤、電気化学発光共反応剤などのアッセイ試薬の保管のための場として用いる事ができる。安定化剤は保護層の中に見られても良く、糖類(サッカロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトールなど)、多糖類およびポリマー糖(デキストラン、FICOLLなど)、ポリマー(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなど)、両イオン性オスモライト(グリシン、ベタインなど)、ならびに他の安定化オスモライト(トリメチルアミンN−オキシドなど)を含むが、限定するものではない。ブロッキング剤はアッセイの構成要素、特に検出試薬の結合表面に対する非特異的結合を防ぐ物質であり、たんぱく質(たとえば、血清アルブミン、ガンマグロブリン、イムノグロブリン、粉ミルク、精製カゼイン、ゼラチンなど)、ポリマー(たとえば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのような)ならびに界面活性剤(たとえば、BRIJ、TRITON、TWEEN、THESIT、LUBROL、GENAPOL、PLURONIC、TETRONICおよびSPANの商標名で知られる非イオン界面活性剤のクラス)を含む。ある実施形態において、緩衝剤要素としてリン酸アンモニウムを含み、他のアンモニウム塩を含み、ならびに/または1%(w/w)もしくは0.1%(w/w)以下のナトリウムイオンもしくはカリウムイオンを含む保護増が含まれる。
【0050】
一つの実施形態は(1)1番目の乾燥アッセイ試薬および(2)2番目の乾燥アッセイ試薬を具備する少なくとも一つのウェルを備えるマルチウェルプレートで、ここで前記1番目の乾燥試薬および2番目の乾燥試薬の一つもしくは両方は復元可能な乾燥試薬であり、前記1番目のおよび2番目の乾燥試薬はお互いに接触しない。ウェルはさらに一つもしくはそれ以上の追加の乾燥試薬を含有していても良い。それらは1番目のおよび/もしくは2番目の乾燥試薬と接触しない一つもしくはそれ以上の追加の復元可能な乾燥試薬を含んでいても良い。実施形態はまた、関心のある検体のためにそれらのプレートにおいて実施されるアッセイのための方法を含んでおり、方法は、液体サンプルをプレートの一つもしくはそれ以上のウェルに対して加えること、ウェル内の復元可能な乾燥試薬を復元すること、ならびにサンプル内の検体を測定するために検体依存的なアッセイシグナル測定することを含有している。当業者であれば、アッセイの技術分野における知識を基に、幅広い種類の検体を測定するための試薬および検出方法を容易に選択することが出来る。測定することが出来る、検出可能なシグナルは、光学的吸収、フォトルミネッセンス(たとえば蛍光)、化学発光、電流もしくは電位、触媒作用、化学的活性、光散乱、凝集、放射能、電気化学発光、磁気、屈折率の変化、ならびにアッセイ測定に用いられてきた他のシグナルを含むが、それらに限定するものではない。
【0051】
他の実施形態は(1)内部に固定された1番目の試薬を有する結合表面および(2)少なくとも一つの追加の乾燥試薬を有している少なくとも一つのウェルを備えるマルチウェルプレートであり、ここで少なくとも一つの追加の乾燥試薬は結合表面と接触しない復元可能な乾燥試薬である。マルチウェルプレートはマルチウェルプレートの少なくとも一つのウェルに組み込まれた結合表面を伴う電場表面を有していても良い。
【0052】
図1a−1eはマルチウェルプレートのウェル100のいくつかの実施形態の縮尺どおりでない概略図を示している。ウェルはウェル床面120およびウェル壁部110によって画定される。床面120および壁部110は、単一の連続した物質として成形されても良いし、または共に一体化される分離した構成要素(たとえば、プレート頂部およびプレート底部)であっても良い。ウェル100はまた、床面120の上に配置される1番目の乾燥試薬130を有しており、図のように、それは結合表面を形成するように床面120の上に固定された一つもしくはそれ以上の捕捉試薬であっても良い。1番目の乾燥試薬130は、複数の部分的な結合表面(たとえばアレイ)にパターン化されている複数の固定された捕捉試薬(たとえば試薬130a、130bおよび130c)を含有していても良い。有利にも、結合試薬/領域は結合パートナーに対する異なった親和性もしくは特異性を有していても良く、それらの結合領域は多重化したアレイを基にした測定を実施するのに用いることができる。復元可能な保護層140は乾燥試薬130を保護する。保護層140は、たとえば、試薬130と150とを物理的に分離する必要が無いようなときに、省略されても良い。ウェル100はまた復元可能な乾燥試薬である2番目の乾燥試薬150を含有する。2番目の乾燥試薬150は、たとえば標識された検出試薬160のような検出試薬を含有していても良い。任意選択で、2番目の乾燥試薬150は結合パートナーに対する親和性もしくは特異性において異なる複数の検出試薬を含有している。ウェル100はまた、任意選択で、アッセイコントロール検体180(図1c−eに見られるように)を含有する追加の復元可能な乾燥試薬170を含む。プレートシール190もまた見られる。プレートシール190は、周囲から乾燥試薬を保護するためにウェル110の頂部表面に対してシールされており、省略されても良い。
【0053】
図1aは、1番目の乾燥試薬130が復元可能な保護層140によって覆われている実施形態を示している。2番目の乾燥試薬150は、2番目の乾燥試薬150が1番目の乾燥試薬層130と接触する事を防ぐ保護層140の上部に重ね置かれる。この実施形態の一つの例として、2番目の乾燥試薬150は保護層140上に液体フォームで分注される事によって堆積させられ、保護層140は、この液体を、それが乾燥試薬130と接触させること無いように吸収しきるのに充分な厚さもしくは質量を持つように選択される。液体はそののち、2番目の乾燥試薬150を形成するために乾燥させられる。代替的な例において、保護層140は、液体フォームにおいて導入され、1番目の凍結層を形成するためにウェル内で凍結させられる。試薬150は、そののち液体フォームで導入され、1番目の凍結層の上に2番目の凍結層として凍結させられる。二つの凍結層の凍結乾燥は層状の乾燥試薬構造を提供する。
【0054】
図1bは、試薬130および150がどちらも、床面120の重なり合わない領域上に固定されて配置される実施形態を示す。たとえばアッセイコントロール試薬(図示されない)のような追加の乾燥試薬は、床面120の他の重なり合わない領域に配置されることが出来る。床面120の選択された領域への試薬の配置はパターン化した試薬の堆積もしくは分注における標準的な技術を用いて実施することが出来る。任意選択で、床面120は比較的疎水的な領域に囲まれた比較的親水的な領域を有していて、親水性の領域上に分注された適切なボリュームの試薬が疎水性の領域によって決定された確定された境界へと広っていくようになる。復元可能な乾燥試薬が表面に配置されたこの実施形態および他の実施形態において、試薬が表面に吸着することを防ぎぐために、ブロッキング剤によって表面を予め処理しても良く、および/もしくは、試薬の組成中にブロッキング剤を含んでも良い。
【0055】
図1cは、2番目の乾燥試薬150が、一つもしくはそれ以上の乾燥試薬錠剤として、固定的に壁部110に配置されている実施形態を示している。錠剤は、たとえば一つもしくはそれ以上の試薬(液体フォームで)の液滴を壁部110に分注し、乾燥試薬錠剤を形成するように乾燥させることによって、形成されても良い。図1cはまた、壁部110の他の重なり合わない領域に固定的に配置されるコントロール検体180を伴う任意選択で追加の乾燥試薬170を示す。図1dは、試薬150および170が壁部110の棚115に配置されるということ以外は図1cに見られるようなものである実施形態を示す。乾燥試薬150および170は、液体試薬から形成されるが、それらを棚115の上に分注し乾燥させることによって、または棚115の上にそれらを分注しそれらが壁部110を棚115へと流れ落ちそこでそれらが乾燥させられることによって、形成される。代替的に、独立した乾燥試薬錠剤が棚115上に置かれても良い。
【0056】
最後に、図1eは、試薬150および任意選択の試薬170が独立した乾燥試薬錠剤である実施形態を示している。ウェルの床面、ウェルの壁部、ウェルの棚、および/もしくは独立したフォームの復元可能な乾燥試薬のいくつかの組合せが存在するウェル100の実施形態もまた含まれている。代替的な実施形態として、固定的に配置された復元可能な試薬および独立した復元可能な乾燥試薬のいくつかの組合せが用いられる。
【0057】
図1の実施形態に見られるように、マルチウェルプレートは、複数の、物理的に区別できる、乾燥試薬を伴うウェルを有したものを含む。同様に、異なったウェルでの異なったアッセイを実施するために異なったウェルに異なった乾燥試薬が存在していても良い。例えばQCの目的のために、プレートのウェルに正しい乾燥試薬が存在することを確かめることは望ましいであろう。従って、乾燥試薬はプレートの光学的な検査に用いる事ができる指示薬(染料や蛍光色素分子)を含んでいても良い。異なった乾燥試薬に対し、異なった区別可能な指示薬を用いることによって、正しい試薬がプレートの適切なウェル内の適切な位置にあることを確実にするためにプレートを光学的に検査することが可能である。
