説明

アミドの水素化により2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法

一般式(IV)の化合物を還元して一般式(III)の対応する2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体とする2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体の調製方法が開示されている。ここで、基Aは、明細書中に記載されている意味を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体から出発して2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法に関する。本発明は、さらに、本発明によるこの調製方法において出発化合物として使用される2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体、それらの調製及び2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製するためのそれらの使用も提供する。
【背景技術】
【0002】
2,2−ジフルオロエチルアミン類の誘導体は、農薬活性成分を調製するための重要な中間体である。例えば、殺虫活性を有するエナミノカルボニル化合物(例えば、4−アミノブト−2−エノリド化合物)の合成において、適切な2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を使用することができる。2,2−ジフルオロエチルアミノ単位を含んでいるエナミノカルボニル化合物は、例えば、国際特許出願WO 2007/115644及び国際特許出願WO 2007/115646から知られている。
【0003】
WO 2007/115644は、2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体〔例えば、下記式(IIIa)の化合物〕が、式(Ia)のアミンを式(IIa)の置換されていてもよいクロロメチルピリジンでアルキル化することにより調製され得るということを開示している(WO 2007/115644のスキーム1; cf. 出発化合物の調製;式(III)の化合物;III−1:N−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロエチル−1−アミン)。
【0004】
【化1】

【0005】
この調製方法の不利点は、53%という低い収率であり、これは、窒素原子がポリアルキル化され得ることに起因している。このポリアルキル化の割合は、大過剰量のアミンを使用することによってのみ低減させることが可能であるが、これは、高価なアミンの場合には非経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/115644号
【特許文献2】国際公開第2007/115646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術から先へ進んで、本発明の目的は、2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製するための好ましくは実施するのが容易で且つ安価である方法を提供することである。この望ましい調製方法によって得ることが可能な2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は、好ましくは、高収率且つ高純度で得られるべきである。より特定的には、この望ましい調製方法は、所望される目標化合物を複雑な精製方法を必要とすることなく得ることができるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法によって達成される。
【0009】
本発明の調製方法は、下記スキーム2に従って、一般式(IV)の2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体を還元して一般式(III)の対応する目標化合物とすることを特徴としている。
【0010】
【化2】

【0011】
かくして、本発明は、一般式(III)の所望の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体が、一般式(IV)の対応する2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体を還元することによって調製されるということを構想している。一般式(III)の所望の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は、下記において詳述されている本発明の反応条件及び好ましい反応条件のもとで、良好な収率及び高い純度で得られる。その結果として、本発明の調製方法は、上記で記載した不利点を克服する。所望される化合物は、直接得られた反応生成物の広範囲に及ぶ後処理を一般に必要としないような純度で得られる。スキーム1に従ってアミンから出発してアルキル化する従来技術から知られている調製方法と比較して、本発明の調製方法によって収率は改善され得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関連して、「誘導体」は、当該有機基礎構造(構成単位)から誘導された類似構造を意味する。即ち、2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は、例えば、2,2−ジフルオロエチルアミン単位を含んでいる化合物を意味するものと理解される。
【0013】
上記一般式(III)及び一般式(IV)において、基Aは、以下のように定義される:
・ ピリド−2−イル若しくはピリド−4−イル、又は、ピリド−3−イル(6位がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよい。)、又は、ピリダジン−3−イル(6位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。)、又は、ピラジン−3−イル、又は、2−クロロピラジン−5−イル、又は、1,3−チアゾール−5−イル(2位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。);
又は、
・ ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾリル又は1,2,5−チアジアゾリル[フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)、C−C−アルキルチオ(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)又はC−C−アルキルスルホニル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい];
又は、

