説明

アミノレブリン酸およびその誘導体の使用

本発明は、動物に対する光線力学的療法(PDT)に用いる組成物の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)もしくは5−ALAの誘導体(例えば、エステル)、またはその薬剤として使用し得るそれらの塩である光増感剤の使用を提供するものであって、該PDTは(a),(b)を含み:(a)該光増感剤を含む組成物を該動物に投与すること;および(b)該光増感剤を光活性化すること、そして(i)〜(iv)の1以上を用いることによって、該PDTによる副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)が抑えられるかまたは和らげられる:(i)該組成物が10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で該光増感剤を含むこと、(ii)該組成物が該光活性化の前2時間未満(例えば、30〜90分間)に投与されること、(iii)該光活性化がフルエンス率50mW/cm2未満(5〜40mW/cm2)の光源を用いて行われること、(iv)該光活性が化太陽光を用いて行われること。好ましくは、PDTによる副作用は、(iii)または(iv)と、(i)および/または(ii)とを組み合わせて用いることによって抑えられるかまたは和らげられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線力学的療法(PDT)に関する。本発明は、特にPDTにおける5−アミノレブリン酸(5−ALA)および5−ALAの誘導体の使用に関し、本発明に係るPDTによると、PDTに起因する副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)が抑えられるかまたは和らげられる。
【背景技術】
【0002】
PDTは、光化学治療としても知られ、肌や他の上皮系組織もしくは粘膜に関するさまざまな異常または疾患、特に癌または前癌病変、および良性の病変(例えば、乾癬、光線性角化症(AK)、座瘡などの皮膚疾患)を治療するための技術である。PDTは、体の病変部への光感作薬(光化学治療剤)の塗布、それに続く、該光感作薬を活性化し細胞毒性を有する形態に変換するために光活性化する光線の照射を含み、これによって病的細胞が死滅するか、または該細胞の増殖ポテンシャルが減退する。
【0003】
さまざまな種類の光感作薬が知られており、ソラーレン、ポルフィリン(例えば、フォトフリン(登録商標))、クロリンおよびフタロシアニンが挙げられる。しかしながら、そのなかで5−アミノレブリン酸およびその誘導体(例えば、5−ALAエステルなどのエステル)は、当該分野において知られている臨床的にもっとも有用な光感作薬である。
【0004】
5−ALAおよび5−ALA誘導体を用いるPDTは、広範囲な疾病に対する治療において臨床的に有用であるが、このような治療の主な欠点は、とりわけ治療部位における副作用である。このような副作用としては、多くの場合、痛み、紅斑、腫れ、浮腫、火傷、痒み、剥離、高色素沈着ならびに長期にわたる炎症および治療後の過敏症が挙げられる。治療部位が顔、頭皮または首である場合、該副作用は特に望ましくない。この副作用は、PDTが病変(例えば、座瘡、基底細胞癌、光線性角化症、扁平上皮癌)の治療である場合に頻繁に見られる。
【0005】
このような副作用が起こることは、座瘡を治療するPDTにおいて5−ALAエステルの使用を開示する国際公開第2006/051269号パンフレット[特許文献1]で認識されている。特許文献1には、16重量%のメチルALAエステルを含むクリームを被験者の顔に塗布し、その3時間後に非干渉性赤色光(光線量は37Jcm-2)を被験者の顔に照射したという研究が記載されている。このとき、この治療は2週間後に再度行われた。この結果はメチルALAエステルを用いたPDTが座瘡の治療において有効であることを裏付けたものの、被験者はこの治療による痛みを指摘した。
【0006】
国際公開第02/13788号パンフレット[特許文献2]は、座瘡の治療をするPDTにおいて、ALAという酸を用いる同様の研究を開示している。このケースでは、20%のALAを被験者の背中に塗布して3時間後に、150J/cm2の広帯域の光を被験者に照射した。このケースも先のケースと同様に、得られた結果がALAを用いるPDTが座瘡の治療に有効であることを裏付けたものの、被験者は過度の不快な副作用について報告している。例えば、特許文献2には、PDT治療の後、紅斑、高色素沈着および剥離が頻繁に見られることが報告され、またいくつかのケースにおいて、次の治療を延期せざるを得ないことが述べられている。治療中および治療後の痛み、火傷ならびに痒みの報告もまたよく見受けられた。
【0007】
特許文献2には上記治療方法が「高投与量、高エネルギー」の方法として記載されており、これによって座瘡の永続的な改善がなされるという。特許文献2には、座瘡の軽減を提供するよう考案された「低投与量、低エネルギー」の方法についても記載されている。この治療では0.1〜10重量%のALAを塗布し、該ALAが皮膚に浸透するまで待ち、続いて1〜20J/cm2の光線量で照射する。特許文献2には、この方法は座瘡を軽減するために不定期な複数回の治療で用い、座瘡の軽減を維持するため必要に応じて行われることを提案している。このような方法が無痛であることは認識されているが、この治療方法の治療効果は、特許文献2に記載・実証されている高投与量、高エネルギーの方法の治療効果に及ばないことを、特許文献2は暗示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/051269号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/13788号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、望ましくない副作用(例えば、痛み)もなく治療効力が高い代替的なPDT法が今もなお切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、PDTに使用される光増感剤−組成物を改善することによって、および/またはPDTの手順を変更することによって、実質的に痛みがない(例えば、無痛)、治療上許容されるPDTを得られることが今回見出された。
【0011】
上述のように、本発明は、第一の態様では、動物に対する光線力学的療法[photodynamic therapy](PDT)に使用する組成物の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)または5−ALAの誘導体(例えば、エステル)、もしくは薬剤として使用し得るこれらの塩である光増感剤の使用を提供するものであり、該PDTは(a),(b)を含み:
(a)該光増感剤を含む組成物を該動物に投与すること;および
(b)該光増感剤を光活性化すること、
(i)〜(iv)のうち1以上を用いることによって、該PDTの副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)が抑えられるかまたは和らげられる:
(i)該組成物が、10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で該光増感剤を含むこと、
(ii)該組成物が、該光活性化をする前2時間未満(例えば、30〜90分間)に投与されること、
(iii)該光活性化が、フルエンス率が50mW/cm2未満(例えば、5〜40mW/cm2)の光源を用いて行われること、
(iv)該光活性化が、太陽光により実施されること。
【0012】
本発明は、さらなる態様において、動物の光線力学的療法(PDT)による副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)を抑えられるかまたは和らげられる方法を提供するものであり、該PDTは(a),(b)を含み:
(a)先に定義したような光増感剤を含む組成物を動物に投与すること;および
(b)該光増感剤を光活性化すること、
(i)〜(iv)のうち1以上を用いることによって、該PDTの副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)が抑えられるかまたは和らげられる:
(i)該組成物が、10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で該光増感剤を含むこと、
(ii)該組成物が、該光活性化をする前2時間未満(例えば、30〜90分間)に投与されること、
