説明

アナログ腕時計

【課題】バイブレーション機能を含む多機能を備えつつ実用レベルのサイズのアナログ腕時計を提供する。
【解決手段】バイブレーション機能を有するアナログ腕時計1であって、時計ケース10と、時計ケース10内に配置された第1回路基板と、時計ケース10内に配置されたバイブレーション用振動モータ19とを備え、第1回路基板は、バイブレーション用振動モータ19を配置するための第1切り欠き部を有し、バイブレーション用振動モータ19は、第1切り欠き部により確保された空間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ腕時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アラーム機能を有するアナログ表示またはデジタル表示の時計が知られている。さらに、アナログ表示またはデジタル表示の時計に、アラーム機能としてバイブレーション機能を搭載したものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。アラーム機能において、報知時刻等を設定するためには、複雑な目安機構が必要となる(例えば、特許文4、5参照)。目安針等の機構があると、アナログ時計のデザインには制約があった。
【0003】
また、LCDを使用したデジタル表示のアラーム機構では、デジタル駆動回路に目安機能を入れ込むことは容易である。しかしながら、デジタル表示が必要となるため、これもデザイン上の制約は大きい。
【0004】
また、バイブレーションの変わりに、音響アラームを用いるものがある。これは、裏ブタに、圧電素子を追加するのみで、構成は簡単である。しかしながら、音がうるさく、使用場所が限定されるという欠点があった。
【0005】
特許文献6には、アナログ時計に、LEDによるデジタル表示機構を使用したバイブレーション機能付き時計が開示されている。また、特許文献7には、外部照明・充電器機能を備えた、アナログ時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−142540号公報
【特許文献2】特開2002−292336号公報
【特許文献3】特開2002−350574号公報
【特許文献4】特開昭53−34558号公報
【特許文献5】特許第3507555号公報
【特許文献6】特開2008−128818号公報
【特許文献7】特開2004−53342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年さらに、LEDによるデジタル表示機構をもった時計の高機能化の要求が高まっているが、単純に機能を付加したのみでは、電子基板の増加に伴い時計モジュールの大型化を招き、実用レベルの大きさを実現しにくい状況が発生してきた。
【0008】
また、バイブレーション機能を実現する振動モータとしては、人が感じやすい振動に近づけるためには、主に横振動を起こす扁平型(コイン型)振動モータでなく、主に縦振動を起こす円筒型(シリンダ型)振動モータが好ましい。しかしながら、時計のケース内に円筒部(シリンダー部)の厚みのスペースを確保する必要があり、腕時計の厚みが必要以上に増してしまい、使い勝手が悪くなるという問題点があった。
【0009】
特に充電式腕時計の場合、充電する2次電池、及び2次コイルのスペース確保が必要なため、腕時計の厚みがさらに増し、振動モータを人が感じやすい適切な位置に配置するのが困難になるという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バイブレーション機能を含む多機能を備えつつ実用レベルのサイズのアナログ腕時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、バイブレーション機能を有するアナログ腕時計であって、時計ケースと、前記時計ケース内に配置された第1回路基板と、前記時計ケース内に配置されたバイブレーション用振動モータとを備え、前記第1回路基板は、前記バイブレーション用振動モータを配置するための第1切り欠き部を有し、前記バイブレーション用振動モータは、前記第1切り欠き部により確保された空間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バイブレーション機能を含む多機能を備えつつ実用レベルのサイズのアナログ腕時計を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1−1】図1−1は、バイブレーション機能付きアナログ腕時計1を表側(文字板側)から見た正面図である。
【図1−2】図1−2は、アナログ腕時計1の断面図である。
【図2】図2は、第1回路基板40を表面42側から見た図である。
【図3】図3は、第1回路基板40を裏面43側から見た図である。
【図4】図4は、第2回路基板50を表面52から見た図である。
【図5】図5は、第2回路基板50を裏面53側から見た図である。
【図6】図6は、第3回路基板60等をアナログ腕時計1の表面側から見た図である。
【図7】図7は、アナログ腕時計1の断面図である。
【図8】図8は、第3回路基板60を表面62から見た図である。
【図9】図9は、充電器70に載置されたアナログ腕時計1を示す図である。
【図10】図10は、アナログ腕時計1の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるアナログ腕時計の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
図1−1は、本発明の実施の形態にかかるバイブレーション機能付きアナログ腕時計1を表側(文字板側)から見た正面図である。図1−2は、アナログ腕時計1の断面図である。アナログ腕時計1のモジュールサイズは、例えばφ33.00mm×7.85mmtである。
