説明

アナログ電子時計

【課題】過充電保護のための特別な専用回路等を設けることなく、簡単な構成で2次電池の過充電を防止できるようにする。
【解決手段】制御回路106は、通常運針モードでは秒針114を1秒の運針間隔で正転駆動する。電圧検出回路108が、電源である2次電池103の電圧VDが所定値以上の過充電状態となったことを検出した場合、制御回路106は、過充電表示モードに移行して、運針間隔における正転運針駆動量と逆転運針駆動量との差が通常運針モードの運針間隔における運針駆動量と等しくなるように、秒針114を正転運針駆動及び逆転運針駆動して時刻針による時刻表示を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時刻針によって時刻表示を行うアナログ電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ソーラー発電機能付アナログ電子時計等の充電式アナログ電子時計において、2次電池の上限電圧以上に充電(過充電)されることを防止するための過充電保護手段に関する発明がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載された発明では、電圧検出手段が過充電を検出した時に、モータ駆動手段を構成する2対のPチャネルトランジスタ及びNチャネルトランジスタを同時にON状態(ショート)にすることにより、電源を短絡させて貫通電流を流すようにしている。
【0003】
また、特許文献2に記載された発明では、電圧検出手段が過充電を検出した時に、通常駆動時の主駆動パルスP1よりもエネルギの大きい補正駆動パルスP2でモータを駆動するように構成している。
特許文献1、2に記載された発明は、ともに、2次電池の過充電保護が可能であり又、過充電保護手段に必要な半導体サイズの小型化や低コスト化に効果がある。
【0004】
しかしながら特許文献1記載の発明では、過充電状態においてモーター駆動手段のPチャネルトランジスタとNチャネルトランジスタを同時にON状態にすることにより貫通電流を流し、強制的に消費電流を増加させる方式のため、作動時の電流量を制御することが困難であり、限度を超えた大電流により2次電池の性能を劣化させる恐れがある。また、過充電保護のために専用の特別な回路が必要になる。
【0005】
また、特許文献2記載の発明では、過充電状態において補正駆動パルスP2でモータを駆動することで強制的に消費電流を増大させる方式のため、結局のところ、モータ駆動用の制御回路等を構成する集積回路(IC)の中に別途回転検出、補正駆動等の制御検出手段を備える必要があり、本来の目的であるICのダウンサイジングに逆行するという問題がある。また、過充電保護のために専用の特別な回路が必要になる。
【0006】
さらには、特許文献1、2のいずれに記載の発明も、2次電池の充電状態がユーザに通知されないので自動的に充電されてしまい、過充電に陥り易いという問題がある。
尚、アナログ電子時計には、時刻針を正転駆動するのみならず逆転駆動する機能を有するものがあり、ステッピングモータを逆転駆動する場合、複数のパルスによって構成された逆転駆動パルスを用いて駆動する(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−259192号公報
【特許文献2】特開昭62−123387号公報
【特許文献3】特開昭55−33642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題点に鑑み成されたもので、過充電保護のための特別な専用回路等を設けることなく、簡単な構成で2次電池の過充電を防止できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、時刻針と、前記時刻針を所定の運針間隔で所定量ずつ運針駆動して時刻表示を行う通常運針モードで前記時刻針を運針駆動する制御手段とを有するアナログ電子時計において、電源としての2次電池と、前記2次電池を充電する充電手段と、前記2次電池の電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段が、前記2次電池の電圧が所定値以上になったことを検出したとき、前記時刻針を正転運針駆動及び逆転運針駆動して前記時刻針による時刻表示を行なう過充電表示モードで前記時刻針を運針駆動することを特徴とするアナログ電子時計が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るアナログ電子時計によれば、アナログ電子時計が本来的に備えている機能を利用して過充電防止を図ることが可能であり、したがって、過充電保護のための特別な専用回路等を設けることなく、簡単な構成で2次電池の過充電を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計に使用するステッピングモータの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計の動作を説明するためのタイミング図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計のブロック図で、アナログ電子腕時計の例を示している。
