説明

アミド化合物を用いた植物の成長促進方法

成長促進を必要とする植物を処理する方法であって、上記植物、それらが発芽する種子、もしくはそれらが生育する場所に、非植物毒性の、有効な植物成長促進量の式:A-CO-NR1R2のアミド化合物を適用することを含む、上記方法
(式中、Aは、アリール基、またはO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する芳香族もしくは非芳香族の5または6員複素環であり、その際、上記アリール基または複素環は、アルキル、ハロゲン、CHF2、CF3、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルおよびアルキルスルホニルから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を含んでも、含まなくてもよい;R1は、水素原子である;R2は、フェニルまたはシクロアルキル基であり、この基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、フェニルおよびハロゲンから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を含んでも、含まなくてもよく、その際、上記脂肪族および脂環式基は、部分的または完全にハロゲン化してもよく、および/または上記脂環式基は、1〜3個のアルキル基が置換していてもよく、また、上記フェニル基は、1〜5個のハロゲン原子および/またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオおよびハロアルキルチオから互いに独立に選択される1〜3個の置換基を含んでもよく、さらに、上記アミドフェニル基は、飽和5員環と縮合していても、していなくてもよく、その際、この飽和5員環は、1個以上のアルキル基で置換しても、または置換しなくてもよく、および/またはOおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよい)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正の成長調節応答を誘導することができる新規の植物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で用いる「植物の成長を調節する方法」という用語または「成長調節方法」という用語、もしくは「成長調節」という語の使用、あるいは、「調節する」という語を用いた用語は、植物または生物の成長を破壊または阻害することを意図する農薬作用とは区別される植物の特定の特性を改善しようとする様々な植物応答を意味する。このため、本発明を実施するのに用いられる化合物は、処理しようとする植物に対して植物毒性とはならない量で用いる。
【0003】
さらに詳細には、本発明は、成長調節応答を誘導する目的での特定のアミド化合物、特にニコチンアミド化合物の使用に関する。
【0004】
欧州特許出願第0545099号には、アミド誘導体、ならびに、ハイイロカビ属を阻止する目的でのその使用が記載されている。植物の成長促進効果については何も開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた植物の獲得、作物収穫高の増加、作物の品質および農業の実施条件の改善を実現するための植物成長の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、この目的が、成長促進を必要とする植物を処理する方法により達成されることをみいだしたが、この方法は、上記植物、該植物が発芽する種子、もしくは該植物が生育する場所に、非植物毒性で有効な植物成長促進量の下記式I:
A-CO-NR1R2 I
[式中、
Aは、アリール基、またはO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する芳香族もしくは非芳香族の5または6員複素環であり、その際、上記アリール基または複素環は、アルキル、ハロゲン、CHF2、CF3、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルおよびアルキルスルホニルから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を含んでも、含まなくてもよい;
R1は、水素原子である;
R2は、フェニルまたはシクロアルキル基であり、この基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、フェニルおよびハロゲンから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を含んでも、含まなくてもよく、その際、上記脂肪族および脂環式基は、部分的または完全にハロゲン化してもよく、および/または上記脂環式基は、1〜3個のアルキル基が置換していてもよく、また、上記フェニル基は、1〜5個のハロゲン原子および/またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオおよびハロアルキルチオから互いに独立に選択される1〜3個の置換基を有していてもよく、さらに、上記アミドフェニル基(amidic phenyl group)は、飽和5員環と縮合していても、していなくてもよい(ここで、この飽和5員環は、1個以上のアルキル基で置換しても、または置換しなくてもよく、および/またはOおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよい)]
のアミド化合物を適用することを含む。
【0007】
本発明において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素であり、特に、フッ素、塩素および臭素である。
【0008】
「アルキル」という用語は、直鎖および枝分れアルキル基を含む。これらは、直鎖または枝分れC1-C12-アルキル、特にC1-C6-アルキル基であるのが好ましい。アルキル基の例として、アルキル、例えば、特に、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチル-ブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、オクチル、デシル、ドデシルが挙げられる。