【0014】
【化3】

[ここで、
Xは、ハロゲン、アルキル又はハロアルキルであり;
Yは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アジド又はシアノである]。
【0015】
上記一般式(III)及び一般式(IV)の中に示されている基Aの好ましい定義、特に好ましい定義及び特に極めて好ましい定義について、以下で説明する。
【0016】
Aは、好ましくは、6−フルオロピリド−3−イル、6−クロロピリド−3−イル、6−ブロモピリド−3−イル、6−メチルピリド−3−イル、6−トリフルオロメチルピリド−3−イル、6−トリフルオロメトキシピリド−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、6−メチル−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル、2−クロロピリミジン−5−イル、2−トリフルオロメチルピリミジン−5−イル、5,6−ジフルオロピリド−3−イル、5−クロロ−6−フルオロピリド−3−イル、5−ブロモ−6−フルオロピリド−3−イル、5−ヨード−6−フルオロピリド−3−イル、5−フルオロ−6−クロロピリド−3−イル、5,6−ジクロロピリド−3−イル、5−ブロモ−6−クロロピリド−3−イル、5−ヨード−6−クロロピリド−3−イル、5−フルオロ−6−ブロモピリド−3−イル、5−クロロ−6−ブロモピリド−3−イル、5,6−ジブロモピリド−3−イル、5−フルオロ−6−ヨードピリド−3−イル、5−クロロ−6−ヨードピリド−3−イル、5−ブロモ−6−ヨードピリド−3−イル、5−メチル−6−フルオロピリド−3−イル、5−メチル−6−クロロピリド−3−イル、5−メチル−6−ブロモピリド−3−イル、5−メチル−6−ヨードピリド−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−フルオロピリド−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−クロロピリド−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−ブロモピリド−3−イル及び5−ジフルオロメチル−6−ヨードピリド−3−イルからなる群から選択される。
【0017】
Aは、さらに好ましくは、6−フルオロピリド−3−イル、6−クロロピリド−3−イル、6−ブロモピリド−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、2−クロロピリミジン−5−イル、5−フルオロ−6−クロロピリド−3−イル、5,6−ジクロロピリド−3−イル、5−ブロモ−6−クロロピリド−3−イル、5−フルオロ−6−ブロモピリド−3−イル、5−クロロ−6−ブロモピリド−3−イル、5,6−ジブロモピリド−3−イル、5−メチル−6−クロロピリド−3−イル、5−クロロ−6−ヨードピリド−3−イル及び5−ジフルオロメチル−6−クロロピリド−3−イルからなる群から選択される。
【0018】
Aは、最も好ましくは、6−クロロピリド−3−イル、6−ブロモピリド−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、5−フルオロ−6−クロロピリド−3−イル及び5−フルオロ−6−ブロモピリド−3−イルからなる群から選択される。
【0019】
本発明に関連して、用語「アルキル」は、単独であっても又はさらなる用語と組み合わされていても(例えば、ハロアルキル)、分枝鎖又は非分枝鎖であり得る1から12個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基を意味するものと理解される。C−C12−アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル及びn−ドデシルである。これらのアルキル基の中で、C−C−アルキル基が特に好ましい。C−C−アルキル基がとりわけ好ましい。
【0020】
本発明によれば、用語「アリール」は、6から14個の炭素原子を有する芳香族基(好ましくは、フェニル)を意味するものと理解される。
【0021】
用語「アリールアルキル」は、本発明に従って定義されている「アリール」と「アルキル」の組合せ(一般に、該アルキル基を介して結合している)を意味するものと理解される。それらの例は、ベンジル、フェニルエチル又はα−メチルベンジルであり、ベンジルが特に好ましい。
【0022】
本発明に関連して、ハロゲン置換基(例えば、ハロアルキル)は、1回以上で最大で置換基の可能な最大の数までハロゲン化されている基を意味するものと理解される。ポリハロゲン化の場合、当該ハロゲン原子は、同一であっても又は異なっていてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表し、特に、フッ素、塩素又は臭素を表す。
【0023】
用語「アルコキシ」は、単独であっても又はさらなる用語と組み合わされていても(例えば、ハロアルコキシ)、本発明に関連して、O−アルキル基〔ここで、用語「アルキル」は、上記で定義されているとおりである。〕を意味するものと理解される。
【0024】
置換されていてもよい基は、1置換又は多置換されることが可能であり、ここで、多置換の場合は、当該置換基は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0025】
一般式(IV)の2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体は、当業者にそれら自体知られている還元剤で還元して、一般式(III)の対応するアミンとすることができる。例えば、当該還元は、
・ 錯体水素化物を用いて;
・ 非錯体金属水素化物又は非錯体半金属水素化物を用いて;
・ 一般式
【0026】
【化4】