(iii)該光活性化が、フルエンス率が50mW/cm2未満(例えば、5〜40mW/cm2)の光源を用いて行われること、
(iv)該光活性化が、太陽光により実施されること。
【0013】
本発明の特に好ましい態様では、(i)および(ii)のうちの1つまたは両方と、(iii)または(iv)とを組み合わせて用いることによって、PDTの副作用が抑えられるかまたは和らげられる。
【0014】
本発明の好ましい使用および方法において、本発明に係るPDTは、これに対応する標準的なPDT治療と実質的に同じ治療効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「動物」とは、本明細書中において、人間を含むすべての動物を意味する。本発明に従い治療する場合の好ましい動物は人間である。
PDTにおいて、5−ALAおよび5−ALA(5−アミノ−4−オキソ−ペンタン酸、別名5−アミノレブリン酸として知られている)の誘導体を使用することは、科学文献および特許文献では周知である(例えば、J.C.ケネディら,J.Clin.Laser Med.Surg.(1996年)14巻,第289〜304頁、米国特許第5,079,262号、米国特許第5,211,938号、米国特許第5,234,940号、米国特許第5.422.093号、米国特許第6,034,267号、国際公開第91/01727号パンフレット、国際公開第96/28412号パンフレット、国際公開第2005/092838号パンフレットおよび国際公開第2006/051269号パンフレットを参照。この参照によりこれらの内容は本明細書に援用される)。5−ALAおよび5−ALAのこのような誘導体のすべて、さらに薬剤として使用し得るこれらの塩も、本明細書中に記載の使用および方法に適している。
【0016】
本発明における有用な5−ALA誘導体は、インビボにおいて、プロトポルフィリンIX(PpIX)を形成することができる5−ALAの任意の誘導体または任意の他の光増感剤(例えば、PpIX誘導体)である。このような誘導体は、ヘムの生合成経路における典型的なPpIXの前駆体またはPpIX誘導体(例えば、PpIXエステル)の前駆体である。したがって、これら前駆体はインビボで投与後、治療されるべき部位にPpIXを蓄積することができる。PpIXまたはPpIX誘導体の好ましい前駆体としては、PpIXの生合成における中間体としてインビボで5−ALAを形成し得る5−ALAプロドラッグ、または中間体として5−ALAを形成せずにポルフィリンに変換(例えば、酵素的に)される5−ALAプロドラッグが挙げられる。5−ALAエステルは、本明細書中に記載されている方法において、使用される好ましい化合物である。
【0017】
5−アミノレブリン酸のエステルおよびその窒素置換誘導体は、本発明で用いられる好ましい光増感剤である。5−アミノ基が置換されていない化合物(すなわち、ALAエステルである)が特に好ましい。このような化合物は周知であり、文献にも記載されている(例えば、フォトキュア エイエスエイの国際公開第96/28412号パンフレット、国際公開第02/10120号パンフレットおよび国際公開第2005/092838号パンフレットを参照。この参照によりこれらの内容は本明細書に援用される)。
【0018】
アルカノールが置換または非置換の5−アミノレブリン酸のエステル、すなわちアルキルエステルは、本発明に用いられる特に好ましい光増感剤である。このような化合物として、例えば、一般式Iで表されるもの:
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、
1は、置換もしくは非置換の、直鎖状,分岐状または環状アルキル基(例えば、置換もしくは非置換の直鎖状アルキル基)を表し;R2は、それぞれ独立して、水素原子または任意に置換されたアルキル基、例えばR1の基を表す)および薬剤として使用し得るその塩が挙げられる。
【0021】
本明細書中に用いられる「アルキル」としては、特に明記しない限り、任意の短鎖もしくは長鎖の、環状,直鎖状または分岐状の脂肪族の、飽和あるいは不飽和炭化水素基が挙げられる。この不飽和アルキル基は、一価不飽和であっても多価不飽和であってもよく、アルケニル基およびアルキニル基の両者を含む。特に明記しない限り、このようなアルキル基は40までの原子を含む。しかしながら、アルキル基は、好ましくは30までの炭素原子を含み、より好ましくは10まで、さらに好ましくは8まで、特に好ましくは6まで、例えば、4までの炭素原子を含む。
【0022】
置換されたアルキルR1基およびR2基は、一価置換であっても多価置換であってもよい。好適な置換基は、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アリール基、ニトロ基、オキソ基、フルオロ基−SR3基、−NR32基および−PR32基から選択されてもよく、ならびにアルキル基それぞれは、1以上の−O−基、−NR3−基、−S−基または−PR3−基で随意に割り込まれていてもよく、基中のR3は、水素原子またはC1-6のアルキル基である。)
好ましい置換されたアルキルR1基は、1以上のオキソ基を有する基、1,2または3(好ましくは2または3)のオキソ基によって置換された直鎖状C4-12のアルキル基(例えば、C8-10アルキル基)である。このような基として、例えば、3,6−ジオキサ−1−オクチル基および3,6,9−トリオキサ−1−デシル基が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられるとりわけ好ましいものは、少なくとも1つのR2が水素原子を表す式Iの化合物である。特に好ましくはR2がそれぞれ水素原子を表す。
また、R1が非置換アルキル基(好ましくはC1-8アルキル、例えばC1-6アルキル)または先に定義した置換基(例えば、フェニルなどのアリール基またはメトキシなどのアルコキシ基)によって置換されたアルキル基(例えば、C1-2アルキル、特にC1アルキル)も好ましい。
【0024】
本発明で使用できる非置換アルキル基は、分岐状の炭化水素基および直鎖状の炭化水素基の両者を含む。R1がC4-8、好ましくはC5-8、C1-6(例えば、C1-2アルキル)基1以上で分岐されている直鎖状アルキル基である式Iの化合物が好ましい。好適な非置換の分岐状アルキル基の代表的な例として、2−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチルおよび3,3−ジメチル−1−ブチルが挙げられる。4−メチルペンチルがとりわけ好ましい。
【0025】
また、R1がC1-10直鎖状アルキル基である式Iの化合物も好ましい。好適な非置換アルキル基の代表例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびオクチル(例えば、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルおよびn−オクチル)が挙げられる。ヘキシル、特にn−ヘキシルは、とりわけ好ましい基であり、メチルもまたとりわけ好ましい。
【0026】
本発明で用いられる好ましい化合物もまた、R1がアリール基によって任意に置換されたC1-2アルキル基(好ましくはC1アルキル基)を表す式Iの化合物である。
本発明で用いられるさらに好ましい化合物は、R1がアリール基(例えば、フェニル)によって置換されたアルキル基(例えば、C1-2アルキル、特にC1アルキル)を表す式Iの化合物である。式Iの化合物中に存在していてもよい好ましい置換アルキルR1基としては、C1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、とりわけ好ましくは任意に置換されたアリール基によって置換(好ましくは末端に置換)されたC1アルキルまたはC2アルキル(例えば、C1アルキル)が挙げられる。
【0027】
「アリール基」とは、芳香族化合物である基を意味する。20までの炭素原子を含むアリール基が好ましく、12までの炭素原子を含むアリール基がより好ましく、例えば、10または6までの炭素原子を含むアリール基である。
【0028】
本発明に係る上記化合物中に存在していてもよいアリール基は、複素環式芳香族化合物(例えば、複素5〜7員環芳香族化合物)であってもよいが、複素環式芳香族化合物ではないものが好ましい。「複素環式芳香族化合物ではないもの」とは、炭素原子のみに由来する電子を含む芳香族系を有するアリール基を意味する。好ましいアリール基として、フェニルおよびナプチルが挙げられ、特に好ましくはフェニルである。本発明で使用される好ましい化合物において、1個または2個のアリール基が存在していてもよく、好ましくは1個のアリール基である。
