説明

アプリケーション統制制御フレームワークシステム、アプリケーション統制制御方法、及びアプリケーション統制制御プログラム

【課題】業務アプリケーションの品質の向上及び設計工期の短縮を図る。
【解決手段】業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御部111〜114,211〜214と、業務アプリケーションにおける各レイヤに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれに対応する制御ルールA〜Dを記憶する制御ルール記憶部とを含み、アプリケーションクラス制御部115〜118,215〜218からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応する制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、下位のレイヤのクラスの制御のために提供する処理と、インスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示をアプリケーションクラス制御部に対して行う処理とを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御するアプリケーション統制制御フレームワークシステム、アプリケーション統制制御方法、及びアプリケーション統制制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、業務アプリケーションの実装を支援する技術が種々提案されている。特許文献1には、共通の特徴を有するクラス群において上位クラスと下位クラスとに継承関係を持たせることにより、上位クラスと下位クラスとで重複するプログラムの作成の省略を可能とした業務アプリケーションの実装を支援する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、業務処理の標準プログラムを実装させる上位クラス群と、この上位クラス群の各上位クラスとそれぞれ継承関係を有し、修正時に修正プログラムを実装可能な空の下位クラス群とを予めセットで形成すると共に、この下位クラス群を順次実行するように制御することにより、該当する下位クラスに修正の必要が生じた部分の修正プログラムを実装させるだけで、標準プログラムの処理を実行しつつ、修正部分については修正プログラムの処理を実行させることを可能とし、標準プログラムのカスタマイズ等の容易性を向上させた業務アプリケーションの修正を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−63737号公報
【特許文献2】特開2004−310279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、業務アプリケーションを作成する上での重複部分の省略と、業務アプリケーションの修正を容易にしたに過ぎず、業務アプリケーションの設計については、各アーキテクトの自主性に任されており、業務アプリケーションの品質に差が生じると共に、業務アプリケーション毎に階層構造や制御構造を検討する必要があるため、設計工期が長期化するとの問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決すべく、業務アプリケーションの品質の向上及び設計工期の短縮を図ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアプリケーション統制制御フレームワークシステムは、予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御するアプリケーション統制制御フレームワークシステムであって、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御実行手段と、前記業務アプリケーションにおける各レイヤに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれに対応する制御ルールを記憶する制御ルール記憶手段とを含み、前記基底クラス制御実行手段は、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーション制御実行手段からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを前記業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のために前記アプリケーション制御実行手段に提供するインスタンス生成手段と、該インスタンス生成手段によってインスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示を前記アプリケーション制御実行手段に対して行う制御実行指示手段とを有することを特徴とする。
【0008】
前記制御実行指示手段は、前記インスタンス生成手段によって提供されたインスタンスが生成されたクラスのレイヤの直下のレイヤのクラスでの制御の実行指示を行う構成とされていてもよい。
【0009】
前記アプリケーション制御実行手段は、各レイヤにおけるクラス間の情報伝達及び指示伝達を禁止したアプリケーション制御ルールに従って各クラスでの制御を実行する構成とされていてもよい。
【0010】
前記複数のレイヤは、例えば、上位レイヤから、インタフェース処理が実行されるバウンダリレイヤと、フロー制御が実行されるアプリケーションロジックレイヤと、業務処理が実行されるビジネスロジックレイヤと、外部システムとの接続制御が実行されるデータレイヤとによって構成される。
【0011】