【0009】
ハロアルキルは、1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および塩素により部分的または完全にハロゲン化された、上に定義したようなアルキル基である。好ましくは、1〜3個のハロゲン原子が存在し、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0010】
アルキル基およびハロアルキル基についての上の記述は、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルキルスルフィニルおよびアルキルスルホニルにおけるアルキルおよびハロアルキル基にも同様に適用される。
【0011】
アルケニル基は、直鎖および枝分れアルケニル基を含む。これらは、直鎖または枝分れC3-C12-アルケニル基、特にC3-C6-アルケニル基であるのが好ましい。アルケニル基の例として、以下のものが挙げられる:2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニルおよび1-エチル-2-メチル-2-プロペニル、特に、2-プロペニル、2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニルおよび3-メチル-2-ペンテニル。
【0012】
アルケニル基は、1個以上のハロゲン原子、特にフッ素および塩素により部分的または完全にハロゲン化されていてもよい。アルケニル基は、1〜3個のハロゲン原子を有するのが好ましい。
【0013】
アルキニル基は、直鎖および枝分れアルキニル基を含む。これらは、直鎖および枝分れC3-C12-アルキニル基、特にC3-C6-アルキニル基であるのが好ましい。アルキニル基の例として、以下のものが挙げられる:2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-メチル-3-ブチニル、2-メチル-3-ブチニル、1-メチル-2-ブチニル、1,1-ジメチル-2-プロピニル、1-エチル-2-プロピニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル、1-メチル-3-ペンチニル、1-メチル-4-ペンチニル、2-メチル-3-ペンチニル、2-メチル-4-ペンチニル、3-メチル-4-ペンチニル、4-メチル-2-ペンチニル、1,2-ジメチル-2-ブチニル、1,1-ジメチル-3-ブチニル、1,2-ジメチル-3-ブチニル、2,2-ジメチル-3-ブチニル、1-エチル-2-ブチニル、1-エチル-3-ブチニル、2-エチル-3-ブチニルおよび1-エチル-1-メチル-2-プロピニル。
【0014】
アルケニル基およびそのハロゲン置換基、ならびに、アルキニル基についての上の記述は、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシにも同様に適用される。
【0015】
シクロアルキル基は、C3-C6-シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルであるのが好ましい。シクロアルキル基を置換する場合には、置換基として1〜3個のC1-C4-アルキル基を有するのが好ましい。
【0016】
シクロアルケニル基は、C4-C6-シクロアルケニル基、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニルもしくはシクロヘキセニルであるのが好ましい。シクロアルケニル基を置換する場合には、置換基として1〜3個のC1-C4-アルキル基を有するのが好ましい。
【0017】
シクロアルコキシ基は、C5-C6-シクロアルコキシ基、例えば、シクロペンチルオキシもしくはシクロヘキシルオキシであるのが好ましい。シクロアルコキシ基を置換する場合には、置換基として1〜3個のC1-C4-アルキル基を有するのが好ましい。
【0018】
シクロアルケニルオキシ基は、C5-C6-シクロアルケニルオキシ基、例えば、シクロペンチルオキシもしくはシクロヘキシルオキシであるのが好ましい。シクロアルケニルオキシ基を置換する場合には、置換基として1〜3個のC1-C4-アルキル基を有するのが好ましい。
【0019】
アリールは好ましくはフェニルである。
【0020】
Aがフェニル基である場合、これは、1、2もしくは3個の前記置換基をいずれの位置に有していてもよい。3個の置換基は、アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよびハロゲン、特に塩素、臭素およびヨウ素から互いに独立に選択するのが好ましい。特に好ましくは、フェニル基は2位に置換基を有する。
【0021】
Aが5員複素環である場合には、これは、特に、フリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、トリアゾリルもしくはチアジアゾリル基、もしくはそれらの対応するジヒドロまたはテトラヒドロ誘導体である。中でもチアゾリルまたはピラゾリルが好ましい。
【0022】
Aが6員複素環である場合には、これは、特に、ピリジル基または下記式の基である:
【化1】

【0023】
(式中、基XおよびYの1つはO、SもしくはNR12であり、その際、R12はHまたはアルキルであり、また、基XおよびYのもう1つはCH2、S、SO、SO2もしくはNR9である)。点線は、二重結合が存在しても、しなくてもよいことを意味する。
【0024】
6員芳香族複素環は、特に好ましくは、ピリジル基、特に3-ピリジル基、もしくは下記式の基である:
【化2】

【0025】
(式中、Xは、CH2、S、SOもしくはSO2である)。
【0026】
前述した複素環基は、1、2もしくは3個の前記基を有しても、有していなくてもよく、その際、これら置換基は互いに独立に、アルキル、ハロゲン、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルから選択するのが好ましい。
【0027】
Aは、特に好ましくは、下記式の基である:
【化3】

【0028】