〔式中、Rは、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール又は塩素である。〕
のケイ素化合物の水素化物を用いて;
又は、
・ 接触水素化によって;
実施することが可能である。
【0027】
錯体水素化物は、一般に、少なくとも1の水素化物配位子を含んでいる荷電金属錯体を意味するものと理解される。それらの例は、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、LiAlH(O−tert−ブチル)、LiAlH(O−メチル)、NaAlEtなどである。非錯体金属水素化物又は非錯体半金属水素化物の例は、ボラン類、例えば、BH、9−BBN(9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)及びジシアミルボラン(disiamylborane)、AlH、DIBAL−H(AlH(イソブチル))などである。
【0028】
ボラン(BH)は、ガス状形態(ジボランBとして)で使用し得るか、又は、溶液状態(例えば、BH錯体の形態、例えば、BH・THF又はBH・MeS又はBH・ピリジンなどの形態にあるエーテラートとして)で使用し得る。ボロヒドリドを使用する場合、それらは、その場で得ることも可能である。例えば、ボロヒドリド類は、水素化物のホウ素塩(hydridic boron salt)(例えば、LiBH、NaBH又はKBH)をルイス酸又はブレンステッド酸又はハロゲン(例えば、ヨウ素、臭素又は塩素)と反応させることによってその場で得ることができる。
【0029】
適切なルイス酸の例は、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム又はハロゲン化鉄である。
【0030】
適切なブレンステッド酸の例は、HSO、HCl又はリン酸である。同様に、該ボロヒドリド類は、ハロゲン化ホウ素(例えば、BF、BCl又はBBr)を錯体水素化物(例えば、NaH又はLiAlH)と反応させることによって得ることができる。
【0031】
この場合に最初に形成されるアミン−ボラン錯体は、適切な酸を添加するか又は適切な塩基を添加することによって、遊離アミンに変換することができる。適切な酸は、例えば、水性塩酸、硫酸及びリン酸であり得る。適切な塩基は、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液及び水性アンモニアである。使用する該酸又は塩基は、過剰に使用する。1.5から2当量の量が好ましい。温度は広い範囲内で変えることができる。0℃から40℃の温度が好ましい。アミンを遊離している間、そのpHは、0から14の間で変えることができる。酸性切断の場合、5から2のpHが好ましい。塩基性切断の場合、8から12のpHが好ましい。
【0032】
水素化ケイ素を用いて還元する場合、例えば、貴金属触媒(例えば、ロジウム塩又は貴金属錯体など)を使用することが可能である。相当する手順は、「Tetrahedron Letters, 39(1998), 第1017から1020頁」に記載されている。
【0033】
一般式(IV)の化合物を還元するのに接触水素化を用いる場合、使用する触媒は、任意の水素化触媒であり得る。有用な触媒の例としては、パラジウム触媒、白金触媒、ラネーニッケル触媒、リンドラー触媒及びロジウム触媒などがある。しかしながら、これらの不均一系触媒に加えて、水素化を均一系触媒上で、例えば、ウィルキンソン触媒上で実施することも可能である。
【0034】
該接触水素化は、オートクレーブ内で減圧下に実施することができるか、又は、標準圧力下で水素ガス雰囲気内で実施することができる。該水素ガス雰囲気には、さらに、アルゴン又は窒素などの不活性ガスも含ませることができる。
【0035】
一般に、本発明による調製方法は溶媒(希釈剤)の存在下で実施するのが有利である。溶媒は、有利には、その還元プロセス全体にわたって当該反応混合物が効果的に撹拌可能な状態のままであるような量で使用する。本発明の調製方法を実施するのに有用な溶媒には、当該反応条件下において不活性な全ての有機溶媒が包含されるが、ここで、使用する溶媒のタイプは、当該還元を実施する方法に依存し、即ち、より特定的には、還元剤の種類に依存する。
【0036】
