説明

アドレナリン作動薬およびムスカリン拮抗薬としてのスルホンアミド誘導体

本発明は、式(1)の化合物ならびにそのような誘導体を調製するための方法、そのような誘導体を調製するのに使用される中間体、そのような誘導体を含有する組成物およびそのような誘導体の用途に関する。本発明による化合物は、多数の疾患、障害および状態、特に、炎症性、アレルギー性および呼吸器の疾患、障害および状態において有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(1)
【0002】
【化1】

(式中、R、RおよびQは、以下で示される意味を有する)の化合物、ならびにそのような誘導体を調製するための方法および中間体、そのような誘導体を含有する組成物およびそのような誘導体の用途に関する。
【背景技術】
【0003】
β2アドレナリン作動薬およびコリン作動性ムスカリン拮抗薬は、COPDおよび喘息などの閉塞性呼吸器疾患を治療するための十分に確立した治療薬である。現在使用されている吸入β作動薬は、サルブタモール(q.i.d.)、およびテルブタリン(t.i.d.)などの短時間作用薬とサルメテロール、およびフォルモテロール(b.i.d.)などの長時間作用薬の両方を包含し、気道平滑筋上のアドレナリン受容体の刺激を介して気管支拡張をもたらす。臨床使用における吸入ムスカリン拮抗薬は、短時間作用型の臭化イプラトロピウム(q.i.d.)、臭化オキシトロピウム(q.i.d.)および長時間作用型のチオトロピウム(q.d.)を包含する。ムスカリン拮抗薬は、主に、気道平滑筋上に存在するムスカリン受容体に対するアセチルコリンの作用に拮抗することにより、気道のコリン作動性緊張を阻害することにより気管支拡張をもたらす。多くの公表されている研究は、閉塞性肺疾患患者への吸入β作動薬と吸入ムスカリン拮抗薬(短時間作用型か長時間作用型かにかかわらず)の組合せ投与が、単一クラスの薬剤のどちらかを単独で受けている患者に比べて、肺機能、症状および生活の質尺度の優れた改善をもたらすことを立証している。今日までの研究は、単一薬理学の薬剤についての組合せ研究に限定されてきたが、単一分子内の両薬理学の組合せは、そのことによって単一薬剤と類似した治療係数での気管支拡張効果の増強または優れた治療係数での類似効果の増強が得られる可能性があることから望ましいであろう。さらに、単一分子において両薬理学を組み合わせることは、抗炎症薬との組合せの可能性、すなわち、単一インヘイラーから3剤併用療法を行うことを可能にするであろう。したがって、例えば、効力、選択性、薬物動態、安全性、全身的暴露または作用持続時間に関して適切な薬理学的プロフィールを有するであろうβ2作動薬およびM3拮抗薬として活性な新規化合物が必要である。特に、吸入経路により投与するのに適している化合物が必要である。これに関連して、本発明は、β2作動薬およびムスカリン拮抗薬として活性な新規化合物に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一般式(1)
【0005】
【化2】

(式中、
は、ハロであり、
は、Hまたはハロであり、
Qは、−(CH−または
【0006】
【化3】

から選択される)の化合物、
または、適切な場合、それらの薬学的に許容できるそれらの塩および/または溶媒和物に関する。
【0007】
本明細書における上記の一般式(1)において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択されるハロゲン原子、特に、フルオロまたはクロロを意味する。
【0008】
式(1)の化合物は、特に、吸入経路を介して投与された場合、優れた効力を示すことにより、前記受容体が関わる疾患および/または状態を治療するのに特に有用であるβ2アドレナリン受容体作動薬およびムスカリン受容体拮抗薬である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(1)
【0010】
【化4】

の化合物は、以下の例示的方法(式中、R、RおよびQは、他に指示がない限り、式(1)の化合物について前に定義されている通りである)によるなどの従来の手順を用いて調製することができる。
【0011】
式(1)のアミン誘導体は、式(2)
【0012】
【化5】

(式中、R、RおよびQは、前に定義されている通りである)のアミンを、
式(3)
【0013】
【化6】

(式中、PおよびPは、適当なヒドロキシル保護基である)の臭化物と反応させることにより調製することができる。Pは、ベンジルであり、Pは、TBDMSであることが好ましい。Pは、任意選択の適当なヒドロキシル保護基である。Pは、ベンジルであることが好ましい。
【0014】
典型的な手順において、式(2)のアミンを、12〜48時間にわたって、80℃〜120℃からなる温度にて、場合により、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)の存在下、場合により、溶媒または溶媒の混合物(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピオニトリル、アセトニトリル)の存在下で式(3)の臭化物と反応させる。次いで、保護基を、教科書のT.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981中に見いだされる方法などの酸素保護基を切断するための標準的方法を用いて除去することができる。
【0015】
式(3)の臭化物は、WO2005/080324の方法に従って調製することができる。
【0016】
式(2)のアミンは、式(4)
【0017】
【化7】

(式中、RaおよびRbは、NとRaおよびNとRbの間の結合が、教科書のT.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981中に見いだされる方法などの窒素保護基を切断するための標準的方法を用いて容易に切断され、式(2)の遊離アミンが得られるような任意の適当な置換基を表す)の対応する保護されたアミンから調製することができる。例えば、RaおよびRbは、アリル、ベンジル、t−ブチルカルバメートから選択されるか、または一緒になった場合、フタルイミドを形成することがある。
【0018】
式(4)のアミンは、式(5)
【0019】
【化8】

の対応するアミンから、
式(6)
【0020】
【化9】

の臭化物で調製することができる。
【0021】
典型的な手順において、式(5)のアミンを、12〜48時間にわたって、80℃〜120℃からなる温度にて、場合により、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)の存在下、場合により、溶媒または溶媒の混合物(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピオニトリル、アセトニトリル)の存在下で式(6)の臭化物と反応させる。
【0022】
式(6)の臭化物は、式(7)の対応する二臭化物および対応するアミン求核試薬RaRbNH(式中、RaおよびRbは、NとRaおよびRbの間の結合が容易に切断されるような任意の適当な置換基を表す)から調製することができる。
Br−Q−Br(7)
【0023】
典型的な手順において、臭化物(7)を、6〜48時間にわたって、0℃〜150℃からなる温度にて、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどの溶媒中でフタルイミドまたはジ−tert−ブチルイミノジカーボネートのナトリウム塩と反応させる。
【0024】
Qが−(CH−である式(7)の二臭化物は、市販されている。
【0025】
Qが、
【0026】
【化10】

である式(7)の二臭化物は、式(8)
【0027】
【化11】

の対応するジオールから調製することができる。
【0028】
典型的な手順において、ジオール(8)を、6〜48時間にわたって、0℃〜150℃からなる温度にて、場合により、溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン)の存在下でPBr3またはHBrなどの適当な臭素化試薬で処理する。
【0029】
ジオール(8)は、市販の二酸(9)
【0030】
【化12】

から調製することができる。
【0031】
典型的な手順において、二酸(9)を、1〜48時間にわたって、−78℃〜150℃からなる温度にて、溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル)の存在下で水素化リチウムアルミニウムまたはボランなどの適当な還元剤で処理する。
【0032】
アミン(5)は、式(10)の臭化物および市販のアリールボロン酸から調製することができる。
【0033】
【化13】

【0034】
Rcは、容易に切断されて式(5)の遊離アミンが得られるように選択される。Lは、脱離基、好ましくは、ブロモまたはヨードである。
【0035】
典型的な手順において、式(10)のハロゲン化アリールを、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン)の存在下、溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジメトキシエタン、N,Nジメチルホルムアミド)中、適当なパラジウム触媒(式Pd(OAc)/P(o−Tol)の酢酸パラジウム/トリ−o−トリルホスフィン)の存在下でアリールボロン酸と反応させる。反応は、4〜16時間にわたって80℃〜110℃からなる温度にて行われることが好ましい。次いで、Rcを、教科書のT.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981中に見いだされる方法などの窒素保護基を切断するための標準的方法を用いて切断する。
【0036】
代替方法として、式(4)のアミンは、式(11)の対応する保護されたアミンおよび市販のボロン酸から調製することができる。
【0037】
【化14】