図1において、アナログ電子時計は、ステッピングモータ制御回路101、ステッピングモータ制御回路101によって回転制御されるステッピングモータ102、ステッピングモータ制御回路101やステッピングモータ102等の各回路要素に駆動電力を供給する電源としての2次電池103、ステッピングモータ102によって駆動され時刻等を表示するアナログ表示部111、竜頭等によって構成された操作部109、2次電池103を充電する発電部110を備えている。
【0013】
発電部110は、太陽電池、自動巻または手動巻きによって発電する発電機構、熱発電素子等の発電手段によって構成することができる。
アナログ表示部111は、時刻針(時針112、分針113及び秒針114)を有し、前記時刻針はステッピングモータ102によって回転駆動される。
ステッピングモータ制御回路101は、所定周波数の信号を発生する発振回路104、発振回路104で発生した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生する分周回路105、電子時計を構成する各電子回路要素の制御や駆動パルスの変更制御等の制御を行う制御回路106、制御回路106からの制御信号に基づいてステッピングモータ102にモータ回転駆動用の駆動パルスを選択し出力するステッピングモータ駆動パルス回路107、2次電池103の電圧を検出する電圧検出回路108を備えている。
【0014】
尚、発振回路104及び分周回路105は信号発生手段を構成している。発振回路104、分周回路105、制御回路106、ステッピングモータ駆動パルス回路107は制御手段を構成している。また、電圧検出回路108は電圧検出手段を構成し、操作部109は操作手段を構成し、発電部110は発電手段又は充電手段を構成している。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に使用するステッピングモータ102の構成図で、アナログ電子時計で一般に用いられている2極PM型ステッピングモータの例を示している。
図2において、ステッピングモータ102は、ロータ収容用貫通孔203を有するステータ201、ロータ収容用貫通孔203に回転可能に配設されたロータ202、ステータ201と接合された磁心208、磁心208に巻回されたコイル209を備えている。ステッピングモータ102をアナログ電子時計に用いる場合には、ステータ201及び磁心208はネジやカシメ等(図示せず)によって地板(図示せず)に固定され、互いに接合される。コイル201は、第1端子OUT1、第2端子OUT2を有している。
【0016】
ロータ202は、2極(S極及びN極)に着磁されている。磁性材料によって形成されたステータ201の外端部には、ロータ収容用貫通孔203を挟んで対向する位置に複数(本実施の形態では2個)の切り欠き部(外ノッチ)206、207が設けられている。各外ノッチ206、207とロータ収容用貫通孔203間には可飽和部210、211が設けられている。
可飽和部210、211は、ロータ202の磁束によっては磁気飽和せず、コイル209が励磁されたときに磁気飽和して磁気抵抗が大きくなるように構成されている。ロータ収容用貫通孔203は、輪郭が円形の貫通孔の対向部分に複数(本実施の形態では2つ)の半月状の切り欠き部(内ノッチ)204、205を一体形成した円孔形状に構成されている。
【0017】
切り欠き部204、205は、ロータ202の停止位置を決めるための位置決め部を構成している。コイル209が励磁されていない状態では、ロータ202は、図2に示すように前記位置決め部に対応する位置、換言すれば、ロータ202の磁極軸Aが、切り欠き部204、205を結ぶ線分と直交するような位置(角度θ0位置)に安定して停止している。ロータ202の回転軸を中心とするXY座標空間を4つの象限(第1象限〜第4象限)に区分している。
【0018】
いま、ステッピングモータ駆動パルス回路107から矩形波の第1極性(例えば、第1端子OUT1側を正極、第2端子OUT2側を負極)の駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2間に供給して、図2の矢印方向に電流iを流すと、ステータ201には破線矢印方向に磁束が発生する。これにより、可飽和部210、211が飽和して磁気抵抗が大きくなり、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は図2の矢印方向に180度回転し、磁極軸が角度θ1位置で安定的に停止する。尚、ステッピングモータ102を回転駆動することによって通常動作(本実施の形態ではアナログ電子時計であるため運針動作)を行わせるための回転方向(図2では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