(式中、R3、R4、R6、R7、R8およびR9は互いに独立に、水素、アルキル、特にメチル、ハロゲン、特に塩素、CHF2もしくはCF3である)。
【0029】
式Iの基R1は、水素原子であるのが好ましい。
【0030】
式Iの基R2は、フェニル基であるのが好ましい。R2は、特に好ましくは2位に少なくとも1個の置換基を有するのが好ましい。置換基(または複数の置換基)は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロゲンもしくはフェニルからなる群より選択するのが好ましい。
【0031】
基R2の置換基はまた、再び置換することもできる。脂肪族または脂環式置換基を部分的または完全にハロゲン化、特にフッ素化または塩素化してもよい。これらは、1、2もしくは3個のフッ素または塩素原子を有するのが好ましい。基R2の置換基がフェニル基である場合には、このフェニル基は、1〜3個のハロゲン原子、特に塩素原子、および/または好ましくはアルキルおよびアルコキシから選択される基により、置換することができる。特に好ましくは、フェニル基をp位においてハロゲン原子で置換する。すなわち、特に好ましい基R2の置換基は、p-ハロゲン置換フェニル基である。基R2はまた、飽和5員環と縮合することもでき、その際、この環はその部分に1〜3個のアルキル置換基を有していてもよい。
【0032】
この場合、R2は、例えばインダニル、チアインダニルおよびオキサインダニルである。特に4位を介して窒素原子と結合するインダニルおよび2-オキサインダニルが好ましい。
【0033】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として式Iの化合物を含み、式中、Aは以下に定義する通りである:
フェニル、ピリジル、ジヒドロピラニル、ジヒドロオキサチイニル、ジヒドロオキサチイニルオキシド、ジヒドロオキサチイニルジオキシド、フリル、チアゾリル、ピラゾリルもしくはオキサゾリル(これらの基は、アルキル、ハロゲン、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を有していてもよい)。
【0034】
さらに好ましい実施形態によれば、Aは以下に挙げるものである:
ピリジン-3-イル(これは、2位において、ハロゲン、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニルもしくはメチルスルフォニルで置換しても、しなくてもよい);フェニル(これは、2位において、メチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素もしくはヨウ素で置換しても、しなくてもよい);
2-メチル-5,6-ジヒドロピラン-3-イル;
2-メチル-5,6-ジヒドロ-1,4-オキサチイン-3-イルもしくはその4-オキシドまたは4,4-ジオキシド;
2-メチルフラン-3-イル(これは、4および/または5位においてメチルで置換しても、しなくてもよい);
チアゾール-5-イル(これは、2および/または4位においてメチル、塩素、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルで置換しても、しなくてもよい);
チアゾール-4-イル(これは、2および/または5位においてメチル、塩素、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルで置換しても、しなくてもよい);
1-メチルピラゾール-4-イル(これは、3および/または5位においてメチル、塩素、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルで置換しても、しなくてもよい);あるいは
オキサゾール-5-イル(これは、2および/または4位においてメチルまたは塩素で置換しても、しなくてもよい)。
【0035】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として式Iの化合物を含み、式中、R2はフェニル基であり、これは1、2もしくは3個の前記置換基で置換しても、しなくてもよい。
【0036】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として式Iの化合物を含み、式中、R2はフェニル基であり、これは、2位に以下の置換基の1つを有する:
C3-C6-アルキル、C5-C6-シクロアルケニル、C5-C6-シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ(これらの基は、1、2もしくは3個のC1-C4-アルキル基で置換してもよい)、
フェニル(1〜5個のハロゲン原子および/またはC1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルキルチオおよびC1-C4-ハロアルキルチオから互いに独立に選択される1〜3個の基で置換されている)、
インダニルまたはオキサインダニル(これは、1、2もしくは3個のC1-C4-アルキル基で置換しても、しなくてもよい)。
【0037】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として下記式Iaの化合物を含む:
【化4】

【0038】
(式中、
Aは、
【化5】

【0039】
であり、
Xは、メチレン、硫黄、スルフィニルもしくはスルホニル(SO2)であり、
R3は、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素もしくはヨウ素であり、
R4は、トリフルオロメチルまたは塩素であり、
R5は、水素またはメチルであり、
R6は、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルもしくは塩素であり、
R7は、水素、メチルもしくは塩素であり、
R8は、メチル、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルであり、
R9は、水素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルもしくは塩素であり、