【0038】
典型的な手順において、式(11)のハロゲン化アリールを、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン)の存在下、溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド)中、適当なパラジウム触媒(式Pd(OAc)/P(o−Tol)の酢酸パラジウム/トリ−o−トリルホスフィン)の存在下でアリールボロン酸と反応させる。反応は、4〜16時間にわたって80℃〜110℃からなる温度にて行われることが好ましい。
【0039】
代替方法として、式(1)の化合物は、式(12)の対応する臭化物および市販のボロン酸から調製することができる。
【0040】
【化15】

【0041】
典型的な手順において、式(12)のハロゲン化アリールを、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム)の存在下、溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド)中、適当なパラジウム触媒(式Pd(OAc)/P(o−Tol)の酢酸パラジウム/トリ−o−トリルホスフィン)の存在下でアリールボロン酸と反応させる。反応は、4〜16時間にわたって80℃〜110℃からなる温度にて行われることが好ましい。場合により、ヒドロキシルおよび塩基性中心を、教科書のT.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981中に見いだされる方法などの標準的方法を用いて保護することができる。
【0042】
式(12)の臭化物は、式(13)
【0043】
【化16】

(式中、PおよびPは、適当なヒドロキシル保護基である)の対応する保護された化合物から調製することができる。Pは、ベンジルであり、Pは、TBDMSであることが好ましい。
【0044】
保護基は、教科書のT.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981中に見いだされる方法などのヒドロキシ保護基を切断するための標準的方法を用いて容易に切断され、式(12)の臭化物を得ることができる。
【0045】
式(13)の臭化物は、式(3)の臭化物ならびにRaおよびRbがHである式(11)の脱保護されたアミンから調製することができる。典型的な手順において、式(11)のアミンを、12〜48時間にわたって、80℃〜120℃からなる温度にて、場合により、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)の存在下、場合により、溶媒または溶媒の混合物(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピオニトリル、アセトニトリル)の存在下で式(3)の臭化物と反応させる。
【0046】
式(11)のアミンは、式(14)
【0047】
【化17】

の対応するアミンと、
式(6)
【0048】
【化18】

の臭化物から調製することができる。
【0049】
典型的な手順において、式(14)のアミンを、12〜48時間にわたって、80℃〜120℃からなる温度にて、場合により、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)の存在下、場合により、溶媒または溶媒の混合物(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピオニトリル、アセトニトリル)の存在下で式(6)の臭化物と反応させる。
【0050】
式(14)のアミンは、式(15)の対応する保護されたアミンおよび対応するイソシアネートから調製することができる。
【0051】
【化19】

【0052】
イソシアネートは、市販されているか、または対応するアミンもしくはカルボン酸から中間体として調製することができる。典型的な手順において、アミン(15)を、1〜48時間にわたって、0℃〜80℃からなる温度にて、場合により、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)の存在下、場合により、溶媒または溶媒の混合物(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン)の存在下でイソシアネートと反応させる。Rcは、教科書のT.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981中に見いだされる方法などの窒素保護基を切断するための標準的方法を用いて容易に切断され、式(5)の遊離アミンが得られるように選択される。
【0053】
式(1)の化合物を調製する本明細書の上述の方法のステップの一部について、反応させたくない潜在的に反応性の官能基を保護し、その結果として前記保護基を切断することが必要であることがある。そのような場合には、任意の適合性保護基を使用することができる。特に、T.W.GREENE(Protective Groups in Organic Synthesis、A.Wiley−Interscience Publication、1981)またはP.J.Kocienski(Protecting groups、Georg Thieme Verlag、1994)により記載されている方法などの保護および脱保護の方法を使用することができる。
【0054】
上記の反応および前述の方法において使用される新規出発材料の調製はすべて、従来通りであり、それらの実行または調製にとって適切な試薬および反応条件ならびに所望の生成物を単離するための手順は、文献前例ならびに本明細書の実施例および調製を参照することにより当業者によく知られるであろう。
【0055】
また、式(1)の化合物ならびにそれらを調製するための中間体は、例えば、結晶化またはクロマトグラフィーなどの様々なよく知られている方法に従って精製することができる。
【0056】
以下の置換基または置換基の組合せを含有する式(1)の化合物のサブグループが好ましい。
− Rは、FまたはClであり、かつ/または
− Rは、H、FまたはCl、好ましくは、HまたはFであり、かつ/または
− Qは、−(CH−である。
【0057】
本発明による特に好ましい化合物は、
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート、
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート、および、
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート、
または適切な場合、それらの薬学的に許容できるそれらの塩および/または溶媒和物である。
【0058】
薬学的に許容できる式(1)の化合物の塩は、それらの酸付加塩および塩基塩を包含する。
【0059】
適当な酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素塩/臭化物、ヨウ化水素塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチレート、1,5−ナフタレンジスルホン酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を包含する。
【0060】
適当な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成される。例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩を包含する。
【0061】
酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成することができる。
【0062】
適当な塩の総説については、StahlおよびWermuthによる「Handbook of Phamaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、Weinheim、Germany、2002)を参照されたい。
【0063】
薬学的に許容できる式(1)の化合物の塩は、3つの方法:
(i)式(1)の化合物を望ましい酸または塩基と反応させること、
(ii)望ましい酸または塩基を用い、式(1)の化合物の適当な前駆体から酸もしくは塩基に不安定な保護基を除去するか、または適当な環状前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを開環すること、または
(iii)適切な酸もしくは塩基との反応により、または適当なイオン交換カラムを用いて、式(1)の化合物のある塩を別の塩に変換すること
のうちの1つまたは複数により調製することができる。
【0064】
3つの反応はすべて、典型的には、溶液中で行われる。得られる塩は、沈殿させて濾過により集めるか、または溶媒の蒸発により回収することができる。得られる塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化までと様々であってよい。
【0065】
本発明の化合物は、非溶媒和形態と溶媒和形態の両方で存在することがある。本明細書において、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物および化学量論的量の1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体について記載するために使用される。「水和物」という用語は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0066】
上述の溶媒和物と対照的に、薬物およびホストが化学量論的または非化学量論的な量で存在するクラスレート、薬物−ホスト包接錯体などの錯体も本発明の範囲内に包含される。化学量論的または非化学量論的な量であってよい2種以上の有機および/または無機構成成分を含有する薬物の錯体も包含される。得られる錯体は、イオン化、部分的イオン化、または非イオン化であってよい。そのような錯体の総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、64(8)、1269〜1288(August 1975)を参照されたい。
【0067】
本明細書では以後、式(1)の化合物へのすべての言及は、それらの塩、溶媒和物および錯体、ならびにそれらの塩の溶媒和物および錯体への言及を包含する。
【0068】
本発明の化合物は、それらのすべての多形体および晶癖、本明細書で後に定義するようなそれらのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を包含する)ならびに式(1)の同位体標識化合物を包含する本明細書で前に定義されているような式(1)の化合物を包含する。
【0069】
示すように、式(1)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にある。すなわち、それら自体が薬理学的活性をほとんど、またはまったく有していないことがある式(1)の化合物の特定の誘導体は、体内または体表に投与された場合、例えば加水分解切断により、望ましい活性を有する式(1)の化合物に変換されることがある。そのような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するそれ以上の情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)中に見いだすことができる。
【0070】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(1)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、H.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているような「プロモイエティ(pro−moieties)」として当業者に知られている特定の部分で置き換えることにより製造することができる。
【0071】
本発明によるプロドラッグの一部の例は、
(i)式(1)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合はそのエーテル、例えば、式(1)の化合物のアルコール官能基の水素が、(C〜C)アルカノイルオキシメチルにより置き換えられている化合物、および
(ii)式(1)の化合物が一級または二級アミノ官能基(−NHまたはRがHではない−NHR)を含有する場合はそのアミド、例えば、場合によって、式(1)の化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が、(C〜C10)アルカノイルにより置き換えられている化合物を包含する。
【0072】
上記の例および他のプロドラッグタイプの例による置換基の他の例は、上述の参考文献中に見いだすことができる。
【0073】
さらに、式(1)の特定の化合物は、それら自体で式(1)の他の化合物のプロドラッグとしての役割を果たすことがある。
【0074】
式(1)の化合物の代謝産物、すなわち、薬物の投与によってin vivoで形成される化合物も本発明の範囲内に包含される。本発明による代謝産物の一部の例は、
(i)式(1)の化合物が二級アミノ基を含有する場合はその一級誘導体(−NHR→−NH)、および
(ii)式(1)の化合物がフェニル部分を含有する場合はそのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH)を包含する。
【0075】
2種以上のタイプの異性を示す化合物、およびそれらの1個または複数の混合物を包含する式(1)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性体は、本発明の範囲内に包含される。対イオンが光学活性である、例えば、d−乳酸塩もしくはl−リシンであるか、またはラセミである、例えば、dl−酒石酸塩もしくはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基塩も包含される。
【0076】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来技法、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶により分離することができる。
【0077】
個々の鏡像異性体を調製/分離するための従来技法は、適当な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を包含する。
【0078】
代替方法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適当な光学活性化合物、例えばアルコールと、または、式(1)の化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合には、酒石酸もしくは1−フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶により分離することができ、ジアステレオ異性体の一方または双方は、当業者によく知られている手段により対応する純粋な1個または複数の鏡像異性体に変換することができる。
【0079】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、イソプロパノール0〜50容積%、典型的には、2%〜20%、およびアルキルアミン0〜5容積%、典型的には、ジエチルアミン0.1%を含有する炭化水素、典型的には、ヘプタンまたはヘキサンからなる移動相による不斉樹脂上のクロマトグラフィー、典型的には、HPLCを用い、鏡像異性的に富化された形態で得ることができる。溶出液を濃縮すると、富化された混合物が得られる。
【0080】
立体異性の集合体は、当業者に知られている従来技法により分離することができる。例えば、E.L.Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、New York、1994)を参照されたい。
【0081】
本発明の一態様によれば、下式(式中、R、RおよびQは、請求項1に記載されている通りである)の(R)−立体異性体が好ましい。
【0082】
【化20】