【0019】
次に、ステッピングモータ駆動パルス回路107から、前記第1極性とは異なる第2極性(前記駆動とは逆極性となるように、第1端子OUT1側を負極、第2端子OUT2側を正極)の矩形波の駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2に供給して、図2の反矢印i方向に電流を流すと、ステータ201には反破線矢印方向に磁束が発生する。これにより、可飽和部210、211が先ず飽和し、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸Aが角度θ0位置で安定的に停止する。
以後、このように、コイル209に対して極性の異なる信号(交番信号)を供給することによって、前記動作が繰り返し行われて、ロータ202を180度ずつ矢印方向に連続的に回転させることができるように構成されている。
【0020】
ロータ202を逆方向(時計回り方向)に回転させる場合には、複数のパルスによって構成された逆転駆動パルス(波形の詳細は後述する。)で駆動する。各逆転駆動パルスによって180度ずつロータ202を逆方向に回転駆動し、磁極軸Aが角度θ0、θ1の位置で交互に安定するように駆動する。前記駆動を連続的に行うことにより、ロータ202を逆方向に回転駆動する。
【0021】
図3は、本実施の形態において、ステッピングモータ102を2次電池103の電圧に応じた態様で駆動する例を示すタイミング図である。
図3(a)は通常運針モードを示しており、2次電池103の電圧VDが所定の低レベル過充電電圧閾値Vtlより小さい(VD<Vtl)場合の駆動態様を示すものである。ここで、低レベル過充電電圧閾値Vtlは2次電池103が所定の第1電圧(例えば定格電圧)以上(低レベル充電)か否かを判定するための閾値電圧である。低レベル過充電電圧閾値Vtlは、例えば、例えば2.6Vである。図3(a)には、時刻針を1秒の運針間隔で運針駆動することによって現在時刻を表示する通常運針の駆動タイミングを示している。
図3(a)では、正転駆動用の主駆動パルスPF1aが所定の運針間隔(本実施の形態では1秒の運針間隔)でステッピングモータ102のコイル209の端子OUT1、OUT2に交互に供給され、ステッピングモータ102が180度ずつ正方向に回転駆動される。これにより、ステッピングモータ102が駆動される毎に、秒針114が1秒ずつ正方向に運針駆動されることになる。
【0022】
図3(b)は過充電表示モードの第1の態様を示しており、2次電池103が過充電された場合の運針態様を示す図である。2次電池103の電圧VDが低レベル過充電電圧閾値Vtl以上で所定の高レベル過充電電圧閾値Vthより小さい(Vtl≦VD<Vth)場合の駆動態様(低レベル過充電運針)を示している。ここで、高レベル過充電電圧閾値Vthは、2次電池103が前記第1電圧より高い所定の第2電圧以上(高レベル充電)か否かを判定するための閾値電圧である。高レベル過充電電圧閾値Vthは低レベル過充電電圧閾値Vtlよりも高い所定電圧(例えば2.7V)である。
【0023】
図3(b)では、ステッピングモータ102の端子OUT1、OUT2に、所定運針間隔(本実施の形態では1秒の運針間隔)内において、正転駆動用の2つの主駆動パルスPF1aが所定間隔SF0aをおいて交互に供給された後、所定間隔S0aをおいて1つの逆転駆動パルスPRaが供給される。逆転駆動パルスPRaは、複数のパルス(本実施の形態では4つのパルス(第1パルスPR0、第1パルスPR0と所定間隔SR0をおいた第2パルスPR1、第2パルスPR1に連続しこれとは逆極性の第3パルスPR2、第3パルスPR2に連続しこれとは逆極性の第4パルスPR3a)によって構成されている。
【0024】
前記駆動動作を所定運針間隔(本実施の形態では1秒間隔)毎に極性を代えて交互に繰り返す。これにより、各運針間隔内で、秒針114が2秒続けて正方向に運針駆動された後に逆方向に1秒運針駆動されることになる。即ち、各運針間隔内において、正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数の差が通常運針の回数と同じになるようにしているため、秒針114の動きが通常運針とは異なるものの、前記各運針間隔内では通常運針と同じ量の運針(本実施の形態では1秒運針)が行われ、時刻針によって現在時刻が表示されることになる。このとき、各運針間隔内においてステッピングモータ102を複数回駆動することになるため諸費エネルギを、通常運針に比べてて大きくすることができ、2次電池103の過充電を速やかに防止することができる。また過充電を報知すること等ができる。
【0025】
図3(c)は過充電表示モードの第2の態様を示しており、2次電池103が高レベル過充電電圧閾値Vth以上(Vth≦VD)の場合の第1の駆動態様(第1の高レベル過充電運針)を示している。