R10は、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオもしくはハロゲンである)。
【0040】
特に好ましい実施形態によれば、上記組成物は、アミド化合物として下記式Ibの化合物を含む:
【化6】

【0041】
(式中、
R4は、ハロゲンであり、
R11は、ハロゲンで置換されるフェニルである)。
【0042】
特に、請求項1に記載されている式A殺真菌薬混合物の2つのアミド化合物が好ましく、これは、アミド化合物として下記式の化合物を含む:
【化7】

【0043】
普通名がボスカリドという2-クロロ-N-(4-クロロビフェニル-2-イル)ニコチンアミドが最も好ましい。
【0044】
式Iの有用なアミド化合物は、欧州特許出願第545,099号および第589,301号に記載されており、これらの文献は、参照として全文を本明細書に組み込むものとする。
【0045】
式Iのアミド化合物の調製は、例えば、欧州特許出願第545,099号または第589,301号から周知であるか、もしくは同様の方法で実施することができる。
【0046】
本発明の方法で用いられるアミド化合物は、用いた濃度、使用する製剤および処理しようとする植物種のタイプに応じて非常に多様な植物成長調節特性を呈示することがわかっている。
【0047】
本発明の実施により、非常に多様な植物成長応答が誘導されるが、このような応答は、以下に挙げるものを含む:
a)より大きい果実サイズ;
b)より大きい野菜サイズ;
b)果実のより高い糖度;
d)より発達した根系;
e)より高い作物の堅実性;
f)より長期の保存性;
g)外観の向上;
h)果実の完成度の向上;
i)より早期の果実成熟;
j)植物の高さの増加;
k)より大きな葉;
l)より少ない根元の枯葉;
m)より緑色の葉の色;
n)より早期の開花;
o)苗条の成長促進;
p)植物の成長力増加;
q)早期の発芽。
【0048】
本明細書において用いる用語「植物の成長を調節する方法」とは、最終的結果が、植物、種子、果実もしくは野菜の成長および品質を向上させる、あるいは、あらゆる農薬作用とは区別されるそれらのいずれかの特性を改善するものである限り、果実または野菜が未収穫または収穫済であるかにかかわらず、植物、種子、果実もしくは野菜の前記16カテゴリーの応答のいずれか、ならびにその他の改変の達成を意味する。本明細書で用いる「果実」という用語は、植物により生み出される経済的価値のすべてを意味するものとして理解されたい。
【0049】
前記16カテゴリーに関する以前の詳説により、本発明をさらによく理解できるはずである。
【0050】
考えられる製剤についての記載は、欧州特許出願第545,099号および欧州特許出願第589,301号の特許出願にみいだすことができる。
【0051】
化合物Iの適用率は、0.005〜0.5 kg/ha、好ましくは0.01〜0.2 kg/ha、特に0.02〜0.1 kg/haである。
【0052】
種子を処理する場合、混合物の適用率は、一般に種子1kg当たり0.001〜250g/kg、好ましくは0.01〜100g/kg、特に0.01〜50g/kgである。
【0053】
アミド化合物Iは、例えば、すぐにスプレーできる溶液、粉末および懸濁液の形態、または高濃度の水性、油性もしくはその他の懸濁液、分散液、エマルション、油性分散液、ペースト、微粉、散布用材料もしくは顆粒の形態に製剤化し、スプレー、噴霧、ダスティング、散布もしくは散水により使用することができる。使用形態は、意図する目的によって異なるが、いずれの場合にも、本発明の混合物の可能な限り微細かつ均一な分布を確実にするものでなければならない。
【0054】
製剤は周知の方法、例えば、所望であれば乳化剤および分散剤を用いて、溶剤および/または担体で活性成分を増量することにより調製する。また、水を希釈剤として用いる場合には、補助溶剤として他の有機溶剤を用いることも可能である。この目的のための好適な補助剤として、主に以下のものが挙げられる:芳香族化合物(例:キシレン)、塩素化芳香族化合物(例:クロロベンゼン)、パラフィン(例:鉱油留分)、アルコール(例:メタノール、ブタノール)、ケトン(例:シクロヘキサノン)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジメチルホルムアミド)および水;粉砕した天然鉱物(例、カオリン、クレー、タルク、白亜)および粉砕した合成鉱物(例:微粉砕したシリカ、ケイ酸塩);ノニオンおよびアニオン乳化剤のような乳化剤(例:ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)ならびにリグノ亜硫酸塩廃液およびメチルセルロースのような分散剤。
【0055】
好適な界面活性剤として、以下のものが挙げられる:芳香族スルホン酸(例えば、リグノ−、フェノール−、ナフタレン−およびジブチルナフタレンスルホン酸)および脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩ならびにアンモニウム塩;アルキル−およびアルキルアリールスルホネート;硫酸アルキル、硫酸ラウリルエーテルおよび硫酸脂肪アルコール;硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−およびオクタデカノールの塩、もしくは脂肪アルコールグリコールエーテルの塩;ホルムアルデニドとスルホン化ナフタレンおよびその誘導体の縮合物;フェノールとホルムアルデニドとのナフタレンまたはナフタレンスルホン酸の縮合物;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル;エトキシル化イソオクチル−、オクチル−もしくはノニルフェノール;アルキルフェノールポリグリコールエーテル;トリブチルフェニルポリグリコールエーテル;アルキルアリールポリエーテルアルコール;イソトリデシルアルコール;脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物;エトキシル化ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテル;酢酸ラウリルアルコールポリグリコールエーテル;ソルビトールエステル;リグノ亜硫酸廃液もしくはメチルセルロース。
【0056】