【0083】
本発明は、1個または複数の原子が、同じ原子番号であるが、自然において優位を占める原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているすべての薬学的に許容できる式(1)の同位体標識化合物を包含する。
【0084】
本発明の化合物中に含めるのに適している同位体の例は、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどのイオウの同位体を包含する。
【0085】
式(1)の特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み入れた同位体標識化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体であるトリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cは、それらを組み入れる容易さおよびそれらを検出する手段が用意されていることに鑑みてこの目的のために特に有用である。
【0086】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性に由来する特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の増加または用量要件の軽減を提供することがあるため、一部の環境において好ましいことがある。
【0087】
11C、18F、15Oおよび13Nなどのポジトロン放出同位体による置換は、基質受容体占有を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用なことがある。
【0088】
式(1)の同位体標識化合物は、一般的に、当業者に知られている従来技法により、またはこれまでに用いた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用い、添付の実施例および調製に記載されているプロセスに類似したプロセスにより調製することができる。
【0089】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物は、結晶化の溶媒が、同位体置換されている、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOであってよい溶媒和物を包含する。
【0090】
式(1)の化合物、それらの薬学的に許容できる塩および/または誘導形態は、β2受容体の作動作用およびムスカリン受容体の拮抗作用が有益性をもたらすことがある多数の障害、特に、アレルギー性および非アレルギー性気道疾患の治療および予防に適している価値ある医薬活性化合物である。
【0091】
薬学的使用を意図した本発明の化合物は、結晶性または非晶性製品として投与することができる。本発明の化合物は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ剤(solid plugs)、散剤、またはフィルム剤として得ることができる。この目的には、マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。
【0092】
本発明の化合物は、単独で、または1種もしくは複数の本発明の他の化合物との組合せで、または1種もしくは複数の他の薬物との組合せで(または、それらの任意の組合せとして)投与することができる。一般的に、本発明の化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与されるはずである。本明細書において、「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分について記載するのに使用される。賦形剤の選択は、特定の投与方法、溶解度および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに剤形の性質などの要素によって大きく左右されるであろう。
【0093】
本発明の化合物を送達するのに適している医薬組成物およびそれらを調製するための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)中に見いだすことができる。
【0094】
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下するものであってよく、または、化合物が口から直接血流に入る口腔もしくは舌下投与が用いられることがある。
【0095】
経口投与に適している製剤は、錠剤、粒子剤、液剤、または散剤を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体入りを包含する)、咀嚼剤(chew)、多粒子剤およびナノ粒子剤、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤、膣坐剤、噴霧剤などの固形製剤ならびに液状製剤を包含する。
【0096】
液状製剤は、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含する。このような製剤は、軟質または硬質カプセル剤における充填剤として用いることができ、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適当な油、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液状製剤は、例えばサシェから、固体の再構成により調製することもできる。
【0097】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載されている剤形などの速溶解性、速崩壊性剤形においても使用することができる。
【0098】
錠剤剤形の場合、投与量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には、剤形の5重量%〜60重量%を占めることができる。薬物の他に、錠剤は、一般的に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムを包含する。一般的に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは、5重量%〜20重量%を占めるものとする。
【0099】
一般的に、錠剤製剤に凝集性を付与するために結合剤が使用される。適当な結合剤は、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有することもある。
【0100】
また、錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を占め、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めることがある。
【0101】
また、錠剤は、一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤を含有する。滑沢剤は、一般的に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは、0.5重量%〜3重量%を占める。
【0102】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤および味覚マスキング剤を包含する。
【0103】
例示的錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%〜約90重量%、希釈剤約0重量%〜約85重量%、崩壊剤約2重量%〜約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%〜約10重量%を含有する。
【0104】
錠剤ブレンドを直接、またはローラーにより圧縮し、錠剤を作製することができる。代替方法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を、打錠前に湿式、乾式、もしくは融解式造粒するか、融解式凝結させるか、または押し出すことができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含み、コーティングされていてもされていなくてもよく、カプセル化されてもよい。
【0105】
錠剤の製剤化は、H.LiebermanおよびL.LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第1巻(Marcel Dekker、New York、1980)中で論じられている。
【0106】
ヒトまたは動物使用のために消費できる経口フィルム剤は、典型的には、速溶解性であるか、または粘膜付着性であってよい柔軟な水溶性または水膨潤性の薄膜剤形であり、典型的には、式(1)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤および溶媒を含む。製剤の一部の構成成分は、2つ以上の機能を果たすことがある。
【0107】
式(1)の化合物は、水溶性または不水溶性であってよい。水溶性化合物は、典型的には、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には、20重量%〜50重量%を占める。あまり溶けない化合物は、組成物の大部分、典型的には、溶質の88重量%までを占めることがある。代替方法として、式(1)の化合物は、多粒子ビーズの形態であってよい。
【0108】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖、タンパク質、または合成親水コロイドから選択することができ、典型的には、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には、30〜80重量%の範囲で存在する。
【0109】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、香味料および調味料、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を包含する)、緩和薬、充填剤、消泡剤、界面活性剤および味覚マスキング剤を包含する。
【0110】
本発明によるフィルム剤は、典型的には、剥離可能な裏打用の支持体または紙の上にコーティングされた薄い水性フィルムを蒸発乾燥させることにより調製される。これは、乾燥炉またはトンネル乾燥機、典型的には、複合コーター乾燥機中で、または凍結乾燥もしくは真空吸引により行うことができる。
【0111】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0112】
本発明の目的に適している放出調節製剤については、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散剤ならびに浸透および被覆粒子剤などの他の適当な放出技術の詳細は、Verma他によるPharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)中に見いだすことができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用については、WO00/35298に記載されている。
【0113】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓中に直接投与することもできる。非経口投与に適している手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を包含する。非経口投与に適している装置は、針(極微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技法を包含する。
【0114】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(3〜9のpHが好ましい)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、一部の応用例については、滅菌非水溶液として、または乾燥形態として製剤化し、滅菌した発熱物質を含まない水などの適当なビヒクルと併せて使用することがより適当である。
【0115】
無菌条件下、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的製薬技法を用いて容易に行うことができる。
【0116】
非経口液剤の調製において使用される式(1)の化合物の溶解性は、溶解性促進剤の組み入れなどの適切な製剤技法の使用により高めることができる。
【0117】
非経口投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。すなわち、本発明の化合物は、活性化合物の放出調節を提供する埋込型デポー剤として投与するための固体、半固体、もしくはチキソトロピックな液体として製剤化することができる。そのような製剤の例は、薬物をコーティングしたステントおよびdl−乳酸/グリコール酸共重合体(poly(dl−lactic−coglycolic)acid)(PGLA)ミクロスフェアを包含する。
【0118】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ局所的に、すなわち、経皮的に(dermally)または経皮的に(transdermally)投与することもできる。この目的にとって典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、ウエハー剤、インプラント剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏剤およびマイクロエマルジョン剤を包含する。リポソーム剤も使用することができる。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。透過促進剤を組み入れることができる。例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(October 1999)を参照されたい。
【0119】
局所投与の他の手段は、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび極微針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達を包含する。
【0120】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0121】
また、本発明の化合物は、鼻腔内に、または吸入により、典型的には、乾燥粉末インヘイラーから乾燥粉末(単独で、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドにおける混合物として、または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)の形態で、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適当な噴射剤の使用の有無にかかわらず加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアゾールスプレーとして投与することができる。鼻腔内使用の場合、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0122】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または活性物質の分散、可溶化、または延長放出のための適当な代替試剤、溶媒としての1種または複数の噴射剤およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の1種または複数の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0123】
乾燥粉末または懸濁液製剤における使用に先立って、薬物製品は、吸入による送達に適しているサイズ(典型的には、5ミクロン未満)まで微粉化される。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により行うことができる。
【0124】
インヘイラーまたはインサフレーターにおいて使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスター剤およびカートリッジ剤は、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの動作調整剤の粉末ミックスを含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水または一水和物の形態であってよく、後者であることが好ましい。他の適当な賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースを包含する。
【0125】
