説明

アミダーゼ活性を有するポリペプチド及びその遺伝子

本発明は、光学活性アミノ酸、特にD−アミノ酸の製造に有用な新規なアミダーゼ、ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株から単離・精製された新規D−アミダーゼ。、当該アミダーゼをコードする遺伝子、当該遺伝子を含む組換えプラスミド、及び当該アミダーゼ遺伝子を導入された形質転換体である。また本発明は、アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株あるいは上記形質転換体を培養し当該アミダーゼを採取する、アミダーゼの製造方法でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミダーゼ活性を有するポリペプチド、その遺伝子、当該ポリペプチドを生産する能力を有する微生物あるいは形質転換体、及び当該微生物又は形質転換体を用いたアミダーゼの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミダーゼ(酵素番号[EC3.5.1.4])はカルボン酸アミドをカルボン酸とアンモニアに加水分解する酵素であり、例えばラセミ体α−アミノ酸アミドを立体選択的に加水分解して光学活性α−アミノ酸を生成するなど産業上有用な活性を持つことが知られている。なお、光学活性α−アミノ酸は医薬品の合成中間体や甘味料として有用な化合物である。また、アミダーゼがエステルを基質とした加水分解反応を触媒することも報告されている(非特許文献1)。
【0003】
光学活性α−アミノ酸の製造方法は数多く知られているが、特にD−α−アミノ酸は発酵法による大量生産が困難であることから、安価で効率の良い合成法の開発が望まれている。例えば、生物学的手法によるD−α−アミノ酸の合成方法として、アミダーゼ活性を有する微生物もしくは酵素を用いてラセミ体α−アミノ酸アミドから光学分割により製造する以下のような方法が知られている。
(1)ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物が有するD−α−アミノ酸アミドを特異的に加水分解する活性を用いて、ラセミ体α−アミノ酸アミドからD−α−アミノ酸を製造する方法(特許文献1)。
(2)アクロモバクター(Achromobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、プロタミノバクター(Protaminobacter)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、又はストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物が生産するアミノペプチダーゼを用いて、ラセミ体α−アミノ酸アミドからD−α−アミノ酸を製造する方法(特許文献2)。
(3)アースロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物が生産するアミダーゼを用いて、ラセミ体アラニンアミドからD−アラニンを製造する方法(特許文献3及び4)。
(4)アクロモバクター(Achromobacter)属に属する微生物が有するD−α−アミノ酸アミドを特異的に加水分解する活性を用いて、ラセミ体α−アミノ酸アミドからD−α−アミノ酸を製造する方法(特許文献5)。
(5)遺伝子工学的手法を用いて改変を加えた、微生物由来のD−アミノ酸アミダーゼ遺伝子を有する形質転換体を用いて、ラセミ体α−アミノ酸アミドからD−α−アミノ酸を製造する方法(特許文献6)。
【0004】
しかしながら、上記(1)から(4)の方法は用いられている微生物が有する加水分解活性が低いため、工業的利用に際して十分とは言えない。
【0005】
また、(5)の方法ではオクロバクトラム(Ochrobactrum)属の細菌由来のD−アミノ酸アミダーゼについてのみ記載されており、アースロバクター(Arthrobacter)属細菌については全く言及されていない。
【0006】
一方、アースロバクター(Arthrobacter)属の細菌がアミダーゼを生産することは一般に知られており、酵素を精製、単離し、その性質を明らかにした例もあるが(特許文献3及び4、非特許文献2及び3)、該酵素のアミノ酸配列、及び該酵素をコードする遺伝子の塩基配列についての報告はなされていない。
【特許文献1】特開昭63−87998
【特許文献2】特公平7−106149
【特許文献3】米国特許第5130240号
【特許文献4】米国特許第5252470号
【特許文献5】特開平2−234678
【特許文献6】特開2002−253256
【非特許文献1】Eur. J. Biochem.、2000年、267巻、2028頁
【非特許文献2】Bioscience, Biotechnology and Biochemistry、1992年、56巻、12号、1980頁