粉末、散布用材料および微粉は、固体担体とアミド化合物Iを混合するか、または一緒に粉砕することにより調製することができる。
【0057】
顆粒(例えば、コーティングした顆粒、含浸させた顆粒もしくは均質な顆粒)は、通常、活性成分(1種または複数の)を固体担体に結合させることにより調製することができる。
【0058】
充填剤または固体担体として例えば、以下のものが挙げられる:無機土類、例えば、シリカ、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、石灰石、石灰、白亜、ボール粘土、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕された合成材料および肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、ならびに植物由来の製品、例えば、穀物食品、樹皮食品、樹木食品(wood meal)および果殻食品、セルロース粉末もしくはその他の固体担体。
【0059】
一般に、製剤は、約0.1〜95重量%、好ましくは約0.5〜90重量%の化合物を含む。活性成分は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%(NMRスペクトルまたはHPLCによる)の純度で用いる。
【0060】
活性成分を含むこのような製剤の例を以下に挙げる:
I.90重量部の活性成分と10重量部のN-メチルピロリドンの溶液;この溶液は、微小滴の形態での用途に好適である;
II.20重量部の活性成分、80重量部のキシレン、10重量部の8〜10モルのエチレンオキシドと1モルのオレイン酸N-モノエタノールアミドとの付加物、5重量部のドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩、ならびに5重量部の40モルのエチレンオキシドと1モルのヒマシ油との付加物の混合物;この溶液を水に微細に分布させることにより、分散液を得る;
III.20重量部の活性成分、40重量部のシクロヘキサノン、30重量部のイソブタノール、20重量部の40モルのエチレンオキシドと1モルのヒマシ油との付加物の水性分散液;
IV.20重量部の活性成分、25重量部のシクロヘキサノール、65重量部の沸点210〜280℃の鉱油留分、ならびに10重量部の40モルのエチレンオキシドと1モルのヒマシ油との付加物の水性分散液;
V.80重量部の活性成分、3重量部のジイソブチルナフタレン-1-スルホン酸のナトリウム塩、10重量部の亜硫塩酸廃液からのリグノスルホン酸のナトリウム塩、ならびに7重量部の微粉シリカゲルをハンマーミルで粉砕した混合物;この混合物を水に微細に分布させることにより、スプレー混合物を得る;
VI.3重量部の活性成分と97重量部の微粉砕カオリンの均質混合物;この微粉は、3重量%の活性成分を含む;
VII.30重量部の活性成分、92重量部の微粉シリカゲル、ならびに8重量部のパラフィン油(該シリカゲルの表面に吹き付けておいたもの)の均質混合物;この製剤は優れた付着性を活性成分に賦与する;
VIII.40重量部の活性成分、10重量部のフェノールスルホン酸/尿素/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、2重量部のシリカゲル、ならびに48重量部の安定な水性分散液;この分散液をさらに希釈してもよい;
IX.20重量部の活性成分、2重量部のドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩、8重量部の脂肪アルコールポリグリコールエーテル、20重量部のフェノールスルホン酸/尿素/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、ならびに88重量部のパラフィン鉱油。
【0061】
本発明のアミド化合物は、その他の活性化合物、例えば、除草薬、殺虫薬、成長調節剤、殺真菌薬、あるいは肥料と組み合わせて用いることもできる。多くの場合、アミド化合物Iまたはそれを含む組成物の混合物を成長促進剤としての使用形態にすれば、さらに広範なスペクトルの活性が得られる。
【0062】
本発明のアミド化合物と組み合わせて用いることのできる殺真菌薬の一覧を以下に記載するが、これは、考えられる組み合わせを例示するためのものであって、これらに限定されるわけではない:
・硫黄、ジチオカルバミド酸塩およびその誘導体、例えば、ジメチルジチオカルバミド酸鉄(III)、ジメチルジチオカルバミド酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミド酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミド酸マンガン、エチレンジアミンビスジチオカルバミド酸マンガン亜鉛、二硫化テトラメチルチウラム、亜鉛(N,N-エチレンビスジチオカルバメート)のアンモニア錯体、亜鉛(N,N’-プロピレンビスジチオカルバメート)のアンモニア錯体、亜鉛(N,N’-プロピレンビスジチオカルバメート)、N,N’-ポリプロピレンビス(チオカルバモイル)ジスルフィド;
・ニトロ誘導体、例えば、ジニトロ-(1-メチルヘプチル)フェニルクロノエート、2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェニル-3,3-ジメチルアクリレート、2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェニルイソプロピルカルボネート、ジイソプロピル5-ニトロイソフタレート;
・複素環式物質、例えば、2-ヘプタデシル-2-イミダゾリンアセテート、2,4-ジクロロ-6-(o-クロロアニリノ)-s-トリアジン、O,O-ジエチルフタルイミドホスホノチオエート、5-アミノ-1-[ビス(ジメチルアミノ)ホスフィニル]-3-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2,3-ジシアノ-1,4-ジチオアントラキノン、2-チオ-1,3-ジチオロ[4,5-b]キノキサリン、メチル1-(ブチル-カルバモイル)-2-ベンジミダゾールカルバメート、2-メトキシカルボニルアミノベンジミダゾール、2-(フリル-(2))ベンジミダゾール、2-(チアゾリル-(4))ベンジミダゾール、N-(1,1,2,2-テトラクロロエチルチオ)テトラヒドロフタルイミド、N-トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N-トリクロロメチルチオフタルイミド;