また、本発明のアプリケーション統制制御方法は、予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御するアプリケーション統制制御方法であって、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御実行処理を含み、前記基底クラス制御実行処理は、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーション制御実行手段からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを前記業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のために前記アプリケーション制御実行手段に提供するインスタンス生成処理と、該インスタンス生成処理にてインスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示を前記アプリケーション制御実行手段に対して行う制御実行指示処理とを有することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のアプリケーション統制制御プログラムは、予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御させるためのアプリケーション統制制御プログラムであって、コンピュータに、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御実行処理を実行させ、前記基底クラス制御実行処理では、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーション制御実行手段からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを前記業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のために前記アプリケーション制御実行手段に提供するインスタンス生成処理と、該インスタンス生成処理にてインスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示を前記アプリケーション制御実行手段に対して行う制御実行指示処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、業務アプリケーションの品質の向上及び設計工期の短縮を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における業務処理システムの構成の例を示すブロック図である。
【図2】業務処理実行サーバの構成の例を示す概念図である。
【図3】業務受付サーバの構成の例を示す概念図である。
【図4】業務処理実行サーバの構成の例を示すブロック図である。
【図5】業務受付サーバの構成の例を示すブロック図である。
【図6】業務処理システムが実行する業務処理の例を説明するための概念図である。
【図7】業務処理システムが実行する業務処理の例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明のアプリケーション統制制御フレームワークシステムの一実施の形態における業務処理システム100の構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、業務処理システム100は、複数の業務処理実行サーバ11〜1N(Nは任意の正の整数)と、複数の業務受付サーバ21〜2N(Nは任意の正の整数)と、複数の業務処理要求クライアント端末31〜3Nとを含む。複数の業務処理実行サーバ11〜1N、及び複数の業務受付サーバ21〜2Nは、データセンタ等に配置され、例えばイントラネットやLANなどの通信ネットワークに接続されている。また複数の業務受付サーバ21〜2Nと複数の業務処理要求クライアント端末31〜3Nは、それぞれ、インターネットなどの通信ネットワーク40に接続されている。
【0017】
図2は、業務処理実行サーバ11の構成の例を示す概念図である。図3は、業務受付サーバ21の構成の例を示す概念図である。図4は、業務処理実行サーバ11の構成の例を示すブロック図である。図5は、業務受付サーバ21の構成の例を示すブロック図である。なお、各業務処理実行サーバ11〜1N、及び各業務受付サーバ21〜2Nは、それぞれ、同一の構成であるものとする。
【0018】
本例では、図2及び図3に示すように、上位レイヤから、インタフェース処理が実行されるバウンダリレイヤと、フロー制御が実行されるアプリケーションロジックレイヤと、業務処理が実行されるビジネスロジックレイヤと、外部システムとの接続制御が実行されるデータレイヤとの4つのレイヤを含むレイヤ構造となっており、業務処理実行サーバ11及び業務受付サーバ21は、それぞれ、上記の4つのレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有している。
【0019】
「フレームワーク基底クラス」は、業務処理実行サーバ11〜1N及び業務受付サーバ21〜2Nの各レイヤでの処理を統制制御するためのクラスであり、バウンダリレイヤの基底となるクラスであるベースサービスクラスあるいはベースウェブフォームクラスと、アプリケーションロジックレイヤの基底となるクラスであるベースアプリケーションロジッククラスと、ビジネスロジックレイヤの基底となるクラスであるベースビジネスロジッククラスと、データレイヤの基底となるクラスであるベースデータアクセスクラスあるいはベースサービスエージェントクラスとを含む。フレームワーク基底クラスにおける各クラスには、それぞれのレイヤごとに個別の処理制御内容とルール定義(制御ルール:ルールA〜D)が予め設定されている。また、各レイヤ間の連携や、レイヤ共通制御に関する処理制御内容とルール定義がレイヤ連携クラスに設定されている。
【0020】