細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザーにおいて使用するのに適している溶液製剤は、1動作につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有することができ、動作容積は、1μlから100μlまで変化することがある。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒は、グリセロールおよびポリエチレングリコールを包含する。
【0126】
吸入/鼻腔内投与を意図した本発明の製剤には、メントールおよびレボメントールなどの適当な香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加することができる。
【0127】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時放出および/または、例えば、PGLAを用いる放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0128】
乾燥粉末インヘイラーおよびエアゾール剤の場合、用量単位は、一定量を送達するバルブにより決定される。本発明による単位は、典型的には、一定量すなわち式(1)の化合物0.001mg〜10mgを含有する「パフ」を投与するように配置される。全1日量は、典型的には、1回量で、またはより一般的には1日を通して分割量として投与することができる0.001mg〜40mgの範囲にあるであろう。
【0129】
式(1)の化合物は、吸入による投与に特に適している。
【0130】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐薬、または浣腸の形態で経直腸的または経膣的に投与することができる。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用することができる。
【0131】
直腸/膣内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0132】
本発明の化合物は、典型的には、等張性のpH調整した滅菌食塩水中の微粉末化された懸濁液または溶液の点滴剤の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適している他の製剤は、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント剤、ウエハー剤、レンズ剤およびニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系を包含する。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ジェランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に組み入れることができる。そのような製剤は、イオントフォレーシスにより送達することもできる。
【0133】
眼/耳投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0134】
本発明の化合物は、シクロデキストリンおよび適当なその誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子と混ぜ合わせ、前述の投与方法のいずれかにおいて使用するために、それらの溶解性、溶出速度、味覚マスキング、生物学的利用能および/または安定性を改善することができる。
【0135】
例えば、薬物−シクロデキストリン錯体は、大部分の剤形および投与経路にとって一般的に有用であることが判明している。包接錯体と非包接錯体の両方を使用することができる。薬物との直接錯体化の代替法として、シクロデキストリンを、補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することができる。これらの目的のためにα−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、その例は、国際特許出願WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148中に見いだすことができる。
【0136】
例えば、特定の疾患または状態を治療する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望ましいことがあるため、そのうちの少なくとも1つは本発明による化合物を含有する2つ以上の医薬組成物を、組成物の同時投与に適しているキットの形態で都合良く組み合わせることは、本発明の範囲内にある。
【0137】
したがって、本発明のキットは、そのうちの少なくとも1つは本発明による式(1)の化合物を含有する2つ以上の別々の医薬組成物および容器、分かれたボトル、または分かれたホイルパケットなどの前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0138】
本発明のキットは、異なる剤形を、例えば、非経口的に投与するのに、異なる投与間隔で別々の組成物を投与するのに、またはお互いに対して別々の組成物を用量設定するのに特に適している。コンプライアンスを補助するため、キットは、典型的には、投与説明書を含み、いわゆる記憶補助を提供することができる。
【0139】
ヒト患者への投与の場合、本発明の化合物の全1日量は、典型的には、言うまでもなく投与方法に応じて、0.001mg〜5000mgの範囲にある。例えば、静脈内1日量は、0.001mg〜40mgを必要とするに過ぎないことがある。全1日量は、1回量または分割量で投与することができ、医師の裁量で、本明細書に示される典型的な範囲から外れることがある。
【0140】
これらの用量は、約65〜70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づいている。医師は、乳児および高齢者などの、体重がこの範囲から外れている対象に対する投与量を容易に決定することができるはずである。
【0141】
誤解を避けるために、本明細書における「治療」への言及は、治癒的、姑息的および予防的治療を包含する。
【0142】
本発明の別の実施形態によれば、式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態または組成物は、患者に同時投与される1種または複数の追加治療薬との組合せとして使用し、(i)気管支収縮、(ii)炎症、(iii)アレルギー、(iv)組織の破壊、(v)息切れ、咳などの徴候および症状を包含するがこれらに限定されない病態生理学的に関連する疾患プロセスの治療などの一部の特に望ましい治療的最終結果を得ることもできる。第2およびそれ以上の追加治療薬は、式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物であるか、当技術分野において知られている1種もしくは複数のβ2作動薬、ムスカリン拮抗薬またはβ2作動薬かつムスカリン拮抗薬として活性な化合物であってもよい。より典型的には、第2およびそれ以上の治療薬は、異なるクラスの治療薬から選択されるであろう。
【0143】
本明細書で使用する「同時投与」、「同時投与される」および「との組合せで」という用語は、式(1)の化合物および1種または複数の他の治療薬に関して、以下の、
・ 治療を必要としている患者への式(1)の1種または複数の化合物と1種または複数の治療薬のそのような組合せの同時投与であって、そのような構成成分が、前記患者に対して実質的に同じ時間に前記構成成分を放出する単一の剤形に一緒に製剤化される場合の同時投与、
・ 治療を必要としている患者への式(1)の1種または複数の化合物と1種または複数の治療薬のそのような組合せの実質的な同時投与であって、そのような構成成分が、前記患者により実質的に同じ時間に摂取される別々の剤形にお互いとは別に製剤化され、前記構成成分が、前記患者に対して実質的に同じ時間に放出される場合の実質的な同時投与、
・ 治療を必要としている患者への式(1)の1種または複数の化合物と1種または複数の治療薬のそのような組合せの順次投与であって、そのような構成成分が、各投与間の有意な時間間隔で前記患者により連続した時間に摂取される別々の剤形にお互いとは別に製剤化され、前記構成成分が、前記患者に対して実質的に異なる時間に放出される場合の順次投与、および
・ 治療を必要としている患者への式(1)の1種または複数の化合物と1種または複数の治療薬のそのような組合せの順次投与であって、そのような構成成分が、制御された方法で前記構成成分を放出する単一の剤形に一緒に製剤化され、それらが、前記患者により同じ時間および/または異なる時間に、同時に、連続して、および/または重ねて投与される場合の順次投与であって、
各部分を、同じ経路か異なる経路のどちらかにより投与することができる投与を意味することが意図され、それらを指し、それらを包含する。
【0144】
式(1)の1種または複数の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物と組み合わせて使用することができる他の治療薬の適当な例は、
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)拮抗薬、
(b)LTB、LTC、LTD、およびLTEの拮抗薬を包含するロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、
(c)H1およびH3拮抗薬を包含するヒスタミン受容体拮抗薬、
(d)鼻充血除去薬使用のためのα−およびα−アドレナリン受容体作動薬血管収縮交感神経様作用薬、
(e)PDE阻害薬、例えば、PDE3、PDE4およびPDE5阻害薬、
(f)テオフィリン、
(g)クロモグリク酸ナトリウム、
(h)非選択的と選択的なCOX−1またはCOX−2阻害薬両方のCOX阻害薬(NSAID)、
(i)プロスタグランジン受容体拮抗薬およびプロスタグランジン合成酵素の阻害薬、
(j)経口および吸入グルココルチコステロイド、
(k)内因性炎症性物質に対して活性なモノクローナル抗体、
(l)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)薬、
(m)VLA−4拮抗薬を包含する接着分子阻害薬、
(n)キニン−B−およびB−受容体拮抗薬、
(o)免疫抑制薬、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タキキニンNK、NKおよびNK受容体拮抗薬、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体作動薬、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えば、D2作動薬、
(v)NFκβ経路のモジュレーター、例えば、IKK阻害薬、
(w)p38MAPキナーゼ、sykキナーゼ、またはJAKキナーゼ阻害薬などのサイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、
(x)粘液溶解薬または鎮咳薬として分類することができる薬剤、
(y)吸入グルココルチコステロイドに対する応答を亢進する薬剤、
(z)気道にコロニーを形成することがある微生物に対して有効な抗生物質および抗ウイルス薬、
(aa)DP1、DP2またはCRTH2拮抗薬などのプロスタグランジン拮抗薬、
(bb)HDAC阻害薬、
(cc)PI3キナーゼ阻害薬、
(dd)p38阻害薬、ならびに
(ee)CXCR2拮抗薬
を包含するが、決してこれらに限定されるものではない。
【0145】
本発明によれば、式(1)の化合物と、
− H3拮抗薬、
− PDE4阻害薬、
− グルココルチコステロイド、
− アデノシンA2a受容体作動薬、
− p38MAPキナーゼもしくはsykキナーゼなどのサイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、または
− LTB、LTC、LTD、およびLTEの拮抗薬
を包含するロイコトリエン拮抗薬(LTRA)の組合せが好ましい。
【0146】
本発明によれば、式(1)の化合物と、
− グルココルチコステロイド、特に、プレドニゾン、プレドニゾロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド、およびフランカルボン酸モメタゾンを包含する全身性副作用が軽減された吸入グルココルチコステロイドの組合せがさらに好ましい。
【0147】
本明細書における治療へのすべての言及は、治癒的、姑息的および予防的治療を包含することを理解されたい。
【0148】
式(1)の化合物は、β2受容体およびコリン作動性ムスカリン受容体と相互作用する能力を有し、それによって、β2受容体およびムスカリン受容体がすべての哺乳動物の生理機能において果たす本質的な役割のために、以下にさらに記載されるように、広範囲な治療的応用例を有する。
【0149】
したがって、本発明の他の態様は、β2受容体および/またはムスカリン受容体が関与する疾患、障害、および状態を治療するのに使用するための式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物に関する。より具体的には、本発明は、
・ あらゆるタイプ、病因、または病原の喘息、特に、アトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE−仲介性喘息、気管支喘息、本態性喘息、真正喘息、病態生理学的かく乱により引き起こされる内因性喘息、環境要因により引き起こされる外因性喘息、知られていないまたは明らかでない原因の本態性喘息、非アトピー性喘息、気管支喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業喘息、細菌、真菌、原虫、またはウイルス感染症により引き起こされる感染型喘息、非アレルギー性喘息、初発性喘息、喘鳴乳児症候群および細気管支炎からなる群から選択されるメンバーである喘息、
・ 慢性または急性気管支収縮、慢性気管支炎、末梢気道閉塞、および気腫、
・ あらゆるタイプ、病因または病原の閉塞性または炎症性気道疾患、特に、慢性好酸球性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎を包含するCOPD、COPDに関連した、もしくは関連しない肺気腫もしくは呼吸困難、不可逆的進行性気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物療法の結果として生じる気道過敏性の悪化および肺性高血圧に関連した気道疾患からなる群から選択されるメンバーである閉塞性または炎症性気道疾患、
・ あらゆるタイプ、病因または病原の気管支炎、特に、急性気管支炎、急性喉頭気管気管支炎、アラキン酸気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、乾性気管支炎、感染性喘息性気管支炎、湿咳性気管支炎、ブドウ球菌性または連鎖球菌性気管支炎および肺胞性気管支炎からなる群から選択されるメンバーである気管支炎、
・ 急性肺傷害、
・ あらゆるタイプ、病因または病原の気管支拡張症、特に、円柱状気管支拡張症、嚢状気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、毛細管性気管支拡張症、嚢胞状気管支拡張症、乾性気管支拡張症および濾胞性気管支拡張症からなる群から選択されるメンバーである気管支拡張症
からなる群から選択される疾患、障害、および状態を治療するのに使用するための式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物にも関する。
【0150】
本発明のさらに他の態様は、β2作動薬活性およびムスカリン拮抗薬活性を有する薬物を製造するための、式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物の使用にも関する。特に、本発明は、β2およびムスカリン受容体が関わる疾患および/または状態、特に、上記に列挙されている疾患および/または状態を治療するための薬物を製造するための、式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物の使用に関する。
【0151】
結果として、本発明は、有効量の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導形態もしくは組成物でヒトを包含する哺乳動物を治療するための特に興味深い方法を提供する。より正確に言えば、本発明は、ヒトを包含する哺乳動物においてβ2およびムスカリン受容体が関わる疾患および/または状態、特に、上記に列挙されている疾患および/または状態を治療するための特に興味深い方法であって、前記哺乳動物に、有効量の式(1)の化合物、その薬学的に許容できる塩および/または誘導形態を投与することを含む方法を提供する。
【0152】
以下の実施例は、式(1)の化合物の調製を例示している。
【0153】
調製1
(9−ブロモ−ノニル)−ジカルバミン酸tert−ブチルエステル
【0154】
【化21】