【0029】
本発明に係る上記化合物に存在していてもよいアリール基は、1個以上(例えば、1〜5個)の基、よりこのましくは1個または2個の基(例えば、1個の基)によって任意に置換されていてもよい。このようなアリール基として好ましくは、メタ位またはパラ位置換、もっとも好ましくはパラ位置換である。好適な置換基としては、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アルコキシ(すなわち、Rが好ましくはC1-6アルキル基である−OR基)、ハロ(例えば、ヨード、ブロモ、特にクロロおよびフルオロ)、ニトロおよびC1-6アルキル(好ましくはC1-4アルキル)が挙げられる。C1-6アルキル基として、好ましくはメチル、イソプロピルおよびt−ブチル、特に好ましくはメチルが挙げられる。置換基として特に好ましくは、塩化およびニトロが挙げられる。さらに好ましいアリール基は置換されていないものである。
【0030】
本発明の、さらに好ましい態様は、PDTに使用する薬剤の製造において、R1がアリール基で置換されたC1-4アルキル基(好ましくはC1-2、例えば、C1)を表し、好ましくは該アリール基が20までの炭素原子(例えば、12炭素原子まで、特に6炭素原子)を含み、該アリール基自体が随意に置換されているものであり、R2はそれぞれ先に定義されたもの(例えば、R2それぞれが水素)である式Iの化合物である光増感剤、または薬剤として使用し得るその塩の使用を提供するものである。
【0031】
本発明で使用する好ましい化合物として、メチルALAエステル、エチルALAエステル、プロピルALAエステル、ブチルALAエステル、ペンチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、オクチルALAエステル、2−メトキシエチルALAエステル、2−メチルペンチルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、1−エチルブチルALAエステル、3,3−ジメチル−1−ブチルALAエステル、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステルおよびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリン酸が挙げられる。
【0032】
本発明で使用するさらに好ましい化合物として、メチルALAエステル、エチルALAエステル、2−メトキシエチルALAエステル、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステルおよびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリン酸が挙げられる。
【0033】
本発明で使用するとりわけ好ましい化合物として、メチルALAエステル、ヘキシルALAエステルおよびベンジルALAエステルが、特にメチルALAエステルが挙げられる。
【0034】
本発明で使用する上記化合物は、当該分野において利用できる任意の従来法(例えば、フォトキュア エイエスエイの国際公開第02/10120号パンフレットに記載されているとおり)によって調製してもよい。例えば、5−ALAのエステルは、酸存在下で適切なアルコールと5−ALAとの反応によって調製してもよい。あるいは、本発明で用いられる化合物は、市販のもの(例えば、フォトキュア エイエスエイ製,ノルウェー)であってもよい。
【0035】
本発明に従って用いられる上記化合物は、遊離アミン(例えば、−NH2、−NHR2または−NR22)の形で、または好ましくは生理的に合った塩の形であってもよい。このような塩は、好ましくは生理的に合った有機酸または無機酸との酸付加塩である。好適な酸としては、例えば、塩酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、スルホン酸およびスルホン酸誘導体が挙げられる。ヨウ化水素酸もまた好適である。とりわけ好ましい塩は、フォトキュア エイエスエイの国際公開第2005/092838号パンフレット(この参照によりこれらの内容はすべて本明細書に援用される)に記載されているように塩酸およびスルホン酸誘導体(例えば、メシレートまたはトシレート)との酸付加塩である。塩を形成するための手段は、当該分野において慣用されている。
【0036】
本発明の使用および方法において、先に定義したような1つの光増感剤(すなわち、5−ALAまたは5−ALAの誘導体)は、PDTにおいて1種単独で用いてもよい。あるいは、2種以上の光増感剤の組み合わせ、好ましくは2種の光増感剤の組み合わせで用いられてもよく、これらのうち少なくとも1種の光増感剤は、5−ALAおよび5−ALAの誘導体から選択されるか、または薬剤として使用し得るそれらの塩である。
【0037】
本発明に従って、5−ALAまたは5−ALAの誘導体(例えば、5−ALAエステル)を処方または同時投与してもよい他の光増感剤は、以下のものである:
ヘマトポルフィリン誘導体(HpD);
フォトフリン[Photofrin](登録商標)(クアドラ ロジック テクノロジーズ社,バンクーバー,カナダ)やヘマトポルフィリンIX(HpIX)などのヘマトポルフィリン;
フォトサン[Photosan]III(シーホフ ラボラトリアム社,シーホフ,ヴェッセルブレーネルコーフ,ドイツ);
テトラ(m−ヒドロキシフェニル)クロリン(m−THPC)およびバクテリオクロリン(スコティア製薬会社,サリー州,イギリス)、モノ−L−アスパラチルクロリンe6(NPe6)(日本石油化学会社,カリフォルニア州,アメリカ)、クロリンe6(ポルフィリン プロダクト社)、ベンゾポルフィリン(クアドラ ロジック テクノロジーズ社,バンクーバー,カナダ)(例えば、benzoporphyrin derivative monoacid ring A、BPD−MA)、プルプリン[purpurine](PDT製薬会社,カリフォルニア州,アメリカ)(例えば、スズ−エチルエチオプルプリン[tin-ethyl etiopurpurin]、SnET2)などのクロリン;
フタロシアニン(例えば、亜鉛−(クアドラ ロジック テクノロジーズ社,バンクーバー,カナダ)、いくらかのアルミニウム−またはシリコンフタロシアニン。これらはスルホン酸化されていてもよく、特にアルミニウムフタロシアニンジ−スルホン酸(AlPcS2a)またはアルミニウムフタロシアニンテトラ−スルホン酸(AlPcS4)などのスルホン酸化フタロシアニン);
ポルフィセン;
ヒポクレリリン[hypocrellin];
プロトポルフィリンIX(PpIX);
ヘマトポルフィリンジ−エステル;
ウロポルフィリン;
コプロポルフィリン;
ジュウテロポルフィリン;
ポリヘマトポルフィリン(PHP)、ならびにそれらの前駆体、誘導体;および
テトラサイクリン(例えば、トピサイクリン[Topicycline](登録商標)、シャイアー社[Shire])。
【0038】
好ましい第二の光増感剤は、ヘマトポルフィリン(例えば、フォトフリン(登録商標))、クロリン(特にm−THPCまたはクロリンe6)またはスルホン酸化フタロシアニン(特にアルミニウムフタロシアニンジ−スルホン酸またはアルミニウムフタロシアニンテトラ−スルホン酸)である。
【0039】
本発明の使用および方法に従って、第二の光増感剤を5−ALAまたは5−ALA誘導体とともに用いた場合、好ましいことにたとえ治療の副作用があるとしても僅かであることが、PDTの条件から保証される。これは、先に記載したように(i)〜(iv)のうち少なくとも1つまたは第二の光増感剤を少量の投与量(例えば、治療上の投与量を下まわる量)で用いることによって達成され得る。
【0040】
したがって、本発明は、さらなる態様では、先に定義したようなPDTに使用する化合物の製造における、先に定義したとおりの5−ALAまたは5−ALAの誘導体、もしくは薬剤として使用し得るそれらの塩である第一の光増感剤とともに第二の光増感剤の使用を提供する。
【0041】
さらに、本発明に従って用いられる上記化合物は、光感作効果を上げ、よってPDTを促進することができる他の活性を有する化合物とともに処方および/または投与してもよい。例えば、キレート剤は、Ppの蓄積を促進させるために含めるおよび/または同時投与すると効果的なことがある;フェロケラターゼの酵素活性によってPpが鉄を取り込みヘムを形成することが、該キレート剤による鉄のキレート化によって妨げられ、その結果Ppが蓄積される。よって、光感作効果が促進されることとなる。
【0042】