・N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-フェニル硫酸ジアミド、5-エトキシ-3-トリクロロメチル-1,2,3-チアジアゾール、2-チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、1,4-ジクロロ-2,5-ジメトキシベンゼン、4-(2-クロロフェニルヒドラゾノ)-3-メチル-5-イソキサゾロン、ピリジン2-チオ-1-オキシド、8-ヒドロキシキノリンまたはその銅塩、2,3-ジジヒドロ-5-カルボキサニリド-6-メチル-1,4-オキサチイン、2,3-ジジヒドロ-5-カルボキサニリド-6-メチル-1,4-オキサチイン4,4-ジオキシド、2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-3-カルボキサニリド、2-メチルフラン-3-カルボキサニリド、2,5-ジメチルフラン-3-カルボキサニリド、2,4,5-トリメチルフラン-3-カルボキサニリド、N-シクロヘキシル-2,5-ジメチルフラン-3-カルボキサミド、N-シクロヘキシル-N-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-カルボキサミド、2-メチルベンザニリド、2-ヨードベンザニリド、N-ホルミル-N-モルホリン2,2,2-トリクロロエチルアセタール、ピペラジン-1,4-ジイル-ビス-1-(2,2,2-トリクロロエチル)ホルムアミド、1-(3,4-ジクロロアニリノ)-1-ホルミルアミノ-2,2,2-トリクロロエタン、2,6-ジメチル-N-トリデシルモルホリンまたはその塩、2,6-ジメチル-N-シクロドデシルモルホリンまたはその塩、N-[3-(p-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロピル]-シス-2,6-ジメチルホルホリン、N-[3-(p-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロピル]ピペリジン、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-1,3-ジ-オキソラン-2-イル-エチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-n-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イルエチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、N-(n-プロピル)-N-(2,4,6-トリクロロフェノキシエチル)-N’-イミダゾリル尿素、1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン、1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノール、(2RS, 3RS)-1-[3-(2-クロロ-フェニル)-2-(4-フルオロフェニル)オキシラン-2-イルメチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、α-(2-クロロフェニル)-α-(4-クロロフェニル)-5-ピリミジン-メタノール、5-ブチル-2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン、ビス(p-クロロフェニル)-3-ピリジンメタノール、1,2-ビス(3-エトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼン、1,2-ビス(3-メトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼン;
・ストロビルリン、例えば、メチルE-メトキシミノ-[α-(o-トリルオキシ)-o-トリル]アセテート、メチルE-2-{2-[6-(2-シアノフェノキシ)-ピリジミン-4-イルオキシ]-フェニル}-3-メトキシアクリレート、メチルE-メトキシミノ-[α-(2-フェノキシフェニル)]アセトアミド、メチルE-メトキシミノ-[α-(2,5-ジメチルフェノキシ)-o-トリル]アセトアミド;
・アニリノピリミジン、例えば、N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アニリン、N-[4-メチル-6-(1-プロピニル)ピリミジン-2-イル]アニリン、N-(4-メチル-6-シクロプロピルピリミジン-2-イル)アニリン;
・フェニルピロール、例えば、4-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル)ピロール-3-カルボニトリル;
・シンナマミド、例えば、3-(4-クロロフェニル)-3-(3,4-ジメトキシ-フェニル)アクリロイルモルホリド;
・ならびに、各種殺真菌薬、例えば、酢酸ドデシルグアニジン、3-[3-(3,5-ジメチル-2-オキシシクロヘキシル)-2-ヒドロキシエチル]グルタリミド、ヘキサクロロベンゼン、メチルN-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2-フロイル)-DL-アラニネート、DL-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2’-メトキシアセチル)アラニンメチルエステル、N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-クロロアセチル-D,L-2-アミノブチロアクトン、DL-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(フェニルアセチル)アラニンメチルエステル、5-メチル-5-ビニル-3-(3,5-ジクロロフェニル)-2,4-ジオキソ-1,3-オキサゾリジン、3-