「業務アプリケーションクラス」は、例えば書籍管理などの業務に関する処理を実行するための業務アプリケーションを実現するためのクラスであり、バウンダリレイヤのクラスであるベースサービス業務派生クラスあるいはベースウェブフォーム業務派生クラスと、アプリケーションロジックレイヤのクラスであるベースアプリケーションロジック業務派生クラスと、ビジネスロジックレイヤのクラスであるベースビジネスロジック業務派生クラスと、データレイヤのクラスであるベースデータアクセス業務派生クラスあるいはベースサービスエージェント業務派生クラスとを含む。業務アプリケーションクラスにおける各クラスには、それぞれ、制御ルールが予め設定されており、各レイヤのフレームワーク基底クラスを継承している事で、それぞれのレイヤの処理制御内容と、制御ルールとを受け継ぐ仕組みとなる。
【0021】
本例では、フレームワーク基底クラスを構成する各クラスと、業務アプリケーションクラスを構成する各クラスとは、各レイヤ毎に一対の親子関係を有することとなっている。具体的には、業務処理実行サーバ11の場合には、ベースサービスクラスとベースサービス業務派生クラスとが一対の親子関係を有し、ベースアプリケーションロジッククラスとベースアプリケーションロジック業務派生クラスとが一対の親子関係を有し、ベースビジネスロジッククラスとベースビジネスロジック業務派生クラスとが一対の親子関係を有し、ベースデータアクセスクラスとベースデータアクセス業務派生クラスとが一対の親子関係を有している。また、業務受付サーバ21の場合には、ベースウェブフォームクラスとベースウェブフォーム業務派生クラスとが一対の親子関係を有し、ベースアプリケーションロジッククラスとベースアプリケーションロジック業務派生クラスとが一対の親子関係を有し、ベースビジネスロジッククラスとベースビジネスロジック業務派生クラスとが一対の親子関係を有し、ベースサービスエージェントクラスとベースサービスエージェント業務派生クラスとが一対の親子関係を有している。
【0022】
また、本例では、制御ルールとして、業務アプリケーションクラスを構成する各クラス間で、ルールに定められた制御以外の自由な情報伝達や呼び出しを禁止する旨のルールが定められているものとする。従って、業務処理実行サーバ11、及び業務受付サーバ21は、それぞれ、各レイヤにおけるクラス間の情報伝達を禁止した制御ルールに従って各クラスでの制御を実行する。フレームワーク基底クラスの各レイヤの基底クラス制御部111〜114,211〜214と、レイヤ連携クラス制御部121,221と、業務アプリケーションクラスの各レイヤのアプリケーションクラス制御部115〜118,215〜218とは、上記の制御ルールに従って各種の制御を実行する。
【0023】
業務処理実行サーバ11は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、例えば本システムのシステム管理者によって管理される。業務処理実行サーバ11は、例えば図4に示すように、フレームワーク基底クラスの各レイヤの制御ルールに従って各レイヤの制御を実行する各レイヤの基底クラス制御部111〜114と、フレームワーク基底クラスの各レイヤ間の連携のための制御やレイヤ共通制御を実行するレイヤ連携クラス制御部121と、業務アプリケーションクラスの各レイヤの制御ルールに従って各レイヤの制御を実行する各レイヤのアプリケーションクラス制御部115〜118とを含む。
【0024】
業務受付サーバ21は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、例えば本システムのシステム管理者によって管理される。業務受付サーバ21は、例えば図5に示すように、フレームワーク基底クラスの各レイヤの制御ルールに従って各レイヤの制御を実行する各レイヤの基底クラス制御部211〜214と、業務アプリケーションクラスの各レイヤ間の連携のための制御やレイヤ共通制御を実行するレイヤ連携クラス制御部221と、業務アプリケーションクラスの各レイヤの制御ルールに従って各レイヤの制御を実行する各レイヤのアプリケーションクラス制御部215〜218とを含む。
【0025】
業務処理要求クライアント端末31〜3Nは、それぞれ、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって構成され、例えば本システムを利用するユーザによって管理される。
【0026】
次に、本例の業務処理システム100の動作について説明する。
図6及び図7は、業務処理システム100が実行する業務処理の例を説明するための概念図である。ここでは、業務処理要求クライアント端末31からの要求に応じて、業務処理実行サーバ11と業務処理受付サーバ21のフレームワーク基底クラスが、業務アプリケーションクラスの制御により業務アプリケーションの処理(データをデータベースに登録する処理)を実行する際に、業務処理実行サーバ11と業務受付サーバ21が業務アプリケーションを統制制御する場合を例に説明する。なお、本発明に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。
【0027】
業務処理においては、先ず、業務処理要求クライアント端末31からの要求に応じて、業務受付サーバ21におけるバウンダリレイヤのベースウェブフォーム業務派生クラスを制御するバウンダリレイヤアプリケーションクラス制御部215は、ベースウェブフォーム業務派生クラスの親クラスであるベースウェブフォームクラスを制御するバウンダリレイヤ基底クラス制御部211に対して下位レイヤのインスタンスを生成する要求を出し、バウンダリレイヤ基底クラス制御部211は、その要求に応じて制御ルールAに従って下位レイヤのインスタンスを生成する(ステップS111)。
【0028】