【0058】
図2は、その上で液体試薬が保持され乾燥させられるならびに/またはその上で独立した乾燥試薬がウェル床面の上方において指示されるような棚要素を具備するウェルのいくつかの実施形態の縮尺どおりでない概略図を示している。棚要素は、下記の通り、レッジ(ledge)、ブリッジ、もしくはテーブルを含んでいる。図2aはウェル200の横断面図で、ウェル底面200およびウェル壁部210を示しており、ここでウェル壁部はレッジ230および235のようなレッジを具備し、乾燥試薬を支持することが出来る。レッジ230は、適切な容量の試薬がウェル底部200にあふれ出ること無しにレッジ230の上に分注されレッジ230に集積することが出来るように、レッジのすぐ上の壁に対して実質的に90度もしくは90度以下の角度を持つ。レッジはまた、レッジ235上のへり240のように試薬を保持することを助けるような追加の特徴を持つことが出来る。
【0059】
レッジ235のような棚要素はウェル底面240(H=0)より上部でかつ壁の高さ(H)より下の任意の高さ(H)に配置される。ある実施形態において、hは0.02h、0.05hもしくは0.1hより大きいかもしくはそれと等しく、しかしながら、0.1h、0.25hもしくは0.5hより小さいかもしくはそれと等しい。他の実施形態においては、hは0.1mm、0.2mm、0.5mmもしくは1mmよりも大きいかもしくはそれと等しく、しかしながら1mm、2mm、もしくは5mmよりも小さいかもしくはそれと等しい。棚の高さとアッセイの過程において加えられるサンプル/試薬の容量との適切な選択を通じて、アッセイ反応の順序もしくは適時性を制御することが可能であろう。一つの例では、サンプルをウェルに対して加えることで、ウェルの底面の試薬に接触し、一つもしくはそれ以上の棚上の試薬を復元するような液体の高さを提供するように、棚の高さとサンプルの容量が選ばれる。代替的に、決められた容量の1番目の液体を加えることで、ウェル底部の乾燥試薬と接触する(底部の復元可能な復元試薬を復元し、そして/または、底部に貯蔵された試薬を含む反応を進行させる)が、一つもしくはそれ以上の棚の高さに達しないように、棚の高さが選択されても良い。棚上の試薬を含む反応は、液体の高さが棚の高さに達し、棚上の乾燥試薬を復元するのに充分な容量の2番目の液体を加えることによって、後から開始することも出来る。アッセイを実施する際に、測定すべきサンプルは1番目の液体であっても2番目の液体であってもその両方ともであっても良い。
【0060】
図2b−2fはウェル200のいくつかの実施形態の頂面図を示し、ウェル開口が、角(図2b−2d)および丸(図2e−2f)を含むが、様々な形を具備していても良いことを示すが、これらに限定するものではない。さらに、図2bおよび2eに示すように棚要素はウェルの周を囲むように延伸することが出来る、または、図2c−2dおよび2fに示すようにウェルの周りの一部にのみ延伸した一つもしくはそれ以上の分離した棚要素があっても良い。ウェルはまた、ウェル内に異なった高さの複数の棚要素を含んでも良い。図2g−2hはそれぞれウェル290の断面図およびウェル290の頂面図を示し、そこではウェルを横切って延伸するブリッジ250によって棚要素が提供されている。図2i−2hはそれぞれウェル295の断面図およびウェル295の頂面図を示し、そこではウェル底部220から垂直に延伸したテーブル260によって棚要素Iが提供されている。
【0061】
マルチウェルプレートは、内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備えて提供され、a)復元可能な1番目の乾燥試薬を保持した複数の1番目の試薬ウェルおよびb)2番目の乾燥試薬(これは復元可能な乾燥試薬もしくは固定された試薬であってよい)を保持した複数の2番目の試薬ウェルを含み、ここで1番目のおよび2番目の試薬はアッセイを行うのに対応した試薬である(それゆえ、それらは両方とも関心のあるアッセイを実施するのに用いられる)。試薬は、たとえば、ウェル底部、ウェル壁部、棚要素上、独立した錠剤もしくは粉として等、ウェル内の様々な場所に配置されて良い。方法はこれらのプレートにおいてアッセイを実施するために提供され、a)サンプルを1番目の試薬ウェルの一つに加え、b)1番目の試薬ウェルの復元可能な乾燥の標識された検出試薬を復元し反応混合液を形成し、c)反応混合液の一定分量を一つもしくはそれ以上の2番目の試薬ウェルに移し、そしてd)前記サンプルにおいて前記アッセイを実施するように、2番目の試薬ウェル内の反応混合液をインキュベートすることを含んでいる。一つの実施形態において、マルチウェルアッセイプレートは、一つの1番目の試薬ウェルおよび一つもしくはそれ以上の2番目の試薬ウェルからなる複数のウェルのセットに分割することが出来、方法はさらに、それぞれのウェルのセットに対して(a)〜(d)の過程を繰り返すことを含んでいる。
【0062】
図3aは一つの実施形態の(縮尺どおりでない)概略図であり、マルチウェルプレート300の二つのウェルの断面図を示している。ウェル302は試薬復元ウェルで、一つもしくはそれ以上の復元可能な乾燥試薬を備えており、復元可能な乾燥試薬は、(たとえば、標識された検出試薬360を含む乾燥試薬350のような)標識された検出試薬もしくは(たとえばアッセイコントロール検体380を含む乾燥試薬370のような)アッセイコントロール検体を含んでいても良い。それら乾燥試薬は、たとえば、ブロッキング剤、安定剤、保存剤、塩、pH緩衝材、界面活性剤、橋渡し的試薬、ECL共反応剤などの追加の試薬構成要素を含んでいて良い。試薬は、ウェルの底部、ウェル底部の限定された位置、ウェル壁部、棚要素、もしくは独立して配置されていて良い(図1および図2の議論の通り)。ウェル301は、復元可能な乾燥試薬もしくは固定された乾燥試薬を含む一つもしくはそれ以上の試薬を備えた検出ウェルである。図に見られるように、ウェル301は結合表面を形成するために3つの結合領域330a、330b、330cにパターン化され固定された捕捉試薬330を備えている。ウェル301はまた、省略しても良い復元可能な保護層340を備えている。アッセイの一つの実施形態において、サンプルは試薬復元ウェルに加えられ、そこで復元可能な乾燥試薬は復元される。サンプルはそののち、アッセイ測定が実施される検出ウェルに移される。代替的に、復元バッファーが、試薬復元ウェルにおいて試薬を復元するために用いられても良く、ここで復元バッファーは検出ウェルにおいてサンプルと混合される。図3aはまた、周囲からウェルの内容物を保護するためにウェル301および302の開口に対してシールするプレートシール390を示す。
【0063】
マルチウェルプレートの検出ウェルおよび試薬復元ウェルは一つの試薬復元ウェルと一つもしくはそれ以上の検出ウェルとからなる複数のアッセイセットにグループ化しても良く、ここでセット内の試薬復元ウェルおよび検出ウェルは、関心のある検体の測定のために対応した捕捉試薬と検出試薬を備える。図3bは一つの配置を示しており、ここでセットは一つの試薬復元ウェル302および三つの検出ウェル301を具備している。アッセイにおいて、ウェル302に加えられたサンプルは、そののち、多重の反復を実施するために、または、検出ウェルが異なった試薬を保持している場で多重の異なったアッセイを実施するために、三つの関連した検出ウェル301に分注することが出来る。図3cはセットが一つの試薬復元ウェル302および一つの検出ウェル301を具備している配置を示す。
【0064】
試薬復元ウェルおよび検出ウェルは、サイズと形において似ていても良く、異なったサイズおよび/もしくは形を持っていても良い。ある実施形態では、標準的なマルチウェルプレートのウェルは2つのタイプのウェルに分けられる。図4は代替的なウェルの配列の縮尺どおりでない概略図を示す。図4aは、規則的な二次元パターンに配列され、内側壁表面と外側壁表面を伴う検出ウェル壁部430を具備している検出ウェル440を具備しているマルチウェルプレート400の頂面図を示す。マルチウェルプレートはまた、検出ウェルの間の間隙スペースに試薬復元ウェル460を具備している。試薬復元ウェル460は、検出ウェル壁部430の外側表面と近接する検出ウェルのウェル壁部430の外側表面に対して接続するリブ要素450とによって(そして、ウェルの最外部においては、プレートフレーム壁部410の内側表面とによって)画定されるウェル壁部を具備する。図に見られるように、検出ウェルは凹(すなわち、内方向に向いている)の角も凹の曲面も持たないように成形されても良く、一方、間隙のウェルは凹の角および/もしくは凹の曲面を持っていても良い。図4bは図4aの点線に沿った断面図を示し、2つのタイプのウェルの底部表面を示している(プレート本体の異なった高さにあることが出来る)。プレート400は単一の連続した物質から成形することも出来る。代替的な実施形態において、プレート400は、図4bに見られる点線に沿って合体されるプレート頂部405とプレート底部420とから形成できる。有利にも、ウェルの壁部とリブ要素とによって画定される間隙のウェルを伴う丸いウェルのアレイの基本的な配置は多くの一定成形型96ウェルプレートとプレート頂部との共通した特徴であり、図4に見られるようにこれらの構成要素が乾燥試薬プレートを形成するために用いる事ができるようにする。