【非特許文献3】Agricultural and Biological Chemistry、1982年、46巻、5号、1175頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み、本発明の目的はラセミ体アミノ酸アミド及びラセミ体アミノ酸エステルの光学分割に利用可能な新規D−アミダーゼを提供することにある。また、本発明の目的は、当該D−アミダーゼのアミノ酸配列、その遺伝子の塩基配列を明らかにし、当該酵素を生産する能力を有する微生物あるいは形質転換体及びそれらを用いた当該酵素の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記に鑑み鋭意検討を行った結果、D−アミノ酸アミド及びD−アミノ酸エステルを立体選択的に加水分解する新規D−アミダーゼを生産するアースロバクター(Arthrobacter)属細菌を新たに土壌より分離した。そして、本細菌から当該アミダーゼを単離、精製し、アミダーゼ遺伝子の単離、及び宿主微生物での発現を達成し、発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の(a)又は(b)のポリペプチドである:
(a)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつアミダーゼ活性を有するポリペプチド。
【0010】
本発明はまた、上記のポリペプチドをコードするDNAである。
【0011】
本発明はまた、以下の(c)〜(e)のいずれかのDNAである:
(c)配列表の配列番号3に示す塩基配列からなるDNA、
(d)配列表の配列番号3に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(e)配列表の配列番号3に示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、挿入、欠失および/または付加された塩基配列を有し、アミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
【0012】
また、本発明は、上記のDNAがベクターに挿入された組換えプラスミドである。
【0013】
また、本発明は上記のDNAまたは組換えプラスミドで宿主微生物を形質転換して得られる形質転換体である。
【0014】
また、本発明は、上記ポリペプチドを生産する能力を有し、アースロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物である。
【0015】
また、本発明は、上記のポリペプチドを生産する能力を有する微生物、又は上記形質転換体を培養し、培養物中に当該ポリペプチドを蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするアミダーゼの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述の構成からなり、新規なアミダーゼを効率よく製造することができる。また、当該アミダーゼ、又は、当該アミダーゼを生産する微生物を利用して、アミノ酸アミド又はアミノ酸エステルから効率よくD−アミノ酸を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のアミダーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドpHA001の図。
【図2】本発明のアミダーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドpHA002の図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のポリペプチドについて説明する。本発明のポリペプチドはアミダーゼ活性を有するポリペプチドであって、D−アミノ酸アミド及びD−アミノ酸エステルを立体選択的に加水分解することが可能である。
【0019】
本発明において、ポリペプチドのアミダーゼ活性は、D−フェニルアラニンアミド50mMを含むトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)−塩酸緩衝液(pH8.5)中、30℃で反応を行い、生成するフェニルアラニンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等を用いて定量することにより検出・測定し得る。
【0020】
本発明のポリペプチドは、アミダーゼ活性を有する微生物から取得できる。同ポリペプチドを生産する微生物であれば特に限定されないが、例えばアースロバクター(Arthrobacter)に属する微生物が挙げられ、なかでもアースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)が好ましく、より好ましくは、本発明者らが土壌より新たに分離したアースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株である。
【0021】
上記のアースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託されている(受託番号FERM BP−10192、原寄託日平成15年10月22日の国内寄託をブダペスト条約に基づく国際寄託に移管)。
【0022】
以下に、アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株の菌学的性質を示す。

1.形態
1)直径0.7〜0.8μm、長さ1.0〜1.5μm程度の桿菌
2)グラム染色:陽性
3)運動性:なし
4)胞子形成:なし
5)細胞の多形性:なし
6)肉汁寒天平板培地上でのコロニー形態:円形、全縁滑らか、低凸状、光沢あり、淡黄色

2.培養的性質
1)ニュートリエントアガー(オキソイド製)培地
色:なし、光沢:なし、色素生産:なし
2)ニュートリエントブロス(オキソイド製)培地
表面発育:なし、培地の混濁:あり