例としては、以下のものを挙げることができる:ハロ炭化水素類、特に、クロロ炭化水素類、例えば、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼン;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール;エーテル類、例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルn−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロジエチルエーテル並びにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのポリエーテル類;アミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、アルキル化ピリジン及びテトラメチレンジアミン;テトラヒドロチオフェンジオキシドなどの化合物、並びに、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジイソアミルスルホキシド;スルホン類、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジヘキシルスルホン、メチルエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン及びペンタメチレンスルホン;脂肪族、シクロ脂肪族又は芳香族の炭化水素類、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及び工業用炭化水素類(これらは、フッ素原子及び塩素原子で置換されていてもよい、例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、フルオロベンゼン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン);例えば、いわゆる、ホワイトスピリット、例えば、40℃から250℃の範囲内の沸点を有する成分を含んでいるホワイトスピリット、シメン、70℃から190℃の沸点範囲内にある石油留分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、キシレン;エステル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、及び、炭酸ジメチル、炭酸ジブチル又は炭酸エチレン。
【0037】
上記溶媒の中で、THF又はTHF/トルエン混合物が好ましい。
【0038】
使用する溶媒の量は、広い範囲内で変えることができる。一般に、いずれの場合にも使用する一般式(IV)の置換2,2−ジフルオロアセトアミドに基づいて、1から50倍の範囲の量の溶媒、さらに好ましくは、2から40倍の範囲の量の溶媒、特に、2から30倍の範囲の量の溶媒を使用する。
【0039】
本発明による調製方法のさらなる実施形態では、反応体として使用する一般式(IV)の2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体の溶融物の中で溶媒を使用せずに実施することも可能である。
【0040】
該還元は、一般に、当該カルボニル基は還元されてCH基となるがその分子内に存在している残りの官能基は全て未変化のままの状態にあるような反応条件(圧力、温度、化学量論など)のもとで行う。
【0041】
錯体水素化物を用いて還元するための好ましい反応温度は、−20℃から100℃までに及び、0℃から30℃の温度が好ましい。該還元は、標準圧力で行うことが可能であるか、又は、高圧力から200barまでの圧力下で行うことが可能である。特に、高い反応温度では、オートクレーブ内で高圧で実施することも有用であり得る。窒素又はアルゴンなどの付加的な不活性ガスを用いてさらに圧力を上昇させることも可能である。
【0042】
本発明による調製方法の好ましい実施形態では、該水素化は、標準圧力下室温で行う。
【0043】
使用する還元剤は、いずれの場合にも使用する一般式(IV)の2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体に基づいて、一般に、1.1倍から5倍モル過剰で、さらに好ましくは、1.3倍から4倍モル過剰で、特に、1.5倍から3倍モル過剰で使用する。
【0044】
該水素化の反応時間は、一般に、30分間から24時間であるが、反応時間をそれより長くしても有利な効果は得られない。
【0045】
触媒を使用する場合、それら触媒の量は、使用する一般式(IV)の置換2,2−ジフルオロアセトアミドに基づいて、0.01重量%から10重量%まで変えることができる。
【0046】
後処理及び精製は、遊離アミンを介して、アミン−ボラン錯体を介して、又は、アミンの塩を介して、行うことができる。該遊離アミンは、好ましくは、抽出とそれに続く蒸留によって単離する。アミン塩の場合、例えば、有機酸又は無機酸の塩の場合は、精製は、好ましくは、結晶化によって行う。好ましい塩は、例えば、塩酸塩又は酢酸塩である。水溶性塩は、当該水溶液を抽出することによって精製することができる。次いで、最後に、有機塩基又は無機塩基と反応させることによって、当該アミンをその塩から遊離させることができる。好ましい塩基は、NaHCO、NaCO又はNaOHである。
【0047】
本発明は、さらに、上記調製方法において開示されているように、一般式(III)の化合物を調製するための一般式(IV)の化合物の使用にも関する。
【0048】
本発明による反応に必要とされる一般式(IV)の化合物は、一般式(VI)
【0049】
【化5】