好適なキレート剤としてアミノポリカルボン酸が挙げられ、金属解毒に関する文献または磁気共鳴映像法に用いる造影剤中の常磁性金属イオンのキレート化に関する文献に記載されているキレート剤[chelant]のいずれも好適なキレート剤として挙げられる。EDTA、CDTA(シクロヘキサンジアミン四酢酸)、DTPAならびにDOTAおよび周知のそれらの誘導体/類似体について特に言及されている。EDTAおよびDTPAがとりわけ好ましい。鉄のキレート化効果を得るため、デスフェリオキサミンおよび他の親鉄剤も用いることができ、例えば、EDTAなどのようなアミノポリカルボン酸キレート剤と併せて用いてもよい。
【0043】
キレート剤を有する場合、該キレート剤は、標準的には0.05〜20%(w/w)の濃度で、例えば、0.1〜10%(w/w)の濃度で用いられる。
浸透促進剤もまた、本発明で用いられる上記化合物の光感作効果を促進する薬効を有する。したがって、表面浸透助剤、特にジメチルスルホキシド(DMSO)などのようなジアルキルスルホキシドも、本発明で使用および/または同時投与する上記組成物に含むことができる。この表面浸透助剤は、薬学文献に記載の皮膚浸透助剤(例えば、キレート剤(例 EDTA)、界面活性剤(例 ドデシル硫酸ナトリウム)、非界面活性剤[non-surfactant]、胆汁塩(例 デオキシコール酸ナトリウム)および脂肪酸(例 オレイン酸))のいずれであってもよい。好適な表面浸透助剤の例として、イソプロパノール、HPE−101(久光製薬(株)から市販)、DMSOおよび他のジアルキルスルホキシド、特に、n−デシルメチル−スルホキシド(NDMS)、ジメチルスルファセタミド、ジメチルホルムアミド(DMFA)、ジメチルアセトアミド、グリコール、さまざまなピロリドン誘導体(ウッドフォードら,J.Toxicol.Cut.&Ocular Toxicology,1986年,5巻:第167〜177頁)、ならびにアゾン[Azone](登録商標)(ストートンら,Drug Dpv.Ind.Pharm.1983年,9巻:第725〜744頁)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
この表面浸透助剤は、標準的には0.2〜50%(w/w)の濃度範囲、例えば、約10%(w/w)で提供される。
本発明に従って使用する上記組成物は、平滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、甘み剤、香料添加剤、吸着促進剤、例えば、後述する表面浸透剤などをさらに含んでもよい。
【0045】
本発明に従って使用する上記化合物は、当該分野において周知である技術に従って1以上の生理的に合った担体または賦形剤を従来の任意の方法で処方してもよい。担体または賦形剤を有する場合これらの添加前後に、必要に応じて、本発明で使用する化合物または組成物を、例えば、γ線照射、加圧滅菌または加熱滅菌によって殺菌する。本発明に係る該組成物もまた当該分野において周知である手段を採用することによって、被験者に投与後、有効成分の迅速な放出または持続的な放出または遅延する放出を提供するために処方することができる。可溶化剤および/または安定剤として、例えば、シクロデキストリン(CD)α,β,γおよびHP−βシクロデキストリンを用いてもよい。組成物は、例えば、乳液として、またはリポソーム、ニオソーム、マイクロスフェア、ナノパーティクルに包むなどして、任意の好適な投薬形態を取ってもよい。その際、本発明で使用する上記化合物は、このような形態(小胞)に取り入れられるか、合体されるか、または結合される。
【0046】
最終組成のpHは、好ましくは2.5〜7.4の範囲である。わずかに酸性のpH、例えばpH5〜7が好ましい。
組成物は、全身的に(例えば、経口または非経口で)投与されるか、またはさらに好ましくは患部もしくはその周辺の部分的に(例えば、注射でまたは局所に)投与されてもよい。投与法は、使用される光増感剤(または光増感剤の組み合わせ)も同様、治療されるべき疾患の重症度、種類および位置に依存する。しかしながら、一般的に、局所投与が好ましく、局部塗布がさらに好ましい。手の届かない部位の局部投与は、当該分野において公知の技術、例えば、カテーテルまたは他の好適な薬物送達システムを使用することによって達成することができる。
【0047】
全身に投与される組成物としては、上記活性成分とともに任意に1以上の不活性な従来の担体および/または希釈剤を含む素錠またはコーティングされた錠剤、カプセル、懸濁液および溶液が挙げられ、該担体または該希釈剤の例として、コーンスターチ(トウモロコシデンプン)、乳糖、ショ糖、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロースもしくは固い脂肪などのような脂肪性物質またはこれらの好適な混合物である。
【0048】
部分的に(例えば、局部的に)投与されてもよい組成物としては、ゲル、クリーム、軟膏[ointment]、噴霧、化粧水、膏薬[salve]、棒状のもの[stick]、石鹸、粉末、ペッサリー、エアロゾル(煙霧質)、滴下[drop]、溶液および当該分野におけるその他従来の医薬品形態のいかなるものが挙げられる。クリーム、軟膏およびゲルが特に好ましい。
【0049】
クリーム、軟膏およびゲルは、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加した水性基剤または油性基剤を用いて投与してもよい。化粧水は、水性基剤または油性基剤を用いて投与してもよく、一般に1以上の乳化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤もまた添加することができる。粉末は、任意の好適な粉末基剤を借りて投与してもよい。滴下および溶液は、1以上の分散剤、可溶化剤または懸濁化剤も含む水性基剤または非水性基剤を用いて投与してもよい。エアロゾル噴霧は、好適な高圧ガスを用いて加圧されたパックから簡便に供給される。
【0050】
本発明に従ってPDTに用いられる上記組成物は、先に定義したクリームまたはキットなどのようなすぐに使用できる組成物の形態であるものがとりわけ好ましい。
PDTの最終組成物において、本明細書中に記載されている5−ALA化合物の濃度は、化合物の化学的性質、化学組成、投与方法および治療されるべき疾患の種類を含むさまざまな要因に応じて変化する。しかしながら、20重量%未満の濃度範囲が好ましく、10重量%未満がより好ましく、0.05〜8重量%がさらに好ましく、0.5〜6重量%が特に好ましく、例えば、1.5〜4.5重量%または2〜4重量%が用いられる。部分的(例えば、局部)投与のためのもっとも好ましい濃度は、2〜4重量%の範囲内である。
【0051】
したがって、本発明は、さらなる態様において、先に定義した5−ALAまたは5−ALAの誘導体である光増感剤および薬剤として使用し得る担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供するものであり、該光増感剤の濃度は2〜8重量%(例えば、2〜4.5重量%)である。
【0052】
本発明は、さらなる態様において、先に定義した5−ALAまたは5−ALAの誘導体である光増感剤および薬剤として使用し得る担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供するものであり、治療(例えば、PDT)で用いる該光増感剤の濃度は、2〜8重量%(例えば、2〜4.5重量%)である。
【0053】
本発明のさらなる態様は、動物に対する光線力学的療法(PDT)による副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)を抑えられるかまたは和らげられる方法において使用する製品またはキットを提供するものであり、(a),(b)を含む:
(a)先に定義した組成物(例えば、20重量%未満の濃度(例 10重量%の濃度)の5−ALAまたは5−ALAの誘導体である光増感剤を含む組成物)を有する容器、および
(b)先に定義した該PDTを実施するための使用説明書。
【0054】
製品およびキットにおいて、第一の容器に含まれる上記組成物は、それ自体が本発明の態様をなす該組成物(すなわち、2〜8重量%の濃度(例えば、2〜4.5重量%の濃度)で、先に定義したような5−ALAまたは5−ALAの誘導体である光増感剤を含む組成物)を含むことがとりわけ好ましい。さらに好ましい製品およびキットは、第二の光増感剤を含む第二の容器を含み、第二の光増感剤は、例えば、先に定義したようなものである。
【0055】