3)ゼラチン穿刺培養
生育:なし、ゼラチン変化:なし
4)リトマスミルク
凝固:なし、液化:なし。

3.生理学的試験
1)硝酸塩の還元:−
2)脱窒反応:−
3)MRテスト:−
4)VPテスト:−
5)インドール産生:−
6)硫化水素の産生:−
7)デンプンの加水分解:+
8)クエン酸の利用 Koser:+、Christensen:+
9)無機窒素の利用 硝酸塩:+、アンモニウム塩:+
10)ウレアーゼ活性:−
11)オキシダーゼ活性:−
12)カタラーゼ活性:+
13)β−ガラクトシダーゼ活性:+
14)アルギニンジヒドロラーゼ活性:−
15)リジンデカルボキシラーゼ活性:−
16)トリプトファンデアミナーゼ活性:−
17)ゼラチナーゼ活性:−
18)ピラジナミダーゼ活性:+
19)ピロリドニルアリルアミダーゼ活性:+
20)アルカリフォスフォターゼ活性:+
21)β−グルクロニダーゼ活性:−
22)N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ活性:−
23)α−グルコシダーゼ活性:+
24)エスクリン(β−グルコシダーゼ)活性:+
25)ゼラチン加水分解活性:−
26)生育の範囲
pH5:+、pH9:+、pH10:+
20℃:+、25℃:+、40℃:+W、45℃:−
27)生育条件 好気性:+、嫌気性:−
28)O−Fテスト(酸化/発酵):−/−
29)糖類からの酸及びガス産生(酸/ガス)
L−アラビノース:−/−
D−グルコース:+/−
D−フラクトース:+/−
マルトース:−/−
ラクトース:−/−
D−ソルビトール:−/−
イノシトール:−/−
D−キシロース:+/−
D−マンノース:+/−
D−ガラクトース:+/−
サークロース:+/−
トレハロース:+W/−
D−マンニトール:+/−
グリセリン:+/−
30)発酵性試験
ブドウ糖:−
リボース:−
キシロース:−
マンニトール:−
マルトース:−
乳糖:−
白糖:−
グリコーゲン:−
30)主要メナキノン成分:MK−9(H2
31)菌体脂肪酸組成:
【0023】
【表1】

【0024】
なお、本発明のポリペプチドを生産する微生物は、上述した微生物の野生株であっても良いし、変異改良された変異株であってもよい。変異株は、UV照射や、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルフォネート(EMS)等の薬剤による処理といった当業者に周知の方法で取得することができる。
【0025】
本発明のポリペプチドを生産する微生物を培養する培地としては、その微生物が増殖し得るものである限り特に限定されない。例えば、炭素源として、グルコース、シュークロース等の糖質、エタノール、グリセロール等のアルコール類、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸及びそのエステル類、菜種油、大豆油等の油類、窒素源として、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸、コーンスティープリカー、ふすま、酵母エキスなど、無機塩類として、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムなど、他の栄養源として、麦芽エキス、肉エキス等を含有する通常の液体培地が使用され得る。
【0026】
更に、アミダーゼの生産を増強させるような物質、例えば、アミノ酸アミド、脂肪酸アミド等のアミド類、あるいはアミノ酸エステル、脂肪酸エステル等のエステル類を少量添加することもできる。これらアミダーゼ生産増強物質の培地中濃度は、0.001重量%以上、10重量%以下、好ましくは0.01重量%以上、1重量%以下の範囲から選ばれる。
【0027】
培養は通常、温度として10℃以上、60℃以下、好ましくは20℃以上、50℃以下の範囲、pHとしては3以上、11以下、好ましくはpH5以上、9以下の範囲で好気的に行い得る。培養時間は1日以上、5日間以下程度で行い得る。また、回分式、連続式のいずれの培養方法でもよい。
【0028】
培養終了後に培養液から遠心分離などにより菌体を集め、超音波破砕などの手段により菌体を破砕して粗酵素液を得る。この粗酵素液を、塩析法、カラムクロマトグラフィー法などにより精製することで、本発明のポリペプチドを得ることができる。
【0029】
本発明のポリペプチドは、上記のように微生物から取得される天然酵素であってもよいし、遺伝子組換え技術を利用して生産される組換え酵素であってもよい。天然酵素としては、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをあげることができる。
【0030】
また、本発明のポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アミダーゼ活性を有するポリペプチドであってもよい。
【0031】
「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、追加、挿入及び/又は置換されたアミノ酸配列」は、部分特異的突然変異誘発法など当業者に周知の方法により、アミノ酸を欠失、追加、挿入及び/又は置換することにより取得可能である。具体的には、Nucleic Acid Res. 10, 6487(1982)、Methods in Enzymology 100, 448(1983)等の文献に記載されている。
【0032】