〔式中、Rは、ハロゲン、O−アルキル、O−アルキルアリール又はアリールである。〕
の化合物を一般式(VII)
【0050】
【化6】

〔式中、Aは、上記で定義されているとおりである。〕
のアミンと反応させて一般式(IV)
【0051】
【化7】

の化合物を生成させることによって得ることができる。
【0052】
この反応に必要な一般式(VI)の化合物は、市販されているか、又は、文献に記載されている方法で調製することができる(Journal of Fluorine Chemistry, 31(4), 363−79, 1986;EP 0694523A;日本公開特許公報第11−343267号)。
【0053】
一般式(VI)の化合物において、Rは、一般に、ハロゲン、O−アルキル又はO−アリールアルキルである。Rは、好ましくは、Cl、F、O−C−C−アルキルであり、さらに好ましくは、OEt、OMe又はClである。
【0054】
一般式(IV)の化合物への変換に必要な一般式(VII)のアミンは、市販されているか、又は、文献に記載されている方法で調製することができる(cf, 例えば、S.Patai ”The Chemistry of Amino Group”, Interscience Publishers, New York, 1968)。
【0055】
一般式(IV)の化合物を調製するための該反応は、一般に、一般式(VI)のジフルオロ酢酸誘導体を最初に入れ、次いで、一般式(VII)の対応するアミンと反応させるような方法で、実施する。該反応は、一般に、0から150℃の温度(特に、20から130℃の温度、とりわけ、20から110℃の温度)で実施することができる。特に好ましい実施形態では、一般式(IV)の化合物をもたらす上記反応は、溶媒を添加しないで実施する。即ち、一般式(VI)のジフルオロ酢酸誘導体を最初に入れ、同時に、それを溶媒として使用する。
【0056】
この反応で形成される化合物HR〔例えば、使用する一般式(VI)の化合物がエチルエステルである場合は、EtOH〕は、例えば蒸留によって、粗製生成物から容易に除去することができる。
【0057】
一般式(IV)のアミドを調製するための上記反応は、さらに、溶媒(希釈剤)の存在下で実施することもできる。このプロセス段階においても、溶媒は、好ましくは、そのプロセス全体にわたって当該反応混合物が効果的に撹拌可能な状態のままであるような量で使用する。一般式(VI)の2,2−ジフルオロアミド誘導体を調製するための本発明による調製方法を実施するのに有用な溶媒には、当該反応条件下において不活性な全ての有機溶媒が包含される。
【0058】
例としては、以下のものを挙げることができる:ハロ炭化水素類、特に、クロロ炭化水素類、例えば、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼン;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール;エーテル類、例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルn−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロジエチルエーテル並びにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのポリエーテル類;アミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、アルキル化ピリジン及びテトラメチレンジアミン;ニトロ炭化水素類、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン、クロロニトロベンゼン、o−ニトロトルエン;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、メチルニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、フェニルニトリル、m−クロロベンゾニトリル、及び、テトラヒドロチオフェンジオキシドなどの化合物、並びに、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジイソアミルスルホキシド;スルホン類、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジヘキシルスルホン、メチルエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン及びペンタメチレンスルホン;脂肪族、シクロ脂肪族又は芳香族の炭化水素類、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及び工業用炭化水素類(これらは、フッ素原子及び塩素原子で置換されていてもよい、例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、フルオロベンゼン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン);例えば、いわゆる、ホワイトスピリット、例えば、40℃から250℃の範囲内の沸点を有する成分を含んでいるホワイトスピリット、シメン、70℃から190℃の沸点範囲内にある石油留分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン;エステル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、及び、炭酸ジメチル、炭酸ジブチル又は炭酸エチレン;アミド類、例えば、ヘキサメチレンホスホルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジプロピルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N−メチルピロリジン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジン、オクチルピロリドン、オクチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン、N−ホルミルピペリジン、N,N’−1,4−ジホルミルピペラジン;ケトン類、例えば、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン。上記溶媒の中で、トルエンが特に好ましい。
【0059】
本発明は、さらに、一般式(III)の目標化合物の調製において中間体として使用される一般式(IV):
【0060】
【化8】

の化合物も提供する。
【0061】
これらの中間体において、置換基Aは、一般に、以下のように定義される:
・ ピリド−2−イル若しくはピリド−4−イル、又は、ピリド−3−イル(6位がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよい。)、又は、ピリダジン−3−イル(6位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。)、又は、ピラジン−3−イル、又は、2−クロロピラジン−5−イル、又は、1,3−チアゾール−5−イル(2位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。);
又は、
・ ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾリル又は1,2,5−チアジアゾリル[フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)、C−C−アルキルチオ(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)又はC−C−アルキルスルホニル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい];
又は、
【0062】
【化9】