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-5-メトキシ-メチル-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン、3-(3,5-ジクロロ-フェニル)-1-イソプロピルカルバモイルヒダントイン、N-(3,5-ジクロロフェニル)-1,2-ジメチルシクロロプロパン-1,2-ジカルボキシミド、2-シアノ-[N-(エチルアミノカルボニル)-2-メトキシミノ]アセタミド、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)ペンチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジフルオロ-α-(1H-1,2,4-トリアゾリル-1-メチル)ベンゾヒドリルアルコール、N-(3-クロロ-2,6-ジニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5-トリフルオロメチル-3-クロロ-2-アミノピリジン、1-((ビス-(4-フルオロフェニル)メチルシリル)メチル)-1H-1,2,4-トリアゾール。
【0063】
植物成長促進作用によって改変しうる作物の例として、野菜、堅果もしくは果実がある。
【0064】
本発明のさらに別の形態では、式Iのアミド化合物とストロビルリンとの混合物が植物成長促進方法に好適である。
【0065】
これらの混合物に好適なストロビルリンとしては、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビンもしくはトリフロキシストロビンがある。
【0066】
アミド化合物Iとストロビルリンは、20:1〜1:20、特に10:1〜1:10の範囲での重量比で用いるのが好ましい。
【0067】
式Iのアミド化合物とストロビルリンは、同時に(すなわち、一緒にまたは別々に)適用しても、順次適用してもよい。
【0068】
植物成長調節作用によって改変しうる作物の例として、野菜、堅果もしくは果実がある。
【0069】
アミド化合物の正確な量は、処理しようとする具体的植物種に応じて異なる。これは数回の実験により当業者が決定することができ、用いた化合物の総量、ならびに処理しようとする具体的植物種に応じて植物応答が変動しうる。もちろん、アミド化合物の量は、処理しようとする植物に対して非植物毒性でなければならない。
【0070】
本発明の方法に用いるアミド化合物の好ましい適用方法は、植物の葉および茎に直接適用するものであるが、このような化合物を植物が成長する土壌に適用したり、本発明の教示事項に従い植物応答を得るのに十分な範囲まで上記化合物を根に吸収させたりすることも考えられる。
【実施例】
【0071】
以下に記載する実施例は本発明の植物成長調節方法を例示するものであり、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0072】
実施例1
タマネギを7×30フィートの区画に移植した。移植から7日後、25.2%のボスカリドを含む製剤BAS 516をタマネギにスプレーした。このスプレーは、12.8%のピラクロストロビンも含んでいた。BAS 516は、1エーカー当たり0.45 lb.の使用率でスプレーした。0.06%の佐薬を用いて、最初の処理から7日毎にタマネギを処理した。この期間中、植物には適切な散水を行なった。最後の処理から14日後、作物の収穫高を測定した。1エーカー当たりの収穫高は、非処理区画と比較して4.2%高かった。この実験では、真菌による疾病は存在しなかった。
【0073】
実施例2
56平方フィートの区画にキャノーラの種子をまいた。種まきから47日後、70%のボスカリドを含む製剤を植物にスプレーした。この処理は35%の開花時に行なった。キャノーラは、1エーカー当たり活性成分が0.26lbの用量となるように処理した。実験中、植物には適切な散水を行なった。最後の処理から58日後、すなわち、植物の種まきから105日後、作物の収穫高を測定した。1エーカー当たりの収穫高は、非処理区画と比較して21%高かった。この実験では、限られた真菌による疾病が存在した。
【0074】
実施例3
50%の開花時、すなわち、種まきから50日後に行なう以外は実施例2と同様に実施した。同じ結果が得られたが、収穫高は、非処理区画より22%高かった。
【0075】
実施例4
樹齢8年のブドウの親木を8×24フィートの区画で処理した。最初に、6インチの新しいつるが発生した時、25.2%のボスカリドを含む製剤BAS 516の懸濁エマルションをブドウにスプレーした。このスプレーは、12.8%のピラクロストロビンも含有した。BAS 516は、1エーカー当たり0.2 lb.の使用率で14日おきにスプレーした。最初のBAS 516使用の7日後から14日毎に、1エーカー当たり3lb.の活性成分を含む80%懸濁液での処理によりスプレーを繰り返した。BAS 516での7回目の処理後、ブドウは88日間つるに留まった。最初の処理から182日後、ブドウのサイズおよび重量を評価した。ブドウの発生から収穫まで結果を観察した。この実験では、限定的な疾病が存在した。次の植物成長調節効果:より大きな果実、房重量の増加、より濃い緑色の植物および植物高さの増加とともに、11.8倍高い収穫高が認められた。
【0076】
様々な好ましい実施形態によって本発明を説明してきたが、本発明の精神を逸脱することなく、様々な改変、代用、省略および変更が可能であることは当業者であれば理解されよう。従って、本発明の範囲は、同等物を含む添付の請求の範囲によってのみ限定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長促進を必要とする植物を処理する方法であって、上記植物、それらが発芽する種子、もしくはそれらが生育する場所に、非植物毒性で有効な植物成長促進量の下記式I:
A-CO-NR1R2 I
[式中、
Aは、アリール基、またはO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有する芳香族もしくは非芳香族の5または6員複素環であり、その際、上記アリール基または複素環は、アルキル、ハロゲン、CHF2、CF3、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルおよびアルキルスルホニルから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を含んでも、含まなくてもよい;