水素化ナトリウム(60%油中分散液1.31g、30.0mmol)を、窒素下で0℃にて、N,N−ジメチルホルムアミド(5ml)中のジ−tert−ブチルイミノジカルバメート(6.50g、30.0mmol)の攪拌した溶液に一度に加えた。反応物を0℃にて5分にわたって攪拌し、次いで、30分にわたって室温にて攪拌した。反応物を0℃まで冷却し、1,9−ジブロモノナン(8.60g、30.0mmol)を滴加した。反応物を室温まで温め、3日にわたって攪拌した。ジエチルエーテル(50ml)および水(20ml)を注意深く加え、有機物を分離し、水層をジエチルエーテル(50ml)で洗浄し、合わせた有機物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空中で除去すると、澄明な油が得られた。油を、ジエチルエーテル:ヘキサン(容積で10/90)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色の油として表題化合物5.80gが得られた。
H NMR(400MHz,CDOD):δ=1.30(10H,m)、1.50(20H,m)、1.83(2H,m)、3.42(2H,t)、3.58(2H,t)ppm。
【0155】
調製2
tert−ブチル4−({[(2−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0156】
【化22】

1−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(1.00g、5.00mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶かし、トリエチルアミン(0.70ml、5.00mmol)を加え、反応物を30分にわたって室温にて攪拌した。ジクロロメタン(5ml)中の2−ブロモフェニルイソシアネート(1.00g、5.00mmol)の溶液を5分かけて滴加し、反応物を12時間にわたって室温にて攪拌した。溶媒を真空中で除去すると、油状の固体が得られ、10分にわたってペンタン(20ml)中でスラリー化し、固体を濾去すると、白色の固体として表題化合物1.35gが得られた。
LRMS(APCI):m/z299[M−boc+H]
【0157】
調製3
ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート塩酸塩
【0158】
【化23】

tert−ブチル4−({[(2−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(調製2、35.0g、88.0mmol)を塩酸(4Mジオキサン中溶液175ml)に溶かし、反応物を30分にわたって室温にて攪拌した。溶媒を真空中で除去し、得られた固体を30分にわたってジエチルエーテル(100ml)中でスラリー化した。固体を濾過により単離すると、白色の固体として表題化合物27.3gが得られた。
LRMS(APCI):m/z299[M+H]
【0159】
調製4
ジ−tert−ブチル{9−[4−({[(2−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}オキシ)ピペリジン−1−イル]ノニル}イミドジカーボネート
【0160】
【化24】

ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート塩酸塩(調製3、4.85g、14.5mmol)をアセトニトリル(40ml)に懸濁し、トリエチルアミン(4.00ml、28.9mmol)を室温にて加えた。アセトニトリル(20ml)中の(9−ブロモ−ノニル)−ジカルバミン酸tert−ブチルエステル(調製1、6.10g、14.4mmol)の溶液を滴加し、反応物を12時間にわたって50℃にて加熱した。反応物を室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去し、残渣をジクロロメタン(300ml)に溶かした。有機物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×200ml)および水(150ml)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空中で除去すると、油が得られた。油を、ペンタン:酢酸エチル(容積で50/50)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物6.50gが得られた。
LRMS(APCI):m/z642[M+H]
【0161】
調製5
1−(9−アミノノニル)ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート二塩酸塩
【0162】
【化25】