本発明の製品およびキットに付属する使用説明書は、動物に光増感剤を含む上記組成物を投与する手順および該光増感剤を光活性化する手順が記載されている。使用説明書もまた、好ましくは先に定義した手順(ii),(iii)または(iv)のうち少なくとも1つが記載されている。
【0056】
PDTは、先に定義した光増感剤を含む組成物を動物に投与し、該光増感剤を光活性化することによって実施される。先に定義した(i)〜(iv)のうち少なくとも1つを用いることによって、PDTの副作用は抑えられるかまたは和らげられる。「副作用」とは、本明細書中で薬の効能を意味し、通常望ましくない効能であり、PDTに起因し、その望ましい治療効果以外のものである。PDTに一般的に付随する副作用の代表例としては、痛み、紅斑、腫れ、浮腫、火傷、痒み、剥離、高色素沈着および長期にわたる炎症ならびに治療後の過敏症が挙げられる。本発明の使用および方法は、痛みおよび/または紅斑、特に痛みを抑えるかまたは少なくするためにとりわけ有用である。
【0057】
本発明のとりわけ好ましい使用および方法では、上記PDTはその対応する標準的なPDT治療と実質的に同じ治療効果を有するものの、その標準的な治療に伴う上記副作用を抑えるかまたは和らげる。「対応する標準的なPDT治療」とは、同じ光増感剤(例えば、同じ5−ALAエステル)および同じ光線量(例えば、37J/cm2)により実施されるPDT治療を意味するが、下記条件下で実施される:
(I)上記光増感剤の濃度は、少なくとも15重量%(例えば、16重量%)であり、
(II)該光増感剤は、光活性化する少なくとも3時間前(例えば、3時間前)に投与され;そして
(III)光活性化は、フルエンス率が少なくとも60mW/cm2(例えば、約70mW/cm2)の光源により実施される。
【0058】
本発明のとりわけ好ましい使用および方法は、その対応する標準的なPDT治療の治療効果の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、例えば、少なくとも99%を提供する。
【0059】
本発明の好ましい使用および方法において、PDTによる副作用は、上記(i)、すなわち10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で上記光増感剤を含む組成物を用いることによって抑えられるかまたは和らげられる。とりわけ好ましい組成物は0.05〜8重量%の濃度で光増感剤を含み、より好ましくは0.5〜6重量%、例えば1〜4.5重量%または2〜4重量%である。
【0060】
本発明のさらに好ましい使用および方法では、上記光増感剤を含む上記組成物は動物に投与され、望ましい光感作効果を得るため治療されるべき部位が露光される前に、特定の時間が経過していてもよい。「投与される」とは、上記組成物が上記動物に供給されることを意味する。これは、例えば、その肌に該組成物を塗布し、それを浸潤させることによって達成することができる。好ましくは、該組成物は1回の塗布で投与される。露光前に、余剰の光増感剤は除去されることが好ましい。
【0061】
投与した後、露光が行われるまでの時間は、組成物の種類、治療すべき条件および投与の形態によって決まる。その時間は、例えば、約3〜6時間であってもよい。しかしながら、本発明の好ましい使用および方法においては、上記(ii)、すなわち、光活性化前2時間未満に該組成物を投与することによって、PDTによる副作用は抑えられるかまたは和らげられる。光活性化する前に、より好ましくは0〜90分間(例えば、5〜90分間、好ましくは30〜90分間)、さらに好ましくは10〜50分間、特に好ましくは15〜45分間、例えば20〜40分間の間に該組成物を投与する。とりわけ好ましい本発明の態様では、露光は、上記光増感剤の投与後すぐに発効させてもよい。すなわち、投与している時間は、およそ数分間(例えば、〜10分間、より好ましくは、〜5分間)であるか、または投与と光活性化とを同時に行う場合、実質的にゼロであってもよい。
【0062】
本発明の使用および方法において、光活性化は、当該分野において公知である光源を用いて行ってもよい。例えば、ランプまたはレーザーによる、体の異なる部位に照射する方法は、当該分野において周知である(例えば、バン デン ベルグ,Chemistry in Britain,1986年5月 第430〜439頁を参照)。照射に使用する光の波長は、より効率的な光感作効果を得るために選択することができる。もっとも効果的な光は、300〜800nm、典型的には400〜700nmの波長範囲の光である。一般的に、照射は40〜200ジュール/cm2、例えば、100ジュール/cm2の光線量レベルで行う。フルエンス率が60〜100mW/cm2の光源を用いてもよい。
【0063】
本発明のとりわけ好ましい使用および方法では、PDTによる副作用は、上記(iii)、すなわちフルエンス率が50mW/cm2未満の光源を用いた光活性化によって、抑えられるかまたは和らげられる。光活性化は、より好ましくはフルエンス率が5〜40mW/cm2、さらに好ましくは10〜35mW/cm2、例えば15〜35mW/cm2の光源により行う。
【0064】
照射は、より好ましくは10〜100J/cm2、さらに好ましくは20〜60J/cm2、例えば約37ジュール/cm2の光線量で行う。組織への光の浸透は、使用する波長によって決まり、青色光より赤色光のほうが深い。照射は、光線量およびフルエンス率にもよるが、5〜30分間、好ましくは15分間行うことが望ましい。照射は1回だけであってもよく、あるいは、例えば照射の間隔を1〜10分間とし、光線照射量をいくつかに分割した光線照射として用いてもよい。
【0065】
本発明のさらに好ましい使用および方法では、PDTによる副作用は、上記(iv)、すなわち太陽光を用いた光活性化によって、抑えられるかまたは和らげられる。本発明のこの態様として、自然太陽光または人工太陽光(すなわち、UV〜IRのすべての範囲)を提供する任意の光源のいずれかを用いる光活性化が挙げられる。光源として自然太陽光を用いることは、治療されるべき動物が、治療を通常実施する臨床環境から自由に離れられるという利点を有する。さらに、太陽光(自然かそれとも人工か)の強度がとても小さい場合、露光は投与と同時に開始することができる(すなわち、投与している時間を実質的にゼロにすることができる)。したがって、本発明の好ましい態様では、太陽光による光活性化は、上記光増感剤の投与直後に発効してもよい。これは、皮膚疾患に対する治療、例えば、座瘡の治療において、とりわけ好ましい形態である。さらに、太陽光を用いる光活性化前に余剰の光増感剤を除去することもまた必要とせず、したがって投与と光活性化とを同時に行うことができる。実際には、光活性化している間投与を本質的に継続するよう投与した部位に余剰の光増感剤を保持することは、多くの場合、都合が良い。自然光の強度は、照射している間に変化する可能性があり、必要ならば、被験者が受ける太陽光からの光線量は、携帯用の光度計を用いて容易に測定することができる。このような光度計は、インターナショナル ライト テクノロジーズ社から市販されている。これらは光線量の総量を測定し、望ましい光線量に達したとき、被験者はその光線量で照射される。
【0066】
上記光増感剤の投与に続く太陽光に露出する望ましい時間は、組成物の種類、治療されるべき条件、投与の形態などのようなさまざまな要素によって決まるが、当業者によって直ちに決定できる。しかしながら、最初の3時間くらいの太陽光への露出の間、PDTによる痛みはより少なく、達成される予定の望ましい治療効果はこれで十分であることがわかった。本発明の好ましい態様において、太陽光への露出の時間は、したがって2〜4時間の範囲、例えば約3時間でもよい。
【0067】
本発明のとりわけ好ましい使用および方法において、PDTによる副作用は、先に定義した(i)と、(ii),(iii)および(iv)の少なくとも1つとを組み合わせて用いることによって、抑えられるかまたは和らげられる。(i)と、(ii)または(iii)との組み合わせ、特に(i)と(ii)との組み合わせによって副作用を抑制または軽減させることがとりわけ好ましい。
【0068】
本発明のとりわけ好ましい他の使用および方法において、PDTによる副作用は、先に定義した(ii)と、(iii)および(iv)の少なくとも1つとを組み合わせて用いることによって、抑えられるかまたは和らげられる。(ii)と(iv)との組み合わせによって副作用を抑制または軽減させることがとりわけ好ましい。これらの使用および方法において、上記光増感剤は、光活性化の前15〜45分(例えば、30分)の間に投与することが好ましい。光活性化している間にも投与を継続することができることから、光活性化の前に余剰の光増感剤を除去しないことが好ましい。