図3(c)では、図3(b)と同様に、各運針間隔内において、正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数の差が通常運針の駆動回数と同じになるようにしているが、エネルギの大きい主駆動パルスPF1と逆転駆動パルスPRを用いて運針駆動している点で相違している。即ち、主駆動パルスPF1bは主駆動パルスPF1aよりもパルス幅が広い、したがって、エネルギが大きい駆動パルスである。また、第4パルスPR3bは第4パルスPR3aよりもパルス幅が広い、したがって、エネルギが大きい駆動パルスである。
【0026】
これにより、秒針114の動きが通常運針とは異なるものの、前記各運針間隔内では通常運針と同じ量の運針(本実施の形態では1秒運針)が行われ、時刻針によって現在時刻が表示されることになる。この場合、各間隔においてステッピングモータ102を複数回駆動することになるため諸費エネルギを通常運針に比べて大きくすることができ又、図3(b)の例よりも消費エネルギをより大きくすることができるため、2次電池103の過充電をより速やかに防止することができる。
【0027】
図3(d)は過充電表示モードの第3の態様を示しており、2次電池103が高レベル過充電電圧閾値Vth以上(Vth≦VD)の場合の第2の駆動態様(第2の高レベル過充電運針)を示している。
図3(d)では、図3(b)、(c)と同様に、各運針間隔において、正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数の差が通常運針と同じになるようにしているが、各運針間隔内において、正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数を変えている(正転3回、逆転2回)。また、図3(c)が(b)と比べてパルス幅を変えているのに対して、図3(d)は(b)のパルス幅と同じである。
【0028】
これにより、秒針114の動きが通常運針とは異なるものの、前記各運針間隔内では通常運針と同じ量の運針(本実施の形態では1秒運針)が行われ、時刻針によって現在時刻が表示されることになる。この場合、各間隔においてステッピングモータ102を複数回駆動することになるため諸費エネルギを通常運針に比べて大きくすることができ又、2次電池103の過充電をより速やかに防止することができる。
図4は、本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計の動作を示すフローチャートである。
【0029】
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態に係るアナログ電子時計の動作を詳細に説明する。
先ず、アナログ電子時計の計時動作を概略説明すると、発電部110が発電して2次電池103が充電され、アナログ電子時計は2次電池103を電源として動作する。
発振回路104は所定周波数の基準クロック信号を発生し、分周回路105が発振回路104で発生した前記信号を分周して計時の基準となる時計信号を所定間隔で制御回路106に出力する。
【0030】
制御回路106は、前記時間信号を計数して計時動作を行うと共に、計時する毎に所定エネルギの主駆動パルスでステッピングモータ102を正転駆動するように制御信号を出力する。ステッピングモータ駆動パルス回路107は、制御回路106からの前記制御信号に応答して、前記主駆動パルスでステッピングモータ102を正転駆動する。ステッピングモータ102は主駆動パルスによって正転駆動されて、アナログ表示部111の時刻針(時針112、分針113、秒針114)を正転駆動する。このようにして、主駆動パルスにより所定の運針間隔(本実施の形態では1秒間隔)で時刻針112〜114を正転駆動する運針動作(図3(a)の通常運針)が行われ、アナログ表示部111の時刻針112〜114によって現在時刻が表示される。
【0031】
次に、2次電池103が過充電状態のときの動作を説明する。
制御回路106は、2次電池103の電圧検出間隔が経過したか否かを計測するためのカウンタ(図示せず)の計数値(検出間隔計数値)Nを0にリセットし(ステップS401)、電圧検出回路108に2次電池103の電圧VDを検出させて、2次電池103の電圧VDが低レベル過充電電圧閾値Vtl以上か否かを判定する(ステップS402)。制御回路106は2次電池103が低レベル過充電電圧閾値Vtl以上のときは、少なくとも低レベルの過充電と判定する。
【0032】
制御回路106は、処理ステップS402において2次電池103の電圧VDが低レベル過充電電圧閾値Vtl未満の場合、過充電ではないと判定して、所定の運針間隔(本実施の形態では1秒間)で、通常運針モードである図3(a)の通常運針を行う(ステップS420)。