バウンダリレイヤ基底クラス制御部211は、バウンダリレイヤアプリケーションクラス制御部215からの要求に応じてインスタンスを生成すると、ベースウェブフォームクラスに設定されている制御ルールAに従ってインスタンスの提供先(後続処理にてインスタンスを取り扱うこととなる制御主体を意味する)を決定し、決定した提供先にインスタンスを提供(インスタンスの格納場所が移動するか否かを問わず、該当するインスタンスの制御主体となる権限を移行することを意味する)する(ステップS111)。ここでは、制御ルールAに従って、業務アプリケーションクラスのうち、バウンダリレイヤの下位レイヤであるアプリケーションロジックレイヤのクラス(ベースアプリケーションロジック業務派生クラス)が提供先として決定される。
【0029】
次に、バウンダリレイヤアプリケーションクラス制御部215は、バウンダリレイヤ基底クラス制御部211から下位レイヤのインスタンスを生成した旨の通知を受けると、下位レイヤのアプリケーションロジックレイヤを制御するアプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212に対して、後続処理を実行する制御部の呼び出し依頼を行う(ステップS112)。呼び出し依頼を受けると、アプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212は、制御ルールBに従って、後続処理を実行する制御部を決定し、決定した制御部の呼び出し処理を行う(ステップS112)。ここでは、制御ルールBに従って、バウンダリレイヤの下位レイヤであるアプリケーションロジックレイヤのクラス(ベースアプリケーションロジック業務派生クラス)を制御するアプリケーションロジックレイヤアプリケーションクラス制御部216が後続処理を実行する制御部として決定される。
【0030】
アプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212によって呼び出されたアプリケーションロジックレイヤアプリケーションクラス制御部216は、業務処理を行ったあと、ベースアプリケーションロジック業務派生クラスの親クラスであるベースアプリケーションロジッククラスを制御するアプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212に対して下位レイヤのインスタンスを生成する要求を出し、アプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212は、その要求に応じて制御ルールBに従って下位レイヤのインスタンスを生成する(ステップS113)。
【0031】
アプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212は、アプリケーションロジックレイヤアプリケーションクラス制御部216からの要求に応じてインスタンスを生成すると、ベースアプリケーションロジッククラスに設定されている制御ルールBに従ってインスタンスの提供先を決定し、決定した提供先にインスタンスを提供する(ステップS113)。ここでは、制御ルールBに従って、業務アプリケーションクラスのうち、アプリケーションロジックレイヤの下位レイヤであるビジネスロジックレイヤのクラス(ベースビジネスロジック業務派生クラス)が提供先として決定される。
【0032】
次に、アプリケーションロジックレイヤアプリケーションクラス制御部216は、アプリケーションロジックレイヤ基底クラス制御部212から下位レイヤのインスタンスを生成した旨の通知を受けると、下位レイヤのビジネスロジックレイヤを制御するビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213に対して、後続処理を実行する制御部の呼び出し依頼を行う(ステップS114)。呼び出し依頼を受けると、ビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213は、制御ルールCに従って、後続処理を実行する制御部を決定し、決定した制御部の呼び出し処理を行う(ステップS114)。ここでは、制御ルールCに従って、アプリケーションロジックレイヤの下位レイヤであるビジネスロジックレイヤのクラス(ベースビジネスロジック業務派生クラス)を制御するビジネスロジックレイヤアプリケーションクラス制御部217が後続処理を実行する制御部として決定される。
【0033】
ビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213によって呼び出されたビジネスロジックレイヤアプリケーションクラス制御部217は、業務処理を行ったあと、ベースビジネスロジック業務派生クラスの親クラスであるベースビジネスロジッククラスを制御するビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213に対して下位レイヤのインスタンスを生成する要求を出し、ビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213は、その要求に応じて制御ルールCに従って下位レイヤのインスタンスを生成する(ステップS115)。
【0034】
ビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213は、ビジネスロジックレイヤアプリケーションクラス制御部217からの要求に応じてインスタンスを生成すると、ベースビジネスロジッククラスに設定されている制御ルールCに従ってインスタンスの提供先を決定し、決定した提供先にインスタンスを提供する(ステップS115)。ここでは、制御ルールCに従って、業務アプリケーションクラスのうち、ビジネスロジックレイヤの下位レイヤであるデータレイヤのクラス(ベースサービスエージェント業務派生クラス)が提供先として決定される。
【0035】
次に、ビジネスロジックレイヤアプリケーションクラス制御部217は、ビジネスロジックレイヤ基底クラス制御部213から下位レイヤのインスタンスを生成した旨の通知を受けると、設定されている制御ルールに従って、後続処理を実行する制御部として、下位レイヤのデータレイヤのベースサービスエージェント業務派生クラスを制御するデータレイヤアプリケーションクラス制御部218を呼び出す処理を行う(ステップS116)。