【0065】
マルチウェルプレートは、a)内部に形成される複数のウェルを伴うプレート本体でi)乾燥アッセイ試薬を備える複数のアッセイウェルとii)デシカントを備える複数のデシカントウェルとを含んでいるものと、b)前記プレート本体に対してシールされ、それによって外部環境から前記複数のウェルを隔離するプレートシールとを備えて提供される。ある実施形態において、アッセイウェルは、アッセイウェルにおけるアッセイを実施するのに必要な試薬を備えている。デシカントウェルが乾燥導管によってアッセイウェルへと接続されている実施形態もまた含まれ、ここで導管は、アッセイウェルからデシカントウェルへの水蒸気の拡散を許すが、アッセイウェル内の乾燥アッセイ試薬の位置よりも上方の高さでウェルと交差する。乾燥試薬およびデシカントを有したマルチウェルプレートに加えて、プレートそれ自体(すなわち、乾燥試薬もデシカントも伴わない)、特に、デシカントウェルおよびアッセイウェルのセットと乾燥試薬とを接続するように適したような導管もしくはチャネル要素(たとえば、下記の図5に見られるような)を具備したプレートもまた提供される。
【0066】
図5はアッセイウェル501とデシカントウェル502(デシカントおよび乾燥試薬は図示されてない)とを具備したマルチウェルプレート500の縮尺どおりでない概略図を示している。図5aはウェル壁部510ならびにデシカントウェルと一つ(たとえば、行Aに見られるような)もしくはそれ以上(たとえば行Bに見られるような)のアッセイウェルとを接続する導管508を示す頂面図である。図5bは、図5aの点線に沿った断面図を示し、図5aと共に、プレート本体の頂部のチャネルに対してプレートシール515をシールすることによってどのように導管508が形成されることができるかを示す。プレートシール515はそれらのチャネルとウェルの頂部とに対してシールし、導管によって内部接続されているが周囲および他のウェルのセットからは隔離されている、アッセイウェルとデシカントウェルとのセットを形成する。従って、一つもしくはそれ以上のウェルのセットはシールされてなくてアッセイに用いることができて、残りのウェルのセットは乾燥して環境的に保護された環境において維持されているであろう。プレート500は単一の連続した物質から形成することが出来る。代替的な実施形態において、プレート500は図5bに見られる点線に沿って合体できるプレート頂部505とプレート底部512とから形成され、ここで、プレート底部512は少なくともいくつかのウェルの床面を画定する。
【0067】
プレート500内のアッセイウェルもしくはウェルのセットは一つもしくはそれ以上の、上述のたとえば図1−4に記載された乾燥試薬含有ウェルのいずれかを含んでいても良く、検出ウェルおよび試薬復元ウェルの両方とも含んでいても良い。デシカントウェルに用いられるデシカントは、シリカ、活性アルミナ、活性粘土、分子ふるいおよび他のゼオライト、含水塩(たとえば、無水硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび塩化リチウム)、含水溶液(たとえば、塩化リチウムの濃縮溶液)および五酸化リンのような水反応性の物質を含む既知のデシカント剤から選択されて良いが、それらに限定されるものではない。ある実施形態において、デシカントは独立した乾燥粉もしくは粒状の物質として存在する。他の実施形態において、デシカントは、たとえばプレスされた錠剤もしくはデシカントを含浸されたポリマー材料のような乾燥錠剤として存在する。他の実施形態においてデシカントは水蒸気透過性のバッグもしくはコンテナに含まれる(たとえば、市販のシリカ袋のようなもの)。有利にも、錠剤フォームもしくは予めパッケージされたコンテナのデシカントは、運搬もしくは使用の際にウェル内での動きを防ぐようにデシカントウェルに圧入されていても良い。
【0068】
図5c−5dはアッセイウェルおよびデシカントウェルを伴うマルチアッセイプレート520の一つの実施形態の頂面図および断面図を示す。プレート520は規則的な二次元パターンにアレンジされ、内側壁表面および外側壁表面を伴うアッセイウェル壁部523を具備しているアッセイウェル521(乾燥アッセイ試薬を含んでいて良い)を具備する。それはまた検出ウェル間の間隙スペースにデシカントウェル522を具備している(代替的には、ウェル521をデシカントウェルに用いて、ウェル522をアッセイウェルに用いる)。デシカントウェル522は検出ウェル壁部523の外側ウェル表面と近接したアッセイウェルのウェル壁部523の外側表面に接続しているリブ要素525と(最外部のウェルにおいては、プレートフレーム壁部526の内側表面とによって)によって画定されるウェル壁部を具備している。ウェル壁部523の頂部に刻まれるチャネル524は、プレートシールと合わせられたとき、アッセイウェルからデシカントウェルへの水蒸気の移動のための通路を提供する。図に見られるようにアッセイウェルは、凹(すなわち、内方向に向いている)の角も凹の曲面も持たないように成形されても良く、一方、間隙のウェルは凹の角および/もしくは凹の曲面を持っていても良い。図5dは、図5cの点線に沿った断面図を示しており、導管524を介して接続され他のウェルや周囲からは隔離されているアッセイウェルとデシカントウェルとのセットを形成するようにプレート頂部と合わせられているプレートシール527を示している。プレート520は単一の連続した物質から形成されても良い。代替的な実施形態において、プレート520は、図5dの点線に沿って合体させられるプレート頂部528とプレート底部529から形成される。
【0069】
図5eはアッセイウェル(乾燥試薬を含有しても良い)とデシカントウェルとを伴うマルチウェルプレートの他の実施形態の概略図を示し、アッセイウェル541とプレート本体のチャネル542を介してウェルのセットへと接続されたデシカントウェル543をとを伴うプレート540を示す。プレート540においては、デシカントウェル542がアッセイウェルに比べてより浅く、領域も狭いためにプレートの占有面積の大部分をアッセイ測定に用いられるウェルのために用いられるようになっているという点を除いては、マルチウェルプレート540は図5a―bに描かれたプレート500の実施形態に大部分が類似している。図5fは図5eの点線に沿った断面図を示しており、また、プレート頂部に対してシールされアッセイウェルとデシカントウェルとの接続されたセットを形成するプレートシール544も示している。プレート540は単一の連続した物質から形成されても良い。代替的な実施形態において、プレート540は図5fの点線に沿って合体させられるプレート頂部545とプレート底部546から形成され、プレート底部540はまた、アッセイウェル541の床面を画定する。
【0070】
図6はマルチウェルアッセイプレートの概略的な分解図である。マルチウェルアッセイプレート600はウェルの壁部を画定するスルーホール615を伴うプレート頂部610を備える。プレート頂部610は、プレート底部620がウェルの底部表面を画定するようにガスケット625を介してプレート底部620に対してシールされている。任意選択で、プレート頂部610はプレート底部620に対して直接的にシールされ、ガスケット625は省略される。シールすることは、たとえば、接着剤、溶剤接着、ヒートシール、音波接合などのような伝統的なシール技術によって達成されるであろう。他の任意選択の実施形態においては、プレート頂部610はウェルの側面と底部を完全に画定し、プレート底部620およびガスケット625は省略されても良い。上述のように乾燥試薬および/もしくはデシカントを含有するように設定されているウェルを含んでいても良い、ウェルの内容物は、プレートシール630のプレート頂部610への直接的に、もしくは任意選択的にガスケット635を介して、シールされて(たとえば伝統的なシーリング技術を通じて)外部環境から保護されていても良い。
【0071】
プレート600の構成要素は、プラスチック、金属、セラミック、ゴム、ガラスもしくはそれらの組合せを含む様々な異なった物質から作られても良いが、それらに限定するものではない。プレートと共に用いられる特定の検出テクノロジーの要求に従って、構成要素、いくつかのもしくはすべての構成要素は、透明、着色された、不透明もしくは高光散乱性のものから選択されるであろう。一つの実施形態において、プレート頂部610はたとえば、射出成型のポリスチレン、ポリプロピレン、もしくは環状オレフィンコポリマー(COC)のような、射出成型のプラスチックである。任意選択として、一つもしくはそれ以上の構成要素は、たとえば100umの厚さで一日当たり1g/mより低い水蒸気透過率のような、低水蒸気透過率を持った材料で出来ているか、もしくはそれを含有していて(たとえば、コーティングのフォームで)も良い。低水蒸気透過率材料は、ガラス、金属、金属フィルム(たとえばアルミニウムフィルム)、COC、塩化ポリビニリデン(PvDC)、ポリプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、および液晶ポリマー(LCP)を含むが、それらに限定するものではない。
【0072】