【0069】
本発明のとりわけより好ましい使用および方法では、PDTによる副作用は、少なくとも(i),(ii)および(iii)、または(i),(ii)および(iv)、例えば、(i),(ii)および(iii)を用いることによって、抑えられるかまたは和らげられる。
【0070】
本発明のさらに好ましい態様では、PDTによる副作用は、(iii)と、(i)および/または(ii)との組み合わせ、例えば、(iii)と(i)と;(iii)と(ii)と;または(iii)と(i)と(ii)とを用いることによって、抑えられるかまたは和らげられる。
【0071】
本発明のさらに好ましい他の態様では、PDTによる副作用は、(iv)と、(i)および/または(ii)との組み合わせ、例えば、(iv)と(i)と;(iv)と(ii)と;または(iv)と(i)と(ii)とを用いることによって、抑えられるかまたは和らげられる。
【0072】
本発明の方法および使用において、治療は多数回施してもよく、例えば、毎日、毎週、毎月、治療を施してもよい。例えば、座瘡に対するPDTにおいては、わずか2回の治療で済むことが好ましい。
【0073】
本発明の方法および使用は、PDTにより治療することができるものとして知られている任意の疾患を治療するために用いられる。治療することができる疾患の例として、光化学治療に対する感受性が良い任意の悪性の疾患(または異常)、前悪性の疾患(または異常)および良性の疾患(または異常)が挙げられ、例えば、癌(例 基底細胞癌(bcc)、腫瘍、扁平上皮癌(scc)、ボーエン病)、皮膚疾患(例 乾癬、光線性角化症および座瘡)ならびに感染(例 細菌感染、ウイルス感染または真菌感染、例えばヘルペスウイルス感染)である。本発明は、上記組成物を直接塗布することができる孤発病変(病変は、本明細書において、腫瘍などを含む広い意味で用いられる)がその中に形成される疾患、疾病または異常に対する治療にとりわけ好適である。
【0074】
いくつかの態様において、本発明の使用および方法は、座瘡以外の疾患に対する治療にとりわけ好適である。
本発明に従って治療することができる身体内部表面および身体外部表面は、皮膚および他のすべての上皮表面ならびに漿膜表面を含み、例えば、粘膜、臓器内腔が挙げられ、該臓器内腔としては、例えば、呼吸器管、胃腸管、尿生殖路、および管を有しその内側を空にした腺(例えば、肝臓、皮脂腺を有する毛嚢、乳腺、唾液腺および精嚢)である。皮膚に加えて、このような表面は、例えば、膣腔の上皮、子宮内膜および尿路上皮が挙げられる。このような表面は、病変組織または癌組織を切除した後に身体に形成される空洞、例えば、神経膠腫などの腫瘍を切除した後の脳の窩洞も含む。
【0075】
よって、典型的な表面として以下が挙げられる:(1)皮膚および結膜;(2)口、咽頭、食道、胃、腸および腸の付属物、直腸ならびに肛門管の内膜;(3)鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、気管、気管支および細気管支の粘膜;(4)尿管、膀胱および尿道の内側;(5)膣腔、子宮頸部および子宮の内層;(6)壁側胸膜および臓側胸膜;(7)腹膜腔および骨盤腔の内膜、ならびにこれら窩洞の中に含まれる臓器の上皮;(8)硬膜および髄膜;(9)例えば、手術の際に直接かまたは手術針を通して挿入された光ファイバーを経由して、光活性化する光線が到達できる固形組織内の任意の腫瘍。
【0076】
また一方で、本発明の使用および方法は、顔、頭皮または首、特に顔の疾患に対するPDT治療にとりわけ好適である。
本発明の使用および方法は、座瘡に対する治療にとりわけ好適である。本明細書において、「座瘡」は、毛嚢脂腺1個単位の炎症性疾患および非炎症性疾患のいずれも含む。しかしながら、本明細書に記載の使用および方法は、主として、毛嚢脂腺1個単位または毛嚢に細菌が侵入した炎症性タイプの座瘡を治療するために用いられる。本明細書に記載の化合物は、プロピオン酸菌属の細菌(例えば、P.アクネス、P.グラヌローサム、P.アビダム)、特にプロピオニバクテリウム・アクネスに起因する座瘡の治療または抑制(好ましくは治療)に用いられることが好ましい。
【0077】
座瘡は、例えば、毛穴の黒ずみ、毛穴の皮脂、丘疹、膿疱および/または嚢胞の種類、重症度および/または位置によって異なるタイプに分類される。本発明によって治療することができる座瘡の代表的なタイプは、尋常性座瘡、酒さ[acne rosacea]、集簇性座瘡、丘疹性座瘡および月経前の座瘡が挙げられ、毛嚢脂腺器官の慢性的炎症性疾患である尋常性座瘡が好ましい。座瘡は、背中、胸、上腕および/または顔に発生することがある;本明細書に記載の化合物が身体のこれら任意の部位、特に顔を治療するために用いることができる。
【0078】
本発明の使用および方法もまた癌の治療にとりわけ好適である。治療することができる癌の代表的な例として、bcc、腫瘍、sccおよびボーエン病が挙げられる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
【実施例】
【0079】
[実施例1]
顔面尋常性座瘡(顔面の少なくとも片側に、丘疹膿疱性座瘡および少なくとも15の炎症性座瘡病変)を有する男性23名および女性20名(18歳以上)に対して、第2相臨床研究を実施した。
【0080】
この研究は、クリーム基剤中にそれぞれ異なる濃度で配合されたメチルアミノレブリン酸(MAL)3種を塗布した後に実施したPDTのポルフィリンレベル、安全性および有効性を評価したものである。さらに、該研究によって、MALの塗布と光照射との時間間隔が異なることによる効果も評価した。
【0081】
被験者を任意に抽出し、160mg/g(16重量%)、80mg/g(8重量%)または40mg/g(4重量%)のいずれかの濃度のMALクリームを顔面に塗布した。下表に示すように、被験者の顔面の片側を皮膚生検し(各被験者は合計2回皮膚生検される)、顔面のもう一方の片側に赤色光(フォトキュアのAktilite 128LED光源を用いて37J/cm2)を照射した。
【0082】
【表1】

【0083】
座瘡病変(赤色光を照射された顔面半分の炎症性病変および非炎症性病変)数は、0時間と、先入観なく評価する人[a blinded evaluator]が巡回することによって14日目、84日目とに計測した。また、座瘡重症度の全体的評価[Global Acne Severity Assessment]も、0日目、14日目および84日目に実施した。
【0084】
照射後のポルフィリンの光退色を測定するため、0時間と赤色光照射直後とにインビボで蛍光分光法を実施した。皮脂の排出率は、0日以前から7日間、14日目および84日目に測定した。
【0085】
安全性は、医学アンケートおよび有害事象報告によって評価した。
このような研究によって、インビボでの蛍光分光法で測定したMAL塗布後のポルフィリンレベルは治療群の間で著しい差異があることが示された。160mg/gのMALを3時間および80mg/gのMALを1.5時間処理した、座瘡被験者の顔面の皮膚において、ポルフィリンレベルがもっとも高かった。これらの高いレベルは、赤色光照射後、ベースラインレベルまで戻った。
【0086】
160mg/gを塗布して3時間後に行った生検で得られた皮脂腺においても、ポルフィリンレベルの平均値がもっとも高かったが、この皮脂腺におけるポルフィリンレベルの平均値は治療群の間で顕著な差異は見られなかった。
【0087】
驚くべきことに、14日目もしくは84日目のいずれかでの炎症性病変または非炎症性病変におけるMAL−PDT治療グループの間の差異はなかった。しかしながら、炎症性病変において該研究の開始時点からの減少(84日目で23〜44%)が、MAL−PDT治療したすべてのグループで見られた。14日目および84日目の座瘡の全体的重症度スコア[Global acne severity scores]または皮脂の排出率において、治療グループの間の差異はなく、したがってすべての治療の方法が同等に有効であることが示された。
【0088】
0=無痛、50=中程度の痛みおよび100=予想される最悪の痛みとする視覚的アナログ尺度で、被験者自らが光照射中の痛みを評価し、その平均値を算出した。これらの結果を下表に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