【0036】
次に、データレイヤアプリケーションクラス制御部218は、ベースサービスエージェントクラスを制御するデータレイヤ基底クラス制御部214に対して、業務処理実行サーバ11に実装されている業務処理を実行する制御部の呼び出し依頼を行う。
【0037】
呼び出し依頼を受けたデータレイヤ基底クラス制御部214は、業務処理実行サーバ11のバウンダリレイヤにおけるベースサービス業務派生クラスを制御するバウンダリレイヤアプリケーションクラス制御部115を呼び出すために、通信制御を行い、通信ネットワークを介して業務処理実行サーバ11のバウンダリレイヤアプリケーションクラス制御部115を呼び出す処理を行う。
【0038】
その後、業務処理実行サーバ11でのステップS211〜ステップS216の処理として、上述した業務処理受付サーバ21でのステップS111〜ステップS116の処理と同様の処理を実行する。
【0039】
そして、業務処理実行サーバ11のベースデータアクセスクラスを制御するデータレイヤ基底クラス114が呼び出されたあとは、データレイヤ基底クラス114は、データベースサーバ(図示せず)にアクセスし、登録対象データをデータベースに登録するための処理を実行する。
【0040】
上記の処理によって、業務受付サーバ21のフレームワーク基底クラス群、業務処理実行サーバ11のフレームワーク基底クラス群の統制制御の下、業務受付サーバ21の業務アプリケーション、及び業務処理実行サーバ11の業務アプリケーションの処理を実行する。なお、処理結果については、上記のデータ登録の処理の場合と逆のルートでベースウェブフォーム業務派生クラスを制御する制御部215に伝達されたあと、本例ではさらに業務処理要求クライアント端末31に送信されて、業務処理要求クライアント端末31にて処理結果(例えばデータ登録が完了した旨)が表示される。
【0041】
以上に説明したように、上述した一実施の形態によれば、予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御するアプリケーション統制制御フレームワークシステムであって、前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御部111〜114,211〜214と、業務アプリケーションにおける各レイヤに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれに対応する制御ルールA〜Dを記憶する制御ルール記憶部とを含み、業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーションクラス制御部115〜118,215〜218からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のためにアプリケーションクラス制御部115〜118,215〜218に提供する処理と、インスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示をアプリケーションクラス制御部115〜118,215〜218に対して行う処理とを実行する構成としたので、業務アプリケーションの品質の向上及び設計工期の短縮を図ることができるようになる。
【0042】
すなわち、予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを業務処理受付サーバ21及び業務処理実行サーバ11のフレームワーク基底クラス群が、フレームワーク基底クラス群の各レイヤの基底クラスと対になる構成で実装される業務アプリケーションの各レイヤの業務派生クラスのインスタンス生成と呼び出しとを制御する構成とし、各レイヤの制御ルールを定義する構成としたので、業務アプリケーションの内部構造や処理制御内容をフレームワーク基底クラス群が制御・管理する制御ルールに基づいたものとすることができるようになり、業務アプリケーションの品質を向上させることができるようになる。また、統制制御を行うことが可能となるように予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造の業務アプリケーションを対象とするようにしているので、業務アプリケーションの設計及び実装を統一的に制御することができるようになる。
【0043】
また、上述した一実施の形態では、基底クラス制御部111〜114,211〜214が、提供されたインスタンスが生成されたクラスのレイヤの直下のレイヤのクラスでの制御の実行指示を行う構成になっているため、各レイヤ間の処理を円滑に行うことができるようになる。
【0044】
また、上述した一実施の形態では、アプリケーションクラス制御部115〜118,215〜218が、各レイヤにおけるクラス間の情報伝達(例えば、データ送信)及び指示伝達(例えば、呼び出し処理)を禁止したアプリケーション制御ルールに従って各クラスでの制御を実行する構成としているので、業務アプリケーション側での各レイヤ間(各クラス間)を分断することができ、アプリケーション統制制御フレームワーク側で統制制御することができるようになる。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、業務処理実行サーバ11と業務受付サーバ21とを別個の構成としたが、業務処理実行サーバ11及び業務受付サーバ21の機能を兼ね備えた業務処理サーバを備える構成としてもよい。また、業務処理要求クライアント端末31に業務受付サーバ21の機能を備えることとし、業務処理実行サーバ11と業務処理要求クライアント端末31とで業務処理システム100を構成するようにしてもよい。