即ち、前述したように、制御回路106は、運針間隔内で主駆動パルスPF1aを用いて、秒針114を正方向へ所定量(本実施の形態では1秒分)運針駆動するように制御する。これにより、時刻針112〜114によって現在時刻が表示され、2次電池103は通常運針時の電力消費がなされる。
【0033】
次に、制御回路106は、前記カウンタの計数値Nに1加算し(ステップS421)、計数値Nが所定の第1検出間隔(本実施の形態では1分)に対応する第1計数値になったと判定した場合は処理ステップS401に戻り、計数値Nが前記第1計数値になってないと判定した場合は処理ステップS420に戻って通常運針を行う(ステップS422)。
これにより、2次電池103が低レベル過充電電圧閾値Vtl未満の場合、即ち、過充電になっていない場合には、第1検出間隔が経過するまでは図3(a)の通常運針を1秒間隔で行う毎に計数値Nを計数し、第1検出間隔が経過する(即ち、計数値Nが第1計数値になる。)毎に処理ステップS401に戻って2次電池103の電圧を電圧検出回路108で検出することになる。
【0034】
制御回路106は、処理ステップS402において2次電池103の電圧VDが低レベル過充電電圧閾値Vtl以上の場合、少なくとも低レベルの過充電と判定して、電圧検出回路108が検出した2次電池103の電圧VDが高レベル過充電電圧閾値Vth以上か否かを判定する(ステップS403)。
【0035】
制御回路106は、処理ステップS403において2次電池103が高レベル過充電電圧閾値Vth未満(即ち、Vtl≦VD<Vth)の場合、低レベルの過充電と判定し、所定の運針間隔(本実施の形態では1秒間)で、過充電表示モードである図3(b)の低レベル過充電運針を行う(ステップS412)。
即ち、前述したように、通常運針時と同じエネルギの主駆動パルスPF1a及び逆転駆動パルスPRaを用いて、各運針間隔において、正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数の差が通常運針の回数と同じ(図3(b)では正転2回、逆転1回)になるように運針駆動する。
【0036】
これにより、秒針114の動きが通常運針とは異なるものの、前記運針間隔内では通常運針と同じ量だけ運針が行われ、時刻針によって現在時刻が表示される。各運針間隔においてステッピングモータ102を駆動する回数が通常運針の場合よりも多いため、電力消費を大きくすることによって2次電池103の過充電を速やかに防止することができる。また、秒針114が通常運針とは異なる動きをするため、秒針114によって過充電であることを報知することができる。
【0037】
次に、制御回路106は、前記カウンタの計数値Nに1加算し(ステップS413)、操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われたか否かを判定する(ステップS414)。制御回路106は、処理ステップS414において操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われたと判定すると、計数値Nを0にリセットし(ステップS415)、所定の運針間隔(本実施の形態では1秒)で、図3(a)の通常運針を行う(ステップS416)。
【0038】
即ち、操作部109によって過充電表示モードを解除した場合、前述の如く制御回路106は通常運針を行い、運針間隔内で主駆動パルスPF1aを用いて、秒針114を正方向へ所定量(本実施の形態では1秒分)運針駆動するように制御する。これにより、時刻針112〜114によって現在時刻が表示され、2次電池103は通常運針時の電力消費がなされる。
次に制御回路106は、前記カウンタの計数値Nに1加算し(ステップS417)、第4検出間隔(本実施の形態では1時間)経過した(即ち、計数値Nが所定の第4検出間隔に対応する所定の第4計数値になった)と判定した場合は処理ステップS401に戻り、第4検出間隔経過していない(即ち、計数値Nが第4計数値になってない)と判定した場合は処理ステップS416に戻って通常運針を行う(ステップS418)。
【0039】
制御回路106は、処理ステップS414において操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われていないと判定すると、所定の第2検出間隔(本実施の形態では30秒)が経過した(即ち、計数値Nが第2検出間隔に対応する第2計数値になった)と判定した場合は処理ステップS401に戻り、第2検出間隔が経過していない(即ち、計数値Nが第2計数値になっていない)と判定した場合は処理ステップS412に戻って低レベル過充電運針を行う(ステップS419)。
【0040】
これにより、2次電池103が低レベル過充電電圧閾値Vtl以上かつ高レベル過充電電圧閾値Vth未満の低レベル過充電状態の場合、操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われないときには、第2検出間隔の間は図3(b)の低レベル過充電運針が行われる。操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われた場合には、第4検出間隔の間は図3(a)の通常運針を行った後に処理ステップS401に戻って再び2次電池103の電圧を電圧検出回路108で検出することになる。