ジ−tert−ブチル{9−[4−({[(2−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}オキシ)ピペリジン−1−イル]ノニル}イミドジカーボネート(調製4、20.0g、31mmol)をジオキサン(200ml)に溶かし、塩酸(4Mジオキサン中溶液160ml)を室温にて一度に加えた。白色の固体が沈殿し、水(50ml)を加えて固体を溶かした。反応物を24時間にわたって室温にて攪拌し、溶媒を真空中で除去すると、灰色がかった白色の固体として表題化合物18.3gが得られた。
LRMS(APCI):m/z441[M+H]
【0163】
調製6
1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート
【0164】
【化26】

1−(9−アミノノニル)ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート二塩酸塩(調製5、16.0g、31.2mmol)およびN−{2−(ベンジルオキシ)−5−[(1R)−2−ブロモ−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]フェニル}メタンスルホンアミド(WO2005/080324、16.1g、31.2mmol)および炭酸水素ナトリウム(13.1g、156mmol)を、72時間にわたって90℃にてアセトニトリル(200ml)中で加熱した。反応物を室温まで冷却し、水(20ml)および酢酸エチル(50ml)上に注ぎ、有機物を分離し、水層を酢酸エチル(2×40ml)で抽出した。合わせた有機物を乾燥し(硫酸ナトリウム)、溶媒を真空中で除去すると、褐色の油が得られた。油を、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(容積で98/2/1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色のガムとして表題化合物16.5gが得られた。
LRMS(ES):m/z877、875[M+H]
【0165】
調製7
1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0166】
【化27】

1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート(調製6、450mg、0.52mmol)、4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニルボロン酸(136mg、0.87mmol)、炭酸ナトリウム(164mg、1.54mmol)、酢酸パラジウム(7mg、0.03mmol)およびトリ(o−トリル)ホスフィン(18mg、0.06mmol)を、12時間にわたって窒素下で80℃にてジメトキシエタン(8ml)中で加熱した。反応物を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×30ml)、食塩水(30ml)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(容積で95/5/0.5)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、褐色の固体として表題化合物289mgが得られた。
LRMS(ES):m/z906[M+H]
【0167】
調製8
1−(9−{[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0168】
【化28】

1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート(調製7、289mg、0.32mmol)をメタノール(10ml)に溶かし、ギ酸アンモニウム(403mg、6.38mmol)および水酸化パラジウム(45mg)を一度に加えた。反応物を1時間にわたって還流下で加熱し、室温まで冷却し、ギ酸アンモニウム(100mg)および水酸化パラジウム(10mg)をさらに加えた。反応物を1時間にわたって還流下で加熱し、室温まで冷却し、触媒を、Arbocel(商標)に通して濾過することにより除去した。濾液を酢酸エチル(15ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15ml)、食塩水(15ml)で洗浄し、乾燥した(硫酸マグネシウム)。溶媒を真空中で除去すると、褐色の油として表題化合物264mgが得られた。
LRMS(ES):m/z816[M+H]
【0169】
調製9
1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロビフェニル−2−イル]カルバメート
【0170】
【化29】

1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(2−ブロモフェニル)カルバメート(調製6、1000mg、1.14mmol)、4−ベンジルオキシ−3−クロロフェニルボロン酸(450mg、1.72mmol)、炭酸ナトリウム(485mg、4.58mmol)、酢酸パラジウム(20mg、0.07mmol)およびトリ(o−トリル)ホスフィン(42mg、0.14mmol)を、10分にわたってマイクロ波条件下で100℃にてN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中で加熱した。反応物を室温まで冷却し、セライトに通して濾過し、酢酸エチル(25ml)を加えた。有機物を水(50ml)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(容積で95/5/0.5)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の油として表題化合物1.06gが得られた。
LRMS(ES):m/z1012[M+H]
【0171】
調製10
1−(9−{[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0172】
【化30】

1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロビフェニル−2−イル]カルバメート(調製9、1.50g、1.48mmol)をtert−ブチルメチルエーテル(50ml)に溶かし、10%パラジウム炭素(25mg)を一度に加えた。反応物を室温にて、2時間にわたって10psiにて、1.5時間にわたって15psiにて水素化した。触媒を、Arbocel(商標)に通して濾過することにより除去し、溶媒を真空中で除去すると、淡黄色の固体として表題化合物1.08gが得られた。
LRMS(ES):m/z832[M+H]
【0173】
調製11
tert−ブチル4−({[(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【0174】
【化31】

ジフェニルホスホリルアジド(1.26g、4.57mmol)を、トルエン(80mL)中の2−ブロモ−4−フルオロ−安息香酸(1g、4.57mmol)およびトリエチルアミン(0.953mL、6.85mmol)の溶液に加え、反応物を10分にわたって60℃まで加熱した。トルエン(20mL)中の4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.919g、4.57mmol)の溶液を20分かけて滴加した。反応混合物を8時間にわたって60℃にて窒素下で加熱した。反応溶媒を真空中で除去した。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶かし、水(30mL)で洗浄した。有機物を分離し、次いで、水層を酢酸エチル(50mL)で洗浄した。合わせた有機物を乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、黄色の油が得られた。油を、酢酸エチル:ヘプタン(容積で10/90)〜酢酸エチル:ヘプタン(容積で30/70)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色の油として表題化合物1.35gが得られた。
LRMS(ESI):m/z317/319[(M−BOC)H
【0175】
調製12
tert−ブチル4−[({[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]アミノ}カルボニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【0176】
【化32】

tert−ブチル4−({[(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}オキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.25g、2.99mmol)(調製11)、(4−ベンジルオキシ−3−クロロフェニル)ボロン酸(1g、4.19mmol)、パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.346g、0.3mmol)、炭酸ナトリウム(0.889g、8.39mmol)、ジメチルホルムアミド(15mL)および水(4mL)を混ぜ合わせ、5時間にわたって105℃まで加熱した。ジエチルエーテル(150mL)を反応混合物に加え、水(30mL)で洗浄した。有機物を分離し、水層をジエチルエーテル(2×150mL)で洗浄した。有機物を混ぜ合わせ、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、緑色の油が得られた。油を、酢酸エチル:ヘプタン(容積で10/90)〜酢酸エチル:ヘプタン(容積で30/70)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、ベージュ色の泡として表題化合物0.9gが得られた。
HNMR(400MHz,CDOD)δ=1.42(2H,m)、1.44(9H,s)、3.54(2H,m)、3.30(2H,m)、3.67(2H,m)、4.72(1H,m)、5.23(2H,s)、7.07(2H,m)、7.17(1H,m)、7.24(1H,m)、7.31(1H,m)、7.38(3H,m)、7.43(1H,m)、7.48(2H,m)ppm。
【0177】
調製13
ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]カルバメート
【0178】
【化33】

tert−ブチル4−[({[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]アミノ}カルボニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシレート(0.9g、1.621mmol)(調製12)および1,4−ジオキサン中の4.0M塩化水素溶液(10mL)を混ぜ合わせ、2時間にわたって窒素下で周囲温度にて攪拌した。溶媒を真空中で除去した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を注意して加えた。生成物を酢酸エチル(2×30mL)中に抽出し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、黄色の油として表題化合物0.801gが得られた。
LRMS(ESI):m/z455[M+H]
【0179】
調製14
ジ−tert−ブチル(9−{4−[({[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]アミノ}カルボニル)オキシ]ピペリジン−1−イル}ノニル)イミドジカーボネート
【0180】
【化34】

ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]カルバメート(0.801g、1.761mmol)(調製13)、(9−ブロモ−ノニル)−ジカルバミン酸tert−ブチルエステル0.744g、1.761mmol)(調製1)および炭酸水素ナトリウム(0.444g、5.28mmol)をアセトニトリル(25mL)に懸濁した。反応混合物を9時間にわたって窒素下で75℃まで加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、次いで、酢酸エチル(30mL)に溶かし、水(20mL)で洗浄した。酢酸エチル層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、黄色の油が得られた。油を、ジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(容積で98/2/0.2〜96/4/0.4)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、白色の泡として表題化合物0.706gが得られた。
LRMS(APCI):m/z796[M+H]、818[M+Na]
【0181】
調製15
1−(9−アミノノニル)ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]カルバメート
【0182】
【化35】