光照射中の痛みの平均値(p=0.0006)においてグループの間で統計的に顕著な差異があった。160mg/g3時間のグループと他のすべてのグループとでそれぞれ比較することによって、有意性の限界(p=0.06)である80mg/g1.5時間のグループとの比較を除き、160mg/gのグループが光照射中の痛みとしてより高い平均値を示した。実際に、これら2グループにおける少人数の被験者にとっては、この痛みが極めて強いため光照射を中断(被験者2名)または終了(被験者2名)する必要があった。これは、痛みが照射時間およびMAL濃度に関連していることを示すものである。
【0091】
PDT後の紅斑の持続期間を下表に示す。この情報は、被験者が付けた日記から得た。紅斑のもっとも長い平均持続期間(14日間)は、160mg/gで3時間処理した被験者に見られ、もっとも短いもの(0.5日間)は、40mg/gで1時間処理した被験者に見られた。PDT後の紅斑の持続期間において、6グループの間(p=0.03)で顕著な差異があった。
【0092】
【表3】

【0093】
これはPDT後の紅斑が照射時間およびMAL濃度に関連することを示す。
このような研究によって、群間の治療効果において顕著な差異がないことが示されたが、160mg/g3時間のグループにおいて、PDT後の紅斑の持続期間、PDTに対する局所耐性および光照射中の痛みが、それぞれもっとも長く、もっとも低く、もっとも強い点でグループ間に顕著な差異があった。
[実施例2]
照射中のフルエンス率を減少させることによる効果を評価するために研究を行なった。
【0094】
中等度から重度の顔面尋常性座瘡を有する34名の被験者に対して、顔面に隙間なくMetvix(登録商標)(160mg/g)を塗布し3時間処理した。このクリームを除去し、Aktilite(登録商標)128ランプ(フォトキュア エイエスエイ,ノルウェー)を用いて光線量の総量を37J/cm2とし、この治療部位に対して照射した。このランプは128個の発光ダイオード(LED)からなり、634±3nmの波長にピークを有する。
【0095】
15名の被験者に対して、Metvix(登録商標)塗布前に掻爬せずにフルエンス率が34mW/cm2の光源を用いたPDT治療を1回行なった。残り19名の座瘡被験者に対して、PDT治療を2回行ったと仮定し、68mW/cm2のフルエンス率を用いて照射し、初回の治療前に掻爬した。これら被験者のうち12名はPDT治療を2回行い、7名は1回のみの治療であった。
【0096】
この治療効果は、ベースラインから12週間の対照まで、炎症性座瘡病変数の減少として評価した。0を無痛、10を予想される最悪の痛みとして0〜10の範囲の数字目盛りを用いて照射中の痛みを査定した。
【0097】
この結果を下表にまとめた:
【0098】
【表4】

【0099】
上表から、治療効果について2グループの間で顕著な差異がないことが明らかである。
【0100】
【表5】

【0101】
*治療部位におけるポルフィリンの蛍光(定量的蛍光画像により測定した)の差を用いて痛みの点数を補正することによって、本発明者らは2治療グループの間の掻爬および治療数による差を考慮する。
[実施例3]
太陽光による照射がPDTランプを用いた場合と同様に有効であることを実証するために研究を行なった。
【0102】
年齢の中央値が80歳(63〜93歳)である光線性角化症を有する被験者(男性23名および女性6名)をこの研究に加えた。
Metvix(登録商標)クリーム(160mg/g)の塗布に続いて優しく掻爬した。そのとき該治療部位をクリームで隙間なく覆った。30分後、該治療部位の半分から該クリームを除去し、その後太陽光で2.5時間照射した。
【0103】
残りの半分から該クリームを除去した後に、Aktilite(登録商標)128ランプ(フォトキュア エイエスエイ,ノルウェー)を用いて照射した−詳細は実施例2を参照のこと。光線量の合計を37ジュール/cm2とし、フルエンス率を68.5mW/cm2として、光線力学的療法を実施した。
【0104】
【表6】

【0105】
この治療効果は、治療前およびPDT治療後12週間にわたり病変を集計することによって採点した。
【0106】
【表7】

【0107】
0を無痛とし10を予想される最悪の痛みとして0〜10の範囲の数字目盛りを用いて痛みを採点した。
【0108】
【表8】

【0109】
上表から、病変数の絶対的減少または完全消失した病変のパーセンテージの絶対的減少について2つの照射グループの間で顕著な差異がなかったことが明らかになった。したがって、Metvix(登録商標)で2.5時間治療する間、次々と形成されたプロトポルフィリンを太陽光に曝すことが、Metvix(登録商標)で3時間培養後、赤色光で照射することと同等に有効であることが結論付けられる。
【0110】
光照射中の痛みは、太陽光によるグループにおいて顕著に低かった。太陽光照射の強度と、Metvix(登録商標)および太陽光を用いて治療した部位における病変の減少との間(p=0.66)に顕著な相関関係はなかった。太陽光照射の強度と照射中の痛みとの間(p=0.1036)にもいかなる顕著な相関関係はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物に対する光線力学的療法(PDT)に用いる組成物の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)もしくは5−ALAの誘導体(例えば、エステル)、またはその薬剤として使用し得るそれらの塩である光増感剤の使用であって、該PDTは(a),(b)を含み:
(a)該光増感剤を含む組成物を該動物に投与すること;および
(b)該光増感剤を光活性化すること、
(iii)あるいは(iv)と、(i)および/または(ii)とを組み合わせて用いることによって、該PDTによる副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)を抑えるかあるいは少なくする:
(i)該組成物が、10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で該光増感剤を含むこと、
(ii)該組成物が、該光活性化の前2時間未満(例えば、5〜90分間、好ましくは30〜90分間)に投与されること、
(iii)該光活性化が、フルエンス率が50mW/cm2(例えば、5〜40mW/cm2)未満の光源を用いて行われること、
(iv)該光活性化が、太陽光を用いて行われること
を特徴とする使用。
【請求項2】
上記PDTが、その対応する標準的なPDT治療と治療効果が実質的に同じである請求項1に記載の使用。
【請求項3】
上記光増感剤が、インビボでプロトポルフィリンIX(PpIX)または任意の他の光増感剤(例えば、PpIX誘導体)を形成できる5−ALAの誘導体である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
上記光増感剤が、一般式Iの化合物:
【化1】

(式中、
1は、置換もしくは非置換の、直鎖状,分岐状または環状のアルキル基を表し;
2は、それぞれ独立して、水素原子または任意に置換されたアルキル基、例えばR1の基を表す。)または薬剤として使用し得るその塩である請求項1に記載の使用。
【請求項5】
式Iにおいて、R2それぞれが、水素原子を表す請求項4に記載の使用。
【請求項6】
式Iにおいて、R1が、非置換アルキル基(好ましくはC1-8アルキル、例えばC1-6アルキル)またはアリール基によって置換されたアルキル基(例えばC1-2アルキル、特にC1アルキル)を表す請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
式Iにおいて、R1が、アリール基によって任意に置換されたC1-2アルキル基(好ましくはC1アルキル基)基を表す請求項4または5に記載の使用。
【請求項8】
上記化合物が、メチルALAエステル、ベンジルALAエステルまたは置換されたベンジルALAエステルから選択される請求項7に記載の使用。
【請求項9】
式Iにおいて、R1が、アリール基(例えば、フェニル)によって置換されたアルキル基(例えば、C1-2アルキル、特にC1)を表す請求項4〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
式Iにおいて、R1が、アリールで置換されたC1-4アルキル基(好ましくはC1-2アルキル、例えばC1アルキル)であり、好ましくは該アリール基は炭素原子を20個まで(例えば、炭素原子を12個まで)含み、該アリール基自体は置換されていてもよく、
2それぞれが、請求項4で定義されたもの(例えば、R2それぞれが水素)である請求項4〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
上記化合物が、ベンジルALAエステルまたは置換されたベンジルALAエステル(例えば、4−ニトロベンジルALAエステルまたは4−クロロベンジルALAエステル)から選択される請求項10に記載の使用。