[ここで、
Xは、ハロゲン、アルキル又はハロアルキルであり;
Yは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アジド又はシアノである]。
【0063】
上記一般式(III)及び一般式(IV)の中に示されているA基の好ましい、特に好ましい及び特に極めて好ましい置換基又は範囲について、以下で説明する。
【0064】
Aは、好ましくは、6−フルオロピリド−3−イル、6−クロロピリド−3−イル、6−ブロモピリド−3−イル、6−メチルピリド−3−イル、6−トリフルオロメチルピリド−3−イル、6−トリフルオロメトキシピリド−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、6−メチル−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル、2−クロロピリミジン−5−イル、2−トリフルオロメチルピリミジン−5−イル、5,6−ジフルオロピリド−3−イル、5−クロロ−6−フルオロピリド−3−イル、5−ブロモ−6−フルオロピリド−3−イル、5−ヨード−6−フルオロピリド−3−イル、5−フルオロ−6−クロロピリド−3−イル、5,6−ジクロロピリド−3−イル、5−ブロモ−6−クロロピリド−3−イル、5−ヨード−6−クロロピリド−3−イル、5−フルオロ−6−ブロモピリド−3−イル、5−クロロ−6−ブロモピリド−3−イル、5,6−ジブロモピリド−3−イル、5−フルオロ−6−ヨードピリド−3−イル、5−クロロ−6−ヨードピリド−3−イル、5−ブロモ−6−ヨードピリド−3−イル、5−メチル−6−フルオロピリド−3−イル、5−メチル−6−クロロピリド−3−イル、5−メチル−6−ブロモピリド−3−イル、5−メチル−6−ヨードピリド−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−フルオロピリド−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−クロロピリド−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−ブロモピリド−3−イル及び5−ジフルオロメチル−6−ヨードピリド−3−イルからなる群から選択される。
【0065】
Aは、さらに好ましくは、6−フルオロピリド−3−イル、6−クロロピリド−3−イル、6−ブロモピリド−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、2−クロロピリミジン−5−イル、5−フルオロ−6−クロロピリド−3−イル、5,6−ジクロロピリド−3−イル、5−ブロモ−6−クロロピリド−3−イル、5−フルオロ−6−ブロモピリド−3−イル、5−クロロ−6−ブロモピリド−3−イル、5,6−ジブロモピリド−3−イル、5−メチル−6−クロロピリド−3−イル、5−クロロ−6−ヨードピリド−3−イル及び5−ジフルオロメチル−6−クロロピリド−3−イルからなる群から選択される。
【0066】
Aは、最も好ましくは、6−クロロピリド−3−イル、6−ブロモピリド−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、5−フルオロ−6−クロロピリド−3−イル及び5−フルオロ−6−ブロモピリド−3−イルからなる群から選択される。
【0067】
一般式(IV)の化合物は、一般式(IV)の2,2−ジフルオロアミド誘導体を調製するための反応体として使用することができる。
【0068】
本発明の調製方法によって得られる一般式(III)の化合物から出発して、、殺虫活性を有するエナミノカルボニル化合物(ここで、該エナミノカルボニル化合物は、2,2−ジフルオロエチルアミノ単位を含んでおり、そして、例えば、国際特許出願WO 2007/115644及び国際特許出願WO 2007/115646に記載されている)を調製することが可能である。
【0069】
この目的のために、一般式(III)
【0070】
【化10】

の化合物を、例えばテトロン酸又はその誘導体と反応させることにより、第2級アミン窒素においてアルキル化することができる。対応する反応は、WO 2007/115644のスキーム1において詳細に記載されており、殺虫活性エナミノカルボニル化合物を直接もたらす。
【0071】
以下の実施例によって本発明について詳細に説明するが、該実施例は、限定的に解釈されるべきではない。
【実施例】
【0072】
調製実施例
実施例1
【0073】
【化11】

124g(1mol)の1,1−ジフルオロ酢酸エチルを最初に入れ、それを、142.6gの2−クロロ−5−アミノメチルピリジンと混合させる。その反応混合物を100℃に加熱し、1時間還流下に沸騰させる。冷却器のスイッチを切った後、形成されたエタノールを留去する。反応が完了する少し前に、エタノールを完全に除去するために、その混合物を底部温度115℃まで加熱するか又は適度な減圧にする。反応フラスコ内に、221gの99%アミド(理論値の99%)が残り、これは、約90℃で固化する。
NMR(d−DMSO):NH(br s, 9.4ppm);1H(s, 8.35ppm);1H(d, 7.75ppm);1H(d, 7.5ppm);1H(t, 6.1−6.4ppm);2H(s, 4.4ppm)。
【0074】
実施例2
【0075】
【化12】

1gのRhCl・3HOを添加した後、200mLのTHFに、22.6g(0.1mol)のN−(2−クロロ−5−アミノメチルピリジン)−1,1−ジフルオロアセトアミドを最初に入れる。次いで、21gのフェニルシランを添加し、変換が完結するまで撹拌を続ける。その後、その混合物を1N塩酸と混合させ、ジエチルエーテルで抽出する。その水相を15%水酸化ナトリウム溶液でアルカリ化し、ジエチルエーテルで抽出する。NaSOで脱水した後、溶媒を減圧下に留去する。20gの98%アミン(理論値の95%)が残る。
NMR(d−DMSO):1H(s, 8.35ppm);1H(d, 7.8ppm);1H(d, 7.46ppm);1H(td, 6.02ppm);2H(s, 3.8ppm);2H(td, 2.9ppm)。
【0076】
実施例3
【0077】
【化13】