ジ−tert−ブチル(9−{4−[({[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]アミノ}カルボニル)オキシ]ピペリジン−1−イル}ノニル)イミドジカーボネート(0.706g、0.8865mmol)(調製14)および1,4−ジオキサン中の4.0M塩化水素溶液(10mL)を混ぜ合わせ、1.5時間にわたって窒素下で室温にて攪拌した。溶媒を真空中で除去した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を注意して加えた。生成物を酢酸エチル(2×30mL)中に抽出し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、ベージュ色の固体として表題化合物0.520gが得られた。
LRMS(ESI):m/z596[M+H]
【0183】
調製16
(1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]カルバメート
【0184】
【化36】

1−(9−アミノノニル)ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]カルバメート(0.52g、0.872mmol)(調製15)、N−{2−(ベンジルオキシ)−5−[(1R)−2−ブロモ−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]フェニル}メタンスルホンアミド(WO2005/080324、0.449g、0.872mmol)、炭酸水素ナトリウム(0.22g、2.62mmol)およびアセトニトリル(7.0mL)を混ぜ合わせ、48時間にわたって85℃にて加熱した。溶媒を真空中で除去して黄色の油を残し、酢酸エチル(30mL)に溶かし、水(30mL)で洗浄した。有機物を分離し、水層を酢酸エチル(30mL)で洗浄した。有機物を混ぜ合わせ、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、黄色の油が得られた。この油を、ジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(容積で98/2/0.2〜96/4/0.4)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の油として表題化合物0.4gが得られた。
LRMS(ESI):m/z1030[M+H]
【0185】
調製17
1−(9−{[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0186】
【化37】

(1−(9−{[(2R)−2−{4−(ベンジルオキシ)−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル[4’−(ベンジルオキシ)−3’−クロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル]カルバメート(0.4g、3.88mmol)(調製16)をtert−ブチルメチルエーテル(30mL)に溶かした。10%パラジウム炭素(0.06g)を加え、反応混合物を、3時間にわたって40℃、40psiにて水素化条件にさらした。反応物をArbocel(商標)に通して濾過し、濾液を単離し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(容積で98/2/0.2〜96/5/0.5)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、表題化合物0.222gが得られた。
LRMS(ESI):m/z849[M+H]
【実施例】
【0187】
(実施例1)
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0188】
【化38】

1−(9−{[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート(調製8、264mg、0.32mmol)をテトラヒドロフラン(5ml)に溶かし、トリエチルアミントリヒドロフルオライド(261mg、1.62mmol)を一度に加えた。反応物を12時間にわたって室温にて攪拌し、さらにテトラヒドロフラン(6ml)および880アンモニア(6ml)を加えた。反応物を20分にわたって攪拌し、溶媒を真空中で除去し、メタノール(10ml)を加え、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(容積で98/2/0.2〜87/13/1.3)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、褐色の固体として表題化合物106mgが得られた。
LRMS(ES):m/z701[M+H]
【0189】
(実施例2)
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0190】
【化39】

1−(9−{[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート(調製10、1.08g、1.30mmol)をメタノール(30ml)に溶かし、トリエチルアミントリヒドロフルオライド(230mg、1.43mmol)を一度に加えた。反応物を12時間にわたって室温にて攪拌し、さらにトリエチルアミントリヒドロフルオライド(230mg、1.43mmol)を加え、反応物を12時間にわたって室温にて攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を、ジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(容積で95/5/0.5)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、白色の泡として表題化合物200mgが得られた。
LRMS(ES):m/z717、719[M+H]
【0191】
(実施例3)
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
【0192】
【化40】

1−(9−{[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル[3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル]カルバメート(0.222g、0.261mmol)(調製17)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶かした。トリエチルアミントリス−ヒドロフルオライド(0.213mL、1.31mmol)を加え、反応混合物を4時間にわたって室温にて攪拌した。880アンモニア(0.1mL)を加え、次いで、反応混合物をジクロロメタン(30mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機物を分離し、水層をジクロロメタン(30mL)で洗浄した。有機物を混ぜ合わせ、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空中で濃縮すると、ベージュ色の固体が得られた。この固体を、ジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(容積で95/5/0.5〜80/20/2)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、白色の固体として表題化合物0.095gが得られた。
LRMS(ES):m/z735[M+H]
【0193】
(実施例4)
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート。ナフタレン1,5−ジスルホネート
【0194】
【化41】

1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート(0.027g、0.0367mmol)(実施例3)をメタノール(10mL)に溶かした。メタノール(1mL)中の1,5−ナフタレンジスルホン酸四水和物(0.0132g、0.0367mmol)の溶液を加え、溶液を65時間にわたって周囲温度にて保存した。表題生成物(白色の結晶性の固体)を混合物から濾過し、真空下で乾燥した、0.004g。
HNMR(400MHz,CDOD)δ=2.94(3H,s−NHSOMeの診断ピーク)、9.01(2H,d−ナフタレンプロトンの診断ピーク)ppm。
【0195】
(実施例5)
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート ナフタレン1,5−ジスルホネート。
【0196】
【化42】

1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート(120mg、0.17mmol)(実施例2)をメタノール(4mL)に溶かした。メタノール(2mL)中の1,5−ナフタレンジスルホン酸四水和物(60mg、0.17mmol)の溶液を加え、溶液を、白色の沈殿が生成するまで周囲温度にて保存した(5時間)。混合物を濾過し、冷メタノールで洗浄し、真空下で乾燥すると、白色の結晶性の固体として表題化合物(68mg)が得られた。
HNMR(400MHz,CDOD)δ=2.93(3H,s−NHSOMeの診断ピーク)、9.01(2H,d−ナフタレンプロトンの診断ピーク)ppm。
【0197】
(実施例6)
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート ナフタレン1,5−ジスルホネート。
【0198】
【化43】