【0046】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、業務処理実行サーバ11〜1N、及び業務受付サーバ21〜2Nは、それぞれ、例えば自己が備える記憶媒体に記憶された処理プログラム(業務処理プログラム、アプリケーション統制制御プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行している。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、業務アプリケーションの品質の向上及び設計工期の短縮を図るのに有用である。
【符号の説明】
【0048】
11〜1N 業務処理実行サーバ
21〜2N 業務受付サーバ
31〜3N 業務処理要求クライアント端末
40 通信ネットワーク
100 業務処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御するアプリケーション統制制御フレームワークシステムであって、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御実行手段と、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれに対応する制御ルールを記憶する制御ルール記憶手段とを含み、
前記基底クラス制御実行手段は、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーション制御実行手段からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを前記業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のために前記アプリケーション制御実行手段に提供するインスタンス生成手段と、
該インスタンス生成手段によってインスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示を前記アプリケーション制御実行手段に対して行う制御実行指示手段とを有する
ことを特徴とするアプリケーション統制制御フレームワークシステム。
【請求項2】
前記制御実行指示手段は、前記インスタンス生成手段によって提供されたインスタンスが生成されたクラスのレイヤの直下のレイヤのクラスでの制御の実行指示を行う
請求項1記載のアプリケーション統制制御フレームワークシステム。
【請求項3】
前記アプリケーション制御実行手段は、各レイヤにおけるクラス間の情報伝達及び指示伝達を禁止したアプリケーション制御ルールに従って各クラスでの制御を実行する
請求項1または請求項2記載のアプリケーション統制制御フレームワークシステム。
【請求項4】
前記複数のレイヤは、上位レイヤから、インタフェース処理が実行されるバウンダリレイヤと、フロー制御が実行されるアプリケーションロジックレイヤと、業務処理が実行されるビジネスロジックレイヤと、外部システムとの接続制御が実行されるデータレイヤとによって構成される
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載のアプリケーション統制制御フレームワークシステム。
【請求項5】
予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御するアプリケーション統制制御方法であって、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御実行処理を含み、
前記基底クラス制御実行処理は、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーション制御実行手段からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを前記業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のために前記アプリケーション制御実行手段に提供するインスタンス生成処理と、
該インスタンス生成処理にてインスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示を前記アプリケーション制御実行手段に対して行う制御実行指示処理とを有する
ことを特徴とするアプリケーション統制制御方法。
【請求項6】
予め定められた基準に従って複数のレイヤのクラスに区分けされた制御構造を有する業務アプリケーションを統制制御させるためのアプリケーション統制制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれに対応するフレームワーク基底クラスそれぞれの制御を実行する基底クラス制御実行処理を実行させ、
前記基底クラス制御実行処理では、
前記業務アプリケーションにおける各レイヤのクラスそれぞれの制御を実行するアプリケーション制御実行手段からの同位のレイヤのクラスでのインスタンス化要求に応じて、インスタンス化要求元のレイヤと同位のレイヤのクラスに対応するフレームワーク基底クラスの制御ルールに従って下位レイヤのインスタンスを生成し、生成したインスタンスを前記業務アプリケーションにおける下位のレイヤのクラスの制御のために前記アプリケーション制御実行手段に提供するインスタンス生成処理と、
該インスタンス生成処理にてインスタンスが提供されたクラスでの制御の実行指示を前記アプリケーション制御実行手段に対して行う制御実行指示処理とを
実行させるためのアプリケーション統制制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−8763(P2011−8763A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−58169(P2010−58169)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(592138019)株式会社ジェイアール東日本情報システム (6)
【Fターム(参考)】