したがって、通常運針モードよりも電力消費を大きくすることによって2次電池103の過充電を速やかに防止することができ、また、秒針114が通常運針とは異なる動きをするため、秒針114によって過充電であることを報知することができる。
【0041】
一方、制御回路106は、処理ステップS403において2次電池103が高レベル過充電電圧閾値Vth以上の場合、高レベル過充電状態と判定して、所定の運針間隔(本実施の形態では1秒間)で、過充電表示モードである図3(c)の高レベル過充電運針を行う(ステップS404)。
即ち、前述したように、通常運針時や低レベル過充電運針時の主駆動パルスPF1aよりもエネルギが大きい主駆動パルスPF1b及び低レベル過充電運針時の逆転駆動パルスPRaよりもエネルギが大きい逆転駆動パルスPRbを用いて、各運針間隔において、正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数の差が通常運針の回数と同じになるように(図3(c)では正転2回、逆転1回)運針駆動する。
【0042】
これにより、秒針114の動きが通常運針とは異なるものの、前記運針間隔内では通常運針と同じ量だけ運針が行われ、時刻針によって現在時刻が表示される。低レベル過充電運針よりも電力消費を大きくすることによって2次電池103の過充電をより速やかに防止することができる。また、秒針114が通常運針とは異なる動きをするため、秒針114によって過充電であることを報知することができる。
【0043】
尚、処理ステップS404において高レベル過充電運針を行う場合、図3(c)の運針動作に代えて図3(d)の運針動作を行うようにしてもよい。このように、正転駆動と逆転駆動の回数を増やしつつも正転駆動回数と逆転駆動回数の差が通常運針と同じになるように運針駆動することにより、時刻針によって現在時刻が表示しながら、電力消費を大きくすることによって2次電池103の過充電をより速やかに防止し、又、秒針114によって過充電であることを報知することができる。
【0044】
次に、制御回路106は、前記カウンタの計数値Nに1加算し(ステップS405)、操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われたか否かを判定する(ステップS406)。制御回路106は、処理ステップS406において操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われたと判定すると、計数値Nを0にリセットし(ステップS407)、所定の運針間隔(本実施の形態では1秒)で、図3(a)の通常運針を行う(ステップS408)。
【0045】
即ち、操作部109によって過充電表示モードを解除した場合、前述の如く制御回路106は、運針間隔内で主駆動パルスPF1aを用いて、秒針114を正方向へ所定量(本実施の形態では1秒分)運針駆動するように制御する。これにより、時刻針112〜114によって現在時刻が表示され、2次電池103は通常運針時の電力消費がなされる。
次に制御回路106は、前記カウンタの計数値Nに1加算し(ステップS409)、第5検出間隔(本実施の形態では30分)が経過した(即ち、計数値Nが第5検出間隔に対応する所定の第5計数値になった)か否かを判定する(ステップS410)。
【0046】
制御回路106は、処理ステップS410において第5検出間隔が経過した(即ち、計数値Nが第5計数値になった)と判定した場合は処理ステップS401に戻り、第5検出間隔が経過していない(即ち、計数値Nが第5計数値になっていない)と判定した場合は処理ステップS408に戻って通常運針を行う。
制御回路106は、処理ステップS406において操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われていないと判定すると、所定の第3検出間隔(本実施の形態では10秒)が経過した(即ち、計数値Nが所定の第3検出間隔に対応する第3計数値になった)と判定した場合は処理ステップS401に戻り、第3検出間隔が経過していない(即ち、計数値Nが第3計数値になっていない)と判定した場合は処理ステップS404に戻って高レベル過充電運針を行う(ステップS411)。
【0047】
これにより、2次電池103が高レベル過充電電圧閾値Vth以上の高レベル過充電状態の場合、操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われない場合には、第3検出間隔の間は図3(c)の高レベル過充電運針が行われる。操作部109によって過充電表示モードの解除操作が行われた場合には、第5検出間隔の間図3(a)の通常運針を行った後に再び2次電池103の電圧を電圧検出回路108で検出することになる。