また、「アミダーゼ活性を有するポリペプチド」とは、上記の活性測定条件において、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを用いた場合の10%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上の活性を示すポリペプチドのことをいう。
【0033】
次に、本発明のDNAについて説明する。本発明のDNAは上記のようなポリペプチドをコードするDNAであればよく、例えば、配列表の配列番号3で示される塩基配列からなるDNAを挙げることができる。
【0034】
また、配列表の配列番号3に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであっても良いし、配列番号3で示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、挿入、欠失および/または付加された塩基配列を有するDNAであっても良い。上記のアミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする限り、本発明のDNAの範疇に含まれる。
【0035】
ここで「配列表の配列番号3に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザンハイブリダイゼーション法等を実施した際に、配列表の配列番号3に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAと、特異的にハイブリッドを形成し得るDNAを言う。
【0036】
ここで、ストリンジェントな条件とは、例えば、75mMクエン酸三ナトリウム、750mM塩化ナトリウム、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、および、0.1%Ficoll 400(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)の組成からなる水溶液中、65℃でハイブリダイズさせた後に、15mMクエン酸三ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、および0.1%ドデシル硫酸ナトリウムの組成からなる水溶液を用いて、60℃で洗浄が行われる条件を言う。好ましくは、上記条件でハイブリダイズさせた後に、15mMクエン酸三ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、および0.1%ドデシル硫酸ナトリウムの組成からなる水溶液を用いて、65℃で洗浄が行われる条件であり、より好ましくは、1.5mMクエン酸三ナトリウム、15mM塩化ナトリウム、および0.1%ドデシル硫酸ナトリウムの組成からなる水溶液を用いて、65℃で洗浄が行われる条件である。
【0037】
また、「1若しくは数個の塩基が欠失、追加、挿入及び/又は置換された塩基配列」とは、蛋白核酸酵素増刊 遺伝子増幅PCR法 35(17),2951−3178(1990)又はHenry A.Erlich編 加藤郁之進鑑訳 PCRテクノロジー(1990)等に記載の当業者に周知の方法により欠失、追加、挿入及び/又は置換できる程度の数の塩基が欠失、追加、挿入及び/又は置換されてなる塩基配列を意味する。
【0038】
本発明のDNA(アミダーゼ遺伝子)は、前述したようなアミダーゼ活性を有する微生物から取得することができる。目的のDNAを取得するには、例えば以下の方法によることができる。
【0039】
まず、アミダーゼ活性を有する微生物より精製されたアミダーゼのN末端のアミノ酸配列を、気相プロテイン・シークエンサーなどで決定する。また、精製されたアミダーゼにリジルエンドペプチダーゼ等のプロテアーゼを作用させて適当な大きさのポリペプチドに消化した後、HPLC等を用いて得られたポリペプチドを精製し、上記と同様の方法に従って内部アミノ酸配列を決定する。このようにして得られたN末端アミノ酸配列及び内部アミノ酸配列にもとづいて設計したDNAプライマーを合成する。
【0040】
次に、アミダーゼの起源となる微生物より、染色体DNAを単離する。染色体のDNAは、培養された細胞を界面活性剤、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、クロロホルム、フェノール等で溶解、処理後、抽出されたDNAをイソプロパノールで析出し、遠心分離で得られた沈殿をエタノールで洗浄することで得られる(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)を参照)。
【0041】
この染色体DNAを鋳型に、上記のDNAプライマーを用いてPCRを行うことで、目的の遺伝子の一部を取得できる。
【0042】
次に、既に取得した部分遺伝子のさらにN末側とC末側をコードするDNA断片をインバースPCR法により取得することができる(例えば、Nucleic Acids Res.16,8186(1988)を参照)。このDNA断片の塩基配列を決定後、酵素のN末端よりも上流と推定される部分、及び、C末端より下流と推定される部分のそれぞれの塩基配列にもとづきDNAプライマーを作成する。このDNAプライマーを用いて、先に得た染色体DNAを鋳型としたPCRを行うことで目的アミダーゼ遺伝子の全長を含むDNA断片を取得できる。
【0043】