プレート600は上述の通り、プレート600を含む。代替的にもしくは、追加的に、デシカントは、プレート頂部610、プレート底部620、プレートシール630、ガスケット625、およびもしくはガスケット635に直接的に組み込まれていても良い。例えば、Hekalらに特許された米国特許第6,174,952号は、成型しても、裏打ちにされても、もしくはフィルム、シート、ビーズ、ペレットなどを形成するようにしても良いポリマーブレンドを含有したデシカントについて記載している。
【0073】
ある実施形態において、プレート底部620は、ウェルの底部上の試薬のパターニングを促進するような特徴(たとえば、疎水性領域に囲まれたパターン化された親水性の特徴)を有しているか、ならびに/または、プレート600のウェルの内部ボリュームに対して露出されており、それによって電気化学的発光アッセイもしくは電極によって誘電される発光アッセイ(たとえば電気化学発光アッセイ)を実施することが可能な電極を提供する導電層を有している。プレート底部620はまた、外部装置が電位/電流を電場に印加できるように電極接触を含んでも良い。そのような特徴、導電層および電極接触のための、望ましいアプローチ、形態および構成はWohlstadterらの米国特許公開第2004/0022677号および米国特許公開第2005/0052646号に記載されるものを含む。アッセイモジュールを使用するECL測定の実施に用いる事ができる適切な装置および方法は米国特許出願第10/185,274号および米国特許出願第10/185,363号とそれぞれの公開された米国特許公開第2004/0022677号および米国特許公開第2005/0052646号、米国特許出願第10/238,391号とそれの公開された米国特許公開第2003/0113713号、米国特許出願第10/980,198号とそれの公開された米国特許公開第2005/0142033号、および同時に出願されたClintonらによる「Assay Apparatuses, Methods and Reagents」と題された米国特許出願第11/___,___号に記載されるものを含む。
【0074】
図7は、アレイを基にした多重の電気化学発光アッセイを実施するために設定されたマルチウェルプレートの関連で上に開示された、いくつかの独創的なコンセプトを含む一つの具体的な実施形態の概略図を提供する。図7aは、乾燥試薬を備えることの出来る複数のアッセイウェル710とデシカントを備えることの出来る複数のデシカントウェル720とを具備するマルチウェルプレート700の断面図を示す。プレート700の上面のチャネル725はそれぞれのデシカントウェルをアッセイウェルに接続する。任意選択で、デシカントウェル720とチャネル725は省略する。アッセイウェル710は復元可能な乾燥試薬(たとえばアッセイコントロールおよび/もしくはECLで標識された検出試薬を含有した乾燥試薬)を支持するために用いることのできるレッジ712を具備する。アッセイウェルは、複数の露出された電極表面もしくは「スポット」(ウェルの中の丸として図示されている)を露出させるようにパターン化された誘電層716によってカバーされている作用電極表面714を具備している。さらに、対極718が、完全な電気化学回路を提供するために提供される。任意選択で、誘電層716はスポット上にパターン化された少ない容量の試薬がスポット上に限定されて維持されることの出来るように電極表面714に比べて疎水的である。結合パートナー(例えば、関心のある検体)に対する特異性もしくは親和性において異なる結合領域のアレイを伴う結合表面を形成するために、異なったスポットは、内部に固定された異なった捕捉試薬を有している。代替的に、いくつかのスポットは内部に限定された復元可能な乾燥試薬を有していて良く、それは、例えば、アッセイコントロールおよび/もしくはECL標識された検出試薬を含んでいても良い。アッセイウェルは、結合表面を覆う復元可能な保護層をさらに備えることも出来る。
【0075】
図7bは、図7aの点線に沿った分解断面図を提供し、アッセイウェル710の電極/誘電層を形成する一つのアプローチを図示する。マルチウェルプレートはデシカントウェル720を画定し、アッセイウェル710の壁部とレッジ712とを画定するスルーホールを具備するプレート頂部730を備える。プレート頂部730は、プレートシール750がプレート頂部730の上面に対してシールされた場合に、アッセイウェル710とデシカントウェル720との間の導管を形成するチャネル725を具備する。非限定的な一つの例では、プレート頂部730は、低水透過率のプラスチックから成型された射出成型部分である。他の非限定的な例では、プレートシール750は低水透過率のプラスチックもしくは金属(例えばアルミニウム)フォイルを含有するヒートシール可能なフィルムである。
【0076】
図7bはまた、プレート頂部730に対してシールし、アッセイウェル710の底部を画定するプレート底部740を示す。プレート底部740は、電極714および718を提供するパターン化された導電層を支持する基板715を備える。電極上のパターン化された誘電層716は露出された電極スポットを画定する。基質ならびに導電層および誘電層を提供するのにさまざまな材料を用いる事ができる(たとえば米国特許公開第2004/0022677号および米国特許公開第2005/0052646号を参照の事)。一つの非限定的な例では、基板はプラスチックフィルム(たとえばMYLARのようなポリエステル、ポリビニルクロライドもしくはCOCのような低水透過性材料から作られる)で、導電層は導電性インクの印刷されたスクリーン(たとえばカーボンインクが印刷されたスクリーン)で、かつ、誘電層が絶縁性インクの印刷されたスクリーンである。接続性を提供する(たとえば、基板715の導電性スルーホールを介して電極714および718へと)基板715の底部の誘電層である電極接触780および785がまた、図7bに図示される。電極接触は印刷の間に、導電性のスルーホールをも提供するように基板715の穴をふさぐ結果になるようにされた導電性インクが印刷されたスクリーンによって提供されても良い。有利にも、導電性のスルーホールは、ホールを通じての水蒸気の移動を制限するようにウェルの壁部の真下に配置されていても良い。さらに、任意選択の底部シーリング層790が基板715の底部へとシールされていても良い。底部シーリング層790は、低水透過性材料から作られ、プレートリーディング装置が電極接触780および785と接触できるように配置されるシーリング層790に画定される開口を除いて、基板715の底部表面の大部分をカバーする。
【0077】
図7cはプレート700の一つの実施形態のより詳細な斜図を示し、デシカントウェル720内へと圧入されたデシカント錠剤722を示す。
【0078】
関心のある検体もしくは活性を持っているであろうさまざまなサンプルをアッセイすることが出来る。一つの例では、サンプルは、アッセイプレートまたは予め組み込まれた復元可能な乾燥試薬を具備したアッセイプレートの一つもしくはそれ以上のウェルに導入され、そのため、それらアッセイ試薬を復元し、サンプル中の検体の量を測定するために、アッセイシグナルが測定される(定量的にもしくは定性的に)。試薬は発光の基質、電気化学発光の基質、化学発光の基質、および/もしくは酸化還元活性の基質が含まれていて良い。従って、アッセイシグナルは、好ましくは発光もしくは電気化学シグナルである。実施することの出来るアッセイのフォーマットは同種のおよび異種の方法を含む。
【0079】
実施することの出来るアッセイは、検体もしくは活性の測定を標識された試薬と固相に支持された位置とに分離することへと連動させるように、固相支持体を利用するフォーマットを含む。例は、物質とそれの特異的な結合パートナー(ペアの一方は固相支持体へ固定されているかもしくは、固定されることができる)との複合体の形成、サンドイッチ複合体(固相支持体へ固定されているかもしくは固定されることができる捕捉試薬を含む)の形成、結合パートナーに対する二つの競合者の競合(結合パートナーもしくは競合者の一つは、固相支持体へ固定されているかもしくは、固定されることができる)、固定された試薬からの標識(もしくは標識された物質)の酵素的もしくは化学的切断、または固相支持体への固定可能および標識(もしくは標識された物質)の、固定されているかもしくは固相支持体へ固定されることが可能である試薬への酵素的もしくは化学的な結合を測定する固相結合アッセイを含む。「固定されることが可能である」という用語は、本明細書において、溶液中の反応に参加し、結果的に検出の最中もしくは検出の前に固相に捕捉される橋渡し的試薬を言及するのに用いられる。たとえば、試薬は、固相に固定された試薬の特異的な結合パートナーを用いて捕捉されるであろう。代替的に、試薬は捕捉部分に結合されており、捕捉部分の特異的な結合パートナーが固相に固定されている。有用な捕捉部分―結合パートナーのペアはビオチン―ストレプトアビジン(もしくはアビジン)、抗体―ハプテン、受容体―リガンド、核酸―相補的な核酸などを含む。
【0080】