【0016】
時計ケース10内ほぼ中央に、時計を運針するためのアナログムーブメント11が配置され、アナログムーブメント11の中央から、アナログ腕時計1の表側に向けて運針軸12が突出している。運針軸12の先端には、時針13、分針14、秒針15などの指針が取り付けられている。
【0017】
文字板16の裏面には、デジタル表示用LED17が配置されている。文字板16は、文字板16の表面側から文字板16を介してデジタル表示用LED17によるデジタル表示18を視認し得る光透過率の材料で形成されている。これにより、デジタル表示用LED17を点灯したときのみ、デジタル表示18を視認することができる。
【0018】
時計ケース10の12時側には、円筒型のバイブレーション用振動モータ19が収容されている。アナログ腕時計1は、さらに、文字板16の表面を照らす内部照明LED20と、文字板16の表面上から光を出しアナログ腕時計1外部を照らす外部照明LED21を備えている。内部照明LED20は、後述の第3回路基板60に搭載されている。外部照明LED21は、後述の第1回路基板40に搭載されている。文字板16は、外部照明LED21のための切り欠き部22を有し、外部照明LED21から射出した光は、この切り欠き部22を介しアナログ腕時計1の表面方向に向けてアナログ腕時計1の外部を照らす。
【0019】
アナログ腕時計1の裏ブタ30側には、充電可能なコイン型二次電池31が配置され、コイン型二次電池31の周囲には、充電用の二次コイル32が配置されている。裏ブタ30には、圧電素子33が取り付けられており、コンタクトバネ34により電気接続を行う。この圧電素子33により、アナログ腕時計1はサウンドアラーム機能を実現することができる。ここで、サウンドアラーム機能とは、所定の音によるアラームを出力する機能であり、例えば設定された時刻にアラームが出力される。
【0020】
アナログムーブメント11と遮光板35の間に、第1回路基板40が配置されている。第1回路基板40は、デジタル表示用LED17を駆動する駆動回路を有している。駆動回路については、後述する。
【0021】
さらに、第1回路基板40は、切り欠き部41を有し、バイブレーション用振動モータ19は、切り欠き部41を設けることにより確保された時計ケース10内のスペースに、切り欠き部41に配置されている。すなわち、バイブレーション用振動モータ19は、文字板16の平面に垂直な方向であるアナログ腕時計1の厚み方向において、第1回路基板40と重ならない位置であって、かつ第1回路基板40と同一面上の位置に配置されている。
【0022】
二次電池31と第1回路基板40の間、アナログ腕時計1の厚み方向ほぼ中央には、第2回路基板50が配置されている。第2回路基板50は、二次電池31への充電を行う充電回路である。第2回路基板50は、第1回路基板40と同様に、切り欠き部51を有し、バイブレーション用振動モータ19は、切り欠き部51を設けることにより確保された時計ケース10内のスペースに収容されている。すなわち、バイブレーション用振動モータ19は、切り欠き部51であって、厚み方向において、第2回路基板50と重ならない位置であって、かつ第2回路基板50と同一平面上の位置に配置されている。
【0023】
文字板16の裏面には、第3回路基板60が配置されている。第3回路基板60は、内部照明LED20の基板である。なお、第1回路基板40、第2回路基板50、第3回路基板60の間の電気接続は、図示せぬコイルスプリングを用いる。回路基板間の電気接続についての詳細は、特開2008−128818号公報を参照することができる。
【0024】
図2は、第1回路基板40を表面42側から見た図である。図3は、第1回路基板40を裏面43側から見た図である。第1回路基板40は、12時側に切り欠き部41を有している。このように、切り欠き部41を有するため、アナログ腕時計1全面が第1回路基板40により覆われることがない。バイブレーション用振動モータ19は、この切り欠き部41を設けることにより確保されたスペースに収容されている。
【0025】
これにより、バイブレーション用振動モータ19を、厚み方向において、第1回路基板40と重ならないように、第1回路基板40の面と切り欠き部41により確保されたスペース内の同一平面上の位置に配置することができる。したがって、第1回路基板40とバイブレーション用振動モータ19とをアナログ腕時計1の厚み方向に重ねて配置した場合に比べてアナログ腕時計1の厚みを低減することができる。
【0026】
第1回路基板40の表面42には、外部照明LED21およびデジタル表示用LED17が搭載されている。デジタル表示用LED17は、アナログ腕時計1の6時側の領域に配置されている。外部照明LED21は、文字板16の表面に外部照明LED21が配置されるように第1回路基板40に搭載されている。
【0027】
第1回路基板40の裏面43には、デジタル表示用LED17を駆動する駆動回路45が形成されている。駆動回路45は、マイコンIC46を有している。
【0028】
さらに、第1回路基板40の表面42には、第3回路基板60への接続パターン47が形成され、第1回路基板40の裏面43には、第2回路基板50への接続パターン48が形成されている。
【0029】
図4は、第2回路基板50を表面52から見た図である。図5は、第2回路基板50を裏面53側から見た図である。第2回路基板50は、第1回路基板40と同様に、12時側に切り欠き部51を有している。バイブレーション用振動モータ19は、この切り欠き部51により確保されたスペースに収容されている。
【0030】