R1は、水素原子である;
R2は、フェニルまたはシクロアルキル基であり、この基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、フェニルおよびハロゲンから互いに独立に選択される1、2もしくは3個の置換基を含んでも、含まなくてもよく、その際、上記脂肪族および脂環式基は、部分的または完全にハロゲン化してもよく、および/または上記脂環式基は、1〜3個のアルキル基が置換していてもよく、また、上記フェニル基は、1〜5個のハロゲン原子、および/またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオおよびハロアルキルチオから互いに独立に選択される1〜3個の置換基を有していてもよく、さらに、上記アミドフェニル基(amidic phenyl group)は、飽和5員環と縮合していても、していなくてもよい(ここで、この飽和5員環は、1個以上のアルキル基で置換しても、または置換しなくてもよく、および/またはOおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよい)]
のアミド化合物を適用することを含む上記方法。
【請求項2】
アミド化合物として下記式Ia:
【化1】

[式中、
Aは、
【化2】

であり、
Xは、メチレン、硫黄、スルフィニルもしくはスルホニル(SO2)であり、
R3は、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素もしくはヨウ素であり、
R4は、トリフルオロメチルまたは塩素であり、
R5は、水素またはメチルであり、
R6は、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルもしくは塩素であり、
R7は、水素、メチルもしくは塩素であり、
R8は、メチル、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルであり、
R9は、水素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルもしくは塩素であり、
R10は、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオもしくはハロゲンである]の化合物を含む請求項1に記載の方法:。
【請求項3】
アミド化合物として下記式Ib:
【化3】

[式中、
R4は、ハロゲンであり、
R11は、ハロゲンで置換されるフェニルである]
の化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アミド化合物として下記式:
【化4】

の化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(I)のアミド化合物が、2-クロロ-N-(4-クロロビフェニル-2-イル)ニコチンアミドである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
使用される式(I)のアミド化合物の植物成長促進量が、以下のものからなる群より選択される少なくとも1つの植物成長促進効果をもたらすのに十分なものである、請求項1に記載の方法:
a)より大きい果実サイズ;
b)より大きい野菜サイズ;
b)果実のより高い糖度;
d)より発達した根系;
e)より高い作物の堅実性;
f)より長期の保存性;
g)外観の向上;
h)果実の完成度の向上;
i)より早期の果実成熟;
j)植物の高さの増加;
k)より大きな葉;
l)より少ない根元の枯葉;
m)より緑色の葉の色;
n)より早期の開花;
o)苗条の成長促進;
p)植物の成長力増加;
q)早期の発芽。
【請求項7】
前記植物またはそれらが生育する場所に、顆粒状の式(I)のアミド化合物が約0.005 kg/ha〜約0.5 kg/haの適用率で適用される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物の適用率が約0.01 kg/ha〜0.2 kg/haである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記植物が、イネ、トウモロコシ、穀物および野菜植物および芝生からなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式(I)のアミド化合物とストロビルリンの混合物を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ストロビルリンが、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビンもしくはトリフロキシストロビンから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ボスカリドとピラクロストロビンの混合物が用いられる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アミド化合物Iとストロビルリンとの比が、20:1〜1:20である請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記アミド化合物とストロビルリンを同時に(すなわち、一緒にまたは別々に)もしくは順次適用する請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2007−503403(P2007−503403A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524240(P2006−524240)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007872
【国際公開番号】WO2005/018324
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】