固相支持体上で実施されるアッセイにおいて、検体もしくは活性の量は、固相支持体上の標識の量の測定によってならびに/または溶液中でのi)面選択テクニック、ii)溶液選択テクニック、および/もしくはiii)二相の分離の使用によって決定される。電気化学発光法において、固相支持体はまた、固相に結合した標識から電気化学発光を誘導するために用いられる作用電極であってよい。電気化学発光法は、ECL共反応剤(たとえばトリプロピルアミンもしくはピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)のような第3アミン)を加えることに先立って、非結合の電気化学発光標識された試薬を取り除くための洗浄を含み、結合した標識からのECLを誘導するために印加する。代替的に、電気化学発光法の面選択性のおかげで、方法は洗浄抜きで実施できる。有利にも、無洗浄のアッセイにおいて、ECL共反応剤は復元可能な乾燥試薬のフォームでもしくは保護層の中で、アッセイウェルにあらかじめ組み込んでおいても良い。
【0081】
他の実施形態はアッセイモジュール/マルチウェルプレートをそなえるアッセイを実施するのに用いられるキットに関係するものである。キットは、一つもしくはそれ以上のコンテナーに一つもしくはそれ以上の追加の試薬を含み、それはアッセイ校正液、アッセイコントロール、アッセイ希釈液、ECL共反応剤および洗浄バッファーを含むが、これらに限定するものではない。
【0082】
一つの実施形態において、キットは、一つもしくはそれ以上のプレートウェルに一つもしくはそれ以上の、好ましくは乾燥フォームであるアッセイ構成要素を備える。一つの好ましい実施形態において、キットは、アッセイモジュール内の一つもしくはそれ以上の作用電極上に固定された結合するものと、乾燥ビーズ、ペレットもしくは錠剤のフォームで直接ウェルの上に堆積された、好ましくは作用電極から空間的に分離した位置に、もしくは代替的に一つもしくはそれ以上の間隙内のウェルに存在する一つもしくはそれ以上の追加のアッセイ試薬とを備える。好ましくは、キットは液体をウェル内にまったく含まない。
【実施例】
【0083】
下記の例は、本発明の範囲に含まれるいくつかの方法の使用方法の実例となるそれらはもちろん、本発明を限定するものと考えるべきではない。本発明に関して当業者によって過度の実験を伴うこと無しに数多くの変更および改良をすることができる。
【0084】
材料と方法
標識された検出抗体
標識された検出抗体はルテニウム−トリス−ビピリジン(下に描かれた化合物1)のスルホン酸誘導体に基いた電気化学発光性標識であるところのSULFO−TAG NHS ester(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)によって標識された。標識された抗体はSEPHADEX G−50(Pharmacia)上のサイズ排除クロマトグラフィーによって精製された。
【化1】

【0085】
凍結乾燥された標識された抗体の錠剤
一つもしくはそれ以上の標識された検出抗体を含有した錠剤はリン酸緩衝生理食塩水に1μg/mLのそれぞれの標識された抗体、2%ウシ血清アルブミンおよび20%サッカロースを含んだ溶液から形成された。この溶液の凍結水滴は20μLの水滴を液体窒素中に分注することによって形成された。凍結水滴はADVANTAGE XL凍結乾燥機(Virtis)の棚に配置された、冷却された(−78℃以下)アルミニウムのトレイ上に移された。凍結乾燥機の棚はアルミニウムトレイの導入に先立って予め−45℃以下に冷やされており、導体ペーストが、棚とビーズを含んだトレイ間の熱伝導を向上させるために用いられた。通常の凍結乾燥のプロトコールにおいて、凍結乾燥機のチャンバーは真空にされ、棚の温度は約24時間かけて、−30℃、−20℃、−15℃そして最後には+20℃(周辺環境条件)へと徐々に上昇した。温度は、それぞれのそれらのレベルにおいて平衡に達するのに充分な時間保持され、チャンバーの気圧は0.01 torr.に制御された。凍結乾燥されたビーズのKarl Fisher滴定は、通常は重量パーセントで4%以下の含水量を示した。含水量はデシカントの存在下における過度の保管によって2%より低くなるように減少させることが出来る。
【0086】
電気化学発光測定
電気化学発光測定は、電気化学発光測定を実施するためのカーボンインク電極が印刷された組み込まれたスクリーンを具備した特別にデザインされたマルチウェルプレート(MULTI−ARRAYもしくはMULTI−SPOTプレート、Meso Scale Discovery、a division of Meso Scale Diagnostics、LLC、Gaithersburg、MD)を用いて実施された。それぞれのウェルの底部の作用電極上にパターン化されたパターン化された誘電層は作用電極上に一つもしくはそれ以上の領域もしくは「スポット」を露出する。ある実施形態において、電極表面は、抗体をそれらの上に固定するのに先立って酸素プラズマによって処理された。異なった捕捉抗体は、スポット上に抗体溶液をnanoliter dispenser(Bio−Dot,Inc.)を用いてパターン化された微量分注をすることによって、異なったスポット上に固定された。スポット上に分注される容量は、それらが誘電層によって画定される境界まで広がるが、スポット上に限定されたままでおり、従って、作用電極の限定された領域上へのそれぞれの抗体の固定(受動的吸着を介した)ができるようになるように選択された。電極表面がプラズマ処理されたない場合には、拡散を高めるためにスポットされた溶液に少量のTRITON−X−100界面活性剤が加えられた。吸着は少なくとも2時間は続行するようにされ、そのあと、プレートは安定化洗浄バッファー(2%サッカロース、185mM 第二リン酸アンモニウム、13mM 第一リン酸アンモニウム、0.1%TWEEN20、およびKATHON CG/ICP II防腐剤)によって洗浄され、乾燥され、デシカントの存在下で保存された。乾燥前にウェルに残る洗浄バッファーの量(通常5〜20μL)を調節することによって、異なった厚さのサッカロースのフィルムが作用電極の表面を覆って残されることが可能である。
【0087】
電気化学発光測定装置
電気化学発光が導入され、MULTI−SPOTプレートの中でSector(登録商標)Imager6000 readerもしくはでSector(登録商標)PR400 reader(どちらもMeso Scale Discovery a division of Meso Scale Diagnostics、LLC、Gaithersburg、MDに由来する)を用いて測定された。Sector(登録商標)Imager6000装置はプレート内の作用電極に電圧を印加し、結果的に生ずるECLを撮像する。イメージ解析アルゴリズムは、ウェル内のそれぞれのスポットから発する光を区別して定量する。Sector(登録商標)PR400装置は一度にプレートの一つのカラムの作用電極に電圧を印加する。光ダイオードのアレイはカラムのウェルから発するECLを測定するのに用いられる。
【0088】
実施例1 凍結乾燥されたビーズ内の標識された検出抗体を用いての多重サイトカイン検出
7つの異なったヒトサイトカイン(TNF−α、IL1−β、IL2、IL5、IL6、IL8、IL12およびGM−CSF)に対する捕捉抗体の7スポットのアレイと同じ7つのサイトカインに対する標識された検出抗体を含有した凍結乾燥されたビーズとを具備した高結合性MULTI−SPOTプレートは上述の通りに作成された。一つのビーズはそれぞれのウェルに配置され、プレートは使用されるまでデシカントの存在下で保存された。多重サイトカインアッセイは、予め決まった濃度のサイトカイン溶液(10%ウシ胎児血清を添加されたRPMI細胞培養用培地で作成された1ウェル当たり40μlの溶液)をプレートのウェルへ導入し、プレートシェーカー上で室温で2時間インキュベートすることで実施された。第3アミンECL共反応剤を含有した溶液であるMSD(登録商標)READ BUFFER P(Meso Scale Discovery)が2×濃度でウェルへ加えられ(110μ/ウェル)、プレートはSector(登録商標)Imager6000装置で分析される。それぞれのスポットで結果として生じたシグナルは、7つ全てのサイトカインに対して、10〜10,000pg/mlの間で良い直線性を示した。シグナルの標準偏差は通常は平均シグナルの10%以下であった。バックグラウンドのシグナルおよび計算上の感度は、抗体がウェルへ液体の溶液として加えられたときに得られたものと同様であった。
【0089】
実施例2 捕捉表面を覆う保護層の上において乾燥された標識された検出交代を用いてのサイトカイン測定
このアッセイは、ウェル当たり一つのスポットを伴う小さいスポットのMULTI−ARRAYプレートを用いた。材料と方法セクションに記載されたとおり、抗ヒトTNF−α捕捉抗体を含有した溶液でスポットが処理され、抗体をスポットの表面上に固定した。ウェルはその後、75μLの7%FICOLL(サッカロースの高度に分岐した親水性ポリマー)の加えられた4×MSD(登録商標)READ BUFFER Pによって満たされ、プレートは凍らせるために冷やされ、一晩凍結乾燥され、ウェルの底部を覆う保護「ケーキ」層を提供した。少量の水滴(35nL)の標識された抗ヒトTNF−α検出抗体の濃縮液はケーキの表面上に分注された。プレートはそののち、5分間真空乾燥され、使用されるまでデシカントの存在下で保存された。150μLの、予め決まった濃度のヒトTNF−αが入った10%ウシ胎児血清の添加されたRPMI細胞培養用培地を含む溶液がウェルに加えられ、2時間振とうされることでアッセイは実施された。プレートはそののち、Sector(登録商標)Imager6000装置によって分析された。5−6pg/mLという計算上の検出限界は、溶液の標識された抗体溶液を用いた無洗浄のアッセイで見られるものに匹敵する。