【請求項12】
式Iにおいて、R1が、非置換アルキル基(好ましくはC1-8アルキル、例えばC1-6アルキル)を表す請求項4〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
上記化合物が、メチルALAエステル、エチルALAエステル、プロピルALAエステル、ブチルALAエステル、ペンチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、オクチルALAエステル、2−メチルペンチルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、1−エチルブチルALAエステル、3,3−ジメチル−1−ブチルALAエステルから選択される請求項12に記載の使用。
【請求項14】
上記化合物が、メチルALAエステル、ヘキシルALAエステルおよび4−メチルペンチルALAエステル(好ましくは、メチルALAエステル)から選択される請求項12に記載の使用。
【請求項15】
さらに上記組成物が、第二の光増感剤を含む上記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
上記組成物が、1〜8重量%の濃度で、例えば2〜4重量%の濃度で、5−ALAの誘導体である上記光増感剤を含む上記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
PDTによる副作用が、上記光活性化の前5〜60分間(例えば、20〜40分間)の間に上記組成物を投与することによって抑えられるかまたは和らげられる上記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
PDTによる副作用が、フルエンス率5〜40mW/cm2、好ましくは10〜35mW/cm2の光源を用いて光活性化することによって抑えられるかまたは和らげられる上記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
PDTによる副作用が、(iii)と、(i)および/または(ii)とを組み合わせて用いることによって抑えられるかまたは和らげられる請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
PDTによる副作用が、(iii)および(i)を用いることによって、または(iii)および(ii)を用いることによって抑えられるかまたは和らげられる請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
PDTによる副作用が、(iii)と、(i)および(ii)とを組み合わせて用いることによって抑えられるかまたは和らげられる請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
PDTによる副作用が、(iv)と、(i)および/または(ii)とを組み合わせて用いることによって抑えられるかまたは和らげられる請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項23】
PDTによる副作用が、(iv)および(i)を用いることによって、または(iv)および(ii)を用いることによって抑えられるかまたは和らげられる請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
PDTによる副作用が、(iv)と、(i)および(ii)とを組み合わせて用いることによって抑えられるかまたは和らげられる請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
上記PDTが、癌(例えば、基底細胞癌(bcc)、腫瘍、扁平上皮癌(scc)、ボーエン病)、皮膚疾患(例えば、乾癬、光線性角化症および座瘡)ならびに感染(例えば、細菌感染、ウイルス感染または真菌感染、例えばヘルペスウイルス感染)に対する治療である上記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
上記PDTが、座瘡に対する治療である請求項25に記載の使用。
【請求項27】
上記PDTが、座瘡以外の疾患(例えば、癌)に対する治療である請求項1〜25のいずれかに記載の使用。
【請求項28】
上記PDTが、顔、頭皮または首の疾患に対する治療である上記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
動物の光線力学的療法(PDT)による副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)を抑えられるかまたは和らげられる方法であって、該PDTは(a),(b)を含み:
(a)請求項1〜16のいずれかに定義した光増感剤を含む組成物を動物に投与すること;および
(b)該光増感剤を光活性化すること、
(iii)あるいは(iv)と、(i)および/または(ii)とを組み合わせて用いることによって、該PDTによる副作用が抑えられるかあるいは和らげられる:
(i)該組成物が、10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で該光増感剤を含むこと、
(ii)該組成物が、該光活性化する前2時間未満(例えば、30〜90分間)に投与されること、
(iii)該光活性化が、フルエンス率が50mW/cm2未満(例えば、5〜40mW/cm2)の光源を用いて行われること、
(iv)該光活性化が、太陽光により実施されること
を特徴とする方法。
【請求項30】
動物の光線力学的療法(PDT)による副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)を抑えられるかまたは和らげられる方法で使用する製品またはキットであって、(a),(b)を含む:
(a)請求項1〜16のいずれかに定義した組成物を有する容器、および
(b)請求項1,17〜24のいずれかに定義した該PDTを実施するための使用説明書
ことを特徴とする製品またはキット。
【請求項31】
請求項1〜15のいずれかに定義した光増感剤、および薬剤として使用し得る担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物であって、該光増感剤の濃度が、2〜8重量%(例えば、2〜4.5重量%)であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項32】
治療(例えば、PDT)で用いる請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1,17〜28のいずれかに定義した光線力学的療法(PDT)の方法で使用する請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
動物に対する光線力学的療法(PDT)に用いる組成物の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)または5−ALAの誘導体(例えば、エステル)、もしくは薬剤として使用し得るこれらの塩である光増感剤の使用であって、該PDTは(a),(b)を含み:
(a)該光増感剤を含む組成物を該動物に投与すること;および
(b)該光増感剤を光活性化すること、
(i)〜(iv)のうち1以上を用いることによって、該PDTの副作用(例えば、痛みおよび/または紅斑)が抑えられるかまたは和らげられる:
(i)該組成物が、10重量%未満(例えば、0.5〜8重量%)の濃度で該光増感剤を含むこと、
(ii)該組成物が、該光活性化する前2時間未満(例えば、30〜90分間)に投与されること、
(iii)該光活性化が、フルエンス率が50mW/cm2未満(例えば、5〜40mW/cm2)の光源を用いて行われること、
(iv)該光活性化が、太陽光を用いて行われること
を特徴とする使用。

【公表番号】特表2010−515714(P2010−515714A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545231(P2009−545231)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000086
【国際公開番号】WO2008/084241
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(501361529)フォトキュア エイエスエイ (6)
【Fターム(参考)】