200mLのTHFに、20g(0.091mol)のN−(2−クロロ−5−アミノメチルピリジン)−1,1−ジフルオロアセトアミドを最初に入れる。6.86gのNaBHを添加した後、その混合物を0から5℃に冷却し、34.3gのBF・エーテラートを滴下して加える。その混合物を0から5℃で一晩撹拌する。後処理のために、エタノールを滴下して加え、次いで、希塩酸を滴下して加え、得られた混合物をさらに数時間撹拌する。THFの大部分を減圧下に留去した後、その水相をエーテルで抽出する。その水相を15%水酸化ナトリウム溶液でpH12に調節し、ジエチルエーテルで2回抽出する。NaSOで脱水した後、溶媒を減圧下に留去する。17.75gの95%アミン(理論値の90%)が残る。
NMRデータ:実施例2を参照されたい。
【0078】
実施例4
200mLのTHFに、20g(0.091mol)のN−(2−クロロ−5−アミノメチルピリジン)−1,1−ジフルオロアセトアミドを最初に入れる。6.86gのNaBHを添加した後、その混合物を0から5℃に冷却し、34.3gのBF・エーテラートを滴下して加える。その混合物を0から5℃で一晩撹拌する。後処理のために、エタノールを滴下して加え、次いで、希水酸化ナトリウム溶液を滴下して加え、得られた混合物を40℃でさらに数時間撹拌する。その溶液のpHは12である。THFの大部分を減圧下に留去した後、その水相をジエチルエーテルで2回抽出する。NaSOで脱水した後、溶媒を減圧下に留去する。17gの95%アミン(理論値の86%)が残る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法であって、一般式(IV)の2,2−ジフルオロアセトアミド誘導体を還元して一般式(III)の対応する2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体とすることを特徴とする、前記方法
【化1】

(一般式(III)及び一般式(IV)の中の基Aは、以下のように定義される:
・ ピリド−2−イル若しくはピリド−4−イル、又は、ピリド−3−イル(6位がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよい。)、又は、ピリダジン−3−イル(6位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。)、又は、ピラジン−3−イル、又は、2−クロロピラジン−5−イル、又は、1,3−チアゾール−5−イル(2位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。);
又は、
・ ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾリル又は1,2,5−チアジアゾリル[フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)、C−C−アルキルチオ(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)又はC−C−アルキルスルホニル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい];
又は、

【化2】

[ここで、
Xは、ハロゲン、アルキル又はハロアルキルであり;
Yは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アジド又はシアノである]。)。
【請求項2】
一般式(IV)の化合物の一般式(III)の化合物への還元が、錯体水素化物、非錯体金属又は半金属水素化物及び一般式
【化3】

〔式中、Rは、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール又は塩素である。〕
のケイ素化合物の水素化物からなる群から選択される還元剤を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
還元を接触水素化によって行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一般式(IV)
【化4】

の化合物を調製する方法であって、一般式(VI)
【化5】

〔式中、Rは、ハロゲン、O−アルキル又はO−アルキルアリールである。〕
の化合物を一般式一般式(VII)
【化6】

〔式中、Aは、請求項1で定義されているとおりである。〕
のアミンと反応させることを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
請求項4に記載の調製方法で得られた一般式(IV)の化合物を請求項1から3のいずれか1項に記載の調製方法における出発物質として使用することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
一般式(IV):
【化7】

〔式中、基Aは、以下のように定義される:
・ ピリド−2−イル若しくはピリド−4−イル、又は、ピリド−3−イル(6位がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよい。)、又は、ピリダジン−3−イル(6位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。)、又は、ピラジン−3−イル、又は、2−クロロピラジン−5−イル、又は、1,3−チアゾール−5−イル(2位が塩素又はメチルで置換されていてもよい。);
又は、
・ ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾリル又は1,2,5−チアジアゾリル[フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)、C−C−アルキルチオ(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)又はC−C−アルキルスルホニル(フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい];
又は、

【化8】

[ここで、
Xは、ハロゲン、アルキル又はハロアルキルであり;
Yは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アジド又はシアノである]〕
の化合物。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか一項に記載の調製方法によって一般式(III)の化合物を調製するための、一般式(IV)の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−539201(P2010−539201A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525230(P2010−525230)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007271
【国際公開番号】WO2009/036900
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】