【0090】
実施例3 マルチウェルプレートのウェルの側面上で乾燥された標識された検出抗体を用いてのサイトカイン測定
このアッセイはウェル当たり一つのスポットを伴う小さいスポットのMULTI−ARRAYプレートを用いる。スポットは、材料と方法セクションに記載のように、抗ヒトTNF−α捕捉抗体によって覆われている。4.8%サッカロース中の24μg/mLの検出抗体溶液の水滴(1μL)がウェルの壁内側へと分注され乾燥させられた。プレートはアッセイに用いられるまでデシカントの存在下で保存された。アッセイプロトコールは、80μLのTNF−α溶液をそれぞれのウェルへ加え、室温で30分間振とうし、プレートを洗浄し、150μLの1×MSD(登録商標)READ BUFFER T(Meso Scale Discovery)を加え、そして、Sector(登録商標)Imager6000装置においてプレートを分析することを含む。4℃もしくは室温で18日間、保存されたプレートは1pg/mLより低い検出限界を生じさせ、これは液体検出抗体溶液を用いた洗浄アッセイにみられるものに匹敵する。
【0091】
実施例4 たんぱく質を含有した保護層で覆われた捕捉層とウェル壁部に乾燥の標識された検出抗体とを具備したウェルを伴うマルチウェルプレートを用いてのサイトカイン測定
このアッセイはウェル当たり一つのスポットを伴うMULTI−ARRAYプレートを用いる。それぞれのウェルの作用電極はストレプトアビジンで予め覆われている(streptavidin MULTI−ASSAYプレート、Meso Scale Discovery)。抗IL1−βモノクローナル抗体は下記のプロトコールに従って、作用電極上に固定された。ウェルはPBSで三回洗浄され、20μLの3μg/mLのビオチン標識された抗IL1−β溶液によって処理された。固定はプレートシェーカー上の攪拌の下、2時間続行された。ウェルはその後、PBSで三回洗浄された。20μLの容量のBSAとサッカロースの緩衝溶液がウェルに加え、真空下でウェル内で乾燥させられて、プレートの底部に乾燥フィルムを形成した。
【0092】
SULFO−TAGで標識された抗IL1−βポリクローナル抗体の乾燥錠剤は下記のプロトコールに従ってウェル壁部で形成された。482μg/mLの標識された抗体溶液の100nLの微量水滴は角度の付いたチップを伴うBIO−DOT microdispensor(Bio−Dot,Inc.)を用いてそれぞれのウェル壁部に分注された。水滴はウェル壁部にとどまり、そこで、デシケーターチャンバーで30分間乾燥させられた。ウェルはその後、プレートシールでシールされた。ある例では、低濃度のフルオレセインが検出抗体溶液へと添加された。フルオレセインの蛍光は、検出抗体がウェル壁部を流れ落ちたりもしくはウェル底部に飛び散ったりしたようなウェルを認識することで品質管理チェックを提供するために用いる事ができる。フルオレセインはアッセイの性能に影響を与えなかった。
【0093】
既知の量のIL1−βを含有した125μLの溶液をウェルへ加え、プレートを振とうしながら37分間インキュベートすることで、IL1−βのアッセイは実施された。プレートはPBSで洗浄され、MSD READ BUFFER Tが加えられ、プレートはSector(登録商標)PR400装置において分析された。乾燥検出抗体を伴うプレートを用いたアッセイは液体検出抗体溶液を用いたアッセイに匹敵する方法であった。
【0094】
実施例5 乾燥試薬を用いたマルチウェルプレートにおけるアッセイ:ウェル内のレッジ上での乾燥の標識された抗体の保存
このアッセイは図8に示されるように設定されたMulti−Spotプレートを用いた。プレートは、7スポットパターンを使用することとデシカントウェル720、チャネル725、デシカント錠剤722および底部シーリング層790を省略したこととを除いては、図7に見られるものと同様である。プレート頂部は射出成型のポリプロピレンであった。捕捉抗体は個々のスポットにおいて分注させられることによって固定され、抗体はボツリヌス毒素A(BotA)、ジニトロフェニル(DNP)、リチン、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、ベネズエラウマ脳炎(VEE)、もしくはペスト菌(YP)に対する抗体であった。免疫してないマウスのIgGはネガティブコントロールとして用いるために、残りのスポット上に固定された。固定は、100−500μL/mLの間の抗体、750μg/mLのBSA、0.03%のTRITON X−100を含有した溶液を75μL分注することによって実施された一つの例外はBotA捕捉抗体で、ビオチン化されて、1200μg/mLのアビジンに対して予め結合させられたのち固定され、そして、BSA非存在下で固定された。
【0095】
免疫されてないIgGは、サンドイッチ複合体に参加すべきでなく、全てのサンプルに対して低いシグナルを示すべきである。選択されたレンジ外のこのシグナルの上昇は、測定のアーチファクトが検出抗体の非特異的結合を作り出していることと、擬陽性の結果であるというリスクがあるということの指標として利用できる。さらに一般的に、対応する検出試薬とペアーを組まないどのような結合試薬も用いる事ができる。任意選択で、結合試薬は試験の捕捉試薬と構造的特性を共有しても良く、たとえば、イムノアッセイにおいて、他の捕捉抗体が由来した一つもしくはそれ以上の種由来のイムノグロブリンを含んでも良い。抗DNPスポットはポジティブコントロールとして用いる事ができる。ウェルは乾燥のSULFO−TAGで標識された抗フルオレセイン(FL)抗体と既知の量のDNPとFLの両方で標識された乾燥BSA(DNP−FL−BSA)とをもをも含んでいる。ポジティブコントロールのシグナルは、それゆえ、決まった量のDNP−FL−BSAを示す不変のポジティブシグナルを提供すべきである。このシグナルの選択されたレンジ以下への減少は、サンプルが結合反応もしくはシグナル発生へ干渉することと、擬陰性の結果であるというリスクがあるということの指標として用いる事ができる。さらに一般的に、ポジティブコントロールは、反応混合液へとスパイクされることの出来るすべての検体へのアッセイであることも出来る。好ましくは関心のあるサンプルにおける検体の発見の可能性が低い。
【0096】
捕捉試薬の溶液は乾燥した環境において30分間乾燥させられ、そののち、真空下で30−60分間乾燥させられた。ウェルは材料と方法セクションに記載の通りサッカロースを含んだ安定化洗浄バッファーで洗浄され、5%BSAで45分間ブロッキングされ、安定化洗浄バッファーでもう一度洗浄された。安定化/ブロッキング溶液(20μLの305mM リン酸アンモニウム、100mM 塩化アンモニウム、0.02%TRITON X−100、2%サッカロース、2%BSA および0.02%KATHON防腐剤、pH7.4)が加えられ、溶液はウェル内で真空下で乾燥され、ウェル底部上に乾燥試薬のケークを形成する。
【0097】
STAGで標識された検出抗体の混合液(0.5μLの安定化/ブロッキング溶液中の40―240μg/mLの間の抗BotA、FL、リチン、SEB、VEEおよびYP抗体の混合液)が乾燥試薬レッジの真上のウェル壁部上に分注され(角度の付いた分注チップを伴うBIO−DOT dispenserを用いて)、レッジへと流れ落ちるようにされた。80ng/mLのポジティブコントロール検体(DNP−FL−BSA)を含有した溶液は反対側の壁に分注された。検出抗体とコントロール溶液は真空下で30−60分間乾燥させられた。プレートはその後、使用するまでデシカントと共に包装された。
【0098】
それらのプレートと共にアッセイを実施するのに用いられるプロトコールは、80μLのサンプル(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入った0.1%TRITON X−100溶液中の決まった量の一つもしくはそれ以上の標的検体)を加え、振とうしながら1時間インキュベートし、PBSで洗浄し、150μLの1×MSD READ BUFFER T(Meso Scale Diagnostics、LLC)を加え、プレートをSector(登録商標)Imager6000装置を用いて分析するものであった。このアッセイで用いたVEEおよびYPは、放射線照射により不活化されていた。アッセイで用いられたBotAはホルマリンで不活化された。
【0099】
下のテーブルは、検体無しのサンプル、もしくは10ng/mLのBotA、1ng/mLのリチン、50ng/mLのSEB、1000ng/mLのVEE、もしくは10,000 CFU/mLのYPを含んだサンプルに対して、それぞれのスポットでシグナルが観測されたことを示している。テーブルは標的検体の感度の良い、特異的な検出およびポジティブおよびネガティブコントロールのスポットでの正しい動作を示している。
【0100】
【表1】

【0101】