したがって、電力消費を大きくすることによって2次電池103の過充電をより速やかに防止することができ、また、秒針114が通常運針とは異なる動きをするため、秒針114によって過充電であることを報知することができる。
【0048】
以上述べたように本実施の形態に係るアナログ電子時計は、時刻針と、前記時刻針を所定の運針間隔で所定量ずつ運針駆動して時刻表示を行う通常運針モードで前記時刻針を運針駆動する制御手段とを有するアナログ電子時計において、電源としての2次電池と、2次電池を充電する充電手段と、2次電池の電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段が、2次電池の電圧が所定値以上になったことを検出したとき、前記時刻針を正転運針駆動及び逆転運針駆動して前記時刻針による時刻表示を行なう過充電表示モードで前記時刻針を運針駆動することを特徴としている。
【0049】
ここで、前記制御手段は、前記過充電表示モードの運針間隔における前記正転運針駆動と逆転運針駆動の運針駆動量の差が、前記通常運針モードの運針間隔における運針駆動量と等しくなるように前記時刻針を運針駆動するように構成することができる。
また、前記制御手段は、前記2次電池の電圧に応じて、前記過充電表示モードの運針間隔における前記正転運針駆動と逆転運針駆動の運針駆動量の差が前記通常運針モードの運針間隔における運針駆動量と等しくなるように、前記正転運針駆動と逆転運針駆動の運針駆動量を異ならせるように構成することができる。
【0050】
また、前記制御手段は、前記電圧検出手段が前記2次電池の電圧が所定値以上になったことを検出して前記過充電表示モードで所定時間運針駆動した後、前記2次電池の電圧が所定値以上になったか否かを判断して再び前記過充電表示モードで運針駆動するか否かを決定するように構成することができる。
また、前記制御手段は、前記2次電池の電圧に応じて、前記過充電表示モードで駆動する前記所定時間を異ならせるように構成することができる。
【0051】
また、前記制御手段は、前記2次電池の電圧が高いほど、前記過充電表示モードで駆動する前記所定時間を短くするように構成することができる。
また、前記制御手段は、前記過充電表示モードにおける正転運針駆動用の駆動パルスとして、前記通常運針モードにおける正転運針駆動用の駆動パルスと同一エネルギの駆動パルス又は、前記通常運針モードにおける正転運針駆動用の駆動パルスよりも大きなエネルギの駆動パルスを用いて運針駆動するように構成することができる。
【0052】
また、操作手段を有し、前記制御手段は、前記過充電表示モードの状態で前記操作手段により過充電表示モードの解除操作が行われたとき、前記通常運針モードで前記時刻針を運針駆動するように構成することができる。
また、前記制御手段は、前記過充電表示モードの状態で前記操作手段により過充電表示モードの解除操作が行われた場合、前記通常運針モードで前記時刻針を所定時間運針駆動した後、過充電状態のときは再び過充電表示モードに戻って駆動するように構成することができる。
また、前記制御手段は、前記2次電池の電圧が高いほど、前記通常運針モードで前記時刻針を駆動する前記所定時間を短くするように構成することができる。
【0053】
したがって、アナログ電子時計が本来的に備えている機能を利用して過充電防止を図ることが可能であり、したがって、過充電保護のための特別な専用回路等を設けることなく、簡単な構成で2次電池の過充電を防止できる。
また、特別な制御検出手段を必要としないので、ICサイズの大型化とコストアップを抑えることが可能になる。
また使用者に時刻針の運針具合で充電状態(充電完了)を知らせることができるので,ユーザビリティが向上する等の効果を奏する。
【0054】
尚、本実施の形態では、過充電表示モードにおける正転駆動と逆転駆動の回数を2回と1回または3回と2回としたが、運針間隔内における正方向への駆動回数と逆方向への駆動回数の差が通常運針の回数と同じになるようにすればよく、種々の回数に設定することが可能である。
また、製品仕様等に応じて前記第1〜第5検出間隔を適宜設定することにより、消費させる電力量を変えることが可能である。例えば本実施の形態では、第3検出間隔は第2検出間隔よりも短くなるように設定したが、第2検出間隔を第3検出間隔よりも短くなるように設定してもよい。また、第5検出間隔は第4検出間隔よりも短くなるように設定したが、第4検出間隔を第5検出間隔よりも短くなるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、各主駆動パルスP1のエネルギを変えるために、パルス幅を変えるようにしたが、パルス自体を櫛歯波にし、その櫛歯数やON/OFFデューティを変えたり、パルス電圧を変える等によっても、駆動エネルギを変えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るアナログ電子時計は、アナログ電子腕時計、カレンダ機能付きアナログ電子腕時計、アナログ電子置時計等、各所のアナログ電子時計に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