これにより、バイブレーション用振動モータ19を、厚み方向において、第2回路基板50と重ならないように、第2回路基板50と切り欠き部51により確保されたスペース内の同一平面上の位置に配置することができる。したがって、第2回路基板50とバイブレーション用振動モータ19とをアナログ腕時計1の厚み方向に重ねて配置した場合に比べてアナログ腕時計1の厚みを低減することができる。
【0031】
第2回路基板50の裏面53には、二次電池31を充電する充電回路54が形成されている。さらに、第2回路基板50の表面52には、第1回路基板40への接続パターン55が形成され、第2回路基板50の裏面53には、二次コイル32と接続するための接続パターン56が形成されている。さらに、第2回路基板50の裏面53にはコンタクトバネ57が搭載されている。
【0032】
以上のように、第1回路基板40に駆動回路45を搭載し、第2回路基板50に充電回路を搭載し、さらに、第1回路基板40の切り欠き部41および第2回路基板50の切り欠き部51により確保されたスペースにバイブレーション用振動モータ19を収容することにより、レイアウトを最適化することができる。
【0033】
図6および図7は、バイブレーション用振動モータ19、二次電池31および二次コイル32の位置関係を示す図である。図6は、第3回路基板60等をアナログ腕時計1の表面側から見た図である。図7は、アナログ腕時計1の断面図である。二次コイル32は、固定部58A,58Bにその末端が固定されている。二次電池31は、第2回路基板50側にコーナR部36を有している。バイブレーション用振動モータ19は、バイブレーション用振動モータ19の長手方向とアナログ腕時計1の表面とが略平行になるように、コーナR部36により確保されたスペースに収容されている。すなわち、バイブレーション用振動モータ19の下部37は、アナログ腕時計1の厚み方向において、二次電池31の第1面38よりも裏ブタ30側に位置している。これにより、アナログ腕時計1の厚み方向における二次電池31とバイブレーション用振動モータ19の重なりを低減し、アナログ腕時計1の厚みを低減することができる。
【0034】
図8は、第3回路基板60を表面62から見た図である。第3回路基板60は、第1回路基板40への接続パターン63および内部照明LED20を有している。
【0035】
図9は、充電器70に載置されたアナログ腕時計1を示す図である。アナログ腕時計1の二次コイル32は、充電器70の一次コイル71において発生した磁界を受け、二次電池31に充電する。
【0036】
図10は、アナログ腕時計1の概略構成を示すブロック図である。アナログ腕時計1は、第1回路基板40、第2回路基板50、第3回路基板60等の他、アナログ表示用モーター80、サウンドブザー81を備えている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかるアナログ腕時計は、バイブレーション機能を有するアナログ腕時計に有用であり、特に、多機能を備えたアナログ腕時計などに適している。
【符号の説明】
【0038】
1 アナログ腕時計
10 時計ケース
11 アナログムーブメント
16 文字板
17 デジタル表示用LED
18 デジタル表示
19 バイブレーション用振動モータ
20 内部照明LED
21 外部照明LED
22 切り欠き部
30 裏ブタ
31 二次電池
32 二次コイル
33 圧電素子
35 遮光板
40 第1回路基板
41 切り欠き部
45 駆動回路
50 第2回路基板
51 切り欠き部
54 充電回路
60 第3回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイブレーション機能を有するアナログ腕時計であって、
時計ケースと、
前記時計ケース内に配置された第1回路基板と、
前記時計ケース内に配置されたバイブレーション用振動モータと
を備え、
前記第1回路基板は、前記バイブレーション用振動モータを配置するための第1切り欠き部を有し、
前記バイブレーション用振動モータは、前記第1切り欠き部により確保された空間に配置されることを特徴とするアナログ腕時計。
【請求項2】
文字板と、
前記文字板の裏面に配置されたデジタル表示用LEDと
をさらに備え、
前記第1回路基板は、前記デジタル表示用LEDを駆動する駆動回路を有することを特徴とする請求項1に記載のアナログ腕時計。
【請求項3】
二次電池と、
前記二次電池を充電する充電回路を含む第2回路基板と
をさらに備え、
前記第2回路基板は、前記バイブレーション用振動モータを配置するための第2切り欠き部を有し、
前記バイブレーション用振動モータは、前記第2切り欠き部により確保された空間に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のアナログ腕時計。
【請求項4】
前記第1回路基板は、外部照明LEDを搭載し、
前記文字板は、第3切り欠き部を備え、
前記外部照明LEDは、前記第3切り欠き部を介して前記文字板の表面側に光を照射することを特徴とする請求項2または3に記載のアナログ腕時計。
【請求項5】
前記文字板を照らす内部照明LEDと、
前記文字板の裏面側に配置され、前記内部照明LEDを搭載する第3回路基板と
をさらに備えることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のアナログ腕時計。
【請求項6】
前記時計ケースの裏ブタに配置された圧電素子をさらに備え、
前記圧電素子によるサウンドアラーム機能を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のアナログ腕時計。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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