1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート(160mg、0.23mmol)(実施例1)をメタノール(20mL)に溶かした。メタノール(5mL)中の1,5−ナフタレンジスルホン酸四水和物(66mg、0.23mmol)の溶液を加え、溶液を96時間にわたって放置した後、ロータリーエバポレーターでメタノールの約半分を除去した。混合物を5分にわたって70℃まで加熱して全溶解を行い、次いで、一夜かけてゆっくりと室温に到達させた。沈殿が生成し、濾去し、真空下で乾燥すると、淡褐色の結晶性の固体として表題化合物(40mg)が得られた。
HNMR(400MHz,DMSO−d)δ=2.95(3H,s−NHSOMeの診断ピーク)、8.88(2H,d−ナフタレンプロトンの診断ピーク)ppm。
【0199】
hM受容体を発現するCHO細胞におけるホールセルβ−ラクタマーゼレポーターアッセイを用いる拮抗薬活性の機能評価
細胞培養
ヒトムスカリンM受容体を組み換え的に発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に、NFAT_β−Lac_Zeoプラスミドをトランスフェクトした。細胞を、10%FCS(ウシ胎児血清;Sigma F−7524)、1nMピルビン酸ナトリウム(Sigma S−8636)、NEAA(非必須アミノ酸;Invitrogen 11140−035)および200μg/mlゼオシン(Invitrogen R250−01)を含有し、25mM HEPES(Life Technologies32430−027)が補充された、Glutamax−1を含むDMEM中で培養した。
【0200】
hM3 β−Lacアッセイプロトコル
細胞が80〜90%の密集度に達したら、5%COを含有する雰囲気中で37℃にて5分にわたって細胞と共にインキュベートされる無酵素細胞解離液(Life technologies13151−014)を用いて、アッセイ用の細胞を収集した。剥離した細胞を、温めた培養培地中に集め、10分にわたって2000rpmにて遠心分離し、PBS(リン酸緩衝溶液;Life Technologies14190−094)中で洗浄し、上記のように再び遠心分離した。細胞を、培養培地(上述のような組成)中に2×10細胞/mlにて再懸濁した。この細胞懸濁液20μlを、384ウェルの黒色透明底プレート(Greiner Bio One781091−PFI)の各ウェルに加えた。使用するアッセイ緩衝液は、0.05%Pluronic F−127(Sigma9003−11−6)および2.5%DMSOが補充されたPBSとした。ムスカリンM受容体シグナル伝達を、37℃/5%COにて4時間にわたって細胞と共にインキュベートされる80nMカルバミルコリン(Aldrich N240−9)を用いて刺激し、Tecan SpectraFluor+プレートリーダー(λ−励起405nm、発光450nmおよび503nm)を用いてインキュベーション時間の終了時にモニターした。試験用の化合物を、4時間のインキュベーション時間の開始時にアッセイに加え、化合物活性を、カルバミルコリン誘発性シグナルの濃度依存性阻害として測定した。阻害曲線をプロットし、IC50値を、4−パラメーターシグモイドフィットを用いて作成し、Cheng−Prusoff補正およびアッセイにおけるカルバミルコリンについてのK値を用いてKi値に変換した。
【0201】
hB受容体を発現するCHO細胞におけるホールセルルシフェラーゼレポーターアッセイを用いる作動薬効力および有効性の機能評価
細胞培養
ヒトアドレナリンB受容体を組み換え的に発現し、ルシフェラーゼ酵素レポーター遺伝子がトランスフェクトされたCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS:Sigma F03921)10μg/mlピューロマイシン(Sigma N277698)、0.5mg/mlジェネティシンG418(Sigma G7034)および2mM L−グルタミン(Sigma G7513)を含有するF12:DMEMからなる培養培地(Sigma D6421)中に維持した。細胞を、5%COを含有する雰囲気中、無菌条件に保った。
【0202】
hB2ルシフェラーゼアッセイプロトコル
細胞が80〜90%の密集度に達したら、5%COを含有する雰囲気中で37℃にて5分にわたって細胞と共にインキュベートされる無酵素細胞解離溶液(Life technologies13151−014)を用いて、アッセイ用の細胞を収集した。剥離した細胞を、温めた培養培地(上述の組成)中に集め、アッセイ培地(1%ウシ胎児血清(FBS:Sigma F03921)、10μg/mlピューロマイシン(Sigma N277698)、0.5mg/mlジェネティシンG418(Sigma G7034)および2mM L−グルタミン(Sigma G7513)を含有するF12:DMEM(Sigma D6421))中に再懸濁し、1×106細胞/mlの生細胞濃度とした。この懸濁液10μlを、組織培養処理した低容積384ウェルプレート(Greiner788073)の各ウェルに加え、プレートを、2時間にわたって37℃にて5%COを含有する雰囲気中でインキュベートした。各濃度範囲の試験化合物は、0.05%プルロニック−F127(Sigma P2443)および2.5%DMSOを含有するリン酸緩衝溶液中で調製した。各試験濃度2μlを適切な384プレートウェルに加え、さらに4時間にわたってインキュベーターに戻した。インキュベーション時間の終了時に、Steady−Glo試薬(Steady−Glo Luciferaseアッセイシステム(Promega E2520))4μlを各ウェルに加え、プレートを、660nmフィルターを使用するLeadseeker Plateリーダー(Amersham Bioscience)中で直ちに読み取った。濃度効果曲線をプロットし、EC50値を、社内データ解析プログラムを使用する4−パラメーターシグモイドフィットを用いて作成した。イソプレナリンを、参照標準としてすべてのアッセイで実行した。
【0203】
実施例1および2を、上記に開示したアッセイに従って試験し、以下の結果を得た。
【0204】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、
は、ハロであり、
は、Hまたはハロであり、
Qは、−(CH−または
【化2】

から選択される)の化合物、
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
がFである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
がClである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
Qが−(CH−である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
Qが
【化3】

である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
がHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
がFである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物のR−立体異性体、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート、および、
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート、および、
1−(9−{[(2R)−2−ヒドロキシ−2−{4−ヒドロキシ−3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}エチル]アミノ}ノニル)ピペリジン−4−イル(3’−クロロ−5−フルオロ−4’−ヒドロキシビフェニル−2−イル)カルバメート
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、
または適切な場合、それらの薬学的に許容できる塩および/またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
少なくとも有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項11】
1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤および/または添加物をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬品として使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項13】
β2およびM3受容体が関与する疾患、障害、および状態を治療するのに使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項14】
あらゆるタイプ、病因、または病原の喘息、特に、アトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE−仲介性喘息、気管支喘息、本態性喘息、真正喘息、病態生理学的かく乱により引き起こされる内因性喘息、環境要因により引き起こされる外因性喘息、知られていないまたは明らかでない原因の本態性喘息、非アトピー性喘息、気管支喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業喘息、細菌、真菌、原虫、またはウイルス感染症により引き起こされる感染型喘息、非アレルギー性喘息、初発性喘息、喘鳴乳児症候群および細気管支炎からなる群から選択されるメンバーである喘息、
慢性または急性気管支収縮、慢性気管支炎、末梢気道閉塞、および気腫、
あらゆるタイプ、病因または病原の閉塞性または炎症性気道疾患、特に、慢性好酸球性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎を包含するCOPD、COPDに関連した、もしくは関連しない肺気腫もしくは呼吸困難、不可逆的進行性気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物療法の結果として生じる気道過敏性の悪化および肺性高血圧に関連した気道疾患からなる群から選択されるメンバーである閉塞性または炎症性気道疾患、
あらゆるタイプ、病因または病原の気管支炎、特に、急性気管支炎、急性喉頭気管気管支炎、アラキジン酸気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、乾性気管支炎、感染性喘息性気管支炎、湿咳性気管支炎、ブドウ球菌性または連鎖球菌性気管支炎および肺胞性気管支炎からなる群から選択されるメンバーである気管支炎、
急性肺傷害、
あらゆるタイプ、病因または病原の気管支拡張症、特に、円柱状気管支拡張症、嚢状気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、毛細管性気管支拡張症、嚢胞状気管支拡張症、乾性気管支拡張症および濾胞性気管支拡張症からなる群から選択されるメンバーである気管支拡張症
からなる群から選択される疾患、障害、および状態を治療するのに使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
請求項14に記載の群から選択される疾患、障害、および状態を治療するための薬物を製造するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項16】
ヒトを包含する哺乳動物を治療する方法であって、前記哺乳動物を、有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物で治療することを含む方法。
【請求項17】
請求項1から9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の、
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)拮抗薬、
(b)LTB、LTC、LTD、およびLTEの拮抗薬を包含するロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、
(c)H1およびH3拮抗薬を包含するヒスタミン受容体拮抗薬、
(d)鼻充血除去薬使用のためのα−およびα−アドレナリン受容体作動薬血管収縮交感神経様作用薬、
(e)PDE阻害薬、例えば、PDE3、PDE4およびPDE5阻害薬、
(f)テオフィリン、
(g)クロモグリク酸ナトリウム、
(h)非選択的と選択的なCOX−1またはCOX−2阻害薬両方のCOX阻害薬(NSAID)、
(i)プロスタグランジン受容体拮抗薬およびプロスタグランジン合成酵素の阻害薬、
(j)経口および吸入グルココルチコステロイド、
(k)内因性炎症性物質に対して活性なモノクローナル抗体、
(l)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)薬、
(m)VLA−4拮抗薬を包含する接着分子阻害薬、
(n)キニン−B−およびB−受容体拮抗薬、
(o)免疫抑制薬、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タキキニンNK、NKおよびNK受容体拮抗薬、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体作動薬、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えば、D2作動薬、
(v)NFκβ経路のモジュレーター、例えば、IKK阻害薬、
(w)p38MAPキナーゼ、sykキナーゼ、またはJAKキナーゼ阻害薬などのサイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、
(x)粘液溶解薬または鎮咳薬として分類することができる薬剤、
(y)吸入グルココルチコステロイドに対する応答を亢進する薬剤、
(z)気道にコロニーを形成することがある微生物に対して有効な抗生物質および抗ウイルス薬、
(aa)DP1、DP2またはCRTH2拮抗薬などのプロスタグランジン拮抗薬、
(bb)HDAC阻害薬、
(cc)PI3キナーゼ阻害薬、
(dd)p38阻害薬、
(ee)CXCR2拮抗薬
から選択される他の1種または複数の治療薬との組合せ。
【請求項18】
式(12)
【化4】

(式中、Lは、脱離基であり、QおよびRは、請求項1に記載の通りである)の化合物。
【請求項19】
式(13)
【化5】

(式中、QおよびRは、請求項1に記載の通りであり、Lは、脱離基であり、PおよびPは、適当なヒドロキシル保護基である)の化合物。
【請求項20】
LがBrである、請求項18または請求項19に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−505810(P2010−505810A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530960(P2009−530960)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002896
【国際公開番号】WO2008/041095
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】