101・・・ステッピングモータ制御回路
102・・・ステッピングモータ
103・・・2次電池
104・・・発振回路
105・・・分周回路
106・・・制御回路
107・・・ステッピングモータ駆動パルス回路
108・・・電圧検出回路
109・・・操作部
110・・・発電部
111・・・アナログ表示部
112・・・時針
113・・・分針
114・・・秒針
201・・・ステータ
202・・・ロータ
203・・・ロータ収容用貫通孔
204、205・・・切り欠き部(内ノッチ)
206、207・・・切り欠き部(外ノッチ)
208・・・磁心
209・・・コイル
210、211・・・可飽和部
OUT1・・・第1端子
OUT2・・・第2端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻針と、前記時刻針を所定の運針間隔で所定量ずつ運針駆動して時刻表示を行う通常運針モードで前記時刻針を運針駆動する制御手段とを有するアナログ電子時計において、
電源としての2次電池と、前記2次電池を充電する充電手段と、前記2次電池の電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段が、前記2次電池の電圧が所定値以上になったことを検出したとき、前記時刻針を正転運針駆動及び逆転運針駆動して前記時刻針による時刻表示を行なう過充電表示モードで前記時刻針を運針駆動することを特徴とするアナログ電子時計。
【請求項2】
前記制御手段は、前記過充電表示モードの運針間隔における前記正転運針駆動と逆転運針駆動の運針駆動量の差が、前記通常運針モードの運針間隔における運針駆動量と等しくなるように前記時刻針を運針駆動することを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
【請求項3】
前記制御手段は、前記2次電池の電圧に応じて、前記過充電表示モードの運針間隔における前記正転運針駆動と逆転運針駆動の運針駆動量の差が前記通常運針モードの運針間隔における運針駆動量と等しくなるように、前記正転運針駆動と逆転運針駆動の運針駆動量を異ならせることを特徴とする請求項2記載のアナログ電子時計。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電圧検出手段が前記2次電池の電圧が所定値以上になったことを検出して前記過充電表示モードで所定時間運針駆動した後、前記2次電池の電圧が所定値以上になったか否かを判断して再び前記過充電表示モードで運針駆動するか否かを決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のアナログ電子時計。
【請求項5】
前記制御手段は、前記2次電池の電圧に応じて、前記過充電表示モードで駆動する前記所定時間を異ならせることを特徴とする請求項4記載のアナログ電子時計。
【請求項6】
前記制御手段は、前記2次電池の電圧が高いほど、前記過充電表示モードで駆動する前記所定時間を短くすることを特徴とする請求項5記載のアナログ電子時計。
【請求項7】
前記制御手段は、前記過充電表示モードにおける正転運針駆動用の駆動パルスとして、前記通常運針モードにおける正転運針駆動用の駆動パルスと同一エネルギの駆動パルス又は、前記通常運針モードにおける正転運針駆動用の駆動パルスよりも大きなエネルギの駆動パルスを用いて運針駆動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のアナログ電子時計。
【請求項8】
操作手段を有し、
前記制御手段は、前記過充電表示モードの状態で前記操作手段により過充電表示モードの解除操作が行われたとき、前記通常運針モードで前記時刻針を運針駆動することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載のアナログ電子時計。
【請求項9】
前記制御手段は、前記過充電表示モードの状態で前記操作手段により過充電表示モードの解除操作が行われた場合、前記通常運針モードで前記時刻針を所定時間運針駆動した後、過充電状態のときは再び過充電表示モードに戻って駆動することを特徴とする請求項8記載のアナログ電子時計。
【請求項10】
前記制御手段は、前記2次電池の電圧が高いほど、前記通常運針モードで前記時刻針を駆動する前記所定時間を短くすることを特徴とする請求項9記載のアナログ電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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