次いで、得られたアミダーゼ遺伝子を含むDNA断片をベクターDNAとT4 DNAリガーゼなどを用いて結合させることにより組換えプラスミドを得ることができる。このプラスミドを用いて、ベクターに挿入したアミダーゼ遺伝子を含むDNA断片部分の塩基配列を解析、アミダーゼ酵素のN末端アミノ酸配列及び内部アミノ酸配列をコードする塩基があることを確認し、また、これより翻訳開始部位と終止コドンを確認することでオープンリーディングフレームを決定する。
【0044】
このようにして取得したDNA、または該DNAをベクターに組み込んで得られる組換えプラスミドを用いることにより、宿主微生物を形質転換し形質転換体を得ることができる。
【0045】
宿主、ベクターとしては、「組換えDNA実験指針」(科学技術庁研究開発局ライフサイエンス課編:平成8年3月22日改定)に記載の宿主―ベクター系を用いることができる。例えば、宿主としては、エシェリヒア(Escherichia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、セラチア(Serratia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アセトバクター(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属またはストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物を用いることができる。
【0046】
ベクターは上記の宿主内で自律複製できる微生物由来のプラスミド、ファージまたはその誘導体が使用できる。なかでも、宿主微生物としてエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、ベクターとして当該微生物中で自律複製できるベクターを用いるのが好ましい。このようなベクターとしては、例えば、pUC18、pUC19、pBR322、pACYC184、pSC101、pT7Blue、又はpUCNTを挙げることができる。また、酵素の生産量を上昇させるために強力な構造プロモーターをもつように改質したベクターを使用することもできる。
【0047】
形質転換体の一例として、上記のようにして取得したDNAをpUCNT(WO94/03613参照)に組み込んだ組換えプラスミドpHA002を用いてエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101を形質転換し、形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101(pHA002)を得ることができる。
【0048】
本発明で得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli) HB101(pHA002)は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている(受託番号FERM BP−10193、原寄託日平成16年1月22日の国内寄託をブダペスト条約に基づく国際寄託に移管)。
【0049】
なお、本発明で用いた組換えDNA技術は当該分野において周知であり、例えば、Molecular Cloning 2nd Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology (Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)に記載されている。
【0050】
本発明のアミダーゼを生産しうる微生物(アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J若しくはその変異株、上記形質転換体等)を培養することにより当該酵素を大量に生産することができ、D−アミノ酸の製造に利用することができる。
【0051】
微生物の培養は、通常の培地を用いて行えば良い。培養に使用する培地としては、炭素源、窒素源および無機塩類などの栄養素を含む通常の培地で良い。これに、ビタミン、アミノ酸などの有機微量栄養素を添加すると、好ましい結果が得られる場合が多い。炭素源としては、グルコースやシュークロースのような炭水化物、酢酸のような有機酸、アルコール類などが適宜使用される。窒素源としては、アンモニウム塩、アンモニア水、アンモニアガス、尿素、酵母エキス、ペプトン、コーンス・ティープ・リカーなどが用いられる。無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、鉄塩、硫酸塩、塩素などが用いられる。
【0052】
培養は温度範囲25℃から40℃で行えるが、25℃から37℃が特に好ましい。また、pHは4から8で培養できるが5から7.5が好ましい。また、回分式、連続式のいずれの培養方法でもよい。
【0053】
必要に応じてイソプロピル−1−チオ−β―D−ガラクトサイド(IPTG)、ラクトース等の添加等の酵素誘導のための処理を行うこともできる。
【0054】
本発明のアミダーゼをアミノ酸アミドまたはアミノ酸エステルの立体選択的加水分解に利用するにあたっては、上記のようにして得られた培養物(培養液、微生物菌体)をそのまま作用させても良いし、培養物からアミダーゼを単離・精製して使用しても良い。
【実施例】
【0055】
以下に本発明の具体的な実施例を示す。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0056】
(実施例1)アミダーゼの単離・精製
アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株(受託番号FERM BP−10192)を、試験管内で滅菌した6mlの培地A(肉エキス10g、イーストエキス5g、ポリペプトン10g、塩化ナトリウム3g、脱イオン水にて1lにメスアップ、滅菌前pH6.5)に植菌して30℃で24時間、好気的に振とう培養した。この培養液2mlをフラスコ内で滅菌した200mlの培地Aに植菌して30℃で48時間、好気的に振とう培養した。培養終了後、遠心分離で菌体を集菌して、1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)に菌体を懸濁後、超音波により菌体を破砕し、これを遠心分離した。上清に45%飽和濃度となるよう硫酸アンモニウムを添加し、生じた沈殿を遠心分離で取得した。この画分を1mMのDTTを含む50mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、同緩衝液で透析後、DEAE−TOYOPEAL(東ソー社製)にアプライしてカラムクロマトグラフィーを行い、同緩衝液で洗浄後、同緩衝液で0Mから0.5Mの塩化ナトリウムの濃度勾配をかけて溶出し、活性のあるフラクションを集めた。この活性画分に終濃度0.8Mとなるように硫酸アンモニウムを溶解した後、Phenyl−TOYOPEAL(東ソー社製)にアプライしてカラムクロマトグラフィーを行い、1mMのDTTを含む50mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)で0.8Mから0Mの硫酸アンモニウムの濃度勾配をかけて溶出した。得られた活性画分を、MonoQ HR5/5(アマシャムファルマシアバイオテック社製)にアプライしてカラムクロマトグラフィーを行い、1mMのDTTを含む50mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄後、同緩衝液で0Mから0.5Mの塩化ナトリウムの濃度勾配をかけて溶出した。得られた活性画分を限外濾過膜(分画分子量10,000)を用いて濃縮した後、Superdex 200 HR 10/30(アマシャムファルマシアバイオテック社製)にアプライしてFPLCによるゲルろ過を行い、1mMのDTT及び0.15Mの塩化ナトリウムを含む50mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)で溶出した。得られた活性画分をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動によって分析したところ、アミダーゼは単一バンドとして検出され、精製酵素の純粋性が確認できた。
【0057】
(実施例2)アミダーゼを用いたアミノ酸アミドの加水分解
実施例1で得られた精製アミダーゼ活性画分0.1mlを、表2に示す化合物を0.5%含む0.2M Tris−塩酸緩衝液(pH8.5)0.1mlと混合し、30℃にて15時間振とうした。反応終了後、遠心分離にて固形物を除去し、高速液体クロマトグラフィーにて生成したアミノ酸の収率及び光学純度を分析した結果を表2に示す。

高速液体クロマトグラフィー分析条件
[アミノ酸の収率分析]
カラム:COSMOSIL 5C18−AR(4.6mmφ×250mm、ナカライテスク社製)、溶離液:10mM燐酸カリウム緩衝液(pH2)/アセトニトリル=19/1、流速:0.5ml/分、カラム温度:40℃、測定波長:210nm
[アミノ酸の光学純度分析]
カラム:SUMICHIRAL OA−5000(4.6mmφ×150mm、住化分析センター社製)、溶離液:2mM硫酸銅/アセトニトリル=85/15、流速:0.8ml/分、カラム温度:40℃、測定波長:254nm
【0058】
【表2】

【0059】
(実施例3)精製アミダーゼを用いたアミノ酸エステルの加水分解
実施例1で得られた精製アミダーゼ活性画分0.1mlを、0.5%濃度のラセミ体フェニルアラニンエチルエステルを含む0.2M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸−NaOH緩衝液(pH6.5)0.1mlと混合し、30℃にて15時間振とうした。反応終了後、遠心分離にて固形物を除去し、実施例2と同様の方法で生成したアミノ酸を分析したところ、D体フェニルアラニンが収率29.7mol%、光学純度72.8%eeで得られた。
【0060】
(実施例4)アミダーゼ遺伝子の単離
まず、実施例1と同様の方法でアースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J株を培養して得た菌体を、CTAB、クロロホルム、フェノールを用いて溶解、処理後、抽出されたDNAをイソプロパノールで析出し、遠心分離で得られた沈殿をエタノールで洗浄することにより染色体DNAを調製した。(Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)を参照。)次いで、実施例1で精製したアミダーゼのアミノ末端のアミノ酸配列を気相プロテイン・シークエンサーを用いて決定した。さらに、実施例1で精製したアミダーゼにリジルエンドペプチダーゼを4Mの尿素の存在下作用させて生成したポリペプチド断片を逆相HPLCを用いて精製した後、上記と同様の方法でアミダーゼの内部アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸配列にもとづいて設計したDNAプライマー(Primer−1:配列表の配列番号4)と、内部アミノ酸配列にもとづいて設計したDNAプライマー(Primer−2:配列表の配列番号5)を用いて、先に得た染色体DNAを鋳型にPCRを行った。この結果、目的のアミダーゼ遺伝子の一部(部分遺伝子と称す)を取得した。