次のテーブルは、それらのプレートにおいて観測されたシグナルを、液体検出試薬を使用した点を除いて類似の条件で実施されたアッセイと比較する。テーブルは与えられた検体に対する特異的なスポットでのシグナルのみを提供し、検体の存在下(10ng/mLのBotA、1 ng/mLのリチン、50 ng/mLのSEB、1000 ng/mLのVEE、10000 CFU/mLのYP)でのシグナルと検体の非存在下でのバックグラウンドシグナルとの両方を提供する。テーブルは乾燥のアッセイも液体のアッセイも同等であることを示している。
【0102】
【表2】

【0103】
実施例6 アッセイウェルとデシカントウェルとを伴うマルチウェルプレートにおけるアッセイ
このアッセイは図9に見られるように設定されたMULTI−SPOTプレートを用いた。プレートは近接したウェルのペアを接続する導管910を含んでいることを除いて図8に見られるものと同様である。導管は、近接したウェルを分離している壁へと切り込まれた浅い刻み目として提供される。例として、それぞれのペアのウェルの一つのウェルが多重イムノアッセイを実施するのに用いられ、もう一方が貯蔵の間にアッセイウェルを乾燥状態を保つようにデシカントを保持するように用いられた。アッセイは例5のように作成された乾燥捕捉試薬と乾燥検出試薬を伴う多重サンドイッチイムノアッセイを用いた。捕捉試薬は抗Bacillus subtilis var. niger(BG)、抗MS2ファージ、抗FL、抗DNPおよびネガティブコントロールとしてのマウスIgGであった。乾燥検出抗体錠剤は抗BG、抗MS2および抗オボアルブミン(Ova)(FL−OvaおよびDNP−Ovaを検出するため)を含む。
【0104】
プレートを作成したのち、デシカントウェルは大ざっぱに50mgから200mgのシリカゲルもしくはドライアライト(硫酸カルシウム)デシカントによって満たされ、プレートはアルミニウムホイルヒートシールによってシールされた。ホイルシールをプレート頂部にシールした後、ウェルの刻み目が、アッセイウェルとデシカントウェルのセット間の導管を提供する。あるプレートは比較としてデシカントウェルにデシカントを含まずに作成された。乾燥試薬を完全に乾燥させるためプレートは数日間乾燥条件下で4℃で保存された。プレートはその後、標的生物の測定(実施例5のアッセイプロトコールを用いる)を実施するためにそれらを使用することに先立って、上昇する温度と湿度に数日間さらされた。
【0105】
図10は、決まった量の標的検体を含有したサンプルに対するシグナルを提供し、60%の湿度、30℃に7日間さらされた後のシリカデシカント、硫酸カルシウムデシカント、デシカントなしのプレートからのシグナルを比較している。シグナルは、他のものと同時期に作成されたが、乾燥条件下で4℃で7日間保存されたプレートから得られたシグナルのパーセンテージで提供される。結果は、デシカントウェルが乾燥試薬の熱と湿度に対する安定性を向上するのにとても効果的であったことを示している。
【0106】
本開示に引用される特許、特許出願、刊行物は引用によってそれらのすべてが含まれる。
本発明は記載された具体的な実施形態の範囲に限定するものではない。実際に、本明細書に記載されたものに加えて本発明の種々の改良が前述の記載及び添付図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改良は特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
【0107】
「備える/含有する(comprise)」を列挙する請求項は、他の要素の含有が請求項の範囲内であることを許容され、「備える/含有する」の代わりに、「本質的に〜から成る(consisting essentially of)」というトラジションなフレーズ(すなわち、それらが本発明の実施に物質的に影響を与えない限り、他の要素の含有がクレームの範囲内であることを許容する)または「〜から成る(consisting of)」(請求項内にリストされた、混入物以外もしくは通常本発明と付随している活動において重要でないもの以外の要素のみを認める)を列挙するような請求項によってもまた発明は記述される。これら3つのトラジションのいずれも本発明の特許請求に用いる事ができる。

【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1a−1eは乾燥試薬を含むマルチウェルプレートのウェルのいくつかの実施形態の縮尺どおりでない概略図を示している。
【図2】図2a−2jは乾燥試薬を支持するのに用いても良い棚要素を有しているウェルのいくつかの実施形態における縮尺どおりでない概略的な頂面図および横断面図を示し、棚要素はレッジ(図2a−2f)、ブリッジ(図2g−2h)およびテーブル(図2i−2j)を含んでいる。
【図3】図3a−3cは検出ウェルおよび試薬復元ウェルを具備したマルチウェルプレートの概略図を示している。
【図4】図4a−4bは検出ウェルと試薬復元ウェルとを具備したプレートの実施形態の頂面図および横断面図を示し、試薬復元ウェルは検出ウェル間の間隙のスペースに配置される。
【図5】図5a−5fはアッセイウェルおよびデシカントウェルを具備したマルチウェルプレート500(図5a−5b)、520(図5c−5d)、および540(図5e−5f)の概略図を示す。
【図6】図6はマルチウェルアッセイプレートの一つの実施形態の概略的な分解図を示す。
【図7】図7a−cはアレイを基にした多重電気化学発光アッセイを実施するために設定されたマルチウェルプレートの3つの概略図を示す。
【図8】図8は乾燥試薬のレッジとウェル当たり7個のスポットとを伴った四角のウェルプレートの一つの実施形態を示す。
【図9】図9は乾燥試薬のレッジとウェル当たり7個のスポットと近接した一対のウェル間の乾燥導管とを伴った四角のウェルプレートの一つの実施形態を示す。
【図10】図10は、アッセイプレート内にデシカントウェルを組み込むことのプレートに保存された乾燥試薬の安定性に対する効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチウェルプレートにおいて、内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備え、
(a) 復元可能な1番目の乾燥試薬をを有している複数の1番目の試薬ウェルと、
(b) 2番目の乾燥試薬を有している複数の2番目の試薬ウェルと、
を備え、前記1番目の試薬と2番目の試薬がアッセイを実施するために対応している試薬である、
マルチウェルアッセイプレート。
【請求項2】
前記1番目の試薬ウェルが規則的な二次元パターンに配列され、前記1番目の試薬ウェルがウェル床面およびウェル壁部を具備し、前記ウェル壁部が内側壁表面と外側壁表面を具備し、
前記2番目の試薬ウェルがウェル床面およびウェル壁部を具備し、前記ウェル壁部が、前記検出ウェルの外側壁表面と近接した検出ウェルの外側壁表面に接続しているリブ要素とによって画定される、
請求項1に記載のマルチアッセイプレート。
【請求項3】
前記1番目の試薬ウェルが丸い開口周を具備している、請求項2に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項4】
前記検出ウェルが8x12のアレイにアレンジされる、請求項3に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレートにおけるアッセイの実施方法において、前記方法が
(a) 前記1番目の試薬ウェルの一つにサンプルを加えるステップと、
(b) 前記1番目の試薬ウェル内で復元可能な乾燥の標識された検出試薬を復元して反応混合液を生じるステップと、
(c) 一定分量の前記反応混合液を一つもしくはそれ以上の前記2番目の試薬ウェルへ移すステップと
(d) 前記2番目の試薬ウェル(複数可)内で、前記サンプルにおける前記アッセイを実施するように、前記反応混合液をインキュベートするステップと、
を含有する、マルチウェルアッセイプレート。
【請求項6】
前記マルチウェルアッセイプレートが一つの1番目の試薬ウェルと一つもしくはそれ以上の2番目の試薬ウェルとからなる複数のウェルのセットに分割されても良く、前記方法が、ウェルの前記セットのそれぞれにおいて(a)から(d)のプロセスを繰り返すステップをさらに含有している、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
マルチウェルアッセイプレートにおいて、ウェルの床面と前記床面から前記床面上の高さhまで延出したウェルの壁とを具備して内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備え、前記壁部は高さhにおいて棚要素を提供するように成形され、ここで0<h< hである、マルチウェルアッセイプレート。
【請求項8】
0.05h<h<0.25hである、請求項7に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項9】
0.2 mm<h<5 mmである、請求項7に記載のマルチウェルプレート。
【請求項10】
前記プレート本体がワンピース(one-piece)の射出成形部品である、請求項7に記載のマルチウェルプレート。
【請求項11】
前記プレート本体が、前記ウェルの壁を画定する複数のスルーホールを具備しているプレート頂部と、前記プレート頂部に対してシールされているプレート底部とを備えていて、前記プレート底部は前記ウェル床面を画定する、請求項7に記載のマルチウェルプレート。
【請求項12】
前記プレート底部が、ウェルの内部ボリュームに対して露出されている導電性の電極表面を提供する、請求項11に記載のマルチウェルプレート。
【請求項13】
前記プレートが、4 x 6、8 x 12、16 x 24、もしくは32 x 48のアレイに配列されるようにウェルを画定する、請求項7から12のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項14】
マルチウェルアッセイプレートにおいて、前記マルチアッセイプレートが
(a) 内部に形成されている複数のウェルを伴うプレート本体を備え、前記プレート本体が、
(i) 乾燥アッセイ試薬を含有する複数のアッセイウェルと
(ii) デシカントを含有する複数のデシカントウェルを備えていることと、
(b)前記プレート本体に対してシールされ、それによって外部環境から前記複数のウェルを隔離している、プレートシールを備える、
マルチウェルアッセイプレート。
【請求項15】
前記デシカントウェルが乾燥導管(を介して前記アッセイウェルに接続されており、前記導管が前記アッセイウェルから前記デシカントウェルへの水蒸気の拡散を可能にし、かつ、前記アッセイウェル内の前記乾燥アッセイ試薬の位置より上位の高さで前記アッセイウェルと交差する、請求項14に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項16】
前記プレート本体の上面がアッセイウェルをデシカントウェルへと接続する埋め込まれたチャネルを具備しており、前記プレートシールが前記チャネルに対してシールされて前記導管を形成する、請求項15に記載のマルチウェルプレート。
【請求項17】
請求項15から16のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレートにおいて、
(i) 前記プレートの壁が、少なくとも一つのアッセイウェルと少なくとも一つのデシカントウェルとを含有する複数のアッセイパネルに分割され、
(ii) アッセイパネル内のウェルが乾燥導管を介して相互接続され、
(iii) 異なったパネル内のウェルとは乾燥導管を介して相互接続されていない、
マルチアッセイプレート。
【請求項18】
前記パネルが、一つのアッセイウェルと一つのデシカントウェルとからなる、請求項17に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項19】
前記アッセイウェルが、中に固定された捕捉試薬を具備する結合表面と復元可能な乾燥の標識された検出試薬とを含有する、請求項14から18のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項20】
前記アッセイウェルが一つもしくはそれ以上の追加の固定された捕捉試薬をさらに含有し、前記捕捉試薬および追加の補足試薬が前記結合表面上に結合領域のパターン化されたアレイを形成し、前記結合領域が結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なる、請求項19に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項21】
前記復元可能な乾燥試薬が、一つもしくはそれ以上の標識された検出試薬をさらに含有し、前記検出試薬および追加の検出試薬が、結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なる、請求項20に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項22】
前記結合表面が電気化学発光アッセイにおける電極としての使用に適している、請求項19から21のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項23】
前記プレート本体が、ワンピースの射出成形部品である、請求項14から22のいずれかに記載のマルチウェルプレート。
【請求項24】
前記プレート本体が、ウェルの壁部を画定する複数のスルーホールを具備しているプレート頂部と、プレート頂部に対してシールされていてウェルの床面を画定するプレート底部とを備えている、請求項14から22のいずれかに記載のマルチウェルプレート。
【請求項25】
前記プレート底部が、ウェルの内部ボリュームに対して露出されている導電性の電極表面を提供する、請求項24に記載のマルチウェルプレート。
【請求項26】
前記プレートが、4 x 6、8 x 12、16 x 24、もしくは32 x 48のアレイに配列されるようにウェルを画定する、請求項14から25のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項27】
マルチウェルアッセイプレートであって、前記マルチアッセイプレートが
(a) 内部に形成される乾燥アッセイ試薬を含有する複数のウェルを伴うプレート本体を含有し、前記プレート本体が、ウェルの壁部を画定する複数のスルーホールを具備するプレート頂部と前記プレート頂部に対してシールされていてウェルの床面を画定するプレート底部と、
(b) 前記プレート本体に対してシールされ、それによって外部環境から前記複数のウェルを隔離している、プレートシールと、
(c) デシカント剤と
を備える、マルチウェルアッセイプレート。
【請求項28】
前記プレートシールがデシカント剤を含有する、請求項27に記載のマルチウェルプレート。
【請求項29】
前記プレートシールと前記プレート本体の間にガスケット層をさらに含有し、そこで前記ガスケット層が前記デシカント剤を含有する、請求項27に記載のマルチウェルプレート。
【請求項30】
前記プレート頂部が前記デシカント剤で含浸されている、請求項27に記載のマルチウェルプレート。
【請求項31】
前記プレート頂部と前記プレート底部との間にガスケット層をさらに含有し、そこで前記ガスケット層が前記デシカント剤を含有している、請求項27に記載のマルチウェルプレート。
【請求項32】
前記プレート底部が、前記デシカント剤を含有する、請求項27に記載のマルチウェルプレート。
【請求項33】
前記プレート本体が一つもしくはそれ以上の追加のウェルを画定し、前期追加のウェルが前記デシカント剤を保持する、請求項27に記載のマルチウェルプレート。
【請求項34】
前記プレート底部が、ウェルの内部ボリュームに対して露出されている導電性の電極表面を提供する、請求項27から33のいずれかに記載のマルチウェルプレート。
【請求項35】
前記アッセイウェルが、内部に固定された捕捉試薬を具備している結合表面と復元可能な乾燥の標識された検出試薬とを含有している、請求項27から34のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項36】
前記アッセイウェルが、一つもしくはそれ以上の追加の固定された捕捉試薬をさらに含有し、前記捕捉試薬および追加の捕捉試薬が、前記結合表面の上に結合領域のパターン化されたアレイを形成し、そして、前記結合領域が結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている、請求項35に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項37】
前記復元可能な乾燥試薬が、一つもしくはそれ以上の追加の標識された検出試薬をさらに含有し、前記検出試薬および追加の検出試薬が結合パートナーに対する特異性もしくは親和性において異なっている、請求項36に記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項38】
前記結合表面が電気化学発光アッセイにおける電極としての使用に適している、請求項27から37のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。
【請求項39】
前記プレートが、4 x 6、8 x 12、16 x 24、もしくは32 x 48のアレイに配列されるようにウェルを画定する、請求項27から38のいずれかに記載のマルチウェルアッセイプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−7751(P2013−7751A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179913(P2012−179913)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2008−547612(P2008−547612)の分割
【原出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(505243216)メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー (8)
【Fターム(参考)】