【0061】
次に、目的遺伝子の全長を取得するために以下の操作を行った。上記部分遺伝子において、酵素のN末端側、C末端側それぞれの部分に相当する塩基配列にもとづき、部分遺伝子の外側方向へ向けたDNAプライマー(Primer−3:配列表の配列番号6、及び、Primer−4:配列表の配列番号7)を合成した。このプライマーを用い、先に得た染色体DNAを制限酵素SacII、PvuI、SalI、XhoIで分解したもの断片をT4 DNAリガーゼを用いて環化させて得たDNAを鋳型に、インバースPCRを行った。これにより、既に取得した部分遺伝子のさらに外側の遺伝子部分を含むDNA断片を取得した。このDNA断片の塩基配列を決定後、酵素のN末端よりも上流と推定される部分の塩基配列に制限酵素BamHIの切断部位を結合させた配列をもつDNAプライマー(Primer−5:配列表の配列番号8)と、C末端より下流と推定される部分の塩基配列に制限酵素SacI切断部位を結合させた配列をもつDNAプライマー(Primer−6:配列表の配列番号9)を調製した。このDNAプライマーを用いて、この配列の間のDNAをPCRにより増幅することでアミダーゼ遺伝子の全長を含むDNA断片(配列表の配列番号2)を取得した。得られたDNA断片の一部の塩基配列を解析し、アミダーゼ遺伝子の全長(配列表の配列番号3)が含まれていることを確認した。
【0062】
(実施例5)アミダーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドの作成と遺伝子の解析
実施例4で得られたアミダーゼ遺伝子全長を含むDNA断片と、制限酵素EcoRVで切断したベクタープラスミドpT7BlueをT4 DNAリガーゼを用いて結合することで、図1の制限酵素地図で表され、アミダーゼ遺伝子を含むプラスミドpHA001を取得した。
【0063】
取得したプラスミドpHA001を用いて、実施例4で得られたDNA断片の塩基配列を解析した。この結果、精製したアミダーゼを用いて決定したN末端アミノ酸配列及び内部アミノ酸配列をコードする塩基があることを確認した。また、翻訳開始部位と終止コドンを確認し、オープンリーディングフレームを決定した。このようにして得られた、アミダーゼ遺伝子全長を含むDNA断片の塩基配列を配列表の配列番号2に、オープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号3に、塩基配列より推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示した。
【0064】
(実施例6)アミダーゼ遺伝子を大量発現する組換えプラスミドの作成
実施例5で得られたアミダーゼ遺伝子のN末端、C末端部分にそれぞれ制限酵素NdeI及びSacIの切断部位を結合させた配列を持つプライマー(Primer−7:配列表の配列番号10、Primer−8:配列表の配列番号11)を用いて、この間のDNAをPCRにより増幅することで配列表の配列番号3に示されるオープンリーディングフレームのDNA断片を取得した。
【0065】
このDNA断片を制限酵素NdeIとSacIで切断し、同酵素で切断したベクタープラスミドpUCNT(WO94/03613参照)とT4 DNAリガーゼを用いて結合することで、図2の制限酵素地図で表され、アミダーゼ遺伝子をpHA001よりも多く発現できるように設計されたpHA002を取得した。
【0066】
(実施例7)アミダーゼ遺伝子を含む組換え体DNAを用いた形質転換体の作成
実施例6で得られたプラスミドpHA002をエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101のコンピテントセルと混合することで形質転換を行い、寒天培地B(トリプトン10g、イーストエキス5g、塩化ナトリウム10g、寒天15g、アンピシリン100mg、脱イオン水にて1lにメスアップ、滅菌前pH7.0、ただしアンピシリンは滅菌後に添加する)にプレーティングして、アミダーゼ遺伝子を含む組換え体DNAを含有する形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101(pHA002)をコロニーとして取得した。
【0067】
得られた形質転換体のコロニーを、試験管内にて滅菌した6mlの培地C(トリプトン10g、イーストエキス5g、塩化ナトリウム10g、アンピシリン100mg、脱イオン水にて1lにメスアップ、滅菌前pH7.0、ただしアンピシリンは滅菌後に添加する)に植菌後、37℃で24時間、振とうして好気的に培養した。得られた培養液から遠心分離により菌体を集菌し、1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁して超音波により菌体を破砕した後、遠心分離により菌体由来の不溶物を除去して、形質転換体のアミダーゼ酵素液を取得した。得られた酵素液0.1mlを、50mMのD体フェニルアラニンアミド塩酸塩を含む0.2M Tris−塩酸緩衝液(pH8.5)0.1mlと混合し、30℃で15時間反応を行ったところ、D体フェニルアラニンの生成が認められ、形質転換体にアミダーゼ活性があることが確認された。
【0068】
なお、得られた形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli) HB101(pHA002)は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている(受託番号FERM BP−10193、原寄託日平成16年1月22日の国内寄託をブダペスト条約に基づく国際寄託に移管)。
【0069】
(実施例8)組換え菌を用いたアミノ酸エステルの加水分解
実施例7で得られたエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101(pHA002)の培養液0.1mlを、1%濃度のラセミ体フェニルアラニンエチルエステルを含む0.2M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸−NaOH緩衝液(pH6.5)0.1mlと混合し、30℃にて15時間振とうした。反応終了後、遠心分離にて固形物を除去し、実施例2と同様の方法で生成したアミノ酸を分析したところ、D体フェニルアラニンが収率34.7mol%、光学純度53.6%eeで得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)又は(b)のポリペプチド:
(a)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、挿入、欠失および/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつアミダーゼ活性を有するポリペプチド。
【請求項2】
アースロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物に由来する請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
微生物がアースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J(FERM BP−10192)である請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
【請求項5】
以下の(c)〜(e)のいずれかのDNA:
(c)配列表の配列番号3に示す塩基配列からなるDNA、
(d)配列表の配列番号3に示す塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(e)配列表の配列番号3に示される塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、挿入、欠失および/または付加された塩基配列を有し、かつアミダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のいずれかのDNAがベクターに挿入された組換えプラスミド。
【請求項7】
ベクターがpUC18、pUC19、pBR322、pACYC184、pSC101、pT7Blue、又はpUCNTである請求項6記載の組換えプラスミド。
【請求項8】
組換えプラスミドが図2の制限酵素地図にて特定されるpHA002である請求項6又は7に記載の組換えプラスミド。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の組換えプラスミドで宿主微生物を形質転換して得られる形質転換体。
【請求項10】
宿主微生物がエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)である請求項9に記載の形質転換体。
【請求項11】
形質転換体がエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101(pHA002)(FERM BP−10193)である請求項9に記載の形質転換体。
【請求項12】
請求項1記載のポリペプチドを生産する能力を有し、かつ、アースロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物。
【請求項13】
アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK1101J(FERM BP−10192)、又は、その変異株である請求項12記載の微生物。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培養し、培養物中に当該ポリペプチドを蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするアミダーゼの製造方法。
【請求項15】
微生物が請求項9〜11のいずれかに記載の形質転換体である、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
微生物が、請求項12又は13記載の微生物である請求項14記載の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/075650
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517649(P2005−517649)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000951
【国際出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】